作家でごはん!鍛練場
Reee

少年の日の思い出

死の美しさを知ったのは、少年の頃だった。
八つか九つの時、年上のいとこの家に遊びに行ったときに、初めてチョウの収集みた。そのときのことは今でもよく覚えている。指先が少し冷たくなった手で蓋に触れた。箱を開けた瞬間、全身の毛が逆立つような鳥肌が立った。普段は見ることができない体の隅々までがさらけ出されている。僕はその裸体をなめ回すかのように隅々まで眺めた。その美しさは永遠であり、誰にも邪魔されることがない。その出会いは僕の人生の喜びを与えてくれた。いくら試験でよい成績がとれても、一向に褒めようとしない乳の態度も、神経質な母に気を遣って、まわりの子どもたちと楽しく遊んでいるように見せるのも、うんざりだった。僕はチョウの収集に夢中になった。はじめは種類を気にしなかった。チョウの体を指でつかみ、少しずつ強く押していく。せわしなかった羽の動きが徐々に弱まっていき、やがて止まる。あのときの開館がたまらなかった。そして羽や足を丁寧に開いていき、最も美しい状態で保存していく。できあがった自分の宝石を眺めるのも好きだったが、死に触れられるその時間が一番好きだった。隣の家の子どもがよく自分の収集をみたがった。僕は他人に自分の収集を見せるのが好きではなかった。僕の宝石の価値は誰にもわかるはずがない。ただ珍しいチョウを集めて見せ合っているような奴らにはわかるはずないのだ。その上彼らはせっかくの宝石を台無しにするのだ。大抵の物は足がかけていたり、触覚が変形していたりしていた。彼らとは違っていた。だからなれ合おうとはしなかった。
少しずつ僕の収集にも変化が出てきた。せっかくなら、珍しい物を自分の物にしたいと思った。そして、ヤママユガを捕まえた。今までみたこともない大きさのチョウが手の上で朽ちていく様子に興奮が抑えられなかった。いつもよりより丁寧に、時間をかけて羽を広げた。一つ一つの工程をかみしめるように行っていた。しかし、食事を終えて部屋に戻ると、僕の宝石はバラバラになってた。急いで粉々に散ったた羽を集めてつなぎ合わせようとした。誰の仕業なのか、そればかり考えていた。ふと触覚がないことに気づき、手が止まった。このチョウは不完全なのだ。この死は不完全なのだ。これはもう、宝石ではないのだと気づいたときに。全身の血がさっと降りていくのを感じた。そしてもう一度チョウをみると、それは汚い破片となっていた。僕は立ち上がって自分の手を払った。ちょうどそのとき、部屋の窓から隣の家の子がやってくるのが見えた。僕は瞬間的にあいつがやったのだと理解した。体の奥からふつふつと何かがこみ上げてくるのを感じた。何かよくわからない、恐ろしい物に蓋をして階段を降りた。それが出てこないように、何も知らないふりをした。自分でも何を話したかもう覚えていない。ただ、そのときに思った。チョウは繊細すぎると。だから壊れてしまったんだと。もっと強くて、美しくて、誰も所有したことのないものでないといけないと。
 「だから殺したと?」座り心地の悪いパイプ椅子のきしんだ音が狭い部屋に響いた。個々はまるで標本箱の中のようだ。「さあ。僕はただ、少年の日の思い出を話しただけだよ。」

少年の日の思い出

執筆の狙い

作者 Reee
202-81-9-179.fp-e.ii-okinawa.ne.jp

少年の日の思い出のアナザーストーリーです。

コメント

黒沢ひろひと
M014008035162.v4.enabler.ne.jp

コメント失礼します。

表現なさりたい世界観のようなものはなんとなく伝わってきました。
ただ誤字脱字が多く、段落も無いので読みづらい。そっちのほうが気になってしまいます。

茅場義彦
133.106.158.201

なんか微妙だねええr

偏差値45
KD106154139149.au-net.ne.jp

>一向に褒めようとしない乳の態度も
>あのときの開館がたまらなかった。
誤字かな。

パっと見て文字の詰め込み過ぎなのは、あまり良くないですね。
文字のブロックのようになっているので萎えます。
逆に空行が多い作品もあるのですが、あれも読みにくい。
なんでも程ほどがいいんでしょうね。

内容として収集というよりも生命が消滅していく瞬間が見たかった、
ということでしょうか。殺伐としていますね。

どちらかと言うと、マニア向けでしょうかね。

ばね
KD106154125023.au-net.ne.jp

暴投が団長ですね。
死の美しさという言葉で初めるのはインパクトあると思いますけど。

言葉のチョイスに一貫性もないです。
大仰な表現のわりに、言ってることがチープだったり。

耽美なお話は好きなので、楽しめたっちゃ、楽しめましたね。

151043014222.ppp-oct.au-hikari.ne.jp

面白かったです。

誤字がやや多いのでそこを直せばもっと良くなると思います。

文章はエーミールの自信家なところや鼻にかけた態度がありありと浮かんできて、読んでいて楽しかったです。

批判も多く見受けられますが、さほど気にしなくてもいいと思いますよ。

私は好きな作品でした。

柔らかい月
n219100087087.nct9.ne.jp

画面傍観。

中学とかの国語教材『少年の日』:
 「エーミール、あなたは謝らなければなりません」とかゆーやつ

を、ワタシは塾講時代に「見ている」んで、
この本文も、読めばついてゆける・理解もできる(と思う)んですが・・


こういった《別作家の有名作品があって、それに乗っかった 本歌取り》を出す際は、
執筆の狙い欄の『少年の日』は、「固有名詞」として、二重鉤括弧で括る。
そして、『少年の日』なる教科書掲載小説があることを、一言明記。

それが《本歌取りした際の、しかるべきマナー》なんで。

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