作家でごはん!鍛練場
天橋文緒

弁山池の女

 弁山池に、見知らぬ女性がいた。

四月二九日。木曜日。ゴールデンウイークに入り山中小学校は休みになった。
 昼過ぎ、小学六年生の橋本陽太は、釣竿一式を担ぎ、一人で弁山池にやってきた。そこに、見知らぬ女性がいたのだ。
陽太は、物心つく前から弁山池での釣りが好きだった。
 弁山池は、父親が陽太を初めて釣りに連れていってくれた場所だ。陽太は第一投で、大きなフナを見事に釣り上げた。
陽太自身は、その時のことをはっきりと覚えていない。だが、酔った父親が何度も話したためか、うっすら記憶があるように感じていた。
 地元の人間でも弁山池を知っている人は数人しかいない。弁山池は陽太の家から歩いて十五分程の距離にある林の中を進んだところにある。林の更に奥を歩いていき、目印となるものが一切ない茂みを突っ切った先にある。
訪れる人は、陽太と陽太の父、それか陽太の父親の知り合いぐらいだ。
 弁山池は、陽太の父親が若い時に林の中で道に迷った時に見つけた場所だ。その後池を地図で調べたが載っていなかった。そこで、このあたりの名前が弁山であったため池の名前を弁山池だと父親が呼び始めた。
 その池で、薄手の白いブラウスを着て、黒いパンツ姿の女性が釣りをしていた。
 茂みを抜けた陽太は、池の対岸に女性がいることに驚いた。
陽太は、その見慣れぬ女性が誰か知らなかった。だが、父親が偶然見つけたように、他の人が見つけたのだろうとぼんやり考えた。
陽太は、意気揚々とお気に入りのスポットへと移動した。茂みから左手に進んだところだ。この場所は、岸にしては草が開けている。
荷物を置き、そのそばで簡易的な椅子も組み立てる。作業の合間に、女性がどんな人なのか気になり、横目で様子を窺った。
その女性は二十代後半ぐらいの印象だった。ロングヘアーでブラウスの袖から伸びる腕は色が白い。距離があっても分かる程の病的な白さだ。
陽太は、女性の格好に違和感を覚えた。釣りをするのであれば、汚れの目立たない服が無難じゃないかと陽太は思った。
持ってきた荷物を広げ、釣り竿を組み立てた。
釣り糸に生餌を取りつけ竿を構える。岸から池の底に刺さり、斜めに突き出ている細い木に目がけて釣り針を飛ばした。
釣り糸を垂らして、ゆくりと竿を上げ下げする。
岸近くの水面には薄く藻が張っている。水面は黒く、太陽の光線をきらきらと反射させる。
陽太は釣り竿をぎゅっと握り込み、空を仰ぎ見る。雲一つない快晴だ。
一つ大きな深呼吸をして、陽太は釣り竿の先から垂れる糸を、じっと見つめる。
 時折、女性が陽太を見ているような気がした。
数時間が経ち、夕陽が傾き始める。夕暮れの空に、ムクドリの群れが飛び回る。
ビクンと、釣り竿が引く。ムクドリに目を奪われていた陽太は反応が遅れたが、焦らずリールを回す。そのまま回し続け、小ぶりのフナを釣り上げた。
陽太はきりのいいところで帰ろうと思い、道具の片づけを始めた。
その時、陽太はふと女性のことを思い出した。来た時にちらっと見てから、一度も女性の方を見ていなかった。
片付けを終え、女性の方を眺めてみる。女性はまだ釣りを続けていた。
 陽太は挨拶をしないのも変だと思い、女性に向かって歩いていき、声をかけた。
「こんにちは! 釣れましたか?」
 女性は歩いてくる陽太を見ると、リールを回しきり、釣り針を手で掴んだ。女性は陽太の問いかけに能面のような無表情で答えた。
「全然釣れないわ。一日中いたんだけどね。君は釣れたのかな?」
「僕は何匹か釣れました。さっきもフナを釣ったんです。それと、初めましてですよね?  僕は、橋本陽太です。」
女性は陽太を観察するような目つきで、頭から足の靴先まで見た。それから抑揚のない声で言った。
「そんなに釣れたんだ。凄いね、陽太くん。私は西藤っていいます。今日から釣りを始めたの」
陽太は自分を見る西藤の目に畏れを覚えた。不自然だったが目をそらした。
西藤の釣り竿を見ると、釣り針に何もついていなかった。
「西藤さん、釣り針に生餌とかつけないと、魚は釣れないよ? 僕のをあげようか?」
 陽太は親切心で西藤に言った。
「餌ね。餌は水に撒いてあるのよ。釣りって、針に餌をかけるとは知らなかったわ。ありがとう」
 陽太は西藤のうっかりに笑ってしまった。冷たい印象しかなかったためだ。
「もうちょっと早く声をかけたらよかったね」
「陽太君は、魚を釣れたの?」
「結構、釣れたよ。今晩は、さっき釣ったフナを食べようと思うんだ。普通の池なら臭くて食べられないんだけど、ここの池の水は綺麗だから食べるられんだ」
西藤が少し暗い声で話す。
「その魚、本当に食べるの?」
続けて、西藤が言う。
「この池にはほかに釣りに来る人とかいるのかな?」
陽太は西藤の変化に戸惑いながら言う。
「ほとんど来ないよ。そういえば、西藤さんはどうやってこの池を知ったの?」
「随分前に、私の夫が教えてくれたの。来るのは今日が初めてよ」
「一緒に釣りに来なかったの?」
 ふと疑問に思ったことを、陽太が訊ねる。
 西藤はそれを聞くと、口をつぐんだ。しばらくして、陽太に目を合わせないで言った。
「今日は帰るわね。陽太君は明日も来るのかな?」
 陽太は西藤に言い知れない恐怖を感じていた。ゴールデンウイーク中、陽太は弁山池に来るつもりだったが止めた。
「僕はもうしばらく来ないかな」
「そう。私は明日と明後日ぐらいも、一応確認のために来るから、もし気が向いて来たらよろしくね」
それだけ言い、黙って西藤が釣り竿を片付け始める。
「それじゃあ、さようなら」
 陽太は西藤の様子に違和感を覚えつつ、帰路についた。

