作家でごはん!鍛練場
御船 烏合

『切腹』

「もぅマヂ無理…リスカ、しよ」
 私はカッターナイフで腕に切り傷をつける。母から貰った黒く艶やかな髪は、とっくに金色になり、父から貰った厚い耳たぶは、風穴となり、朝から晩まで幸せを含んだ風を素通りさせている。私はいつだってその風を取り逃している。
 世間では私は「メンヘラ」と呼ばれている。元はインターネットスラングであって、精神的治療を必要とする人の事を指す。私はそれに当てはまる。思うように行かない人生を送ってきた。何も考えないままに歳をとってきた。今日も自らに罰を与えようと思う。リスカをする。
 リスカをした事があるだろうか。リスカとは、自分の身体に刃物を突き立てて切り傷をつける事だ。ある人はそれを自傷だといい、ある人は存在証明だと言う。だが、私は自らを罰して罪を消滅する為リスカをしている。傷の数だけ罪がある。腕にナイフを刺す。赤い玉が膨らみ出す。いつもなら、そこで私は気を失うのだが、何かの声が聞こえる。
「やめなされ」男の声。
 この家にはセフレしか呼んだことがない。随分と古風な話し方だ。そんな話し方のセフレは欲しくない。
「誰。リスカしてんだけど。」
「やめなされ。やめなされ。自らの腕を切りつけ、何が楽しい?いかなる故に腕を切る?」
「おじさん?だれ?」
「拙者、垣右衛門麻呂と申す。」
「かきえもんのまろ?変な名前。江戸かよ」
「それは江戸時代か?当時はそのような呼び方はしてなかったのだが。わしは慶応の時代より参った。」
「なんでウチの家に来るんだよ。それもリスカしてる時に。」
「ワシは切腹をした。時は経って、馬鹿なおなご達は自分の腕を切り出した。ワシは許せんのじゃよ。」

 あぁそう。私は気のない返事を残して街に出た。夜だった。高くそびえ立ったビルたちは私なんか気にせず輝いている。夜の東京の街が好きだ。私は黒い服を着てるのだから闇に紛れることが出来て誰も私の存在に気づかない。もっとも、ちっぽけな私に気づいてくれる人なんて居ないだろうが。街を歩く。居酒屋の呼び込みが声を掛けてくる。無視をする。繰り返す。良い男を見つける。声を掛ける。今度は私が無視される。死にたくなる。公園の隅っこに座り、スマホを触る。インスタを開くと中学の頃の友達は居ない。居るのは高校の友達のみ。高校二年で先輩との間に子供を作り、退学をしたのだが、インスタで繋がっている人は沢山いる。その人達はみんな似たような投稿をしている。男ならバイク。休日にバーベキューをしたという事を投稿している。彼らは毎週バーベキューをしてるのだろうか。女は酒だ。変な色をした髪の毛を振り乱しながら子供を殴っている。週末、彼女達はマリファナを吸う。クラスで何番目かに可愛かった私の憧れのあの子は今、片目を売ってまで薬物を打っている。彼女の鈴を転がしたような笑い声を思い出す。あれは十七歳の幻想だったのだろうか、今では銅鑼を叩いた時のような声を出して笑っている。私は大人になり、典型的な幸福感を持ってしまった。二階建ての家に住み、しっかりとした子を持ち、しっかりとした収入を得る。典型的だ。しかし、それに相反するようにメンヘラでもある。典型的な物差しを持ったメンヘラが世にいるものだろうか。そうしてる内に男に話しかけられ、寝る。つまらないのに、激しく声を立てた。激しく爪を立てられた。そろそろ仕事の時間だといい、朝方に直で工場のバイトをした。流れてくる弁当に飾りをつける。誰がこんな飾りを求めてるだろうか。飾りをつける。飾りをつける。飾りをつける。飾りをつける。飾りをつける。もういい。飾りをつける。家へ帰る。
 
 家へ帰ると武士は居なくなっていた。

『切腹』

執筆の狙い

作者 御船 烏合
58-70-117-148f1.kyt1.eonet.ne.jp

メンヘラは切腹に賛成をするという話を聞いてから興奮冷めやらず、自分の周りの世界だけのメンヘラを書いた。
人生への諦観を表現できていたら嬉しい

コメント

四月は君の嘘。
n219100086103.nct9.ne.jp

基本姿勢からしてダメダメで・・ここのサイトの中高年男作家「あるある」。
ベタクタすぎて、お話にならんのです。


ここのサイトの中高年男作家は、とかくこうやって
《愚かなだけで中身スカな悲惨でうすっぺらい話を、安直女主人公にして、ごまかす》んだ。

ガチで向き合うことが出来ない(作者が精神的にキツイから、極力見ないで済まそうとしてる)から、
みんなそうなる。

で、結果、上がってくるものは「こんなん」。

ただペラくて、つまらない。



堂々と《男主人公で設定して、自分の思いをそこに込める》ってことを避けて、

自身のなけなしのプライドばっか死守してるようなもんに、
誰も共感なんかできねぇし、興味もないから。(読まないんですよ。つまらねぇから)


