作家でごはん!鍛練場
たまゆら

徘徊

 浅い眠りの耳底に時を巻き戻すかのような雨音が響いている。
 リズムは幻想的で切なく、ときに激しく打ちつけている。そんな陶酔を誘う雨音の中に紛れ込む、異質な音を感じとり私は目を覚ました。
 彼が扉に手をかけ気まずそうに立っていた。わずかに開いた戸の隙間から、現実とは思えない形の灯りが湿気に滲んで揺れていた。
 どこへ行くの?
 不安に駆られて訊くと、悪びれずにトイレだよ、冷えるせいか近くてね。と彼はいつもと変わらぬ調子で答え、すぐに戻るからさと扉を閉めた。
 信じていいの。
 私は光を遮断された部屋の中で、彼の残像を追いながら弱々しく首を振る。
 予感はなくはなかった。バレリーナを夢見ながら質素なOL生活を送り、せっせと貯め込んできた預金も、歯車の狂った彼の仕事を援助してきたため底がつきはじめている。これ以上援助を続ければ破滅するのはあきらかだった。
 でもと、迫り出したお腹を愛おしくさする。さすりながら、産もうと思い直させてくれた女医の言葉を思い出していた。
  
  
 夕暮れの金曜日、産院の待合室にはまだ数人の妊婦が談笑していた。
「村田さん」
 名前を呼ばれて振り向くと、細身の看護師が白いカーテンを開けてにこやかに手招きをしてきた。促されて足を踏み入れると、三十代半ばと思われる女医もカルテを手に穏やかな目を向けていた。
 それでも私は待合室にいる妊婦のような笑顔を返せず、おずおず奥へ進んだ。何気に覗いたカーテンの横に処置室と書かれた鉄の扉が見えた。手前に小さなかごが置かれ、灰色がかった手術衣が丁寧にたたまれていた。
「決心は変わりませんか」
 女医が優しく問いかけてくる。私は目を伏せながら肯いた。
「すでに五ヶ月をすぎていますから、もう立派な赤ちゃんですよ。事情はあると思いますが、考え直したらどうでしょう」
 再度、女医が諭してくる。看護師も私の肩に手を乗せてきた。
「すくすく育ってるわよ、赤ちゃん。生きようと頑張ってるんじゃないかしら」
 私は返答に詰まる。
「ねえ、カトリック系の産院を選んだのは、多少でも生む気持ちが残っているからなのよね」
 女医が手を握ってきた。看護師が横にまわりこんで膝をかがめた。
「よかったら、先生に話してみない」
「話して。力になれると思う」
 思ってもみなかった言葉に決心が揺らいでいった。
  
「六ヶ月前、私は若い頃にバレリーナを志したこともあって、リバイバルされていたライム・ライトという映画を無性に観たくなったのです。上映後、感動してしばらく席を立てずにいた私は皆より少し遅れて映画館を出ました。目が赤く腫れていたので、手で顔を隠しながら外へ出たのを覚えています。でもどうしたわけか舗道に人だかりができていて駅方向へはまったく進めませんでした。どうしたのだろう。恥ずかしかったけど、化粧のくずれた顔で覗き込みました。するとそこに、今見た映画と同じ世界が繰り広げられていたのです」
「同じ世界? チャップリンなのかしら」
「ええ。バイオリンの奏でるもの哀しい旋律に合わせ、パントマイムをしていました。感動の余韻を引きずっていたせいもあるのでしょう、私はそのチャップリンに扮した青年に一瞬で魅せられてしまいました。誰もが銀幕の中の主人公に惹かれるよう、私も青年の演技と映画のチャップリンを重ね合わせて心を持っていかれてしまったのです」
「もしかして、その人が赤ちゃんの父親なの?」
 女医がノートに何やら書き込んだ。
 私は「そうであれば、こんなにも悩みません」と、小さく首を振る。
「違うの?」
 女医が足を組み、ペンをとめる。私に向き直った。「続きを聞かせて」
  