 陽太は家に帰ると、台所のシンクに釣った魚を出した。母親にあとを任せ、陽太は釣り具の片づけをして、シャワーに入る。
 陽太はシャワーから出ると、居間のソファに寝転んだ。疲労を感じながら、頭の片隅に池で会った西藤のことがちらついた。西藤の違和感について考えていると、いつの間にか眠ってしまった。
陽太は、母親に肩を揺すられて目をさます。
 食卓には父親がもう座っていた。陽太が眠っている間に帰ってきていたようだ。陽太は席につくと、池で会った西藤のことを話し始めた。
 父親も西藤と会ったことがないという。父親が知り合いに聞いて見ると言った。
 母親がキッチンからムニエルを載せた皿を食卓テーブルに運ぶ。池で釣った魚を食べる時は大抵ムニエルであった。
 弁山池で釣った魚は、身に臭みがなく美味しいため、家では好評だった。
陽太は箸でムニエルをほぐして、身を口に運ぶ。噛むと臭みを感じた。泥臭く、何とも言えない腐ったような味がする。
陽太は父親と母親と顔を見合わせた。全員が味の変化を感じていた。味はまずいが、もったいないということもあり、食べきった。
その日は、たまたま釣れた魚が悪かったということで結論づけた。
 それから、ゴールデンウイークは、友達の家に遊びに行ったり、自宅でゲームをしたりして過ごした。

ゴールデンウイークが明け、五月六日。陽太は山中小学校に登校した。ゴールデンウイーク中も、授業を受けている時も弁山池のことが頭にあった。池で会った西藤。ずっと何か違和感があった。
学校が終わってすぐに、陽太は弁山池へと向かった。林の先から人の声が聞こえる。陽太が茂みを抜けると、十人ほどの警察官がいた。木々の間に黄色いテープで規制線が貼られている。池の岸には青いビニールシートが被っているところがある。
 二十代ぐらいの男の警察官が陽太に気づき、近づいてくる。
「君、ここに入ってきちゃいけないよ」
「何かあったんですか?」
「子供が知ることじゃない。早く帰りなさい」
 警察官は有無を言わさず、陽太を林の外まで連れ出した。林に入る時は気付かなかったが、林の隅にパトカーが何台か停まっている。

