作家でごはん!鍛練場
舞麻

幻の人参

 東方の地にそびえたつ雪岳山に、少年の声が響き渡った。
 その人並みならぬ野性的な叫び声は、雪岳山の静謐を破り、新緑の産毛をむしるような猛しさで隆起した地肌を伝っていった。
 雄々しい声の少年は、名をグンファと言った。姓はわからない。口減らしのために弟と共に山に捨てられた孤児だからだ。
 故に、彼の透き通るような白い肌は泥土にまみれ、申し訳程度に腰に巻いた麻の布は、寒風から身を守る役目をもはや果たしていなかった。
 痩せこけた頬には、少年としての愛嬌など見る影もない。
 しかし、それでも彼は生きていた。
 雪岳山の豊かな自然は、彼の生存に足りうる量の水と食料を与え、日当たりのよい高台の洞穴は、彼を雨露から、夜の脅威から守った。雪岳山のすべてが彼を生かしていたのである。
 
さて、ひとしきり眼下の大自然に声を放って満足したグンファは、誇らしげな表情は保ったまま、洞穴の中を振り返った。
「どうだ、ユンファ。いい加減目が覚めたか」
ユンファと呼ばれた少年は、グンファよりもやや幼く、色素の薄い栗色の髪が特徴的な子だった。ユンファもまた、口減らしに捨てられた孤児であり、グンファの弟だ。
ユンファは不満げに口を尖らせ、藁でできた布団の中からグンファを睨んだ。
「はぁ……。兄さんの奇声を浴びても平気な人がいるなら、その人の爪の垢を煎じて飲むよ」
「じゃあ、俺の垢を煎じて飲めばいい」
 グンファは、付着した泥が乾燥して鱗のようになった手のひらを、唐突にユンファの顔に突きつける。
「うわっ、汚い。垢っていうかもはや泥しか見えないよ」
 ユンファは慌てて起き上がると、逃げるように洞窟を飛び出した。
洞穴を出ると、雲一つない、突き抜けるような青空が二人の眼前に広がっていた。
体温を内側からはぎ取っていく冷涼な秋の寒風に、ユンファは思わず身震いをする。
「寒いのに、よく昼寝なんかしてられるよな」
 どんな天候だろうと昼寝をするユンファに呆れつつも、少しばかり羨んだ。そんな図太さが自分にも欲しかった。
「寒いよ。でも昼寝はしないとね。昼寝を怠り続けると体の免疫が弱くなって、思考力とか判断力が落ちて、なんか、こうとにかく死に至るということは医学的に証明されているからね」
「医学の知識なんてないくせに偉そうによ。昼寝していても腹は膨れねぇ。仕事行くぞ、仕事。金さえたまれば医学の本の一つくらい買えるかもしれねぇ」
 グンファは仕切りなおすように手を打ち鳴らすと、ふもとの街、束草に向けて坂道を下り始めた。
「ソクチョの町まで歩いて二刻、下見前に日が暮れたらお前の昼寝のせいだからな。って今日は言わないんだね、意外だ」
ユンファは茶化すようにグンファの口調を真似ながら、兄の後を追って歩き始める。
「うるさい、走るぞ。先に街についたほうが今朝獲ったサワガニ全部だ」
 言い切る前にグンファの足は加速を始めていた。
「ええ、ちょっと嘘でしょ。待って兄さん、ずるっ。走れないの知ってるくせに」
 途端に余裕をなくしたユンファは、びっこを引きながら、必死に兄の後を追う。
「冗談だ。ユンファは本当に騙されやすいな」
グンファはすぐに踵を返し、弟のもとに戻ってくる。
「……ねぇ知ってる? 医学によれば、嘘を付くとキモが潰れるんだって。可哀想に兄さん、手遅れだ」
「はっ、ヤブ医者は黙って担がれとけ」
何気ない、いつもの光景だった。
彼らがこの山に捨てられて約半年が過ぎた。青々と茂っていた緑林はやがて、赤に黄色に山吹色に、華やかにその身を彩らせ、そして枯れていった。
 冬が、迫っていた。