「ショータイムが終わり、気がつくと周りには数人しか残っていませんでした。すっかり魅入っていた私は、我を取り戻し、青年の手に握られるシルクハットにありったけの小銭を入れて立ち去ろうとしました。そのとき青年が、紗英ちゃん、紗英ちゃんだよねと声をかけてきたのです。職場の同僚から村田さんと呼ばれても、紗英ちゃんと呼ばれたことは一度もありませんでした。そのように親しく呼ぶのは故郷の人だけだったのです。不意に心が緩みました。都会生活に疲れ、自らバリアーを張って生きてきた私の胸に、その言葉が心地よく駆け巡りました。私は青年の顔を食い入るように見つめます。でも、チャップリンに似せてメイクしているため、誰なのかわかりません。すると、俺だよ、慎平だよ。といきなり青年が抱擁をしてきたのです。それで私は彼が誰なのかようやく気づきました。そればかりかバイオリンを弾いている人の顔も思い出したのです。二人とも故郷の高校の同級生でした」
「ドラマチックな再会なのね」
 女医が目を輝かせて足を組み替える。私はまた話し出した。
「中でも私を抱擁している人は当時学校中の人気者で、顔立ちもいいせいかとにかく目立つ生徒でした。家柄も頭もよく、いずれ地元に根を張り、立派な政治家になるのだろうと誰もが思っていました。ですが言い寄る異性に縛られるのが嫌なのか、それとも私のように夢を持っている女が好きだったのか、何度かデートに誘われたことを覚えています。でも私はその頃、後ろで控えめにバイオリンを弾いている人に淡い感情を抱いていました」
「そう、複雑なのね……」
 女医は考え込むようにつぶやく。
  
「抱擁をとき、もう一度二人の顔をじっくり見つめました。それぞれ頬に少し肉がついていましたが、至る所に懐かしい少年時代の面影を濃厚に残していました。ですがあまりに唐突だったせいで、そのときはまだこれは夢なのだ、映画の余韻なのだ、と思い込んでいました。けれど徐々に現実だと実感していくうち、この再会は運命なのではと思うようになりました。なぜなら私の夢は潰えたものの、今も夢を追い続ける彼らに深く共感していたからです。今夜、一緒にいたい。そんな追い打ちをかける彼の言葉にも私は酔いしれました」
「彼、少し性急すぎる気がする」
「そうかもしれません。でもオーディションに落ち続け、すでに三十六歳。私は夢を失った女なのです。まして相手にしてくれる人がいなかったからでしょうか。その夜どちらからともなく求め合いました。そして一つ屋根で一緒に暮らしながら彼の夢の成就を応援したのです。でも破局は、それこそあっけなく訪れました」
「原因は、予定外の妊娠ね」
 女医がノートの上にペンを放り投げ、腕を組んだ。「女は芸の肥やし。その責任のなさは、まさに芸人の典型ね」
「いえ違うんです。原因は彼のせいではないのです」
「どういうことなの」
  
「売れない芸人だった二人は、私との再会と同時に一気にブレークしました。実際は映画館の前での地道な努力が実ったのでしょうが、彼らは私を福娘として褒め称えてくれました。そんな幸せのさなかに、あの忌まわしい事件が起こったのです」
「事件?」
「どうしても彼の演技が前面に押し出され、演奏に徹する相方は演技に参加するわけでもなく、観客から見れば酒の肴ていどの認識しか持たれなかったせいだと思います。しだいに彼一人がクローズアップされ、相方は完全に壁の染み程度の存在になってしまいました。高校時代は演奏も演技もとにかく群を抜いていたのにどうしたことなのでしょう。もしかしたらパントマイムを前面に押し出す、それを前提とした芸風を目指したからかもしれません。そのため相方は黒子に徹するしかなかったのだと思います。私は相方の才能も人の良さも知っていただけに心を痛めました。事件当日も彼だけが出演して、相方は舞台に立たないどころか主催者から呼ばれませんでした。彼はコンビだからと異議を申し立てたのですが、主催者はソロでいいといって聞き入れてくれなかったようです。相方は荒れて部屋へやってきました。酒もかなり飲んでいたみたいです。あいつは自分だけを売り込んで、俺を切り捨てたと喚き、その勢いのまま強い力で私を押し倒してきました。きっと腹いせもあったのでしょう、私を犯して溜まった鬱憤を晴らそうと思ったに違いありません」
 女医はやるせない表情を見せた後、目をつぶる。
「ですがどんな事情があろうとも、そんな恥知らずなことを受け入れてしまえば人間として終わりです。必死に抵抗しました。けれど相手は正気を失っています。もがこうにも力で押さえつけられ為すすべもなく衣服を脱がされてしまいました。私は彼の親友である相方に犯されてしまったのです。そればかりか、女というのはつくづく弱い生きものだと、そのとき嫌というほど実感させられました。凌辱のさなかに肉体が意思を裏ぎり、ある部分がとても敏感になってしまったのです。私は忌むべき男の首に腕を絡め、自ら腰をくねらせていたようでした。
そのことはやがて彼の知ることになり、コンビは解消され、彼はピン芸人として徐々に仕事を増やしていきます。頻繁にテレビにも出るようになり、部屋に帰ってくることが少なくなりました。ですが相方がいてこそ彼の良さが引き出されるということに、ようやく気づいたようです。のみならず、一つの芸だけではすぐに飽きられてしまいます。彼のブレークは三ヶ月で終わりました」
「売れない芸人に戻ってしまったわけね」
 女医の言葉に私は頷くことしかできなかった。
「コンビの解消に結果的に加担してしまった負い目から、私は懸命に彼を支えました。これまで蓄えてきた預金を切り崩し彼に渡しました。そうした生活が続いた頃、私の妊娠が発覚したのです。私は悩みました。このお腹の父親が彼であってほしいと祈りました。でも自信がありません。医師から告げられた妊娠時期は、ちょうど相方に犯された頃と合致したからです」
「それで中絶を思い立ったの?」
「祝福されない子が不憫だと思ったのです」
「勝手なこじつけね。確かに父親が不明かもしれないけど、祝福されないというのは言いすぎよ。だって生まれたら母であるあなたに祝福されるんだから」
 女医は毅然と言い放ち、続けた。「産みなさいよ。援助するから」
  
