バトル・オブ・ジ・アース
地球と火星の間に、巨大な卵が浮かんでいた。
いつからそこにそれが存在していたのか、正確に知る者はいない。
地球軍のレーダーにも、それは映らなかった。
人類がその存在に気づいたのは、卵の方からある種の電波を発したためだった。
地球軍、各国の政府は、緊急に卵の調査を開始した。
綿密な分析により、それが全長10キロにも渡る巨大な卵であることが判明した。そして、その卵が何らかの生物を宿しているらしいことを突き止めた。それはどくどくと脈打っていた。
突然、卵にひびが入り、中から無数のエイリアンの子供が誕生した。子供と言っても、100メートルほどの身長があるようだった。それは、地球の方向に向かって群れを成して行進して来た。
地球軍はただちに臨戦態勢をとった。
太平洋に浮かぶ地球空軍の空母から、戦闘機が飛び立った。日本、アメリカ、ロシア、中国、インドの精鋭部隊である。
先頭を跳ぶのは、エースのクリス。それと並ぶように、ロバートの戦闘機が飛行している。この二人のコンビは地球、いや、宇宙最強のはずだ。
「ロバート、エイリアンたちは束になって向かって来ている。俺とお前で挟み撃ちするんだ」
「ラジャー。俺は右から攻撃する。お前は左から」
「オーケー」
二機は、それぞれの方向に大きくカーブして、互いの距離を広げた。
青い空の彼方から、エイリアンの大軍が押し寄せて来る。
クリスとロバートの戦闘機が、左右からエイリアンの大軍を挟みこむ。二人は同時にボタンを押し、超強力な電磁ビームを放つ。
青い光線が左右からエイリアンに直撃する。そのビームの光は最初のエイリアンに当たると、その周囲のエイリアンへと広がって行き、やがてエイリアン全体を包み込んで、彼らの神経を麻痺させた。
エイリアンがしばらく動きを止めたのを見て、太平洋上に浮かぶ戦艦苫都のカノン砲から一撃の砲弾が放たれた。
それはエイリアンの群れに届き、大爆発を起こした。
空全体が眩しい光に包み込まれ、その後に耳をつんざくような爆音が響き、煙が広がって視界を遮った。
視界が晴れると、何百万といたエイリアンたちの数は減って、数えるほどになっていた。
「もう勝利はこっちのものだ」
とクリスは確信した。
その時である。ごくわずかになったエイリアンたちが合体して、今度は一人の戦士の姿に変わった。それは男のようでもあり女のようでもあった。手には伝説の剣を持っていた。もう片方の手には盾。背にはマントを翻し、羽根のついた兜をかぶっている。鋼の鎧、膝まである長靴。大きさは普通の人間と変わらない。しかし、ものすごいスピードで空を飛んでクリスの戦闘機に剣を降り降ろした。
クリスは急旋回して、その攻撃をかわした。
「何てやつだ!」
とクリスは冷や汗をかいた。
音速で飛ぶクリスの戦闘機に、その戦士はいとも簡単に追いつく。
ロバートが背後からミサイルを放つ。戦士はふっと消えて瞬間移動し、全く違う場所に現れる。
「こいつは埒があかねえぜ」
とロバートは焦る。
「よし、俺たちも合体だ」
とクリスとロバートは戦闘機を合体させ、ロボットに変身させた。それは、サイボーグのような形をしていて、人間にように頭、胴体、手足から構成されている。8頭身で、メタリックな外観である。手には長いレーザー・ソードを持っている。そのロボットの名前は武蔵である。
戦士と武蔵は向かい合った。戦士は両手に小刀を持ち、二刀流にかまえた。
互いの間合いをはかっている。
戦士が瞬間移動で、武蔵の背後に回った。その気配を読み取った武蔵が、振り向きざま、真横に一閃。
戦士は胸に武蔵の秘儀・水平払いを打ち込まれ、体中が青い光に包まれると、そのまま蒸発してしまった。
武蔵は分解し、もとの二機の戦闘機に戻った。
空母に帰還するクリスとロバート。
滑走路に着地する戦闘機。
甲板に降りる二人を、仲間の兵士たちが歓声で迎え、祝福する。
シャンパンを開け、中の液体をクリスとロバートに盛大に浴びせる仲間たち。
艦橋からは、クリスの尊敬する伝説のパイロット、マシュー大佐がその様子を見下ろしながら満足げに微笑んでいた。
こうして、地球の平和は守られたのであった。
執筆の狙い
現在、公募に向けて本格的に取り組む準備をしています。
小説のテーマはSFで行きたいと思っています。
それで、戦闘シーンの描写の練習ということで、今回の作品を書きました。
これまであまり戦闘シーンは書いたことがなかったのですが、
自分の書ける範囲で頑張って挑戦してみました。
評価していただきたい点は、
1、場面の映像がリアルに浮かぶか
2、SFの戦闘シーンとして、設定や描写に幼稚な感じはするか
3、全体的に、SFとしての知識やセンスが不足している感じがあったか
4、SFの文章としてはこれでいいのか
5、純粋に面白く読めたか
6、この路線で公募に応募しても大丈夫か
などです。