 陽太は家に帰った。弁山池で何が起こったのか。西藤が関係しているではないか。陽太は嫌な胸騒ぎがしていた。陽太は自室のベッドでうずくまっていた。
 夜になり、陽太の母親が夕食を作り終え、陽太を呼んだ。
 陽太は食卓テーブルについた。テーブルには料理の盛られた皿や白米を持った茶碗が置かれている。料理をついばみ、白米を食べ始める。
その時、点けっぱなしだったニュース番組
で女性キャスターが緊急ニュースを報せた。
 陽太が住む近くの池での事件だ。そして、そのニュースで映しだされた池は、紛れもなく弁山池だった。
「このあたりじゃない。怖いわ」
 陽太の母親が驚いたように言う。
 陽太と父親は食い入るようにテレビを見る。
テレビ画面は弁山池を映したまま、ニュースキャスターの緊迫した声だけが響く。
「緊急ニュース速報です。住宅街近くの林にある池で、男性の遺体が釣り人に発見されました。遺体は死後一週間ほど経過しており、大型連休に入る数日前に殺害されたもようです。殺害後すぐに池に投げ込まれたことも分かっています。容疑者は男性の妻である西藤由紀――」
「西藤、由紀……」
 陽太が名前を呟く。
父親が陽太に向けて、呆然と言葉をこぼす。
「今日、俺の知り合いが行くって聞いてたんだが、あいつが見つけたのか?」
 テレビの画面が切り替わり、車に乗り込む西藤の姿が映し出される。陽太が話した人物で間違いない。ニュースキャスターがさらに続ける。
「容疑者の西藤由紀は、警察に『あの男の子とその家族には悪いことした』という言葉を告げたそうです。詳しいことが分かり次第、引き続きお知らせします」
 陽太は西藤と会った時のことを思い出していた。釣り針に何もつけずに釣りをしていた西藤。最初から釣りをするつもりがなかったのではないか、という疑念が陽太の胸に渦巻く。さらに、西藤は何といっていたのかを陽太は細かく思い出していく。
「その魚、本当に食べるの?」
 あれは、一体どういうことだったのか。
 池で発見された西藤の夫。釣りの仕方も分からず一日中いた西藤。じっと観察するような西藤の眼。西藤は言った。餌は水に撒いてあると。そして、泥臭く腐ったような味の釣った魚。
 気づいた陽太は反射的に嘔吐していた。

弁山池の女

執筆の狙い

作者 天橋文緒
118-86-19-77.ohta.j-cnet.jp

掌編の練習に書きました。
内容の批評や自分ならこうするといったものがあれば、教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。

コメント

のべたん。
210-238-52-145.ppp.bbiq.jp

読ませていただきました。
起承転結しっかりしていて、読みやすく良品だと感じました。

自分ならこうする、と書かれていたので、もし私が書くとすれば、妻という設定でなく、愛人とするかもしれません。先生と元教え子とか、

執筆お疲れさまでした。

夜の雨
ai212213.d.west.v6connect.net

「弁山池の女」読みました。

なかなかいいですね、不気味なところがナイスです。

>内容の批評や自分ならこうするといったものがあれば、教えていただきたいです。<

主人公が「小学六年生」の「橋本陽太」で、物語は彼が釣りに行くのですが、人があまり知らない、立ち寄らない「弁山池」なのですよね。
そこで見知らぬ女を見かける。
彼女は一日中いるのですが、「陽太」は帰りにその女に声をかける。

というような展開なのですが、「小学六年生」の子供が、見知らぬ他人に人気のない池で声を掛けますかね?
ここは「声を掛けなければならないような、状況を作ったらよいと思います」。