  
 ふと我に返ると私は夜具を払いのけ、お腹をかばうようにして起き上がった。パジャマの上から厚手のカーディガンを羽織って窓辺に向かった。そうして硝子越しに外を覗き込む。雨でくすむ舗道に愛着のある黒い影が傘もささずに遠ざかっていくのが見えた。
 嘘つき……。
 私は両手で顔を覆い、へなへなその場に蹲る。が、ひとしきり咽ぶと、反動で立ち上がり憑かれたように黒い影の跡を追った。
 静まり返った廊下を、心もとない灯りを頼りに歩いた。数メートル進んだ所で、はて、ここはどこなのだろうと頭に素朴な疑問をよぎらせた。下町の六畳一間のアパートにしては異様に廊下が長すぎるのだ。しかも、床も壁も馴染んだ板張りではなくコンクリートだった。
 もしや愛する男にすてられたショックで頭が錯乱してしまったのだろうか。それとも激しく感情が揺れたせいで意識がどこかへ飛ばされてしまったのか。私は胸に手を当て興奮を鎮めると、大きく深呼吸して、彼が向かった駅へ行くことだけに神経を集中させた。
 数メートル先の、正面玄関の手前の部屋から煌々と明かりが漏れていた。すぐに大家さんの居宅だと一人合点するのだが、確か大家さんは向かいに一軒家を構えていたはずだ。なら、いつから誰が住んでいるのだろう。またぞろ不思議に思いつつ、やはりそれでもこの情景の意味を探れないまま忍び足で歩き、白い服を着た男がテレビ画面に見入る一瞬の隙を突いて部屋を通りすぎた。
  
 外へ出ると、晩秋の雨は思いのほか冷たかった。まるで氷。その冷たい雨粒は意思に反して容赦なく目に入り込み、狭い視界をさらに狭くした。雨は何度ぬぐっても都度入り込み、通過する車のヘッドライトに乱反射しては雨氷にも似た光の洪水をつくりだす。
 そのうちしだいに風も強まり、煽られた銀杏の葉が次から次に吹き飛び舗道へ落ちずに勢いよく空へ舞い上がった。カーディガンも凧のようにばたばたはためいた。私はかじかむ指ではだけた衣服の前をどうにか合わせ、雨と風に震えながら彼の跡を追った。
 でもそのとき、思ったように足が進まないことに気づいた。悪天候で転んではいけないと、本能的にお腹の子をかばっていたのかもしれなかった。
 ごめんね、少し急ぐから。
 といったん歩みを緩め、済まなそうに両手で触れると……迫り出ていたはずのお腹がへこんでいた。
 えっ?
 私は、よろよろ立ちどまる。もしかしたらと恐る恐る顔に手を当ててみる。雨に濡れているのに潤いがなく、まるで老人のようにがさがさだった。
 頭の中が真っ白になる。
 そんなばかなと、今度は外灯に手をかざして甲の部分を凝視した。やはり皮膚がたるみ、しわだらけだった。
 これは何、どういうこと?
 私は絶句し、放心して、ふらふらと猛スピードで押し寄せる光の洪水の中へ吸い込まれていった。
 
 
   了

徘徊

執筆の狙い

作者 たまゆら
p1817002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

前回、難しい漢字の時代ものを投稿した者です。
14枚の現代ものを書きました。一応、伏線を張ったのですが、オチがありきたりのような気がします。
またメロドラマまるだしの作風で読み進めることが辛いかもしれませんが、途中まででもいいので目を通していただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。

