作家でごはん!鍛練場
5150

スイーツ効果

 
  希望退職という形での書類に、坂木傑(すぐる)は署名をした。書いたあとにペンをふと止めたら、会社の人事部の男が口元に笑みを浮かべていた。傑は横目で見る。会社側の勝ちだ、といわんばかりの表情を浮かべていた。
 傑はここ数週間ほど寝つきの悪い夜が続いていた。上司と人事部からの数度に渡る面談のためだ。言葉巧みに遠回しに言葉を包み込み、あなたはもう会社には必要とされていない、という暗に込めたメッセージを送り続けてくるのだ。
 四十一歳の傑は希望退職に応募する気は最初なかった。会社側から説明だけでもしたいといわれた。会社に残留しようと決めていたものの、そこまでされてなお居残ることは難しく感じられるようになった。
 会社に尽くしてきたと信じて疑わなかった傑は、入社以来これまで築き上げてきたものを失ったように思えた。名刺はそこそこ知名度のある会社であり、そこに自分の名前が記されていることが誇りだったが、傑はすべてがどうでもよくなっていた。
 何かがポキっと折れる音を聞いたような気がした。
 会社の業績が悪化しているのはもちろん知っている。それは妻の美登里(みどり)との仲が上手くいっていないのと同じくらい、傑にとっては以前から承知の事実だった。会社のことについて、傑は美登里には一切話さなかった。家に帰って美登里と顔を合わせていると、一切が他人事のように思えてしまうのだった。
 会社での退社が決まったその日、せめて家に帰ってきたら妻の美登里が優しい言葉を夫にかけてくれるかもしれないと、心のどこかで期待しての帰宅だった。
 美登里はソファにだらしない格好で座り込み、チョコポッキーをボリボリと齧りながら、韓国ドラマを観ていた。テレビ画面に映っている顔のやけに整った韓国人俳優ばかりを見つめていて、帰ってきた傑の顔さえもろくに見ようとしない。
 リラックスしているのは大いにけっこうだが、テレビからの音よりも美登里の食べるポッキーのポキッ、ポキッ、ポキィという音が、傑の癪に触るのだった。ポッキーは美登里の大好物だ。
「そんな韓国ドラマのどこがいいんだよ」と、傑は当てつけるようにいった。
 すると食べかけのポッキーが飛んできた。
「私だって疲れているんです。これ観てると落ち着くんだから、邪魔しないでよね」
 表面上では今までやってこれたように見えるが、妻との仲は冷えている。傑は他に男がいるのではないかと、ずっと思いながらも見ないふりをしばらく続けてきた。
 美登里はパートに出ていて、前々から何だか怪しいのではと傑は疑っていた。よそよそしくなる態度に、趣味が変わったと思える服、やけに気にするスマホなどなど、細かいところを上げればキリがない。いつからか韓国人俳優の肩を持つようになったのも気にいらない。
 そんなわけで美登里には今日退職してきたなどとは、どうやっても切り出すことができなかった。その夜、どうやって喧嘩に発展したのかさえ、傑には思い出せない。テーブルの上に置いてある美登里の好物のポッキーが、無造作に放り出されているのを見ていたら、傑はむしゃくしゃしてきた。
「なんでそんな大事なこと、私に言わないのよ。ねえってば。そうやって都合悪くなるといつも黙るんだから。じゃあ、私たち明日からどうするのよ? 会社都合だし失業金が出るにしても、私のバイト代合わせても、やってゆけないかもよ」
 頃合いを見計らい会社を辞めた事実を告げようとしていたら、最悪の形で露呈してしまった。
 美登里の怒った顔から傑は目を背ける。眉間に皺を寄せる怒るときの、よく見知った美登里の表情が、年々きつくなってくるように感じられた。
「前々からだったけど、私はもう限界が来ました。ここを出ていきます」と、美登里がきっぱりといった。
「出ていくって、おい、いきなりか」
「いきなりも何も、ずっとそうだったじゃないの」
 さっそく、スーツケースに着替えを詰め込んでいる。
「実家に帰ります」
 そういわれて傑はどうすることもできなかった。短いスカートを履く妻の剥き出しになった脚を、ただ後ろからうらめしそうに見ているだけだった。
 ドアが閉まり美登里が出て行った。一人とり残されると、オレはもうおしまいだという気分になった。仕事を失い、妻が去った。
 いっそのことガラス戸を開け、ベランダの向こう側へと飛び降りてやると思ってみた。しかしそこまでできる勇気は持ち合わせてなかった。
 ため息をついて冷蔵庫を覗いてみる。買い置きしてあるはずのビールがない。冷蔵庫を開けたまま扉を手で持ちながら、もう一つため息を漏らした。そうすることで、ないものがどこかから出てくるとでもいうように。
 傑は薄いジャケットだけ肩にかけると、すでに真っ暗な外へと出かけた。

