作家でごはん!鍛練場
ドリーム

男の代償

主な登場人物
浅井洋輔、61才 元妻早苗56歳(旧姓野沢)長男孝之30歳 長女香織26歳 腹違いの次男、大輔17歳 斉藤幸造(漁師)久留米陽子(孝之の婚約者)




 男と女ってどうしてもこうも人生観が違うのだろうか? 俺の名は浅井洋輔、六十-才になって今回ほど思い知らされた事はなかった。
 俺はやっぱり古い人間なのだろうか、それとも世の中が変わり過ぎたのだろうか?
 俗に云う団塊世代の人間、それが今の俺に当て嵌まる。もう俺は社会に貢献出来ない企業戦士。老兵は黙って消え去るのみ……か。

 昨今はバブルが弾け一流大学を出ても三割は就職が出来ないありさまで、若者の一割はフリーター、熟年層は浮浪者と。一体この国はどうなるのだろう……いや今はそんなご大層な事を言っている場合じゃない。つい昔の癖が出てしまう。部下の手前、偉そうに政治に首を挟む癖が残っていたようだ。俺の若い頃は就職難なんて言葉がなかった。世の中はバブルの待った中で大卒はともあれ出世コース、中卒でさえ金の卵ともてはやされ中小企業の社長自ら、働き手を捜しに山村にまで出向き、働き手を捜したものだ。勿論バイトでもなければ季節労働者でもない。立派な社員として優遇された。その社員は永久就職と位置づけ、一生その会社で働くと決めたものだ。そんな時代で俺は育って来た。一流企業とまでは行かなかったが、そこそこ名の知れた企業だった。

 俺は半年前に定年を向かえ、多く社員から惜しまれて退職する……筈だった。
 自分でもやり遂げた自負があった。退職時の役職名は常務取締役まで上り詰めたが本来なら嘱託で残れる筈だった。時代の流れか景気は底冷えし世の中は不況の波に晒され、状況から見ても自ら身を引くしかなかった。大学を卒業して直ぐに今の会社に就職、そしてキッチリ定年の六十才まで勤め上げ三十八年の歳月が過ぎた。
 その間に恋愛もしたし結婚もし、子供も二人生まれ家を買ってローンも終わっている。
 その子供達も独立し、今では妻と二人きりの生活となった。
 これからは自分の為、妻の為、旅行に趣味に没頭出来ると思い込んでいた。
 悠々自適とまでは行かなくても、俺の人生はそう悪くないと思い込んでいた矢先の事だった。あの温厚な妻がいつでもなく、厳しい表情を浮かべ俺に話しがあると切り出した。
 住み慣れた八畳の和室にテーブルが置いてある。そのテーブルの中央に一枚の紙が置かれてあった。それは離婚届の用紙であった。妻が署名する欄には住所指名と捺印が既に押されてあった。

 俺は眼が飛び出るほど驚き、その用紙と妻の顔を交互に眺める。
 これはテレビドラマか? それとも冗談なのか? だがどちらでもなかった。今まで見た事もない表情を浮かべ妻の顔は青ざめ覚悟を決めた顔をしている。
 俺は妻と結婚してから三十年間を数秒の間に思い浮かべていた。
 やっぱり俺も、巷で囁かれる家庭を省みなかった企業戦士の一人だったのだろうか。
 今更、妻になんて言い訳すれ良いのだろう。恐らく今の妻にどんな弁解がましい事を言っても無駄だろう。妻の顔はそう物語っている。
 なんと云う事だ。これが企業戦士として三十八年働いて来た結果なのだろろうか。こんな状況にも関わらず俺から出た言葉は。
 「今の君に何を言っても無駄だろうね。結局三十年一緒に暮らしても、君の事が何も分かっていなかった俺だ。もう夫としての資格はないだろうね。最後に三十年間ありがとう」
 良く簡単そんな事が言えたものだ。本来なら理由を聞き思いとどまらせるだろう。妻の前で土下座して考え直して欲しいと哀願する事は考えなかったのか。そう色々数分の間考えた。だが妻の性格は知り尽くしいる。俺が怒ろうが泣き叫び詫びようが妻は考えを改めるはずがない。だから素直に応じたのだ。

 妻は涙を流しながら俺が署名捺印した離婚届を受け取り部屋から出て行き自分の部屋に閉じこもり、その日の夕方には家を出て行った。数ヵ月後、俺は財産を整理して、子供達にも事情を話し、家を売り払い東京スカイツリーが見える小さなアパートへ引っ越した。それから一人旅に出ようと思っている。幸福とは何かそんなものがあったら、また出会えるなら人生も捨てたものじゃないだろう。今は良く捉えるなら肩の荷が降りた感じもする。でも人生はこれからだ。何も弱気になる事はない。俺は第二の人生を歩く、そしてまた新しい生活を築くさ、出来ない事はない俺は古い企業戦士だもの。



 妻と離婚してから半年が過ぎた。三十年も連れ添って来た仲だ。気にならないと言えば嘘である。ただ妻が別れると言い出すには余程の理由があったのだろう。人事みたいに言ってはいるが、その責任はすべて自分にある事も知っている。企業戦士とかなんかと都合のいい事を言っているが、俺は妻に対し裏切り行為を行っていたのだ。
 いわゆる不倫という奴だ。そして妻にとって耐え難いことがある。それは今から十七年前に遡る。
 その浮気相手に子供が出来たことだ。もちろん離婚騒動になったが、その相手は子供が五歳の時に病で亡くなってしまったのだ。浮気相手が亡くなったからといって解決したわけじゃない。俺は妻に誓った、もう生涯浮気はしないと、だが残された問題がある。子供をどうするかと云うことだ。
 まさか自分の家に引き取る事も出来ない。結局はその女性の親が引き取ることになった。
 そりゃあ大変だった。相手の親からはどう責任を取るのかと責め立てられた
 だがその彼女は重い病で死を覚悟していたらしく両親と俺宛に遺言が残されてあった。
俺宛ての遺言は
『私は幸せでした。貴方の奥様には申し訳ないけど、子供が出来、貴方は優しく、私を支えてくれた。短い間だったけど私は後悔していません。心残りは大輔の事です。貴方の事だからきっとなんとかしてくれる事を信じています。ありがとう洋輔さん』

 『お父さんお母さん、私の身勝手を許してください。不倫であったけど私は後悔していません。洋輔さんと出会い子供が生まれた事は何より幸せでした。私に愛する事と愛される事を教えてくれた洋輔さんを決して攻めないで下さい。私は本当に幸せでした。短い人生でしたが後悔はありません。私達の大事な大事な大輔の父は洋輔さんなのですから…………』
 そのような事が延々と書かれてあったそうだ。
 私は養育費を支払い、高校を卒業したら後の判断は大輔に委ねる事とし双方で取り決めた。相手の親も渋々ながら承諾してくれたが最初は一切、大輔とは接触しないで欲しいと言った。だが彼女の遺言が効いた。もし親子関係を絶たれら彼女がどんなに悲しむか、それが理由だった。俺は時折だが親の責任を努めた。遊園地にも数度連れて行き、時々プレゼントをして父親の真似事をした。
 俺は家族を一度は裏切ったが、その後は妻と家族一筋に生きてきた。
 今の妻との間に二人の子供がいる。大輔よりも十歳以上、年上の子供がいる。
 ただ当時は二人とも小学生で、そんな事情を理解出来なかったかも知れない。
 俺は物事が理解できる中学生になった頃、二人の子供に過ちを説明して詫びた。
 嫌だと言っても中学生の二人は納得するしかなかっただろう。
 俺は長い時間を掛けて二人に非を詫び、今では理解の下に親子関係を保っている。
 しかし妻には長年に渡って溜まったうっぷんを爆発させたのだろう。
 だから俺は出て行った妻を黙って見送るしかなかったのだ。