コメント

四月は君の嘘
n219100087087.nct9.ne.jp

画面傍観して……

>バレリーナを夢見ながら質素なOL生活を送り、
と、
>「すでに五ヶ月をすぎていますから、
で、
「設定」が受け入れられなかった。

バレリーナを目指してる人は、もっと年若くからバレエ団に所属しているイメージがあるもんで、「OL
しながら」だと、もう年齢的にキツい感じした。

主人公は「中絶も視野に入れて揺れている」設定なんだけど、「まだ中絶も可能な週数」はググった方がいい。
でないと、作中の女医は【違法な闇医者】ってことに。。


その女医に「事の次第」をヒロインが「鉤括弧台詞で物語る」形式がまた、芝居がかってて・現実的ではないんで、
どうにも受け入れ難くて、ほぼすっ飛ばした。
「鉤括弧で括るセリフ」は要所要所にして、「ここぞ!」ってセリフのみ切り出す方が、小説として自然な感じで、読者の印象は良くなる・・でしょう。

ヒロインの状況〜妊娠の経緯は、「そこで段落を分けて、地の文で描く」で 難なく書けるんで。



オチは確認。
「このオチだから、このタイトル」で、狙ってつけてるのは分かるんだけど、
「オチのネタバレ題」でしかなくて、「内容に合ってない」気が、個人的にはした。


なおかつ、序盤の
>でもと、迫り出したお腹を愛おしくさする。さすりながら、産もうと思い直させてくれた女医の言葉を思い出していた。
で、いっぺん『ネタバレだなー』を受け入れていた読者に対して、
一切何の「伏線」もなく、このオチだと、、、

ちょーっとアンフェアだって感じした。


漫画だと「こういうオチ」、まま見るよねー。
漫画だと、結末での一足飛びの時の流れは、「画面に取った空白」や「時の経過を表現する、白くて細いコマの束」というお約束な表現ツールが存在するし、「時が進んでいたことを絵で如実に説明できる」んで、
問題も支障もないんですが、

小説は「文章だけ」なので、、、


本文最終盤の「状況の分かりにくさを整理」して、
各文末の「現在形終止にしている箇所と、過去形にしている箇所」を見直すと、

もうちょい「すんなり」すると思う。

四月は君の嘘
n219100087087.nct9.ne.jp

ええと、

・「すでに5ヶ月を過ぎている」は、産婦人科の初診じゃなくて、「処置室前に至っている状況」だっぽいですね。
なら「5ヶ月過ぎ」設定でも、ギリギリのボーダーライン。


んで、
・芸人の彼と運命の再会をしたのが「6ヶ月前」。
・その直後からブレイクして……その時期に性的暴行。
・彼らのブレイクはたった3ヶ月で終了。
・ヒロイン:妊娠5ヶ月過ぎ。

で、
・ヒロイン:36歳!!


序盤のキャラ紹介だと、「なんとなく20代前半ぐらいでイメージしちゃってた」んで、

36歳設定後出し! だと、「そこまで思い描いて来た脳内映像が完全に裏切られる。全部総とっかえになる」のと、

オチの「主人公への同情度が、だいぶ減じてしまった」ような気が。。

偏差値45
KD106154139209.au-net.ne.jp

>一応、伏線を張ったのですが、オチがありきたりのような気がします。
残念ながら伏線もオチも分かりませんでした。
ついでにラストシーンも意味不明でしたね。

とはいえ、
物語の内容は分かりましたが、どこが面白いのか、分からなかったですね。
結果的に不満が残る作品だった気がしますね。(もちろん、個人的にですが)

ブロンコ(punkすぎ
KD111239130254.au-net.ne.jp

おハナシに関しては、指摘する必要もないくらい珍しいことなんにも書かれていないと思うんです。

物語はあるけど、一つ一つのシチュエーションに働く感情がものすごく当たり前で、もしかしたら現実のほうがもっと当たり前にとっ散らかったもんでしょたぶん、って気がしないでもないくらい展開としていちいち読み進めるべきフックが見当たらない気がします。


珍しく書き方教室的なおハナシになってしまいそうで自分でもイヤなんですけど、こういった書き筋は筆力がなかなか上がって行かない気がします。

一人称のはずなんですよね。
地の文は何となく小説っぽく書かれた説明がわずかにあるだけで、読者にふまえてもらいたい部分のほとんどは女医に向けての告白という形でセリフで処理されているんですけど、ある意味そのセリフがこの上なく二人称寄りの表現になっているということに気付いたほうがいいと思うんですね。

それは結局説明的にしか物語を進められない筆力をセリフに逃がした結果としての有り様のような気がするし、そうではなくあくまでもセリフとしてのみ機能させたつもりでいるなら、人間が人間に向けて発する言葉としてあまりにも不自然のように感じさせられるだけだし、物語のシチュエーションにこそ寄り添うなら、お節介なほど懇意に向き合ってくれている相手に対してほとんどうっとりとふざけているだけ、このサイトで有名な掲示板おかま馬鹿みたいなものでまったく真面目に受けとれない気にさせられるはずなんです。


