作家でごはん!鍛練場
飼い猫ちゃりりん

憎しみの河

 その夜、普段あまり喧嘩をしない夫婦が、中学三年の娘のことで口論をしていた。
 奈津子は、綾香(あやか)を林間学校に行かせたくなかったが、その理由をうまく説明できずにいた。
「あの子は集団が苦手なの。合宿なんて無理なのよ」
「団体生活に慣れた方がいいだろ」
 担任は綾香がクラスで孤立していると言い、夫はその原因は妻の過保護にあると思っていた。
「展覧会に出すはずだった絵を、傷つけられたこと覚えてる?」
「それは二年生のときの話だろ。やった子は親と一緒に謝りに来たじゃないか」
 その事件は、同じ美術部の女生徒が妬んでやったこととされた。彼女は綾香のせいで、いつも二位に甘んじていたからだ。
 しかし奈津子は、動機は別にあるのではと思っていた。
 展覧会に出すはずだったその肖像画は、台所に立つ奈津子を横から描いたもので、伏し目がちな彼女の特徴を見事にとらえていた。
 その絵は、奈津子が心の奥深くに封印した悲しみをも表現していた。そして奈津子は、それは自分にしか分からないことだと思っていた。
 しかし、その絵を傷つけた女生徒は、それが救いのない作品であることを見抜いたのだ。

 奈津子は、どうしても綾香を林間学校に行かせたくなかったから、悲痛な思いで夫に訴えた。
「何か悪い予感がするの」
 ついに夫はため息を漏らした。
「なに馬鹿なことを言ってるんだ。本人が行きたいと言ってるんだから、行かせてあげればいいじゃないか」
 ふと気づくと、綾香が部屋の隅に立っていた。
「お母さん。あたし、みんなと仲良くなりたいの」
「でも……」
「もういい加減にしなさい。綾香、持ち物は全部用意したのか?」
「お父さん。準備はもうできているわ」

 翌朝は雲ひとつない青空が広がった。
 合宿する施設は、紅葉を迎えた渓谷のそばにあり、そのキャンプ場でする飯ごう炊さんを綾香は楽しみにしていた。
「みんなでカレーライスを作るのよ」と彼女は嬉しそうに言った。
 しかし奈津子はその言葉に納得がいかなかった。なぜなら、娘にはスパイスアレルギーがあり、香辛料を使った料理が苦手だったからだ。
「あなた、本当にカレーを食べるの?」
「あたしは作るだけよ。美味しいカレーを作って、みんなに食べてもらうの」
 それでも奈津子は不安をぬぐい切れなかった。
「綾香。やっぱり何か悪い予感がするの。お願いだから行かないで」
「大丈夫だってば。心配のしすぎ」
 娘はテーブルにつくと朝食を食べ始めた。

 その日から、さかのぼること二十四年。
 奈津子12歳の夏の日の午後、彼女が身を寄せる田舎町で事件が起きようとしていた。
 二人のチンピラが駐車場で煙草をふかしながら店内の様子をうかがっていた。
 拓哉と慎吾は、コンビニを襲うタイミングをはかっていたのだ。

 拓哉という青年は、どうしようもない「クズ」だった。
 母親は若いころからアル中で、吹き溜まりのような安酒場に入りびたり、春を売って酒代を稼いだりした。
 彼女は赤子の拓哉を酒場の隅にほったらかして呑んだくれ、眠っている拓哉を指差して、「お酒と交換してよ」と言って客にからんだりもした。
 拓哉は父親を知らず、母親からは「クズ」と呼ばれて幼少期を過ごした。
 一瞬たりとも愛されることなく育ったからか、ひどく短気で、こらえ性のない少年に成長した。
 彼は万引きや恐喝に日々邁進し、シンナーを吸って人を刺して、お決まりのレーンに乗った。
 彼はどこまでも「クズ」だったから、少年院でも、慎吾以外に相手をする者はいなかったのだ。