 今更どう言い訳しても妻は受け入れないだろう。互いに言い分もあるだろうが、それを言い出せばキリがない。今はただ良く尽くしてくれたと感謝するしかない。この浅井洋輔という男に三十年も我慢してくたれのだから。
 いや少なくても恋愛結婚なのだから最初からいやいや一緒に住んでいる筈もない。子供が生まれた時は少なくても幸せであった筈だ。でも途中から妻をないがしろにした事は妻への裏切り行為であった。妻は何故、引き止めないのと思っているのだろうか? 女心? もしそうならそれは違う。浮気を省いても引き止められなかったのが本当の理由だ。家に入ればただのデクの棒と同じような俺だ。妻を喜ばす術を知らない。妻と旅行したのだって子供達が小学生の頃、三度ほどあっただけだ。たまの休みはゴルフか仕事関係で飲みに出掛けるようなことばかり。ただそれも全部仕事がらみの付き合いなのだ。
 それによってお得意の信頼を得ると思っていた。それではプライベートの時間がないではないか? いつの間にか仕事が人生そのものになっていた。まさに会社に命を奉げた男だった。妻が理解出来る訳がないだろう。俺が悪かった出て行かないでくれと言える訳もないのだ。

 此処に引っ越してまだ一ヶ月だ。六畳二間と五畳程度のダイニングキッチンのポロアパートで、そんな事を考えていた。窓を開けると目の前に建築中のスカイツリーが見える。時折だが工事の音も聞こえてくる程の距離だ。
 不思議なことに何時間でも見ていても飽きない。暇人の俺には最高の場所でもある。
 急に一人暮らしになって食事もままならない毎日だが、見かねたのか娘の香織が、たまに食事を作るに来てくれる。その香織は過去の過ちには一切触れなかった。
 後ろめたい気持ちはあるが、親子関係が最低限、維持されているのが嬉しい。

 長男の孝之は仕事の関係で静岡に住んでいる。孝之は今年で三十歳になるがまだ独身である。娘の香織は二十六歳で同じく独身だが、二人ともしっかりしていて特に心配も要らないが俺達の離婚に関してはとやかく言わなかったのが不思議であった。
 もしかしたら妻の早苗から、離婚について子供達と話し合っていたのかも知れない。
 つまり準備万端のうえでの離婚だったのだろうか。子供達は中立でどちらが良いとか悪いとかは言わない。大人だからだろうか? 立派に育った子供達は妻の育児と教育の賜物だろう。しかし一日がこんなに長いとは思わなかった。会社勤めしている時は時間が足りないほど動き周っていたものだが、今では朝八時に起きてパンを焼いて目玉焼きを作って食べ、新聞を読むのが習慣となっている。
 目玉焼きの作り方だって娘ら教わったものだ。次はご飯の炊き方を教えてくれるとか。
 仕事人間の俺には、家庭では何も出来ない幼児と同じような今の俺が情けない。
 妻とは離婚したが課題もまだ残されている。二人が結婚する時、母である妻はどうするのだろうか? 結婚式と言えば両親が一緒に出席するは当たり前だ。例え離婚しても二人の親である事には変わりはない。
 自分の非を認めながらも心の奥底では未練が残っているが、妻にすがりつく様な姿は見せたくなかった。これも重役として勤めたプライドなのだろうか? いやもう今は無職で初老の男、プライドを捨てろともう一人の自分が脳裏に働きかけている。 



 離婚はしたが俺には親としての努めと云うか責任がある。成人したとはいえ結婚するまで見守らなくてはならない。そして孫が生まれたら……いや其処まではまだ考えずに置こう。それ以外にも問題は沢山ある。浮気した相手の子供だ。大輔は高校二年生だが俺が野球好きだったせいか野球部に入っている。素質もかなりのものらしい。一年生からレギュラーらしく、学校も大会では上位の方で二度ばかり甲子園に出場した事がある有力校なのだ。大輔は甲子園を夢見て頑張っている。
 今は年に数回しか会ってないが、進学をどうするか相談に乗ってやらなければならない。
 そして一番の問題は、本妻の子と腹違いの子供達と対面出来るかという事だ。
 難しい問題だが腹違いであっても兄弟である。俺としては互いに兄弟と逢って欲しいと願っている。

 しかし毎日が退屈であった。だからつい妙な事を考えてしまう。
 子供は勿論だが今は自分をどうするか、どうしてこれからの人生を歩んで行くのか決めなければならない。毎日、家でブラブラしていては息が詰まりそうにもなる。引っ越して近所には知り合いもいない。いつかはまた働こうとは思っているが、この不景気にどんな仕事があると云うのだ。ガードマンや守衛なんて俺には勤まらない。出来るとしたら事務系くらいだろう。
 だが一応重役として働いていた変なプライドが邪魔して上手く働けるかも自信がないのも確かだ。やはり暫く一人旅に出ようとは思っている。多少の蓄えもあるし七~八年は遊べるだろう。その後は年金暮らしとなるかも知れないが、とにかく今は孤独に耐えられないのだ。本当にこのままなら、その内にボケ老人になりそうで怖いのだ。
 仕事をして居る時はどれだけ充実していた事か、まったく仕事がないと、ただの初老の男でしかないのか? 友達? 考えてみれば殆どいない。なんてことだ! 一番大事なことじゃなかったのか。
 そんな俺だもの、妻に愛想つかされて当然か。ともかく自分がこれからどうするか決めなければならない。俺は翌日から旅行会社に行きパンフレットを揃え、それを元にインターネットで調べてみた。
 一応は旅行行程の資料を揃えた。あとは行き当たりバッタリで行くしかない。
 数日後、俺は旅の準備を始めた。時期は初秋、まだ紅葉には早いが北海道か東北の山なら、そろそろ紅葉が見られるかもしれない。ただそれも海か山か街になるか行ってみないと分からない。
 大家には暫く留守にすると三ヶ月分の家賃を先払いし、洋酒を二本ばかり持って「留守中頼みます」と言ったら上機嫌で「気をつけていってらっしゃい」と云われた。
 どうやら大家だけは上手くやって行けそうな気がする。
 翌日の朝、東京駅の東北新幹線のホームに俺は立っていた。



 仕事では何度か利用した東北新幹線だが、今はまったく気分が違う。気負うこともなければ楽しい気分とも違う。旅に出て今後の人生に置いて夢か希望が見えてくれれば良いと思っている。気がつけばもう仙台に到着した。だが失敗したと思った。急ぐ旅でもないのにこれでは情緒なんて楽しめやしない。駅弁を買おうにも降りる暇もない。諦めていた処へワゴンを引いて売り子が入って来た。
 仙台で仕入れたのだろか、仙台の駅弁があった。その中から伊達幕という弁当とお茶を買った。本来なら名物の牛タンだろうが、歴史が好きな俺は伊達政宗にちなんだ伊達幕にしたのだ。

 やがて列車は八戸に入って俺は外を眺めた。漁業と工業ある町である。そして別れた妻の故郷だ。あれは三十歳の時だった。あれほど緊張したのは後にも先にも一度だけだ。
 つまり結婚の承諾をして貰う為に訪れたのだ。昔ながらの家なのか築五十年以上は経っていると思われた。柱も太く東京では見られない屋敷という部類に入る。門も武家屋敷を思わせるような家だ。
 『どこの馬の骨とも分からん奴に嫁にはやれん』なんて言われるんじゃないか? と、ゾッとしたものだ。
 町外れで波の音が聞こえる浜辺にあり、田舎ではあるが父は町会議員だという。
 「は……初めまして浅井洋輔と申します、縁ありまして早苗さんと三年交際して参りました。近い将来に結婚を考えております。どうぞ二人の交際を認めていただけないでしょうか」
 確かそのような事を言った覚えがある。だが心配を他所に以外な言葉が返ってきた。
 「早苗からも貴方の事は伺っております。しかし近い将来の言うのは駄目だ。するなら早い方がいい」
 早苗が必死に説得した結果だろうか。そんな訳で半年先には慌しく結婚式を挙げたものだ。あれから三十数年、今はその義父も他界し俺の両親も亡くなっている。時の流れとは早いものだ。