ある夜のことである。
束草の街はずれにぽつんと建っている、ある商人の家があった。そこにはボムチョルという名の商人が住んでおり、妻子と共につつがなく暮らしていた。
決して富があるわけでもなく、家の造りを見てみると、何の変哲もない瓦葺きの屋根に、年季の入ったオンドル床、そして地味な大門とごく一般的な韓屋であることは明らかであった。
商人でありながら、人格者で誠実なボムチョルは、人々からは敬われ、また親しまれていたが、自分に厳しく欲を律し過ぎてしまう彼は、表情が豊かではなく、接客で微笑むことはあっても、心底喜んだということは久しく無かった。
 しかしそんな堅物の彼でさえ、頬の筋肉がだらしなく弛緩してしまうほど喜ばしい行事が、目前に迫っていた。
八つになる愛娘の誕生日である。
  娘は生まれつき目が見えなかったが、この度、ボムチョルは商人の伝手で、清の豪商から万能の秘薬を取り寄せることが出来たのだ。
ようやく、娘にどんな絵画にも勝る美しい色彩を贈ってあげられる。そのことが、この上なくボムチョルの胸を高ぶらせた。
ボムチョルはその日のために上質なかんざしを、絹織物や桐製の木箱で丁寧に梱包し、そっと箪笥にしまいこんでいた。
 そして大金をはたいて買った秘薬を、祭祀具と共に仏壇に供え、祈りを込めた。
生まれてくれてありがとう。育ってくれてありがとう。そしてどうか、来年の春には、福寿草の花が咲き乱れた雪岳山の景色を、娘と共に拝むことが出来ますように、と。
日も暮れてまだ間もなかったが、早々に床に就き、わずかにひらけた窓の隙間からぼんやりと空を眺めていると、深藍色に染まった雲の間から、流麗に弧を描く上弦の月が煌々と光が照らしていた。
そういえば、普段より幾ばくか夜鷹の鳴き声が騒がしいようでもあったが、幸せで胸がいっぱいのボムチョルはさして気にも留めなかった。
チョゴリに身を包み、嬉しそうにはしゃぐ娘の姿を想像しながら、ボムチョルは来たるべき明日に備え、静かに眠りについたのだった。


「……で、今度は何をかっぱらってきたんだ」
 露店で賑わう大通りの喧騒から、やや外れた路地裏の暗がりの中で、怪しげな中年男が小汚い子供達と何やら話し込んでいた。
「まず見なよ、この高そうな木箱。これだけでも、四両は下らないだろ。あの狸ジジイ、金目の物には興味ないふりして、こんな豪華なもん隠し持ってやがった」
 みすぼらしい身なりの少年が男に応じる。
「兄さんの言う通りだ。絹が八両、かんざしは三十両するだろうね。でもなんでかんざしなんだろう。奥さんにでもあげるつもりだったのかな」
 さらにその隣から、少年の弟が発言をかさねる。
「さあな。ともあれ、せっかくならつけてみろよ、意外と似合うんじゃないのか」
「いらないよ。僕はそんな趣味ありません」
 二人の少年は顔を見合わせて笑う。
 泥にまみれた、汚らしい二人の盗人。二人はこうして金を稼ぐことで、山暮らしからの脱却を図っていた。
 冬の山は、娘の笑顔などでは乗り切れない。より多くの、尚且つ迅速に、資金を手に入れなくてはならなかった。
「てめぇら、勝手に騒ぐんじゃねぇ。四両八両と簡単に言うが一両ありゃあ米俵が丸々買えるぜ。三十両なんて到底しねぇな、このかんざしは」
 水を差された二人は途端にしょげかえった。
「でもよ、本当に金が要るんだ、おっさんもわかるだろ」
 グンファは必死に訴えるが、男が意に介す様子はない。しかし、何かを思い出したのか、わざとらしく手のひらを打った。
「そんなに金が欲しいのなら一つ耳寄りな情報があるぜ、聞くか?」
二人は不審そうに男の顔を凝視していたが、誘惑に負けたのか、無言で先を促した。
「なあお前ら、幻の人参のうわさは聞いたことあるか? たった一本の人参をちびっとかじるだけで、どんな怪我も、どんな難病もたちどころに癒えちまうってな話なんだけどな。その人参は橙色じゃねえ真っ白な見た目なんだとよ。聞くところによりゃあ清の仙人がうっかりなくしちまって、あれよあれよという間にこの地まで流れてきたらしいんだが、誰も消息がつかめねぇ。でもよ、俺は知っちまったんだ。今、この束草にその全能の人参があるらしいってことをな。とはいえ、誰の手に落ちたかまではまだ掴めてないが」
「人参……か」
 単語に引っ掛かりを覚えたグンファは、唇を指でつまみながらしばらく考え込んでいたが、ふと合点がいって目を見開いた。
「そういや今日入った家に、妙に丁寧に供えられた根っこみたいなやつがあったが、もしかしてあれか?」
「……ふむ、断言できないが可能性はあるな。お前さんの目が確かだったらの話だが。なんたって幻の人参だ」
「まあでも、一度盗った家には行かないのが常識だろ。警戒されっからな。おとぎ話を信じるには危険度が割に合わねぇ。俺は下りるよ」
 グンファは、右手をひらひらと左右に振った。
「……そうか。ま、明後日までにはこのかんざしと箱の査定が出来るから、それまでのお楽しみだな」
男は意地悪く笑いながら、かんざし入りの箱をグンファの手から取り上げた。
「ちぇ、わかったよ。さ、帰るぞユンファ」
 グンファが踵を返したので、ユンファもそれに倣う。
 男は二人が去っていく後姿を何故だかもどかしそうに見送っていたが、抑えきれなくなったのか、ついに二人を呼び止めた。
「おい、ちょっと待てお前ら。もう一つ話があるんだ。まあ聞いて行けよ」
「まだあるの? さすがにもう……」
「いや、聞こう。なんだ」
気怠そうなユンファを制し、グンファが訊き返した。
「いやな、その……お前らは洞窟に住んでるんだったよな。もうすぐほら、冬が近いだろう。チゲが美味い季節だ。いや、お前らは食ったことねーか、いや、そうじゃなくてだな。もし良かったらなんだが、お前ら俺の」
「俺の作ったチゲを食ってみないか、絶対美味いから。だろ? もうその手には乗らねーよ」
 グンファは男が言い終わるのを待たずに言葉をかぶせると、得意げな目線を男に送る。
「……。ばれたか」
「当たり前だ。この前食ったポシンタンはドブみたいな味だった。もう二度と騙されねー」
 そういって、グンファは笑った。

