作家でごはん!鍛練場
夢野まつろ

楽園のチョコレイト(42枚)

 地獄に落ちてしまってもいいの、と、あの日、彼女は云った。
 翔の、好きなひとができたんだ、と云うことばを聞いた、直後の話であった。それは世界で最も悍ましい罪悪だ、と。叱ると云うより、呆れると云うより、恐れるような口調。
 知っていたのだ。彼女は、全部。
 それを、翔は知らなかった。だって、報われたかった。彼女なら、受け容れてくれると思った。だって、だって。
 目の奥からじわりと熱いものがこみあげてくる。姉さん。優しい姉さん。きれいな姉さん。神さまみたいな、姉さん。
 彼女は翔の生きる導だ。彼女が強い光を以て、翔の前に立ち続けていてくれたから、迷わずにいられた。だから、心臓の内側を大きく占めてしまったこの感情も、認めてくれると思った。だけれども。
「……ねえ、姉さん、姉さん、」
 目の奥からじわりと熱いものがこみあげてくる。姉さん。優しい姉さん。きれいな姉さん。神さまみたいな、姉さん。
 ずっと翔の光でいてくれた。彼女がいたから、翔は迷わずにすんだのだ。彼女のような才能はないけれど、翔はひたむきに走ることができる。そうして追いかけ続けていれば、いつかきっと、この感情も認めてくれると、受け容れてくれると、信じていた。
 涙は溢れてこなかったけれども、まるで、心臓に穴があいてしまったよう。これを塞ぐ手段は、きっとどこにも、存在しない。それが正しいかたちだから。それが、神さまの創りたもうたいとし子のかたちだから。
 姉さん、大好きな姉さん。姉さんはいつも間違えない。
 翔のくちびるが、わなわなと震える。喉が引き攣ったように震えて、勝手にことばを紡ぎ出した。ねえ、姉さん。
「もしおれたちのうち、どちらかが死んでしまったら、おれたち、どうすればいいのかなあ」
 彼女はちらりとこちらを見た。それから、どうしようね、と云って、再び彫刻刀を取る。翔は手と手を組み合わせた。その様子はさながら、空にみたまう神さまに、只管祈る殉教徒。悟ったのだ。己はこの想いを背負って生きてゆくのだと。
 嗚呼、神さま。おれの神さま。
 お願いします、どうか、どうかおれの想いが、溢れてしまわぬように。おれの精神だけでも清浄でありますように。
 その三日後のことだった。彼女のこころが死んでしまったのは。

「貰いものだけれど、僕は甘いものが得意でなくて」
 漸く授業が終わり、しばしの談笑。親友はそう云いながら、見慣れない小さな箱を、翔の手のひらに載せた。
 黒い土台に金色の装飾が施されており、質のよい真紅なリボンがかけてある。あまりこう云ったものに縁がない翔であっても、これは高級なものであると理解できる程だ。
「だから、あげるよ」
「え……これなあに? こんな高そうなもの、貰えないよ」
「ただのチョコレイト。有名なお店のだから屹度美味しいと思う。もしかしたら……、君の姉さんも、食べてくれるかもしれないし」
 一瞬、親友の顔が曇った。
 それでも、すぐに、いつもの朗らかな笑みになった。そうして気遣ってくれるのは、少しだけ、複雑な心持ち。
 翔の姉__翼は、平々凡々な翔とは違い、一年前まである高名な美術大学に通っていた。
 身内の贔屓目を抜きにしても、一つ年上の姉は紛うことなき天才である。学部内では一番と云う程の成績を示していた。彫刻を専攻していたけれども、それ以外にも一定の才覚を示す。
 そこまでゆけば妬み嫉みを買うのも必然であった。嵌められたのだ。盗作疑惑をかけられて。それまで面白くなかった天才が急に地に堕ちた事件は、彼らにとっては福音であったらしい。事実は二の次、直ぐに噂が燃え上がった。今や、唯だキャンパスが近いだけ、外国語専門で芸術とは全く関係がない__翔が通う大学にまで、話が広がっている始末。
 嘲笑に侮蔑。心身ともに疲れ果てた姉の、癒える兆しのない病。
 もう慣れているつもりだった、しかし彼はいつだって翔を気遣い優しい目をしてくれる。それは翔にとって救いでもあり、ちりりとした心の痛みの原因でもあった。
 気を使わないで欲しい。おれは大丈夫なのに。姉さんのことはおれがなんとかするから放っておいてほしいのに。などと、考えてしまうくらいに心が荒んでいる自覚もある。
「……ありがとう! 確かに姉さん、こう云うもの好きそう。渡してみるね」
 受け取った箱は思っていたよりも重みがあって、軽く振ると中のチョコレイトが動く音がする。そういえば、中学生の頃はバレンタインにこんなものを貰っていた。翔は家に帰ったら、舞い上がって戦利品を掲げ、甘いものがすきな翼と半分こしたものだ。あの時の姉の幸せそうな笑顔なら容易に思い出せるのに、真赤に染まった少女たちの顔はもう浮かんでこない。
 今はヴァレンタインと云う訳ではないけれども、もしかしたら翼は興味を示してくれるかもしれない。久しぶりに、おいしそうに食べ物を口に運ぶ姿が見られるものならば。
 翔はそう思い、親友にもう一度礼を云って、己の鞄に綺麗な箱をそっとしまった。無骨な英語の教材の隙間に、やたらめったら、高価そうなチョコレイト。なんだか随分と不釣り合いだと思った。

