作家でごはん!鍛練場
しまるこ

女は出会い系をやるとき、同級生の男に連れ出してもらいたいと思

出会い系をやっているときに思うことだが、彼女たちはどうやら、同じクラスの男に連れ出してほしいと思っているようなのである。

働いている女性も一緒で、会社の男が連れ出しにきてくれるのを期待している。

彼女たちと食事をしたり街を歩いていると、彼女たちは、ふとしたとき、学校や職場の男のことを思い浮かべていることがわかる。

彼女たちはどこかソワソワしており、このままだと、本当に私、この人と付き合っちゃうかもしれないよ? と、後ろ髪を引かれるように、学校や会社の男に確認を求めるような心の所作があることがわかる。

別にサッカー部のキャプテンでもない、学校の改革を成功させた生徒会長でもない、普通の、アジダスのスニーカーを履いた、学ランの下にパーカーを着ている、普通の男の子だ。

毎日会社にやってきて家に帰っていく、女慣れしていない、でもそこそこ美形の、地味で、でも整えたらまあまあかっこよくなりそうな、地味だけどちんこはまあまあでかい、ロリコンとかレイプとか、あんまりハードすぎるAVは見ていてもらいたくないが、普通のAVを見ている、そんな同僚に助けに来てもらいたいと考えているようなのである。

まるで両親の都合でお見合い結婚させられそうになっているかのように、ドラマの結婚式で「ちょっと待った!」と割り込んでくるシーンのように、クッパに攫われたピーチ姫がマリオが助けにくるのを待っているように、このデート中に、息を切らして学校や会社の男が駆けつけてくることを期待している。

自分勝手だということはわかってる。アプリに登録したのはわたしだ。自分でアプリに登録しておいて、こんな被害者意識を持つことは間違っている。これは、目の前の男の人に対しても失礼だ、と、それは彼女自身もよくわかっている。

しかし、彼女らに限らず、みんな、なるべくなら、同じ学校、同じ職場、同じテリトリー内で恋愛関係になることが当然だと思っていて、同じ輪の人間が外部の異性と付き合ったという話を耳にすると、それはルール違反じゃないか? と警笛を鳴らすような顔をする。

少し前に流行っていた『YOASOBI』の人気も、こういうところからきている気がする。



少し話がずれるが、さっき、ドトールに高校生の男の子たちがやって来ていた。店員の女の子が、彼らにドトールのチョコチップクッキーを配っていた。やり取りからして、どうやら学校のクラスメイトらしかった。

男の子たちはクッキーを渡されると、「お」と言って、クッキーをテーブルに置いて、一言もお礼をいわなかった。

女の子は寂しそうな顔をしていた。(まだ、高校生だもんね)と、自分も高校生なのに、我が子の発育が不十分なことを心配するお母さんのような目で、彼らを見ていた。

生理がないから成長しないんだろう。やはり、こういうところは同じ高校生とはいえ、女の子のほうがはるかに成長がはやい。女の子は、どんなに若くてもこういうときはお礼をいう。男に比べて物事の奥深くに迫っていく能力に欠けている分、お礼をいったりすることに割く力が残っている。男に比べてステータスを均等に振り分けられているという生物的な性質も手伝っているだろう。

一応、自分のバイト先に、学校のクラスメイトがやってきたのだから、それなりの対応をしようと思ったのだろう。見ていると、すべて、女の子の方から話しかけていた。男たちの方から話しかけることは一度もなかった。

男たちの方に気がないからじゃないの? と思うかもしれないが、そうではない。女の子に話しかけられるたびに、彼らは、彼らの中の流れているリズムが急に止まり、そのあと、急に全身の血が逆流するのを、ありありと感じ取れた。

女の子が、「なに勉強してるの?」と聞くと、男たちは「化学」と一言で答えていた。

勉強を終えると、彼らはモンハンをやりだした。彼らが巨大な怪獣を斬りつけていると、それを見た彼女が、「わーすごいね」と、また話しかけていた。砂場で泥に塗れて遊んでいる男の子の群れに、ねぇねぇ、あたしもいれてよー! とやっているような雰囲気が健気だった。