大通りの雑踏を背に、住処である雪岳山へと歩を進めながら、グンファはこみ上げてくるような焦りに駆られていた。
理由はあの、闇商人の男のおかしな態度だ。あんなに動揺している彼をグンファは初めて見た。普段は言わないようなことを突然口走ったかと思えば、二人を舐めまわすような視線で凝視し、そのあとも歯切れの悪い物言いが続いた。
グンファの懸念は確信へと変わった。あれは見抜いている。
——ユンファの足がもう使い物にならないことを。
そう、現在ユンファの体は得体のしれない病気に侵されている。最初は足にむくみが出る程度の症状だった。
しかし徐々に悪化し、今では激しい痺れと共に歩くのが精一杯で、今回の仕事も、山の往復はグンファに背負われて同行していた。
では、なぜそれを見抜かれてはならないのか。それは、グンファら二人と闇商人の関係が、単なる盗品の取引相手ではないからだ。
彼らの関係は、依頼を受けた闇商人が、身寄りのない子供を使って盗みを実行させ、仕事の結果に応じて子供に報酬を与えるという仕組みの上に成り立っていた。
年端もいかない孤児が、単独で盗品を売って儲けることなど不可能に近い。安定した収入を得たければ、闇商人の仲介が必要になる。
そしてこの関係の軸は、いつでも子供を切り捨てることができる点にある。つまり一度の失敗が命取りになり、見限られたら終わりだ。
さらにこの兄弟は、二人組で行動できるという利を買われていた。片方が駄目になった時点でもう片方も首切りは免れない。無理をさせてでもユンファを連れて行き、闇商人の前では壮健に振舞わせる他なかった。ゆえに、グンファは焦っていたのだ。
背中で気持ちよさそうに寝息を立てる暖かなユンファのぬくもりは、しかし胸中に安らぎを与えるどころか、かえってグンファの焦燥を加速させていった。

洞窟に着き、ユンファを寝かせ、また自らも藁敷きの寝床に身を委ねる。
眠れるわけがなかった。目を強くつむっても、何度寝る体勢を変えてもそれは変わらなかった。緊迫した諸問題が脳裏に浮かんでは消える。

悪化の一途をたどるユンファの病状
切り捨ての危機
もはや誤魔化しきれないほどの外気温の低下
底が見える貯金
あげていけばきりがない

医者になりたいユンファ
山に捨てた非情な親
半年の山暮らし
今朝獲ったサワガニ
ポシンタン
チゲ
…………幻の人参

時刻はおそらく子の刻過ぎ。夜明けまでにはまだ十分の時間が残されていた。

あくる朝。目を覚ましたユンファは、グンファの姿がないことに気づく。黙って出ていくというのはよっぽどのことだ。普段なら、あの耳障りな大声で起こしに来るはずである。
しかし利口なユンファは、いま自分たちが置かれた状況や、直近の会話、兄の性格などを総合的に判断して、グンファは幻の人参を盗みに行ったのだと察することができた。
兄が自分に黙って出かけた理由は想像に難くなかった。
そう考えるとユンファは涙が出そうだった。
グンファは、きっと人参を取って帰ってくるだろう。金に換える為ではなく、弟の病を治すために、一本丸々食べろと言うに違いない。見捨てればいい。ただそれだけで幸せになれる。なんて非合理的で、意味のない行為なのだろうか。
……馬鹿な兄さん。だから大好きだ。ユンファは改めてそう思った。