「ただいま」
 玄関でそう云っても、返事はない。これはいつものことだ。この家にあるのは、たくさんの石像と、賞状と、贅沢をしなければ食うのに困らない程の金くらいだ。
 なにせ、母は数年前に事故で死んだ。父は仕事中毒で、滅多なことでは帰宅しない。
 そして唯一家にいる人間__であるはずの姉は、おかえり、が云える状態ではない。
 翼はいつでも薄手の襯衣を一枚だけ身に纏い、毛布を被って生活している。__いや、生活していると云えないのかもしれない。それどころか、生きているとすら。
 一日中眠りつづけているか、何かを攻撃するように暴れているか。風呂に入ると用を足す以外、一歩も部屋から出ない。そのせいか、未だ冬とは云えないのに、この部屋はいつも暖房が付け放しだ。そのうえやたらと彫像が置いてあるせいで、翔にはやたらと息苦しく感じる。
 こんな場所に引き籠っていたらよくなるものもよくならない。それはわかっているけれども、かと云って無理矢理外に連れ出す勇気を持ち合わせているわけでもなかった。
「……姉さん」
 薄暗い部屋の中、天蓋の奥に見慣れた布の山がある。
 また蹲ったまま一日を過ごしていたのだろうか。食事は__大方摂っていないだろう。身体に不調が出てきてもおかしくはないはずなのだが、艶やかな髪も肌も、残酷な程に変わりがない。何より腕だ。今は見えぬけれども、幸福であった頃から、彼女はいっとう、腕がうつくしかった。芸術品を創り出す腕は、それそのものが芸術品である。そしてそれは、何一つ変わらぬまま、ただ何かを創ることだけをやめて、億劫そうに彼女の両肩に収まっていた。
 ……何一つ変わらぬまま。翔が憧れた翼のまま。時計が止まってしまうみたいに、前に進むのをやめてしまったのだ。
 まるでオルゴォル、自動人形、動く彫刻。
「チョコレイトを貰ったんだ、ほら、綺麗でしょう」
 返事は無い。ただ、酷く緩慢な動作で、毛布から真白い顔が現れた。一切の情動を映さない表情のせいで、彼女が何を考えているかはわからない。しかし幸いにして、今日は機嫌がよいみたいだ。翔が声を掛けて、無視せず、喚き散らさず、すすり泣くことも無いのは、一体何日ぶりだっただろう。
 腕の中に、小さな石像がいた。彼女が初めて彫刻刀をとった時の作品だ、と記憶している。
 少し不恰好な、灰色の羊。
 たまに翼は、この羊に話しかける真似をすることがある。翔には聞こえない声を、彼女はひょっとして、本当に聞いているのかもしれない。そう思ってしまう程、これは、彼女にとっての心の寄る辺、らしかった。
「おれはお腹すいていないし、姉さん、食べる?」
 翼を刺激しないようにゆっくりと寝台に近付いて、白い敷布の上にそれを置く。彼女の目はこの動きを追い、翔の意図を推し量るように、繊細な装飾の箱を眺める。敷布の隙間から射した夕日に、金色がきらりと照らされた。
「……翔が、そう云うのなら」
 食べるよ。ちょうだい。
 渋々、といった顔つきであっても、翼が肯定の反応をくれた。それが、嬉しかった。
 心優しい翼は、翔とその親友の、二人分の好意を、無下にはできまい。その奥に、翼に何かを食べてほしい、と云う想いがあることを、屹度わかっている。
 そしてそれは同時に、翼の深層心理で「食べたい」という欲求が生まれているということも示しているのだ。もしうまく食べられなくても、全部は食べられなくても。水くらいしか口にしていない翼が、少しでも食べる楽しみを感じてくれるなら、それだけで、構わない。
「ほんとう? 嬉しい!」
「甘いものなんて久しぶりだ。あとで大切に食べる」
「それなら、冷蔵庫入れておくね。お夕飯の後に持ってくるから」
「いい。そこに置いておいて」
 翼はふいっとそっぽを向いてしまった。
 代わりに、羊がきょとんとした顔をして、じっと翔を見つめている。彼女が側にいるのなら、今日は大丈夫。
 どうかどうか、翼の心が波立つことはありませんように。
 願いながら、息苦しい部屋の中をあとにする。ひとりと一匹を置いて。