彼らは、自分で何かを作り出したわけでもないのに、ただ市販で売られているもので遊んでいるに過ぎないのに、というか、ただの動物虐待なのだが、どこか自慢げだった。

「……」

女の子は、自分の方が場を支配している感じが出すぎてしまっているように感じたようで、いい加減、語数を減らそうと調整しているようだった。



女性は、出会い系の男にはこういう態度を取らなくなる。

いつもより、薄くて角度が急なパンティーを履いていくのだが、出会い系の男が何の勉強をしてようが、モンハンをやろうが、外人が冬に半袖で歩いているように、自分には関係ないできごとのように見る。あの、お母さんのような目がなくなってしまう。

出会い系の男は、必ず奥のソファの席に女の子を座らせるし、水が少なくなっていると、注いできてくれる。食べ方も綺麗だ。会話の神経も行き届いている。

しかし隙がない。なんだこの男は? 出会い系ロボットなんじゃないか? 確かに、わたしは同級生の男にこういう男になってほしかったはずだが、あまりにも完成されている。男ってこうだったっけ?

(ぜ、ぜんぜん学校感がない……)

砂場で泥に塗れて遊んでいる男の子の群れに、ねぇねぇ、あたしもいれてよー! というような雰囲気がなくなってしまっているのだ。

ただ男性と女性がある。自分たちをアルコール除菌したかのように、校庭の隅やグラウンドの土埃の匂い、渡り廊下にかかるオレンジ色の日差しが消えてしまっている。

あまりにも早く流れていく。沖まで流されてしまいそうになる。気づいたらホテルに連れ込まれて股を開き、老後を築いていそうになる。

確かに、出会い系の男は、同級生の男子に足りていないものを、補って余りあるほど持っているかもしれない。だけど、このまま流されてはいけないような気がする。

じゃあ、引き返して、やっぱり同級生の男に期待しようか? でもやっぱり、あいつらは、「うん」とか「ああ」しか言わない。わたしから距離を縮めて告白したら、彼らのためにはならないだろう。余計につけあがるだろう。うーん。彼らが今、デート中に割り込んできて、連れ出してくれたら、わたしも本気を出せそうなのに。それでも、付き合うかどうかはわからんが。

うーん、でも考えてみれば、この出会い系の人も、同じ学校にならなかっただけで、この人も、別の場所でオギャーって生まれて、別の学校で授業を受けてきたわけだから、ちょっとした畑の違いのような気もするけど? 人参とじゃがいもみたいな?

べつに、わたしは、同級生の男が好きというわけでもない。なんとなく、あいつらの存在が気になるだけだ。でも、こうやって出会い系の男とデートすることは、あいつらに対する一種の裏切りのようにも思える。

なぜ?

べつに、好きというわけでもない。もし、あいつらがデートをぶち壊しにきても、付き合うかどうかは別だ。



別に好きというわけではないから、ぶち壊してにきても付き合うかはわからないけど、でも、どこかでぶち壊しにきてほしいと思っている。これはなぜだろう? でも、本当に、ぶち壊されたらぶち壊されたで、困ってしまう。

出会い系の人にもすごい迷惑がかかってしまう。「なんですか? この茶番は。そういうことなら初めに言ってほしかったです」といって、席を立っていくだろう。彼への申し訳無さから、彼と付き合わなければいけない気分になってくる。

そうすると、今度は出会い系の人の方が好きになってしまいそうになる。

とほほ、女心はなかなか複雑である。(-∧-;)トホホ…

ふう。ε- (´ー`*) フゥ

あー、めんどくせー。やっぱ出会い系の男でいっかぁ?

なむー( -人- )



出会い系から帰ってきて、次の日学校で同級生に会うと、「あ、戻ってきたんだな」と、異世界から戻ってきた冒険者のようにホッとする。しかし、誰もこの冒険に気づいてくれないのは悲しい。

女性は、基本的に、外部の男とデートしたという事実を、学校や職場の男に知られたいと思っている。

さすがに、自分でマッチングアプリに登録して男と会ったという事実は知られたくないが、友達に紹介されて仕方なく会ったという体なら、芸能人のフライデーのように広められるだけ広められたいと思っている。

