作家でごはん!鍛練場
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巫病 剣と魔法の物語へ

 火と鉄の時代。名誉で人が死に、野心で国が滅びていく。


 1

 各地を流れる戦火の渦、その一つが通りすぎた平原に兵士の亡骸が積み重なっている。死肉漁る鳥群に紛れ込む一人の少年がいた。
 みすぼらしい服は泥と血にまみれ、少年は死体から武器や防具を剥ぎ取っていく。手馴れた感じで幼さの割りに年季のほどが伺える。
 足音が聞こえて、少年は身を屈めた。何者かが近づいてくる。生き残った兵士か、同業者か、どちらにしても出くわしたくない相手だ。
 少年は低い姿勢のままに戦利品を乗せたそりを引いて、その場を離れたが、見逃してはくれないようだ。
 制止を呼びかける声に少年の緊張が弾けて駆け出す。そりが跳ね、いくつもの品がこぼれ落ちる。
 呼びかける声はなお続く。そのしつこさに少年は振り返った。追いかけてくるのが一人だと分かり、立ち止まって腰の短剣に手をかけた。
「大丈夫だ。なにもしない。話をするだけだ」
 追いかけてきたのは兵士だった。簡素な毛皮の防具を身にまとっている。両手を挙げて、敵意がないことを示すと、ゆっくり少年に近づく。
 兵士が少年の間合いに入った。反射的に短剣を抜き、斬りかかる。
「おっと、話をするだけだって」
 一撃目を避けた兵士が後ずさる。初手で仕留めるつもりだった少年は、焦りながらさらに踏み込む。
 勢いを欠いた二撃目、兵士はその持ち手を掴んで、組み伏せる。
 こうなってしまっては体格差で勝ち目はない。油断を誘うために少年は短剣を手放す。
 それを降参の意思を見た兵士は、少年の拘束を解いた。
「あの中に俺の友人のものがあってね。家族の元へ持ち帰らないといけないんだ」
 そう言って兵士は少年のそりを指差した。
「もちろん、買い取らせてもらうよ」
 兵士が懐から取り出した貨幣は、収集品の価値には十分な額があった。
 事情を察して警戒を緩めた少年が顔を上げる。
「お前、その目はどうしたんだ」
 兵士の言葉が上ずる。少年の右目が瞼ごと抜き取られ、底の見えない空洞になっていた。
「家は、この近くの村の子か。家族は、どうしているんだ」
 貨幣を受け取った少年は何も答えない。
「俺の村に来るか。雨風をしのぐ場所くらいは用意してやるよ。名前はあるのだろう。俺はリソン」
 兵士の誘いに隻眼の少年は「ダン」と小さな声で告げた。

 赤い土と岩だらけの丘で、二人の少年が木剣で打ちあっている。右目を眼帯で隠したダンとリソンの息子、リゼンだ。
 歳が近かったダンは最強剣士を目指すリゼンの稽古に付き合わされるようになっていた。戦で大人たちが出払っている今、相手を出来るのが他にいないこともある。
 リゼンの剣さばきに翻弄されるダン、実力差は歴然だ。
「隙あり」
 リゼンが振り上げた木剣をダンの頭部に叩き込む。遠慮のない一撃で鮮血が飛ぶ。
「重心の取り方がまだまだ甘いな」
 勝ち誇るリゼンの足元に倒れたダン。深手を負ったように見えたが、何事もなく起き上がった。
「少しは加減してくれよ。痛みは人並みにあるんだぜ。たぶん」
 出血はもう止まっている。
「緊張感がないから上達しないんだよ。首をはねたらどうなるのかな」
 次から真剣でやろうと持ちかけるリゼンに、それはさすがに死ぬ。とダンは苦笑いをして断った。