 かたや慎吾という青年は、相棒とは真逆な性質を有していた。
 彼には物事の本質を見抜く洞察力があり、知能検査でも高い数値を示したが、彼はその知性を有益に使おうとはしなかった。
 彼の父親は家庭をかえりみない遊び人で、彼が幼いころ、よそに女をつくって出ていってしまった。
 彼には美咲(みさき)という二つ年下の妹がいた。
 母親は育児放棄をしていたから、美咲の面倒はすべて彼がみた。美咲はそんな兄のことが大好きだったのだ。
 彼は特に問題のない少年だったが、ある事件をきっかけに人生の歯車が狂った。
 彼が中三のとき、美咲が河に身を投げて死んだのだ。
 いつも影でいじめられていた美咲は、ある日、工場の跡地にある倉庫に呼び出され、クズどもに取り囲まれて自慰を強要された。
 総勢十人ほどの少年少女が、笑いながら携帯をかざしていたのだ。
 美咲は画像を拡散すると脅迫され、金がないなら稼ぐ方法を教えてやると言われた。
 彼女は迂闊(うかつ)にも言われるまま春を売り、ずるずると地獄にはまり込んでいった。
 彼女は慎吾に相談をしなかった。いや、できなかったのだ。
 慎吾は彼女が死んでから真相を知り、怒りと悲しみに打ち震えた。
 加害者の親たちは、自殺の原因は家庭環境にあると口をそろえて証言し、学校と警察は事件化を見送った。
 イジメ事件は教育者のキャリアの汚点になるし、警察にとっても、少年事件は割に合わない「美味しくない事件」だったのだ。
 慎吾は妹が身を投げた河を見つめながら、ことの顛末(てんまつ)を振り返った。
「結局、最後に勝つのは悪党なんだ……」
 彼は憎悪を抱きながらも、冷静に復讐の機会をうかがった。
 主犯格の二人は、彼と同じ三年生の男女だった。
 彼は平静を装いながら二人の一部始終を観察し、二人が美咲を呼び出した倉庫で、よくやっていることを突き止めた。
 彼は、二人は卒業式の日も必ずヤルと確信し、式が終わると倉庫に先回りして待ち伏せをした。
 予想通り二人が現れてヤリはじめると、彼は鉄パイプを握りながら絶好のタイミングをうかがった。
 女子は作業台の上で大股を開いてあえぎ、男子は立ったまま懸命に腰を動かしていた。
 男子が女子の腹に種をまき散らした瞬間、鉄パイプが男子の後頭部に振り下ろされた。
 慎吾はポケットから手錠を出すと、作業台の脚に女子を後ろ手に固定し、うめき声を上げる男子の体に何度も鉄パイプを振り下ろした。
 そしてスポーツバッグから斧をとり出すと、男子を足蹴(あしげ)にして言った。
「おい、まだ死ぬなよ」
 慎吾が男子を解体すると、床一面が血の海と化した。
 そして女子の方に振り向くと、彼女の口から血があふれていた。恐怖のあまり自分で舌を噛みちぎったのだ。
 慎吾は彼女の前髪をつかんで言った。
「どうだ? 気分は」
 彼女は血の泡をふきながら命乞いをした。
 慎吾はナイフで彼女の喉(のど)を真一文字に切ると、死にゆく姿を眺めながら煙草をふかした。
「俺がのんきに構えていたから、美咲は死んだ……」
 彼は吸いかけの煙草を固く握りしめた。
 彼は自ら出頭して身柄を拘束され、拓哉と同じように、お決まりのレーンに乗った。
 そんなチンピラ二人が、奈津子12歳の夏の日の午後、彼女が身を寄せる田舎町で、事件を起こそうとしていたのだ。

 慎吾と拓哉が狙っていたコンビニは、片田舎で競争相手が少ないからか中々繁盛していた。
 彼らはクソみたいな過去を振り返りながら、客が消えるのを待っていたのだ。
 拓哉は慎吾に言った。
「あの変態は、俺の穴に指を入れてモノを大きくしてやがったんだ。聞いた話じゃ検査はインチキで、そりゃ奴の趣味だってんだ」
 慎吾はげらげらと笑った。
「いいじゃねえか。けつの穴くらい貸してやれよ」
「馬鹿野郎! いつかあいつ、ぶっ殺してやる!」
「おい、客がいなくなったぜ。そろそろやるか」
 彼らは煙草を投げ捨てると、目出し帽をかぶって店に入り、懐からナイフを出して若い店員を脅した。
「じっとしてろ」
「長生きはするもんだぜ」
 拓哉がナイフで威嚇している間に慎吾がレジの金を奪った。
 慎吾が「いくぞ!」と叫ぶと、拓哉は「サツを呼んだら殺すぞ!」と店員を脅した。
 二人がアクセルをふかすと、カラーボールが拓哉のバイクの横で弾け、彼のスニーカーを蛍光塗料でよごした。
 拓哉はバイクから降りるとリュックからバールを出した。
 慎吾は「ほっとけ!」と叫んだが、拓哉は完全に切れていた。
「いくらしたと思う? ディオールだぞ! あの野郎……、頭叩き割って脳味噌をふみつぶしてやる」
 警察は間一髪のところで二人をとり逃がし、県下に緊急非常配備を敷いた。