 この八戸に来たのは四度くらいしかない。二人の仲を認めてもらう為と長男が生まれた時と娘が生まれた時、そして最後は義父の葬儀の時だけだ。
 妻と別れた今は行けるはずもないが、この町は魚が旨かった事は覚えている。
 当時はイカが日本一獲れた港町でもある。最初行った翌日に、妻が小高い丘の上に案内してくれた。その眼下には海一面に漁り火が見えた。みんなイカ漁の舟だという。都会では決して見られない幻想的な光景だった。つい此処(八戸)の風景を見ると妻との思い出が蘇ってくる。俺の青春は妻とデートした日々と新婚の頃が全てだ。 
 後はまさに戦場の戦士ごとく仕事、仕事に明け暮れたものだ。俺が出世して金を稼げれば家族は裕福に暮らせる。それが最大の目標だったはずだ。
 確かに自分で云うのもなんだが、人並み以上に給料を貰い人並み以上な暮らしも出来た。
 勿論、自分自身にも恩恵はあった。同期で入社した連中よりも俺は早く重役になり満足感を得た。だが少なくても妻は出世や金よりも一家団欒を求めたのだろうか。俺の自己満足に過ぎないのか?
 妻は何度か愚痴を言って泣いて居たこともる。だが俺は裕福になる事が幸せでありそれが何故悪いと愚痴に耳を傾けようともしなかった。
 それがやがては妻の孤独を誘い、互いの幸福感が違うと覚ったのだろう。
 幸福の価値観はそれぞれ違うのは分かる、いややはり一番悪いのは妻の悩み受け入れなかった俺だ。まだ旅に出たばかりだが、一人になって少しその答えが解けて来たような気がする。

 ⓺

 今夜の宿は八戸と決めた。何年ぶりかだが縁のある町である。
 本当は海の見える宿に泊まりたかったが、観光ガイドに載っているのは市内のビジネスホテルばかりだった。特に高級ホテルというものはなく、大きなビジネスホテルが沢山あった。嬉しいのは料金が驚く安く最低料金は三千円程度で、朝食なら八百円で食べられるようだ。パソコンも一泊八百円で貸してくれる。勿論夕食はないが、市内に出れば郷土料理にありつける。
 ホテルに入りシャワーを浴びてから市内に繰り出した。
 ホテルでくれた食事処のガイドブックをみて、小奇麗な店に入った。
 豊富な魚介類が沢山盛られた刺身やB級ご当地グルメ 料理で有名な(せんべい汁)を食べた。そんな時だ、隣の席にいる初老の男が声を掛けてきた。
 「あんたは旅行者かい? わしゃあ漁師をしているんだがどうだい魚は旨いかい」
 年の頃は俺より上に見えたが、体は漁師らしく逞しいが、笑った顔に飾りがなく好感が持てた。
 「うーん旨いねぇ。なんと云っても新鮮味がある。それに安くてこんなに量が多い」
 「そうじゃろう、そうじゃろう。なにせ此処に収めている魚は殆ど俺と息子が獲ったもんじゃ」
 「本当ですか? そりゃあ凄い。もう長くやっているんですか」
 「まあな、俺は三代目で物心がついた頃には舟の上にいたよ。最近は息子が後を継いでいるが」

 なんとも人なつこい漁師だ。漁師は幸造と名乗った。
 ついつい話が弾んで二時間も一緒に飲みながら語り合った。酒が入るとつい初対面の相手でも、溜まっていたグチで出てしまった。まぁ見知らぬ相手、もう二度と会う事もないうっ憤晴らしには丁度いい。
 「そうかい、仕事仕事でかあちゃんに逃げられたんかい。気の毒にのう」
 また大きな声で言うものだから、周りが俺を哀れみの顔で見ている。だが幸造は悪気がある訳でもないし相変わらずの高い声で続ける。まぁ旅の恥はかき捨てだからヨシとするするか。
 「仕方がないですよ。身から出たサビですから」
 「そんで何かい、かあちゃんがこの八戸出身だって?」
 「まぁそう言うことです」
 「まさか寄りを戻そうと思って来たとか?」
 「そんなんじゃありませんよ。つい旅の途中で昔見た漁り火を思い出しましてね」

 「漁り火かぁ、あの頃とは違ってイカはそれほど獲れなくなったが俺の所なら見れるよ」
 「ほんとですか? じゃあ家は海の近くで」
 「当たり前だんべぇ漁師が海の近くじゃなくてどうする。ハッハハ」
 すっかり意気投合した漁師こと、斉藤幸造なる男の家に明日泊まることになった。
 翌日、幸造がビジネスホテルに魚の匂いがする軽トラックで迎えに来た。
 向かった場所は町外れにある鮫町という、なんとも怖い地名の場所だった。
 北の海は荒々しく海の色は青より黒に近い色だった。

 「さぁさぁ入った入った。遠慮はいらんぞ」
 本当に海の目の前だった。案内された家の中でも波の音が聞こえてくる。
 家族は妻と子供二人いるらしいが長男は漁師の四代目で今日は舟で漁に行ってるそうだ。
 その長男の嫁と二人の孫で五人家族だが次男は仙台に居るらしい。
 いわば幸造は半分隠居状態であった。幸造の妻と長男の嫁が暖かく迎えいれてくれた。
 「どうも初めまして、昨夜知り合ったばかりで斉藤さんのお言葉に甘えてつい来てしまいました」
 「よういらしたでぇ、うちの人は陸に上がって寂しかったのか、昨夜は帰って来て貴方さまの事が気にいって本当にご機嫌でねぇ、今朝は早く起きて。そわそわして迎えに行ったんですよ。逆に迷惑じゃないかね」
 「とんでもない。久し振りに心が通い合い、なんか昔の友達と再会した気分になりましたよ」
 「そうですかい、そりゃあよう御座いましたなす」 
 その夜は幸造の息子を交えて鍋料理を囲み、まるで竜宮城に来たような気分になった。
 約束通り、ほろ酔い気分で幸造と妻、長男と嫁とで、真っ黒な海に浮かび上がる漁り火をみた。なんとも幻想的であり、そして三十数年前に妻と見た光景がダブった。
 忘れていた家庭が此処にはあった。それも昨日知り合ったばかりなのに、何年も前からの友人のように安らぐ思いがした。都会では考えられない、人なつこっさと東北人特有の心の温かさを感じた。



 一晩で失礼するつもりだったが、幸造がもっと泊まっていってくれと引き止められた。
 いくらなんでも前日に知り合って意気投合したとしても、甘え過ぎであると夕方には失礼するつもりだったが。
 「浅井さん、いや洋輔さんと呼ばせてくれ。俺はもう少しあんたと話をしたいんだ。急ぐ旅でなかったら頼むから暫らく泊まって行ってくれ」
 両手を合わせて哀願する幸造に戸惑った。そんな夫の姿を見た幸造の妻も是非ともと頼むのだった。
 「私からもお願いします。この人は浅井さんを余程気に入ったようで、この数十年見た事がないような喜びようで私も嬉しくて……」
 妙な事になった。六十才過ぎて男から惚れられた? 

 つい酒のせいか互いに身の上話をする羽目になった。
 幸造は生まれた時から漁師の息子で育ったのは聞いている。結婚は見合いだそうだ。
 幸造夫婦の話を聞くと親の言われるまま、お互いに気に入ったとか言うよりも運命だと決めたそうだ。
 それでも今では家族仲良く暮らしている。まもなく三人目の孫も生まれるとかで幸せそのものだ。その話を聞いた時に 俺は恋愛なのに別れてしまった。好き同士で一緒になったのじゃないのか? 恋愛結婚は必ずしも幸せになるとは限らない事を思い知らされた。
 「ほんでもって奥さんは八戸の何処の生まれだんべぇ」
 「えっとねぇ……確か海辺で波の音が聞こえるほど近い所に家があったと思いましたがもう昔の事で良く思い出せなくて」
 「なんでぇ奥さんの生まれ故郷も忘れたんかい、それって金浜じゃないか」
 「あっそうそう、そんな名前でした」
 「なんだぁすぐ隣じゃないか。ほんで旧姓はなんてぇんだい」
 「野沢ですが」
 すると幸造の妻が、知っているらしくびっくりした顔をした。

 「もしかして下の名前は早苗さんじゃないですか」
 「えっ奥さんご存知なんですか?」
 「高校の同級生ですよ。確か東京に出て結婚したと聞いていましたが、まさかその旦那さんだったなんて」
 「本当ですか? いやあ離婚したのでは合わせる顔もありませんがね」
 まったく世の中って不思議なものだ。いくら妻の地元だってこうも偶然に知り合うとは。
 「まあ人はそれぞれですから誰が悪いとかじゃなく……でも野沢さんとこのお婆ちゃん入院してるんですよ」
 「そうなんですか、結婚当初は何かと世話になった義母ですから知らん顔も出来ないかなぁ、もう九十歳過ぎじゃないでしょうか」