それとラストでニュースになっている女が『あの男の子とその家族には悪いことした』というようなことは言わないと思います。
また、そういう優しい言葉をいうのなら、「優しい言葉をいう、伏線が必要だと思います」。

この容疑者の西藤由紀は夫を殺しているという設定になっています。
ということは、夫を殺して沈めている池で精神を落ち着けるために釣り糸を垂れているようなので、彼女は夫を殺した事で頭がいっぱいのはずなので、他のことは考えにくい。
したがって、『あの男の子とその家族には悪いことした』こういう、「発言をする余裕はない」と思います。

雰囲気はある作品なので、その雰囲気を壊さないような注意が必要ですね。

作品に漂っている世界観はよかったです。

ちなみに御作を読む前に偶然ですが、YouTubeで、「つげ義春」関係の動画を観ていました。
この「つげ義春」の世界がどことなくシュールで不気味、そして芸術的なのですよね、漫画家でもいろいろな方がいます。


お疲れさまでした。

四月は君の嘘。
n219100087087.nct9.ne.jp

主人公:陽太を「中学2年生ぐらい」にして、

西藤由紀を「山あいの池にいても違和感のない、普通の装いの人」に変えて、「笑顔で気さくに挨拶してくれた」設定にする。



「その日に釣れたフナだけ、腐ったような異様な味がした理由」が、
心情的には分からんでもないんだけど、
【物理的には納得がゆかない】んで、さっぱり腑に落ちなかった。


努力して考えられるのは、

1: 殺された旦那の体を啄んだフナだから?? 速攻で味変??
2: 遺体投棄で、池の水が濁ったから?? 速攻で味変??
3: 旦那の死因が「毒殺」だったから?? その毒が、少量啄んだフナにも影響しちゃうほどの猛毒??

どうも全部ありえない。。

西藤由紀の殺害手段として一番容易なのは、
「釣り糸垂れてた旦那の後頭部を背後から石で撲殺。遺体は池へどぼん」であり、
「旦那が使ってた釣り道具を、そのまま自分が拝借して、そこに居た」んだったと思うし、


「その日釣ったフナを、何の違和感もなく、おいしく頂いていた」方が、
陽太が真相を知った時の「心理的抵抗」は大きくなる・・と思う。



短編から掌編は、
そういう「細かいところ」を、丹念に考察・検討して、丁寧に書くのが肝心。

ブロンコ(にゅーたいや
KD111239125043.au-net.ne.jp

>弁山池に、見知らぬ女性がいた。

四月二九日。木曜日。ゴールデンウイークに入り山中小学校は休みになった。
 昼過ぎ、小学六年生の橋本陽太は、釣竿一式を担ぎ、一人で弁山池にやってきた。そこに、見知らぬ女性がいたのだ。
陽太は、物心つく前から弁山池での釣りが好きだった。
 弁山池は、父親が陽太を初めて釣りに連れていってくれた場所だ。陽太は第一投で、大きなフナを見事に釣り上げた。
陽太自身は、その時のことをはっきりと覚えていない。だが、酔った父親が何度も話したためか、うっすら記憶があるように感じていた。




前作とまったく同じ印象のままだなあ、っていうのが何よりの印象なんですけど、わかりますか。
いきなりの抜粋で申し訳ないんですけど、個人的にはこの書き出しのあらゆる情報がいつどこで何をという単純な説明としてまったくごちゃごちゃ過ぎる気がするんですね。
置き方、順序、視点、何でもいいです、そのすべてがまるきり筋交いに混乱していて書き筋として無邪気すぎる気がします。
あたしが馬鹿なだけなのかもしれませんが、個人的にはまったく場面が想定できません。

読み進めれば場面は少年が池のほとりに立つ現在形であることが明らかになりますが、だからこその混乱というよりは、もはや筆致としての不信感こそを思い起こされるわけなんです。