 夜でも車通りの多い街道へと足が向いていた。霧雨が降っていて視界は悪い。
 横断歩道のところにいると、前方には赤の信号を待っている一人の女の姿があった。
 傑の前で一人立っている女の身体が前方へのっしりと動いた。青に変わったものだと傑は思い、つられて身体が出そうになった。
 ギュー、とけたたましい音が聞こえた。急スピードで右折してきた車の音が傑の耳に響いた。前方の信号機はまだ赤のままだった。とっさに傑は自分の腕を突き出して、ふらついた前の女をつかもうとした。車だ、危ない、と叫んでいた。
 後ろから女性の肩を掴んだ形になり、女性は身体をよろけて倒れこんだ。
 起き上がった女性の膝から血が流れていた。傑は慌ててポケットを探り、ティッシュを差し出す。
「膝から血が出ている。ほら、向こう側の喫茶店に行って絆創膏をもらおう」
 道を渡ったすぐのところにある喫茶店へと入った。傑は事情を告げて、店員から絆創膏をもらう。それから洗った傷口へと絆創膏を貼った。
「これでとりあえずは大丈夫だな」
「本当にありがとうございます」
  窓際の席で相向かってちょこんと座っている女は、ペコリと頭を下げた。ツヤツヤの長い髪は小雨に降られて濡れていた。ずっと外にいたかのようだ。終始下を向いていている。
 きしゃな体躯をしているのが、紺のシャツを着ている上からわかった。骨つきのいい美登里とはまったく違う体型だ。
「あの、本当にありがとうございました。私、その、ついうっかり考えごとをしていて」
「ああ、そんなの誰にでもあるさ。俺だって、今日はツイてない日だったからさ」
「ツイてない日だったんですか?」と、女は傑の顔を見た。
「ええ、まあ、リストラにも合ったし」
 名目は自分で辞めた形だが、これは実質的なリストラだし、簡単なので沙織にはそういっておいた。傑は苦笑する。長年連れ添った美登里には何もいえなかったくせに、こうして見ず知らずの若い女の子を前にすると言葉が出てくるなんて。
「ホント、人生っていろいろありますよねぇ。私も、つい人生のことについて考えちゃたりしてました」
 それには答えなかった。
「なあ、ちょっと食べてもいいかな、なんかお腹空いちゃってさ。ほとんど食べてなかったから」と、傑はいってみた。
「ええ、もちろん。私もお腹が空いてきちゃいました」
 と、髪の毛でふさがりぎみの顔を上げて、嬉しそうに頷いた。
 この喫茶店は昔よく美登里ときていたことがあって、傑にとっては少し懐かしい場所だった。気がついたら、いつからかいっしょにはこなくなってしまっていたが。
 美登里は甘いものが大好物だ。きつくなったスカートはみんな甘いもののせいにしていた。エクササイズをしないからでもなく、自分の年齢のせいなんかでもなく。
 美登里がここのレモンケーキが好きでよく食べていたことを思い出した。あの頃は傑も美登里につられて、やれティラミスだの何だのと美登里といっしょに食べたものだった。
「俺はサンドイッチ頼もうかな。あ、ところで、あなたの名前は?」
「沙織といいます」
「傑です」
 沙織に名刺を渡そうとして財布に手をかけてから、傑は苦笑いした。長年の癖だったが、いざ無職になってみるとかなりこたえる。
「えーと、私、あの、甘いの食べちゃっていいですか?」
「あー、そんなこと気にしないでどんどん食べて下さいよ」
「しばらく甘いもの食べていなかったんです。ずっと食べられなくて。でも、長い間つっかえていたものが、何だがとれた感じがします。だから、お言葉に甘えて」
 そういうと沙織は嬉しそうに、メニューを広げる。沙織はメニューをまるで、何かの取り扱い説明書みたいに目を通してから、ニューヨーク・チーズケーキを注文する。
 皿に乗ったニューヨーク・チーズケーキが早々運ばれてきた。
「食べたいものを口にできるのって、何気ないことですけど、とっても素敵なことですよね」
 ベイクトしたもので、上部があるこんがりとキツネ色にしっかりと焼けてある。三角に切られた断面はきれいな黄白色をしていて、外側は対照的に茶色くて少し盛り上がっている。ベース生地の部分は厚く、王道といっていいだろう。
 フォークが入る。適度な硬さで弾力があるチーズケーキがぷるるんと、小さく震える。下にある皿まで届いてカチンと小さな音がした。
「いただきます」
 沙織の頬がゆっくりと上下し、規則正しく動いた。それを見ているだけで、最近それほど甘いものを食べていなかった傑も、食べてみたいなと思わせるくらいだった。
「傑さんとこうしていると、何だか食欲が急に湧いてきました。あ、今日はずっと食べてなかったんですよ。喉にぜんぜん入らなくて」
「今日は何も食べてないって、大丈夫なの。なんかあった?」
「いや、というか……」と、沙織は動かしていたフォークの手を一瞬止める。
「ストレスとか、会社の人間関係?」
「まあ、そんなもんだよな。みんなストレス溜め込んじゃっているしな。俺はさ、ちなみにリストラ合っちゃってさ。ホント、お先真っ暗って感じ。明日からどうしよう、ってさ」
 仕事関係でもなく、美登里の友達でもなければ、知り合いでも何でもない沙織。こうして席をいっしょにしているのが不思議にすら思えた。だからこそ、いいにくいこともいえるのだろうか、と思った。
 傑はトイレに行くために席を立った。戻ってくると、テーブルの上には一羽の鶴がひょこんと場違いに置かれていた。
 何かの紙で作られた折り紙の鶴だった。丁寧に折りたたんで作られている。
「へえー、折り紙したんだ」
「はい、あの傑さん、よかったらこれ、お守りとしてでも持っていて下さい。きっとうまくいくと思いますから。私もここでこんなに美味しいスイーツを、久しぶりに食べさせてくれてありがとうございました。気分がすごくよくなりました」
 確かに外で見かけたときは、幽霊みたいに暗い中でボッーと立っていたけど、今では心持ち血色もいいような気がする。
「あ、それはよかった」
「スイーツ効果です」
「え?」
「甘いものって、一時的な即効性だけは優れているんです。ほら、疲れたときにチョコレート一粒が効く、っていうでしょ。ずっと食べてばかりだとマズいですけどね。それじゃあ、傑さんもお気をつけて」
 傑は沙織と別れた。沙織はまたぺこんと頭を下げる。こうして見ると、なかなかキュートな感じの子ではあった。
「またどこかでお会いしましょうね」と、沙織は別れ際にいった。


 真っ暗な家に帰った。沙織からもらった鶴の折り紙は、玄関を入ってすぐの鍵を置く場所にチューインガムや腕時計といっしょに置いておいた。
 眠くなくてもとりあえず睡眠だけはとらなくてはと、ベッドに入ってみるものの、寝返りを打つばかりで眠ることができなかった。やけに広く感じるダブルベッドで、傑は手足を思いっきり広げていた。
 アラームはセットしていなかったのに、朝早くに目が覚めていた。会社に行かなくてもいいはずなのに、いつも通りの早い時間に起きてしまっていた。
 部屋には一人っきりでいると思うと、ついベッドの中でスマホをダラダラと覗いてしまった。けっこうな時間になっていたのでシャワーを浴びた。それから、何もないはずの冷蔵庫を開けてみる。ラップされた皿を見つけたので開けると、ベーコンとほうれん草のパイが半分ほどあった。美登里が作ってくれたものだった。
 何だかとてもご馳走に見えてきた。チンして食べる。料理は得意ではないという美登里だったが、それにしても美味しかった。専業主婦っていう響きが好きじゃないのよね、といっていた美登里の顔が浮かんでくる。
 美登里と結婚して五年。一度美登里は専業主婦になったものの、子供にも恵まれなかったこともあり、早々に別のバイトを探してきて社会復帰した。
 専業主婦だったときは料理をしていても、慣れてないためか腕がいいとはいえなかった。それがバイトをし始めてから、どういうわけか料理の腕はめきめきと上達していった。バイトもしているので美登里が手料理をするのは週末だけになった。
 それはまるで美登里が傑を見返すために、料理を上達させたように、今になってみると思えてくる。当初は仕事が忙しいこともあってか、そんなふうには思えなかったというのに。あるいは、会社を退職して余裕ができたから気がついた、とでもいうように。
 この頃からすでにすれ違いは始まっていたのだろう。とても小さくてすれ違いと呼べないものだったにしても。いったん傾き出すとどうしようもないものだ、ということにあとになってようやく気がついた。