ユンファは、何も思案を巡らさず、ぼんやりとした表情で洞窟の岩肌を眺めながら、黙ってグンファの帰りを待つことに決めた。
そうして、兄の帰りを待ち始めて半刻ほど経った頃だった。
山間から不意に聞こえた人の足音と話し声に、はっとなってユンファは即座に辺りを警戒する。
どうやら三人ほどの集団がこちらに近づいてきているようだ。
逃げようか逡巡したが、もはや遅かった。運良く通り過ぎてくれるか、もし来られても相手に敵意がないことを祈るしかない。
案の定、その三人組は洞窟までやってきた。
「先客がいるみたいだな。よう坊主。調子はどうだ」
 えらくガタイのいい髭面の男が、入り口をのぞき込みながらユンファに向かって話しかける。憶測だが、この男が三人の中心とみて間違いないようだった。
「……ここに住んでんのか。俺は到底ここで冬を越せるたぁ思えねぇけどな」
 大柄な男は、洞窟の中をぐるりと見渡しながら言う。
「……何者だよ、あんたら」
 ユンファは排他的な態度で、しかし内心恐る恐る口を開いた。
「ああ、俺たちはマタギなのさ。ほら、もうすぐ冬になるだろう。熊が冬眠してしまう前に、下見をしに来ているんだ」
 今度は隣にいた細身の若い男が、いつの間にか座っている髭面に倣って藁敷きの床に腰を下ろしながら、ユンファの問いかけに応じた。
「そういうこった。坊主は一人か? それともなんだ、誰かいたがおっ死んじまったか。健気なこったねぇ。こんなくそみてぇな洞窟で一人、ひもじく質素に暮らしてるってんだからよ、大したもんだぜ」
 髭面がそれに乗っかる。見透かしたような物言いに、ユンファは腹底から沸々と込みあげてくる憤りを感じずにはいられなかった。
「違う、兄さんがいる。僕の兄さんはあんたらの何倍もすごい。今だって、あの幻の人参を手に入れに行ってるんだ。一体売ればいくらになるんだろうな、楽しみだよ。少なくともあんたらより、何倍もましな生活が出来るようになることは間違いないだろうけどね」
「こら、落ち着きなさい少年。お頭も言い過ぎです」
 興奮したユンファと悪乗りが過ぎた髭面を、背の高い女がたしなめる。
「ククク、今、幻の人参って言ったな。坊主よ、そりゃあ幻の人参ってのが一体どんなものか知ってて言ってるのか」
 髭面は、たしなめを無視してユンファに問う。
「どうって、真っ白な見た目で、どんな病気も怪我もあっという間に治してしまう人参だろ」
 むしろ、それがどうしたという表情でユンファは答える。
 男はそれを聞いて、にやりと笑みを浮かべる。
「違ぇ、そりゃあ大衆に流れた真っ赤な嘘だ。人参を食うだけで、何の危険も弊害もなく、病気が癒えちまうなんて、そんな都合のいい話あるわけねぇ。貴族も信じちまってるところがこの噂のたちが悪い所なんだけどよ。まあ、お前の兄貴のしてることは無駄足にすぎねぇってこった。だがよ、人参じゃねぇが、どんな怪我も、病気も一瞬で完治しちまう魔法みてぇな食いもんが、いや確かに存在する。誰でも簡単に手に入るもんだ。聞きてえか」
そこでいったん、髭面はユンファの反応をうかがう。明らかに動揺していた。それを確認して、髭面は続ける。
「そいつが何かって言うとな、人間のキモだ。それも生きた人間のな。誰か一人の命まで救っちまおうってんだから、それに見合う対価が必要だ。当然、誰かの命を差し出すくれぇじゃねぇと割に合わねぇ。キモを抜かれた人間は死ぬしかねぇ。誰かを救いたいなら誰かを殺せ。これが幻の人参の正体だ。人間のキモって言うんじゃ直接的すぎるからな、「人参」ってな隠語が生まれたんだろう。それをどっかの阿呆が勘違いして本当に人参ってことになっちまったみたいだがな」
「……そんな、そんなの嘘だ。それじゃあ悪い奴らが人殺ししまくって、そのキモを売れば儲け放題じゃないか。そんな馬鹿な話ないよ」
ユンファは声を荒げて反論する。肯定すれば、グンファの好意が、厚意が、行為が。揃いそろって無駄になってしまう。それだけは、そうなることだけは避けたかった。
「ほう、人参は信じるのに、キモは信じねぇか。まあいい、悪事がはびこらねぇ理由の一つは、出したてを食わねぇと意味ねぇからだ。すぐ腐っちまう。売るのは不可能だ。しかも、
こいつぁ本人の精神状態も影響するからな、キモを与える相手を本当に救いたいと思えなきゃぁ効果がねぇんだ。これが最大の理由さ。しかも、腹を捌くときにコツがいる。刃物を肋骨と平行になるように当ててだな、ゆっくりと挿入するのさ。腸に当たらないように注意して掻っ捌いたらあとは、肝臓を引っ張り出す。だが意外とこれが難しい」
「お頭、そろそろ行きますよ、充分に休めたでしょう」
 背高の女が、打ち切るように言う。申し訳なさそうな視線をユンファに向けながら、髭面に立つよう促す。
「なんなら、兄貴で試してみたらどうだ坊主。お前その足、病に侵されてるだろう。ほら、こいつでザクーッといっちまえ。そんでもって肝を喰らえ。たかだか兄弟なんて、自分の一生に比べたら安いもんだ」
 髭面はそう言って立ち上がりざまに、腰につけていた短刀をユンファのもとへと放った。
鈍色に刀身を光らせるその短刀はユンファの眼前に落下し、チャインチャインと無機質な音を立てた。
 髭面は、洞窟に背を向けてつかつかと歩き始める。背高の女と若者は、互いに顔を見合わせて肩をすくめると、やれやれといった表情のまま髭面の後を追っていった。

