作家でごはん!鍛練場
5150

電車に乗れない

 スマホのアラームをスヌーズ機能にして寝た。それでも、朝起きられない。二度寝してから、わたしは十一時に起きる。世間では午前中のひと仕事をそろそろ終えるころだ。どうしてこんなふうになってしまったのだろう。
 お昼近くの時刻だった。それでも朝食として、何かを食べずにはいられない。健康を何気なくアピールするバナナを素通りし、わたしはオレオの箱を手にする。袋からクッキーを取り出して、もぐもぐと頬ばりながら、バイト求人誌を広げた。
 不動産会社に退職届を提出してから、はや十日。こんな自堕落な生活をずっと続けていいわけがない。ワンルームの家賃の支払いが月末にある。それまでの生活費も必要だ。世間で二十三歳といえば、仕事に真っ盛りで、日々を忙しく送っている人が大半だろうに。
 わたしは毎日、残暑が厳しいのをいい訳にして、涼しい部屋に閉じこもり、続き物のテレビドラマばかり観ている。そうでなければ、マンガを読んでいる。外へはほとんど出なくなっていた。来る日も来る日も、同じようなことをしている気がする。
 ついこの間まで、普通に会社勤めをしていた。つまらない仕事を押しつけられるばかりの毎日。桂木課長からは頭ごなしに怒られることも多々あった。でも、このご時世に、せっかく就職できたのだから。そう思うと、仕事をこなすしかない。そんな日々を送っていた。
 桂木課長はメガネをかけていて、一見すると穏やかそうだ。でも、怒るときは湯沸かし器みたいになる。急沸騰する。ひゅー。そばにいると、手にとるようにわかる。
 いつの間にか、わたしは桂木課長の一挙一動を、そばにいて敏感に嗅ぎとるようになっていた。怒られる前から、そういう気配を敏感に察知してしまうのだ。そういうときは、つい自分の感情であるかのように、受け入れてしまっていた。わたしでない他人の、どうにもならない感情なのに。

 わたしはなぜこんなふうになってしまったのだろうと、自問する。あるいは、もとからそういう性分だったのか。満員電車がきっかけだったのかも、と思わないでもない。都会に住んでいれば毎日使うものであるし、これほど便利な交通機関はない。わたしは同じ時刻の電車に乗る生活をずっとしていた。ほんの二週間前までは。
 痴漢に遭遇した。わたしのような女の子でも被害に遭うんだ、と最初は呑気に構えていた。何度か遭ったので、車両を変えたり、時間をずらしたりしてみた。女子専用車両というものがなかったから。でも、それだけのことをしてみただけでも、しばらくの間は、効果があったように思えた。
 その後、みんながみんなそうではないはずなのに、男の人全般に対して猜疑心を持つようになった。これまでなかったことだ。男の人と付き合ったのは高校二年だから、経験は少ない。でも、男性にウブだというわけではない。父親とも普通にやっていた。
 でもなぜか、会社での、桂木課長との関係はこじれていた。他の同僚は、桂木課長は奥さんと危ないんだってさ、と耳打ちしてきた。
 何度か、自分のミスというより、どう見たって課長からの言いがかりだということもあった。わたしは黙っていた。仲のよい同僚からは、あなたほんとに忍耐強いのね、でも、そんなふうだとこの先、長くはもたないかもね、といわれてしまった。

 わたしは久々に、満員電車で痴漢に遭った。あからさまにやられた。悪夢そのものだ。満員電車は息が詰まりそうだった。身体を少しも動かせずにいた。そこを狙ったのだろう。背の低いわたしは、周囲が見えずにいた。誰かの手が、執拗に、わたしのお尻を撫で続けていた。
 ただ一言だけ、やめてください、と口にすることができていたら、どんなによかっただろう。でも、閉塞感漂う電車の中で、わたしは陰湿な行為をそのままにしておいた。
 次の駅までが異常に長く感じられた。大きな駅だったので、人の移動があった。ドアが開いた際に、わたしとすれ違うように、一人の見知らぬ会社員と目があう。
 メガネをかけた人で、桂木課長とどことなく似ていた。でも、桂木課長であるわけはなかった。メガネが人いきれで曇っていた。口もとから笑みが漏れるのを見た。
 わたしは急激に吐き気を覚えた。人を押しのけるようにして、ドアの外に出てしまっていた。その後、満員電車はおろか、電車に乗るだけで吐き気を催すようになった。そんなこともあって、相談を誰にもせずに、辞表を会社に提出して、受理された。

 そんなふうに今にいたるわけだ。でも、今日やっとバイト先を見つけることができた。駅前のビラ配りだ。唯一やっかいなのは、暑さだ。立っているだけでしんどい。
 一応パソコンは普通に使えるので、派遣とか、もっといい求人があったはずだ。でも、問題は別のところにある。面接場所は、たいがい電車に乗らなくてはいけない場所にあったから。ビラ配りの面接は駅前のビルで行った。時給千三百円。週一からオッケー。
 誰にだってできるものだ。学歴や技能など必要ない。わたしはパソコンを普通に使えるけど、他に特技らしいものはない。前職での仕事だって、わたしの代わりなどどこにでもいた。大きなプライドが唯一、わたしの持っているものだった。

 こんなバイトをやっていてもどうしようもないだろうし、どうして会社を辞めてしまったのか、これから一体どうやって食べてゆけばいいのか。ビラ配りをしながら、バカみたいだと、もう百回くらい頭の中で叫んだ気がする。
 駅前を通る人々はみな、わたしよりはずっといい生活を送っているように見えた。主婦の人たちは夫におんぶさえしていれば食わせてもらえる。いい服を着た学生たちからは、働き盛りの親の顔がよく見えてくる。ガラの悪いバカそうな連中でさえも、生き抜くことにかけてはタフそうだし、彼らなりに自立してやっているように思う。
 イヤラシイことしか考えてないだろ、としか思えない中年のオヤジにも、ときにすり寄って、作り笑いを浮かべた。たとえ下手に出ても、相手は軽蔑しきった目で無視することもある。きれいなお姉さんにティッシュを渡したのはいいけれど、こんなのいらないから、と突き返されたこともあった。
 そうやって、他人から断られ続けていると、なんだか、わたし自身が世間から拒否されたような気持ちになってくるものだ。

 わたしはその夜、無性に泣けてきた。布団のなかで丸くなっていると、涙がぽつりと出てきた。その涙は止まることなく、気がつけば、声を出してわんわんと泣いていた。

 ビラ配りのバイトをしていて、通行人と言葉を交わすことはあまりない。受け取ってくれる人の大半は、無言だ。そんな中で、一人の男の子と口をきくようになった。端正な顔立ちに見覚えがあった。
 制服を着ていて、ブレザー姿だったから一見すると高校生のように見えた。ミドルの長さの髪は、いかにも現代風だ。品がよさそうであり、同時にナイーブそうでもある。
 女の子のようにツルツルとした肌をしていた。でも、表情は堅くて、頬あたりは動きそうもないくらい引き締まっている。端正な顔だけど、どことなく男っぽさがないのも、今風といえばそうなのだろう。
 その男の子は、わたしの前に立つと、自分から手の平を差し出してきた。テッシュをさっともらうと、ブレザーのポケットに入れた。その優雅なしぐさがどことなく印象に残っていた。昨日もわたしからティシュをもらっているはず。
「ティッシュくらいもってないの。家から出かけるまえに、確かめるくらいしたらどうなの」
 わざとぶっうきらぼうに、わたしはいった。
 男の子は、その場で立ち止まった。
「持ってきたよ。でも、いくらあっても足りないこともあるから。学校で、もしのことがあったりするとそれ、けっこう役に立つんだよ。だから、あったほうがいいと思って」
  男の子はそういうと、前を見据えた。後ろ姿に、わたしはいった。
「じゃあ、もう一つあげる。もらっていきなよ。ほんとは一人に何個もいけないんだけどさ」
「あ、どうも。お言葉に甘えて」
 男の子は、そういうと、すぐさま去っていった。