 仕事だけは何とかしなくてはと、傑は背中に押されるようにネットでの求人を探したりしてみる。希望する条件を入れて検索してみてもヒットしない。かといって、条件をぐんと下げると求人の数だけは出てくるものの、どれにも食指は動かない。
 試しにハローワークという場所へも足を運んでみることにした。安易な気持ちできてみたら、余計に落ち込んでしまった。傑よりも年下で対応こそ丁寧だが、ひどく冷たい視線に終始晒されて、居心地が悪くなって出てきてしまったのだ。
 マイナスの思考だけがグルグルと、しつこい夏の夜の蚊のように追い回される。どうやってもその抜け道が見つからず、探そうとすればするほどに出口からは遠ざかってゆくようでもある。
 道をぼんやり歩いていると、なぜか沙織の顔が脳裏に浮かんできた。
 沙織は帰り際、きっといいことは起こりますから、といった。単なる気休めでも傑にはかなり染みた。何しろ、そんなことをいってくれるはずのパートナーは、傑の元から去ってしまったし、気軽に話のできる顔は浮かばなかった。仕事関係の仲間は気が引けるし、昔の友達はプライドが邪魔して電話できない。
 あの夜にいった同じ喫茶店へと出向く。沙織がチーズケーキを食べている顔が忘れられなかった。まるでオールガズムの最中のような顔をしていた。
 一時的なら甘いものって脳にはよいんですよ、といった。へん、と頭の中でいう。最近はほとんど甘いものを口にしない傑だったが、美登里が好きだったレモンチーズケーキを頼んでみた。
 確かに美味い。悪くない。
 美登里のことに考えが向く。
 浮気をしているのだろうか、と疑惑が堂々巡りのように頭にこびりつく。やはり他に男がいるのではないか。決定的な証拠もなく、美登里もそれらしいことはいってないにしても。例えば、夫婦の営みがあったのはいつだったろうか。あるにはあったがあまりにおざなりなものだった。
 しかし、これは美味いな。レモンケーキの甘さの中にある苦味も微妙なバランスに、傑の舌を通じて味覚が反応する。
 美登里と来ていたときは美登里が好きだからと、傑も合わせて食べていたが、久しぶりに食べてみると、こんなに美味しいものだったのかと舌を打つ。同じ場所の同じレモンケーキであるのに、まるで別物みたいだ。
 まてよ、と考える。もしや美登里の気持ちにいつのまにか気がつかなくなっていたのは、自分の方ではなかっただろうか、と。ふいにこれまで美登里のことばかりを心の中でずっと非難してきたように思えてきた。
 ふいに傲慢で冷たい人間に感じられて、傑はひどく怖くなってしまった。見たくもない現実をまざまざと見せられた気がした。

 家に帰り靴を脱いで中に入った。無意識的に鍵をいつもの場所に置くと、手が折り紙に触れて、すとんと床に落ちた。傑は折り紙を床から拾いあげた。
 夜の薄暗い中ではわからなかったが、日の光が差す中で折り紙を見てみると、ペンで書かれた黒いインクの後が透き通って見えた。
 もしや、これは、と傑は鶴を元の一枚の紙に戻してみると、そこには手書きで書かれてあった。

 岡崎フルーツ西岡店 仙道沙織

 すぐ横にはスマホのラインで使われる、笑い顔のマークが描かれていた。電話番号はない。まあ、普通はすぐに人に番号なんか書いて渡さないよな。異性だからな、と傑は思った。
 傑はすぐに書いてあるその店へと出かけた。店の前までくる。中に入るも沙織の姿はなかった。人のよさそうな店員に尋ねてみる。
「あ、あの子ね、彼女はついこの間辞めてしまいましたよ」と、パートらしき年上の女性はいった。
「なんでも、つい二週間ほど前にお母様を亡くされてね、それで何日か実家へ帰っていたんですよ」
 母を亡くしただって。
  二週間前といえばちょうど、あの夜のころだ。
 ホント、人生っていろいろありますよねぇ。
 人生のことについて考えちゃったりしてました。
 そうか、それで。 そうだったんだ。
  些細な一言だかもしれないが、もし沙織が母を亡くしていたのだったとしたら辻褄は合う。それにあの道路で赤信号なのに前にいこうとしたことなども、母をなくして普通の状態とは違っていたと考えれば、さほどおかしなことではないようにも思える。
 今さらながら、あのとき少しでも何か事情を察してあげていられればなあ、と思わずにいられない。鈍感だったというべきか。まあ、俺もあの時は死にたいくらいに落ち込んでたからなあ、と自分にいいきかす。

 
 ふと、ひょんなことから傑は美登里は何しているだろうか、と思った。気がつけばあれからもうずっと声を聞いていなかった。離婚はしていないから、これでもまだ夫婦なのだ。傑は美登里が出ていってからというもの、やはり妻のことが寂しかったと思わずにいられなかった。
 何をしているだろうか、と純粋に考えた。
 これまで仲がしっくりこなかったことをずっと美登里のせいにしてきたように思えた。仕事で疲れているからという言い訳をいつも自分にしてきたような気がする。
 傑は思い切って、美登里に電話をかけてみることにした。
 美登里はすぐに出た。
「けっこう元気そうな声しているじゃないの。安心したわ」と、美登里はいった。軽い声だったので、傑は気が少し楽になる。
 今、どこにいるんだ、と聞こうとしてやめた。知ってどうなるんだ、と。誰といるんだ、と聞いてしまいそうだからだ。
「そっちはどうなんだ、元気でいるか?」
「うん、ボチボチってところね。まあまあかな」
「まあ、それならいいけど。でも、何だかんだいって、少しは静養できたみたいね。会社辞める前は、けっこう声かけるのも辛そうなときがあったから」
「そんなふうだったのか、俺?」
 何だ、そんなことくらい夫婦なんだから、わかるの当たり前でしょ、なんて今いわれるはずもないだろうが、傑は、そんなふうに美登里が思っているのではないかと、勝手に想像だけしていた。
 いつもとあまり変わらない調子で美登里は、
「そっちに荷物取りに行くからさ、ねえ、そんときにちょっと話してみない」
「話すって、これからどうするかとか、そういうことか」
「まあ、そんな大袈裟なことじゃなくて、気持ちの問題よ」
「え、ああ。いいけど」
「じゃあ、またね。電話ありがとうね」

 どういうわけか、美登里との昔のことが次から次へと頭に浮かんできた。考えごとをしながら、傑はあの喫茶店へと足を運んでいた。
 そしたら沙織がちょうどレジのところに立っているのが見えた。
 細い身体で、またペコんと頭を下げる。
「傑さん!」と、沙織は名前を覚えてくれていた。
 何だか傑は空腹を覚えた。同じ窓際の席につく。
 何も悲しいときや辛いときにだけ食欲を覚えるわけではないようだ。こうして嬉しいときだってお腹は空くものなのだ。
「ちょうど傑さんと会えてよかったです」
「バイト先にいったよ。お母さんを失くされたんだって」と、傑は聞いてみた。
 沙織はコクリと頷く。少し間をおいて沙織はいった。
「母とはずっとうまくいっていなかったんです。父と離婚してからというもの、荒れるようになりました。甘いものばかり食べるようになって、かなり太ったんです」
 なくなった沙織の母の話を傑は興味深くじっと聞いていた。
「そのためか、私、ずっと甘いものが食べられないでいたんです。たぶん、母に対する無言の抵抗だったのかもしれません。でも、傑さんといっしょにいたら、なんだか自分を縛っていたものがボロボロと剥げてきたんです。今から思うと、自分でもわからないうちにかなり気落ちしてたんだと思います」
 沙織は恥ずかしそうな顔を浮かべた。
「そういうもんだよ。肉親をなくすときは」
  傑は沙織に、あれからたまに甘いものが欲しくなるようになったんだ、といってみた。
「甘いものには適度なバランス感覚が必要なんです。美味しいものって、毒にもなりますから」
 沙織は白砂糖の弊害とか血糖値のうんちくを付け加えた。
 傑は美登里のことを話したくなっていた。経過をかいつまんで沙織に話した。沙織は静かに話を聞いてくれていた。
「でも、傑さんのところは聞いている限りだと、まだ迷っている段階なのだという気がしますね。最後に電話したときもまんざらでもなかったんですよね。これが仮に、好きな男性のところに行っていたらそこまでいかなかったと思いますよ。たんにわたしのカンでしかありませんが、傑さんと奥さんはまだ修復可能なんじゃないかって、思えてしかたないんですよね。子供はいないっていってましたよね」
「でも、服装が変わったというのは普通なら……」
「少しの浮ついた心くらい女にだってありますよ」
「おい、それは他の男と寝たってことか」
「また、そういう。男の人って、そういうとこしか気にしないんですか。それは男性の弱点ですよ。女はね、心さえ奪われてなければなんとかなるものなんです」
  傑はポカンと口を開けている。
  もしかしたらオレの美登里への態度が問題だったのかな。そう認めざるをえないよなあ、と心の中で納得した。
「でも、美登里について本当にそう思うのか?」
 沙織はまだ美味しそうに、むにゃむにゃと、頬張って、幸せそうな顔をしている。あの夜のときよりももっと味を噛みしめながら、ごく自然に食べているように見えた。
 窓からの明るい陽光が沙織の髪に当たって艶を出している。白い肌だって太陽の光の下ならば、とても健康的な色を醸し出しているようだし、何より沙織自身が今日はとてもリラックスしているように見えた。楽しんで食べているのだ。
「ぜひもう一度トライするべきだと思います」
 沙織のその言葉は傑の身に沁みた。沙織の言葉に押し付けがましいところはない。ごく自然であり、だからこそ傑は耳を傾けざるをえなかった。
 傑は美登里を含めた女性たちがスイーツを好きなことが、ずっとよくわからないでいた。でも、今は違う。味や香り、見た目、そうしたものに身を委ねることなんだ、と理解できた。スイーツとは味を楽しむものなんだ、と。
 何だそんなことだったのか、と傑は思った。そうして沙織を眺めていると、何かが込み上げてくるような気がした。
「そうだよな、もう一度トライしてみるべきなんだろうな」と、傑はひとりごちた。

