作家でごはん!鍛練場
南風

バタヴィアの橋の上で(第三章)

【前回までのあらすじ】
一六二五年、ジャワ島のバタヴィア(現在のジャカルタ)の運河にかかる跳ね橋の橋守の話です。カットバック(過去を思い出す)式の書き方になっています。橋守の清丸は大坂の陣で負けて逃げ返った浪人、オランダ船でアンボン島にやって来ます。もうひとりの橋守はマルコ、アンボン島出身です。前回までは清丸とマルコの少年時代の物語です。

【第三章について】
第三章の冒頭は一六二五年のバタヴィア。清丸が八年前のことを思い出します。日本からやってきた浪人たちが、アンボン島で何を感じ、どう変わっていったのか。南の島で、侍たちは侍であり続けることができたのか……を書いてみました。

        
       ※※※


第三章

 一六二五年、ジャワ島のバタヴィア(現在のジャカルタ)は世界で一番忙しい港だった。

 沖では大型帆船の周りには、黒砂糖に蟻がたかるように小さな舟がまとわりついて荷受けをしている。船荷はバタヴィアに住むオランダ人のための生活雑貨。帰り荷はカルダモンやターメリック、ペッパーなどの香辛料。往復の荷はすべてはオランダ人のためだ。
 
 マルコが生まれたアンボン島では、バタヴィアのように時間に追われることはなかった。波は静かで、競争してオールを漕ぐ必要もなかった。だからこそ、マルコにも——それはこの時代の浅黒い肌をしている人に共通のことだが——悲しい過去があったが、表面は陽気に振る舞うことができたのだ。

 ふたりは橋の上に立ち、重たそうに運河をさかのぼって来る舟を見ている。朝陽が橋の欄干にやわらかく当っている。
 舟を見ながら長く黙っていたマルコが
「そういえば、キヨはアンボン島にいたんだよな」
 と、思い出したように尋ねた。
「そうだよ。二年いた。もう八年前のことだ」
 マルコが急に、「あっ」と声を出した。
「俺、アンボン島で日本人を見たことがあるよ。俺がポルトガル兵から撃たれた日だ。あの中にキヨもいたんだな」
「ポルトガル兵が襲った日が、俺がアンボン島に来た日だよ。そうか、あの時マルコもいたのか」
 清丸は一瞬びっくりしたが、それでも目尻を下げて、なつかしそうに話す。マルコも清丸の横顔を見てほほえむ。苦しみや悲しさをほほえみながら話せる。それはアンボン島の白い砂浜や、おだやかな波が、傷ついた心を癒してくれたからだろう。
 
 ポー
 と汽笛が鳴って、跳ね橋を揚げろ、と催促している。
 清丸とマルコは、左右に分かれて巻き揚げ機をぐんぐんと巻き揚げる。跳ね橋が少しずつ揚がっていく。一杯まで揚げる頃には、背中に汗がひじむ。
 舟の一群が通り過ぎると一息つき、今度は跳ね橋を下げて人や馬車が通れるように水平にする。暑さが厳しくなる日中は舟の行き来が少ない。
 清丸は跳ね橋の下の陰に座って思い浮べたのは、清丸とマルコが出会った、あの日のことだった。


 浪人たちは椰子の林を歩いている。
 三十人の日本の浪人たちは二か月の航海の末、アンボン島に上陸した。その直後、何者かに襲撃され、一人が死亡、二人が負傷した。敵はオランダ軍の反撃でどこかに逃げたが、敵が使っている鉄砲は最新鋭で日本の火縄銃よりも射撃の間隔が短い。浪人の持っている刀だけでこの鉄砲に対抗するのは、とても難しいと思われた。 
 ただ浪人たちの中でこの事実を口に出す者はいなかった。なぜなら、この状況を批難すればするほど、かえってこの異国の地に来ることを選択した自分の決断が、さまざまなことを見き聞きして弱くなっている心を強く押し潰し——この南国の青空を見あげれば、なおのこと——苦痛しか生まないことを強く感じているからだった。
 みな、押し黙っている。心の中では大変なところに来たと後悔し、二度と日本の土は踏めないだろうと諦め、あの男、楠木にだまされたと、人のせいにした。
「ちぇ、いやなところに来ちゃったな」
 平戸での出発の前夜、「俺は行かねえ、妻子がある、父母がいる」と言った源七が舌打ちした。
 源七は近江の生まれ。父親は結構な地位の武士だった。関ヶ原で、藩主は最初西軍につき、後に東軍に寝返った。そのため悪評が立ち家運は急速に没落した。
 きちんと教育を受けたのだろう、理知的な顔つきで着こなしも他の浪人と違っていた。源七は上に立とうとする人間の意見には、まず反対する。
 それは、父親の寝返りと世の仕打ちと、自分の侍としての理想との三つ巴の葛藤の中でもがいている源七の心の現れでもあった
 平戸を出発する前夜、楠木は「行きたくない者は帰ってくれ」と再三再四言ったはずだ。それでもこの異国に来たのだから責めるべきは自分自身のはずだ。自分の責任を認めようととせず
「楠木にだまされた、お前もそう思うだろ」
 と心が弱っている者を巻き込もうとする。声を掛けられた浪人は源七の言うことに賛同しながらも何も言わずに歩いた。その隣の浪人も源七の言葉を否定することはできずに、ただ歩いた。
 椰子の林を出ると広場があり、うっそうとした森を背景にして木造の建物が左右に三棟ずつ建っていた。真ん中には三角の面をこちらに向けて白い建物があり、左には赤、白、緑の三色旗がたなびき、右には大きな木に日本の白蓮のような花がたくさん咲いていた。

 浪人たちは左側の一番手前の建物に入った。
 建物の中はやや暗く、天井は高くない。跳ね上げ式の窓がところどころに開いている。
 通路以外は高床になっていて、浪人たちは自分の場所を決め、くつろいだ。
 しばらくすると、土間に置いてある木製の大きな木箱の蓋が開いて浪人たちが群がった。中には浪人たちの持ち物や日本から持ってきた具足が入っていた。すぐに具足の奪い合いが始まった。
「おお、これは赤備えの具足だ。俺がもらおう」
「いいな、赤備えはもうないのか、俺も赤がいい」
「何言ってやがる。大坂方の具足なんていらねえよ。俺は黒だ。黒はねえか」
「青がある。これは俺がもらった」
 浪人たちは赤だ青だと言っているが、実は新しい具足、丈夫な具足を選んでいるのだ。あの最新式の鉄砲の弾(たま)に負けない具足が欲しいのだ。
「清丸、お前はいらねえのか、具足がなくなるぞ」
 源七が清丸にけしかけた。源七は日頃冷静な清丸がみなと同じように具足に群がるのを見て、軽蔑したかったのだ。
「いや、最後でいい、余り物には福がある」
 源七の心を読むように清丸が答えた。
「ろくなものは残っていないぞ」
 と言い捨てて、源七は青い具足を持って、他の浪人のところに行った。
「どうですか、この具足」
 喜平がすでに具足を着けて清丸に見せに来た。
 喜平は三十人の浪人の中で一番若い十七歳。
 大坂では国松様(豊臣秀頼の子)の近習だったと言っているが、証拠はなく、皆は「そうかい、そうかい」と笑っている。
 顔は美形で、素直なので皆から好かれる。
「なかなか似合っているな。それなら鉄砲の弾も避けて通るぞ」
「そうですよね、この具足だと大丈夫ですよね」
 この島の現実を目の当たりにして、大部分の浪人たちはこれからの三年を無事に過ごすことをだけを考えるようになっていた。浪人たちの気持ちが萎えた一番の原因は——みな黙っているが——さっきの銃撃戦だ。最新式の鉄砲に半分錆ついた刀やこんな具足だけで、勝てるわけがねえ、そう思い始めたのだ。

