勇気の侍 第一章 小学校三年生 イケメン地獄編
2000年4月。一人の侍が前学校から桶狭間小学校へ引っ越してきたでござる。その侍の名前はふぁたけ。のちに伝説と言われることになる侍でござった。しかし、この頃の拙者は小学校三年生で8歳のワンパク小僧でござる。
拙者は教室のドアの前でいまか、いまかと担任の先生の合図をまっていたでござる。買ってもらったばかりの眼鏡を手入れして、先生の合図を皮切りに出陣とばかりにドアを勢いよく開いたのでござる。拙者は元気いっぱいの声で「拙者の名前はふぁたけでござる!!よろしく!!」と大声をだした。
とてもいいスタートダッシュでござった。・・・・そう最初だけ。
拙者が朝、いつものように教室に入ると、このような声が聞こえてきた。
「イケメンよ!!イケメンのふぁたけよ!!」
クラスの女子の黄色い声援が口々に聞こえてきた。拙者は無表情で自分の席に座ったでござる。はっきり言ってこれが拙者の今の日常でござった。拙者はイケメンと言われることが切腹レベルにイヤでござった。
だから、拙者は毎日のように職員用洋式トイレの個室でチキショーと小さな叫び声をあげげていた。職員トイレは快適でござる。生徒用トイレと違って綺麗で人があまり入ってこないでござる。
拙者は家に帰ると己の部屋でぐったりするのが日課でござった。今日もいつものようにぐったりしていると姉のみーふぁが拙者を起こしてきたでござる。
みーふぁは怯えながら「知らない人がインターフォン鳴らしてるわ。みてきて!!」と拙者を偵察に行けと言ってきたのでござる。拙者は「イヤに決まっているでござろう」とまた寝ころんだ。するとふぁーみは泣き出してしまったでござる。しかも、涙が大粒。拙者は「スマナイでござる」と謝罪し玄関までダッシュした。
玄関のドアを開けると巨漢の小学六年生がいた。拙者はびっくりして思わずのけぞり「オヌシは何者でござるか!?」と聞いたのでござる。
「この俺を知らない!?カラスのかーちゃんだって俺の名前を知ってるぜ!!」
拙者はパニックをおこし、聞きかえしてたでござる「カラスのかーちゃんって誰でござるか!?」
「この俺が知るわけねぇだろ。ははは。バカだな!!お前!!」
拙者は悟った。・・・・こやつバカだと。
ふと拙者はうしろに目やった。この者の手下が三人いる。しかも、そのうちの一人は滅茶苦茶イケメン。拙者の姉、みーふぁがふぁたけの後ろからやってきた。みーふぁは驚いた顔をして「金次郎君!?なんで、なんでここにいるの??」と言ったでござる。姉の動揺を見て拙者は悟った。・・・・姉が恋に落ちたことを!
金次郎は神妙な面持ちでみーふぁの顔を見てボソッと一言。「あんた!?誰???」小学校五年生にして玉砕した姉みーふぁでござった。
勝家は「ははは。今日!!お前らの家に押し入ったのは理由がある」と突然天高く顔を突き上げた。そして「あんたら今日から俺のダチだ!!」と一こと言った。
姉のみーふぁは引いた顔をしていたが、拙者は違った。友達がほしかったからだ。
その日。拙者は姉とともに勝家と遊んだ。切腹レベルに楽しかったでござる。
遊び終わったあと勝家は「ははは。今日も楽しかったな!!」と大爆笑。笑い声が終わったあと拙者と姉の顔をみて「ところでアンタらの名前なんて言うんだ!?」と聞いたのでござった。
拙者は「ふぁたけでござる」と職員トイレでは叫ばないぐらいの大声で言った。
すると、うしろから勝家のチビ版と言うべき者が「え!?」と大声を張り上げた。声は勝家と似ても似つかぬ甘ったれた声でござった。「僕と同じ名前じゃない!!」とそのチビ助が叫ぶ。拙者はキョトンとした。
勝家は「ハハハ」笑い転げた。なおも笑いつづけ「なんてこったい!!アンタ、俺の弟と同じ名前なのかい??・・・・アンタの名前はふぁたにだ!!」と言われた。
拙者は「はああああ」と破壊的な大声をだして「なんで拙者がふぁた弐でござるか!?」と文句を言う。
すると、勝家は「不満か!?じゃあ、俺の弟はふぁたワンと呼ぶとしよう!!」とニッコリして言ったでござる。
ふぁたワンはそれを聞いて「そりゃないよぉ」と号泣した。