スイーツ効果

執筆の狙い

作者 5150
5.102.16.93

深く書こうという意図はなく、さくっと読める軽いストーリー、という感じです。

コメント

u
opt-220-208-25-236.client.pikara.ne.jp

読みました
この話に沙織いるの?

基本的に傑と美登里のお話です

沙織と主人公の関係性と上っ面だけの(会話台詞)
初対面でのこの二人どんだけ能天気なん?リアリティ希薄www
しかも両者ともある程度のマイナスな心理状態ですから
わけワカメwww

したがって(落ち)にも繋がらないwww
夫婦の話として描くべきです
沙織を夾雑物にをしないためにも

柔らかい月
n219100087087.nct9.ne.jp

ワタシは昔から「甘党」で、「喫茶店」も大好きなんだ。

だから、本作も目に入ったところで「喫茶店場面」だけかいつまんで傍観してみたけど、
すごいトンチキで、、、

主さん、喫茶店行かない人??


喫茶店入ったら、まず「飲み物をオーダーする」んだ。
この二人、サンドイッチ単品とケーキ単品しか頼んでないし、運ばれて来てない感じなんで、
「水で食べてる」のか??



ニューヨークチーズケーキとか、チーズケーキ類を喫茶店でオーダーすると、
《ケーキセット》になってる場合が多いし、
運ばれて来る形は「少量の生クリームが添えられ、てっぺんにミントの葉っぱが添えられている」とか、「少量のブルーベリー(またはマンゴー)のフルーツソースがかけられていた」とか、

セットのコーヒーも「容量たっぷり目に入る大倉陶園のブルーローズに、熱々のグァテマラが」だったりしますね。



で、この話のオチ、(そこだけ確認)

>味や香り、見た目、そうしたものに身を委ねることなんだ、と理解できた。スイーツとは味を楽しむものなんだ、と。

↑ そんな、ハナから分かりきってる、誰もが知ってる、至極当たり前でベタベタなことを、
さも「発見した」かのように、偉そうに、、、
『小学生の作文』並み。

オチにも何もなってないし、

こんな程度で『スイーツ効果』とか言うな。ばからしい。


そんで、作中に出て来る「スイーツ」ってのが、ポッキーだのレモンケーキ、、、

あんまりチープすぎて、貧相だし、「スイーツ」って呼称が大げさすぎる域。

柔らかい月
n219100087087.nct9.ne.jp

そういや5150は、イタリアの話書いてた時も、

《作中で描かれてるエスプレッソが、とてもとてもヘンテコすぎた》んで、
その時にも現場で指摘した。

「コーヒー飲まない、本式の喫茶店には行かない人」なんだろう。


目についた範囲で、「作中に出て来る食物の呼称」が2箇所間違っていて、

「カフェや喫茶店によくゆく人」だったら、そんな間違いは犯さないのだ。

5150
5.102.16.93

uさん

>この話に沙織いるの?
基本的に傑と美登里のお話です

たしかに沙織はそういう印象ですかね、この話だと。
そうですね、この二人の話かと思います。

>沙織と主人公の関係性と上っ面だけの(会話台詞)
初対面でのこの二人どんだけ能天気なん?リアリティ希薄www
しかも両者ともある程度のマイナスな心理状態ですから
わけワカメwww

なるほど、そういうふうに感じたのですね。マイナスな心理だからこそ、と思って、初対面同士での場面の会話をああしたのですが。裏目に出ましたか。

>夫婦の話として描くべきです
沙織を夾雑物にをしないためにも

話をもう少しストレートにしてもよかった、ということですかね。
沙織さんについては、彼女なりの軽さと重さを書いてみたつもりでしたが。

ありがとうございました。

5150
5.102.16.93

>喫茶店入ったら、まず「飲み物をオーダーする」んだ。
この二人、サンドイッチ単品とケーキ単品しか頼んでないし、運ばれて来てない感じなんで、「水で食べてる」のか??

あはは、そりゃそうですね。失礼しました。

> そんな、ハナから分かりきってる、誰もが知ってる、至極当たり前でベタベタなことを、
さも「発見した」かのように、偉そうに、、、

甘いもの食べるのが好きじゃない傑は、そういう当たり前のことがずっとわかんなかったわけですが、でも、意味はそれだけのつもりじゃなかったんです。まあ、言っても無駄なのでやめますが。他の意味を含ませるってのは、ホント難しいですね。イタリアの話のエスプレッソでも失敗しましたし。これも作為的すぎるってことなんだろうな、きっと。

茅場義彦
M106072175192.v4.enabler.ne.jp

読みやすかった。リストラって最悪だわねp

たまゆら
p1817002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

丁寧な感想を頂いたので読ませてもらいましたが、冒頭で挫折しました。
ごめんなさい。冒頭に矛盾やら疑問、語彙の選択や変換ミスなどが多かったせいです。
たぶんプロット(人物設定を含む)が甘かったのかもしれませんね。
 
冒頭の疑問は、この物語に退職と妻の別居が必要だったのか。その理由が、読み手を納得させるものなのかです。
飛ばし読みになってしまったので退職の理由は見つけられませんでしたが、別居した妻の扱い(子どもじみた設定)には考えさせられました。ソファーに寝そべり、ポッキーを投げつける行為は避けたほうがよかった気が。
その後も好意的な部分を見つけられません。だったら置き手紙にとどめたほうが、嫌な部分を見せつけられなくて済まされると思うほど。
そして職を失い、さらに妻を失った男の前に、沙也加さん。ここで読み手は作者との乖離に気づかされます。
40年も生きてきた男の思考とは思えなかったのです。
 
ともあれ、これまでもらった感想のよいところを独自のチェックシートにしてミスを繰り返さないことかな。
毎作、同じことを指摘されていませんか?
まずは、それが悪癖にならないうちに改善されたほうがいいかもしれません。せっかく宝を持っているのに、持ちぐされになりますよ。