 次の日も、男の子は現れた。
「もう使っちゃったの?」
 と、馴れなれしく訊いた。
「いえ、まだあります」
 男の子は、素直な口調で答えた。
「今日も欲しいの? それとも、また今度にする?」
「あ、今度にします」
 相変わらずクールなようすだ。スクールバッグを肩にかけ、手をポケットに突っ込んで歩く。わたしとはたぶん七、八歳くらいは離れているけど、もし同い年でクラスにこういう男の子がいたら、何気なく見ちゃうんだろうな、なんてふと思った。暑いといっている、そのしぐささえもが、汗臭さを感じさせずに、さっぱりしている。
 男の子は改札口から外へ出てきたらしかった。それから、駅とは反対側の商店街の方へと歩いてゆくらしかった。ちらりと時計を見ると、十一時。どうしてこんな時刻にふらついているんだろう、と、好奇心がもたげた。
 通勤時間はとうに過ぎて、お昼までには少し時間があった。駅前を歩く姿は多くない。だから、あまりテッシュの数を配れないでいた。
 それでちょうど気が抜けたころでもあったので、わたしはちょっかいを出してみたくなった。
「ねえ、このへんに学校なんてあったの?」
 わたしは、思わずそう訊いていた。
「えっ、いや」
 男の子は、立ち止まる。いくぶんか、邪魔すんなよな、うるせーな、というトーンを含んでいた。
 それから、わたしのすぐ近くを、小さな子供を載せた自転車が、ぎりぎりのところで通っていった。座席のうしろで座っている幼な子の顔と合った。変な顔つきでわたしを見ていたが、気にしなかった。
「別に詮索してるわけじゃないのよ。ただ変だな、と思って。わたしは改札口前のここらへんでビラ配りしている。毎朝たくさんの学生さんたちが駅に入ってゆく。あなたと同じくらいの、同じような制服を着た子たちが。でも、あなたは逆の方向へ歩いてゆくわ。しかも、こんな中途半端な時間に、って、ふと思っただけ」
 彼は、わたしのいった言葉を受け入れるかのように、身体をこちらに向けていた。わたしは少しだけ距離をつめた。それから、彼はいった。
「ぼくはこれからあっちにある公園に行くところです。今日は学校へは行きませんでした。いや、行ったフリをしているだけなんです。ぼくは中学生です」
 えっ、それっていわゆる不登校というやつじゃん、と心の中で思ったけれど、男の子に先を越された。
「あなたは、ティッシュ配りが上手な方だと思いました」
「はぁ」
 わたしよりもずっとずっと若い男の子に、じらりと目を見られているんだ、という気がした。思わずいてもたってもいられずに、背けてしまっていた。
「ぼくはよく、他人の心の声が聞こえてくることがあるんです。たとえば、あなたが配るテイッシュを断ったとする。それで、すれ違うときに、ああ、なんだコイツー、無視しやがって。このくそガキが! 生意気な若造が! みたいな、そういう声が」
「やだ、わたしそんなふうに思ってなんかないわよ」
「知ってますよ。だからこそ、受け取ったんです。やっぱり、言葉にしなくてもわかることって、あるんですよ。そういうのがなければ、ティッシュ受け取ってくれる率ぐんと上がると思うので」
「あは、そういうことね」
「ちなみに、つなぎでこのバイトやっているように見えましたが、違いますか?」
「よくわかったわね」
「ティッシュ配りを嫌いやながらやっているわけではない、っていうことは、すぐわかりました。もし、どうしようもなくお金に困っているなら、そういうのはティッシュの差し出しかたに現れます。表情にも出ます。まだまだ外は暑いですしね。イヤイヤやっているような、プライドが許さないような。かといって、抑制された愛想笑いができるほど、場慣れしているわけじゃない。つまり経験は少ない。ということは、これはたんなるバイトでにすぎない。見たところごく普通の人で、家出とかじゃなくて、たんなるつなぎなんだろうな、って」
「あら、お見事じゃない。感心したわ」
  わたしは、ほんとうに感心していた。なんだか、心の底を見透かされた感じ。
「あのねえ、あなたの親じゃないし、正義ぶりたくもないんだけど、それでも、やっぱり学校ってのは行った方がいいんじゃないの、と思って」
 ぎゅっと、睨み返してきた。そんなことなんか聞くんじゃねえよ、という言外に伝わるものがあった。
「わたし、これでもね、一応はれっきとした社会人なんでね」
「ぼくだって、ちゃんとした学生で、成績だって悪くはないです」
「だったら、なんでこんなところ……そんなふうに簡単に訊くのはどうかなって思うんだけどさ。あなた、中学生っていっていたわね。だから、……」
「ぼくが十五歳で、まだ中学三年生だから、学校サボるのはよくないとでも?」
「一応さ、一般的には行くもんだし……」
 なんとか気に障らないようないいかたをしたつもりだった、はずなのに。彼は、そのとき、初めてといっていいくらいに、わたしを鋭く睨みつけた。まるで、先生か、親か、大人か、というように。そんなふうなつもりは避けたはずだったのに。
 十五歳か。なんか、いろんなことが微妙な年なんだよな、と思った。結果的に腫れ物みたいに扱ったとしても、それは、やっぱり十五歳という年齢が、どうしたって腫れ物みたいな時期だからというものだ。
「一般的? じゃあ、その一般的とやらからはみ出た人は? そんな人だっているんだ。まるでよくないみたいないいかたじゃん」
 じつに十五歳らしい繊細さで、あしらってくれた。
 わたしたちの間に漂う何かを察してか、通りがかりのオバさんが、わたしの顔をじろじろと見ていった。明らかに、わたしに何かいいたそうな顔をしながら。
「ねえ、名前、教えてよ」
 わたしはふいに、尋ねた。
「真人」
「わたしは涼子」
  ここまでくると、すっかりバイトをしていることを忘れていた。というか、今日はここまででいい、という感じになっていた。
「真人くん、さっきさ、これから公園行くところっていってたよね。ちなみに、わたしもうこれでバイト終わりなの。わたしもいっしょにいってもいい?」
「あなたとですか?」
「やだ、そんな変な顔で見ないでよね。別にさ、若い男の子が好きだっていう趣味があるわけじゃないし、ここのところしばらく、誰とも口きいてなかったから。あ、わたしね、会社辞めたばっかなのよ、だから。あれ、でも何か変だわ。真人くんといると、どうしてか、つい……。たぶん、弟か何かみたいに思っているのかしら。でも、わたし、一人っ子なんだけどね。へへ」

 商店街を通らずに、わきの道を二人並んで歩いていった。やがて、人通りが少なくなった。人がいるときはよかったものの、二人きりでいると、二人の間にある距離が妙に気になった。
 肩を並べて歩く。しんみりした空気を払いのけるように、わたしは自販機の前で、コインを入れた。喉が渇いたわけではなかったけれど。
 わたしはウーロン茶を、真人はポカリスエットを手に持って歩いた。公園が見えてきて、人気のいないベンチに座った。犬を散歩している人もいなければ、暇そうにしているお年寄りの姿さえなかった。大きなベンチが三つあったが、誰もいない。目の前には小さな池があるだけだ。がらんとした空間が横たわっていた。
 いざベンチに腰掛けても、話題は見つからなかった。
「ぼく、静かで誰もいない場所が好きなんですよ。喫茶店とかに座っているとダメなんです。隣の席にカップルとか座っていると、もう耐えられないんです。聞こえてくる会話から、透けてみえてくるものがたくさんありすぎて」
 わたしもそういうタイプよ、といおうとして抑えた。ここは同感すべきじゃない、と思えたからだ。
「そうなんだ。ゲームセンターでもなく、バッティングセンターでもなく、誰もいない公園か。学校行かずにここで何しているのよ?」
「何も。ただボッーとしているだけです」
「なんか、健康的な十五歳の発言じゃないみたいね」
 そんなふうに軽くいって、また少し後悔した。とくにこういう誰もいない静かな場所にいると、少しの沈黙がやけに大きなものに思えた。
「ごめん。別に否定しているわけじゃないのよ。いいな、と思って」
 どういうわけか、真人の発する間がやけに響いてきた。引きずり込まれてゆくように思えた。真人の沈黙。底なし沼のよう。
 わたしが直人よりももっと大きいとき、高校二年のときに同じクラスの男の子と少しだけ付き合った。向こうから告白されたけれど、けっきょく、フラれたのも向こうからだった。
 わたしは二人きりになると、どうしても沈黙がちになっていたからだ。もちろん、普通に話すことはしていた。けれど、ふと、相手の発する沈黙という裂け目に、自らを入れてしまう癖があるらしかった。桂木課長も同じようなものだった。
 わたしの考えを吹き飛ばすように、真人はいった。
「学校には行きたくても行けないんです。考えれば考えるほどに。普通って何、はみ出すことがそんなにいけないのか。普通という感覚に、強烈な違和感を感じてしまう。そういう自分を発見してしまったとき。追いうちをかけるように、自分ではそれを認めたくないのだとしたら」
 どう答えていいのかわからなかった。イエスでもあり、ノーでもある。というか、真人は他と比べてそれほど変わったところがあるようには見えないし、どうしてそこまで普通にこだわるんだろう、と。
 わたしはペットボトルのウーロン茶を一口飲んだ。周囲はあまりにも静かすぎて、ごくんという音さえ聞こえてくるようだった。誰も通らなくて、目を向けるものさえない。空に飛行機が飛んでくれればいいのに、とさえ思ったくらいだ。
「涼子さんにはそういうの、わからないでしょうけど」
「わたしには、どうすることもできないかもしれないけれど、でも、話を聞いて、寄り添えることくらいはできるかもしれないわよ」
  今度は、わたしが沈黙を作り出していた。沈黙による波紋は、静まり返った池に小石を投げ込んだようだった。
「涼子さん、大人なんですね」
「一度傷ついちゃうとね、残念ながら、そうなっちゃうものなのよ、大人って。どうにもできないことがある、ってことを認めた上で、やってゆかなくちゃいけなくなるんでね」
 また、かっこつけたがるのも大人の癖だ。真人に対しても、年上というだけで、そんなふうに振舞ってしまう。課長とうまくいかなかったり、痴漢に苦しめられたのはたしかだ。そういうことを誰にもいえず、かといって背負ってゆけるほど強いわけでもない。自分をごまかしているようには思いたくはないから。
「だったら、ぼくは大人になりたくなんかない」
「それ。すごく真っ当だと思うわ」
「大人たちはみんな、どうしているんですか。ある人に伝えたいことがあるんだけど、でも、どうしてもいえないときとか」
「それって、好きな人がいるってこと? そんなふうに聞こえなくもないけど」
 真人はこくりとうなずいた。
「同じ学校の子?」
「クラスメートです」
 真人はいった。

 わたしはアパートに帰って、ぼっーとしていた。シャワーを浴びて、汗を洗い流した。冷蔵庫に入っているカルピスを飲んだ。一口飲んでもあまり味はしなかった。テレビをつけていても、響いてくるものはまるでなかった。
「明日、ぼくといっしょに電車に乗ってくれませんか? 」と、真人に訊かれてしまった。
 あんなに真顔でいった真人に向けて、電車には怖くて乗れない、などといえるわけはなかった。真人は、そういう大人も中にはいるんですね、と思ったかもしれない。
 痴漢被害に遭い、そのため男に不審感を抱いている、とはいえなかった。会社を辞めて、しばらく引きこもっていた。真人には、どうして学校行かないのか、という白い目を向けつつも、わたし自身は真昼間から布団に入ったまま、テレビドラマを追いかけるようになっていた。
 でも、ふと思う。だから、何? 恥ずかしいのか。
 どうしてわたしは、真人に自分の状況を話したくなかったんだろう。知られて困るようなことだろうか。人に知られると恥ずかしいからか。
「家を出て、改札を入り、ホームで電車を待つ。電車に乗り、三つ目の駅で降りる。そこまではいいんです。でも、そこから学校まで歩いて十分。その距離が長いんです。いろんなこと考えちゃうから。学校での嫌な思い出が頭をよぎったり、他人からの声がよみがえってくるんです。いわれたことや、場面が繰り返される。それだけで、なんだか気分が重くなるんです。いいことある。今日はいいことあるぞ、といいきかせても、けっきょくは負けてしまうんです」
 そう真人は淡々といった。
「でも、偉いよ。わたしなんか、電車乗れないもん」
 そういったときの真人の顔が妙に真剣で、印象に残っている。それはそうかもしれない。あれだけ偉そうな口をきいておいて、電車が怖くて乗れなくなっている。で、どうしてかというと、痴漢に何度か遭ったし、会社の課長ともうまくいっていないときだったということもある。
 そういう最近の事情をかいつまんで話した。すると、真人は険しい顔になった。
「ちくしょう。許せねえ。涼子さん、どうしてそのときなんかしなかったんですか? 助けてくださいというとか、やめてほしいでも、なんでもいったらよかったじゃないですか? そんな卑怯なやつは男じゃないから。くそっ。痴漢ってのは卑劣だ」
 わたしはごろんとソファに寝転がって、低い天井を見ていた。歯を磨いて、電気を消したあとでも、ずっとわたしは天井を見ていた。眠れずに、ずっとそうしていた。天井に、真人の純真な表情を見ていた。
「そんなんじゃいけないですよ、涼子さん。引きずってはダメです。明日、ぼくといっしょに電車に乗りましょう。ぼくは電車は怖くない。電車は大丈夫です。学校の門をくぐることができないですけど。でも、そこからは涼子さんの踏み入ることのできない領域です。ぼくがなんとかしないといけないのです」
「えー、真人くんと電車に乗るのか。うーむ、できるかな」
「こう考えてください。まずホームまでいく。空いている電車に乗りましょう。少しづつでいいんです。そうしたら、ぼくだって学校へいけるかもしれないし」