 すると幸造が口を挟んだ。
 「なぁに離婚したって互いに憎みあって別れた訳じゃないなら、世話になった人だもの見舞いもいいんじゃない」
 「まぁそうですね。暇を持て余しているし、お詫びを兼ねてお見舞いに行ってみますか」
 「そうかい、なら明日一緒に行きましょう。光江お前病院知ってるよな」
 翌日、幸造夫妻と一緒に病院に向かった。



 病院に向かう途中、久し振りに息子の孝之から電話が入った。
 「おう孝之か元気でやっているか。珍しいな孝之から電話をくれるなんて」
 「うん、急なんだけど俺達、結婚する事に決めたんだ」
 「なんだって? 本当か。そうかそれは目出度い……しかし俺は彼女の顔も知らんぞ」
 「近いうちに紹介するよ。いま引っ越したアパートに居るの?」
 「いや今は旅先だよ。ちょっとした縁で知り合った人と、今から母さんのお袋さんが入院している病院に向かう途中なんだ。別に母さんの実家に行った訳ではなく、八戸の魚が旨いのを思い出して、そこで知り合った人の奥さんが母さんと知り合いらしく、つまりお前のお婆ちゃんが入院していると聞き、知らん顔も出来ないので見舞いに行く途中なのさ」

 孝之は寄りを戻したくて母の実家を訪ねて行ったと思ったらしい。孝之の感じでは勿論、元のサヤに収まって欲しいと思ってるらしい。その証拠に一緒に式に出られるか尋ねて来た。俺は息子が結婚するって聞き嬉しく思った。早く未来の嫁さんを見たいと思った。
 結婚式来年の春くらいと言っていた。あと五ヶ月先だ。忙しくなりそうだ。
 俺は病院の側にある花屋と果物屋へ寄った。しかしなんて挨拶してよいやら年甲斐もなく緊張した。義母はベッドに一人横たわっていた。久し振りに会った義母は思ったより元気そうだった。先に声を掛けたのは幸造の妻だった。」
 「こんにちは、おばあちゃん覚えてますか。早苗ちゃんと同級生だった光江ですよ」
 義母は少し間を置いて思い出したらしく、良く来てくれたと喜んだ。そして俺に視線を合わせた。

 「義母さん、ご無沙汰しています。浅井洋輔です。今更顔を出せた身分じゃないですが」
 「洋輔さんかい……いや悪いのはこちらです。早苗から一方的に言い出したそうじゃないですか。本当にこちらからお詫びに伺わなければならないと思っていたのですが、この体では何も出来なくて」
 思いがけない言葉に俺は救われる思いだった。帰ってくれと門前払いを喰わされても仕方がないと思っていた。幸造と幸造の妻は気を利かせて病室を出た。
 俺は義母に自分の甲斐性のなさを詫びた。義母は余程嬉しかったようで、娘とまた一緒になって欲しいと望んでいるようだ。家に帰って来たら説得するから待っていて欲しいと涙ながら訴えた。またひとつ東北人の情に俺の心は熱くなった。
 俺の旅は結局、八戸だけで終わってしまった。しかし俺の心は満たされた。
 この年で友達も出来た。そして義母とも心のわだかまりが消えた。消えたと云えば早苗は一体どこに居るのだろう? 実家には三日程しか居なかったそうだ。その後は音沙汰なしとか。



 病院から帰り、幸造に息子が結婚するらしく忙しくなりそうなので予定を変更して東京に帰ると伝えた。幸造はおめでとうと言ってくれた。まだ半年近くもあるしもう少し泊まって行けと引き止めたが、しかしいつまでも長居する訳にも行かない。息子の孝之が近い内に彼女に会ってくれと言ってる。
 やはり東京に戻らなければならない。娘の香織とも話し合い孝之の婚約を祝ってやらないと思っている。寂しがる幸造と翌日の朝、互いの肩を抱き合い次の再会を楽しみに八戸を後にした。たった一週間たらずの旅だったが、一ヶ月分にも相当する楽しさを味わえた事が嬉しかった。

 東京に帰ったが、窓が見えるスカイツリーの高さは変わっていなかった。しかし素晴らしい眺めだ。二週間後、孝之から電話が入った。明後日、婚約者を連れて行くとの事だった。
 ボロアパートでは孝之にも婚約者にも申し訳ない。錦糸町にあるホテルのレストランを予約した。久し振りに俺は背広を来た。背広を着るとサラリーマン時代を思い出す。
 それと同時に気持ちまでシャッキと締まる思いがする。
 アパートに来た香織と一緒にレストランに向かった。
 「ねぇ、お父さん。お兄ちゃんのお嫁さんになる人どんな人かなぁ。ドキドキするわ」
 「そうだなぁ、お前の義理の姉さんになる人だもんなぁ」
 「そうかぁ私に姉さんが出来るんだわ。今度はワクワクして来たわ」
 屈託のない娘の喜ぶ顔が可愛いかった。久し振りに子供達との再会……しかし家族が一人足りない。ふっとそんな事が過ぎったが、香織に悟られまいと空を見上げた。
 真っ青な空の色が眩しいくらいだ。こんな青空の下で披露宴が出来たらいいのと。

 最近の結婚式は洋風が好まれるらしく。昔と違い結婚式も随分と様変わりしたようだ。
 俺達世代の頃は神殿で行われた。今は結婚式場にある教会で式を挙げるか、キリスト教会で行なう方が多くなった。教会から出ると周りに出席者が花びらを巻いて祝福してくれる。青空の下で披露宴だ。芝生の覆われた中庭で披露宴よりパーティ形式なのか? まさに青空の下での結婚披露宴だ。
 「お父さん? どうしたの」
 「あっいや。青空を見ていたら、こんな青空の下で結婚式が出来たらいいなぁと思ってさ」
 「えー! 私とおんなじ事を考えてたの? やっぱり親子だね」
 娘は嬉しそうに笑った。やがてホテルに着いた。時計を見たら約束の五分前だった。
 やや緊張しながらも、ホテルのロビーでレスランの予約してある事を告げた。



 席に案内されると既に息子と息子の婚約者が待っていた。孝之は俺達に気づいたのか席を立って会釈をした。それと同時に婚約者も、やや緊張気味であるが深々と頭を下げた。
 互いに会釈をして席に着くと孝之が改めて紹介してくれた。
 「陽子さん、父と妹の香織です」
 「初めまして久留米陽子と申します。もっと早くご挨拶したかったのですが、遅くなり申し訳ありません」
 「いいえ、遠い所をお出で下さいまして、孝之の父、洋輔と申します」
 「私、妹の香織です。とてもお綺麗なお方で、兄には勿体無いくらいです」
 香織は思ったまま言ったつもりだったが、俺は相手の容姿を初対面で語るのに抵抗があった。
 「おいおい香織、いきなりそんな言い方失礼だろう。まっ宜しく頼みますよ」
 「だって本当のことだもの。本当に綺麗なんだから」

 俺と娘のやりとりで少しは硬さも取れて来たのか、陽子の表情が柔らかくなった。
 孝之はこれから先の、結婚式の日取りまで予定について語った。
 本来は結納してから結婚なのだが、最近はこの結納を省くことも多くなったようだ。
 そして仲人を立てないのも最近の結婚式だ。最近の若い者は結納や仲人って何に? と聞く。それと披露宴には、親戚も身近な者に限られ友人が大半を埋める式が多くなったのも時代の流れだろうか。
 俺の時は祖父祖母、叔父叔母は勿論、殆ど会った事もない親戚まで式に入れたものだ。
 最近は簡素で親兄弟だけというものもある。親でハッとなった。

 親=両親である。だが母が居ない。死別なら仕方ないが、これを息子は彼女にどう説明しているのであろうか。この場所に孝之の母が居ない事になんの違和感を抱いていないようだから、既に事情は話してあると思われるが。孝之の話では来年の春、三月頃を予定していると云う。そうなると遅くとも正月明けに、相手の両親へ挨拶に出向かなくてはならないのだが。
 「お父さん、なにを心配しているの? ははぁお母さんの事でしょう」
 香織に心の中を覘かれたな気分だった。
 「な! なにをつまらないことを……」
 「心配しないで、私が連絡してみるから」
 「お前知っているのか?」
 「だって娘だもの。私にだけは教えてくれてるもの」
 予想してないことだった。しかし今は香織を頼るしかない。離婚しても親として子供への、最後の務めである。先のことは分からないが、せめて息子が晴れて結婚するのだ。祝ってやるのが親だろう。



 思わぬ展開となった。娘の香織が兄の結婚式へ、母の出席を交渉すると買って出た。
 妻が離婚届を出した時、俺は正直なにも言えなかった。浮気して子供まで作り、おまけに家庭を顧みない俺だ。いつかはそんな日が来てもおかしくないと思っていた。
 それは全てに置いて自分に非があると思っていたからだ。
 娘に以前言われたことがある。『お父さんは女心を何も分かってないんじゃないの』と
 その意味が最近になって少し分かったような気もする。
 あの時、『俺が悪かったこれからはお前の為に尽くしから別れないでくれ』そう云うべきだったのか?