 その日の晩も、奈津子が身を寄せる酪農家の食卓はにぎやかだった。
 一年前に起きた災害で家族を失った奈津子は、牧場を営む親類に保護されていたのだ。
 土砂崩れの発生から二日後、奈津子は仮設された安置所で身元確認をした。
 三人の遺体が、青いビニールシートの上に並べられていた。
 両親の遺体は傷ついていたが、幼い妹の遺体には傷ひとつなく、本当にただ眠っているかのようだった。
「姉ちゃんだよ。おきて」
 何度も話しかけてみたが、妹が目を覚ますことはなかった。

 奈津子が身を寄せる牧場は、叔母(奈津子の母の姉)とその夫、それと祖父母の四人で営まれていた。
 四人は奈津子のことを心配し、親以上に優しく接しようとしていたが、奈津子は、いつまでもそれに甘えようとは思わなかった。

 奈津子は箸をおくと祖父に言った。
「なんでもやります! 他人と思って下さい!」
 祖父は笑みをこぼした。
「よし! 朝五時から牛舎で働け!」
 すると四十路が近い娘が怒った。
「なっちゃんはまだ小学生よ。意地悪ね!」
 すると婿(むこ)が嫁をなだめた。
「お父さんは冗談を言ったんだよ」
 子宝に恵まれない夫婦には、奈津子が我が子のように思えたのだ。
 そのとき「バタン!」と扉の閉まる音が響いた。
「あらいけない。鍵かけるの忘れたかしら?」
「おばさん。あたし見てきます」
 奈津子が玄関にゆくと、木の扉が風に揺れていて、閉めようとすると、カサカサという草のすれるような音が聞こえた。
 彼女が外に出てあたりを見回していると、牛舎からメリーの鳴き声が聞こえた。
 メリーとは、母牛と生き別れた雌(めす)の子牛のことである。
 メリーと奈津子は、出会った瞬間に心が通じ合った。奈津子はメリーを自分の妹のように可愛がり、メリーも彼女に心を許したのだ。
 メリーは何かに怯えていた。
 彼女がメリーの様子を見に行こうとすると叔母の声が聞こえた。
「なっちゃん! 誰か来たの?」
「誰もいません! でもちょっと牛舎を見てきます!」
 メリーは奈津子の姿を見ると鳴きやんだ。
「メリー。大丈夫だよ。あたしが守ってあげるから」
 奈津子はメリーの体を優しくなでると、その頭にほおずりをした。

 奈津子が扉に鍵を掛けて居間にもどると、七時のニュースがコンビニで起きた事件を伝えていた。
 祖母は箸をとめると祖父に言った。
「あれ、あんたがお酒を買う店よ。こんな田舎なのに物騒だねぇ」
 ニュースは若い店員の死を伝え、防犯カメラがとらえた二人の映像を流した。
 そのとき、牛たちの鳴き声が響いた。
「ちょっと見てくるから食べていてよ」
「おじさん。あたしも行きます」
「ひとりで十分だから、なっちゃんはここにいてね」
 婿はそう言って座卓を離れた。
 叔母はまた自分の父に文句を言った。
「小学生に朝の作業ができるわけないでしょ」
「わかってるよ。しつこい奴だな」
 祖母が「あんたに似たのさ」と皮肉を言うと、また牛たちの鳴き声が聞こえた。
「なにかしら? 見てくるわ」
「おばさん。あたしも手伝います」
「なっちゃんはいいの。御飯を食べていてね」
 そう言い残し、彼女も座卓を離れた。