 寝つきが悪い夜だと、朝起きるのが辛くなりがちだ。七時五十五分の電車に乗らなくてはいけない。だから、七時前に頑張って起きた。それから支度をして、眠い目をしながらも出かけた。
 わたしは駅前で真人を待っていた。でも、彼は時間を過ぎても現れなかった。どうしたんだとつい考え込んでしまう。昨日の真人の感じからすると、約束を破るようには思えなかったからだ。真人はわたしのスマホの番号を知らない。わたしも彼のは訊かなかった。
 しばらく待っていた。必ずくると思っていたから。
 どうしたんだろう。おかしい。
 わたしはどうしても納得がいかず、待ち合わせの改札口が見える喫茶店の中に入っていた。窓際の席からは、もし真人が現れれば、すぐにもわかる。
 それでも姿を見なかった。けっきょく、その日は。
 次の日。同じ時刻より少し前にきてみた。それでも結果は同じ。真人と同じ制服を着ている学生を見つけて、学校名を教えてもらおうと思った。でも、そこまでしても、もし真人がなんらかの理由で、わたしと会いたくなかったらどうしようもない。
 もしかしたら最近の子は、あんなふうでも案外、けろっとして学生生活を送っているのかもしれないなと思った。
 わたしなんか必要とされないんだろう、と。
 けっきょくのところ、わたしはただのティッシュ配りのお姉さんにすぎないのだ。
 ふっーと、わたしは大きなため息をついた。

 次の日は季節外れの雨となった。でも、小雨だし、ひどくはならないだろうと天気予報は伝えていた。だから、気は乗らなかったけれど、ティッシュ配りのバイトを入れた。
 でも、もうこれで最後にするつもりだった。これ以上、続けてもしかたない。
 今日でバイト辞めて、それから次のを探そう、と。けっきょくあれからもう、電車は乗っていないのだけれど、いつまでもそうしているわけにはいかない。
「まずホームまでいく。空いている電車に乗りましょう。少しづつでいいんです」と、そんなふうに真人にもいわれではないか。とにかく空いた電車に乗ってみて、慣れることが大事だ。
 さっそく今日の午後にでもとりあえず、どこかに出かけてみよう。まずは第一歩だ。
 そんなことを考えながら、ティッシュを配っていると、一人の女性が声をかけてきた。
「涼子さんでいらっしゃいますでしょうか?」
 誰だろう。見知らぬ人らしかった。
「わたくし、真人の母親でございます」
 そういって思いがけないところから、真人の名が出てきて、わたしは驚いた。見れば細身のジーンズを履いて、赤いスニーカーという、ずいぶんと若い格好をしていた。きれいな女性であり、さすがは真人の母親という気がした。母親似だ。
「真人がたいへんお世話になったようで、あなたを探していたんです。駅前でテッシュを配っている方だ、ということでしたので」
「あの、真人くんは? 今は学校に行かれているところですか?」
「いえ」
 と、真人の母親は首をふった。と、思うと、うつむくように下を向いたままになった。
「どうかされたのですか?」
「これ、真人が書いたものです。遺書の一つです。あなたのことが書かれてあります」
 小さなメモ書きだった。真人がペンで書いたものらしい。

 ありがとう、涼子さん。
 あなたは学校へいけないぼくのために、電車にいっしょに乗ろうといってくれた。
 そして、ごめん。ぼくは約束を破ってしまった。
 でも、いつか前に進むことはできると思うから。必ず。

「あの子ったら、ぜんぶ一人で背負っていたんですよ。家ではけっこう平気な顔をしてましたし、そこまで深刻だとはまるで思わなかったんです。親として恥ずかしいことですけど」
「遺書って、え? あの、真人くんがまさか?」
「二日前です。真人は自宅で首をつって自殺をしました」
「そんな、嘘ですよね、それ」
 真人の母親はまた下を向き、うなだれた。
「学校でのイジメがエスカレートしていたようなんです。ちょうど夏休み明けの、九月半ばです。てっきり、クラスは問題ないと思っていたいましたもので。でも、突然、学校から電話がかかってきて、あなたの息子さんは学校にきてないといわれました。もうビックリです。あの子は、あなたに何かいっていませんでしたか?」
「わたしはそれほど真人くんを知っていたわけではありません。でも、一度、公園にいって、話をしました。そのとき、クラスに好きな子がいて、みたいなことをいっていたと思います。イジメのことはいってなかったようですが」
「ここに、あの子がつけていた日記があります。あなたのことも少し書いてあるし、自殺の理由も記されています」
「真人が通う中学は、男子校です。クラスには一人も女子はいません。男ばかりです」
「えっ、あ、あの真人くんは男子校だったんですか」
「はい、そうです。男子校でした」
 わたしたちはそれほど長く話をしたわけではなかった。いくつかのことを聞かれたが、わたしは答えようがなかった。何も知らなかったから。
 真人の母親は、彼がつけていた日記を貸してくれた。あなたに読んでもらえるといいかな、と思いまして、と控えめな声でいった。
「自殺する前の日、あなたと真人は約束したそうですね。いっしょに電車を乗るんだ、と。イジメのおかげで学校へいけなくなったからと、あの子といっしょに電車に乗って学校へいこうとしてくれたんですね。ほんとうにありがとうございます」
 いや、事実は異なる。電車に乗れないわたしのために、真人の方が、わたしを説得してくれた。簡単に置かれた個人的な事情を母親に話した。それで真人が、わたしに大いなる同情心を示してくれたことも。
 別れ際、真人の母親は深く礼をして、いつまでも顔を上げようとはしなかった。

 わたしはアパートに戻り、真人が書いた日記に読み耽った。大学ノートにびっしりと、端正な字で綴っていた。

 だいたいの経緯はわかった。真人の気持ちも。
 夏休み期間中に起こったことだった。それまでずっと仲よく友達として普通に付き合っていたK。クラスメートだ。中学になってから親しくなった仲だったらしい。ゲームして、音楽について話したり、いっしょに勉強するという、ごく普通の友達付き合いをしていた。
 それが急変したのが夏休み。真人はこれまでに抱えていた想いを、それとなくほのめかしてKに伝えたという。そして、真人が同性愛者ではないかという噂を、Kが周囲に漏らしてしまった。真人は、カミングアウトしているわけでもなく、自分の性については意識的ではなかった。そういう傾向があるんじゃないかと疑っていた程度だったらしい。
 日記にはKのことがよく出てくるが、肝心なところについては、まったく書かれていない。しかし、八月になると、真人はKへの想いを、あからさまに綴っている。とても気になってしかたない。いつもKのことを考えてしまう、というように。

 やがて夏休みをはさんで学校が始まった。最初のころはそうではなかったらしいが、急激に、数名による陰湿なイジメが開始されたらしい。ホモ、死ねよ、という直接的な言葉から、靴の中に画鋲が入っていたり、生卵をぶつけられたこともあると書いている。そこで短くだけど、わたしのことが書いてあった。駅前でもらったお姉さんからのティッシュを使って、拭きとった、と。感じのいい人だから、またもらいにいこう、とまで書いてあった。

 ……人と違うことって、そんなに悪いことなの? 

 その夜、わたしは真人のことを考えて、思いっきり泣いてしまった。

 ※※※

 あれから、一ヶ月が過ぎた。まだ暑い日は続いている。残暑というより、真夏日のような暑さの日が。たった一ヶ月が過ぎただけなのに、いろんなことが変わっていた。わたしは小さな会社の事務の仕事を始めていた。給料は安いけれど、それなりにきちんとしている会社だった。採用されたのが信じられなかった。
 また規則正しい生活に戻ることができた。小さな会社だったので、その分居心地はよかった、といってもいい。上司や同僚とも上手くいっていた。男性社員はみないい人ばかりだった。
 その中に、二つ上の気になる先輩がいた。かっこよくなどないけれど、どこか包み込んでくれるような優しさがある男性だった。いろいろと仕事のことを教えてもらったり、気軽に相談にものってくれた。塩崎さんだ。

 以前の自分が、まるで別人のように思えた。電車に乗るのが怖くなっていたのが、信じられないくらいだ。もう怖くはなかった。どういうわけか、痴漢にはもう遭うことはなくなっていた。もしかしたら、わたしという人間はあれから少しだけ変わったのかも、と思えなくもない。いや、それは大げさだとしても、ちょっとは図太くなったような気がしないでもない。
 いまは、いい歯車が回っていっているような気がしている。どうせなら、このままでいきたいところだ。以前は逆で、どうやっても抜け出せない穴にずっと落ち込んでいたような気がした。それとも、たんに、自然と季節が変わったためなのだろうか。

 もう電車を怖いなどといっていられなかった。なんでかというと、会社の塩崎さんに会うのが楽しい毎日だし、電車に乗らなくては会えないのだから。

 

電車に乗れない

執筆の狙い

作者 5150
5.102.2.242

ごくオーソドックスな短編であり、創作上の難しいことは何もありません。ただ気軽に読んでもらえればと思います。今回は、「共感」がキーワードになります。

コメント

貔貅がくる
n219100087087.nct9.ne.jp

この話、【ほとんど直しなく再掲】だよね??