ごく個人的な感覚でしょう、と思われるならそれでもいいんですけど、試しに自分の作であることを離れて読み返してみてください。
懲りないだけの馬鹿女の自滅譚としてあまりにもコメディが利きすぎてるように感じさせられるかも、です。

そのつもりだ、でもいいんですけど、“すぎてる”って言ってんの、ここポイントです。


この大半を埋めるセリフを地の文に落として、尚且つ描写風のただの小説っぽいだけの説明文に落とさず、人間のいる物語として息を吹き込むのが小説としては基本的な姿勢のような気がするし、この書き方は案外得の少ない安易さでしかない気がします。




正直なところ、おハナシについてはあたし馬鹿なのでオチはよくわからなかった上でこんなこと言ってます。
わかってるつもりなんですけど、その通りならこのおハナシ、本当にただの茶番になってしまうと思うんですよ。

アン・カルネ
219-100-28-174.osa.wi-gate.net

うーん…。イヤミス系? 
ラストで主人公は老婆なのねって事が分かるわけですけど、そこで逆にちょっと分からなくなってしまった事を。
精神病院なのかしら。それとも介護施設?
介護施設だと老婆の語った事は過去の実体験なのかしら、それとも作話?
精神病院であってもそれは同様なんですが…。
そこ重要ですか? と問われると、そうですねえ、私はもうそこそこいい年のオバサンなので、やっぱりちょっと感じ方が変わって来るのです。
つまり介護施設を抜け出したおばあちゃん、車にはねられちゃった、彼女には徘徊癖があってね、という事があった時、そのおばあちゃんの心の中にはこういうことがあったんだよって感じで受け取ると、ちょっとしんみりさせられちゃうんですよ。でも精神病院で年を取って、遂にこうなりましたっていう話だとして読むと、なんだかなあ、と彼女にイラっとさせられてしまうというか…。
精神疾患に対して偏見があるわけじゃないんですけど、ただ女医に叱咤激励されて産む気になって、その後、どうしたのよって事は気になってしまうわけですよ。もし産んだとしたらもう母親としての自覚をもって子供を育て生き抜かなかったの?って思っちゃうんですよね。狂ってる場合じゃないんじゃないの? と。しかも男に捨てられたぐらいで何? と。強姦による妊娠かもしれないってところも、そこで悩むならそもそも妊娠と分かった時に産まない決断したらどうなのよって思ってしまうし。
作者さん自身が「メロドラマ」と書いているんですが、しかしもう令和の時代、ラスト、老婆として主人公を登場させるのであれば、女一人子供を抱えて男尊女卑の昭和時代をいかにたくましく生き抜いたのか、そこを見せて欲しかったような気がします。彼女は運命と戦った。しかし老いて力尽きかけた時、去来していたものは過去の悲しい出来事だった、そういうふうに持って行ってほしかったなあって。運命にやられっぱなしの弱い女性にしないであげて欲しかったかな。そんなふうに思いました。

たまゆら
p1817002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

四月は君の嘘さん、感想ありがとうございます。
 
アドバイスに対する返信の順番が前後しますが、
>オチの「主人公への同情度が、だいぶ減じてしまった」ような気が。。
・この言葉に嬉しく思いました。辛口の四月さんが現状の主人公に少し同情してくれていた。勘違いだらけの作品でしかありませんでしたが、投稿した意味はありました^^
 
>バレリーナを目指してる人は、もっと年若くからバレエ団に所属しているイメージがあるもんで、「OLしながら」だと、もう年齢的にキツい感じした。
・完全に後出しでした。とりあえず過去の主人公はオーディションに落ち続け夢を失った36歳のOLに設定しました。その書き方がおかしいので間違って伝わっています。客観性不足です。次作を書くときには読み手のイメージをより意識して臨もうと思います。
 
>ヒロインが「鉤括弧台詞で物語る」形式がまた、芝居がかってて・現実的ではないんで、どうにも受け入れ難くて、ほぼすっ飛ばした。
・これは自分でも懸念していたものでした。書き終えて、どうしても安っぽいメロドラマの感が強かったので、芝居がかっている、現実的ではないと指摘されれば何の反論もできません。
やはり人物設定なのかな。人物の設定が変われば、たぶんストーリーも変わる。真剣に考えてみます。
 
>「鉤括弧で括るセリフ」は要所要所にして、「ここぞ!」ってセリフのみ切り出す方が、小説として自然な感じで、読者の印象は良くなる・・でしょう。
・じつは迷ったのです。迷った挙句、告白形式の手法をとりました。というのも自分の地の文なら読み飛ばされる確率が高いけど、台詞なら読んでもらえると判断したのです。それで物語の背景をぜんぶ台詞の中に押し込めました。
 