後に残されたユンファは、茫然自失の面持ちで一人、洞窟の中にたたずんでいた。
このことを、受け入れがたい事実を、兄にどう伝えるべきなのか。そして、自分たちはこれからどうすればいいのだろうか。いくら考えても、探しても、答えは見当たらない。
じき、兄は帰ってくる。それまでに何とか。そう思うと焦りが焦りを呼び、時だけが無慈悲に流れていった。

兄の声が聞こえた。たまらずユンファは足の痛みも忘れ、洞窟の外へ走り出る。
「兄さん!」
 すると、洞窟へと続く小緩い坂道を、なんと血まみれで苦しそうに這い上ってくるグンファの姿をユンファの視界が捉えた。
 理解が追い付かない頭など構わずに放置し、ただ兄のもとへと駆け寄る。
 グンファの腕を肩に回し、その体重を受け止める。足にかかる負荷に表情を歪めながらも、支えるようにして慎重に洞窟まで付き添い歩く。
 苦しそうに息を漏らすグンファのわき腹には、生えるようにして矢が貫いていた。その周囲からは、燃えるように赤い鮮血がとめどなく溢れている。
 そして何よりも、グンファの手には見事な純白の人参が、大事に握りしめられていた。
 それを見てユンファは涙を流した。唇を一文字に伸ばし、目をぎゅっとつむり、染み出させるように静かに泣いた。どの感情が涙として出てきたのか当のユンファには説明もつかなかった。何もかもが混然としていて筆舌しがたい感情だった。しかし胸中はすでに飽和していた。ありとあらゆる想いがあふれ出て、ユンファは泣いているのだった。
「……、ハァッ、ハァッ、……くそ、しくじった。最後の最後で見つかっちまった」
洞窟の壁にもたれ、だらりと座り込みながら、グンファは自虐的な笑みを浮かべた。口からは血が滴り、一本の糸となって口元を赤く染める。
「無理して喋らないで。止血するから。えっと……あれ、どうすれば血って、あれっ」
ユンファは半泣きのまま、必死にグンファの腹を抑えるが、想い虚しく一向に血の流出が収まらない。
 グンファは、その様子を見て少しばかり微笑むと、その手をそっと払いのけ、首を横に振った。
「まあ見ろ、この人参を。ふふ……やった、俺はついにやった。幻の人参を……手に入れてやったぞ」
 そして勝ち誇るように戦利品を眼前に力強く掲げる。しかし、対照的に今にも崩れ落ちそうなほど弱々しい眼差しが、その軒昂としたグンファの態度より儚く印象付けた。
 ユンファは伝えたい。幻の人参なんて本当は無いという事を。嘘っぱちだという事を。
「これで……お前は自由に歩けるんだ。良かった、本当に良かったなぁ……。お前の足が治ったら何をしようか……。また一緒に仕事ができる。はは……稼ぐぞ……。それで金を貯めて……立派な屋敷に住むんだ」
ユンファは伝えたい。兄に自分の足がもう治らない事を。無駄骨を折ったのだという事を。
「それから、美味しいチゲを一緒に食べよう。医学書を買いに行こう。夢が広がるなぁ。そういえば……今日はお前の誕生日だったな。かんざしなんかより、……もっと素晴らしい……俺からの贈り物だ。誕生日おめでとうユンファ」
やはり、言えなかった。
「ありがとう。美味しい、美味しいよ」
ユンファは、兄の血液を纏った幻の人参を生のままがむしゃらに頬張る。土臭い香りと、鉄錆の味が、口いっぱいに広がる。
 そしてその強烈な風味に思わず出たえづきも、先程から泣き続けて止まらない嗚咽すらも構わず、口内に人参を詰め込んでは咀嚼し、飲み込んでいく。
「見てよ、すごい! ……足が……こんなにも軽い……。こんなにも……」

 こんなにも、ユンファは兄が大切だった。グンファが生きて、グンファが幸せになることを何よりも強く願っていた。
ユンファは縋るようにして神に祈る。どうか兄を救ってほしい。合わす手に力を籠め、想いをひねり出すように強く念じる。
ふと、視界の片隅に、猟師の残した短刀が映った。
猟師との会話が、ぎゅるぎゅると頭を巡る。

