作家でごはん!鍛練場
無名

あやかして結

ーーこの世界は腐っている。

 *

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 息を荒げながら、無我夢中でその両足を動かし続けた。気温が低いせいか吐く息は煙のように白くなり、そして虚しくも雨によって掻き消される。
 両手を前に伸ばして目の前に立ちはだかる草木を掻き分ける。土砂降りの雨で泥濘んだ地面を力強く踏みつける。
 だが世界は残酷だ。必死に努力しようとも、何かに抗うためにもがこうとも、世界がそれを許さない。強い逆風に少年の走る速度は通常よりも遅くなり、紫紺の髪が激しく舞っていた。

「くッ……」

 溜まった疲労で視界がボヤけ、体に力が入らないせいで体勢が崩れそうになるも、すぐさま体勢を立て直して前へ前へと走り続ける。
 何も考えるな、足を動かし続けろ。ーー逃げて、逃げて、逃げ続ければ、その先に明るい未来が待っている筈だ。

「俺はまだ死にたくないんだよっ!!」

 危険な状況下に追い込まれているせいか、その胸の奥に秘められていた少年の『生』への執着が喉元を通り越して辺り一体に響き渡った。
 恐怖で激しく高鳴る心臓の鼓動が鳴り止まない。酸素が足りない、血液が回ってない、身体中の細胞が悲鳴を上げているーー。

「クソッ、クソッ、クソッ!! なんでこうなった、俺が何かしたって言うのか!」

 口から湯水のように溢れ出る恨み言。だが恨んでも恨んでも、この状況が変わるのかと言ったら、それは大きな声で『違う』と答えよう。
 そして死に物狂いで二分ほど走り続けていると、視界の先がほんのりと光輝いていた。その光を見た途端、強張っていた少年の表情は一気に綻び、そしてその黒い瞳には一筋の光が差し込まれていた。

「やった!! もうすぐ出口だ、この森を抜け出せるぞ!」

 その光がどれほど少年に希望と勇気を与えたのかは計り知れない。少年の体から抜け出ていた力が再び体に宿り、動かしている足は更にその速度を上げた。
 そして光は段々と強くなり、そしてついに──少年は光の差す場所へと足を踏み入れた。

「ーーあっ」

 光の差す中に飛び込んだ少年の口から溢れたのは、短い感嘆だった。
 その光景を見た瞬間、少年は何を思ったのだろうか。希望、幸せ、恐怖、呆れ、驚き、様々な感情が頭の中で目まぐるしく交差する…… ことなど無かった。ーーそう、あるのはたった一つの絶望のみ。

 視界の先には町が広がっている。人同士がすれ違う光景、人同士が話し合う光景ーー、どいつもこいつも、自分の視界から消えて欲しい光景。
 遠くから見える町並みは間近で見るよりも綺麗だ。ーーでも、いくら綺麗に見えようと、腐っているものを綺麗にすることなど出来やしない。そしてそんな腐った町並みを、ーー壊したいとも思った。
 視線を下に向けると、すぐ先で繋がっていた地面が途切れている。そう、ここは崖。つまり行き止まりであるーー。

「嘘…… だろ」

 少年が左右一歩づつ、恐る恐る足を前に出して進むと、もうそこは既に行き止まりである。顔を下に向けたまま崖先を覗き込むと、真下には木々が生い茂っており、まるで大きな緑の絨毯が引かれているようであった。
 もしこのまま落ちた場合自分はどうなるのだろうか。奇跡的にも木々が落下の衝撃を吸収して命だけは助かるだろうか……。
 ーー否、それは不可能である。一目見て、不可能であると悟らされたのだ。

 自分の立っている場所と真下の木々との高低差はゆうに五十メートルを超えているだろう。いくら木々が衝撃を吸収するからと言って、こんな距離では助かる方がおかしい。
 それに万が一に助かったとしても、全身骨折などの重傷は免れられない筈だ。そんな状態じゃ、結局『あいつ』に殺られるのがオチだ。
 ーーと、そんなことを考えているときだった。

 突然少年の全身に悪寒が駆け走るーー。
 少年は『それ』が真後ろに居るのだと、悟らざるを得なかった。右手左手、右足左足、身体中が大きく震えている。

 ーーカタカタ、カタカタカタカタ、カタカタカタカタカタカタ

 徐々に早くなる歯軋り。全身の皮膚からはこれでもかと汗が吹き出し、瞳に垂れてきた汗が視界を曇らせる。
 恐怖で竦んだ体を、持てる力を振り絞って、ぎこちなくなりながらもゆっくりと後ろを振り向いた。

「ーーッ」

 その存在を見たら声が出せないほど、その存在は禍々しく、それ以上に不気味なものであった。
 少年の視界の先にいたのは、上半身のみで下半身が無く宙に浮いている存在。両腕の先にある両手は、自分のと比べて少し大きく、十本の爪らしきものは鋭く尖っている、全身が闇に覆われている化け物であったーー。

あやかして結

執筆の狙い

作者 無名
tcn026194.tcn-catv.ne.jp

プロローグの部分 自分の書いた小説がどんなものか知りたい

コメント

貔貅がくる
n219100087087.nct9.ne.jp

「入力の書式、文章の体裁」からして『なろう』調であるし、
内容的にも『なろう』な感じなので、

『なろう』持ってって、感想聞いた方がいいです。


(『なろう』サイト自体は見たことないんだけど、『なろう』発で電子書籍化とコミカライズされてるのを、継続して電子書籍で買ってる。
 近年のラノベ作家さんは、とても文章達者な人が多い)



画面眺めて目についたのは、『紋切り型の定型表現で、使い方に違和感あるのが散見されること』だった。


>恐怖で激しく高鳴る心臓の鼓動が鳴り止まない。

世間一般的に「高鳴る」が使われるのは、別の感情の時だと思う。

>口から湯水のように溢れ出る恨み言。

「湯水のごとく」の直後に来るのは、「=浪費する、消費する」が一般的。

>視界の先がほんのりと光輝いていた。

「ほんのり」がかかってる言葉は「染まっていた」が一般的で、「光り輝く」とは両立しないでしょう。

無名
tcn026194.tcn-catv.ne.jp

なるほど。言葉と言葉の組み合わせがおかしいということですか。
自分的には『それっぽい』感じで違和感を感じていなかったのですが、実際には間違った組み合わせだったのですね。

今度から書くときはそこに気をつけようと思います。

ぷーでる
5.181.235.246

ライトノベルを読んで、参考にしたらいいかな?と思いました。
ところで、この話の世界はリアル系?異世界系?それとも、中世のどっかの外国なのか?
パッと読んだところでは、理解困難でした。

視界の先には町が広がっている。人同士がすれ違う光景、人同士が話し合う光景ーー、どいつもこいつも、自分の視界から消えて欲しい光景。
 遠くから見える町並みは間近で見るよりも綺麗だ。ーーでも、いくら綺麗に見えようと、腐っているものを綺麗にすることなど出来やしない。そしてそんな腐った町並みを、ーー壊したいとも思った。

>これだけだと、どんな町でどんな人同士が話し合っているのかまるで分かりません。その為、どうして少年がそれだけで絶望して恨んでいるのか、読者さんは混乱するでしょう。

無名
tcn026194.tcn-catv.ne.jp

ちなみにこの話の時代背景は江戸時代です。確かに『町』だけじゃ読者に伝わらないですね。
この主人公は『人』を恨んでいて、『目の前が崖』なことに絶望しているのですが、この書き方だとそれが伝わらなさそうなので、もう一回考えて書き直してみます。

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