 歌番組が始まって最初の演歌が終わると、祖父は味噌汁を勢いよく飲み干して、木の茶碗を座卓においた。
「奈津子。酪農が好きか?」
「はい! 動物が好きなんです!」
「メリーか?」
「メリーも、ほかの牛たちも大好きです!」
「酪農はきついから、まだ無理だな」
「どんな試練も乗り越えてみせます!」
 しっかりした子供だなと老夫婦は感心した。
 そのとき木材のきしむ音が響き、居間の扉が少し開いた。
「お疲れ様。牛舎でなにがあったんだ?」
 扉の向こうは静まりかえっていた。
「なにしてるんだ? 早く入って来いよ」
 やはり返事はない。
 扉の向こうは暗く、明るい部屋からでは何も見えなかったが、奈津子は不穏な気配を感じた。
 二匹の獣が彼女に手を振りながら笑っていたのだ。
 すると不気味な声が聞こえた。
「なっちゃん。試練が始まるよ。なっちゃん……」
「誰なんだ!」と祖父が怒鳴ると、木材がきしむ音とともに扉が全開し、畜生どもが姿を見せた。
「なんの用だ!」と祖父が怒鳴ると、「めし食わせろよ。ビールあるか?」と拓哉が言った。
「娘と婿になにをした!」
「さあな」
 拓哉は家畜のごとく料理をむさぼったが、慎吾は錠剤をえさにビールを飲みながら、静かにテレビを見ていた。
 しばらくすると、警察が犯人を特定したとニュース速報が伝えた。
 二人の容疑者は少年だから氏名は公表できないとし、社会部の記者とやらがコメントを述べた。
「少年の人権は十分尊重されるべきです。しかし、少年だから何をしても許されて良いわけではないという声も、多く聞かれるのです」
 全くもって正論である。しかしその正論も、憎しみに支配された者には何の効力もない。
 拓哉が慎吾に聞いた。
「俺たち死刑かな?」
「だろうな」
「でも未成年だぜ」
「三人じゃ無理だろ。それにこんな世中、生きていても仕方ないぜ」
 そのときパトカーのサイレンが遠くで鳴り響き、それを聞いた祖父が罵倒を始めた。
「人殺しめ! 少年だから許されると思うなよ!」
 慎吾は老人に言った。
「許してくれなんて頼んでないよ」
「クズどもめ!」
 すると慎吾はため息をついて黙り込み、おもむろに口を開いた。
「なっちゃん。君はメリーが好きなんだよね?」
「メリーは、あたしの妹なの」
「そうか。お兄さんにも妹がいたんだ。もう死んじゃったけどね。ところで、君はメリーの運命を聞いているの?」
「運命?」
「やはり聞いてないのか。おい拓哉、納屋に斧があっただろ。持ってきてくれよ」
「なにするんだ?」

 慎吾がメリーの致命的な運命をその場で再現すると、奈津子は両手で顔を覆った。
 部屋が静まると慎吾の声が聞こえた。
「もう目を開けても大丈夫だよ」
 慎吾は奈津子の体に散った血を、濡れタオルで丁寧にふき取ると言った。
「なっちゃん。君の試練がはじまった。乗り越えるには憎しみを捨てるしかない。お兄さんには出来なかった。君はできる?」
 彼は奈津子の目をじっと見つめた。
「うん」
「そうか。良かった……」

 それから二十四年後の秋の日の朝、奈津子は娘の綾香(あやか)を林間学校に送り出そうとしていた。
 綾香は、みんなと仲良くなりたいと言うが、奈津子は不安な気持ちをぬぐい切れなかった。
「みんなでカレーライスを作るのよ」と綾香は嬉しそうに言っていたが、その言葉にも納得がいかなかった。
 綾香にはスパイスアレルギーがあり、香辛料を使った料理が苦手だったからだ。
「あなた、本当にカレーを食べるの?」
「あたしは作るだけよ。美味しいカレーを作って、みんなに食べてもらうの」
 やはり何かがおかしい……
「綾香。やっぱり何か悪い予感がするの。お願いだから行かないで」
「大丈夫だってば。心配のしすぎ」
 綾香はテーブルにつくと朝食を食べ始めた。
 皿にはトーストと目玉焼きがのっていた。
「お母さん。フォークとって」
 食器棚から銀色のフォークを取り出し、テーブルの方に振り向いた次の瞬間、奈津子はそれを手から落とした。
 朝のニュースが、当時十八歳だった二人の死刑囚の最期を伝えたのだ。
 二十四年前の悪夢が鮮明によみがえり、奈津子はがっくりと床に崩れ落ちた。
 床に手をついて泣いていると、娘の声が聞こえた。
「お母さん。どうしたの?」
 顔を上げると、綾香が目の前に立っていた。
「どうして泣いているの?」
「なんでもないの。気にしないで」
「教えて。誰がお母さんを苦しめているの?」
 奈津子は身震いをした。娘の手にはフォークが握られていたのだ。
「綾香! 人を憎まないで! それだけはやめて!」
 奈津子はその手からフォークを奪って投げ捨てると、両手で顔を覆って泣き崩れた。
 奈津子は一切の憎しみを捨て去り、その害悪から我が子を守ろうとしてきた。
 しかし、それは二十四年の歳月を乗り越えて、綾香の心へ流れ込んでいたのだ。
 綾香は言った。
「あたし、知っているのよ。お母さんが、ときどき悪夢にうなされていることを。お母さんは、きっと何か恐ろしい経験をしたんだよね?」
「なに言ってるの! そんなことないわ!」
 綾香は取り乱す母をじっと見つめた。
「お母さん……」
「なあに?」
「お母さんは、あたしのことをよく知っているでしょ。あたしも、お母さんのことをよく知っているのよ」
 そう言うと、綾香はリュックを背負って部屋を出ていった。