ちなみに、姉は沖縄サミットネヴァーエンド号とういうヤバいあだ名をつけられ、家で拙者は姉から勝家の悪口を散々聞かされるはめになったでござる。
勝家のグループに入って一番嬉しかったことは拙者のことを「イケメン」だなんて言う人がいなかったでござる。拙者は自分の心をみて接してくれる人が多いように感じて嬉しかったでござる。
今日も拙者は「ふぁたけさんが家にお帰りになる。カッケぇ」といじられながら家に帰っていった。拙者は早く家に帰りたかった。早く勝家たちと遊びに行きたかった。
帰り道、隣のクラスのクソガキ中のクソガキ、小太郎がこっちを見て笑っていた。
無視して横切ろうとすると、足をひっかかれたでござる。
拙者は怒って「なにするでござるか!!チビ!!」と言ってやったでござる。
小太郎は不気味に高笑いをかましたあと「イケメンにチビって言われちゃった!!」と自身のうしろにいた五人の子分に駆け寄った。
小太郎の子分の一人はせせら笑って「あいつ調子にのってるんですよ。なんたってイケメンだしね!!」と言った。
小太郎はその部下の肩を叩いて「よくぞ言った。それでこそ俺の子分!!こんなお調子者はお仕置きだーい!!」と小太郎は拙者に石を投げた。小太郎の子分もそれに続いた。
勝家はイラついていた。「ふぁたにの奴がおそい・・・なにしんてんだい。アイツは」
すると、勝家の前にいくつもの擦り傷をおった者が現れた。
「ふぁたけ・・・アンタ!?どうしたんだい!!」
拙者は号泣し答えた。「・・・こけただけでござる」
勝家は激高した様子で「誰がふぁたにをこんな目にあわせた」と拙者に詰め寄り、うしろ者たちも心配そうにこっちをみていた
それでも、拙者は「こけただけ」と言葉を繰り返した。拙者はホントは言いたかった憎い小太郎にやられたと、そして拙者は嬉しかった。こんなに拙者の心配してくれる者たちがいることを・・・・
次の日。拙者は小太郎に仕返ししようと決意を新たに隣のクラスに侵入したでござる。拙者は小太郎の席をみつけると座りこんだでござる。
そうこうしてるあいだに小太郎が教室に入ってきた。「ん!?なんだイケメン君が俺の席に座ってんのはなんで!?」
拙者は言ってやった「・・・ここは拙者の席でござる」
小太郎は「はぁぁあああ。なに言ってんだ!?お前。頭狂っちまったか!!どけよ!」と冷静そうな顔がだんだんと顔を真っ赤になっていく。まあ!?拙者はガチ無視してやったけど。小太郎は手で強引に拙者をどかそうとしたでござる。しかし、拙者はびくともしないでござる。小太郎は「どけ!!どけ!!どけぇぇえええ!!」と大声を張り上げる。でも拙者はどかなかった。10分後チャイムがなった。疲れかれ果てる小太郎を上から見下ろし、拙者は自分のクラスにもどった。
下校するとき、また小太郎の一派とすれ違った。「おい、おら!!」と子分が拙者に手をだそうとすると、小太郎がそれを「アイツ、頭おかしい!!・・・だからよしとこ」と言ってそれを止めた。拙者は思わずガッツポーズしてでござる。
梅雨に入り拙者は雨をみながらボーっとしていたでござる。でふと己のあだ名について「・・・ふぁたにってダサいでござるよな」とおもったのでござる。
次の日。勝家と遊んでいるとき、拙者は思い切って皆の前で「ふぁた弐卒業していいですか?ふぁたけと呼んでもらっていいですか?」と切り出そうとしてたでござる。
その瞬間にふぁたワンが「うぇえええん」と泣き出したでござる。「僕はふぁたけって立派な名前があるのに、なんでふぁたワンなんて呼ばれてるの!!勝家兄ちゃんのバカ!!」とだだをこねた。
勝家は「はっはは。そんなにふぁたワンがいやなのかい!?じゃあ、ふぁたけに戻してやるよ!!」と自らの弟の名前を「ふぁたワン」から「ふぁたけ」に名前を戻した。
拙者はあわてて「拙者も!!」と叫ぶが、それを勝家は一蹴した。
「ダメだ!!」
そりゃそうでござる。ふぁたけが二人ではややこしくなるだけ。
それでも、拙者は納得いかず近くにいた姉のみーふぁに「なんで!!拙者はふぁたけのままステイでござるか⁉」と愚痴るとみーふぁは血相をかえてきた。