えんがわ
p2215247-ipngn9802souka.saitama.ocn.ne.jp

うーん。

悪い意味でのご都合主義。。。

なんか流れが、作者の意図がバンバン前に出すぎていて、奇麗にできすぎている気がします。
意外性もあまり感じなかったなー。

でも、スイーツ効果っていう言葉の役割を知って、ありがたかったです。
ありがとでしたー。

5150
5.102.16.93

茅場義彦さん

まだまだコロナ禍が続きそうなので、企業の首切りも増してゆくんでしょうね。って、世界的な傾向でしょうけど。あまり直視したくないですよね。

5150
5.102.1.182

たまゆらさま

>冒頭の疑問は、この物語に退職と妻の別居が必要だったのか。その理由が、読み手を納得させるものなのかです。
飛ばし読みになってしまったので退職の理由は見つけられませんでしたが、別居した妻の扱い(子どもじみた設定)には考えさせられました。ソファーに寝そべり、ポッキーを投げつける行為は避けたほうがよかった気が。

このへんでしょうかね、拙作の一番悪いところが出ているのは。このカップルについてはいろいろと思うことがあるのですが、一旦書くとだらだらいきそうなので書きません。

>ここで読み手は作者との乖離に気づかされます。40年も生きてきた男の思考とは思えなかったのです。

ここで読み手は作者との乖離に気づかされます、という文が、いまいちどういうことなのか理解できませんでしたが、もう少しよく考えてみます。沙織さんについても作者は思うことがあるのですが、やはり書かないでおこうと思います。主人公の思考についても、同様です。

>ともあれ、これまでもらった感想のよいところを独自のチェックシートにしてミスを繰り返さないことかな。毎作、同じことを指摘されていませんか?

今、いろいろと根本から変えるべき箇所があるはずと思って、そこらへんを試行錯誤しています。拙作は去年書いたものをそのまま出しちゃったのですが、いくつかの過去作品で悪いと指摘されたことがそのまま残っているんでしょうね。

<ストーリー>について。今年の春ぐらいまでは、ノープランで書いたものを出していたのですが、では、ストーリー性のあるものはどうすればいいのか。そのあたり、なかなかうまくいっていません。悪癖を自覚することと、プロット及び人物を別表に書き出してみることなど。作為が先行してしまうようです。

<共感性>について。これもたびたび指摘を受けることです。キャラに共感できない、ということは作品に入り込んでもらえないわけで、頭の痛い問題ではあります。ここはもう作者自身の性格の面と大きく関わっていると思われます。以後は自分に向けての独り言となります。

リアルの生活ではわりと共感性があると言われてきました。いいことだと思ってきましたが、そうではない面がたくさんあります。例えば、私が辛抱強く相手の言い分を聞いてくれる存在なので、ある友人はよく電話をかけてきて、自分の気持ちをすっきりさせてゆきます。

私自身人の話を聞くのが大好きですので、苦にはなりません。共感性というのもありすぎると問題があるもので、相手の感情におのずと入り込んでしまうのです。いうなれば、自分がないということでもあります。むしろ、私は自分のことを他人に語るのが苦手です。なので、実際には共感性があるとはいえないのでしょう。自分あってこその、他人への共感性だと思うので。ちなみに、いつも柔らかい表現で書いていますが、その分、根っこはすごく頑固です。昔からです。

共感性については私の感想の書き方にも現れているかと思います。基本的に辛口ですが、作品に沿った感想を書きすぎているという自覚があります。ときにやりすぎなのかも、と。読めないと思う作品でもよく読むし、メモしながらでも読みます。それはそれですごく鍛錬になるのですが、最近は感想の書き方ももう少し、いい意味で自分主体に書いてみるべきかと思うようになっています。無理矢理合わさないということです。こういう感想の書き方をそろそろ変えるべきだと思っています。

作品については、例えば拙作ですが、いくら読者の共感が必要だとしても、かっちりと整合されすぎた人物や、ありきたりのシチュエーションや理由を書いていてもつまらないし、根底には二時間ドラマなんて陳腐なものを書きたくないという怖さがあります。内容にちょっとだけ触れますが、例えば傑が帰ってきてポッキーを投げつける。あそこで、真剣にさせすぎると二時間ドラマじゃんという感じがするんですね。リアルじゃなくなる。あの場面は小説だとノーかもしれないけど、映画の一場面ならアリかな、なんて。でも、二時間ドラマやワイド劇場みたいなものであってもそれなりの良さがきちっとある、ということを私は認めなくてはいけないんですよ。いろんなことを複雑にしすぎているので。逆に、いろんなことをもっとシンプルにしなくちゃいけないんだろうと思います。おっといけない。独り言とはいえ、これ以上はやめよう。独り言終了。

<文章>について。小説を書いているくせに苦手です。せめて推敲の際に音読してみることを定着させたいのですが、まだそうなっていないんですね。

ありがとうございました。ストレートな言葉響きました。

5150
5.102.1.182

えんがわさま

>悪い意味でのご都合主義。。。

私が自分で思うには、傑が外へ出ていって、それで沙織と喫茶店に行くという箇所が一番ご都合主義的展開かな。

>なんか流れが、作者の意図がバンバン前に出すぎていて、奇麗にできすぎている気がします。意外性もあまり感じなかったなー。

無理にスイーツを絡めすぎたところなど、無理しているなと思いますね。意外性は狙ってなかったのですが、折り紙のところも、あれはなあと首を捻ってしまいます。

アン・カルネ
219-100-28-215.osa.wi-gate.net

うーん…。

たぶん、「書き方」のもんだいもあるんだろうなって思います…。文体が軽くないというのがひとつ。内容は「軽い」んですよね。ポップでキッチュな雰囲気を文体で作り出せていたら、おそらく印象は変わったろうなって思います。
5150さんはビリー・ワイルダー監督の「七年目の浮気」とか見たことあるかしら。私はあの映画のマリリン・モンローは本当に可愛らしいなあと思っているんですよね。あれはもう彼女ならでは、でしょう。あれをもしヘップバーンに演じさせたら、おそらく“台無し”になったろうなあ、と。でも逆に「ローマの休日」をモンローにしたら、これも台無しでしょう。
因みに「ティファニーで朝食を」。あれ私も原作のイメージはモンローだよなあ、と思っています。ヘップバーンはちょっと違うんだよなあ、と。
と長々と前振りをしてしまいましたが、5150さんの作品もね。そういう感じがするんです。
まず「傑」「美登里」「沙織」。名前からして作品の雰囲気と合わないですよね? 明治時代を舞台にしても何ら不都合を感じさせない名前ですよ。
そして出だし。
>希望退職という形での書類に、坂木傑(すぐる)は署名をした。書いたあとにペンをふと止めたら、会社の人事部の男が口元に笑みを浮かべていた。傑は横目で見る。会社側の勝ちだ、といわんばかりの表情を浮かべていた。
硬いですよね。ここから企業モノに話が転がっていっても全然、不思議じゃないです。

スイーツ効果ってタイトルも内容から思うと、硬い。

カラフルで読んでいて、ラストはふふふって楽しくなっちゃうような、そういうところを目指しておかないとならない内容だったと思うんですよね。であれば文体もそうあるべき。