 では己自身は妻に帰って来て欲しいと望んでいるか、そう問われれば妻が出て行くときは止める資格なしと思っていた部分と、どうして亭主が頭を下げて引き止めなければならないのか。そんな威信と云うかプライドがあったのかも知れない。今更プライドをかなぐり捨て頭を下げるのか? 自分への葛藤があった。八戸で会った幸造夫婦をみていて刺激になった。夫婦っていいものだな。と
 それから数日後、香織から電話があった。兄の結婚式のことで母を交えて話し合いたいとの事だった。俺はドキリとした。心の準備が……あの時の心境と似ている。妻へプロポーズをした時のことだ。
 あの時ばかりヒヤヒヤしたものだ。断られる可能性が六十%と思っていたから本当に嬉しかった。なのに一旦自分の妻へ納まってしまえば、釣った魚に餌はいらないとばかりに生きていた俺だ。なんて傲慢で自己中心的な自分だったのだろう。
 約束の日が来た。俺はいつになく早く起きた。いつもの通りトーストにサラダと珈琲で朝食を済ませた。その時、娘から電話が入った。
 「ああ、お父さん。時間大丈夫? それでね落ち合う場所が変更になったのメモして」
 なんと変更になった場所は、忘れもしない妻にプロポーズしたレストランだった。
 変更されたレスランに着いたのは約束時間の五分前だった。仕事柄かサラリーマンに取って時間を守る事が何よりも大事なことだった。そんな習性が今も変わっていない。時間厳守おそらく俺は死ぬまでこの鉄則を貫くだろう。

 レストランを見渡しと既に香織と、久し振りに見る妻が席に座っていた。
 妙な気分だ。見合い経験はないがそんな気分だった。ならば差し詰め娘が仲人といった処か? 娘は俺を見ると手を振った。妻はやや下を向き、俺に気づかないような素振りに見えた。
 「はい、お父さん座って」
 まさに娘が仲介人だ。二人だけにしたら何時間も言葉を交わさないのでないかと重苦しい雰囲気だ。娘は自分の口元に手をあて、手の平を開いたり閉じたりした。
 俺に何かを言いなさいと催促しているのだ。



 こうなると妻と俺はまるで子供だ。娘が音頭をとってくれないと何も進まない。
 「げ……げ……んきか」
 それがやっとだった。
 やや下を向き視線を逸らして妻に、娘が妻の袖を引っ張る。
 「……はい。なんとか」
 まったく会話になっていない。呆れた娘が仕方なく誘い水をくれた。
 「あのね。お母さん。お兄ちゃんの結婚式何を着て行くつもり?」
 娘は勝手に妻の出席を決めてしまった。妻は『そ、そうね。香織と一緒に決めるわ』と言った。

 「あ! それとね。二週間後なんだけど双方の両親を交えて挨拶しようと言う事に決まったからね」
 もう香織の独壇場だ。俺と妻の意見なんか聞きもしないで勝手に決めてしまったらしい。
 妻と俺は反対する理由もなく、娘の意見に同意する事になった。更に香織は拍車を掛ける。
 「そうそう、お母さん田舎のおばあちゃん入院しるんだよね。なんでもお父さんが見舞いに行ったそうよ」
 「え! 本当なの」
 「ああ、少し自分なり考える事もあって旅に出たんだ。最初は北海道に行く予定だったんだが、つい八戸の魚が美味いのを思い出して途中下車し、魚が美味い店に入って斉藤幸造さんと云う人と意気投合してしまい、なんと、その幸造さんの奥さんが、お前と同級生だって言うじゃないか、それで義母さんが入院していると聞き見舞いに行った訳なんだ。前の日はお前が見せてくれた漁り火がなんとも懐かしく感動してさ……」
 「そうなの。ありがとうございます。以外だったわ。貴方にそんな一面があったなんて」
 娘はニヤッと笑った。やっと誘い水が流れたのを見届けると。
 「ああ! 思い出した友達と約束と合う約束していたんだ。じゃ後は二人宜しくね」
 呆気に取られる俺達を残して香織は消えてしまった。

 残された俺達は暫らく口を閉ざしていたが、折角の娘の好意を無にしてはいけないと俺は妻に語り掛けた。
 「香織も立派に育ったなぁ。これもお前の教育の賜物かも知れないな」
 「どうしたの貴方? そんな言葉を聞くの初めてよ」
 妻はクスッと笑った。この笑顔は何年ぶりだろう。二人の間に笑顔なんて考えてみると消えていた。
 「いや俺はハッキリお前に謝ったこともなかった。お前が離婚を切り出し時に何故止めなかったのか後悔もしている。ただ詫びて済む問題じゃないと割り切り過ぎたのかも知れないが」
 「…………」
 妻はなにも言わなかった。返事の代わりに涙が零れ落ちるのが見えた。



 零れ落ちる涙に俺らしくないが妻にハンカチを渡した。妻はコクリと頭を下げ、ゆっくりと話はじめた。
 「お互いに離れていて気づくことがあるのね。私も一人になって沢山気づくことがあったわ。いくら貴方と別れようとしても貴方と歩いた三十数年の歴史は簡単に消えないものなのね。孝之の結婚は私と貴方が居なければ、多分こんな話し合いをする機会もなかっでしょう。子供は鎹(かすがい)と言えますけど本当ですね。孝之もそして香織も立派になったわ。私よりも貴方の背中を見て育ったかも知れないわ」
 「いや俺は消そうに消せない過ちを犯した。現実にはもう一人息子が居る。お前には耐え難い恥辱だろう。でも俺の責任でその子が成人して一人前になるまでは育てなくてはならないんだ」

 「もうその事はいいわ。その子には何も罪もないもの。貴方には責任があるわね。でも悔しいけど褒めてあげる中には責任逃れする人もいるけど」
「それなんだが、その子の名前は大輔というのだが、子供達に合わせてやりたいんだが駄目かなぁ……」
「別にいいわよ。既に貴方の元いい人も亡くなっているんだから、もう二十年近くも過ぎているし、私も会ってみたいな」
「元いい人かぁ申し訳ない。いいのかい? ちょっと君には気が引けるけど」
「いいのよ。貴方も父親としての責任を果たして、私も割り切っているから」
「ありがとう、やと肩の荷降りたようなきがするよ」
「もうこの話は終わりにしましょう」
 「しかしなぁ……ともかくお前に長年辛い思いをさせた事は詫びる。それと夫婦っていいなと思ったのは幸造さん夫婦を見ていて特に感じたよ」
話は若干逸れたが妻は合わせて来た。
 「そうかぁ光江さんは幸せなんだ。学生の頃は一番仲のいい友達だったのよ」
 「うん本当に仲の良い夫婦だったよ。羨ましいほどにね」
 俺達は二人で一緒に居た時に、こんな会話を交わした事があっただろうか、まるで離婚していたのが嘘のように会話が弾んだ。

 「処で君はまだ一人で居るのか」
 「何を言ってるのよ。当たり前でしょ。だってまだ離婚届は箪笥に閉まったままだもの」
 「なんだって? どうして出さないんだ。君は自由になりたかったんじゃないのか」
 「自由になったわ。数ヶ月だけど。でもこんなおばさんが今更自由を手にしても、どう羽ばたくって言うの?」
 「そりゃあ、お洒落をしたり友達と遊んだり……」
 「じゃあ貴方は一人になって羽ばたけたの?」
 「いや一人になって、幸造さん夫婦みたいになりたいなと思った」
 「それって何? 再婚したいって言うの?」
 「再婚ではないが君が戻ってくれたら、やり直せるかなと思って……」