まったくおんなじ話、ここのサイトで前に見てて、コメント書いてる。

それが5150の原稿だったのか、別HNの原稿だったのかは定かじゃないけど、
とにかく、これは「前にもここで見ている」。





さーっと眺めたけど、不自然すぎる安直とってつけ話。
それを『いい話 調に持ってこう、持ってこう…』って作者の「算段」まみれで、
どんどんひどくなっく一方で、何もかんも台無し。

薄っぺらすぎて、さっぱり共感できない。


のっけから、あんまりうだうだしく冗長すぎる。
うざいヒロインが「あんまりペラい人」すぎて、まったく好きになれなかった。

うじゃうじゃ余計なことに行数使ってる状態で、
「鉤括弧内台詞」がことごとくみな、作者ご都合・不自然極まりない説明台詞・説明台詞・説明台詞、、、

キャラクターの口から溢れでた生の台詞:「生きている言葉」がナッシング。


「現状書いてあること」は、いまの3分の1以下にばっさり刈り込んで読みやすくして、
代わりに【説得力ある描写】(読者の印象に残るシーン)を入れないことには、、、
小説にならない。



ヒロインもおかしいし、少年の奇異行動もおかしいし、少年母親は完全にトンチキすぎる。


少年の自殺と、その原因を、死後たった2日目で、
この安直ヒロインに到達し、直に説明台詞満載で伝える・・なんて母親、絶対にアリエナイ! ことを、
作者はまず「気づかないといけない」。

徹頭徹尾、そうした「小説的感覚のおそろしい鈍麻ぶり」しかない状態。



同じ題材、同じキャラクター、同じ進行で同じオチに持ってくにしても、
最低限【説明台詞を完全撤廃して、地の文と生きた会話文で進行させる】ようにしないと、、、

小説にならない。





これを「5150の小説」として、私がこれ以降記憶するかというと、
『しない、できない』ように思う。

5150とゆー書き手の「傾向、カラー、文章の質」がまったく見えてこない原稿なので。

貔貅がくる
n219100087087.nct9.ne.jp

「わたし」1人称記載なんだけど、
終始わたし、わたし、わたし・・とあんまり「わたし」連呼すぎるから、
ヒロインは、
『やたらめったら自意識過剰で、ささいなことを大げさに捉えて悲劇のヒロインみたくなってる、勘違い女』に見えちゃうから、、、

作者の筆のせいで、ヒロインが不憫だ。。


「新卒でパワハラに遭い、そこへ痴漢に遭って、会社もやめちゃって、電車にも乗れなくなってる」ヒロインの心情を、
読者が『ああ、分かるー』と理解・共感・斟酌できるような書き方は、
いくらも出来る訳なんだけど、


それは【この書き方じゃダメ】なんだよ。


とりあえず、
山田詠美とか小池真理子とか井上荒野の「短編」を読んでいれば、
こんな「説明台詞、説明台詞、説明台詞ばっかしで進行する、カスカスな文章」にはならない筈。

短編の名手な女性作家のを「読んでない人が、適当に書いてる」と、とにかくこうなる。

貔貅がくる
n219100087087.nct9.ne.jp

あ、レスはいらないですー。


もらっても見ない可能性の方が高いし、


5150も「書きたくない」だろうし。



その手間の分、他の人に感想書いてあげて。

5150
5.102.2.242

あら、貔貅さん、いらっしゃい!

感想第一号者!
5150の感想はこれで三度目!
今回は狙っていた奇襲作戦、大成功ってか。

>この話、【ほとんど直しなく再掲】だよね?
まったくおんなじ話、ここのサイトで前に見てて、コメント書いてる。
それが5150の原稿だったのか、別HNの原稿だったのかは定かじゃないけど、とにかく、これは「前にもここで見ている」。

この手の、安直で、誰でも考えられるストーリーは、いろんな方が書いているような気がします。百人くらいはいるのでは。ですが、再掲ではありません。

>さーっと眺めたけど、不自然すぎる安直とってつけ話。
それを『いい話 調に持ってこう、持ってこう…』って作者の「算段」まみれで、どんどんひどくなっく一方で、何もかんも台無し。
薄っぺらすぎて、さっぱり共感できない。

というか、貔貅さんが何かに共感していること自体が、あまり想像できないのですけど……。

>「現状書いてあること」は、いまの3分の1以下にばっさり刈り込んで読みやすくして、
代わりに【説得力ある描写】(読者の印象に残るシーン)を入れないことには、、、
小説にならない。

貔貅さんは、感想欄で、公募作に忙しいといつも書いているわりに、自分で寡作だ、小説は苦手だの書いてますけど、そもそも御作は、十日間くらいしかかけて書いてないし、プロットもしょせんその程度のしろものでしかありません。

ちなみに貔貅さんは、いま鍛錬場に上げてるの、あれどれくらいで書き上げたんですか。半年ですか、一年ですか。寡作って、自分で書いているんで……。それとも二週間ですか。

>少年の自殺と、その原因を、死後たった2日目で、
この安直ヒロインに到達し、直に説明台詞満載で伝える・・なんて母親、絶対にアリエナイ! ことを、
作者はまず「気づかないといけない」。
徹頭徹尾、そうした「小説的感覚のおそろしい鈍麻ぶり」しかない状態。
同じ題材、同じキャラクター、同じ進行で同じオチに持ってくにしても、
最低限【説明台詞を完全撤廃して、地の文と生きた会話文で進行させる】ようにしないと、、、

小説にならない。


っていうか、そういうのを狙ったのじゃ、まったくないもので。


>これを「5150の小説」として、私がこれ以降記憶するかというと、
『しない、できない』ように思う。
5150とゆー書き手の「傾向、カラー、文章の質」がまったく見えてこない原稿なので。

あら、貔貅さん、まさか御作を公募の応募作と間違えたりしてないですよね。そんなわけないじゃないですか。二週間ごとに出す作品で、あくまで鍛錬用なんで。何にも考えてなくて、意図は、筆力という筋肉保持のためのものです。

手は抜いてはないですけど、あくまで軽い読み物程度として書きました。

一つ目は読んだけど、他は感想は書きません。

5150が貔貅さんと違う点は、貔貅さんは自己プライドの高さと過去のやられっぷりが邪魔して、自分宛の感想を見ないふりをしている。5150は、酷評はよく読みます。でもいくら酷評されたって、いくらでもまた書くことができる点です。貔貅さんと違って、要点だけとって、どうでもいいところはころりと忘れちゃうので。

ちなみに、5150の作品は、誰でも書けるし、色がないし、なんの特色もないということは、嫌味として書いているのでしょう。でも、無味無臭で、ミネラルウォーターなのも、悪くはないと思いますけど。評価はされないでしょうけどね。何度か嫌味たっぷりと同じことを書かれていますが、こちらはまったく気にしていませんので。お好きなように。

貔貅さんは、個々の作品の感想というよりか、自分の理想形に短編をすべて当てはめて、照合している傾向が強いし、あくまで、そのご自慢の言語IQとやらの判別方式によって照合されているだけで、作品に対しての純粋なる感想とは思ってないですから。でも、御作について、合っているポイントは、ちゃんと合っているところもあるので。

はっきり書きますが、そんな特殊な方よりも、もっと普通の知性と感性を持った普通の人たちの、感想を参考にしてゆきますので。同じ酷評であったとしても。作品も同様で、普通の人が書いた作品を、5150は断然好みます。というか、貔貅さんの自慢すべき言語IQによって、貔貅さんが小説を書けない人だとわかりましたから。そんな脳なんて邪魔なんですよ、そういうIQとかなんとかいうのは。で、書けない人からの感想なのでつまらないです。ただ、毒が強いだけです。

ちなみに貔貅さんの作品から受ける印象は、きわめて毒性が強く、悪臭漂うものなんですよ、5150にとっては。そんなふうに覚えていると思います。

5150
5.102.2.242

作品にある、無自覚の毒は有害でしかない。入れるなら、ちゃんと狙わなきゃ、優雅に。

5150
5.102.2.242

↑ 慌てて書いちゃったので、数カ所また間違っちゃってる 御作→拙作でーす。

飼い猫ちゃりりん
106171086227.wi-fi.kddi.com

5150様
「もうビックリです」にもうビックリです。って冗談ですが、飼い猫なら母のその語り口はにゃいですね。

5150
5.102.2.242

飼い猫ちゃりりん様

若い母親っぽくていいかな、と思ったんですが。違和感ありますかね。

もんじゃ
KD111239165057.au-net.ne.jp

 5150さま

 まずはワンブロックのみ拝読しました。

 で、不快にさせてしまったら大変申し訳ないのだけれど……、

 だから言葉を選びつつ慎重に記すのだけれど、

・5150さんが書く作品の最大の欠点は文章だと個人的にはかねがね感じていて……

・ところが今回の文章、ずいぶんといい(←えらそにすみません)気がして……

・コピペして読んでいる文章の、読点をもんじゃの読みやすい位置に打ち直し(というかたいていの場合削除して←削除だけで済んじゃうのでありまして←つまり意味的な配置が間違っているわけではないということでありますが)、いくつかの(ほんの少しだけの)助詞を差し替え、いくつかの(やはりほんのちょびっとだけの)文節をトルツメし、つまりすっかり自分好み(主観的にだったり、客観的につまりそちらはルールに則ったかたち)にカスタマイズしながら今読ませていただいてるんですよ……勝手に失礼なことしてすみません……ほんとにすみません……、

・でもそしたら!