なんて言えば良いのか、5150さんのこの文体は、例えるなら、銅色の重い生地でフリルのワンピ作って見せました的な? そういう感じなんですよ。
私が思うに、おそらくそういうところが一番の敗因なのでは? と。

あとすぐる君、41歳というより、36歳辺りの方が合ってそう。それにリストラじゃなくても良いと思う。また名刺で勝てる企業じゃなくとも、それこそ、名もなき中小ベンチャーだって良いと思う。それだって資金繰りの途中で社長、逃走ってのも現実にあるしね(笑)。
コミカルに描く事。そこが大事だったように思います。名前や設定、文体を変えるだけでも印象はがらりと変わるはず。
そんなふうに思いました。

大丘 忍
p1828125-ipngn200209osakachuo.osaka.ocn.ne.jp

私はリストラされたことも無く、夫婦が不和になったこともなく、さらには喫茶店にほとんど行ったことも無いのですが、読みやすい文章ですらすらと読むことが出来ました。やはり読みやすい文章が一番ですね。読んで、夫婦とはそんなもんかなと思いました。感想にはなっておりませんが。

日乃万里永
KD106160080156.ppp-bb.dion.ne.jp

5150様

 拝読いたしました。

 男と女は、だいたい考えていることが違っていて、わかり合えない部分が多いですが、相手の立場で物事を考えてみるというのは、大事な一歩かもしれないですね。

 離れてしまえばそれまでですが、考え直して歩み寄ろうとする主人公の姿勢は好感が持てました。

 読ませていただきまして、ありがとうございました。
 

コウ
p3004-ipngnfx01kouchinwc.kochi.ocn.ne.jp

5150さん
先日は感想をありがとうございました。

読みやすい文章の掌編ですね。内容については上の方々が書かれていますが、私から言えることは主題が明確に伝わらないということくらいでしょうか。

あと、文章について気になることを書いておきます。
凄くうざったく感じるのが、固有名詞の連発です。この小説は傑と美登里、傑と沙織の場面しか出てきません。だったら、名前を外しても十分意味が通じるでしょう。癖になる前に意識的に治した方が良いと思います。

例として下の文章を取り上げます。

>何だかとてもご馳走に見えてきた。チンして食べる。料理は得意ではないという美登里だったが、それにしても美味しかった。専業主婦っていう響きが好きじゃないのよね、といっていた(美登里の)顔が浮かんでくる。
>(美登里と)結婚して五年。一度(美登里)は専業主婦になったものの、子供にも恵まれなかったこともあり、早々に別のバイトを探してきて社会復帰した。

たったこのくらいの文に美登里が四回も。括弧で囲んだうちの2つを外しても良いし、3つ外しても全然大丈夫です。沙織とのパートも含め、全体ではものすごい量の無駄な固有名詞があります。どうしても入れたいのであれば、「彼女」といった代名詞に変えるだけでも印象が違います。その点に注意して推敲すれば、さらに良くなると思います。

推敲で思い出しましたが、変な表現が見受けられます。
「舌を打つ」は忌々しそうにチッと舌を打つ。この場合は、舌鼓を打つですね。
「骨付きのいい美登里」これもわかるようなわからないような……。
骨格の良いという意味でしょうか?

また新しいものを読ませてください。

5150
5.102.1.182

アン・カルネさま

>たぶん、「書き方」のもんだいもあるんだろうなって思います…。文体が軽くないというのがひとつ。内容は「軽い」んですよね。ポップでキッチュな雰囲気を文体で作り出せていたら、おそらく印象は変わったろうなって思います。

そうそうそう、これ、すごく響きました。ここなんでしょうね、文体のミスマッチ。これが一番でしょうね。特に冒頭、例によってつぎはぎだらけで直したんですが、初稿では若干軽く書いています。拙作のこの文体と流れでは、読者に読んでほしい読み方とは大幅にズレてしまうんでしょうね。作者からすると大きなミステイクでした。

> 「ティファニーで朝食を」。あれ私も原作のイメージはモンローだよなあ、と思っています。ヘップバーンはちょっと違うんだよなあ、と。

商業的に見て結果的にはよかったんでしょうが、原作でイメージとすると、ヘップバーンだと裏の部分が彼女にはないですよね、可愛くて華やかすぎて。よくわかります。

>と長々と前振りをしてしまいましたが、5150さんの作品もね。そういう感じがするんです。

言いたいこと、すごくよくわかります。

>硬いですよね。ここから企業モノに話が転がっていっても全然、不思議じゃないです。

冒頭のこの部分も、完全に後から付け足したんですが、確かに、私が読んで欲しくない方向に読めと言っているような書き方ですよね。映画を例に出されてますが、この冒頭は傑という人のダメな部分を、こいつ憎めないなみたいに書きたかったと思うんです、作者は。ここから独り言になります。リストラ話なんか書きたくわけで。ポッキーを投げつけられる部分も含め、映画的に書きたかったんだと思います。

>カラフルで読んでいて、ラストはふふふって楽しくなっちゃうような、そういうところを目指しておかないとならない内容だったと思うんですよね。であれば文体もそうあるべき。

最後の方でも、やっぱり文体に引きずられてちぐはぐになってますもんね。

>あとすぐる君、41歳というより、36歳辺りの方が合ってそう。それにリストラじゃなくても良いと思う。

あ、最初は年齢書かずにそれぐらいの年齢で書いてたんです。で、直しているときに、希望退職だから若すぎるのかなあ、40以上が無難だよなと思って後から41にしたんです。ホントです。

>コミカルに描く事。そこが大事だったように思います。名前や設定、文体を変えるだけでも印象はがらりと変わるはず。

大変ためになる指摘、ありがとうございました。

5150
5.102.1.182

大丘 忍さま

>私はリストラされたことも無く、夫婦が不和になったこともなく、さらには喫茶店にほとんど行ったことも無いのですが、

いやあ、素晴らしい人生を送られてきましたね。私も後悔のない人生を送りたいものです。

>読みやすい文章ですらすらと読むことが出来ました。やはり読みやすい文章が一番ですね。読んで、夫婦とはそんなもんかなと思いました。

拙い作品を読んでいただきありがとうございます。夫婦の形って、さまざまなんでしょうね。

ありがとうございました。

5150
5.102.1.182

日乃万里永さま

>男と女は、だいたい考えていることが違っていて、わかり合えない部分が多いですが、相手の立場で物事を考えてみるというのは、大事な一歩かもしれないですね。

たぶん男と女のすれ違いって、けっこう小さい部分というか、そういうのがどんどん重ねっていって、というのはあるかもしれないですね。相手の立場に立てるってのは、大きな一歩でしょう。

>離れてしまえばそれまでですが、考え直して歩み寄ろうとする主人公の姿勢は好感が持てました。

拙作は、ほんの小さな気づきであっても、物事がいい方向へ向いて動き出すきっかけになるかもしれない、といったことなのかもしれません。ありがとうございました。

5150
5.102.1.182

コウさま

>読みやすい文章の掌編ですね。内容については上の方々が書かれていますが、私から言えることは主題が明確に伝わらないということくらいでしょうか。

そもそも主題そのものが、作者さえ把握していなくて、ただフルーツに少しだけ絡めてみたというだけにすぎません。言いたいことも、あるようでないですし。モチーフはないよりはあった方がもちろんいいので、意識して書ければよいのですけれど。足りないところが多すぎるので、あっちを見てこっちを見て、それでも足りないなあ、って感じであります。