 浪人たちが三人、四人と固まって具足の品定めをしていると、楠木が入ってきて
「おーい、みんな、各自の場所に座ってくれ」
 と、命令調で言った。
 俺はどこだっけ、と自分の場所を探していた浪人たちが落ちつくと、
「これからこの島の大将の挨拶がある」
 楠木はお前たちとは違うのだという姿を見せながら、告げた。
 
 その時、橙色の軍服を着たオランダ兵が三人入って来て、高床に座っている浪人たちの正面に横に並んだ。
「こちらがこの島の大将だ」
 楠木は三人のオランダ兵の横に、まるで四人目のオランダ兵のように並び、真ん中の長身の男を掌で丁寧に指しながら言った。
 司令官がオランダ語で何か言っている。楠木はキリシタンなので、オランダ語が分かるのだろう。あるいは、事前に打ち合わせをしたのか、司令官の言葉を日本語に変えて話す。
「日本から来たみなさんを歓迎します。この島に到着した時、小さな戦闘があったようですが、みなさんを襲撃したのはこの島に潜伏していたポルトガルの兵士です。先ほど、全員を見つけ出し殺害しました。従いまして、この島には現在、みなさんを襲う敵はいません。今後のことは分かりませんが、当分は安全です。まずはこの島の生活に慣れてください。この島は住みやすい島です。この陣地には二百人の兵士が寝泊まりできるスペースがありますが、ほとんどは他の島に遠征に行っています。この島は海に浮ぶ城です。ご安心ください」
 司令官はあいさつをしながら、浪人たちの様子を観察しているようだった。肩の力をふっと抜く浪人たちが多かった。
 三人のオランダ兵は浪人たちの顔を一通り見渡して出て行った。
 楠木が
「と、言うことなので、とりあえずは安心だ」
 と締めくくると、
「何言ってんだよ、楠木、お前が言ったことは本当に大将が言ったことなのか、信用できねえなあ、そうじゃねえか、みんなよー」
 と源七が他の浪人たちを煽りながら、叫んだ。
「まったくだ。俺たちには大将が何言ってんだか分からねえ、楠木、お前の言うことを信じるしかねえんだ。だがよ、俺はお前が信用できる男かどうか、それが分からねえんだ」
 源七のそばにいる浪人が不安を口にする。
「そもそも、楠木、お前のことを信じてここまでやって来た。給金が八両だって言うから来たんだ。それも本当がどうかわからん」
 他の浪人が続ける。
 さらに源七が計算づくで煽る。
「おーい、みんな、この島は安全だってよー、刀は使わねえ、具足もいらねえんだ。それでよー、八両もらえると思うかー、これには何か裏がある、楠木だけが知っている裏があるんだ。みんな、そうは思わねえか」 
「そんなことよりよー、腹へったなー、何か食い物はねえのかー」
 奥の方でよく通る声がした。みんなが振り返ると声の主は清丸だった。
 その一言をきっかけにして
「そう言えば、朝から何も食ってねえぞ」
 と源七の計算に気づいている浪人が賛同する。
「夕方になったら飯が出る。それまで待て」
 楠木が源七から目線をはずして言い
「まずはこの島の生活に慣れるんだな。それが最初だ。病気になったら誰が面倒をみる、ここには医者はいねえぞ。そこを考えろ」
 浪人たちが楠木の方を見たのを確認して続けた。
「ここには厠(かわや)がねえ。裏は藪(やぶ)になっている。そこにはせせらぎが流れている、そこでするんだ。大も小もな。それから飲み水だ。もう分かっているだろうが、生水を飲んだら肝(きも)をやられて死ぬぞ。このことを軽く考えるな。厠がねえんだ。飲み水はどこから汲んでくる。そこを考えれば生水を飲んだらいけねえって分かるはずだ。肝の病はすぐに広がる。一人でも肝をやられたら、全員が肝をやられて死ぬぞ」
 楠木の話を聞いて、みなが顔を見合わせている。
「それじゃ、敵の鉄砲より水の方が恐ええってことだな」
 源七の冗談は力なく周りの二、三人に届いただけだった。

 夕方になると楠木と汚い布を腰と胸に巻いた島の女が三人入ってきた。一人は重ねたバナナの葉を抱え、二人は桶を重そうに下げている。
 たちまち部屋中にすえた匂いが充満した。
「これから、夕飯だ。今日は島の女に給仕をしてもらうが、明日からは自分たちでする、各自、自分の場所に座ってくれ」
 一人の女が座っている浪人の前に四角に切ったバナナの葉を敷き、次の女がイモを二個置き、三人目が柄杓(ひしゃく)で白い汁をかけていく。目の前のイモと汁から上がってくる匂いが鼻を刺激して顔をそむける者が多い。
「何だ。イモだけか。それにこの臭い汁は何だ。こんなもの日本じゃ豚も食わねえぞ」
 浪人のひとりが楠木にくってかかる。
「これが島の飯だ。これしかねえ、がまんして食え」
 と、楠木が目で答えた。
「箸がねえぞ」
「箸はねえ、手で食え」
「俺たちは猿じゃねえぞ、手で食えるか、箸を持ってこい」
「食いたくない者は食わんでもいい。しかし食わなきゃ、死ぬぞ。死ぬ前に人様に迷惑をかけることになる。お前たちはそれでも武士か。我慢のひとつもできんのか」
 楠木の声が文句を言った浪人を押さえつけた。
 一人ふたりと手でイモを取り、白い汁に浸して口に入れる。
 清丸も口に入れてみた。イモは日本のサトイモと同じように柔らかい。汁は辛いが旨い。この独特な味は何だろう。二口、三口と食べてみると案外食える。
「辛(かれ)えな、誰か水を持ってこい」
「生水は飲むなよ」
 すぐに反応した楠木を、浪人がにらむ。
 その時
「こんなものが食えるか!」
 と大声が上った。源七だった。
 みんなが源七の方を見ると、バナナの葉をひっくり返して、イモが転がり、汁がこぼれている。
「俺にかかったじゃねえか」
 隣の浪人が源七の膝を叩く。
「食いたくなければ、食わんでもいい。これしかねえんだ。慣れるしかねえ」
 楠木が源七に諭(さと)すように言うと、部屋の奥の方から
「源七、お前はいつもそうやって文句ばっかり言っているが、それは人に迷惑をかけていることと同じだ」
 と言う声が聞こえた。鉄砲で撃たれて負傷した浪人だった。細いがまっすぐに源七に向かってくる声だった。
「俺は何の因果か、この島に足を踏み下した瞬間に鉄砲で撃たれた。そしてこの部屋にかつぎ込まれた。負傷したのは二人だ。俺たち二人を世話してくれたのは清丸と喜平だけだった。他の者は、やれ具足がどうだとか、寝る場所がどうだとか、自分のことばかり気にしている。しまいには食い物まで文句を言う。いいか、俺は何にも悪いことはしてねえ、侍の心を持って誠を捧げてきた。だが、精進が足らなかったのだろう、鉄砲の弾が当った。そして人様に迷惑をかける体になってしまった。それが悔やしいじゃねえか。だからよう、源七。人間はいつどうなるか分からん。今日限りの命かもしれん。一生、人に迷惑をかける人生になるかもしれん。ここにいるのは五体満足の者ばかりじゃねえか、少しは我慢したらどうだ」
 浪人たちは部屋の奥から届く声を聞いた後、諦めたようにイモを口に入れ始めた。
 部屋が急に静かになった。

 翌朝のまだ暗い内に清丸は喜平を揺り起した。
「喜平、俺はいまから砂州の向う側まで行ってみようと思うが、お前も行くか」
 喜平は最初は寝むそうな顔をしていたが、顔を耀かせる。
 ふたりは足音を立てないように入口の方に歩いた。清丸が入口のそばで寝ている楠木に何か言うと、寝たままでうなずいた。
 兵舎を出たところで
「楠木さんに許可をもらったんですか」
 と、喜平が尋ねると、清丸は
「あとで面倒なことにならないようにな」
 と答えて、さらに
「昨日俺たちが襲われた場所は砂州になっていた。砂州は島と陸地をつなぐ。こっち側は島だ、このアンボン島の本体は砂州の向う側にあると思う。砂州を渡ったところまで行って確かめてみたい」
 と説明した。