・まあ、なんてことでありましょう! 内容に入れる入れる、中身のよさが入ってくる入ってくる……

・そっか、やっぱり5150さんの作品の欠点(と、この読み手が主観的に感じる点)は実にほんのわずかな文章的な粗だったんだなってわかりました……、

・と同時に、他のかたの作品についてもいえるのだろうけれど、もんじゃは文章過敏症的なものを患っているがゆえに、わずかな(と、もんじゃには思えないところの)ノイズも気になっちゃって、内容にとっぷり浸かることができず、ゆえに作品の中身を実際以上に割り引いて読み流してしまいがちなんじゃないかと気がつきました。値札のついてる作品たちにはノイズを感じないのに習作とカテゴライズされるところの作品たちにはたいていノイズを感じてしまい、そのために読めなくなったり、読むことが苦痛になったりするのであります……。で、ノイズをものともせず完読し、傑作であります、とか(おそらくは内容面についてなのでありましょうが)コメントできちゃう読み手をすごいなと感じたり、どこかで傷ついたり(言葉に対する寛容さが、言葉に対してよく言えば繊細な、わるく言うなら狭量に過ぎるのかもしれないこの読み手を悲しくさせたり)しているのでありました……。ですが、ここは鍛練場でありますれば、そのような過敏に過ぎます、かもしれない触覚で探り当てたでこぼこを、感情をのせてしまったりしないように気を付けさえすれば、主観的におよび客観的に指摘することすなわち相互の筆力向上に資するのではないか、とも感じておりまして、過敏症を役立てたく考えてたりするのでありました。値札のついてる作品たちのレベルにテキストの質が向上することは、ここでの活動の目的に照らして相互にとって有益であろうかと思われますため……。美文麗文であることは必ずしも要ではないように思うのですが、書店に並びうる文章を紡ぐことは、プロフェッショナルな書き手になるためには必須な、いわば前提条件なのではないかと思うのであります。

・かくなる上はこの作品、文章もずいぶんとこの読み手好みに仕上がってるみたいだし、仕上がってないとこはこっそりこちらで読む際にカスタマイズしちゃったりもしながら、ってここんとこ、すみません、すみません! ……で、内容をじっくりしっかり味わいながら読んでみよう、時間を掛けて咀嚼してみよう、だなんて思ってて……、

・みたいなことが5150さんを不快にさせないとよいのだけれど……、

・作風はこれまでもずっと好みでしたからね……、

・なので許してくださいね、

・時間を掛けて読んでみます。以上です。

 因みにですね、こちらで変換させていただいてるって言ってもたいした変換じゃないんですよ、きっとそう思われますよ、全然変わってないじゃんか、って。その程度の置き換えなんです。やっぱり過敏症なのかもしれませんね、すみません。

 試しに、参考になるかもしれないし、なんだよもんじゃめ改悪じゃないかよ、って思われるかもしれないし、でしたらそのようにご指摘いただけたらこちらも勉強になるんで、……もんじゃカスタムをワンブロック分以下に晒してみますね、……怒らないでくださいね、ほとんど変わってませんからね、でもこれだけで過敏症の目には大変読みやすくなるのでありました、ほんと枝葉を刈り込んだり繋げたりしてるだけで、原文の筋や輝きはまんまそのままです。

 どうか怒られませんように……。

(以下©5150さん)

 スマホのアラームをスヌーズ機能にして寝た。それでも朝起きられない。二度寝してからわたしは十一時に起きる。世間では午前中のひと仕事をそろそろ終えるころだ。どうしてこんなふうになってしまったのだろう。
 お昼近くの時刻だった。健康を何気なくアピールするバナナを素通りし、わたしはオレオの箱を手にする。袋からを取り出し、もぐもぐと頬ばりながらバイト求人誌を広げた。
 不動産会社に退職届を提出してからもう十日。自堕落な生活を続けていいわけがない。ワンルームの家賃の支払いが月末にある。それまでの生活費も必要だ。なんとかしなくちゃ。
 なのに……、残暑が厳しいのをいい訳に、涼しい部屋に閉じこもり、続き物のテレビドラマばかりを観ている。そうでなければマンガを読んでいる。外へはほとんど出ない。来る日も来る日も同じようなことをしている。
 ついこの間まで会社勤めをしていた。つまらない仕事を押しつけられていた。課長からは頭ごなしに怒られることが多々あった。でもこのご時世にせっかく就職できたのだから、そう思うと仕事をこなすしかない。
 桂木課長はメガネをかけていて、一見すると穏やかそうだ。でも怒るときは湯沸かし器みたいになる。急沸騰する。ひゅー。そばにいると沸騰の予兆がわかる。
 課長の一挙一動を、敏感に嗅ぎとるようになっていた。怒られる前から気配を察知した。そして課長の感情をまるで自分のそれであるかのように受け入れてしまう……。他者の、わたしにはどうすることもできない感情なのに。

 こんな感じです。変えたとこわからないくらいですか?
 これで、でも百パーセント好みなんです。引っ掛りゼロです。これならいくらでもつるつる読めます。

 失礼なことした、ってほど直してないでしょう? 鍛練場だからおおめに見てくださいね。ひとさまのテキストを改変するだなんてサイテーの行為だってわかってます。5150さんとの間には真摯に築いてきた信頼関係があるってわかってるつもりなんで、なので思いきってこんなふうにしてみました。

 つづきます。

もんじゃ
KD111239165057.au-net.ne.jp

 つづきました。

 因みに内容ですけど、冒頭の入り、よいなあと感じました。ウックツから入ってるわけですね、この感じ、焦燥だとか自己嫌悪だとか逡巡だとか、よくわかります。共感できます。ワンブロックを読んだ時点で一人称のわたしに入ることができました。
 欲をいうならこのワンブロック目で、もう一ラインか二ライン、目で見えるものの描写が加わるとより臨場感が出てよいかと感じました、これは主観的な感想でありますが。内面の描写が素晴らしくよく書けてると感じましたため、客観描写もいくらか付け足して内向しすぎない程度にバランス……、どうかな、しちゃわないほうが作家の個性が活きるかもしれないし、わたしという主人公のらしさが表れるのかもしれない……、バランスしちゃったら普通に堕しちゃうのかも……、なのでこれは好みの問題なんですが、この読み手のバランス的には客観による主観の匂わせみたいなのが、あと一、ニラインだけあってもよかったかな、と。ゲームやマンガに埃がたかってて、そこに白けた日差しが差し込んじゃってるみたいな、内面を表す外界の描写が。
 でも、なんにせよ出だしよかったです。そう感じています。

 ともあれ、時間を掛けてじっくり味わいながら続きを読ませていただきます。

 読ませてくださりありがとうございます。

もんじゃ
KD111239165057.au-net.ne.jp

 すみません、カスタマイズさせていただいた文章内で誤植がありました……

 袋からを取り出し→袋から取り出し

 です。失礼いたしました!

5150
5.102.2.242

もんじゃさま

感想をざっとだけ読みました。で、一言だけ言いたくて書いてます。

拙作は、軽く書いてますが、これまでのサイト上での「もんじゃ文章読本」を研究した上での、試し書きみたいなのが、裏の狙いの一つになってます(笑)。ホントです。

今、時間がないので、また後で。

飼い猫ちゃりりん
KD106128058244.au-net.ne.jp

5150様
時間がなくてすみません。
自殺だから……と思ったのですが、この辺は感覚的なことだから。作品の中のキャラがそう語ったのならそれで良いと思います

アリアドネの糸
dhcp.nipne.ro

5150様

感想ではいつも具体性のないことばかり書いているのですけど、実は最近そればっかりも飽きてきたし、実はパターン化してきちゃっているところもあって、なのでちょっと違った方向性を模索している今日この頃です。ですので、すみません、内容にあまり踏み込まないかもしれませんが。

 話題になっている読点。実はアリアドネも少し気になりました。アリアドネが思うに、5150様は英語でいうスラッシュリーディングみたく意味ブロックの切れ目で読点を律儀に打つ癖があるように思います。その方針は、原理原則としては正しいことのように思います。ただ小説の場合は、意味の理解よりも心理的に流れることの方が重要な場合がままあって、例えば、「朝食を食べた」だとか「顔を洗った」だとかそういう当たり前かつ想像するまでもなく想像できてしまうような描写は、読み手は読みながら意味を吟味してなくて半ば自動的に流れていくもののように思います。そういうタイミングに打たれた読点は、逆に流れを止めてしまうところがあります。これがいいか悪いかは考え方次第ですので、はっきりしたことはいえないのですが、ためしに、意味の切れ目でひとしきり読点を置いた後、読点のところを、タンッ!ていう音を入れながら読んでみると、いろいろわかりますよ。読点が流れを殺しているところ、読点が次の流れを作りだすジャンプ台になっているところ、読点がストッパーになることとで効果的に心理的より戻りを作る例、などなど。以上のことは、実はつい先ほど気づいたことで、これを自作で実際にやってみたのですけど、いらない読点が結構あるなと実感しました。リズム的に、要、不要、ありよりのあり、ありよりのなしみたいな感じで見えてきて、ありよりの○○については好みの問題かもしれないですが、ともあれ、やってみると結構面白いです。
 ただ、読点の打ち方ってのは個性が出るところでもあるので、杓子定規に考えてもいけないのかもしれないとも思います。ですが、読点がどういう機能をもっているかを考えておくのは悪いことじゃないよねと思います。実際に、御作を契機に自分の小説を見返してみて思ったことでした。

 最後に折角なので、具体的な例を挙げます。ここで挙げた例は、読点の打ち方として良い・悪いという意味での例ではなく、読点の効果がはっきり見える例です。

(1)読点が流れを殺している例。
>袋からクッキーを取り出して、もぐもぐと頬ばりながら、バイト求人誌を広げた。

(2)読点が次の流れを作りだすジャンプ台になっている例。
>周囲はあまりにも静かすぎて、ごくんという音さえ聞こえてくるようだった。

(3)読点がストッパーになることとで効果的に心理的な寄り戻しを作る例。。
> そんなふうに軽くいって、また少し後悔した。

ちょっと変則的な置き方だけど、(2)になっている例。
>わたしでない他人の、どうにもならない感情なのに。
この読点の置き方はふつうの文章作法の意味では違和感ありのものだと思うのですけど、小説的な意味ではたいへん適切のように思います。個人的には。

みたいな感じでした。

茅場義彦
M106072175192.v4.enabler.ne.jp

拝読しました。。。

難しいテーマっすね。。

テンポ悪いなあ。。

新海アニメ 言の葉の庭に 構造はちょっとだけ似てた

大成功とはぃえないかも


なんか拍子抜けする何の救いもないとこは リアルではあるが

読んで楽しいかって いうと そーでもない

もんじゃ
KD111239165057.au-net.ne.jp

 5150さま

 拝読しました。

 控え目にいってとても面白かったです。好きな作品でありました。

 なんでかな、綿矢りさの『インストール』を思い出しました。原作も読んだけど、瀬谷区のマークスプリングスが舞台になってるあの映画のほうも観ていて、で、御作の対話を上戸彩と神木隆之介くんのビジュアルあてはめて読んだりしちゃいました。
 むろん綿矢りさのパクリじゃないのは読んでわかります。彼女と彼の角度が綿矢作品のあれを思わせたってことであります。
 それにしても、わたしも少年の彼も実にうまく造形されてたかと。「あなたとですか?」とか彼、すごくいいそうですよね。キャラ設定がとてもよかったです。