 翼が鬱ぎ込んでしまってから、たった数ヶ月。されど数ヶ月。元からほとんど翼と二人きりのような生活だが、なんだかそれが途方もなく長い年月のように感じた。
 翼がほんとうに死んでしまわないように世話をして、できるだけ翼の姿を客観的に見て、本当に駄目になってしまったときには誰かを頼れるようにする。ずっと自分に云い聞かせてきたことだ。
 けれど、気を抜くと、すぐに翼のことをここに閉じこめてしまいそうになってしまう。もうこのまま二人でもいいのではないかと、彼女と共に同じ部屋で同じ時間を過ごしていれば、それで十分幸福なんじゃないかと。
 今日だってそう、彼が翔だけでなく翼を気遣ってくれたことにささやかな不安を覚えた。翔たちは二人きりであって二人きりじゃあない。どれだけ悪意の海に放り出されようと、助け船を出してくれる人はいる。そんな当たり前のことを、受け入れ難くなっている。自分勝手な翔は、二人で溺れ死んでもいいと思ってしまっている。
 __翔が迷っているせいで、翼の悪癖は日に日に酷くなっていった。
 大丈夫だよ、そんなことしないで、やめて、だめだよ、お願いだから、離して。拒否していたのは最初の頃だけで、今となっては、翼の好きにさせないとまた暴れてしまうから、などとそれらしい理由を付けて、泣き縋る彼女を引き剥がすことをやめてしまった。そしていつも後悔する。これは罪深いことだ、悪魔に魂を売り渡す行為だ、地獄に落ちてしまってもいいのかと。いつもいつも。いっそ、消えなくなってしまいたいと。それでも繰り返している。
 翔は翼をどうしたいのだろうか。
 昔の翼は、翔を出来ない子だと云うことはあっても、見下すことはなかった。翔のことをよき弟だと笑って、両親に代わりに傍にいてくれた。翼は翔の親愛の、博愛の、敬愛の象徴であった。そして。……そして。
 姉さん、おれはね。翔は心の中で呟く。姉さんに、おれとずっと一緒にいてほしい。あの息苦しい部屋の中にいてほしい。格好良い姉さんでいてほしい。人形のように眠りつづけてほしい。姉でいてほしい。母でいてほしい。だけれども。
 それは罪深いことだと、理解している。法だ何だと云う前に、神さまが許してはくれないだろう。だから蓋をして、ふとした瞬間にでも溢れてきたりしないように、押さえつけておくしかない。
 お願いします、神さま。どうか、どうかおれの想いが、溢れてしまわぬように。おれの精神だけでも清浄でありますように。
 今までずっと、翼の背中を見て走ってきたのだ。彼女の姿だけ見つめて、走り続けて。気がついたらここにいた。でも彼女が立ち止まってしまったら、何を選んでいいのかわからない。翔自身ではどれを選べばよいのか、わからない。それこそチョコレイトのように、どす黒くて甘いこの心を、如何様に形作ればよいのか。
 けれど確かに一つ云えることは、翔は翼のよき弟でいたいと云うこと。ただそれだけは本当のこと。それが学生として努力する弟でも、石像のように黙って寄り添い続ける弟でも。輝かしい賞賛の上でも、息苦しい部屋の中でも。もう構わない。彼女が望む結末ならなんだって構わない。
(……あの、チョコレイト)
 翔はふっと思いつく。あの、チョコレイト。
 あれを翼が口にしてくれたのなら、もう、悩むのはやめよう、と。そろそろ、運命だと信じて受け容れて、踏み出すべきだ。食べると云う行為で進み出した翼の背中を押せるように、また明日から努力しよう。
 もし、翼が食べられなかったら。そのときは。
 ……その時は、どうしよう?

