作家でごはん!鍛練場
マシュ麻呂

自惚れ

正直なところ私は自惚れていたんだと思う。
自分もそう思っているなら相手もそうに違いないだなんて、思い上がりも甚だしかった。
秋も過ぎれば冬も来る。時間という物は待てと言っても勝手に過ぎ去ってしまう。
こちらの思いなどいつだって知らないふりをする。
今も吹いているこの寒風と一緒だ。冬を知らせるのにそこまで強く吹く必要はないというのに、音を鳴らして耳の外側を通り抜けていく。制服の下には防寒着を幾重にも着込んでいるというのに、まるで役に立たない。袖の先から鳥肌が立っているのが見える。風は冷たいばかりで、やさしさの欠片すらも見当たらない。
「好きって言ってくれたのは嬉しかった。だけど、ごめんなさい。私は梨本君とは付き合えない。」
もしかしたら、いいや、もしかしたらという言い方は止そう。
私は彼女も自分のことが好きだろうと8割ぐらいはそう思っていた。
それなりに勉強もできるし、春には国立大学への入学も決まっている。
自分で言うのもおかしなことだが、顔立ちだって人よりは整っているほうだ。
高校へ入学してからも何度か告白されたこともある。
少なくとも嫌われるような要素は存在していないと、私はそのように考えていた。
「どうして付き合えないのか一応教えてくれないか。」
声には動揺が乗り、情けなく震えていた。
「そう、だね。別に私は梨本君のことが嫌いとかそういうわけじゃないの。いつも親切にしてくれるし、うん。いい人だと思ってる。」
彼女は明らかに言葉を選んでいる様子だった。困らせてしまっているのは分かりきったことで、彼女の迷惑になりたくないという気持ちが湧きあがったが、反して、ここで引き下がることはできないという意地も同じくらいあった。
「なんとなくいい旦那さんになるんだろうなって見ていて思うよ。私の友達も梨本君のこといいなって言っていたしね。こうやって、好きって私に言いに来てくれたところも、そう、羨ましいなって思うよ。」
「羨ましい?」
「うん。私にはできないことだから。」
彼女は本題を話すときに遠回りをする癖があった。これもきっと長い前置きだ。
「それは、好きな人がいるってこと?」
彼女は首を振って困ったように笑った。
「好きな人はいないよ。そういう理由じゃないの。きっと梨本君は周りの人に大事にされて生きてきたんだろうなって。知らないかもしれないけど、素直に好きって言えるのは、その人が大事にされてきたからだよ。」
そういった彼女の表情はこれまで見たことのない陰りがあった。
「羨ましいから、俺と付き合えないってことでいいの?」
「たぶん、そうなのかもしれない。ひどい理由だよね。」
「そう思うよ。」
「そっか、なかなか手厳しいね。」
「好きな人がいなくて、俺のことを良いと思ってるって言われたら、引き下がれるものもできないよ。」
「なんか悪いね。きっと、梨本君以外でも、誰に言われても私は断っていたと思う。」
「それは卑怯だと思う。」
「卑怯なのが私だから。そういう風に育てられたの。」
どこか遠くを見ながら苦笑する。何かを思い出しているようだった。
「でも、梨本君だから話したんだよ。貴方の誠実さを私は信じているから。本当だったら適当に誤魔化してるところ。」
「それは、光栄なのかな。」
振られたからか、複雑に感じて素直に喜べない。
「どうだろうね。えっと、つまり、私が梨本君を振るのは梨本君が悪いわけじゃないって説明をしたかったの。遠まわしでごめんね。」
「いいよ、そういうところを好きになったんだからね。」
そういうと彼女は顔を赤くした。
「あまりそういう風に面と向かって言われるの、慣れてないから恥ずかしいかな。」
「そういうつもりはなかったんだけど。」
「うん。言いずらいんだけど、やっぱり言わないと梨本君も納得してくれないだろうから、言うことにするね。」
何をとは言えなかった。彼女の表情は決心と苦渋を浮かべていた。
「梨本君は私のことを好きって言ってくれる。私はそれが嫌なの。きっと梨本君が私のことを好きというたびに私はあなたのことを嫌いになっていく。私は私のことが嫌いなんだ。私が嫌いな人を好きだといってくる人が気持ち悪くて仕方ない。」
そこまで言って彼女は左腕を右手で押さえつけた。見えない壁が築かれたようだった。
「なら言わないから。」
「ごめん。それでも、私は自分を愛せないから。誰にも私を好きになってほしくない。」
どうしてそこまで頑ななのか、私には理解ができなかった。
しばらく静寂が場を支配した。
先に沈黙を破ったのは彼女のほうだった。
「きっと、これを話したらあなたは引きずるだろうなってことは、察しがついた。だけど、もしかしたら、私はあなたを傷つけたかったのかもしれない。ごめんね、梨本君。」
「それは」嫌いってことじゃないんだろうか。
続きは言葉にできなかった。気が付いてしまえば、何をどうするべきなのかも分からなかった。
同じ教室で、同じ世界を生きていたと思っていたけれど、彼女にはきっと違ったのだろう。
自分は今まで彼女なのにを見ていたんだろうかと、自信がなくなっていった。
もう彼女の顔をまともに見れなかった。
「ひどいことしてごめん。でも、あなたが思うほど私はきれいじゃないから。」
そういうと彼女は視線の先へと背を向けて歩き出した。
一瞬だけ、こちらに向かって強く風が吹き抜けた。桜のつぼみが視界の隅で頼りなく揺れていた。
私にはもう彼女を引き留めることもできないらしかった。かける言葉も見つからないのだ。
人に好きだと言えるのは大切にされてきたからだと、妙にその言葉が耳の奥にこだましていた。
今はただ、春の訪れが待ち遠しい。