>引きずり込まれてゆくように思えた。真人の沈黙。底なし沼のよう。

 の、あたりまですごくよかったかと。
 で、
 説明的、みたいな指摘
が、詳しく読んでないけど他の人よりあったみたいなんだけど、ぜんぜん説明的じゃないじゃん、キャラ立ちしたリアルな対話で展開してるじゃん、って解せなかったんだけど、なるほど、

>引きずり込まれてゆくように思えた。真人の沈黙。底なし沼のよう。

 の、あたり以降いくらか説明的かもしれませんね、いえ、対話がメインで紡がれてるのは変わらずなんだけど、だから説明調ってわけじゃないんだけど、展開を急ぎすぎたのかな、書き手がくたびれちゃったのかな、あるいは二週間後には仕上げたいって締切意識に締め付けられたのか、筋を作ってゆきたい書き手の意図がキャラを従わせちゃってる感じ……、これをして説明的な台詞でまわしてるって評する人があらわれちゃったんじゃないかと感じました。前半がすごくよかっただけに後半が惜しいかと。

 で、

>「これ、真人が書いたものです。遺書の一つです。あなたのことが書かれてあります」

 これはよくなかったかな、と個人的には感じました。これ以降もあまりよくなかったかも。
 安易に死なせた、みたいに感じられなくもなかった。
 人が死ぬ、みたいなこと、しかも主たる登場人物が死ぬだなんてことは大事件で、それだけにドラマチックな展開が可能になるのだけれど、安直なイメージを与えちゃうと陳腐で、安っぽい、ご都合主義な印象になっちゃうかな……って、この書き手でもあるところの読み手には感じられます。
 死なないでほしかったなあ。
 小説はドラマチックであらねばならないものではないし、綿矢りさのあれだって、映画は少しだけドラマを付け足して、むしろ原作を損ねちゃってたけど、原作にはドラマもなければオチもなかったように記憶しています。主張もなければ気付きすらあまりなかったかもしれない。ただ、キャラと空気感だけが漂ってたみたいな。そこに奥行きが感じられてよかったんじゃないかと。
 御作も半分、どころか三分の二くらいまではそんな感じだった。なのに終盤駆け足になったことでいくらかキャラが蔑ろになり、それが説明的に思われなくもなくて、少年の自殺で決定的にハリボテ化しちゃったような残念な気がいたしました。

 彼の日記もわたしがかいつまんで要約するんじゃなくて、わざわざ彼を死なせちゃったならそれにみあうように日記の原文を彼の言葉で……、いえそれもありがちでむしろ興醒めってなことになっちゃうのかもしれないけれど要約よりは説明ちっくにならないような……。

 電車に乗れない理由も何度も痴漢に遭ったから云々と繰り返さなくていいし、少年が学校に行ってない理由も具体的ないじめと特定しないで匂わせるだけでもよい、かもしれない。そういう説明というか、構図の提示よりも何よりも、最後まで彼女と彼の、らしさを維持して、空気を損なわず、丁寧に、丁寧に、ミルフィーユの層の一層ごとを描き重ねていったら非常にレベルの高い習作になったのではないか、だなんて主観的には確信するものであります。やはり惜しいかなと。

 ってかこれ後半だけ書き直しませんか? ついでに文章もさらなる完璧バージョンに磨きあげながら。この作品をフィールドにしていろいろ試してみるのもいいんじゃないかと。かなりよい土壌だから捨ててしまうのはもったいないかも?

 5150さんは、もしかしたらこれを文章の練習のつもりで書かれたのかもしれない。だとしたら、ってんでえらそに評価しちゃうと、ほんとうにすごくよくなっている、失礼承知で言い切っちゃうけど見違えちゃいました。もう文章の拙さがアキレス腱であった時代(って失礼なレッテル貼っちゃってますかね?)は過去のものであります。まだいくらかの瑕疵はある。でもわずかなものです。むしろ文章が上手いさんチームの人ですよね、今回のやつなんかは。なので文章訓練を目指したものならその成果いかんなく発揮されてると思う。まじ期待軽く超えられちゃった感パないです(って誰かの真似、だけど真似られてなーい)。

 なのだけど……、文章訓練のためにかるーく二週間の時間内でさらっとありがちなもの書いてみました的にご本人は思われてるのかもしれないけど、キャラと空気、こちらのレベルもずいぶん高い作品であるとお見受けしましたよ。見るべきものは文章だけじゃないってことでありま温泉(ってこれも誰かの語尾をぱくってみたー、だめだ、へんだー、らしくないー、とりこめてないー、こなせていないー)。

 少年漫画も、少女漫画もそうなんだろうけど、キャラですよね、一にキャラクター、二にキャクター、三にも四にも物語を牽引してゆくのはプロットではなくキャラクターでなきゃいけない。漫画の世界なんかではそんなふうに言われてるんですね。特に連載ものなんかはキャラが立ってないと息が続かない。世界観とかなら最悪途中から変えちゃったっていい、でもキャラだけは最初に作り込んでおかないと、命を与えておかないと、動いてくれない、動いてくれないと物語も動かない、読みきりなら誤魔化せても連載は無理。小説もね、ジャンルにもよるんだろけど、長いのはキャラに動いてもらえないとたぶんつらい。読む側もつらい。テレビドラマのワンクールくらいならシリーズ構成しっかりやって、でもって筋優先でキャラを動かすこともできるのかもだけど、ああいうシナリオ重視で、設定を斬新に、キャラクター性はタレント性に任せりゃ視聴率とれまっせ的な作りで長編小説をものにするのは難しいんじゃないかなあ、とか思ったりも。テキスト表現って空気感大事だし、空気作れる最たる要素はなんといってもキャラのキャラとなりでしょうからね。文体を生むのもまたキャラ(主人公ないしは視点人物)なのかもしれない、一人称小説であるならとりわけ。
 その点で御作は途中まで図式的でなくキャラ優先だったぶん読みやすかったし、面白かったし、入れたんじゃないかと……。ってしつこくすみません。

 つづきます。

もんじゃ
KD111239165057.au-net.ne.jp

 つづきました。

 あちこちにいい意味でよそからパクったふうの表現もちらほらしてたかもだけど、これはアリですよね、パクられた側も嬉しかろう、ちゃんとほぼ首尾よくおさまってるから。表現はみんなのものだから、誰かのよさげな表現はどんどん吸収して自分のものにしていったらいいかと。作品パクったり……、センテンスだってまるごとコピペしたら盗作だけど、表現、これはみんなの原資でありますからね、自律して跳ね回る言葉たちに手綱をつけたりだなんて王さまにだってできっこないのさ。って、この王さまにだってできない、も、どっかで拾った表現だったりします。オール・ザ・キングス・ホーセズ(All the King's Horses)……ってやつだったかな、の改。
 ともあれ、気持ちよく読めたなあ。読点だの助詞だの語句のだぶりだの、わずかな箇所をカスタマイズはしたんだけど、そしたらもうほんと読みやすかったし、気がきいてるし、リズムもいいし……。もともと内面語るのが得意そうな筆だし、こうなってくると化けまくってきちゃうんだろうなあとか……、だから次回作が楽しみであります。いえ今作も十分に面白かったけれど。ってか今作の後半をリメイクしていただきたい気持ちが強いけど。

 読ませてくださりありがとうございました。

 って締めてアップしようとしたらアリアドネの糸さんのコメントが目について読んじゃったんでちょこっと付け足し。

 読点。

 最近お見かけしなくなった口がわるめのあのお方ったら、読点のないセンテンスを、やたらとだだだと繰り出されていた記憶があるのだけれど、あんなふうに読点のないリズミカルな文章を紡いでなおかつ意味を維持し続けるのって実はたいそう難しくて、あれって意味的な読点を的確な位置に配置する技量があって初めて為せる技なんだろな、って感じるのであります。

 まずは意味的な配置、これが重要かと。意味的に正しい位置に読点を打つ。これがファースト。

 しかるがのちに、リズム的に気持ちよくなるように読点を削る。これがセカンド。そこまでやって読みやすくてまともな日本語が完成するわけです。

 で、さらに個性を出したきゃ読点を省きまくるなり、連打しまくるなり、これは自由に遊んだらよいのではないかって。

 意味的に間違った位置に、リズムをいきなり優先して読点打っちゃったりしてると読む人に躓かれちゃう。だからまずはリズムを損ねようが、幼く思われようが、意味の区切りを意識して読点を打つ練習を、ベテランではない誰もがすべきではないかと愚考するのでありました。それさえできたら、気持ちよくは読んでもらえないかもだけど、ダメだしされたりしない程度の日本語にはできる、つまり役所の広報文程度の日本語にはできるかと。

 で、それができて次にリズムを整えるべく読点をたぶん主として間引いてゆくことになるんじゃないかと思う、音読とかしながら。で、リズム的に間引きたいけど間引けない、ってなったら語句のほうを同じ意味を持つ別の語句に差し替える。そんなふうなことができたら新聞記事や雑誌記事程度の日本語にはなる(記事には字切り――行替えのタイミングができるだけ文字の途中にならないようにする――って制約があるから、こっちへの対策においても豊富な置き換え用の語彙が必要になる。かつ短文で書かないとね)。

 しかるがのちに自分らしき文体に合わせて文章をアレンジしてゆけば(読点を淘汰したり、倒置しがたいとこひっくりかえしたり、重ねがたいとこ重ねたり――これをしてなおかつ意味を損ねないためには少なくはない語句の差し替えが必要になってくるので膨大な語彙を内に蓄えてないといけないわけですが、それが咄嗟に、ほとんど本能的みたいに出来るようになると語感の優れた人になれ、執筆スピードが飛躍的に高まり、だだだだだっていう機関銃タイピングが可能になり、さすればいきおい多作の人となり、文章にも鮮度が、つまりぴちぴちもんどりうつような勢いが生まれてくるんじゃないかと思う――してゆけば)、そしたらそれすなわちついにやっとこ作家の扱う日本語になる、ってな顛末なんじゃないかと思うのであります。