>本文最終盤の「状況の分かりにくさを整理」して、各文末の「現在形終止にしている箇所と、過去形にしている箇所」を見直すと、もうちょい「すんなり」すると思う。
・これが難しく、情けないことにさんざん修正してこの結果です。動作は過去形だとか、文末の基本は理解しているつもりなのですが、鈍い感性でころころ文末を変えてしまいます。
 
ありがとうございました。書き続けていつか予選突破ができればいいなと…‥夢をみています。

たまゆら
p1817002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

偏差値45さん、感想ありがとうございます。
 
>残念ながら伏線もオチも分かりませんでした。ついでにラストシーンも意味不明でしたね。
・自分よがりの作品だったからでしょうね。ラストで読み手の意識を「ああ、そうだったのか」と、オトせるとばかり思っていました。恥ずかしいです。
 
>とはいえ、物語の内容は分かりましたが、どこが面白いのか、分からなかったですね。結果的に不満が残る作品だった気がしますね。(もちろん、個人的にですが)
・残念ですが、実力不足です。次がもしあれば、偏差値さんに傑作だという作品を書いてみたいです。
ありがとうございました。

たまゆら
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ブロンコ(punkすぎ さん、感想ありがとうございます。
 
>物語はあるけど、一つ一つのシチュエーションに働く感情がものすごく当たり前で~
・それは心に引っかかるものがないということですよね。
かなり練り込んだつもりでも読み手の心にはとどかない。もしかしたら人物の掘り下げが原因なのでしょうか。
夢を失った36歳の寂しい女性に設定したため、男の求めに素直に応じさせてしまったのがいけなかったのかもしれません。男の心を疑い拒絶して、むしろ行きずりの男に抱かれたほうがよかったのかも。それでも妊娠はします。そして男の気持ちが本物だったとしたら、そこでも誰の子か、産むか産まないかの葛藤は生まれます。
やはり思いついた物語の設定を見直さなかったことが弊害だったのでしょうね。
 
>ある意味そのセリフがこの上なく二人称寄りの表現になっているということに気付いたほうがいいと思うんですね。それは結局説明的にしか物語を進められない筆力をセリフに逃がした結果としての有り様のような気がするし~
・驚きました、その通りです。下手な地の文を書いて読み飛ばされるのを避けるために、台詞中心の告白形式にしました。
でも二人称?
それは感情移入ができなかったということですよね。つまり一人称なのに読み手と主人公の間に距離をつくってしまった。もう一度、物語と向き合って考えてみます。
 
>この大半を埋めるセリフを地の文に落として、尚且つ描写風のただの小説っぽいだけの説明文に落とさず、人間のいる物語として息を吹き込むのが小説としては基本的な姿勢のような気がするし~
・吹き込みたいけど、できるかな。
でも考えてみると、書きはじめの頃は24時間頭の中に書いている物語が詰まっていました。今はPCに向かったときだけ。外出のときにメモも持たず、ベッド脇にノートも置いていません。ブロンコさんのアドバイスを無駄にしそうです。
 
>正直なところ、おハナシについてはあたし馬鹿なのでオチはよくわからなかった上でこんなこと言ってます。
わかってるつもりなんですけど、その通りならこのおハナシ、本当にただの茶番になってしまうと思うんですよ。
・なんて答えていいかわかりませんが、たぶん思った通りの茶番なのかもしれません。
でも息は吹き込めませんでしたが、命は吹き込みました。そう思いたいというのが本音ですけど……。
 
ありがとうございました。頂いたアドバイスを忘れずに努力してみます。

たまゆら
p1817002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

アン・カルネさん、感想ありがとうございます。
 
主人公は老人ホーム抜暮らす80歳の女性です。一人の男性を思い続け、生涯独身を貫きます。生まれた息子はバレエに興味を持ちませんでしたが、孫娘がその才能を受け継ぎます。
主人公はカルネさんの推察通り、唯一の拠り所だった恋人を幻覚によって追いかけ交通事故で亡くなるのですが、ふとしたことから孫娘が祖母の日記を見つけ、恋人であった老人を捜しだします。
そして紆余屈折の末、二人でライム・ライトを演じるのです。
 
映像を考慮すると、44歳よりも十代のほうが映えるという妄想でしかありませんが^^
 
結果的に主人公は運命に翻弄されるかもしれませんが、昭和を強く生き抜きますよ。むしろ逃げた男のほうが惨めな生き方をしたのかもしれません。でも孫娘から主人公の気持ちを聞かされ、変わる。80歳のダンサーとしてパントマイムを演じるようになるのです。
 