 どたん。
 鈍い音が厨房に響く。翼の部屋からだ。翔は皿を拭いていた布巾を放って、慌てて走り出す。ただ暴れて何かが倒れただけならいいのだが、また怪我でもされたら。……それどころか、もし、あの腕が傷ついたら。
「姉さん、入ってもいい?」
 慌てていても、突然姿を現すことはしない。何度もノックをして、何度も声を掛けてから。それが翼に聞こえているのかどうかは、残念ながら分からない。
「姉さ、」
「嗚呼! こんな、こんな、どうして、私に食べさせるなんて、あ、あり、ありえない! こんなとけたチョコレイト、いらない、食べたくない、ひつよ、う、ない! 翔、きみは、満足に菓子の保管もできないの、この、この、でき、出来損ない!」
 扉を開けた瞬間、翼の鋭い金切り声が翔を刺す。
 歯を食いしばると、息が震えた。手探りで灯りをともすと、真っ暗だった部屋に強い眩しさが灯る。
 こちらを認識してくれたのはありがたいが、部屋の惨状は予想以上のものだった。
 引き倒された椅子から察するに、あの物音はがこれが原因であったようだ。ベッドには中身を暴かれたチョコレイトの箱と、灰色の羊。そして、頭を振り、皺の寄った襯衣を引き千切らんばかりに握り締める翼の姿。部屋も彼女の手のひらも、べたべたと茶色いもので汚れてしまっている。あのうつくしい腕が何かを破壊しているのが、翔にはやたらと悲しく、嬉しく、苦く、甘く、何やら実態を持たぬ魔物のような情緒を持って感ぜられた。
「消えて! 私の前に現れないで! どうしてきみは、どうして、どうして、どうして!」
「姉さん、落ち着いて! とりあえずお風呂入ろう? ね?」
 噎せ返るほどの甘いにおいが、一拍遅れてやってくる。咳き込みそうになりながら、翔はなんとかそう伝えた。
 よく見なくとも、茶色いものはチョコレイトの残骸がであるようだった。箱の中を覗いてみれば、十三個入っていたうちの、ひとつはなくなっており、あとの十二個はぐちゃりと潰され原型を失っている。
 冬でもないのにがんがんと頭が痛くなりそうな程に暖房の効いた部屋に置いていれば、こうなってしまうのも必然であった。ごめん、と心の中で親友に謝る。このチョコレイト、死んでしまったみたい。
「ああ、出来損ないが、苛々する、よくも、よくも私を、」
 翼が寝台から転がり落ちて、何かから己を守るようにうずくまった。時おり胸を押さえて唸り、天を仰いで呪詛を吐きながら。
 翼に恨みごとをぶつけられて、心が傷まないわけではない。ないけれど、今日は元気があるな、などと云う無感情な感想で、どんどん見えづらくなっていく。とうにずたぼろになっているのだ。翔自身でさえも、気に留めやしない程に。
 汚れた身体のまま床に落ちてしまったせいか、絨毯にも染みが広がっていった。これ、落とすの大変なんだから、もうそのくらいにしてほしい、かも。襯衣だって、早く洗わないと染みが残っちゃう。髪は洗えばすぐに落ちるだろうけれど、風呂場まで連れて行くのに苦労しそうだなあ。
「……あ、」
 ベッドに腰掛けて翼の姿をぼんやり眺めていると、灰色の羊が視界の隅に入った。ぱっと見たときは少し汚れている程度かと思っていたが、もこもこと細かく彫られた毛並みに、チョコレイトが入りこんでいる。これは、翔に洗えるだろか。石像のお風呂の作法なんて、翔は知らない。湯を張った洗面器に沈めてもよいのだろうか。水を吸って形が壊れたり、洗おうとして欠けてしまったりしたらどうしよう。
 いとしき子どもが汚れたことにすら気付かない、虚ろな翼の瞳には、一体何が映っているのだろう。
 そんなにチョコレイトが食べたかったのだろうか? いや、屹度、自分の思い通りにならないことが苦しいだけだ。暖かい部屋に放置せず、ちゃんと冷蔵庫にしまうべきやったでしょう。そんなことを今の翼に云ったところで何になる。何にもならないじゃないか。もしかしたら笑顔が見られるかも、なんて淡い期待を持ってしまった己の愚かさに、何だかため息すら出てくる。
「甘いにおいがする、甘怠いにおいが、あいつらと同じにおいだ、私の魂を、剽窃と呼んだあいつらと! 嗚呼、もう、気分が悪い、どうして!」
「姉さん」
「ねえ、どこ、どこ、どこ!? どこにいるの、声が聞こえない、どうして!」
 主語がないからよくわからないけれど、おそらくこの羊のことで間違いないだろう。翔はチョコレイトまみれの羊を彼女にみせて、「大丈夫、ここにいるよ」と微笑んでみせた。これで落ち着くとよいのだが。
 ……そういえば、一つだけ無くなっていたチョコレイトはどこに行ったのだろう。
 翼の胃の中に収められたのだろうか。翔にとってそれは、今の現実よりも、よっぽど大切なことだ。翔のこの先を決める指針だ。絹が裂けるような、酷い悲鳴。
「ねえ、チョコ、食べられた?」
「うああっ、ああ、あああっ! どうして、こんな、こんな姿にっ!」
「一つなくなってるけれど」
「ああ、なんで、なんで、こんな目に遭っているの、う……っ、ふざけるな、ふざけるなっ! 翔、きみのせいだ、許さない、ひ、あ、あああ、嫌だ、嫌だ、許さない、呪う、呪ってやる、」
「口の中、見せて」
 ばたん、がたん、翼が椅子を蹴飛ばす。
 まだどろどろのままの手のひらで、灰色の羊を大切に抱えるものだから、汚れはどんどん増えてゆく。
 こんなに騒いで近所迷惑じゃないか、と思ったこともあった。しかし、これ以上の騒音を出す日もあるのに。今のところ一度も誰にも指摘されていない。悪い噂のある姉弟と関わるのが、面倒なのだろう。
 それで、よい。
 それが、よい。