自惚れ

執筆の狙い

作者 マシュ麻呂
p192.net182021164.tokai.or.jp

思いつくままに書きました。どちらかといえば、一人称の彼は主役ではなく、彼女と呼ばれている人が主役なのかもしれません。テーマは隔たりです。人の考えていることは、実際に聞くまでは分からないものです。
普段仲良くしている人も、心の中では自分のことを嫌っているかもしれません。
同じ世界を生きているのに、もどかしいほどに見えている世界が違う。
理解できないことすらあります。
そういった、気が付くことが難しい人と人の間にある世界の壁を表現できたらいいなと思いながら書かせていただきました。反省点としては、会話の途中に入れる地の文の重厚さというものが足りていなかったなと思います。
見切り発車で、何もプロットを練らずにどこまで書けるのかと、試すような気持ちで書き始めました。
次はもっと骨組みを立ててから描くことが出来ればよいなと思います。

コメント

大丘 忍
p139045-ipngn200403osakachuo.osaka.ocn.ne.jp

読みました。
私の高校時代は終戦直後の昭和20年代、今から七十年以上の昔ですから、恋愛感情も違っております。私の頃は、好きな人が出来ても、告白するという行為はありませんでした。ではどうするのか。私の場合は、大学に入って恋人が出来ましたが、特に何かしたことはありません。気がついたら恋人になっていたと言う感じですね。
だから、現在の若い人の恋愛を描いた小説を読むのは非常に興味を持っております。とくに、本作のような彼女の心理状態が理解できないので、このような小説は興味を持って読んでおります。そして時代が違うんだなあと実感しております。

四月は君の嘘
n219100087087.nct9.ne.jp

主人公の一人称が「私」だったので……
>「好きって言ってくれたのは嬉しかった。だけど、ごめんなさい。私は梨本君とは付き合えない。」
って第一声が、「主人公が言ったセリフ」かと思ってしまった。

直後に「主人公:私= 男子:梨本」と脳内の修正を強いられた。


>それなりに勉強もできるし、春には国立大学への入学も決まっている。
状態で「冬」なんである。
主人公は進路決定済みなんでいいかもしれないが、、、「彼女」の方はどうなん??