 知らない内に妻の誘導に嵌まり込んでしまった。俺は確信した。妻が戻ってくれると。もう威厳なんて必要がない。男は黙って頭を下げるべきだと。
 「あの~この通り甲斐性ない俺だけど戻って来てくれないか?」
 「…………」
 「駄目かなぁ」
 「私こそ戻っていいの? 私は貴方を分かろうとしなかったわ。確かに顧みない部分もあったかも知れない、でも貴方は私と子供達に、なに不自由の生活を与えてくれたわ。私は田舎者だから優雅な生活が幸せかどうか分からなかった。でも知ったの、この不景気で仕事もなく一家心中する家族を最近であったの。私は身震いしたわ。だからって贅沢したい訳じゃないけど、質素に貴方と残りの人生を暮らせればそれでいいの」
 俺達にはそれ以上の言葉はいらなかった。
 

 最終話

 
 俺と妻は揃って孝之の結婚式に臨んだ。披露宴の同じテーブルに座った娘が微笑んでいた。そして香織の隣に腹違いの次男、大輔が居る。妻も暖かく迎えてくれた。孝之も香織も弟が出来た事を喜び全てのわだかまりが消えた。大輔は野球の才能があるらしく、なんでも大学はスポーツ推薦で奨学金が出るそうだ。我が子ながら三人共たいしたものだ。近い将来、大輔はプロ野球選手になれるかも知れない。
 夢のような話だが、野球の素質があるからスポーツ推薦で入れたのだ。
 もしかしたら将来、東京ドームに家族で大輔の活躍を応援する事になるかも知れない。

 香織は兄の結婚はもちろん嬉しいだろうが、俺達が再び一緒に暮らし始めたことを誰もよりも喜んでいる。弟が出来て余程嬉しかったのだろう、最近は大輔に対して姉貴風を吹かせている。
 俺達は娘に感謝しなくてはならない。そのお礼は娘が結婚する時は盛大にやってあげようと思う。家を売ってしまったから、あのスカイツリーが見えるボロアパートで暫らく暮らすことにした。妻には悪いと思ったが、それが大違いだった。狭いから貴方がいつも側に居て話し合えるし、そして憧れの東京スカイツリーが毎日見渡せる。これ以上の幸せが何処にあるのと言う。

 俺は妻に提案を出した。君の故郷である八戸で暮らさないかと。それなら君のお母さんの面倒も見れるし、俺だって幸造さんと云う友達と会える事が嬉しいと。
 「本当? 貴方は東京生まれの江戸っ子よ。都会を捨てて田舎で暮らせるの?」
 「別に捨てるとか大袈裟なものじゃないさ。娘の香織も居るし時々東京に帰り娘の処に転がり込むさ」
 「それも良いわね。でも香織が嫌がるんじゃないかしら」
 「その時は孝之の処へ行くさ」
 「駄目よ。新婚さんの邪魔をするつもり?」

 数ヵ月後、俺達は幸造の紹介で中古の家を買った。俺達が八戸で暮らすといったら飛び上がって喜んだ。その前に妻と二人で北海道への旅に出た。二人揃っての旅は新婚旅行以来である。俺は旅先で幸造夫婦へのお土産を買った。すると妻が口を出して来た。
 「貴方そんなに帆立貝を買ってどうするの」
 「決まってんだろう。君の実家と幸造さんとこへの土産だよ」
 「ばかねぇ、八戸は帆立でも有名な所なのよ」
 妻は腹を抱えて笑った。妻があんなに笑う女だとは知らなかった。
 これは楽しい旅になりそうだ。俺はレンタカーの運転席に座り「次の目的地は」と妻に聞いた。

 了

男の代償

執筆の狙い

作者 ドリーム
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いわゆる浮気した代償が己に帰って来た。
しかも子供まで出来ては無かった事には出来ない。
そんな男の苦悩を描きました。

コメント

青井水脈
om126194254147.10.openmobile.ne.jp

全体的に面白かったです、幸造さんがいいキャラでした。①から⑤までくらいは、熟年離婚を切り出された夫の心境で、あれこれ考えたりする展開ですね。
この辺りを読んでいて、テレビ朝日の連続ドラマ「熟年離婚」を思い出したんですよ。渡哲也さんと松坂慶子さんが夫婦役で、ダブるというか。

ドラマだと本当に離婚するし、最終回は渡哲也さん演じる夫がシニアボランティアか何かでホンジュラスに旅立つんですよ、斜め上の展開じゃないですか(笑)
それからすると本作は、離婚届がまだ箪笥に仕舞ってある下り、読んでいてホッとしました。

>残された俺達は暫らく口を閉ざしていたが、折角の娘の好意を無にしてはいけないと俺は妻に語り掛けた。

洋輔がぎこちなく話す感じとか、やっぱり女の人の方が一枚上手というか。戻ってきて欲しいと伝え、ハッピーエンドで本当に良かったです、お疲れ様でした。

ライダー
KD175134225224.ppp-bb.dion.ne.jp

ドリーム様

まだ、全部読み終わってないのですが、最初の部分でちょっと引っかかったので。

今の61歳は団塊の世代ではありません。大分後の世代になります。団塊の世代は、1947年ごろに生まれた人たちで、今現在は70歳を超えている人たちです。彼らの若い時は、1980年代のバブル期ではなく、1970年代の高度成長期です。

永久就職というのは、女性が結婚して専業主婦になることを指します。団塊の世代の就業形態は、永久就職ではなく、終身雇用です。

こういうところで、ボロを出してしまうと、物語が信じられなくなってしまいます。それではつまらないので、言葉はもう少し慎重に、と思いました。

物語は面白そうなので、また、後程、読んでみたいと思ってます。

大丘 忍
p1793091-ipngn200202osakachuo.osaka.ocn.ne.jp

面白く拝読いたしました。離婚した夫婦が復縁する。いいことですね。
男が浮気をして女に子供を産ませる。浮気するなら、子供が生まれないように注意すべきなのに不注意ですね。夫婦がいつまでも仲良く抱き合っていれば、男が浮気をしようとは思わないのでしょうが、その時代の仕事人間ではそんなわけにはいかなかったのでしょか。
浮気をしていたとしても、私は女房と別れたくないですね。平身低頭謝って女房には居てもらいますね。もちろん、私のように女房無しでは一日も暮らせない男は浮気なんてしませんが。
いづれにしても、不幸になる話よりこのような結果めでたしのお話の方が大好きです。

叶こうえ
pw126236073083.12.panda-world.ne.jp

あなたは、妻に不倫されて、他の男との子を妊娠されて、それでも許す夫の話を書けますか?
御作を読んで楽しめるのは、年寄りの男だけだと思います。

大丘 忍
p1793091-ipngn200202osakachuo.osaka.ocn.ne.jp

叶こうえさん、実際にそうなったらどうかわかりませんね。まあ、妻が不倫したとしても他人の子供を妊娠するようヘマはやらないと思いますがね。妻なら、上手に不倫をしますよ。実際に不倫したかどうかは知りませんが。

ドリーム
softbank126159219113.bbtec.net

青井水脈さま

お読み頂きありがとうございます。
>この辺りを読んでいて、テレビ朝日の連続ドラマ「熟年離婚」を思い出したんですよ。渡哲也さんと松坂慶子さんが夫婦役で、ダブるというか。

ああ確か私も観た記憶があります。ただ内容は忘れました。
題名に離婚とあるから、離婚したんですね。
ともあれ若かろうが熟年だろうが離婚は悲惨ですね。
とくに熟年ともなれも人生の半分は一緒に過ごしただろうからショックも大きいでしょう。

ただ本作は息子と娘の存在ですね。特に娘の働きが大きかったかも知れません。
子は鎹といいますからね。有難うございました。

ドリーム
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ライダー様

お読み頂きありがとうございます。

間違いました。終身雇用ですね。失礼しました。

>今の61歳は団塊の世代ではありません。大分後の世代になります。団塊の世代は、1947年ごろに生まれた人たちで、今現在は70歳を超えている人たちです。彼らの若い時は、1980年代のバブル期ではなく、1970年代の高度成長期です。