 太陽は浜の方から登る。つまり砂浜は東を向いているのだ。椰子の林を抜けると、周りはまだ薄暗いが、砂州が白く伸びている。
 寄せては引く波の音がゆっくり聞こえる。
 二艘の小舟が砂浜に引き上げている。昨日、ポルトガルの兵士から銃撃された場所だ。
 浪人たちが逃げまわったたくさんの足跡も大量の血痕も満潮の波が消したのだろう。静かだ。
 清丸は自分の方に伸びている橙色の光の道を見ている。
 ——人間の憎しみは自然が清めてくれるのだ。日本ではまだ人と人が殺し殺される時代が続いているかもしれない。この南の島に来たことは、ひょっとすると自分の人生にとって良かったかもしれない。この島にも悲しみがあるだろう。人間がいるのだから。しかし、それ以上に人の心を浄化する自然の力の方が強いのだろう。
「ここは昨日、撃ち合いがあったところですよね、でも何もなかったように静かですね」
 喜平も清丸と同じことを感じているのかもしれない。
 二人は橙色が水平線に沿って横に広がっていく様子を見ながら歩いた。

 砂州の真ん中あたりに来た。
 喜平が
「あれは明けの明星ですよね。希望の星だ」
 と指差す。
 十七歳の青年は純粋だ。星を見て希望を感じたのだろう。十七歳といえば清丸が大坂で田畑を耕していた年齢だ。
 ——俺も喜平のように純粋だった。
 と清丸は思った。
「この島は波も星も美しい」
「そうですよね。私は大坂の陣で人が殺し殺されるところをたくさん見てきました。でも、この島にやって来て、清丸さんと二人でこうやって砂浜を歩いていると、この島に来てよかったなあと思います」
 浜を歩くふたりの心を、美しい波がやさしく洗っていた。

 砂州を渡りきると太陽は水平線から離れて丸くなり、清丸たちに向って伸びていた光の道は役目を終え、太陽に吸収さえていた。あたりは、すっかり明るい。
「あっ、あそこに誰かいますよ」
 先を歩いていた喜平が振り返って言った。清丸が見ると大きく湾曲した白い砂浜に人が立っている。
「行ってみましょうよ。きっと島の人ですよ」
 喜平は今にも走り出そうとしたが、清丸が
「落ち着け、まだ俺たちはこの島のことを知らないんだ。用心しろ」
 と、喜平を制した。
「男にしては小さいな」
「そうですね、島の女の人ですね。ちっとも動きませんね。何をしているのでしょうか。ちょっと行ってみますよ」
 清丸が「近づくな」と声をかけても、もう喜平は波打ち際の砂が硬くなったところを走り出していた。喜平だけを危険にさらすわけにはいかない。何が起るかわからないのだ。清丸も喜平を確認しながら、走り出した。
 喜平は顔がわかるくらいの距離まで近づき、清丸のところに戻っって
「おばあさんでしたよ。島のおばあさんでした」
 と報告した。清丸は、「あまり勝手に動くなよ」と軽く喜平に注意したが、喜平はちょっと頭を下げて笑っている。そして
「周りには誰もいないし、おばあさんに話しかけてみますよ」
 と喜平は老婆のそばに立ち、話しかけた。
 清丸は、喜平は日本語しか話せない。老婆はこの島の言葉しか話せないだろう。会話にはなるまい、と思った。
 ふたりはずいぶんと長い間、身振り手振りを交えて話している。しばらくして喜平がやってきて
「いつも朝はここで海を見ているそうですよ」
「どうして、そんなことが分かる」
「どうしてって、不思議なんだけど、何となく分かるんです」
「何となくって、お前は日本語で話したんだろ、あの人は島の言葉のはずだ、分かるはずがない」
「それが、何となく分かるんですよ。話していると分かるんです。不思議ですよね」
 清丸には理解できないことだったが、喜平が嘘を言うはずもない。
 老婆は少しだけ頭を下げて椰子の林の方に歩き出した。
「家に帰るんだと思います。いっしょに行ってみましょうよ」
「少しだけだぞ、何があるかわからないからな」
 喜平は老婆に近づき、ふたり並んで歩き出した。清丸は少し離れて後ろを歩いた。
 左右には椰子の林、道は砂混りの固い土で、ふたり肩を並べて通れるくらいの幅がある。
 老婆と喜平は手を動かしながら話している、まるでおばあさんと孫のようだ。
 ——あの二人を見ているとまったく日本と同じだな。人の心はどこもいっしょだ。
 清丸は二人並んだ背中を見て思った。
 喜平が戻って来て
「あのおばあさんのご主人と息子さんが、海の事故で亡くなったそうです。だから毎朝ここで海を見ているそうですよ。本当に不思議だなあ。言葉っていらないっじゃないかな、心と心で話しているって感じなんです。不思議だなあ」
「お前も、あのおばあさんも汚(けが)れがないからかもしれんな」
「そんなことはないですよ。清丸さんだって話せば分かりますよ」
 清丸は、そうありたい、と思った。
 椰子の林を抜けると少し開けた場所に出た。椰子の枝とバナナの葉で覆われた小さな小屋がある。小屋の周りは椰子の枝で編んだ柵で囲ってある。柵の中には黄色や赤の花が植えてあり、野菜の畑も見える。
「きちんとしてますね」
「そうだな、とても老婆がひとりで住んでいるようには見えないな」
 老婆は門の前で家の中に入れと誘っている。
「家に入ってみましょうか」
「いや、今日はここまでにしょう。帰りが遅くなる」
 喜平は残念そうに
「おばあさん、また来ますよ」
 と手を振った、老婆はうなずいて家に入っていった。門から家の入口までは背の低い花が、幸せそうに咲いていた。
 帰り道、喜平が感慨深そうに
「あのおばあさんは一人で住んでいると言ってたけど、たぶん他の人が助けてくれているんだと思いますよ」
「そうじゃないと、心を平安にしてひとりでは住めないだろう」
「この島はきっといい島ですよ」

 兵舎に帰ると源七が
「二人でどこに行っていた」
 と尋ねた。
「昨日、俺たちが襲撃されたところを見に行った。またいつ敵がやってくるかわからんからな」
「そうか、しかしもうこの島には敵はいないんだろ。俺たちはなー、みんなで話し合って厠(かわや)の穴を掘ることにしたんだ。すげーだろ。中には侍がそんなことができるかーと言うやつがおったが、俺がぴしゃりと言ってやったんだ。この島じゃもう侍なんていらねえんだよ。厠の穴を掘る侍が本当の侍だってね」
 源七は昨日の夕方、バナナの葉をひっくりかえした時の顔とは、まるで違い、笑いながら言った。
 清丸は源七の変化にびっくりした。一晩で人の性格が変わるわけがない。源七が心の奥で何を考えているのか分からない。だが、源七の心に明るい窓が開いたように思えた。
「ちょっと今から集りがあるんだ。穴堀りのね」
「俺も行く」
 と清丸は源七といっしょに歩きはじめた。

 夕方は当番が、バナナの葉を敷きイモに白い汁をかけた。
「オランダ兵に尋ねたところ、この白い汁はココナッツの汁が入っていると言っていた。ココナッツは椰子の実のことだ。ココナッツの実の中には清らかな水が入っているらしい」
「清らかな水か……」
 この夕飯を食えば、身も心も清らかになるような気がした。