 人間のキモだ……

 本当に救いたいと思うことが……
 
 こいつを直接……

ザクーッといっちまえ。

捌くときにコツがいるんだ。
 
肋骨に平行に、ゆっくりと……

「大丈夫、やれる。僕は医者の卵だからね」

 ユンファは震える手で転がった短刀を拾い上げる。
もはや恐れはなかった。そういったやましさはすべて流しきっていた。
ただ体は臆病だった。尖った刃先を腹部にあてがうと、筋肉が強張ったのか、捻るような痛みが走った。情けなかったが、これから来るであろう痛みがこれで緩和されるならと、半ば強引に思い直した。
勢いよく、なおかつ正確に、短刀をわき腹に刺し込む。ぐぷぐぷと、生々しい音を立てながら、銀色の異物が体内を侵していく。同時に意識が飛びそうになるほどの激痛が神経を駆け巡る。下唇を噛んで必死に意識を保つ。想像の何倍もそれは苦痛に満ちていた。気を強く持たなければ。兄は同じような激痛の中、人参を持ち帰ったのだ。ユンファはそう思うことで己を奮い立たせた。
それから半刻ほど、ユンファは自らの身体と格闘を続けた。燦々と照っていた日が陰り、暗雲が空を覆い、疎らに降り始めた雨の勢いが増した頃、ようやく肝臓が姿を現した。
ユンファはそれを見て、達成感に満ちた笑みを浮かべる。
しかし、言わずもがなユンファの身体からは多くの血が流れた。鮮血は赤い座布団となって彼の周囲を色濃く染めている。もう時間は残されていなかった。
ユンファは、判然としない意識の中で兄の姿を探し始めた。首を大きく横に振り、必死に視野を確保する。
……あそこだ。ぼやけて霞む視界が、辛うじてグンファの輪郭を捉えた。
もはや立ち歩くことは叶わない。体を伸縮させ、芋虫のように這い寄っていく。
 縋るように伸ばした手が、グンファの身体に触れた。
 ―――冷たかった。すぐに判った。いつも背中で感じていた兄のぬくもりは既に存在しなかった。少しだけ、ほんの少しだけ、傍に寄るのが遅かった。
 ユンファの口から押し出されるように息が漏れた。皸(あかぎれ)た下唇は、左右に伸び切って顎下に大きな皺を作る。
「ほら、兄さん。口……開けてよ。これね、僕のキモ。頑張って取ったんだ。……気持ち悪いし、なんかニチャッてしてるし。これぞ度肝を抜かれるって、なんちゃって……。ねぇ頼むってお願い、サワガニとか……全部あげるし、爪の垢でも、なんでも飲むからさぁ……」
 ユンファは血まみれの手で、自らの肝臓を必死にグンファの口にあてがい、中に入れようと試みる。しかし、それは何遍やってもそれは空しく頬を伝い落ちるばかりだ。
 ユンファは泣き崩れた。声にもならない声を上げて、救いを求め叫び続けた。
 しかし、その悲痛ともいえる嘆きは、誰に届くこともなく雨音にかき消される。
「兄さん……僕は……」
ユンファは、掠れた声で何かぽつりと呟くと、逝った。
ふっ、と何かが途切れるように。痛苦に抗い続けた肉体は、軽やかにその身を放たれて柔らかく地面へと身を委ねる。
グンファを右手に、ユンファを左手に。寄り添うようにして二人の亡骸が並ぶ。流した血は混じりあって溶け合い、隔たりを絶やした。
壮絶な死を遂げた二人の亡骸。片や脇腹を矢が貫き、片や肝臓が繰り抜かれ、すべからく惨憺(さんたん)とした様相を呈している。
しかしその見るからに痛ましいその遺骸は、目を背けたくなるような厭悪も憂鬱も微塵も感じさせはしなかった。互いに向かい合う二人の死に顔は、まるで母親の夢でも見ているかのような安らかな穏やかさを纏っていた。
いずれ風向きを変えた篠突く雨は、その混ざり合った血溜まりをも流してしまうだろう。
 やがて雨は止み、大地を潤したその水の粒たちが陽の光を受けて燦然と輝く頃、その煌びやかなまばゆさで照らされた二人の亡骸を見た者がいるとするならば、きっとこんな感想を抱くことだろう。
 やあ、これは仲睦まじい兄弟の昼寝だなあ。と。