「あなたはまだいいわ。私なんか!!沖縄サミットネヴァーエンド号よ!!」
拙者は何も言い返せなかった。
「ありがとう!!ゴンザレス!!」と言って勝家は物置からサッカーボールを取り出した。勝家は自分の物置をゴンザレスと名付けて呼んでいたでござる。そして、勝家は拙者をぴしっと指をさし「ふぁた弐!!なに笑ってんだい!!」とお決まりの冗談を飛ばした。
拙者は「勝家は相変わらずバカでござるな」と微笑んだ。
すると、勝家はニヤリと笑い「お前!!・・・ふぁた弐なれしたな」と言ってきたでござる。
拙者はプンプンに怒り「拙者がふぁた弐慣れする訳がないでござろう!!」と言い返したが、言い返した途端に自信がなくなった。拙者は深刻な「ふぁた弐」慣れが進んでいるというのか!?現実が受け入れなくなった拙者は勝家に空手チョップを繰り出したでござる。それが勝家の頭にクリティカルヒットした。それをきっかけに勝家は激昂した。
「おい!!ふぁた弐。アンタ、俺になしたかわかってのか!?」
その光景を見て、遊び仲間の一人金次郎がくすっと笑った「バカは事実だろ」と言った。すると、勝家はニコっと笑って機嫌がよくなったのでござった。なぜか金次郎の言うことなら勝家も素直に聞くのでござる。
かくれんぼで遊んでるふぁた弐はあとで金次郎とともに草むらに隠れていた。拙者はそのときに金次郎に「さっきはありがとうでござる」と御礼をいったでござる。
すると、金次郎は笑って「ふぁた弐に御礼いわれるなんて気持ちわるいな」と言ったが、不思議と怒る気にはならなかった。これが金次郎の愛情表現とわかっていたからだ。拙者はイケメンで運動神経もよくて、勉強もできる金次郎が大好きでござった。
金次郎が家に帰ると金次郎の母親が祈祷をはじめていた。その母親が激昂してこう言った。「・・・・なに。その傷はダメじゃない!!」と金次郎を平手うちで殴った。金次郎の母親は続けて「あなたの体は神様からもらった大事な体!!傷など毛皮(汚らわしい)らしい!!」と奇天烈な大声をだした。
夏。学校のプール。クラスの男子が拙者のメガネを外した姿を見て「イケメンだ!!しかも、国宝級」と騒ぎだした。このとき拙者は誓ったのでござる。「二度とオヌシらの前ではメガネを外さないでござる」と。
かくして、拙者は6年間。人前でメガネをはずさなくなった。
拙者がいつものようにメガネをかけて学校に帰ると金次郎がこっちを見ていた。拙者が手を振ると金次郎が無視をして、遠くにいこうとしたでござる。拙者はあわてて金次郎を追いかけた。拙者は金次郎に追いつくと「バカ。おまえ。誰だ?」と冷たくあしらわれた。
拙者はビックリして金次郎に「なに言ってるでござる!!拙者とオヌシは友達でござる!!」とつかかった。
すると、金次郎が「わかんねぇな!!・・・・俺とふぁた弐は友達じゃない」と寂し気に言葉をはっした。
その瞬間。パチパチと拍手の音が聞こえた。「ブラボー。大人になったわね金次郎!!」と金次郎の母親が現れ、金次郎に駆け寄った。
拙者はふと金次郎の顔をみたら、あの端正な顔立ちが涙でグチャグチャになっていたでござる。そして、母親の先導で車の中に吸い込まれていった。
そこへ勝家もどこからともなく現れた。
拙者は「勝家!!引き止めなきゃ。金次郎が!!いなくなってしまうでござる!!」と必死に勝家のもとへ駆け寄った。
勝家もそれまで拙者がみたことのない涙を浮かべていた。そして、拙者に「俺たちは所詮子供なんだよ。親のいいなりに生きるしかないのさ。・・・・俺たちには金も力もないのさ」と優し笑った。
勝家は大きな声で金次郎が乗ってる車に「大きくなったら自由になれよ!!」と叫んだ。この言葉が金次郎に聞こえたかどうかは誰にもわからない。
冬になると拙者の小学校内のイケメンいじりも段々へってきた。おそらく、飽きが原因でござる。でも、拙者はなぜか怖かった。相手にされない恐怖。でも、拙者は言い聞かせた。(でも)拙者には家族、そして勝家たちがいる。
そんなとき、祖父から連絡があった。拙者は慌てて電話をでた。
「おう。ふぁたけ!!元気か?友達いないんだって??」
「うるさい」
「・・・・ワシの地元に引っ越さないか」