 翌日、司令部の前の広場に人が集まっていた。
 島の女たちが頭の上に重そうな袋を載せて、三人、四人とやってくる。
「あれは何をしているんだ」
 清丸は楠木に尋ねた。
「グローブというものらしい。これだ」
 楠木が手を広げると乾燥した茶色い釘のような形のものだった。
「これがグローブだ」
 清丸は手に持って香りをかいでみる。
「少し香りがありますね。日本には無い香りだ」
「日本では山椒のようなものだろう。香りづけや薬味として使うそうだ」
「でもどうして、これを集めているのでしょうな」
「それはこのグローブが世の中でこの島にしかないからだ」
 清丸は楠木の説明にびっくりして顔を楠木に向けた。
「この広い世の中でこの島にしかないんですか、これが」
「そうだ、オランダ人はこれを集めて船で自国に運んでいる」
「こんなものが金(かね)になるんですか?」
 清丸は手に持ったグローブをまじまじと見つめながら、つぶやいた。
「世の中にこの島しかない貴重なものだ。どれだけでも金を出すだろう。その金で船を作り、鉄砲を買う。そしてこの島を守る」
 清丸は、なるほど、こんな小さなものが世界の人々を動かしているんだな。それにしても、と思う。
「しかし、これは植物なのだから、誰かがこの島から苗を持ち出して他の島で栽培したらいくらでも増えるんじゃないのか」
「それをオランダ軍が厳しく禁止している。持ち出そうとしたらすぐに打ち首だ。この島のオランダ軍は島からグローブを持ち出さないように常に監視している、もちろん他の国の兵士がやってくると必死になって守るんだ。俺たちを日本から連れてきたのもこのグローブを守るためさ。そうすればオランダだけのものになる。値段は自分で決められる。いくらでも儲かるのさ。すごい仕組みだろ」
 清丸の聞いたことのない仕組みだった。日本にいてはとうてい考えつかないだろう。
「でも、この島の人達にとっては苦痛ですよね」
「そうだ。一番苦しむのはこの島の人達だ」
「オランダ人はグローブを持ってきた村人に何を与えているのですか」
「今までは米を与えていた。米はこの島にはない。船で別の島から運ぶことになる。重いし、かさばる、やっかいだ。だから最近では銀貨を与えているという」
「この島では銀貨を使うことはないだろう。そもそもこの島では金はなかったはずだ、物々交換だっただろうから。そこに金というものが入ってくる」
「そうなると、どうなる?」
「さて、どうなるか……」
 清丸は砂浜で海を見ていた老婆を思い出していた。一人住まいの老婆は村人がときどき訪問して世話をしているから、不安なく生活していたのだ。そこに金というものがこの島で幅を効かせるようになる。人はみな金儲けにやっきになるだろう。そうなると、誰も老婆のことを気にする人はいなくなる。みんな自分のことで精一杯になるからだ。
 ——島が壊れていく。
 清丸は島の将来を思うと心が暗くなった。

 清丸は兵舎に戻る時、兵舎の影にオランダ兵と島の若い女がいることに気づいた。オランダ兵は娘に何か渡している。娘が食べた。そしてまた娘に何か言う。そして娘の手を引いて連れていこうとする。
 娘がいやがっている。それでもオランダ兵は無理やりに引っぱる。島の若い女を食べ物で誘って、藪の中に連れ込もうとしているのだ。
 清丸は足で兵舎の壁を蹴って音を立てた。
 オランダ兵はびっくして清丸を見て、娘の手を離した。娘はすぐに逃げ出し、オランダ兵は清丸をにらんだ。
 島の人達は他の国からやって来た人間にどんなにひどい目に遭っているのか表面では知ることはできない。日本でも同じだ。人がいる限り憎しみや悲しみが絶えることはない。しかし、この島ではこれまでとても平和な島だったんだ。これから金持ちが出てくるだろう。不正もあるだろう。島の人たちの心が荒れるだろう。まだ間に合う、ここで止めればいい。
 清丸はこのことは誰にも言わず、しばらく様子見ることにした。
 源七がこのことを知ったらどうなるだろう。
 それから数日後、源七が清丸のところにやって来た。話があるという。
「お前は知っているか」
「何を?」
「オランダ兵が村の娘に食べ物をやって、無理やりに藪の中に連れ込んでいる」
 清丸は黙っていた。
「俺はこの目で見たんだ。現場をね。しかし何もしなかった。音ひとつ立てなかった。オランダ兵は娘を引っ張り込んで、うまくやったよ、きっと。娘は嫌がっていたがね」
 清丸はなおも黙っている。
「人間ってどこでも同じだんだなと、思ったよ。世の中はどこも同じだ」
「そんなことはないだろう、侍はそんなことはしない」
「へー、清丸よー、喜平じゃあるまいし、そんな青臭いことを言ってねえで、現実を見ろよ。島の娘だってそれで米や銀貨がもらえれば、喜んでいるんじゃねえのか」
 清丸は言い返そうとしたが、どう言いえばいいのか分からなかった。
「俺の父親は西軍から東軍へ寝返ったんだ。それは一族が生き残るためだった。しかし、人の目はそうじゃなった。勝手なもんだ。自分たちも影では同じようなことをしているのに、人が自分と同じことをすると攻撃する。それは自分の非を認めたくないからだろう。お前はそうは思わないか」
 清丸は、俺はそんなことはしない自分の非は自分の非として認める、と反発したかったが、源七は畳かけるように話しを続けた。
「だから、オランダ兵が女を藪に連れ込んでも、もし俺がこの島のオランダ兵だったら同じことをするかもな、と思ってしまうと、もう体が動かなくなるんだ。情けねえよな。本当に情けねえよ。連れ込もうとするオランダ兵を刀で容赦なく切り倒すことだって、ちっとも難しいことじゃねえ、大坂じゃ毎日がそうだったからな」
 確かに大坂での戦いは悲惨だった。殺さないと殺さされる修羅場だった。清丸は夏草の中で逃げまわった日のことを思い出していた。
「お前の父親はどうだったか知らねえが、俺の父親は厳しかった。常に『侍たれ!』が口癖だった。だが、自分は寝返ったんだぜ。俺は笑っちゃたね。人間はそんなもんだってね。だから俺はオランダ行きを決めたんだ。何もかも嫌になったからだ。でもよー、何とかして、この気持ちを正したいんだ。もっと本当の侍らしく生きたいんだ。だから自分から進んで厠の穴掘りをした。みんな俺の姿を見て目を丸くしていたがね。何とかしたいんだ。どうしたら侍らしく生きられるか、お前は、どう思う」
 源七の話の最後は清丸への質問になっていた。確かにこの島のオランダ人と島の人たちの力関係は極端だ。源七は言うように、もし俺がオランダ兵だったら、島の人たちへの接し方はどうするだろうか。俺だって島の人たちが純情であることを知りながら、それを利用して勝手な振舞いをするかもしれない。なぜなら、俺たちは浪人なのだから……
「その答えは俺にも分からん。だがな源七、そのことは誰にも言うなよ、特に喜平には」
「わかっているよ。俺だって喜平の純な心を傷つけたくないからな。だがな、いつまで純でありつづけることができるか、それはわからんぞ。純が純のまま続くならば、それこそ真の侍かもな。まあ、喜平にその気力はないだろうがね」