「これから受験」とか、「家庭の事情で受験はやめて、就職に切り替え」とか、
漫画だと「家庭の事情で、卒業したら結納」とか、稀にあるじゃん??
あと、「看護系に進んで、遠方の学校で寮生活!」とか、同級生で普通におりましたし。。


《彼女の事情》については、一切斟酌なし・何ら情報開示なし! で、
ひたすら「主人公の想い」に終始されちゃうと、、
きびしい。
「恋ってそんなもの」なのかもだけど、主人公『自己中で一人空回ってるなー』と。


そもそも・・高校3年のこの時期は「人生の分かれ目」だから、
「付き合って欲しい」と告白できる状況なんて、
《地元に残る人同士》 《同じ地元大学に進学決まってる人同士》 《大学入学までの期間限定》
ぐらいに限定されてくる・・でしょう。



終盤、
>桜のつぼみが視界の隅で頼りなく揺れていた。

冒頭じゃ「厳冬期」みたいだったのに、すっかり「早春」じゃん!! と。

そんな状況(もう春じゃん……)なので、締めの一文が、陳腐かつはなはだ間抜けに響いて、
主人公がバカっぽくなってる。。


あれこれあんまり適当で、『作者考えてない、シミュレート不足だなー』とは思うんだけど、
「彼女」が素敵な人なのと、全体の雰囲気は結構いい。

四月は君の嘘
n219100087087.nct9.ne.jp

雰囲気はいいんだけどさー、


>「好きな人がいなくて、俺のことを良いと思ってるって言われたら、引き下がれるものもできないよ。」
「なんか悪いね。きっと、梨本君以外でも、誰に言われても私は断っていたと思う。」
「それは卑怯だと思う。」
「卑怯なのが私だから。そういう風に育てられたの。」


↑ なんでそこで「卑怯」なんつー、超自分勝手なセリフが出て来るのか。。

「誰から告られても、誰とも付き合わないと決めてる人」は実際いるもんだし、
「そんな彼女だから、好きになったのだ」って世界だと思うんだけども、


作者は「作者都合で、その話を続ける・まとめるためだけに、安易に思いついた(出て来た)単語で、無理に理屈こねて繋いでいる」から、、、

会話部分は全体に大仰で芝居がかってる。

だもんで、
《昭和期が舞台な昼ドラにおける、学生時代の回想シーン》みたいなんだよねー。。

(かつてはお昼に連日帯で放送されていた昼ドラだと、このシーンから10年後、ドロドロの執着劇が展開する)

ブロンコ(象徴サマ
KD111239123168.au-net.ne.jp

>一人称の彼

を語り手として置きながら


>彼女と呼ばれている人が主役なのかもしれません


に長々と彼を語らせる魂胆の浅ましさこそを書き手自身の“自意識のカタマリ”と言い切らなくて一体何のつもりなのかと。


世界には何の理由もなく、ただ便乗さながらにヒステリックな自己主張を気取らされる彼女は“自惚れ”と嘯く作者の魂胆に駆られて“自惚れたがる”彼ばかりに奢られる賛美でしかないことは明らかで、この偏重の世界はただただ気色が悪いだけの人間未満、道理もクソもないただボロいだけの欲求の発露としか見受けられません。