実はこの小説を書いたのは10数年前に書いて眠らせていたものです。
丁度スカイツリー建設中の頃です。
同時小説もその時を背景にしています。つまり時代背景は2009年頃となります。つまり主人公、今だと72歳という事になります。
ややこしくてすみません。
ご指摘有難うございました。

ドリーム
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大丘 忍さま

いつもありがとうございます。

>男が浮気をして女に子供を産ませる。浮気するなら、子供が生まれないように注意すべきなのに不注意ですね。

確かに(笑)ただ女性が子を望んだとしたらどうでしょう。
実は私の知り合いですが、妻子ある上司が好きになり、どうせ貴方としは結婚出来にないのは
分かっているけど、貴方の子供がはいれば私は生きて行けます。
そんな訳でシングルマザーとして通し、その子が結婚して孫も出来て幸せだといっているそうです。女心は難しいです。

この小説では妻に離婚を切り出されて引き留める事が出来なかった負い目ですかね。
なにせ暴走機関車のように走って来た男、生活に不自由ないから少しくらいは自惚れがあったのでしょう。人はそれを若気の至りといいますが(笑)

有難うございました。

ドリーム
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叶こうえ様

>あなたは、妻に不倫されて、他の男との子を妊娠されて、それでも許す夫の話を書けますか?
御作を読んで楽しめるのは、年寄りの男だけだと思います。

これは厳しいご意見ですね。女性から見たら怒り心頭でしょうね。
あなたは女性の方ですか? 私は男ですがご指摘なされたように許せないでしょうね。
本作では被害にあったのは奥方の方、その時、離婚に踏みきれなかったのは子供がいるから
満を期して夫が退職と同時に行動に移したのですが、ただ余りにも月日が経ち過ぎました。
夫が憎くくても、仕返ししようにも遅すぎました。一旦離れて見て現実を見せつけられたのでしょう。最終的にはプチ家出に終わってしまいしまたが、夫に改めて突き突けた事は無駄では
ありませんでした。
昨今は離婚が増えていますが、だったら最初から結婚するなと言いたいですね。
あっ私ですか? そうですね一度だけ大喧嘩しましたがそれだけ。
学んだのお互いに干渉しないこと。無視する訳ではなく尊重する所は尊重するですかね。

有難うございました。

大丘 忍
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ドリーム様
男にとって、浮気というのはいろいろの程度があるんですね。相手の懇願に応じて子供を産ませるならば、妻と離婚をして浮気相手と結婚しようと思うでしょうね。そうなると浮気ではなく本気になりますね。だから浮気なら浮気とお互いに割り切っておくべきでしょう。浮気はあくまで浮気。一夜の性欲解消手段ですからね。まあ、女房が性交渉を拒まなければ浮気する必要はないんですがね。男が浮気する原因の多くは、妻が性交を拒否するというのがありますね。

ライダー
KD175134225224.ppp-bb.dion.ne.jp

ドリーム様

拝読しました。

結末どうなるのかなと思いながら、最後まで読みました。

洋輔さんは良く描かれていますね。こういう人、いるだろうと思いながら読みました。

ただ、早苗さんは、正直言って、想像ができません。女の人って、いったん思いきったら、男の人とは違って過去に拘泥してぐずぐずしないだろうと思うのですが。

離婚届出してなかったのか、良かった、よかったと思うところが、洋輔さんの人の好さでもあるし、無神経(ゴメン!)なとこだと思います。結果的に自分が試されたことに気がついていないんですね。洋輔さんはそんなに悪い人じゃありませんが、このような人のところに奥さんが戻るかな?年金を半分もらって、さっさと自分の生活を始めるんじゃないかというのが、私の感想でした。

子供たちもよくわかりません。腹違いの兄弟がいると知ったら、やはりいい気持ちはしないだろうと思います。特に、その親子の存在が自分の母親を苦しめたと知っていたら。このきょうだいも、もう成人しているとなると、経済的なことも頭に浮かぶでしょう。子供の人数が二人でなく、三人となることで、万一の時の遺産相続の金額が減ります。

こういう設定の話だと、現実にはもう少し、世知辛いんじゃないでしょうか。

十年前に書かれたという回答、納得しました。最後まで読まないで感想を書いてしまってごめんなさい。
昔書いた作品を今の時代に読んでもらうのって難しいですね。私も時々、昔書いた作品を読みなおして、あれ、と思うことがあります。その点、時代小説を書く方はいいな、古くならなくて、と思ったりします。

次回作、期待しています。

青井水脈
om126194102052.10.openmobile.ne.jp

書き足りないことがあるので、再訪失礼します。

>男と女ってどうしてもこうも人生観が違うのだろうか?

最初の洋輔のモノローグに集約されてるというか、世代間のギャップもありそうですね。
浮気の一つや二つくらい、男の甲斐性だと年配の女性が笑い飛ばしていたのを、小耳に挟んだことがあるので。
あくまで小耳にですよ(笑)

洋輔は八戸に移れば早苗に頭が上がらないでしょうし、それでいいではありませんか。小説として割り切れば。

salad
p427009-omed01.osaka.ocn.ne.jp

これ、浮気の一つや二つ、ではないですよ。
本気で子を作っているんだから事は夫婦間だけではなく嫡出子にまで影響を及ぼします。笑い飛ばす方が浅はかです。こんな事実が明るみになってもイージーに許される世界、無責任な願望に溢れたお話ですね。

叶こうえ
pw126236073083.12.panda-world.ne.jp

夫婦仲がどうのこうの、よりも、女の読者は教訓として読めばいいかもしれませんね。
御作の奥さんみたいにはならないように、精神的にも経済的にも自立しなければ泣き寝入りだと。
子育てと家事を理由に、社会的地位を諦めた奥さんも、怠けてたなと思います。
私が言いたいのは、作者の価値観は、今を生きる読者に対して、あまりにも古いということです。

u
opt-183-176-87-74.client.pikara.ne.jp

読みました
テーマとか主人公、家族の心情とかマア描くべきところは書いているんだけど
お話としても難なくまとめちゃいましたよね

でもよくよくみると、主人公にメッチャ都合の良い展開満載wwwww

若いころ浮気して相手は子供産むところがその相手死んじゃう
主人公に都合よすぎるwwww
妻に離婚切り出された後一人旅
居酒屋で漁師と意気投合し、漁師の家を訪ねると、漁師の奥さん別れた妻の同級生
偶然にしても都合よいねwww
別れた妻の実母が入院していることきかされお見舞いに行く
ここも都合よすぎwwww
長男の結婚式の件で妻と再会するも、妻離婚届提出していなかった
主人公幸運の持ち主だねwwww都合よすぎwwww

ということで話はそこそこおもろかったです
御健筆を

あでゅー
KD106154127060.au-net.ne.jp

実力がある人は、なにを書いても、読ませますね。
まるで、本当のことのように、読めました。
ありがとうございました。

ドリーム
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大丘 忍さま

再訪ありがとうございます。

>男が浮気する原因の多くは、妻が性交を拒否するというのがありますね。

そうなんですかね(笑)
それだけなら良いのですが、やはり隣の芝生は青く見えるじゃないでしょうか。
人間と言うのは欲望は絶えない、悪く言えば人の物も自分の物にしたくなる指向があります。
大きく言えば隣の国の物も欲しくなれば戦争と繋がります。
逆に欲望がなくなれば平凡で犯罪もなくなる。その代わり世の中は発展もしないし
面白くもない世界になるでしょう(笑)

ありがとうございます。

ドリーム
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ライダー様

再訪ありがとうございます。

>このような人のところに奥さんが戻るかな?年金を半分もらって、さっさと自分の生活を始めるんじゃないかというのが、私の感想でした。

今回は丸く収まりましたが、実際はライダー様の仰るとおりかも知れません。
熟年になると愛情よりも実を取る、つまり貰える物は貰って自由に生きる道もありますね。
人はそれぞれで、私はなんとも言えませんが(笑)