 それから二か月後、厠が出来上がり、浪人たちは島の生活に慣れてきた。
 何も起きない。戦いがない。退屈だ。
 楠木はこれでは浪人たちの浪人たちの不満が積のるばかりだと、オレンダ軍の司令官と話し合った。
「みんなー、ちょっと来てくれ。そろそろ島の生活にも慣れたと思う。何もすることがなくて退屈だろう。そこで、みんなにやってもらいたいことを見つけてきた」
「何だー、こんなに退屈だと体がなまる。何でもできるさ、厠の穴だって掘ったんだからな」
「やってもらいたいのはグローブの植林だ」
「グローブって司令部の前の広場で集めている、あの釘のようなものか」
「そうだ。みんなも知っている通り、グローブは世の中でこの島にしかない貴重なものだ。だからこそオランダ兵がここにいる、俺たちも日本からここにやってきたのはこのグローブを守るためだ。しかし、今、グローブは急激になくなってきている、それはそうだろう。あれだけの量のグローブを取ったんだ。だから俺はオランダの司令官と相談して、グローブの苗を植えることにした」
「何言ってるんだ。頭がおかしくなったんじゃないのか」
 源七だった。
「俺たちは刀を差した侍だ。みんな、そうだよな。厠の穴掘りはしかたがねえ。自分たちの身に直接関係することだからな。しかし、グローブは違う。この島の人間とオランダ人との間のことだ。俺たちには関係ねえ。侍である俺たち二十九人が手伝うことはねえ。みんな、そうは思わないか」
「それはそうだ。今回は源七の言い分が正しい。俺たち侍は刀を差している。戦うために来たんだ。穴掘りの次は植林か、いいかげんにしてくれよ。しかも、植林はオランダのためだろう。俺たちは他の国のために侍の魂を売ってしまうことはねえ。ここで寝て、三年の年季が終れば、一年で八両、三年で二十四両の給金が入る」
 源七はさらに煽る。
「そうだ、そうだ。そんなことをやる必要はねえ。しかもだ、グローブが増えれば増えるほど、この島の人たちにとって本当に良いことなのかもわからん。ただただオランダ人のためだけじゃねえか」
 みんなは楠木を見た。楠木はしばらく黙っていたが
「その理由は簡単だ。俺たちの大将はこの島の司令官だ。その意思の通りにすることは雇われた者の努めだ。それが侍ってもんじゃねえのか。俺たちは大坂軍と徳川軍の戦いで大坂側について、それは忠義があったからだ。自分のためじゃねえ。大将のためだ。そうじゃねえか。自分のことは捨てて、忠義を尽くす。それこそ侍の道だ。よく考えてみろよ。ここで忠義を示せば、ひょっとすると給金の八両は十両になるかもしれん。そのためには何をすべきか。この島でたくさんのグローブを運び出すしかねえんだ。もうすぐこの島からグローブが無くなってしまう。そうすれば八両だって、もらえるかどうか分からん」
「確かにここは大将の言うことをきいて植林をした方が賢いかもしれん。給金が増える可能性もあるからな。俺は植林をするよ、寝ているだけなんて、体がなまるだけだ」
「おれもやるよ、きれい事を言ってみても、結局は給金が増えた方がいいに決っているからな」
 浪人たちは楠木の話に納得したようだ。源七もしぶしぶ従っている。

 翌日からさっそくブローブの苗の植え付けが始まった。幸いグローブは刺し木で増える。若い枝を水に刺しておけば根が出てくるのだ。 
 海の見えるなだらかな山の斜面、ここは日当たりがいい。
 右にはアンボン島の山々の緑が見える。正面は真っ青な海。左に目を落すと兵舎が見える。おだやかで平和だ。
 一尺ほどの長さになった苗を侍たちはていねいに植えている。両手でやさしく土を押さえている。
 二十九人の浪人たち全員がここにいる。死んだ吉助がこの光景を見たらびっくりするだろうな。あの男のことだから、喜んだかもしれない。「やっぱり、土はいいねえ」とか、みんなを笑顔にしただろう。
 斜面の上の方では苗を植えやすくするために、大木だけ残して藪を切り開いている侍もいる。この暑さだ、上半身は裸になっている。
 源七が清丸のそばに座った。
「清丸よー、ここはいい場所だなー、見ろよ。青い海に青い空。風もおだやかだ」
「そうだな、今日は気持ちがいい日だ」
「俺はよー、楠木にも言ったんだが、この苗を植えるって考えは良かったな。心が広々として、なんかよー、肩の凝りがすっかり取れたって感じなんだ」
 源七はそう言いながら、軽そうに肩を回す。
「苗を植えるってことがお前に合っているんだな」
「馬鹿言え、俺は侍だ」
 そう反発する源七の顔は笑っている。
「立派なもんじゃねえか、両手でやさしく苗を植える侍は世の中にそうはいねえ、俺たちだけかもしれん」
「そうだな、俺たちは立派な侍だな」
 源七は自分の言葉に自分でうなずきながら、よほどうれしいのだろう、次の浪人のそばに座って話しかけている。
 ここにいるのはみんな日本では修羅場をくぐり抜けてきた連中だ。人を殺して生き抜いてきた者たちだ。人の心の汚(けが)れを一番見てきた者たちだ。それが今日は、おだやかな心でやさしい手で苗を植えている。
 ——これこそが侍じゃないのか。
 清丸はこの美しい光景に、求めていた侍の姿を重ねていた。

「清丸、喜平がいねえぞ」
 ある日の朝、源七が清丸に耳打ちした。
「いないって、どこに行ったんだ」
「あいつー、そうか逃げたな。こりゃ、やっかいなことになったな」
「逃げたってどういうことだ」
 源七の話によると、喜平もオランダ兵に藪に連れ込まれる島の娘を見たという。喜平のことだ、黙っていられなくて、オランダ兵と取っ組み合いになった。
 その女は水汲みの娘で喜平とときどき話していた娘だった。たぶん島の言葉でも教えてもらっていたのだろう。若い二人の仲が良くなるのはすぐだった。その娘をオランダ兵が連れ込もうとした。
 喜平は馬乗りになってぶんなぐった。オランダ兵は口から流れる血を手でぬぐいながら、その場を去った。
「それはいつのことだ」
「喜平が昨日寝る前に俺に話してくれたんだ。オランダ兵も島の娘を連れ込んだことがばれると大変なことになるからな、絶対に口封じにやってくる。島の娘は料理を作る小屋に寝泊まりしている。喜平はあの娘を助けないと殺されると思ったんだ、きっと」
 
 そのころ、喜平と娘は手と手をつないで砂州を走っていた。
 上弦の月。風はない。
 波の音を聞いている余裕はない。
 二人ともは履いていたものが砂に取られ、裸足だ。
「これから先のことを考えるな。前を見て進め」
 喜平は娘の手を強く握り、ときどき横顔を見て日本語で言う。
 娘は、うなずく。
 言葉はいらない。

 喜平は砂州を渡ったところにある、おばあさんのところに行くと決めていた。

 兵舎では楠木も喜平がいなくなったことに気づいた。
「清丸、ふたりはどこに行ったと思う」
 清丸は、はっ、と気づいた。
「砂州を渡った先に老婆が住む小屋がある。そこだと思う。どうする。このままだと騒ぎが大きくなる」
「そうだな、脱走だとしたら最悪は死罪だ」
 楠木の言葉に、清丸と源七はうなだれた。
「オランダ兵は俺たちのことを信用している、毎朝の点呼もない。だから喜平がいなくなっても気づくのは遅れる。ただ心配なのは娘を連れ込もうとしたオランダ兵だ。あいつは自分の身を守る行動をするだろう。それは喜平が脱走したと騒ぐことだ。それがあいつにはとっては自分の身を守ることになる」
「じゃ、どうする。オランダ兵を見つけ出して切ってしまうか」
 楠木が源七をにらむ。
「馬鹿なことを言うな。いいかこれは喜平ひとりの問題じゃないんだ。オランダ人はことをきっと問題にするだろう。そうなると、みんなの給金を減らす絶好の口実になる」
「ええー、そりゃ、大変だ」
「そこまで考えておかなきゃだめだ」
「じゃ、喜平を見つけ出して切腹させなきゃ収まらねえじゃないか。おお、それこそ侍。侍の理想だ、はは」
 源七が短かく笑ったが、目は笑っていない。清丸は、切腹が侍の理想など馬鹿げている、生き抜いてこそ真の侍だと思った。楠木の顔を見ると一点を見つめているだけだった。

 喜平と娘は老婆の小屋に入った。
 娘が老婆と話している。
 娘の名前はインダーだった。
「インダー、もうここまで来たのなら、ヒトゥまで行きなさい。ヒトゥにはたくさんの村人がいる。きっと何とかしてくれる」
 二人はすぐにヒトゥに向かって飛び出した。
  