 ここは誰からも忘れられた場所。
 壊れかけの神さまと、彼女を信仰した最後のひとり。
 ぴたりと、翼の動きが止まる。
 暫しの硬直、そしてゆっくりと膝をつく。茶色にまみれた羊をそっと床に降ろし、己の手のひらをじっと見つめている。ようやく気付いた。今日は長かった。
 次第に震え出した翼の身体を落ち着かせようとお気に入りの毛布を手に取る。これにも既に、べっとりと茶色い染みがこびりついていた。どれだけ洗濯物増やすの、なんて、多少文句を云っても許されるはずだ。
「羊さんはとりあえず置いておこうよ。まずは姉さんをきれいにしないと」
「あ、……」
「あ、ところでチョコレイトは、食べたの? ひとつないけれど」
 毛布で背中を包み、宥めるように撫でてやっても、翼はぴくりとも動かない。死んでいるのではないかと錯覚してしまいそうになる。
 己の感情を制御できない苦しさと、それをふとしたときに認識してしまう僅かな冷静さ、そして陥る自己嫌悪。今の翼が持つ情緒の回路は、たったそれだけ。それを何度も繰り返しては、同じ末路を辿っている。今はこれが、情動を整理する唯一の手段なのだろう。何も発さず押し黙られるよりはましだ。おそらく屹度、たぶん、ましだ。
 これがいつか終わるという保証はない。永遠にここから抜け出せないことだってありえる。
 翔はそれで構わない。だけどやっぱり、翔は彼女のよき弟でいたいのだ。よき弟とは、何なのか。立ち上がるかどうかは、翼がチョコレイトを食べたか否かにかかっている。
 早く、教えて。お願い、早く、早く。おれの道を、決めて。
「ねえ、チョコレイトは?」
「私……が、翔……かける、ごめ、なさい……」
「うん、おれはいいんだよ。気にしていないから」
「う、う。うあ……ううう、ああ、あああっ」
 翼は背中を小さくまるめて、子どもみたいに泣きはじめた。手が汚れているっていうのに、またそんなに顔を覆って。
 嗚呼、もう駄目だ。翔は経験則でそれを知っている。余力なんてないのに暴れるから、こうなるともう自力では動けなくなる。そして翔は運動とは殆ど縁のない大学生で、力の抜けた人間を持ち上げる力を持っているわけでも、泣いている人間を引き摺るほど肝が座っているわけでもない。
 まともにことばを交わせられる間にチョコレイトの所在を聞き出し、風呂に入れたかったのだけれど。再び寝台に腰掛けて、彼女の気の済むまで待つ他無くなった。
「ごめんなさい、ごめんなさ……ちがう、とうさく、なんて……ちがう、わたし、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 翼の弱々しい泣き声もすっかり聞き慣れてしまった。むしろ少しだけ、心地良くも感じる。喉に絡まる、嗚咽交じりの声。息苦しい部屋でも、彼女の傍でだけは息が出来る。
 翼はどんな時だって、残酷なほどにきれいだ。チョコレイトまみれの襯衣を纏っていようが、顔も髪もぐちゃぐちゃになっていようが、泣きじゃくっていようが。少なくとも翔だけは、彼女の全てを肯定し続けるだろう。
 でも。でも、もし、あの日、神さまが堕ちてきた日。最後の審判を告げる天使の喇叭がなったのならば。
 ここはもしかして、地獄なのだろうか。
 こんなに暑くて、暑い、いや、本当に暑い、我慢できない程に暑い。気付けば翔のからだは、汗でじっとりと濡れてしまっていた。先ほど翼が暴れた拍子に暖房の温度が上がってしまったのだろう。甘いにおいも相まって気分が悪くなってくる。
 翼に気付かれないように立ち上がったつもりだったが、気配を感じとったらしい彼女がすぐに振り向く。そして何か、恐ろしいものを見るような目で翔を見上げた。涙はとっくに枯れ果てたようで、赤く腫れた瞼が痛々しかった。
「ど、どこに、いくの、かける、」
「え、暖房を、」
「ごめんなさい、ごめんなさい……見捨てないで、置いて行かないで! 翔にまで置いてかれたら、私はどうすればいいの、ねえお願い、いかないで、ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
「行かないよ、どこにも行かないよ、おれはずっと姉さんのそばにいるよ。そうだ、チョコレイトは、」
「あ、う、う、いか、いかな、いで……」
 力を失った腕が、翔の脚に縋ってくる。
 翔の服まで、べたべたと茶色い染みで汚れた。縋っていた青白い手はやがて抱きつくように回される。どく、どく。心臓の音だ。生きている。少なくとも彼女のからだは、生きようとしている。それが果たしてよいことなのかは、翔にはわからないけれど。
 さっきまで幼い子供のように癇癪を起こしていた翼は、翔を寝台に引き摺りこんだ。軽い衝撃。一瞬瞼を閉じたあと、どこにそんな力残ってたの、と云おうと、ゆっくり目を開ける。泣きそうな顔をした翼と視線がかち合った。
 嗚呼、そうか、姉さん、また。
 これは、翼の悪癖だ。それは、幸いにも理解出来ている。それにしても一体どこでこんな知識を身に付けてきたのだろう。知りたいような、知りたくないような。
 そのようなことを考えていると、翔も翼も、原初の楽園にいたアダムとイヴのように、生まれたままの姿になっていた。脱がされていたことには気付かなかったが、目に見える範囲に服は落ちていない。皺になってはいけないから、畳まなければ。思うけれど、頭がぼうっとして、からだが動かない。
 嗚呼、それとも、もしかして。本能的にわかっているのだろうか。
 相手に許しを請う方法を。
 己の価値を地に落とし、尊厳などまるでないように振舞うことで、壊れかけた心の最後の罅を守る方法を。