「本当にリスカがやめられないでいる女子たち」に失礼だ。

四月は君の嘘。
n219100086103.nct9.ne.jp

(生協が来て、受け取りに行ってた〜)



画面傍観でも、文章がべたくた……手垢と余計ごとでまみれまくってるのが分かる状態なので、、、

こういう内容書いても《ふざけた印象》にしかならない・・と思う。


メンヘラ書く時ほど「シビアに、乾いて枯れた……夾雑物のない、純度の高い文章で、淡々と」書いた方が、
印象は良くなる・・でしょう。


太田出版『完全・・マニュアル』は それが出来ていたから、人々の共感を呼んで(感情移入しやすくて)バカ売れした・・んだと思うし。


ここのサイトで、テキトーメンヘラと、極浅のリスカネタを書いてくる人は「太田出版のそれ」読んでない。
しかし、世の中の「真剣に悩んだ人たち」は、藁にもすがる思いで読んでる率が高いから・・


これしきの内容だと、一瞥も苦しい。

四月は君の嘘。
n219100086103.nct9.ne.jp

リスカ・・

太田出版読んでれば「分かること」なんだけど、

「男のリスカ」と「女のリスカ」は、心境もやり方も大きく違ってて、

「切腹にあこがれる」とかゆーのは、【手首切る男の心理】じゃねぇかと思う。


これは、そこ(出発点、土台)からして、根本的に間違ってる感。



読んでないんですけど、それは妙にはっきり分かった状態。

御船烏合
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リスカ論は実際に存在する女性達にインタビューをして得た物です。彼女達は切腹を肯定していてるのですから男ならずとも賛成する人はいます。

御船烏合
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なるほど、薄い内容という訳ですね。確かに伝えたい事が明確に現れてなかったですもんね。ご指摘の通り男主人公にして思いを込める方向で行きましょうか?

御船烏合
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四月は君の嘘。さん
感想ありがとうございます!

御船烏合
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えっと、待ってください笑読んですらないのにレビューしてんすか??笑

京王J
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読みました。

月婆の言ってる『完全自殺マニュアル』は90年代の本です。議論がとても古いから、参考にする必要はないと思います。
それに、今は月婆が言うほどメンヘラって重たいテーマでもないと思います。

もし本当に当事者にインタビューしたのなら、素晴らしいことです。
ただ、当事者の声を表現する技術が追いついてないと思います。

素晴らしい可能性を感じるので、自作に期待しております。

偏差値45
KD111239161214.au-net.ne.jp

>メンヘラは切腹に賛成をするという話を聞いてから興奮冷めやらず、自分の周りの世界だけのメンヘラを書いた。人生への諦観を表現できていたら嬉しい

自分の周辺には、その種の人は皆無なので実感はできないですね。
あえて言えば、「そういう人たちもいるらしい」
そんな感じですね。

お話の筋としては分かりますし、そのようなストーリーは一度、
個人的に書いてみたいなぁ、と思考中のところでした。
そういう意味では勉強になりますね。

>流れてくる弁当に飾りをつける。誰がこんな飾りを求めてるだろうか。飾りをつける。飾りをつける。飾りをつける。飾りをつける。飾りをつける。もういい。飾りをつける。家へ帰る。

うーん、なかなか現実的ですね。だから、最後に妄想の武士が居なくなっているのかな。
本来ならば人間は夢や希望を持っていなければならないのですが、
そういう方向性を失っている若者も多いのでしょうね。

御船烏合
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京王J さん
ありがとうございます!表現する技術ですね…確かにそこは課題ですね。
「素晴らしい可能性」なんて嬉しい事を言ってくれるのでしょうか…!ありがとうございます!

御船烏合
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偏差値45 さん
ありがとうございます!考察までして頂いて…!メンヘラって現代のブラックボックスですからね…本当に興味深い方ばかりですよ!

yume
203.78.230.246

『切腹』って言うワードがあんまり関係ない気がします。
かさえもんのまろさんがいなくても物語は成り立つと思いますし、
現状は変わっていないと思うのは私だけですか?
それだったら物語じゃなくて、現状を紹介しただけですよ。

御船烏合
58-70-117-148f1.kyt1.eonet.ne.jp

yumeさん、読んでくれてありがとうございます。
僕は、物語とは必ずしも変化を与えてくれるとは思いません。(短編の場合は特に。)だから、登場人物は死ななくてもいいし、恋もしなくていいと思います。僕には僕なりの伝えたい事があって武士を物語に出しました。もちろん、あなたの解釈がその物語の真実となるのですが。

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