 その日の午後、奈津子が洗濯物をたたんでいると、学校から緊急のメールが入った。
『林間学校で深刻な食中毒が発生し、警察と救急隊が現場に来ています。詳細は追って連絡します』
 テレビをつけると、黄色いテープが張り巡らされたキャンプ場が映し出された。
 騒然とする現場を背景に、若い女性のリポーターが早口で状況を伝えていた。
「カレーを食べた多くの生徒が救急搬送されました。すでに12名の生徒が亡くなっています。警察は毒物混入事件として捜査を開始しました」

 綾香は電話に出なかった。だから奈津子は仕方なくメールを送った。
「綾香。大丈夫なの?  あなた、カレーを食べたの?」
 現地へ向かう身支度をしていると返信が届いた。
 そして、それはやけに長文だった……

 アレルギーが出るといけないから食べてないよ。だから心配しないで。
 警察の人にもそう説明したんだけど、なかなか信じてもらえなくて困っちゃった。
 おまけに、あのポリ公どもは、薄汚いワンコを連れてきて、あたしの荷物や体の臭いを嗅がせたのよ。失礼ったらありゃしない。
 あたしは15歳だから、逮捕されても大した罪にならないのよ。低学歴のポリ公どもは、そんなことも知らないんだから、ほんと税金の無駄遣い。
 まぁそれはそれとして、亡くなった子たちは本当にかわいそう。
 普段の行いが悪いと、ああなっちゃうのかしら。あたしも気をつけよ。笑

 終わり

憎しみの河

執筆の狙い

作者 飼い猫ちゃりりん
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以前の投稿で、主人公の1人である綾香(あやか)のキャラが薄いとご指摘を受けましたので、少し濃いめにしました。

約7400字の推敲作品です。
よろしくお願いします。

ああ、それとクイズを1つ。
若くして亡くなった有名な俳優のセリフをひとこと、ふたこと、引用しています。
俳優の名前を当ててください。

コメント

夜の雨
ai226006.d.west.v6connect.net

「憎しみの河」読みました。

御作の主人公である「奈津子」と「綾香(あやか)」ですが、奈津子が抱えている問題はしっかりと描かれていると思いました。
かなりのエピソードを費やしているので。
慎吾と拓哉のエピソードから描かれていましたので、説得力がありました。

しかし、毒入りカレーライスの事件を起こす「綾香」の場合は「展覧会に出すはずだった絵を、傷つけられた」という問題だけでは説明がつかず。
綾香が描いた母親(奈津子)の顔を級友がその底にある闇の部分を見抜いていたというのは、やりすぎだと思います。
赤の他人なので。その級友が綾香の絵から、母親の闇までわかるはずがない。

このあたりは、御作に説得力を持たす意味にでも、その級友が綾香に対して、絵の中の母親に底知れぬ闇があるとか、そういった表現をした。
というようなエピソードを御作に挿入しておけば、説得力が出てきます。
現状の御作だと、綾香が母親の闇に気が付いていたとして、それを級友にまで気づかれるのは、いかがなものかと思いました。
なので、この場合は、級友が絵に陰があることに気づき、そのことを綾香に問いただした。