 兵舎の周りにオランダ兵が集まっている。中心にいるのはあの兵士だ。あの男は喜平がいなくなったことに気づいたのだろう。だから朝早くから兵士を集めているのだ。自分の悪事を喜平が失踪したことに結びつければ、難は免れる。
 中心にいる兵士が日本の浪人たちをちらちら見ている。
 血の気が多い浪人が、刀を持ち出した。
 楠木が制する。
 ここで浪人とオンンダ兵がぶつかったらあの男の思うつぼだ。
 話し合いが終って十人ほどの兵士が歩きだした。砂州の方に向かっている。

 その時だ。
「船が来たぞー、船だー」
 オランダ軍の大部分の兵士はほかの島に遠征に行っていた。この島には司令官の他に、わずかなオランダ兵と日本の二十九人の浪人たちだいるだけだ。
 見ると帆船が三艘、水平線の上に小さく見える。
「これで、喜平は助かったな。船が来るとまずは荷受け、それからグローブの積み出し、乗組員の交代など、ものすごく急がしくなるからな。失踪した喜平のことなどかまっておられないだろう」
 
 確かにいままでのんびりしていたオランダ兵たちが、まるで戦場のようにきびきびと動いている、
「国に帰れる者もいるらしいぞ」
「なるほど、何年この南の島に兵士として命がけの日々を過ごしたかわからないからな、そりゃ、うれしいだろうよ」
 一方、この島でのんびりと日々を送っていた者が交代で船に乗って遠征に行くことになる。 あの娘を連れ込もうとした男も、船に乗ることになった。これで喜平のことは問題にならないだろう。
 清丸は楠木が裏で根回しをしてくれたのかもしれない、と思った。
 島に残る兵士、船の乗って別の島での戦闘に出ていく兵士、その顔は人間の裏と表の顔だった。
 船が島に来て数日後、楠木がすべての浪人を集めた。
「ここには今、二十八人の侍がいる」
 楠木は侍と言った。
「喜平はこの島のどこかにいる。この島で暮していくと決めたのだろう。みんなが知っているように今船が三艘、沖に停泊している。この島にいたオランダ兵は今度は船に乗って次の島に行くのだ。司令官から重要な話があった。あの船に乗って次の島に行く者を決めてほしいということだ。給金は二倍の十六両出すという。年季はこの島ですでに一年ほど過ごしたので、あと二年だ。この島に残りたい者は島の人と同じ生活をすることになる。刀も没収される。ただ兵舎に住むことと食料だけは支給される。まあ、植林が仕事になるだろう。残った者には給金は出ない。——俺はこの島を出ようと思う。とにかく日本に帰りたいからな。あまり金のことは言いたくないが、三年で合計で四十両になる。俺といっしょだとオランダ人との交渉も楽だ。どうする、みんな」
「そりゃ、俺は楠木といっしょに行くさ。当然だろう」
「俺も船に乗る。この島にいると、結局は日本には帰れないだろう。こんなところに残るやつなんていないよ」
 清丸が手を上げる。
「俺は残る。喜平のことも心配だ。あいつを残してこの島を出るわけにはいかない
 この清丸の言葉を聞いていた源七が手を上げて
「俺も残る」
 みんなが源七の顔を見た。まっさきにこの島を出ていくと言い出すのは源七だろうと思っていたからだ。
「源七、気は確かか、この島にいても一銭にもならねえだぞ。しかも毎日イモばかりだ。よくお前そんなことを言うな」
 源七は黙っている。清丸は源七が残ると言ったのは自分に対する対抗心だからだなと思った。楠木が
「わかった。残る者は清丸と源七、他の者は全員、この船で出港する。出港は明後日の朝だ、いいな。俺はこれから司令官に結果を報告してくる」
 楠木が出ていくと
「これでこの島とさらばだな。まあ、楠木といっしょにいれば、あと二年の年季はあっとという間だろう。そうすれば四十両だ。俺たちが植えたグローブの木にも花の蕾が出るだろう。そうすれば給金の財源も枯れることもない。楠木は先遣の目があるなあ」
「そうだ、もうすぐ日本に帰れるな。これで一安心だ」
 みんな有頂天になって、清丸と源七のことを話題にする者はいなかった。

 船が出る日、五、六人ずつ小舟に乗って帆船に向かった。何回か往復して最後の小舟には楠木が乗った。
「清丸、源七、お前たちはもう侍を捨てた侍だ。刀も没収された。具足もない。形あるものは何もない。喜平のように島の人間になれ。それしか道はない。いつか日本に帰れる日も来るだろう。いいか、もう侍を捨てた身だ。恥もいっしょに捨てたんだ。そうだろう、源七。妙な気を起すなよ。侍を捨てた侍が一番侍らしい。今のところ喜平が一番だ。俺はそう思う。日本で待っているぞ。元気でな」
 楠木はそう言うと丁寧に礼をした。
 小舟は波を乗り越え、帆船に向かって行った。

 その一年後、喜平がひっこり現れた。しかも、そばには侍が立っている。
「おお、喜平じゃねえか、今までどこで何をしてた」
 源七はそばにいる侍の顔を見ながら、喜平に声をかけた。
 この一年、島は平和だった。喜平が連れて来たこの侍が、島にまた波風を立てるのではないかと、警戒が先に立った。それでも顔は笑って
「ところで、この方は」
 源七は喜平に尋ねたのだが、横に立つ侍は半歩前に出て
「拙者は豊後の八兵衛という者でございます」
 源七は、「豊後といえば……」と言いかけたが、余分なことは言わぬ方がいい、と思い口を閉じた。
「豊後と言えば九州ですよね、清丸さんと同じですよね」
 源七は喜平が八兵衛にどこまでのことを話しているのか、気になった。今、この島はまったくの無防備なのだ。司令官もいない。島を守っているのはニ十人程度のオランダ兵だけだ。それはもうこの島は安全だと思っているからであり、それよりも他の島での戦いの方が急を要しているからなのだ。一年前にいたオランダ兵はみんな遠征に出ている。ここに他の国の軍隊がやってきたら、いっぺんに全員が殺されてしまう。そして自分と清丸も、ひょっとすると……
「ところで、八兵衛殿の大将はどこの国の方ですか」
「いやいや、どこの国の何も、みなさんと同じオランダですよ」
 八兵衛は、喜平とは異なる源七の態度に、この男は簡単じゃないなと思ったのか、眉間がぴくとしたが、目は笑っている。
「源七さん」
 喜平が無邪気に源七に話しかける。
「私がインダーと住んでいる、インダーってあのいっしょに逃げた娘ですがね、今、いっしょに住んでいるんですよ。その村が砂州を渡って、山を越えたヒトゥって村なんですが、その沖に、昨日、突然、大きな船が現われたんですよ」
「船ってどこの船だ」
 源七は喜平に向って、少し言葉を強めて尋ねた。
「どこって、さっきも話した通り、オランダの船ですよ」
 八兵衛が横から口を出す。
 そこに清丸が来た。
「清丸さん、お久しぶりです」
「おお、喜平、元気だったか」
「はい、みなさんのおかげで、いっしょに逃げた娘と仲良く暮しています。この方は八兵衛さん、豊後の方ですよ。豊後と言えば清丸さんと同じ九州ですよね」
 清丸は八兵衛を見た。八兵衛は口角を上げてあいさつしたが、不自然な上げかただった。清丸も警戒した。
「八兵衛さん、日本のお侍さんが、いったいどうしてこの島に」
 清丸は意識的に丁寧に尋ねた。
「いやいや、オランダ船でね、この喜平さんの村の沖に着いたのですよ」
 清丸は源七の顔を見た。ふたりは目で、こいつは警戒しなければならない男だと合図しあった。
「ところで、八兵衛さんはこの島は初めてですか」
 清丸はまずは八兵衛の素性を知らなければならないと無難な質問をした。オランダの船でないことは確かだ。だとしたらどこの国なのか。
「ええ、もちろん、この島は清丸さんと源七さんの他に日本人がいるのですか」
「おお、たくさんいる。三十人はいる」
 喜平が不思議な顔をしている。きっと村人からオランダ兵もたくさんいた日本人もみなこの島を出たことを聞いているのだろう。だが喜平は何も言わない。
「じゃ、おふたりだけじゃないんですね」
 八兵衛は情報はもうつかんでいるぞ、嘘を言うな、という感じ、ていねいに言った。
「おお、そうよ。今はみんな山に行っている」
「ほー、侍がまたどうして山に」
 源七は、植林に、と言いかけたが、とっさに
「厠だ、山に厠を作っている。その作業に行っている」「
 八兵衛は喜平の顔を見ている。喜平がまた不思議そうな顔をしているのを見逃さなかった。
「おお、そうですか。侍が厠の穴堀りですか」
「そうだ。この島の侍は何でもするんだ」
 八兵衛と源七のやりとりに首をかしげながら
「私は八兵衛さんにこの辺りを見せてきますよ。八兵衛さんはこの島が初めてだから、見たいと言われるので」
 喜平と八兵衛は、軽くあいさつして歩きだした。
「清丸、どう思う?」
 ふたりが兵舎の角を曲ったのを確かめて、源七が清丸に尋ねた。
「俺はあやしいと思う」
 源七は清丸の答えはもう分かっているという感じで自分で答えた。
「そうだな、オランダの船が島の反対側に現われるはずがない。オランダの船ならこの浜に来るはずだ」
「そうなると、他の国の船ってことになる。あの八兵衛は、そうなると、他の国に雇われている間者だ」
「たぶん、そうだろう」
 そう答える清丸の顔を見た、源七の顔はいままで見たことのないほど厳しかった。
「清丸、おれはこの島が好きになってしまった、お前はどうだ」
「俺もこの島はいい島だと思っている」
 源七は清丸の言葉に大きくうなずく。
「俺、ちょっと用事を思い出した」
 源七はそう言い残して、兵舎に入っていった。