 だもんだから、まずは読点大事。読点マイスター(アリアドネの糸さんなんてのはまさにその称号持ちかとお見受けしているのですが……)が紡ぐ文章にはリズムがある、さらには長めの文になるとメロディも生じてたりする。ヘッセ発高橋健二経由の文章なんてもっのすごーくメロディカルですよー。

 で、読点マイスターになるためには、意味とリズムの読点配置のみ極めりゃいいのかっていうとそうなんだけど、でも極めるためにはどうしても先に書いたような語句の置き換えが必要になってくる。だって意味とリズムがいつもなかよしだなんてことはないんだから。

 なので、次にすべきはあれですよ、正しい語句を使う訓練かもしれんのでありまおんせん。
 意味的に正しく、響き的に美しい語句を正しい位置に配置する、場合によっては差し替えまくる訓練。幸い辞書にたよらんでもさっとぐぐればすぐにわかる時代です。曖昧な語句は都度ぐぐりましょうぞ。同音やら同義やらな語句たちもコレクションしまくりましょうぞ。

 それをやってると自然に言葉遊びが生じる。韻を踏んでみたり、掛け詞でふざけてみたり、言葉を踊らせたり、騒がせたり、そんなレトリックが自然発生してくる。そんなあなたはもはやレトリックスターであります、レッツダンス! ……アリアドネの糸さんなんかはレトリックスターでもあらせられますなたぶんにたぶん。

 でもってですよ、レトリックスターは実は比喩作りの達人に成長してゆくわけですありますよ。あれをこれに、これをそれに、って的確な角度で置き換えてゆくとこれすなわち比喩になる。語りがたきものを豊富な語彙を用いて置換する(痴漢じゃないですよ、電車で悪さしないでください)ことによってよりらしくまんまにあらわす技が比喩でありましょう。象徴ですぞ、メタですぞ、万華鏡による模様作りでありますぞ。比喩使いの称号が得られたらもうあとは箒にまたがって飛ぶだけです、行くぞ、ハーマイオニー!

 みたいな感じでまた長々と語ってしまった。
 このところ少し語りすぎだ。うざがられるから少し静けさを今後取り戻します。

 ともあれ、アリアドネの糸さんの読点講座に触発されて読点を語ってしまったー。たぶんだいたい(おいおい)間違ってないと思うので騙られたと思って気が向いたらそんなことに留意してみるのもありやなしや、とか、ここを読まれた方々のすべてに僭越ながら……、語りすぎてすみません、ではではご健筆を、お騒がせしましたー。

 5150さん、読ませてくださりありがとうございましたー。

5150
5.102.2.242

もんじゃさま、ありがとうございます。

これほど読み応えがあり、かつ、もんじゃさんの小説観をあますところなく熱く伝える部分と、文章とくに読点にフォーカスしたプラクティカルな講座、もんじゃオンラインサロンとでもいうべき感想に感激しております。これは本来ならば、講座費用を払って受講すべき内容のものではないかと思えます。

言うまでもないとは思いますが、5150は語感オンチでありますので、文章についての指摘は、これはもう感涙ものであります。ただ、一応は公共の場でもありますので、他の方が覗かれてどう思うのか、そのあたりがもんじゃさんの考慮する点であると察します。5150の文章に関しては、気を遣って書いてくださってますが、こちらとしてはもっと突っ込んで欲しいのが本音であります。しかしながら、甘えというか依存はしたくないので、あくまでギブアンドテイクの関係の方がよいかとも思えます。

>綿矢りさの『インストール』を思い出しました。原作も読んだけど、瀬谷区のマークスプリングスが舞台になってるあの映画のほうも観ていて、で、御作の対話を上戸彩と神木隆之介くんのビジュアルあてはめて読んだりしちゃいました。むろん綿矢りさのパクリじゃないのは読んでわかります。彼女と彼の角度が綿矢作品のあれを思わせたってことであります。

『インストール』の本は昔読んだけど内容さっぱり忘れているし、映画は観てないです。むしろ、茅場さんの「言の葉の庭」の方ですね。大好きな映画です。でも、というか、このパターンはたぶん、一つの王道みたいなものだと思います。違う世界に住んでる誰かとひょんなことで出会って、微妙にシンクロしてゆくというのは。また書いてても面白いですし、なんだまたこのパターンか、みたいに思ってましたので。なので、どう書くかでもあり、キャラのぶつかり合いでもあると思えます。

>あたり以降いくらか説明的かもしれませんね、いえ、対話がメインで紡がれてるのは変わらずなんだけど、だから説明調ってわけじゃないんだけど、展開を急ぎすぎたのかな、書き手がくたびれちゃったのかな、あるいは二週間後には仕上げたいって締切意識に締め付けられたのか、筋を作ってゆきたい書き手の意図がキャラを従わせちゃってる感じ……

あそこまできて、急に終わりを意識してしまった、って感じですかな。

>人が死ぬ、みたいなこと、しかも主たる登場人物が死ぬだなんてことは大事件で、それだけにドラマチックな展開が可能になるのだけれど、安直なイメージを与えちゃうと陳腐で、安っぽい、ご都合主義な印象になっちゃうかな……

エンタメ的観点から後半は書いていたからだと思います。冒頭はキャラと対話しながら一応は書いてましたけど、後半は纏めることに意識が向きすぎていましたね、たぶん。前半のまま行ったら、これどうせ物語的には、淡々としすぎる、とか起伏が足りない、みたいなことを恐れてのことであります。

>小説はドラマチックであらねばならないものではないし、綿矢りさのあれだって、映画は少しだけドラマを付け足して、むしろ原作を損ねちゃってたけど、原作にはドラマもなければオチもなかったように記憶しています。主張もなければ気付きすらあまりなかったかもしれない。ただ、キャラと空気感だけが漂ってたみたいな。そこに奥行きが感じられてよかったんじゃないかと。

ここはもんじゃさんの小説観がよく現れている箇所だと思います。拙作の場合ですと、あの二人が醸し出すものを追って書き始めたのだから、それを踏まえて最後までいけよ、ということか、と。honestly さを装っておきながら、後半は裏切ってご都合主義に走った、裏切りだ、みたいな。あくまで二人が形作るものを見守る感じで、筆を走らせる、というか。中盤にかけてゴールを意識しすぎて、ペース崩しちゃったランナーみたくなっちゃいました。

ただ、もんじゃさんの示す方向へとゆくには、もっと信じてあげられる強さみたいなものがないと、なかなか難しい。筆に迷いが出てしまいそうで。

>そういう説明というか、構図の提示よりも何よりも、最後まで彼女と彼の、らしさを維持して、空気を損なわず、丁寧に、丁寧に、ミルフィーユの層の一層ごとを描き重ねていったら非常にレベルの高い習作になったのではないか、だなんて主観的には確信するものであります。やはり惜しいかなと。

力をつけるためにはそっちの方向がいいだろうとは思います。ミルフィーユか、言い得てますね。きちんとした積み重ねですもんね、けっきょくのところは。

>ってかこれ後半だけ書き直しませんか? ついでに文章もさらなる完璧バージョンに磨きあげながら。この作品をフィールドにしていろいろ試してみるのもいいんじゃないかと。かなりよい土壌だから捨ててしまうのはもったいないかも?

断言は現時点だとできませんが、いい試みかもしれません。考えもしなかったですけど。今の段階だと書き終えたばっかの心境なんで、見えてきませんが、もう少し期間置いてみたいと思います。おそらく、次は無理のような気がします。ひと呼吸置いてみたいです。

で、もし書き直すのだとしたら、おそらく中盤あたり、

「クラスメートです」真人はいった。

これ以降のような気がします。以後はすべてリライトしていき、おそらくはまるで違った方向へと伸びてゆくような気がします。エンタメ的構成を捨てないと書けないように思います。きれいにまとめられないような気がしますが、着地すべき箇所をきちんと見定めながら、みたいな方向転換になるはずです。まったく違う景色が見えてくるような、そうでないような。

つづきます。

5150
5.102.2.242

つづきです。

>もしかしたらこれを文章の練習のつもりで書かれたのかもしれない。だとしたら、ってんでえらそに評価しちゃうと、ほんとうにすごくよくなっている、失礼承知で言い切っちゃうけど見違えちゃいました。

「小説にかける人々」の感想でのもんじゃさんの添削をすべて読み直したんですよ。それに最近はもんじゃさんは感想でも精力的に、文について書いてらっしゃるのも読んでます。また、拙作の文は前作とは違うので、そういう文章強化としてやるにはちょうどよかったもので。

あとは、二作続けて会話文がほとんどなかった作品だったので、セリフが書きたい、って感じだったんです。地の文はいいや、控えめにしよう、みたいな感じ。

これも女性による一人称ですけど、前回のようにバリバリではなくて、もっと普通の語りで書きたかったんです。軽いものをという趣向で書き始めました。結果的にモチーフはぜんぜんそうじゃなくなりましたけど。

>その点で御作は途中まで図式的でなくキャラ優先だったぶん読みやすかったし、面白かったし、入れたんじゃないかと……。

子供を育てるみたいなもんでしょうかね、キャラは。子供も幼少のころは、もう全力でいろいろやってあげないといけない存在ですから。でも、成長してゆくごとに、今度は親の方で自分が育てた子供を見守る形に変わってゆかなくちゃいけない。

小説も同じで、冒頭では大事にして独り立ちして、自ら育つのを待つ。拙作の場合は、最後では親心が勝って、親バカになっちゃいましたかね、なんて。


読点について

二つ前の作、シンプルな別れのストーリーの前半ですけど、あそこではかなり意図的に読点をこれまでとまったく違う打ち方でやってみました。後半も同じです。別に意図はなくて、たんに、太宰治の読んでて、あ、こういう読点をやってみよう、みたいか感じで、中学生が真似るように書いてみたわけです。太宰を真似たんではなくて、読点を多めにしようというごく単純なものです。今作もその癖を少し取り込んでいると思います。でも前作のようにボンボンと機関銃のようには打ってません。