 翼のこれは自傷と変わらない。自分が苦しむことで満足するのだ。相手のことなんて見ていやしないのだろう。ここに立っているのが翔でなくても同じことをする。
 だから翔は何も云わない。褒めない、責めもしない。馬鹿な翔が蓋をするのを忘れてしてしまわないように、じっとこの時間を耐えるだけ。
 嗚呼、お願いです。お願いします、神さま。どうか、どうかおれの想いが、溢れてしまわぬように。おれの精神だけでも清浄でありますように……。
 初めてこれが行われたときは、思わず翼を突き飛ばしてしまった。本当に、何をしているのだと、今まで味わったことのないような怒りが込み上げて、頬を打ってやろうかとさえ思った。実際、薄い襯衣の胸倉を掴んで、何事かを叫んだのは覚えている。
 けれど、翼が泣くから。
 何かを創ることができなくなった己に、生きる許可を与えてくれと泣くから。
 あのとき、何をするのが正解だったのだろう。少なくとも、何も云えずに立ち尽くし、再び翼の好きにさせることが正解だったとは思わない。
 でも、翔はやっぱり翼が好きで、好きで、好きだから、抗えるはずがないのだ。
「ごめん、なさい……」
 今だってそうだ。幾ら姉と弟で年齢差があっても、所詮は年子で、男女の性差もある。押し飛ばしてしまうのは、そう難しいことではないだろう。なのに、それができないでいる。
 別にこんなことをしなくても、彼女は子を産むことができるのに。醜悪な罪を犯すことなく、清らかなままいられるのに。それでもわざわざこんな真似をするのだから、翼は屹度、この行為が大嫌いなのだろう。内臓をぐちゃぐちゃにかきまわされて、胃の中のものを吐き出してしまいたい衝動にかられて。それに一番都合がよいのが、これだったのだ、多分。翔のことなんてこれっぽっちも考えていない。ただ自分が苦しみの涙を流せればそれでいいのだ。そのついでに、許してもらえるかもしれない、なんて思っているのかもしれないけれど。
 こんなことなら骨の髄まで売女でいてくれた方が余程楽だった。余程、割り切れた。
 だって、こんなの、狡い。だって結局、翔は、翼が好きなのだ。翼は翔の親愛の、博愛の、敬愛の象徴で。
 嗚呼、神さま!
 おれの神さま!
 どうして、よりにもよって、この手段を選んだのだ! 
 愛しているひとに愛される錯覚を抱くのは、あまりに苦しくて辛くて。ひとしきりぐちゃぐちゃにされてから、またあの息苦しい場所に放り出されるのだ。それを苦痛に思えばよいのか、それとも歓喜に浸ればよいのか。計りかねている己が、嫌で嫌で堪らない。
「ぐ、……っ、おぇっ、は、はあっ、はっ、」
 息が詰まったのか、吐き気に耐えかねているのか、翼は必死に胸を上下させ呼吸を整えている。背中を撫でてやりたいが、からだが石像になってしまったみたいに、ぴくりとも動かない。動けない。動いたら、溢れてしまう。動きたくない。
 もういいよ、もうこんなことしなくていいんだよ。と、翔は、云いたい、云えない、云いたくない。嗚呼、くらくらする! 結局暖房はそのままじゃあないか、汗が噴き出す、喉が渇く、苦しい、甘いにおい、酷い罪悪感、むせ返って、吐きそうだ、早く終われ、終わらないで、チョコレイトは、どこに。
「う……、う、ぅう……」
 翼はくちびるを噛んだ。翔はじっとそれを見たあと、頬を流れる雫を拭ってやった。
 相変わらず、翼のうつくしい顔は、髪は、服は、溶けたチョコレイトにまみれている。翔は、怯えるように嘔吐くような声を漏らしながら、必死に縋り付いてくる彼女に、触れることができない。触れたら溢れてしまいそうで、指先一本動きやしない。暑い。淀んだ空気。むせかえるほどの、チョコレイトの香り。いっそ溶けあって混ざりあって、自我すらなくしてしまえば幾分ましなのに、二人はどこまでも二人のまま。翼と翔は、同じにはなれないのだ。どこまでも清廉で、気高くて、うつくしくて、すばらしい彼女が、嗚呼、どうして。
 ぱちん、と思考の泡が弾ける。びく。己のからだが痙攣するのを、翔は一拍遅れて認識した。また、まただ。取り返しのつかないことをしてしまった。罪を、重ねてしまった。さあ、と顔が青くなる。禁責。哀哭。__罪悪。
「あ、あ、ごめん、ごめんなさい、姉さん、おれは、姉さんの、姉さんが、おれ、ごめんなさい、」
「……、………う、お、えっ、ひい……、」
 そうして懺悔していられるのは僅かな間だけで、喉の奥が引き攣ったような声を上げて、床に向かって嘔吐しはじめた翼の姿を認識した瞬間、すっと頭が冷めていく。まただ、また、消えたくなる。消えて、このまま。
「はっ、は……げほっ、う、」
 しかし、咳き込む翼を置いてどこかに消えられるはずもない。翔はため息をついた。
 とりあえず水を飲ませないと。どうやらまだ体力は残っているようだし、問答無用で風呂まで連れてゆこう。
 それが終わったら。
 ……終わったら、どうしよう?
 それにしても、本当に暑い。翼の額や首筋にも、玉のような汗が噴き出している。脱水症状になってはいないだろうか。先に涼しい部屋で休ませてゆっくりさせた方がよいかもしれない。早く動かなければ、放心している暇などないのに。ぐったりと力の抜けた翼を肩に抱えて、翔はずるずると踏み出す。大きな身体に空っぽの内臓。とても重くて、とても軽い。
 ふと、翼の吐瀉物が目に入る。
 まともに食事できていないのだから胃液しかないかと思いきや、ようく目を凝らすと、茶色く濁ったものが混じっていた。
「これ、チョコレイト? ……なんだ、食べていたの」