 清丸が兵舎にいると、しばらくして喜平が飛びこんできた。
「源七さんが、八兵衛さんを切りました!」
「そうか」
 清丸は事の流れが分かっていたのか、おどろかない。
「あの切られ方では八兵衛さんは死にましたよ」
「どこで」
「厠のそばです」
 清丸は走り出す。喜平も続く。
 厠のそばでは源七が穴を埋めていた。
「ちょうど、厠の穴がいっぱいになった時のために予備に掘っていた穴があった。そこに投げ込んで埋めれば、オランダの連中には発見できん。あいつらの厠は別にあるからな。あいつらは日本人を馬鹿にしている。同じ厠は使えんって自分たちの厠を作ったんだ。ここには来ない。大丈夫だ」
 そう言いながら、土を穴に入れている。清丸も喜平も鍬(くわ)を手に取った。

「おい、お前たちそこで何をしている!」
 オランダ兵だった、三人いる。穴はまだ完全には埋め戻していない。
「これは何だ」
 オランダ兵のひとりが穴の土を掘ると、八兵衛の血まみれの死体が見えた。
「この死体は誰だ?」
 胸に入れていた紙には英語が書いてあったので、八兵衛はイギリスの間者で、この島のことを調べていたことが分かった。
 源七は説明したが、オランダ語はちょっとした会話しかできないので、難しい説明ができない。だから却って怪しまれる。
 清丸、源七、喜平の三人は司令部に連れていかれ、厳しく尋問された。三人はそれぞれ説明した。しかし、言葉が分からないのでどうしようもない。例え言葉が分かったとしても、日本人が不利になるのは分かっていた。
 ——そう言えば、喜平はあの老婆と話すとき、言葉はいらない。心と心で十分に話せると感じていた。実際にあの朝ふたりは、おばあさんと孫のように歩きながら話していた。そうだったのに、ここでは言葉が分かわらないと、それだけで敵と味方に分かれてしまう。相手を貶めようとする。言葉が武器になるとき、人の心が汚れるのだ。
 島に残る者は刀を没収された。それが条件だったのだ。だが、源七は高床の下に刀を隠していた。尋問により刀の隠蔽が判明し、次の船で島から追放されることになった。清丸も同様に追放になった。
 次の船が来るまで、牢屋に閉じ込められた。
「清丸、すまんなあ」
 源七が清丸にあやまる。
「いいよ。ちょうどこの島から出たかったから」
 清丸の言葉は本心から出たものではなった。それは源七も分かっていた。
「俺はこの島が好きだった。だから切った。八兵衛を切らなかったら、島でまた争いが起る。オランダ人やイギリス人たちが勝手に殺し合いをするのはいい。だが島の純情な人たちが巻き込まれる。島の美しい浜が血で染まる。そうなるとこれから何十年も苦しむことになる。俺はそれが嫌だった。俺は楠木の言った、侍を捨てた侍が一番の侍だって言葉に反発したのかもしれん。いや、喜平のあの純粋さに負けたのだろう。結局は楠木の言う通りだったな。侍を捨てきれん愚か者なのさ、俺は。喜平の透明な心に負けたな」
 清丸はこの島に来た時の源七の言動を思い出していた。あれほど島のことを嫌っていたのに、島の何が源七をここまで変えたのか。それは島の自然だろう、島の人たちの純粋さだろう。そして、源七の心の中にある、侍とは何か、という疑問だろう。それは清丸も同じだった。純粋でない侍は、偽りの侍だ。源七の中では八兵衛こそ、この偽りの侍だったのだ。

 船が来た。行き先はジャワ島のヴァタビア。 
 久しぶりの船だ。潮風が強い。揺れる。
 朝、清丸は船の先端に立っている男を見た。
 次の瞬間、その男は海に飛び込んだ。
 清丸は飛び出して行った。
 下を見ると、一瞬、透明なものが見えたような気がした。
 清く、美しい、透明なものが……。 

(つづく)

バタヴィアの橋の上で(第三章)

執筆の狙い

作者 南風
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南の島の物語も第三章になりました。
この章の最後の場面は史実を参考に創作しました。この小説を書こうと思ったきっかけになった場面なのですが、唐突な感じになってしまいました。創作と史実のつなげ方が難しいです。
二百枚書こうと思い立ち書き進めてみると、終盤になると前半との関係性に乱れが出てきて、なかなか筆が進まなくなりました。これも長編を書いているからこそ経験できることだと思います。それにびっくりしたのは文体がどんどん「自分らしく」なってきたことです。読者に好評かどうかは脇に置いて、自分が気持ちいい書き方になってきたなあと感じました。
みなさんも長編を書いてみましょう。短編を書く時の参考になることがたくさんありますよ。

コメント

貔貅がくる
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一もニも読んでなくて・・

「画面あけて、眺めた印象で、読むか・読まないか決めてる」私の印象なんですが、
この三章部分は『まとまってるし、読みやすそう』。


>一六二五年、ジャワ島のバタヴィア(現在のジャカルタ)は世界で一番忙しい港だった。

書き出しもシンプルで、そこからすぐに
黒砂糖、カルダモン、ターメリック、ペッパー、
語感がいいし、『読みたくなる』気持ちを誘う。


作者さんは、苦労した一章・二章に相当思い入れある・・んだろうとは思うんですが、

一章も二章も、画面あけて「挫折」して、私は読めなかった。
意欲的にあれこれ交錯されてると、「早々にさじ投げて、それっきり」な読者は、絶対多い。



まだ中味まで読んでいない「直観」で悪いのですが、

これ、思い切って「>一六二五年、ジャワ島のバタヴィア(現在のジャカルタ)は世界で一番忙しい港だった」から始めちゃっても良くない??