ただの場面でしかない以上、書き手に言い訳の余地はないはずです。

マシュ麻呂
p192.net182021164.tokai.or.jp

四月は君の嘘様へ

まずは読んでくださりありがとうございます。
意外と頭の中にあるものを十全に書くことは難しいなと思いました。
彼女の情報があまり書かれていないというのは、やはり気になるものなんだなと、自分ではわからない発見がありました。けれど、いちおう少しだけそうなってしまった理由はあります。私の中で、彼女については秘密主義者であるというキャラクター増があったからです。自分のことを誰にも話していない人のことをある程度親しいとはいえ、教えてもいないことを知っているのはおかしいだろうと思っていました。
秘密主義者で、臆病者で他人の存在におびえているのが彼女です。卑怯者と主人公に言わせてしまったのもそういう認識があったからかもしれません。話の流れとしては少し不自然でした。
主人王も振られていじけてしまっているので何か恨み言?のような言葉を吐くかもしれないなというのもありました。
彼女という呼称を徹底しているのも、謎めいた印象が私の中にあったからです。
この作品で一番書きたかったのは、梨本君ではなく彼女でした。
彼女という存在をとらえるために、自己肯定感が高いと思われるような存在を主人公として適当に作り上げました。
それが梨本君です。自分に自信があるというのをあまりしつこく書かずにさらっとすましたかったので、容姿に自信があるとか、そういった自己認識を敢えて描写しました。
言ってしまえば彼らの間にあったのは家庭環境の差です。
梨本君は両親から無償の愛を受けて育っています。
反対に彼女は両親からあまり愛されているという実感を得られずに人生を歩んできました。
彼女がいい旦那さんになると言ったのも、梨本君のことを異性として認識しているということです。
家庭に憧れを持ちながらも、彼女はそれをどうしても拒んでしまうのです。
愛されずに育った子供は自己肯定感が低く、他人を信用できません。そして、自分を満足に愛してあげることもできません。こうした不器用さが彼女が告白を断った理由であり、愛情を受けずに育つということを想像できない梨本君が理解できる存在ではなかった。言ってしまえば、彼女には幸せを拒んでしまう呪いのようなものがあるのです。
私としては言葉の節々に愛された経験のない女性だということを匂わせたつもりでしたが、技量不足でした。
言い訳になってしまいますが、1時間程度でさっと書いたものなので、全体的に雑だという点には目をつぶっていただければ幸いです。

マシュ麻呂
p192.net182021164.tokai.or.jp

ブロンコ(象徴サマさんへ

はっきりとおっしゃることの意味が理解できませんでした。申し訳ありません。
私としてはまったく主人公を賛美する意図はございません。斜めに構えすぎではないでしょうか。

マシュ麻呂
p192.net182021164.tokai.or.jp

大丘 忍様へ

今時と言うやつは私にもよくわからないものです。
私と同世代の人たちは恋愛ドラマというものを見て育ったからなのか、告白という儀式を踏んでからではないと付き合うということはまれだと思います。
とにかく関係をはっきりさせたがるところがあります。
言葉にせずとも互いが想いあっていたいたのならば自然と恋愛関係に発展する時代があったと聞かされると、少しだけ信じられないような気持ちになります。
けれど、そのような関係性もロマンチックで素敵だと思います。
コメントありがとうございました。

ブロンコ(象徴サマ
KD111239129023.au-net.ne.jp

申し訳なく思わなくていいよ心にもないことなんだろうし

>斜めに構えすぎではないでしょうか

なんて所詮透けたことわざわざ言いたがるだけの腹なんだからさ


>意味が理解できませんでした

そもそも理解出来ないからこそよからぬ魂胆を無自覚に書いてしまうのだよなあ、という感想に違いないからそれでいいです

偏差値45
KD106154139163.au-net.ne.jp

要約すると、主人公が卒業間際に成功確率が高い告白をしたものの、よく分からない理由で断れた。そんな感じかな。

>人の考えていることは、実際に聞くまでは分からないものです。
訊いても分からないと思います。
なぜなら、人は嘘をつくからです。

>普段仲良くしている人も、心の中では自分のことを嫌っているかもしれません。
>同じ世界を生きているのに、もどかしいほどに見えている世界が違う。

人によって見ている世界が違うのは、至極当たり前ですね。
誰かにとっては愛する人であっても、誰かにとってはモブキャラでしかありません。

さて、感想です。
内容も分かるし、会話としても有り得る話かな、とは感じさせてはいると思います。
とはいえ、彼女の考えるロジックは納得は出来ないですね。
正直、メンドクサイ奴。そういう認識になります。
もちろん、個人的にですが。

で、この小説が面白いか? と言えば「いいえ」ですね。
ただの会話文ですし、得るものがありません。

u
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>一人称の彼は主役ではなく、彼女と呼ばれている人が主役なのかもしれません
↑だから、その主役が全くかけていないということでは?wwww