そして、それを知ったときの男たちの反応を、見逃さないようにチェックしている。(え? 今なんていった?)(外部の男?)(え?)というような、暗く沈むトーンや、彼らの胸の中に走る切ない一抹の感情を、見逃さないようにチェックして、その悲しみを一緒に体感しようとする。

甘酸っぱくて濃い、胸がギュっと締め付けられるような、熱く焦がれる想い。彼らの胸の中に走るその、歯を食いしばってちんこを握りしめて寝るような、見ているだけで泣きたくなってしまいそうになるその感情を、女性は、抱きしめるように、共有したいのである。例えば自分が処女を失ったことを同級生の男が知って、泣きそうになっていたら、一緒に泣きたいのである。

(もう取り替えしがつかなくなっちゃったね……)

コツーン、コツーン、と、新しく、果てしなく続いていく道を、自分と新しい男が手をつないで歩いていくのを、振られた男の立ち位置に立って、一緒に見送っている。

(連れ出しに来てくれなかったね)

なぜこの視点を持つことができるのか? それは、ボディビルダーの男が自分に発情するように、彼女たちもまた、自分の髪や肌や胸や柔らかな曲線、吐息、に発情することができるからである。

男が女のおっぱいを見て興奮するように、女も自分のおっぱいを見て興奮することができる。女性は女体に興奮するのだ。

よく女の子が、ふざけて仲間の女の胸を揉みしだいているが、あれは、痴漢する男と同じ心理からきている。

女は出会い系をやるとき、同級生の男に連れ出してもらいたいと思

執筆の狙い

作者 しまるこ
133.106.63.194

「女は出会い系をやるとき、同級生の男に連れ出してもらいたいと思っている」です。     

コメント

茅場義彦
M106072175192.v4.enabler.ne.jp

なんか深そう 面白かったです

しまるこ
133.106.63.194

茅場さん、ありがとうございます。今はやっぱり転スラが面白いっすね。

5150
5.102.2.172

しまるこさま

いやはや、素晴らしい考察ですね。でももうちょっと整理できてたらよかったのに。

出会い系の男について、

>しかし隙がない。なんだこの男は? 出会い系ロボットなんじゃないか? 確かに、わたしは同級生の男にこういう男になってほしかったはずだが、あまりにも完成されている。男ってこうだったっけ?

なんかすごくよくわかるような気がします。

>確かに、出会い系の男は、同級生の男子に足りていないものを、補って余りあるほど持っているかもしれない。だけど、このまま流されてはいけないような気がする。

そうなんですよね。賛同します。

隙のなさや合理性ってないよりはあった方がいいんですけど、ある一定まで、ってことなんでしょうね。完璧すぎちゃうと逆にいけないのかも。

>あまりにも早く流れていく。沖まで流されてしまいそうになる。気づいたらホテルに連れ込まれて股を開き、老後を築いていそうになる。

好きな文です。

御作は、あれなんじゃないすかね、小説としてよりも一般新書として視線を変えて書かれるといいような気がします。キャチーで印象的なタイトルを考えることができれば売れそう。本のタイトル次第かと。

しまるこ
vc134.net183086183.thn.ne.jp

5150さん。ありがとうございます。考察ばっかで人間ドラマが不十分だったなと自分でも思います。何をどう書くのやら、見つけるのは骨が折れるものですね。しかし良いヒントを頂けました。参考にします。

u
opt-220-208-25-236.client.pikara.ne.jp

しまるこさん
おもろいね相変わらずwww
作者さんと(南瓜売りの少女)を描き続けているうん?誰だっけ?ともかく南瓜の作者さんはごはんの星ですwwwマジで

本作ドトール途中で登場
ドトールシリーズ??いらねーww無理やり感www

でもさすがです
いつも変わらず面白かった(ある意味作者さんシュールかも?wwwwwww)

しまるこ
133.106.51.191

uさん こんばんは!

毎日家とドトールの往復だから、ドトールのことしか書くことがないんですw あと、モンハンを動物虐待って言うとみんな笑うからそれを言いたかったw

面白いものを書こうと思ったというより、ただ思ったことを書いただけなのですが、そういうときの方が面白いって言ってもらえることが多いから、まだまだよくわかりませんねw

私も、木村花さんの事は、みんな誰しも思い出さなければいけないと思います。uさんは素敵ですよ。

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