書き方がおかしいと、物語そのものの動きや感情などもやはりどこかおかしいということは案外よくあることで、個人的には西藤という女は登場シーンからすでに犯罪者という背景を抜きにしても振舞いも発言も倒錯甚だしいし、それを伏線と呼ばわるならむしろ物語としての強度を下げるだけの悪手としか個人的には思えないし、服装なり、釣り竿なり、言動も恐らくは書き手が想定したはずのものとは違う印象を生んでしまっていることは明らかなはずではないのかと、一読者としては悪しく想像させられずにはいられないわけなんです。


言ってること、わかりますかね。
これって、この作品の物語としての出来について話してるわけではないってことです。
先に言った通り、筆致としてのそもそもの不信感ってことです。


書き筋としてのちぐはぐさが、物語やキャラクターの造形においてもその不信を裏切らないちぐはぐさで常に安定の如く書き進められている気がするんですね。
“料理をついばみ”なんていう表現もその語彙の応用をあたしは正確に認識するわけでもなくただ単純に“鳥かよ”なんて薄情な印象を思いつかされかねないわけですし、ニュースから伝わる閉じの書き筋ははっきりと蛇足に傾いて締まりがないもののように感じさせられます。



物語にはついてよりも、書き手は一文一文の繋がり、情報としての配置と機能をちゃんと整理して場面を想像する客観性を慎重に意識してまずはちゃんと身に付けた方がいいような気がします。


荒療治かもしれないんですけど、先に抜粋した文章を一文に書き収めてみるのも一つの手のような気がします。
長文を毛嫌いする人は少なくないんですけど、完成形としてではなく、練習という意味において言ってますから勘違いしないこと。
下手な短文をごちゃごちゃと撒くから時制も場面も散らかるんですよ、出来ないってそういうことだと思うんです個人的には。

楽してるんだと思うんですよ。

長文を捻じ曲げずに整えることは案外難しくて、助詞の使い方一つでも情報は整いもねじくれもするっていうのはつまり日本語っていう秀逸な機能のはずですから、興味が持てるなら一度挑戦してみた方がいいような気がします。


物語以前に、単純に情報としての文章の構成がものすごく下手です。
前作から何も進歩してない。

5150
5.102.15.77

拝読しました。

全体的にまとまっていると思うし、最後もショートショートらしい味でした。

タイトルや前半の感じからすると、この女性をもっとミステリアスに、幻想的に描いてもよかったような気がします。腕が病的に白い、に続くもう一文くらい描写が欲しいところです。それと合わせて池の雰囲気を表す描写があればなおよかったのではと思えます。わざわざ地名も出してますし、幻想的な雰囲気がこの作品の核を占める部分かな、と読んでいて思えましたので。

奇妙な味、あるいはブラック風味でならいいのですが、御作をミステリーとして読むと、なぜ女性が池で釣りをしていたのか、その動機が読み込めませんでした。そこに引っ掛かりを覚えました。

西藤の夫が池に沈んであるとして、どうして釣りを一日中していたのか。死体が人目につかないか監視していた、くらいしか推測できませんが、普通に考えたら、地図にも載っていない池であり、釣りをして夫を殺して池に捨てたのなら(あくまで憶測です)、人もいない池に一日中へばりついているのは不自然な気がしたからです。あんな格好で、一日釣りをして誰かに見つかるくらいなら、そのまま遺棄しておいてもよさそうな気がするのですが。一度現場を見にくるのはわかりますが、ど素人が目立つように死体遺棄現場で釣りをしている理由が不明でした。

オチからも御作はミステリーとして書かれてはいないわけですが、肝心の女性が池で釣りをしている理由があやふやだったため、ネチネチと重箱の隅を突っついてしまいました。ついでなので、最後までいきます。

>「全然釣れないわ。一日中いたんだけどね。君は釣れたのかな?」
「そんなに釣れたんだ。凄いね、陽太くん。私は西藤っていいます。今日から釣りを始めたの」
「餌ね。餌は水に撒いてあるのよ。釣りって、針に餌をかけるとは知らなかったわ。ありがとう」