 濡らしたタオルで握手をするように、なだめながら汚れた手を拭いてやる。起きているだろうに、翼の意識は何やら曖昧なまま、よくわからないことばを延々吐き散らしていた。
 何とか彼女の手を引いて、涼しいところで休ませようと、暖房の効いていない自室まで戻ってくる。翔はふと思い立って、残酷なまでに艶やかなままのくちびるに、耳を寄せた。今まではまともに聞いていても何の意味もないと聞き流していたけれど、今日は。
「愛して、私を見て……捨てないで、私なら屹度できるから、今度はもっときれいなものを創るよ、私は、」
 ぱたり、意識を失って、翔の寝台へ倒れ込む。
 翔は、床ではなくてよかった、と少しばかり安堵する。風呂に入れるのはもう、明日でよいだろう。翔もどっと疲れてしまった。
 冷蔵庫から出したばかりの水を、自分の口に流し込んで温めてから、僅かに開いた翼の口にぴったりと合わせる。少しずつ、少しずつ。水差しから直接流し込むのでは、彼女のからだは受け付けてくれないけれども。喉が動いているのが、音から察せられる。本人の希望がどうであれ、生命活動を続けようよする彼女の身体は、水を欲して、何度も、何度も、勝手に嚥下するのだ。人間の体というやつは都合の良いように作られている。
 次に目を覚ますのはいつなのかな、と翔は独りごちる。また些細なことで翼の何かが刺激されて、感情が動き出すのだろう。でもせめて次こそは、何かを変えられますように。
 翼がチョコレイトを食べてくれたのだから、そう導かれたのだ。翼だって云っていた。屹度私ならできると。このことばが今日初めて出たことばなのか、それともいつも吐き散らしていたことばなのか、翔には知る由もないが。
 静かに眠る翼の姿を見ていると、からだから力が抜けそうになる。せめて頬と髪にこびり付いたチョコレイトだけは拭き取ってやりたいが、この部屋はさっきと打って変わって肌寒いせいか、表面が既に固まりつつあった。そう云えばあの部屋の暖房は、未だ消していない。片付けだって山ほど残っている。重いからだを引き摺って、翼の部屋へと向かった。
「うわあ、暑い……」
 目に見えてしまいそうなほどの熱気が部屋を包んでいる。
 暖房のリモコンは、翼が蹴飛ばした椅子の下敷きになって、見たこともないような設定温度を示していた。急いでそれを切り、窓も全て開け放つ。夜風の冷たさに、己の中でぼんやりと形を失っていたものが、何かしらの姿になろうとしているのがわかった。それが存外、心地よい。息苦しさも、甘怠いチョコレイトの匂いも、この風に洗い流されていく。
 不意に、床にお座りしていた羊が、こてんと倒れた。あとで翼のところへ寝かせてあげよう。と、思う。翔ではきれいに洗うことは出来ないが、もしかしたらすぐに翼がお風呂に入れてくれるかもしれない。
 まずは早急に敷布を洗濯しなくてはならない。絨毯の染み取りはそのあとだ。今までも翼がいろんなものをひっくり返し吐き出すものだから、お世辞にも綺麗で清潔な絨毯とは云えない。翔は何をやってもうまくできないから、肌触りのよい深紅の毛は、至るところが汚れたままだ。
 でも、それでもよい、と翔は思っている。もしかしたらすぐに、翼が怒って新しいものを敷いてくれるかもしれない。
 ほとんど液状になってしまったチョコレイトと、それによって無残な姿になってしまったうつくしい箱。翔たちにはまだ少し早かったらしい箱。けれど、これと再び出会うことが出来たなら、そのときは屹度、死ぬ前に食べてあげられますように。残りの十二個もちゃんと、翼の胃の中で消化してあげられますように。
 敷布をばさりと剥いで、くるくると巻き取っていく。その拍子に、ころん、何かが転がり落ちた。部屋の真ん中に向かって歪に軌道を変えながら転がっていく。
 最初は虫かと思った。茶色くて、ほんの少し光沢があって、不気味な形。翔は少し苦手なあれかと錯覚して、暫し硬直。
「……、」
 けれど、違っていた。
 それは熱故に、そして中途半端に噛まれた故に、歪に変形していた。噛んで、それで齧りとったのだろうか。それともすぐに吐き出したか。わからない。他のやつらはすっかり溶け合ってしまっているというのに、どうしてこれだけは辛うじて形を保ったままでいるのだろう。いっそ染みのひとつになっていてくれればよかったのに。
 拾い上げると、僅かだがしっかりと歯形が残っていた。しかし少し力を加えるとすぐにふにゃりと変形して、指先の熱に溶かされてゆく。
 翼は、選んでくれた。それが無意識であっても。屹度踏み出したかっただろうに、一度は食べようとしたのだろうに、それを拒絶したのだ。その選択によって、この先の翔が傷ついてしまわぬように。彼女の狂気につけこみ、姉弟で抱き合うと云う禁忌を犯した十字架を、罪悪感を。昔の如く幸福に暮らす己らが、背負わなくてもよいように。昔の己らの幸福が、二度と訪れぬように。
 嗚呼。嗚呼。
 優しい姉さん。きれいな姉さん。神さまみたいな、姉さん。姉さんはいつも間違えない。
 嗚呼、神さま。神さま。おれの、神さま。あのおひとがゆるしてくれるならば、地獄の底だって、何よりうつくしい楽園になる。
 胸が痛い。心臓が張り裂けそうだ。両の目から熱い雫が落ちてくる。
 二度と間違えてしまうことがないように、翔はチョコレイトを迷わず口に放り入れた。この部屋に捨てられて朽ちゆく寸前の、それでもまだ命を持っていたそれを。
 芳醇な洋酒の香り。仄かな苦味、喉に絡みつく甘味。口の中でとろけて、混じりあって、それは、それは、
「……おいしい」
 それは、十三個目の、