単体でも読めそうだし、その方が「読みやすそう」だ。



同人誌とか、ラノベ・BLなんかだと、
「独立して読める・読みやすい部分を先に雑誌掲載して……それから、前日譚・後日譚を出してゆく」
のはよくあるし、
単行本収録の際も、「読みやすさを重視して、発表順のままに収録」してる本は多い。

「読者の取っつきやすさ」はとても大事。

貔貅がくる
n219100087087.nct9.ne.jp

三章:冒頭の「つかみ」の直後、

>清丸は跳ね橋の下の陰に座って思い浮べたのは、清丸とマルコが出会った、あの日のことだった。
↑ って、「こっからもう早々に過去回想に飛んでる」。

三章の冒頭にして「出会い場面」!

この状態にされると、なんか猛烈に『ここが物語序盤の書き出しである空気』だし、

『一章、二章って、何やってたの??』と思うし、
『一章・二章も、回想回想三昧だったんじゃないかなー??』って思ってシマウマ。

青井水脈
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私は自分のペースで、時にスクロールして行きつ戻りつしながら読ませていただきました。1625年時点で清丸が30歳なので、その8年前ですか、なるほど。前回のあらすじと説明が有り難いですね。

喧騒のバタヴィアとアンボン島のコントラスト。小さな島で見るオレンジ色の夕陽に、悠久の時を感じる様(さま)が目に浮かぶようです。源七が島の人たちの純粋さに心を動かされるシーンが、今回は印象に残りました。

特段に難しい言葉や言い回しを使われていないのに、シーンが難なく頭に浮かんできましたよ。執筆の狙いでも書かれたように、南風さんの硬さが取れてきたのかな。

南風
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貔貅がくる様

一番にコメントをいただき有難うございます。

>『読みたくなる』気持ちを誘う。

このサイトに投稿して5作目にして、ようやく「誘う」雰囲気を感じていただくことができました。「なるほど!」と私自身思うところもありますので、これからも「誘う」ものを書いていけるよう、投稿していこうと思います。

>単体でも読めそうだし、その方が「読みやすそう」だ。
確かにそうだと思います。全体でもここがメインですので、一番エネルギーを注いだ章になります。長編をシングルカットして短編にすることもできそうです。

>こっからもう早々に過去回想に飛んでる
最近、「初心者はカットバックには手を出すな(なるべく時系列で書け)」って書いてある記事を読みまして、多用するのは弊害だなあと思いました。これからは、まず構成から考え直してみます。

貔貅がくる様のおかげで、久しぶりにワーズワースの詩集を手に取っています。
私が書いたワーズワースの詩集に関するブログです。ご一読いただければ幸いです。

田部重治(選訳)『ワーズワース詩集』を読む。
https://note.com/tankanta31/n/n54d661ae7551

南風
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青井水脈様

>特段に難しい言葉や言い回しを使われていないのに、シーンが難なく頭に浮かんできましたよ。執筆の狙いでも書かれたように、南風さんの硬さがおざい取れてきたのかな。

温かいお言葉、有難うございます。
第4章(最終章)はもっとはじけてみたいと思います。

u
opt-220-208-25-236.client.pikara.ne.jp

読みました
1,2も読んだ
本作相対的にってか作者さんの123比べてという意味ですがwww
段々↑っているwww

1のときいわゆる(オノマトペ)使い過ぎwwwへったくそ(失礼www) 読むのやめようとおもったのwww
でも歴史・時代劇興味あった しかも海外が舞台

あたし歴史時代劇興味あるのですwwwwwwwww
和田の のぼうの城とか忍びの国とか村上海賊とかもう1作あった何だったっけ左利きの鉄砲うちの話なのですがタイトル失念wwwwwwwww  
あと時代 葉室しゃんスッテキおもろい少ないけど時代劇にしてはいろんなジャンル?お描きになってるエンタメ良いですね お亡くなりになり残念です
まあーーーあたしの自己満足1000🈓すけど そんで何となく読んだわけでwww

本作ある意味上達しているというか(123比べて相対的に 上から目線でゴメン)
文章的にも読みやすかった(マアあたしもんじゃさんミタイに文章云々いえるほどじゃない てか もんじゃさんゴメン)
構成と登場人物のキャラ設定が良かった メイン清丸源七喜平が良かったと思います
で 源七しょうせつ的にかなり魅力wwwもっと寄り添ってよ作者wwwwそれとサブですけど侍隊長の楠木様ここらへんでもう一つおもろい話描けそうwwwふくらませまっせーーーーー!

喜平と島の婆ちゃんーーーー言葉通じなくても分かり合える
最後のオランダ兵とは話になんない! このエピは良かったwww

次期待です
彼ら日本へは帰還できなくなる運命? なのかなー
それだったらおもろいのにwww
南風さん御健筆!
あ、1か所単純な間違いあったww

5150
5.102.2.242

拝読しました。

平易な文で、さくさくと書かれているところに好感を持ちました。説明部分もわりと自然にすんなり入ってきたように思います。

好きな箇所は前半のあたりに集中してます。

・島にきて頼れるのはおのれだけ。生水飲んで肝の病気になり広がればおしまい。敵の鉄砲より水の方が恐い。

・現地でのイモと汁を食べる場面。生きるために食べる。

・島で鉄砲に撃たれた経験を、源七に語るセリフ。

・ばあさん

このあたりのほんの些細なエピソードがじわじわと効いてきます。南風さんはたしかメコン川のツアーのも以前に書かれていて、あれに感想を書きましたが、同じように繊細な筆致で、ぐっときたのを思い出しました。このあたりはさりげなく巧いなと思いました。

しかしながら、後半の緊迫したあたりや、物語が大きく動く箇所あたりにくると、ややそのあたりを筆がうまくつかまえきれないままだったような気がします。

もう少しだけ、キャラの特徴がはっきりしてくると、よりのめり込めるような気がしました。

外国における侍の在り方みたいなのが随所にあって、南風さんが書かれたいうちの一つなのかな、とは思いますが、いささか観念的で、実感としては伝わってはきませんでした。

一時期ハマって読み漁った、遠藤周作の諸作品が蘇ってきましたよ。

南風
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u様
読んでいただき、有難うございます。
>(オノマトペ)使い過ぎwwwへったくそ
まあ、ネットでの読みやすさを狙ったのですが、自分でもそう思いましたよ。
>もっと寄り添ってよ
そうですね。もっと寄って書き込むべきでしたね。シングルカットして再度書くかもしれません。
>日本へは帰還できなくなる運命
第四章(最終章)は、あまりヒーローぽくない書き方にしていますよ。つまり「もっと寄って」書いていこうと思います。
これからもどうぞ宜しくお願いします。

南風
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5150様

お読みいただき有難うございます。
>いささか観念的で、実感としては伝わってはきませんでした
そこが、頭で考えた物語の限界だと思うんですよね。もっとハートを大事にした書き方に変えていきたいです。それにご指摘の部分は後で書き足した部分です。流れが淀んでいますね。こんなところも気を付けたいです。

ルイ・ミモカ
i118-16-247-88.s42.a014.ap.plala.or.jp

本格的で、すごいと思いました。
この時代のことを、こんなにリアルに書けるなんて、すごいと思いました。
こういう小説を書いてみたいと思いました。
でも、私はギャグっぽいのしか書けません。
私もこれまで何度か歴史を題材にしたものを書こうと思ったのですが、
南風さんのこの作品を読んで、
歴史小説はこうあるべきという手本のようなものを読ませられた思いで、
私の方は全然なってないと思いました。

南風さんは、プロとして活躍されたご経験がある方なのでしょうか?
プロが書いた作品のような、完成度の高い作品だと思いました。

南風
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ルイ・ミモカ様

>こういう小説を書いてみたいと思いました。
私もまだ初心者なので、試行錯誤しながら書いています。ルイ・ミモカ様もいろいろなジャンルに挑戦されたらきっと楽しいですよ。
第四章(最終章)はこの雰囲気と違って、主人公の心の葛藤を描いています。心象描写が多いです。ネットでどのくらいの人が読んでくれるか分かりませんが、自分の書きたいことを書いていこうと思っています。今後とも宜しくお願いします。

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