>凄くうざったく感じるのが、固有名詞の連発です。

そういえば、今作は去年書いたものを載せちゃったので、その点はチェックしてなかったでしょうかね。普段は推敲のときに適度に、名前や主語を調節するのですが。ここで過去に何度か言われていることでありますので(汗)。

>推敲で思い出しましたが、変な表現が見受けられます。

ここも悪癖でよく言われます(笑)。その都度、ちょこちょこ調べるようにはしているのですが。

>また新しいものを読ませてください。

このサイトにはけっこう作品を出しているので、また読めると思います(笑)。亀のようにノロノロで進歩はほとんどないのですけれど。コウさんの作品の続き、こちらも楽しみにしております(社交辞令ではなく)。これからのご活躍を遠くからひっそりとお祈りしております。

5150
5.102.1.182

いたたまれなくなって駆け込むように入ったのは、会社のトイレだった。坂崎すぐるは鏡で自分の顔を覗き込んだ。それなりに髪に白いものが混じっている。四十一歳。やはり年は隠せない。
 ある年齢をすぎるとこれまでやってきたことがその人の顔に出てくると、誰かがいっていた。あらためて自分の顔を見る。目の前にある顔は、それなりに歳をくっているものの、どこかのほほんとしたものが残っている。
 名刺にはそれなりに知名度のある会社名が記されている。でも、自分の名前はあまりに小さく見える。カンガルーのお腹にある袋にどっぷりと入り込んだ子供みたいだ。新卒で入社して、これまでずっと会社というものに抱っこされてきたように感じる。
 いや今日という日まで、すぐるは会社のために働いてきたと思ってきた。会社で築いてきたものだってそれなりにあるさと自負していた。でも、会社に繋ぎ止めていたそんな気持ちは、ここ一ヶ月ほどで大きくぐらついた。眠れない夜が続いていた。
 会社側から希望退職を勧められていたからだ。三度ほど面接を受けた。会社側は見えないメッセージを送り続けてきた。お前は会社になど必要とされていない。クズも同然だ。やめちまえ!
 すぐるは希望退職の書類を書き終えたばかりだった。最後に署名をしたら、人事部の男が口元に笑みを浮かべているのを、すぐるは横目で見た。会社側の勝ちだ、といわんばかりの表情をしていた。
 すぐるはトイレを出た。鏡の前を見知った社員の一人が通ってゆく。顔を合わせば挨拶くらいはする仲だったけど、まるで他人のようだった。もうここへも明日からくることはないのだ。見慣れた社内の風景であるはずなのに、違う場所にいるような居心地の悪さだった。

 外へ出ると風が冷たかった。いつもならどこかふらりと寄っていきたい気になるものだが、さすがに今日ばかりは家に真っ直ぐ帰りたいと思った。我ながら自分でも身勝手な男だなと、嫌になる。妻のみどりとはここしばらくうまくいっていなかったというのに。
 会話はあるし、ベッドだって同じだ。食事もできるかぎり二人でする。でも、何かが違う。

  ※

 と、ここまで書きかけて私はパソコンを閉じた。うんざりする。少しは柔らかくなったように思うけれど、まだまだ硬いし、何かが違う。思い切って反対側に持ってゆくことは、自分の力からしてまだまだ難しい。
 それに、この話はどこか設定に無理があるのだと思う。だから、楽しく書けないのだ。文体もまだ違和感があるし、設定が徹底的に不足しているから、話が都合よくなりすぎるのかもしれない。

 いずれにしても、何の内容もない駄作であるのは疑いようもない。

5150
5.102.1.182

あっ、そもそもこれ、三人称なのが向いていないのかも。

椎名
KD027083171050.ppp-bb.dion.ne.jp

最後まで読みました。ですが、全体的にあまり面白さは感じなかった気がします。なんとなくですが、ブラックコーヒーみたいな感じかなと思いました。最後でもいいので何か甘さがあるといいかなと思いました。

5159
5.102.1.182

椎名さん

>全体的にあまり面白さは感じなかった気がします。

同意します。書くポイントがないと作者も思いました。

>なんとなくですが、ブラックコーヒーみたいな感じかなと思いました。最後でもいいので何か甘さがあるといいかなと思いました。

ブラックコーヒーとはうまい表現ですね。拙作をよく表しています。

人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ、というチャップリンの名言が、なんとなく思い出されました。

これ、視点がちょっと近すぎたんでしょうね。一人称で書いてれば少しは柔らかく書けてたのかもしれません。

5150
5.102.1.182

↑自分で名前の入力を間違えてるわ!

昼野陽平
softbank126047115090.bbtec.net

読ませていただきました。
なんか評判が悪いようですが僕には良かったです。
主人公の心が折れる感じは良く伝わってきました。ポキっというオノマトペが効果的でした。
奥さんのポッキーという小道具も全体のなかで上手く機能してるなと。
女性がチーズケーキたべる描写も良かった。ケーキにフォーク入れて皿に当たってチンと音が出るところとか。意図してやってるところかわからないですが、読みての目の前でケーキたべてるようでした。
落ち込んだ時は甘いものを食べれば良いというテーマも良かったです。単純なんですが単純だからこそ説得力があるというか。落ち込んでる人間に百万の言葉費やして励ますより甘いものでも食べさせた方が元気出るのかもしれません。動物としての本能に訴えかけるというか。生きるのが良いという価値観は動物的本能だろうと思うので論理的でもあるように思います。
アッバスキアロスタミという映画監督の「桜桃の味」と言うイランの映画では自殺を考えてた人が桜桃を食べたらその美味しさに感動して生きようと思うようになったというエピソードがあって、ここに掲載された小説と通じるところがあると思うので一度観賞するのも良いかもです。アマゾンプライムで観れます。

5150
5.102.1.182

昼野陽平さま

>なんか評判が悪いようですが僕には良かったです。

拙作のこの書きようだと、どうも女性には、書き方が悪いために、読んでいてもかなりムカつくんじゃないかな、なんて感想欄を読みながら思いました(もちろん、一番は作者に実力がないということは言うまでもないですが)。男性の方がまだ読んでもらえるのではないかと。

前半の重苦しいのと、後半の軽い感じのが、作品の中で上手くコンストラストとして出せなかったのでしょう。むしろ、後半がやけに軽すぎる感じになってしまったようですので。

こういう作風での内容を、他人に伝える力が自分にはまだまだない、と実感しました。

>主人公の心が折れる感じは良く伝わってきました。ポキっというオノマトペが効果的でした。
奥さんのポッキーという小道具も全体のなかで上手く機能してるなと。

なんか思いもよらない感想で嬉しいです。

>女性がチーズケーキたべる描写も良かった。ケーキにフォーク入れて皿に当たってチンと音が出るところとか。意図してやってるところかわからないですが、読みての目の前でケーキたべてるようでした。

タイトルにスイーツが入っているし、あそこで手を抜くと指摘が間違いなくくると思ったので(笑)。

>落ち込んでる人間に百万の言葉費やして励ますより甘いものでも食べさせた方が元気出るのかもしれません。

そう、そう、そう。そういうことって、意外にあるような気がするんですよね。どうでもいいといえば、そうなのでしょうけど。自分でもよくわかってないのですが、そういう部分を書きたかったのだろうと思います。言葉だけで説得する場面にしてしまうと、陳腐になって嫌だな、なんて執筆中考えていたような気がします。それで読者にわかってもらえなくても、それはそれでしょうがないかな、と。書き方が悪かったもので。