このあたりまで、書く必要があるのでは。

それで、肝心の綾香ですが、どうして母親である奈津子の闇の部分まで知りえていたのかというと、母の日記を見ていたとか。または、親族に事件のあらましを聞いていて事の顛末を知っていたとか。

>以前の投稿で、主人公の1人である綾香(あやか)のキャラが薄いとご指摘を受けましたので、少し濃いめにしました。<
「綾香(あやか)のキャラが薄い」  ← まだ、薄いですけれど。

その「薄い原因」は、ということで、御作で、一番肝心なところを上に書かしていただきました。

あとの部分は、キャラクターも構成もよかったのではないかと。
ただ、これだけの内容なので、しっかりと中身を伝えるには、まっと枚数を書く必要がるのでは。

それでは頑張ってください。


お疲れさまでした。

飼い猫ちゃりりん
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夜の雨様

そう言われてみると、やはり綾香のエピソードが足らないような気がしてきました。

大人を描くのは、自分が大人なので比較的簡単ですが、思春期の、それも女子を描くのすごく難しいですね。

この短編の構想は、憎しみが大河となって次世代へ受け継がれていく様子を描くことです。

と言う事は、綾香の心が、憎しみに汚染されていく過程を描かなければならないと言うことです。
それも同級生を皆殺しにするくらいの。

こういう時は、実例をあたってみるのがいいかもしれませんね。
何か良い実例があれば教えてください。

ありがとうございました。

夜の雨
ai195131.d.west.v6connect.net

綾香の作り方。

綾香(あやか)は中学三年の娘ということですが。
この少女が毒を盛り、クラスの級友たちを殺すということでしょう。
その背景には憎しみがある。
しかし、ふつうは憎しみがあっても、他人を級友を殺したりしません。
だから、それ(躊躇なく殺人)をするようなキャラクターにすればよいだけです。

まず、生まれたときから人を平気で殺すような人物はおりません。
育て方(環境)が関係します。
という事になれば、綾香を育てているのは母親である奈津子です。
二番目に関係があるのは、父親です。
御作を読むと奈津子は問題を抱えていますが、父親は問題を抱えていません、ふつうの人物です。
なので、綾香は父親からは、ふつうの愛情を得ることができます。
母親の奈津子は問題を抱えているので、ふつうに育てているつもりでも、関係者が目の前で殺されたりしているので、精神的な疾患がある。
そのあたりを綾香は微妙に感じ取っていて、母の弱さである問題を綾香は乗り越えようとしていて、精神面が強くなっている。
幼いころから、平気で虫や小動物を殺すことができる少女になっていった。
これは、大好きな母親である奈津子を守るためでもある。
なので、虫や小動物を平気で殺すエピソードなどを伏線として仕込んでおくとよい。
虫などは害虫もいるので、掌で平気で殺したりしていて。
料理をするときなどに父親が生きた魚とか、鶏とかを殺して食べる段取りをするところを見ているエピソードを伏線で仕込んで、もちろん「パパ、あたしもやってみる」という具合に、キャラクターを作っていく。
これは、小動物を平気で殺すことができるキャラ作りです。
そこに闇の部分の性格を仕込む。
母親の奈津子には、「闇の部分の性格」がある。しかし、奈津子は小動物を殺すようなことができない性格なので、「闇の部分の性格」があっても、それが、外側(外見)に出てこない。
綾香は、何か不条理な出来事が起きると、自分の闇の部分の性格が出てくる。それは、母親が知らず知らずのうちに、娘の綾香に話していて、怒りが裡に蓄積されていったからだという伏線。

というぐあいに、伏線を張っていけば、中学三年生の林間学校で、不条理なことを体験したときに、綾香の気持ちが爆発しても不思議ではないと思いますが。もちろん、学校でいやなことをされた、という経験(伏線)が必要です。
世の中には自己中のバカが大量におりますので、いくらでも精神状態が爆発する材料はあります。

「拓哉や慎吾」(脇役キャラ)では、やばいキャラがうまく書けていますが。

綾香の場合は、主要キャラなので、奈津子並みに、丁重にエピソードで人物を作る必要があります。


以上です。

飼い猫ちゃりりん
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夜の雨様
いろいろアドバイスをくださり、大変感謝しております。

とにかく綾香のエピソードを考えてみます。

犯罪とは、個人が犯し、個人で責任を負わなければならないものです。
でも犯罪の本質は、社会の問題であり、もっと言うなら、「人間」の問題、つまり理性的存在の問題であると思います。

金木犀
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お疲れ様です。

疑問なんですが、母の憎しみが娘に受け継がれたのはなぜですか。

しかも、母は憎しみを捨て去ったのに、です。

憎しみが遺伝のように受け継がれるようには思えないので、なぜ、娘が殺人事件を起こすのか、なぜそれに母の過去と結びつけるのか、その因果関係が捻れているため違和感があるのです。


そこと結びつける、大事なものがごっそりこの作品には抜けているように見えますが、なぜでしょうか?