はっきり書くとですね、これまでは指標みたいなものは、なんら持ち合わせてませんでした。なーんにも考えず、打ちたいところに打つ、みたいな感じでした。リズムも関係なく。ほんとです。

>まずは意味的な配置、これが重要かと。意味的に正しい位置に読点を打つ。これがファースト。

この言葉を頂けたことに感謝しております。ここへいつでも戻ることができるような基地みたいな言葉になりそうです。こういう言葉はシンプルであればあるほど役に立ちます。

とはいいつつも、アリアドネの糸さんの、

>小説の場合は、意味の理解よりも心理的に流れることの方が重要な場合がままあって、

にも、ぐっときました。特に「心理的に流れる」と、この箇所ですね。これはどちらかという応用みたいなものですが、もんじゃさんのと合わせて、今後の指標となりそうです。

>なので、次にすべきはあれですよ、正しい語句を使う訓練かもしれんのでありまおんせん。意味的に正しく、響き的に美しい語句を正しい位置に配置する、場合によっては差し替えまくる訓練。

ここも断定的ではありますが、拙作でやってみたことではあります。

「正しい位置に配置する、場合によっては差し替えまくる訓練」

これをしないと、読点を絶妙な位置に打てないだけでなく、配置さえしっかりしてあれば、打ち所を外さないかな、くらいには感じられました。

ともかく、何かの基準みたいなものがあるのは、これはとてもありがたいことであります。以前はまったく無自覚だったし、そういうものを持ってはいなかったので。

>アリアドネの糸さんなんかはレトリックスターでもあらせられますなたぶんにたぶん。

5150にとっては、エイリアンみたいでもあります。

おまけ

貔貅さんから受けたブローがじわじわ効いていて、いくぶんか疲れ気味なので、二週間後には新しいのやリメイク作じゃなくて、過去作を出そうかなと、今決めました。意図的にインプット時期にするつもりです。創作は自由に楽しくやんないと、やっぱり意味ないんで。義務と束縛は、大敵。読みたい本と、映画と、テレビドラマがいくつか溜まってるし、栄養をたっぷり摂りたい時期だと思うので。

フランチェスカが出てくるのあれ、もんじゃさん前回のときも書かれていたし、その前もどっかで言及されていたはずなので、あれを次に出しちゃおうかな、なんて。それに前回の際、こちらあんな提案をぶっちゃけた手前もあるし、ってことで。今回の感想に対する御礼、じゃないな、そんな価値など5150の作品にあるわけないけど、そうじゃなくて、一応はもんじゃさんからのリクエストとして受け止めて。

あ、こちらの事情を勝手に書いてしまいました。

飼い猫ちゃりりん
106171068021.wi-fi.kddi.com

5150様
 目覚ましが鳴っても朝起きれない。二度寝して起きてみれば、世間の人々はもう一仕事終えている。

 句読点とか、うーん。それも大事ですが、解消する問題の順番を考えた方がいい。
 要は、「登場人物が語ったこと」を正確に書き写せば良いのです。それで句読点問題もほぼ解決。句読点なんて言ってしまえば何でもありです。でもその大前提として、登場人物が語っているか? が大きな問題。
 いきなり書いてはだめ。まずは情景を光景を鮮明に意識する。息子が自殺した母親と対峙する覚悟が必要。作家は地獄のような体験をする。場合によっては、乱雑な句読点、乱れる文法が凄まじい迫力を生むこともある。

 キャラの人数に注意。
例えば、彼と彼女の恋物語
①彼②彼女
でも二人ではない。三人
③語りべの存在に注意。語りべは作者ではなくキャラであることに注意。
作者は作品に登場してはいけない。

ああもう時間ない。時間ないゆえ雑文御容赦

5150
5.102.2.242

アリアドネの糸さま

>英語でいうスラッシュリーディングみたく意味ブロックの切れ目で読点を律儀に打つ癖があるように思います。

・意味ブロックの切れ目で読点を【律儀に】打つ癖

で、この【律儀に】というのがミソな気がします。これ、まさしく「癖」なんだろうと思いますね。いつのまにかそうなっているのでしょう。

>ただ小説の場合は、意味の理解よりも心理的に流れることの方が重要な場合がままあって
>当たり前かつ想像するまでもなく想像できてしまうような描写は、読み手は読みながら意味を吟味してなくて半ば自動的に流れていくもののように思います。
>そういうタイミングに打たれた読点は、逆に流れを止めてしまうところがあります。

ウンウンとうなずきます。なるほど、というばかりです。こういうケースで「律儀」に打ちすぎちゃうと、乗ってゆけないんですね。ドリーマーさんが書いてくれたことですね。

1)読点が流れを殺している例。
(2)読点が次の流れを作りだすジャンプ台になっている例。
(3)読点がストッパーになることとで効果的に心理的な寄り戻しを作る例。。

わかりやすく例で示してくれて感謝します。これはおそらく今後の文章を書く際の指標になりそうな気がします。ただし、これは実際の創作の過程で、少しずつ試行錯誤してゆく以外に方法がないように思われます。身体的感覚として慣れるべきだと思うので。

プラス、アリアドネの糸さんが過去作「人間未満」で指摘された箇所とも重なるような気がします。今回の感想のおかげで、アリアドネの糸さんがどういうふうに作品を読んでいるのかが、なんとなくわかってきそうな感じがしてきました(あくまでそういう気がするというだけです)。

アリアドネの糸さん自身は、御自身の作品では、読点が少なめで長い文章を書かれる傾向があるように見受けられます。5150にはこのてのセンスはゼロなんですが、飼い猫ちゃりりんさんも、たまに読点少なめに書く文がびしっと決まることがあるように思えました。作品によるでしょうが。

うん、そうですね、誰かの物真似ではなく、もっと積極的に作品における読点の効果というものを自作で試してみるべきかな、なんて思えました。とにかく推敲だといろんな箇所直さなくてはいけず、読点ってほとんど気にかけてなかったんですけど、アリアドネの糸さんともんじゃさんの感想を合わせてみると、どうやってゆけばいいのかがなんとなく見えてきたような気がします。

読点の面白さに気づいた、というか(今頃ですけどね)。

次作は過去作品にしようかと思っています。またよろしくお願いします。ありがとうございました。

5150
5.102.2.242

茅場義彦さま

>難しいテーマっすね。。

うん、難しかったです。というか、デリケートなテーマなので。

>テンポ悪いなあ。。

言っているのは、冒頭から前半にかけてでしょうかね、おそらく。もっと早く少年と出会わすべきなのかな。

>新海アニメ 言の葉の庭に 構造はちょっとだけ似てた

同じ公園だし、雨とビールとチョコレートがあれば、もうそんままかも。いいアニメでしたね。大好きです。

>大成功とはぃえないかも

後半うまくまとめられなかったんで。

>なんか拍子抜けする何の救いもないとこは リアルではあるが
読んで楽しいかって いうと そーでもない

まさに核心だという感じですね。あれで下手に希望を持たせてしまうと、ご都合主義とか、いい作品を狙っている感がモロ出てしまうし、やっぱり二つのモチーフがどっちも扱うには少しばかりデリケートすぎたかもしれません。軽く書きましたけど、読んでて楽しくはないかもですね。

南風
softbank060091003055.bbtec.net

5150様
拝読いたしました。
コメントを読みますと難しい論点があるようですが、私はスムーズに読むことができました。ひとつの作品として完成していると感じました。こういう短編は(内容はともかく)気軽に読めるのでいいですね。有難うございました。

5150
5.102.2.242

飼い猫ちゃりりんさま

>目覚ましが鳴っても朝起きれない。二度寝して起きてみれば、世間の人々はもう一仕事終えている。

具体例の提示ありがとうございます。読んでみると、なるほど、というか、掌編の様式を追求する道を歩んでいる、飼い猫さんらしい文だな、という気がします。

 >句読点とか、うーん。それも大事ですが、解消する問題の順番を考えた方がいい。要は、「登場人物が語ったこと」を正確に書き写せば良いのです。それで句読点問題もほぼ解決。句読点なんて言ってしまえば何でもありです。でもその大前提として、登場人物が語っているか? が大きな問題。
 いきなり書いてはだめ。まずは情景を光景を鮮明に意識する。息子が自殺した母親と対峙する覚悟が必要。作家は地獄のような体験をする。場合によっては、乱雑な句読点、乱れる文法が凄まじい迫力を生むこともある。

具体的な手ほどきを興味深く読みました。こうして書いていただくと、飼い猫さんの小説観みたいなものが見えるので、すごく参考になります。

普段だと、「飼い猫聖典」とも呼ぶべき原文のみの掲載で、内臓云々とか芸術論、これらが原典のまま引用されて解説がないので、人間である5150にとってはなかなか解釈が難しいのですが、こうして細かく書いていただくと、より深い意味を伴って見えてきます。というか、ここまで具体的に書いてくれたことは初めてなような気がします。もっと知りたいです。

小説観というのは人ぞれぞれに異なります。それだけにいろんな方の小説観と作品にじかに触れることができるのは、このサイトならではの経験だと思います。

>作者は作品に登場してはいけない。

5150はかなり自意識過剰的な傾向があるので、たびたび振り返りながらしないといけません。

ありがとうございました。

5150
5.102.2.242

南風さま

感想ありがとうございます。HN変えられたのですね。

(内容は別にして)さらっと読んでくれてありがとうございます。結果はどうであれそういう意図で書いた作品になります。作品として完成している、と書かれていますが、今現在同作をリライト中です。後半がガラリと変わるはずで、その結果は次ではないですが、いずれこちらへ出すつもりでいます。鍛錬のため、として。またよろしくお願いします。

ここにいるどなたもそれぞれの小説観を持っていて、作品と共にじかに触れることができるので面白いです。感想もまちまちです。正直なものほど役に立ちます。

南風
softbank060091003055.bbtec.net

5150様

>(内容はともかく)気軽に
というのはこの話の内容は自殺のことなので、気軽にという言葉が嫌だなあと感じたのです。
それで(内容はともかく=自殺という内容であるけれども、それは考えずに)という意味です。
小説そのものの内容のことではなりませんので、追記しておりますね。

5150
5.102.2.242

南風さまの言わんとすることはわかっております。こちらのまぎらわしい返答でした。スミマセン。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内