楽園のチョコレイト(42枚)

執筆の狙い

作者 夢野まつろ
p197.net059086036.tokai.or.jp

※性行為をしていることを連想させる描写があります。あまり盛大なわけではないけれども、十七歳以上推奨。
『瓶i詰i地i獄』(検索避け)×チョコレイト、と云う題材で書いたもの。正確には、「好きな物語」×「きらいな食べもの」と云うお題で書きあったものです。「楽園」のつもりで書いたけれど、客観的にこれが「楽園」なのか「地獄」なのか聞きたい。

好きな物語だからこそわたしが書くのは烏滸がまし過ぎるので、瓶詰要素は少なめ。姉弟にしているのも、途中の展開やオチがまるで反対なのも、わたし如きが真似をするのはいやすぎたからです。

読者さまは、チョコレイトはすきですか。わたしは大嫌いです。香りは鼻につくし、常温でもとろけて持っていると手が汚れてしまうし。何より味です。甘味も苦味も何かねばねばとしているし、じっとりと絡みついて、食べているだけで頭が痛くなる。

そう云うお話を目指しました。罪悪。信仰。狂気。翼の捥げた、天使さま。

今仲間内でべた褒めされて天狗になっているので、この鼻を圧し折るような痛烈な批判をお待ちしております。もちろん感想やアドバイスも大歓迎です。

コメント

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冒頭の姉さんへの語りは良かったけれど、それ以降はその冒頭の内容説明ってかひたすら消化試合みたいな感じらしく、良いところがひとつも見当たらなく流し読みになってしまった。


>好きなひとができたんだ


このことはこれ以降のどこかに波及されたんだろうか?

10月はたそがれの国
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朝からなにげにブルボンのチョコ食べてて、
「ついで」のように、だだーっと一気見したのですが、、、


長すぎだし、回りくどい(ってかくどい)かなー。
中盤以降が、おそろしくだれる。だらだらしい。

20枚以下ぐらいに圧縮したら、見栄え上がりそうに思う。
(内容的には、10枚でも、やれば多分おさまる)


42枚も使いながら、「こうなったそもそもの発端」でありながら、
姉:翼の「美大における様子」が、まったく書かれなくて、、、


「そもそもどんな技法・どんな作風で彫刻作品こしらえていたのか」
「剽窃の濡れ衣着せられた経緯」
は、必要最低限「説明記載」入れよう。

彫刻、彫刻言っても、読者には、『木彫なのか、石彫なのか、ブロンズなのか、鉄なのか、空間芸術なのか……』まるで分かんないままだったところへ
おそまきに「小さな石の羊」が出て来て、
『思ってたよりちっさ!』ってなった。

(天才、天才、言ってたから、もっとアーティスティックな大作に挑んでたのかと思った。
 うちの近所に造形大があって、その隣に近美の野外彫刻が各種あるもんで……)



冒頭で、「翔の、」の置き位置がややおかしいもので、
主人公で語り手が、翔」であることが、即座に読み手に理解されない。

そして、「翔」の読みが「かける」であることが、かなーり後になってから、姉「翼」のセリフの中で、
すんげぇ遅れてから提示されるんで、
『そこまで〈ショウ〉だと思って読んで来た読者の立場は?!』って思った。


〈ショウ〉と「かける」だと、、、脳内でのキャラデザが多少違って来る感じなんで、『勘弁してくれ』だった。


そんで、姉の名前「翼」も、冒頭でちゃっちゃと出しておくのが、読者への配慮。
チョコレートの箱くれた友達の名前もなかった感じだし、
「彼が本当はどういう気持ちでそれ渡して寄越したのか」も、読み手は詮索(妄想)してしまう流れになってたから、、、

そこで詮索・妄想展開してしまった読者の脳内には、
この小説のだれまくった後半〜終盤を、全部ひっくり返す「別の物語」を見てしまって、、、


そっち(妄想展開)の方が見てみたかった。

10月はたそがれの国
n219100086113.nct9.ne.jp

『羊は翼のはじめての彫刻作品だから、小さくて当たり前でしょう』って思う……
んだろうと思う……んだけど、

本文中の記載が「ちっさいもん拵えてます」になってるんで。。


あと、チョコレートの映像描写が、おかしい。

本文見ながら「脳内で小説の映像立ち上げてく」式の読み手だと、

チョコのとにかくきったないのに耐えに耐えつつ斜め読んで、
その苦労を「全否定」する格好で、
「作者後出し、完全ご都合主義、無理矛盾が炸裂する」んで、、、

『納得できねぇなー、もう……』ってなる。



読者を裏切る「後出し」「矛盾」が、あんまり堂々とある状態。

それは
自分の原稿を「第三者目線に立って、シビアにチェックできてない」ってことだから。。

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