 >一日中いたんだけどね。
 >私は西藤っていいます。今日から釣りを始めたの
 >釣りって、針に餌をかけるとは知らなかったわ。

 このあたりは、いかにも説明的で不自然なので、5150個人としては、丸ごと削っても何ら支障はなさそうな気がします。餌は水に撒いてあるのよ、は必要な伏線ですが、他のは余計な情報であり、むしろ西藤自ら自分の立場を危なくしているとも取れる会話のように思えますので。このあたりは、5150なら最低限の会話で、かつ女性のミステリアスさを際立たせたセリフを考えたいところです。

 西藤が釣りを知らないのは描写だけでもわかりますし、一日いることも書く必要がないのでは。西藤なんて本名をわざわざ自分から名乗らないと思えますので。男の子が名のる部分もそのままカットしてもよいのでは。ただでさえ、釣りでもトラッキングの格好でもない西藤なので、やたら目立つような気がするので。ここは前述の疑問とも繋がります。

>「今日、俺の知り合いが行くって聞いてたんだが、あいつが見つけたのか?」

このセリフの意味がいまいちわからなかったです。これ、ちなみに父親の知り合いは何も関わってはいないんですよね。

>そして、泥臭く腐ったような味の釣った魚。

最後の、この文は別になくてもよいような。死体が沈んでいた池から釣ったフナ、それを食べるというだけで、普通に気持ち悪く感じるとは思いますので。

いろいろと書いてしまいましたが、全体としてはよく書けていると思います。読んでいて面白かったです。ここは鍛錬場だということでお許しを。

天橋文緒
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のべたん。様

お読みいただきありがとうございます。
>先生と元教え子とか、

自分にはない発想でした。
そういう設定で書くのもいいかもしれないです。ありがとうございました。

天橋文緒
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夜の雨様

お読みいただきありがとうございます。
>というような展開なのですが、「小学六年生」の子供が、見知らぬ他人に人気のない池で声を掛けますかね?
ここは「声を掛けなければならないような、状況を作ったらよいと思います」。

確かに、そうですね。普通の小学生は警戒しますよね。
「人気のないところで、子供が見知らぬ人と話す」のは、ちょっと危ないことです。
次からは、自然な状況を入れるようにしたい思います。

>それとラストでニュースになっている女が『あの男の子とその家族には悪いことした』というようなことは言わないと思います。
また、そういう優しい言葉をいうのなら、「優しい言葉をいう、伏線が必要だと思います」。

ここも、伏線ですよね。自然になるような状況。
次の掌編を書く際は、推敲を丁寧にしたいと思います。
ありがとうございました。

天橋文緒
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四月は君の嘘。様

お読みいただきありがとうございます。
>「その日に釣れたフナだけ、腐ったような異様な味がした理由」が、
心情的には分からんでもないんだけど、
【物理的には納得がゆかない】んで、さっぱり腑に落ちなかった。
>1: 殺された旦那の体を啄んだフナだから?? 速攻で味変??

私が考えていたのは、1でした。そんなすぐに味変わらないですかね。

>短編から掌編は、
そういう「細かいところ」を、丹念に考察・検討して、丁寧に書くのが肝心。

細かいところに気を配るのは難しいですね。もっと頑張ります。
ありがとうございました。

天橋文緒
118-86-19-77.ohta.j-cnet.jp

ブロンコ(にゅーたいや様

お読みいただきありがとうございます。
書いて頂いた内容を何度か読みました。
物語そのものではなく、展開していく文章が繋がっていない。
またその原因が、短文ばかりで情報の提示が上手く出来ていないから。
だから、長文で説明する練習をした方がいい。
ということだと認識しました。あってますかね。

情報の提示に気をつけるようにしたいと思います。
ご指摘ありがとうございました。

天橋文緒
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5150様

お読みいただきありがとうございます。
確かに、女性を幻想的に書くのと池の描写はもっと意識した方が良かったですね。
女性が釣りをしている理由を曖昧にしてしまったのは、説明不足でした。気をつけたいと思います。
会話が説明的になりすぎていたのは、反省です。
仰る通り、最低限の会話で女性のミステリアスさを際立つようにした方が良かったです。
勉強になりました。ありがとうございます。