「お頭、どうして……。なにもそこまでしなくてもいいじゃないですか」
 洞窟を後にし、再び山道を歩き続けながら、細身の男は不服を隠し切れないといった面持ちで、髭面に申し立てた。
「ああ? ガキを煽ったのがそんなに不満か」
 髭面はうっとうしそうに答える。
「違いますよ。なにも……、あんなに高価な短刀をくれてやらなくてもいいのに、と言ってるんです」
 国内屈指の名刀が、どうやら彼は惜しいようだ。
「はん、あのガキの病、あれはただの脚気だ。食うもん食って栄養つければすぐに良くなるぜ。金ぴかの棒切れなんぞ、マタギには必要ねぇよ」
 髭面はそう言って豪快な笑顔を見せた。
「もう……素直に短刀を金にしろって言って下さればいいのに。なんなら今からでも戻って伝えますか」
 眼帯の女がすかさず横から突っ込みを入れる。
「……いや、あいつらは上手くやるさ。こんなさびれた山で生き抜いていけるんだからよ」
「はいはい。わかりましたよ。まあ、お頭のそういう素直じゃない所、嫌いじゃないですけど」
いたずらな笑みを前に、髭面は思わず頬を掻いた。それを見て、二人は楽しそうに笑う。冬目前の雪岳山は、閑散としていたが、彼らの周りは枯れ木も山の賑わい、暖かな陽気に包まれていた。




「浮かない表情だな」
 束草の郊外にある、のどかな雰囲気の小さな農園に一人の男の姿があった。
 逞しく黒光りしていた髭も、今となってはすっかり白くなってしまった髭面である。
 髭面は鋤や鍬などの農具を荷車に積みながら、荷台にもたれて雪岳山の方角を眺める背高の女に声をかけた。
「今頃、あの子たちもこの景色を見れていたと思うと、やるせなくて……」
 すると髭面は、荷車から三叉鍬を取り出して、背高女の眼前に掲げた。
「……マタギっつう呼び名の由来はよ、叉槍を振り回し鬼のように獲物を追うからって意味の【叉鬼】から来たらしいがな。俺にとってみりゃ、跨ぎ。つまり死を跨ぐってことでもあると思ってる」
「急になんです。口説いてるんですか?」
「……それも悪くないが、まあ聞け」
 髭面は鍬を荷車に戻し、同じように荷台にもたれた。
「例えば熊を縄銃で撃てば、熊そのものは確かに死ぬ。だがどうだ、肉は糧に、胆は薬に、毛は衣になるだろう。名も形も変わり果てちゃあいるが、それでも大地にはしぶとく残り続ける」
「それは、……でも言ってしまえば当たり前のことでしょう」
「そうとも。俺はただ、当たり前の話をしているんだ。あいつらの流した血は川や雨になり、いずれ俺やお前の血にもなる。肉は小虫らの食卓を作る。大いなる痛みを経て、死を跨いだ先にあるのは、新しい命。死というのは、裏を返せば出産でもあるのさ」
 髭面は荷車を離れて、ゆっくり歩きだした。
「はぁ。それで結局、何が言いたいんです」
 背高女は釈然としないまま、背中越しに訊いた。
「つまりあいつらは今、ここにいるってことだ。……よく見ろ。そして耳を澄ませ。空と、山と、川と、森と、海と、胸の奥にもだ。ああ、それから……」
 髭面はおもむろに背を曲げると、足元に生えていた青草をおもむろに引き抜いた。

 ——ここにも。
 
 髭面の手には、日暮の暁にも似た、茜色の根菜が握られていた。



 福寿草が花開いた。福寿草の花は、雪岳山に春の訪れを告げる伝令士だ。柔らかな春の日差しを全身で受け、嬉しそうに踊りだす。すると雪岳山は冬の間のそっけなさが嘘だったかのように、満開の花束と共に陽気な春のひと時を演出するのだ。今年も、この季節がやってきた。
 ふと、軽やかな春風に乗って少年の咆える声が聞こえたような気がした。
慌てて振り返ったが、そこには春に酔いしれた様子の雪岳山が、笑みを浮かべるばかりであった。

幻の人参

執筆の狙い

作者 舞麻
ai126198082165.60.access-internet.ne.jp

悲劇と死生観がテーマです。昔上げた物の推敲版になりますが、感想よろしくお願い致しします。なお、PCの調子が悪く、段落が所々おかしい部分があります、申し訳ありません。

コメント

柔らかい月
n219100086113.nct9.ne.jp

これ、初UPの時にも見ていて・・ 感想も書いた気がするー。


ここのサイトは、こうした「陰々滅々、スプラッタ、救い無し〜」な話に甘い評価つける古株が多かったんだけど、
個人的に《そういうのが好かん》ので、この話は嫌いだ。
(なので、ストーリー概要だけざっと把握して、細かいとこはすっとばし)


「ただただ陰惨で、どこにも救いがない、どうしようもない話」も、世の中にはあるもんだし、書かれてもいる。
いるんだけど、そうした話は、
《読者層とカテゴリを明確にして、「陰惨の程度」を加減して書かれている》場合が多い・・気がする。
(『ベルセルク』とか嫌いでついてゆけなかったけど、《あれはああいう話》で、《突き抜けていた》から、感服するほかなかったし)


本作は『火垂るの墓』と大筋も根本も似てて、、、言うなれば「究極状況に置かれた少年のピカレスクロマン」?