拙作にテーマと呼べるものがあるかは疑問なのですが、でも、昼野さんがそこまで読み込んでくれたということで、素直に嬉しく思います。

上の返信で書くことなかったので、ここで少し。

沙織さんは、傑に適当な言葉(表面的にそう思える)で応えます。けっきょく、言葉でいくら語っても分かり合えないとよくわかっているのが彼女。なので、スイーツを味わう。沙織さんは母が亡くなって、スイーツの味を味わえなかった、というところがミソ。彼女にとって、その感覚は非常に大事な感覚だったんですね、もしかしたら言葉よりも。たかが甘い食べものではあるといえば、それまでですが。

同じように嫌なことがあった傑が目の前にいたので、一緒にいると沙織の気持ちは少し落ち着いた。事情を知らない二人はどうせ理解し合えない。ならば、甘いもの食べよう、みたいな、そんなコンセプトでした。

ありがとうございました。映画観てみます。

5150
5.102.1.182

昼野陽平さん

>アッバスキアロスタミという映画監督の「桜桃の味」と言うイランの映画

さっそく観ました。よかったです。なるほど似てるところありますね。セリフの「桜桃の味を忘れてしまうのか?」のあたりよかったですね。ここらへんから主人公の心境に小さな変化が現れますね。

そういえば太宰治の作品にも似ているものがあったなあ、と後から思い出しました。「葉」ですね。

「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。」

どんな話なのか忘れてますが、出だしは印象的ですし有名ですね。断片でできていたような。

昼野陽平
softbank126047115090.bbtec.net

まさか本当に観ていただけると思ってなかったので嬉しいです。
主人公を励ましたそのセリフ言ったのが兵隊でも神学者でもなくパートのおじさんというのがなんか良かったなと。
やはり食べ物が美味いってけっこう説得力ありますね。

太宰治の葉は僕も読んだ記憶があります。
確か晩年という短編集に収められててストーリーらしいストーリーは無かったような。
太宰治も着物より美味いものでも食べればよかったかもです笑

5150
5.102.1.182

昼野陽平さん

返信ありがとうございます。

>主人公を励ましたそのセリフ言ったのが兵隊でも神学者でもなくパートのおじさんというのがなんか良かったなと。

三人目のおじさんのパートが一番印象に残りました。実感がこもっていましたね。でも、あのラストは……。リアルだから、ということなんでしょうかね。ハリウッド映画じゃないぞ、というか。けっきょく主人公の動機はわからないままでしたけど。

過去に何度か観てみたいなと思いつつ、これまで観ていなかったアッバス・キアロスタミ監督作品でした。

ちなみにに太宰治の「晩年」は処女作であるにも関わらず、晩年などという意味深なタイトルにするところなんか、いかにも太宰らしいというか。薬やりすぎて味覚が麻痺していたかも、なんて(笑)。

昼野さんも昼野さんらしいパンチ力ある作品をまた投稿して、読者を思いっきり唸らせてくださいね。待っています。

いかめんたい
pw126182035190.27.panda-world.ne.jp

5150様

拝読しました。既にたくさんのコメントがついているので今さらだとは思うのですが、感じたことを二点だけ書かせていただきます。

まず一つ目は、主人公は、「スイーツとは味を楽しむものなんだ」と、割と誰でも普通にそう思っていることに、ラスト付近で改めて気がつく訳ですが、それで思ったのが、主人公(あるいは作者様ご自身)の中に、「スイーツ」=「太る」=「悪」という図式が、そもそも大前提としてあるのではないか、ということでした。
沙織の母が離婚後に甘いものを食べて太ってしまった、そのため沙織自身は甘いものが食べられなかった、という設定や、主人公の妻がソファに寝そべってポッキーを食べている描写などにも、もしかするとそのような意識が現れているのではないかと感じました。
ただ実際にはもちろん、「スイーツ(甘いもの)」自体が悪いわけではなく、あくまでもそれを口にする人間の側の問題なので(と少なくとも私は思うので)、そこらへんの認識のずれみたいな物が、この主人公の気づきに対して、読み手として納得しづらかった理由なのかなと、そんなことを考えました。

もう一つは、私自身がたいへん苦手な部分なのであえて書かせていただくのですが、沙織の描写が、「なかなかキュート」と主人公が言う割に、あまり魅力的に書かれていないのでは、ということでした。
「ペコんと頭を下げる。」みたいに可愛げな仕草もあるのですが、あとは痩せている、華奢、といった、その体型に関する物が多く、逆に顔つきや表情なんかに関するものがあまりない印象を受けました。それで肝心の、スイーツを食べるときの描写が、「まるでオールガズムの最中のような顔をしていた」「沙織の頬がゆっくりと上下し、規則正しく動いた」と、あまり温かみを感じさせない書き方で、少なくとも私には、キュートなイメージが持ちづらかったです。

偉そうに好き勝手書いてしまいすみません。適当に読み流していただければと思います。

ありがとうございました。

いかめんたい
pw126182035190.27.panda-world.ne.jp

度々すみません。コメントを上げてから思ったのですが、私がさっき書いた、「スイーツ自体が悪いのではなくて、受け取る側の問題」というのを、奥さんとの人間関係になぞらえていたってことなのでしょうか。そうだとすると私の読み方が悪かったのかもしれません。それでもやっぱり、今ひとつ共感しづらい気もします。お邪魔しました。

5150
5.102.1.182

いかめんたいさま

>まず一つ目は、主人公は、「スイーツとは味を楽しむものなんだ」と、割と誰でも普通にそう思っていることに、ラスト付近で改めて気がつく訳ですが、それで思ったのが、主人公(あるいは作者様ご自身)の中に、「スイーツ」=「太る」=「悪」という図式が、そもそも大前提としてあるのではないか、ということでした。

>奥さんとの人間関係になぞらえていたってことなのでしょうか。

どんなことを思って書いたか思い出してみると、スイーツって身近にあるものだけに、勘違いやちょっとしたことで見えないこともある、こんな簡単なことだったのに、みたいな。意図としては、傑の奥さんの態度に重ねて書いたつもりでした。傑は以前は妻とスイーツを二人で食べていた、でもそれから食べなくなった。仲もイマイチになってきた。でもリストラをきっかけに、またその存在をあらためて見直そうとする、そのきっかけがスイーツ、みたいな。なので普通に読んでゆくだけなら馬鹿らしいと自分でも思います。そもそもタイトルが悪かったような気がしますし(笑)。

>読み手として納得しづらかった理由なのかなと

共感性についてですね。自分の返信の書き方からもわかるように、私は書くときに「俯瞰モード」が通常になっているらしいです。なので拙作のような身近な題材で書くときは、意識して外さなくてはいけないんですが、読み返してみると俯瞰モードで書いてますね。上でも書いてますが、書き方が悪いし、そもそも作品を書く前の態度からしてずれているような気がします。土台からして間違っているような。

>沙織の描写が、「なかなかキュート」と主人公が言う割に、あまり魅力的に書かれていないのでは、

傑にとって沙織は魅力的ではあっても、でも彼女とどうにかなるような感じではない、と思って書いていたと思います。わりと冷めた感じかもしれないですね。作品に漂う(作者にある?)そういう空気感が完全にミスマッチだったと思います。

ありがとうございました。

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