たまゆら
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読ませて頂きました。
 
ずさんな設定が陳腐なオチを生んでしまった、そんな印象の強い作品でした。
やはり皆さんが指摘されるように人物設定のミスだと思うんです。
小学生の男の子と20代後半の女性が出会って、そこに何が生まれるか、書きだす前にもう一度考える必要があったかもしれません。
 
いくら女性に疑問を感じていても小学生では踏み込めないし、傍観者のまま終わってしまう可能性が高いです(実際そうなっている)。
要は何の行動も起こさない主人公に読み手は共感を覚えないということです。また葛藤の意味すらわからない小学生に感情移入できないでしょう。
まずは主人公を悩ませ、行動に移させるべきでした。
 
仮に主人公が青年であったのなら、また別の展開になった気がします。そして女性が自殺しにきたと嘘をついたら、物語が劇的に変化したかもしれない。さらに言葉巧みに、主人公の考えをあらぬ方向へ導いていくと違った広がりも生まれたかもしれません。

それと殺した相手を夫にしなければ(例えばストーカーとか)謎も深まるし、主人公に何らかの感情も芽生えたでしょう。展開しだいでラストのどんでん返しの期待もふくらんだはずです。
 
そもそも殺し方が曖昧すぎます。池に突き落としても毒を撒いただけでは死にません。どこで手に入れたどんな毒薬かわかりませんが、その致死量は限りなく多いはず。
のみならず敏感な魚は浮かび上がり、その異変に主人公も気づくでしょう。
女性の服装に乱れもなく争った形跡も残っていません。重たい男の死体を運んできたとも考えにくいし、さらに数日後には沈んでいた死体も浮かんでくるのです。
それは犯行が露見するということ。悠長に明日も明後日も池にいるという女性の発言に不満を感じます。
 
次も掌を書くとのこと。できるのであれば人物の背景を掘り下げたうえで、配役を吟味してみてはいかがでしょうか。そうすればキャラが思いもよらぬラストへ導いてくれるかもしれません。
 
酷評に近い感想ですが悪意はありません。挫けず、頑張ってくださいね。

ドリーム
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拝読いたしました。

単なる釣り好き少年もの物語と思ったら,そこに現れた謎の女。
まさにミステーリ。マサカ夫殺しだったとは驚き。
しかし何故、事(殺害)を起こし後で池に何度も来たのか不思議。
でも面白かったてすよ。

天橋文緒
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たまゆら様

お読みいただきありがとうございます。
人物設定をもう少し考えるべきでした。
あらすじを考えて小学生と女性で書こう、と決めてからあまり考えてなかったです。一度決めてから、色んなパターンを想定しようと思います。勉強になります。

>まずは主人公を悩ませ、行動に移させるべきでした。
仰るとおり、そうしたほうが良かったですね。
書いている時に、その視点が抜けてしまっていました。
気をつけたいと思います。

>そもそも殺し方が曖昧すぎます。
これは反省してます。雑になりすぎました。
もう少し丁寧に書くようにしたいと思います。

>酷評に近い感想ですが悪意はありません。挫けず、頑張ってくださいね。
読んで頂いて、その後も考えて頂けるだけでありがたいです。
自分が書いたものを客観的に読むことが難しいので、教えてくださりありがとうございます。

天橋文緒
118-86-19-77.ohta.j-cnet.jp

ドリーム様

お読みいただきありがとうございます。
>しかし何故、事(殺害)を起こし後で池に何度も来たのか不思議。
すいません。そういう所も次はきちんと書けるようにします。
ありがとうございました。

中野太郎
M014009196000.v4.enabler.ne.jp

要するに死体を食うふなを食べて吐いた。もちろんその処理でもいいと思いますが
まずふなを食べる人物を複数にします。そして宗教をやってる人を絡ませ、死体を食べたふなだからこそ食べて美味しいという境地とか吐く人とか色々書けるわけです、科学の人とかね。
そういう複数落ちの方がいいかなと思います。
もちろん星新一とか短編の名作と競争して傑作を生み出すのもテクニックですし、
全くのアマチュアに戻って楽しんで書くのもいいと思います

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