まあ、嫌味なところはなかったから精進www
良かったです

浅野浩二
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マシュ麻呂さま。
これは、現代人の恋愛、などではなく、普遍的なものです。
ジェームス・ディーンの、「エデンの東」そのものです。
キャル(ジェームス・ディーン)は父親に愛されませんでした。
そして、こう言います。
キャル(ジェームス・ディーン)「愛なんて、クソくらえだ。オレはもう誰の愛もいらない」
アブラ「トラスクさん。聞いて下さい。愛されない、って、この世で、一番、つらいことなんです。一番、みじめなことなんです。愛されないと、心がひねくれてしまって、誰をも愛せなくなってしまうんです」

浅野浩二
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マシュ麻呂さま。
これは、川端康成の「伊豆の踊子」、とも近いです。
「伊豆の踊子」は、川端康成が体験した事実の私小説です。
孤児根性で、人の親切を拒否していた、川端康成が、踊り子一行と旅をしているうちに、心が変わっていきます。
ラストで川端康成は、こう言います。
「私はどんなに親切にされても、それを大変自然に受け入れられるような美しい空虚な気持ちだった」

浅野浩二
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マシュ麻呂さま。
この小説は、「タイガーマスク」のエンディングの歌詞と、同じです。
タイガーマスクのエンディングの歌詞。
「温かい人の情けを・・・胸を打つ熱い涙を・・・知らないで育った僕は、みなし子さ。強ければそれでいいんだ。力さえあればそれでいいんだ。ひねくれて星をにらんだ僕なのさ。あーあ。だけど、そんな僕でも、あの子らは、慕ってくれる。それだから人の幸せ、祈るのさ」

ドリーム
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拝読いたしました。

情景は良く伝わって来ます。
それなのに二人の会話に入るシーンの情景が欲しかったですね。
何処でどんな状況で二人は会話しいるか、そうすれば読者も、ああそうかなと思います。
彼女の名前は最後まで出で来ませんが、梨本君が告白しても彼女は付き合えないと断る。
そう言われても納得出来ない梨本君も食い下がる。彼女は好きな人が居ない、だけど誰とも付き合えたない。
良く分かりませんが、そういう人も居るのでしょう。自分さえ理解出来ないのだから他人が分かる訳はない。
平たく言えば、これが青春であり若さであり、もどかしいのも恋かも知れません。
第三者から見れば「梨本君がんばれ」と言ってあげたいですね。
恋は盲目と言い居ますが、その行く先は分からない。人を好きになる事。されど相手が振り向えてくれない。
梨本君の揺れる心、とてもいいと思います。楽しませて貰いました。
少し気になると言えばセリフの後の。」
>「どうして付き合えないのか一応教えてくれないか。」。は不要です。
失礼しました。

浅野浩二(信乃)
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マシュ麻呂さま。
僕も、かなり前に、愛を受けなかった人間の小説、「信乃抄」、というのを書きました。
軽いパロディーですが。
リンクしましたので、よろしかったら、「浅野浩二(信乃抄)」、読んでみて下さい。
その中の一文を書いておきます。
「ふふ。信乃どの。拙者は根っからの悪人でござる。しかし何だか信乃どのの手にかかって死ぬのはうれしい気持ちでござる。拙者は今まで誰も相手にしてくれなかった。そして悪いことをした時だけ、そしられ、嬲られた。拙者は人の情けを知らずに生きてきた。この人相とせむしの体のため。しかし信乃どのは拙者を相手にしてくれた。いくら、おこっても拙者をけなす言葉は言わなんでくれた。拙者はあだ討ちされて死んでいく。しかし信乃どのにあだ討ちされて死ぬのは無上にうれしい」
伝兵衛はつづけて言った。
「ふふ。信乃どの。いろいろ意地悪して本当に申し訳ござらぬ。信乃どのがあまりにもかわいかったのでいじめたくなってしまったのでござる。拙者は根っからの悪人でござる。しかし信乃どのの手にかかって死ぬのはうれしい気持ちでござる。おっと、涙が出てきた。悪人が泣いては様にならんな」
信乃の目に涙があふれてきた。
「伝兵衛様。しっかりなさってください。けっして死んではいけません。伝兵衛。あなたは愛を受けずに生きてきたんですね。だから心がすねてしまったのですね」