有難うございました。

ドリーム
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青井水脈さま
再訪ありがとうございます。


>浮気の一つや二つくらい、男の甲斐性だと年配の女性が笑い飛ばしていたのを、小耳に挟んだことがあるので。
あくまで小耳にですよ(笑)

時代劇によく出てくるセリフにありますね。
長屋の井戸端会議に、その分稼いでくれば許しみたいな(笑)
ともあれ、浮気小説を美化したように書けば批判を受けます。
そこをどう判断するかは読者様の決めること。そう思います。

有難うございました。

ドリーム
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salad様

>これ、浮気の一つや二つ、ではないですよ。
本気で子を作っているんだから事は夫婦間だけではなく嫡出子にまで影響を及ぼします。笑い飛ばす方が浅はかです。こんな事実が明るみになってもイージーに許される世界、無責任な願望に溢れたお話ですね。


もっともなご意見だと思います。
浮気は一瞬終るなら、まだしも子供まで出来ては取り返しが尽きません。
この小説では、それを痛感しているから妻に離婚届を出されても反論も止める事もできなかった。ここで夫も開き直ればドロ沼に入ります、勿論そんなドロドロの世界は描きたくありませんが。

ありがとうございました。

ドリーム
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叶こうえ様

>私が言いたいのは、作者の価値観は、今を生きる読者に対して、あまりにも古いということです。


確かに、令和の時代では発想が古いと思います。
なにせ昭和生まれの古い人間ですから(笑)

私の時代の恋愛は、いつでも会える距離なら良いですか
文通で始まり時々、電話。但し家ではバレるので公衆電話。
しかもテレホンカードがない時代、10円玉を40-50枚用意して掛けたものです(笑)

有難うございました。

ドリーム
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Uさま

お読み頂きありがとうございます。

>でもよくよくみると、主人公にメッチャ都合の良い展開満載wwwww

ハッハハ誰かにその辺を突っ込まれると思っていました。
ご都合主義のついでに作者の言い訳を聞いて下さい(笑)

>若いころ浮気して相手は子供産むところがその相手死んじゃう
主人公に都合よすぎるwwww

ここで居て生きて居られると物語はドロドロとした物語になるのでこのようにしましたハイ。

>居酒屋で漁師と意気投合し、漁師の家を訪ねると、漁師の奥さん別れた妻の同級生
偶然にしても都合よいねwww
別れた妻の実母が入院していることきかされお見舞いに行く
ここも都合よすぎwwww

この物語の長さを考えると第三者の出現がミソでして(笑)
また妻の母を見舞いに行くことにより妻の怒りを和らげる演出が必要でた。

>長男の結婚式の件で妻と再会するも、妻離婚届提出していなかった
主人公幸運の持ち主だねwwww都合よすぎwwww

はい仰る通り、ご都合主義のオンパレードでした。

>ということで話はそこそこおもろかったです

ご都合を承知で読んで頂き嬉しく思います。
ありがとうございました。

ドリーム
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あでゅ-様

お読み頂きありがとうございます。

>実力がある人は、なにを書いても、読ませますね。
まるで、本当のことのように、読めました。

いやいや実力なんてありませんよ。
私はあくまでも趣味で書いています。それを皆様方がどう評価して貰えるか
とても参考にり励みになります。
これからも宜しくお願い致します。

有難うございました。

夜の雨
ai199006.d.west.v6connect.net

「男の代償」読みました。

こういう家庭内のドラマは書けそうで書くのが難しいと思いますが、御作は見事でした。
主人公の「浅井洋輔、61才」の生きざまが書かれていました。
その生きざまが「男の代償」というタイトルになっています。

登場人物の個性がよく出ていますね。
ちょっとパターン化されていましたが、全体では洋輔の後悔と家族のきずな、友人になった漁師の斉藤幸造とかのエピソードがしっかりしていました。
構成なども上手いです。


洋輔が独り暮らしを始めたときに料理が出来ないAとか、書かれていますが、こういうのは洋輔がネットで調べれば問題なくできると思います。まだ、61歳で、ふけるような年齢ではない。
なので、Aのような苦労をするのなら、洋輔が不器用だという伏線のエピソードを仕込んでいたほうがよいかな。

A>目玉焼きの作り方だって娘ら教わったものだ。次はご飯の炊き方を教えてくれるとか。
 仕事人間の俺には、家庭では何も出来ない幼児と同じような今の俺が情けない。<


作品全体では良くできています。
人間ドラマが描けていた。
これだけの作品はなかなか書けません。

●しかしあれですね、登場人物みなさん幸せになりましたね、作品を深くするには亡くなった不倫相手の女性のことで、洋輔が悩む(悔やむ)エピソードを書きこんでおくと良いかも。
二人のあいだには大輔という息子もいることだし。

お疲れさまでした。

ドリーム
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夜の雨さま

いつもありがとうございます。

>こういう家庭内のドラマは書けそうで書くのが難しいと思いますが、御作は見事でした。

お褒め頂き本当に嬉しく思います。

>洋輔が独り暮らしを始めたときに料理が出来ないAとか、書かれていますが、こういうのは洋輔がネットで調べれば問題なくできると思います。まだ、61歳で、ふけるような年齢ではない。

実はですね、先日土鍋を買ってきて少しこげご飯を作ろうとネットを参考に作ってみたのですが半分焦げて酷いもんでした。私みたいに不器用な人間もいますから(笑)

●しかしあれですね、登場人物みなさん幸せになりましたね、作品を深くするには亡くなった不倫相手の女性のことで、洋輔が悩む(悔やむ)エピソードを書きこんでおくと良いかも。
二人のあいだには大輔という息子もいることだし。

私も不倫相手の事は亡くなった事にし省いしまいました。それなら息子との会話をもう少し入れても良かったかも知れませんね。不倫を取り上げた割には、かなりハッピーエンドになりました。


ありがとう御座いました。また宜しくお願いします。

夜の雨
ai199105.d.west.v6connect.net

再訪です。

>洋輔が独り暮らしを始めたときに料理が出来ないAとか、書かれていますが、こういうのは洋輔がネットで調べれば問題なくできると思います。まだ、61歳で、ふけるような年齢ではない。

A>実はですね、先日土鍋を買ってきて少しこげご飯を作ろうとネットを参考に作ってみたのですが半分焦げて酷いもんでした。私みたいに不器用な人間もいますから(笑)
――――――――――――――――――――――――――――――――

だから、Aの部分を描くのです、「エピソードとして(伏線として)」。
御作では娘さんが洋輔に料理を教えていますので、そこのところを「説明ではなくて」「具体的にエピソードとして書く」と、説得力が描かれるのではないかと思いますが。
卵の割り方とか、味付けの仕方とか。素人が卵を割ると、力加減で、うまく割れない。そこを書く。

●しかし、文章とか構成が上手いですね。キャラの個性もうまく書いています。大方80%は出来上がっているのではないかと思いますが。

●あと、足らないところは映画(名作、そのほか、諸々)でも観ると、良いのではないかと思われます。
小説を読むのでは時間がかかって仕方がないでしょう。
原稿用紙400枚超など、読んでいられません。
何をどれだけ書くのかを、カラダで体験するのなら、400枚超の小説(長編)を読む必要があると思いますが、ストーリーを違和感なく書く練習なら映画で充分です。
名作と言われる映画なら、具体的なエピソードで映像化しています。
映画を大量に観ることにより、ストーリーテクニックはつくと思われますが。
御作は、ストーリーの細部に問題があるので、映画で研究すればよい。小説を読むよりも楽が出来る。
何をどれだけ書くのかを、カラダで体験するのなら、400枚超の小説(長編)を読んでください、勉強になりますので。

以上です。

ドリーム
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夜の雨さま

なるほど、娘から料理を教わるシーンも入れれば良かったですね。
映画は最近見てませんが中国時代劇を見て驚きました。紫禁城を舞台にした物語で女官から皇后まで登りつめるエイラク、頭が良く度胸があり知恵が働き機転がきく、やられたらやり返す、全70話ですが録画して10回も見ても飽きません。構成が素晴らしく中国は余り褒めたくありませんが(笑)凄いものを作ると驚いてます。BS12で月曜ー金曜午後4時から現在放送中です。悔しいけどこれ程の作品日本で作れる監督いるのかな。是非お勧めします。
これなら良いヒントになるかもしれません。
ありがとうございました。

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