これって、やっぱメロドラマなのかな。
 
感想ありがとうございました。力強い感想のおかげで新たな全体像が見えてきました。
またいつかお会いできることを、心から楽しみにしています。

中野
ec2-54-199-29-178.ap-northeast-1.compute.amazonaws.com

題材がいまひとつで文章もプロットレベルでした。これでは読んでもらえる文章にはなれないけど三十回推敲すると生まれ変わるのでやってみてください

ただ題材は読書や体験で磨いていかないと辛いかな
100冊を目標に読書するといいでしょう
体験は百個やることノートをつけましょう

私にも感想返しください

タリオ
119-175-253-201.rev.home.ne.jp

 拝読しました。

 作品の大半を占める主人公の語りは、文章がなめらかで読みやすかったです。
 「彼」と「相方」にほんの一瞬つまづくことが何度か。
 雰囲気は、昭和時代の小説とかにこういう感じあるなあと思い、好きな感じでした。それだけにしばしば中断されるのが気になりました。空行を入れているところは展開の合図のようで良かったのですが、時々挟まれる女医の表情の描写やあまり意味がないと思える相槌などです。

 その語られている内容は、物足りなかったです。
 筋立てはとても面白いと思いました。仰る通りメロドラマっぽさがあって、場合によっては安っぽくなるのでしょうけれど個人的には好きです。
 それなのに、人物の言動や感情にどうしても納得が出来ません。語りのうちのかなり多くの部分に首を傾げていました。
 流れとはいえパントマイムの彼と交際している中、かつて恋心を抱いていたバイオリンの相方に犯された時、私は「これは複雑になってきたぞ!」と期待しました。しかし読み進めても、主人公の葛藤やら罪悪感が浮き上がってこないので、拍子抜けしてしまいました。いっそ、かつての思慕はなく主人公にとっても純粋な悲劇でしかなかったら、そこまで展開に期待も抱かず落胆もなかったかもしれません。
 そう思ってみると、彼に対しても、せっせと貢いでいるだけで愛情があまり窺えない。ふたつの愛情の間で揺れ動くような奥行きのある感情を持たない主人公なのかな~、と意地悪にも思ってしまいます。
 形式的とはいえ台詞なので、書き込みにくいというのもありそうですが。
 とはいえ、たとえば
「コンビの解消に結果的に加担してしまった負い目」
 など見ると、負い目ってそこ……? と、やはり主人公の浅さを感じてしまいます。暴力に抗えなかったとはいえ、結論気持ちよかったわと自覚しているのだから、なにか屈託はないのだろうか。

 主人公だけでなく彼も。恋人と相方の姦通に、コンビは解消しても恋人と別れはしない。単純に強姦した相方だけが悪者と割り切ったのでしょうか。性交だけなら許容するけれど子供となるとどうしても赦しきれなかったということなのか……。
 そういえば妊娠に対しても中絶に対しても、彼の反応はまったく書かれていません。主人公は産院の時点ではまだ打ち明けていないんでしょうか。いずれ、主人公の産む選択をいったんは受け入れそして捨てるにしても、彼の心はどのように動いていったんだろうと気になりました。主人公視点では難しいかもしれないのですが、発言の切れ端でもあればいくらか想像が出来るのに……とやきもきしました。

 全体の構造は、把握するのが難しかったです。
 最後、主人公は老いている、自分が老いていることに初めて気付いた様子……心はその当時のままで時間だけ過ぎていた? 精神の異常? と初めは思ったりしつつ、後になって一行目の意味を理解して、ある時点まで退行してそれ以降のことは忘れる、みたいな症状なのかな、と思いました。違っていたらすいません。このあたり私の知識不足でしょう。
(些末な点ではありますが、「そうして硝子越しに外を覗き込む」「私は両手で顔を覆い、へなへな」あたり、このへんで老いに気付いてしまいそうでアブナイと思いました。)
 しかしそれにしても、出産→老年の間が白紙というのは、どうしても最大限の肩透かしを食らったように感じました。

 そして。
 こんだけ書いた上で言うのもなんですが、以下のことをお伝えしたいと思わなかったら感想を書こうとしなかったという、私にとっては最大の引っ掛かりで。

> 嘘つき……。

 実は、これがはじめ良く解らなかったのです。
 最初まで戻ってみて初めて、「信じていいの」に呼応しているらしい、と。一行目の意義が理解できたのもこの時です(初読時は妙な比喩で読みにくいと思いました)。
 主人公はもろもろあって宿した父親不明の子供を、悩みつつも産むことを決意したが、彼はやはり去っていってしまった、やがて彼が帰ってきたと思いそれを追い……という終幕。自分の理解がここに辿り着くまでがかなりまどろっこしかったんです。読解力不足は否めませんが。
 うまく言えませんが、語りによる過去の話を包み込んでいる大きな話が、すっと把握しにくいです。大きな話が過去をきっちり包めているかで印象がずいぶん変わりそうな気がします。皮のない餡はまんじゅうではなくただの餡で……って下手な比喩でした。忘れて下さい。
 だから、「信じていいの」「嘘つき」含め冒頭と終盤はもっと分かりやすくリンクしていてくれたら、本当の意味で読みやすく、まとまるのではないかと思いました。