『火垂るの墓』もトラウマ級に苦手(厭)だもんで、コレも厭なんだけど、
『火垂るの墓』は、視聴者が『ああ、この主人公はこうなるしかなかったのかー……』って、厭が応にも納得させられるし、その納得度が凄まじくて、
《どうしようもなかった加減》に滂沱する。

そこは『フランダースの犬』と共通。
(ネロはひたすらいい子で、ピカレスクじゃないけども〜)

『フランダースの犬』最終回で刺さるのは、〔ネロが死んだ後、本当は彼の絵がコンクール一等賞であったと、審査員の一人が伝えに来た場面〕。
アロアと視聴者だけがその事実を知ってる。ネロはもういないのに。。


本作も、【髭面が少年に劔を与えた本当の意図】でさらっと締めて、「よけいなこと」は排除した方が「まとまり感」は出るのじゃないか??

しかしその【髭面が劔を与えた意図と、話っぷり】がもう、、、
「少年を破滅に向かわせる気満々の、不親切で迷惑極まりない、余計ごと」にしか、読者には思えねぇから、、、

真相明かされても
「後出しで何とぼけたこと言ってんだよ〜〜!! もっと分かりやすく、どストレートに言わなきゃ、伝わる訳ないじゃん!!」って 憤りしかない。

相手子供じゃん。もうちょい分かりやすく伝えても、バチは当たらんじゃん。



そのへんで、「作者自身、話の全容が見えていない」(視野狭窄になってる)感じが強すぎ! だから、

「余計ごと」「冗長」「ヘンテコ」「蛇足」は、もっとしっかり刈り込んで、全体をシンプルにした方がいいかな。

夜の雨
ai214213.d.west.v6connect.net

「幻の人参」読みました。

原稿用紙38枚の作品でした。
作者さん、物語を創るのがうまいですね。
二人の兄弟が親に捨てられ山の洞窟で暮らしているところから、盗みで生活をしていて悪徳商人に騙されて自滅していく姿がよく描かれていました。

ラスト近くでマタギが現れて大人気なことをするのですが、子供に通じるような話し方をしなかったばかりに悲劇が起きる展開は、構成的にかなりうまい描き方でした。

これらは登場人物のキャラクターが個性的に動いているからこそできる代物だと思います。

描写などもうまくて、御作はこれはこれでよいのではないかと思いましたが。

ただ、内容が幼い兄弟が大人に振り回されて亡くなっていくという悲劇なので、好まない読み手が結構多いのではないかと思います。


作者さんの実力はこちらの作品を読めば充分にわかりますので、題材が大衆受けする物を描けばよいと思いますが。
悲劇よりも楽しめる物のほうがよいのでは。
冒険物とかファンタジーとかいろいろと書けるのではありませんか。
ある程度長い物になれば、現代と今回の御作のような時代とを結ぶ話とかも書けそうだし、それに人間の描き方次第で新しい世界観の作品も作者さんの実力なら書けるのではないかと思います。

あまり今回の作品にこだわらず、斬新な作品創りを目指してください。
そうすることにより、今後の創作活動に面白味が現れるのでは。

のべたん。
58-3-145-124.ppp.bbiq.jp

後半からの陰惨な展開に胸が締め付けられました。陰惨な展開は、胸糞だから悪い、という訳ではなく、むしろ読み手の感情を動かすことのできるこの作品は、良いものだと個人的には思います。

グロいシーンに必要な文章力も高く、読ませる作品でした。

ですが、マタギたちのやりとりは、少し説明臭く感じました。理解できない読者のためのシーンだということは、よくわかるのですが。削って読者の想像に任せる手もあるかも、と感じました(偉そうにすみません、)


執筆お疲れ様でした。

陽炎のようね
p0135770-vcngn.hkid.nt.adsl.ppp.ocn.ne.jp

細かく見ると良くできていると感じる部分が多いんですけど、ちょっと引いて見ると、どうもバランス悪く感じられる。

・痩せて人相が変わり、布切れを辛うじて巻いているだけで吠えるという、かなり心身ともにヤバい状態のわりに
 会話が軽妙すぎる
・境遇と医学という言葉がかみ合わない
・異常にきっちり説明された商人さんは、きっとキーマンと思ったら使い捨てだった
・肝の会話がかなり物語都合で強引な印象。長い。
・にんじんはさくっと妄想をはぎ取るのに、肝は信じて切腹。
・事が終わった後の種明かし会話が、説明し過ぎで長くて興がさめる感じ。

このように感じました。

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