夜の雨
ai212132.d.west.v6connect.net

「自惚れ」読みました。

何やら文学作品の一場面を読んだみたいで、読み終わった後、しばし内容を頭の中でイメージ化してみました。

>どちらかといえば、一人称の彼は主役ではなく、彼女と呼ばれている人が主役なのかもしれません。<
たしかにこの内容は、彼女の言っている言葉の一つ一つに意味がありますね。
主人公は「作品(御作)の一人称の人物だけではなくて」私たち読み手の凡人なのだろうと思います。

>テーマは隔たりです。<
彼女は自分自身が嫌いなので、その自分を好きになった主人公の愛情を受け入れることはできないというようなことを言いますが、これって「文学だなぁ」という感じですね。

>人の考えていることは、実際に聞くまでは分からないものです。
普段仲良くしている人も、心の中では自分のことを嫌っているかもしれません。<
たしかに、この手の彼女だといえる。
御作の彼女の場合は「神秘的ですらある」ところが、いいですね。

>同じ世界を生きているのに、もどかしいほどに見えている世界が違う。
理解できないことすらあります。<
同じ世界を生きていても、個体が違いますからね。
なかなか相手のことは理解しがたい。
御作では異性間の話なので、余計にそう感じるのかも。

>そういった、気が付くことが難しい人と人の間にある世界の壁を表現できたらいいなと思いながら書かせていただきました。<
個体それも異性間の個体の違いが、表現できていると思いますが。
というか、思想が伝わりました。

>反省点としては、会話の途中に入れる地の文の重厚さというものが足りていなかったなと思います。<
現状でもよいのですが、作者さんは高い志を持っているようなので「地の文の重厚さ」期待しています。


「ひどいことしてごめん。でも、あなたが思うほど私はきれいじゃないから。」
そういうと彼女は視線の先へと背を向けて歩き出した。
一瞬だけ、こちらに向かって強く風が吹き抜けた。桜のつぼみが視界の隅で頼りなく揺れていた。
私にはもう彼女を引き留めることもできないらしかった。かける言葉も見つからないのだ。
人に好きだと言えるのは大切にされてきたからだと、妙にその言葉が耳の奥にこだましていた。
今はただ、春の訪れが待ち遠しい。
――――
一瞬だけ、こちらに向かって強く風が吹き抜けた。 ← この強い風は、「彼女の意志」という意味に理解しさせていただきましたが。

桜のつぼみが視界の隅で頼りなく揺れていた。 ← そして視界の隅でたよりなく揺れている「桜のつぼみ」もまた、彼女だと解釈しました。

主人公について一言いえば「プライドが高い人物」だと、思いましたが。
もし主人公がここまでプライドが高くなければ、たぶん彼女は主人公の告白に対して「OK」していたのではないかと思います。

「プライドが高い人物」だと、彼女を幸せにしたいと思う。
ところが、その彼女は自分自身を嫌いである。
その嫌いな部分の彼女を幸せにするということに対して反発する。
だから主人公のようにプライドが高い人物だとアウトということになる。
そこに来ると中途半端なぼんくら男だと、彼女を幸せにできない可能性がある。
だから、そんな相手なら一緒にやっていける、それが、彼女ということになる。


彼女は自分が嫌いなわけです。
その自分を好きだと言ってくる相手は「嫌いな自分(彼女)が好きなのだから」「あなたの愛情は受け入れられません」ということになる。
●ということは、彼女を「きらい」と思っている相手と彼女は結ばれたいと思うわけです。
これってすごく文学的というかドラマチックな話です。
「破滅思想の持ち主」というか「不幸になる思想」の持ち主が彼女ということになるので、小説的、文学的には面白い。

ということで作者さん、この話をもとにして小説を書いてください。
できたら、こちらのサイトで読みたいのですが。


お疲れさまでした。

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