「うるさいでござるよ!!」と拙者は大声をだして電話をきった。祖父はやさしさから、それを言ったことがわかっていた。電話を切ってから拙者は後悔でござる。さらに、その数か月後。祖父は階段を降りる途中心臓発作をおこしてなくなった。
拙者は母上と姉とテレビを見ていたでござる。ちなみにこのとき父親は単身赴任で家には中々戻れてなかった。拙者は突然涙が止まらなくなった。すると母上がそれに気づいて「ふぁたけ!?どうしたのじゃの?」と尋ねたでござる。
拙者は祖父との電話でのやりとりを話した。母上は笑って「ふぁたけって優しいの!!惚れなおしたの!!オヌシはきっと大器晩成じゃの!!」と意味のわからぬ話をしだしたでござる。「その優しさがあれば、きっとオヌシは将来成功するの!!」
なぜか、わからないでござるが、母は拙者の幼少期、断るごとに、この「大器晩成」という言葉をだして拙者をなぐさめていたでござる。拙者は今も、この言葉を胸に刻んでいるでござる。
ある日、拙者は勝家になぜか呼び出された。拙者は「なんでござるか?」と聞くと、勝家は神妙なおももちになりこう言った。
「俺は親父の転勤で、ここを去ることになった!!」
拙者は驚いて何も声にだせなかったでござる。そして、勝家は続けた。
「お前は俺を頼りすぎだ。俺を心配させないように、ちゃんと学校でも友達をつくれ!!わかったか!!ふぁた弐。」
そのあとのことはよく覚えていない。拙者は気がついたら家にいた。そして、目の前の母上がぐったりと寝ている。この状況を姉のみーふぁに尋ねると「母上は今朝、ふぁたけの小学校の担任の先生に友達を作るように応援してくれって頼んだらしいのよ。でも、あなたの担任の先生は『あのこ、たぶん友達いらない子なんですよ』って言ったらしいわ。そんで口論になって今疲れて寝てるわ。」
拙者は愕然とした。拙者は勝家のみならず母上にも心配をかけていたのだと。
次の日。拙者はパソコンの授業を拙者はうけていた。いつものようにマジメにパワーポイントを作ってマジメに発表しようといたでござる。ふと拙者は思った。拙者はマジメか?拙者はこんなにマジメな奴なのか?拙者はこんなにマジメじゃない!!
この授業ではクラスメイトが思い思いのパワーポイントを作って発表していっていたでござる。拙者はドキドキしていた。拙者の番まであとちょっと。
・・・・そして、拙者の番。
拙者のパワーポイント内に二人のおっさんが出現しアニメーションが流れた。
おっさん二人の「ガリガリで弱そうだね」「デブでハゲよりましだろ!!」という掛け声を拙者がアフレコを入れて話が進んでいった。
そして、話は進んでいき。
「必殺秒殺拳」
「必殺瞬殺拳」
「うわあああああああ」
「うぎゃあああああ」結末はまさかのダブルノックアウトでござった。クラスは大爆笑。
「これってひょっとして『ふぁたけワールド』!?」とクラスの男子が口をそろえて言った。拙者は生まれてはじめて『イケメン』いがいのいじり文句を言われたので嬉しかった記憶があるでござる。
それから、友達ができそうな兆しもでてきたでござる。
そして、三月。勝家の引っ越しまぎわ。
勝家は拙者をみて「ほー!!頼もしい顔つきになったもんだね」とひと際うれしそうに言った
ふぁたけはニヤリ笑って「拙者も、やっと友達ができたでござるしな」と言った。
勝家は「そいつはめでたい」と爆笑して、そのあと「俺が引っ越したら、部落のガキ大将はお前が引き受けろ!!」と切れ味抜群の鋭利な声で拙者に言い放った。
拙者はあいた口がふさがらなかった。
執筆の狙い
はじめまして、ふぁたけです
僕はTwitterをやっています
フォロワーも増えてきたので
何か商品を売りたいなと思い
自分の自伝を作ることを思いつきました
しかし、客観的にみてくれる人が周囲にいないので
どこがおもしろいのか
どこがいまいちなのかわかりません
そこを教えていただけたら
嬉しいです!!
ちなみに
ござる口調なのはTwitter内で僕が語尾にござるをつけて
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