飼い猫ちゃりりん
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金木犀様
はい。
憎しみが受け継がれる理由がごっそりと書かれていません。
実は意識して書いていません。アリバイや因果関係を書く必要はないし、書かない方が現実的だと思ったからです。
飼い猫は、憎しみは河のように時代を越えて次世代へ受け継がれるものだと考えています。
だから描かなければいけのは、その巨大な流れだったのですが、描き切れなかった。
憎しみは慎吾から奈津子へ、奈津子から綾香へ受け継がれます。
物語としては、奈津子に綾香を虐待させれば話は早いのですが、憎しみは優しい母の心を通してでも次世代へ流れるその絶望を描いてみたかったのです。

ありがとうございました。

金木犀
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返信ありがとうございます。

また、面白いこと考えてますね。
さすがは飼い猫さんです。

俳優については、わからなかったです。

ただ実例については、2ケースほど、思い浮かびました。とはいっても殺人をおかすケースではありません。しかし、殺人をおかすかおかさないかは、結局曖昧なもので、おかしてもおかしくはないな、と思うような事例というのはたくさんあります。


ひとつは加害者側の事例。
兄が殺人をおかしてもしまい、弟たち家族が被害を受けるパターン。世間から非難を浴び、疲弊する家族。父や母を必死に支えながら、やっと見つけた結婚相手。しかし、兄が殺人犯だと結婚相手の家族にばれてご破算してしまい、弟は兄のおかした罪を永遠に背負わなければならないと絶望してしまう。
そういう人もいますね。

もうひとつは被害者の家族。未成年者に大事な家族を殺され、稼ぎ頭である父親は精神を病み、貧乏になる。自身も病と闘っていたが、当の犯人は社会に戻り弁護士として世間に貢献するようになったことを知り、社会の理不尽に更に絶望するパターン。


殺人は破壊的な影響を周囲に与えます。しかし、それは遺伝ではなく、社会の理不尽に押し潰されるからじゃないかと僕はおもいます。

飼い猫ちゃりりん
123-1-122-221.area1b.commufa.jp

金木犀様
実例の提供に感謝します。

人間の犯す殺人は、他の動物が犯す殺しとは規模も、その性質も違うような気がするのです。

例えば、猫は縄張り争いで喧嘩して結果的に相手が怪我をして死ぬこともあります。
しかし猫の目的は縄張りであり、相手を殺すことではありません。
戦争はその縄張り争いに近いかもしれません。

しかし人間は時に殺すことそのものを目的にしているように見える。
そう、殺したいから殺すのです。

それは人間が理性的存在であること、つまり「理性」という精神病に病んだ不健康な動物であることと関係があると飼い猫は考えています。

人間は人間を奴隷化して社会を築いています。個々人が君主として君臨すれば無法地帯となり社会は形成できません。

人間は自分の肉体の一部を放棄して社会を形成する宿命にあるわけです。
だから肉体にはどうしようもない憎しみが蓄積される。そしてその憎しみの深さ深刻さは個々の理性の深さに関連する。
つまり拓也のような浅はかな人間より、慎吾のような理性的な人間の方が憎しみは深刻なものとなる。

あ、今度は飼い猫犯罪論を展開してしまった。苦笑

俳優は松田優作さんです。
ブラックレインという映画の最初の方で、松田さんが演じる佐藤という半グレヤクザのリーダーが、レストランで、敵対するヤクザの幹部と部下をナイフで刺し殺すシーンがあるのです。
(ど迫力だからYouTubeでどうぞ。)
そのときのセリフが、
「大人しくしてろ。長生きはするもんだぜ」
つまり、慎吾と拓也がコンビニの店員をナイフで脅したシーン。
「じっとしてろ」
「長生きはするもんだぜ」

またよろしくお願いします。

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