 また話が戻るようですが、それほどまでに彼が帰ってくることを切望していた……作品の鍵であるはずなのに、私にはどうしても、感じ取ることが出来ませんでした。冒頭の「予感はなくはなかった」という覚悟はこれにそぐわないとか、そういう細かい瑕の重なりで曇っているようですし、やはり、繰り返しになりますが語り部分含め人物達の感情が希薄なのは看過できないように思います。

 最後になりますが、私は素敵な作品だと思いました。性分でだらだらと文句のようなことばかり書いてしまったけれど、これは本当です。
 ただもう少し、このドラマで楽しませて欲しかったとも感じました。
 誤読、曲解等あるかと思います、ご容赦ください。

 

たまゆら
p1817002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

タリオさん、丁寧な感想ありがとうございます。拙い作品を細部まで読み取って頂き感謝しています。
 
読み終えてのご質問が、まったくその通りです、これはそうではありません。と同意と否定が入り混じりましたので詳しく説明させてもらおうと思います。ただ否定のほうは自分の筆力のなさであり、そう思われたのは当然なのかなと反省しています。
 
>時々挟まれる女医の表情の描写やあまり意味がないと思える相槌~~
・これは前述した前者で、まったくその通りだと思います。上で感想を頂いた方にも返信したのですが、迷いました。迷った末に主人公の告白形式へ逃げたのです。それで女医は単なる間にとどめました。でも肝心ですよね。見直して、次の作品に活かそうと思います。
 
>筋立てはとても面白いと思いました。仰る通りメロドラマっぽさがあって、場合によっては安っぽくなるのでしょうけれど個人的には好きです。それなのに、人物の言動や感情にどうしても納得が出来ません。
>ふたつの愛情の間で揺れ動くような奥行きのある感情を持たない主人公なのかな~
・人物の言動、感情、これについては、タリオさんの感想の中に同じような疑問があるのでそこで説明させて頂きますね。
 
>「コンビの解消に結果的に加担してしまった負い目」など見ると、負い目ってそこ……? と、やはり主人公の浅さを感じてしまいます。暴力に抗えなかったとはいえ、結論気持ちよかったわと自覚しているのだから、なにか屈託はないのだろうか。
・もしかしたら読んでくれた人、それぞれ受けとめ方が違うような気もします。ただ自分としては、女にとってこれ以上の恥はなく、一生涯さいなめられる苦悩として書きました。だから浅さではなく弱さと受けとめてもらいたかった。そのうえで男たちの芸のわだかまりを滲ませたのです。
 
>主人公だけでなく彼も。恋人と相方の姦通に、コンビは解消しても恋人と別れはしない。単純に強姦した相方だけが悪者と割り切ったのでしょうか。性交だけなら許容するけれど子供となるとどうしても赦しきれなかったということなのか……。
・相方は男への腹いせで、男は金のため。ヒモとして主人公に接していきます。そして主人公の預金が底をついたのを知って出ていきます。子供がどちらの子であろうと気にかけない設定でした。だから妊娠が発覚しても動ぜずに居すわり続け、金がなくなって逃げたのです。他人事のようですが、彼はダンサーの夢を持っていなければ地元で狡猾な政治家になっていたでしょうね。
 
> 嘘つき……。実は、これがはじめ良く解らなかったのです。
・これを書くことで男と主人公の生活ぶりを覗かせたつもりでいました。主人公は男が出ていくとわかっていても、表面的に優しく接する彼のことをわずかながら信じていました。子供が生まれたら一緒に育てようとか、金を絞り出すために甘い言葉をささやき続けたからでしょう。
 
>主人公はもろもろあって宿した父親不明の子供を、悩みつつも産むことを決意したが、彼はやはり去っていってしまった、やがて彼が帰ってきたと思いそれを追い……という終幕。自分の理解がここに辿り着くまでがかなりまどろっこしかったんです。読解力不足は否めませんが。
・読解力不足ではなく、自分の筆力不足です。
産院の回想を除いて、冒頭とラストの時間は一緒です。つまり主人公は、唯一の思い出でもある36歳時の切ない幻覚を老人ホームで見ていました。タイトルの徘徊、時を巻きもどす雨音など、のっけから見え見えの伏線を張りました。そして回想から戻りつつ、頭の中はまだ36歳のつもりでいます。老人ホームは当時二人で暮らしていたアパートだと思っていたのです。当然ながら妊娠中だと。
 
タリオさん、このように自作を読み砕いてもらいほんとうに感謝しています。
近いうちに自分も読ませてもらいますね。
感謝をこめて。

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