 ダンには常人離れした治癒力があった。骨折も瞬く間に治ってしまう。本人が言うには、魔女との契約でこういう体質になったらしい。その代償で右目を盗られたと。
 リゼンは稽古相手としての便利さから、理解しようとも、言いふらしたりもしなかった。右目だけなら安い代償だな。と笑いながら滅多打ちにするのだ。
「最強剣士になるって言ってるけど、どうやったらなれるんだ」
 いつものようにコテンパンにのされたダンが仰向けのままで問いかけた。
「そりゃ、黒騎士を倒すんだよ」
 リゼンは木剣を掲げて宣言する。黒騎士は、今まさに戦争状態の敵国に所属している兵の通り名だ。黒い鎧で全身を覆った一騎当千の武勇、竜巻のような暴れっぷりが敵味方問わず恐れられていた。
「そいつ、親父さんより強いのかい」
「まさか、父上に勝てるヤツなんていないよ」
 ダンにとってはリゼンの父親、リソンが最強の剣士だ。二人で相手にしても簡単にあしらわれてしまう。
 リソンは特別剣術に優れているとか、人並みはずれた腕力があるわけではない。勝てそうで勝てない。カンと言うか、間の取り方が絶妙なのだろう。
 まもなく、村にリソン率いる兵団が帰還する。そして黒騎士討伐の報を聞くことになった。
 集まった子供たちの前で、帰還兵の一人がその時の様子を語りだす。

 戦場はだだっ広い平原で、高さも、長さも、足止めにならない柵が何重かに設けられていた。その向こうの小高い丘の上で敵軍は多くの旗をなびかせ、陣を構えていた。
 旗の数は兵を多く見せるためか。状況から大した準備が出来ていないと思わせ、この機を逃すまいと一気に攻め込む。もともと戦力に圧倒的な差があり、常勝の勢いに乗っていた。
 敵陣に大きな動きはない。そして、二つ目の柵を突破したときだ。一帯の兵たちが連続する鈍音と土煙に巻き込まれて吹き飛ぶ。
 天変地異がおきたのかと慌てふためくなかで、二回目が起きる。そして三回目、上空から拳ほどの石が雨のように降り注いでくるのが見えた。
 敵は投石器という大きな仕掛けを複数用意していた。それを無数の旗で隠して、柵で射程距離を測る。そういうカラクリに見事ハマってしまう。
 投石への警戒から本陣を残して、丘を囲むように陣形を広げる。戦力をそがれながらも包囲を狭めていった。
 闘争の気負いが敵軍に届いたのか、怒涛をなして丘団が駆け下りてきた。一点突破狙う相手を挟撃するために隊列を畳み、混戦になる。
 こうなっては投石器は使えない。戦力にもまだ余裕がある。あとは押し込むだけだと本陣も前に出たときだった、上空を一筋の影が横切る。
 影は敵味方入り乱れる戦列を飛び越えて、手薄になっていた本陣の前に落下する。その正体は投石器によって打ち出された黒騎士だった。
 普通なら地面に叩きつけられて終わりだ。そうならないあたりが一騎当千の武勇たらしめているのだろう。
 本陣にいるのは形だけの総大将であるキリ王子とわずかな側近。反転して黒騎士を追う部隊も、大将首をとられるほうが早いと思っていた。
 ところが、駆けつけた兵士たちが見たのは、側近をやられ、右腕を負傷しながらも黒騎士を討ち取った王子だった。
「なんだよそれ。父上が黒騎士を倒したんじゃないかよ」
 リゼンが声を荒げて話に割って入った。
「実際に見たわけじゃないからくわしくは知らないけどな。そういうことだ」
 戦いには勝ったものの、王子の負傷や側近を失ったことで指揮系統が機能しなくなり、これ以上の進軍を取りやめた。
 敵側も黒騎士という戦術を失い、しばらくは休戦になるだろう。帰還兵はそう言い残して場を離れた。
 リゼンは父親に対して、黒騎士の首という手柄を取られた不満をぶつけるが、これからは剣ではなく畑と狩に精を出せとなだめられた。

 キリ王子は争いを嫌う、引っ込み思案であったが、黒騎士を倒したことで好戦的な性格へと一変する。
 右腕の傷が癒えないうちに兵を引き連れて、周辺の独立集落へ向かい、属国になるか、殲滅かの二択で迫る強行な活動をはじめた。
 領土拡大、労働力の確保を名目にしているが、盗賊まがいな、一方的な殺戮に、王子の道楽には付き合えない。そんな声も上がり、黒騎士の呪いを受けたのではと疑われていく。

 岩を削り、石を並べて作った水路の掃除を終えたダンが村に戻ると、土壁住居の並びにいつもの賑わいがない。
「よう、ダン。やっときたか」
 声のしたほうに顔を向ければ、屋根の上で手招きをするリゼンがいた。ダンは壁のへこみに足をかけて上り、リゼンの横に並んで屈む。村の表側に人だかりが見えた。男たちが揃っている。
「あのマントをした奴が王子だろうな」
 リゼンが人だかりの中心にいる人物を指差す。原色をつぎはぎした派手な服装、右腕に包帯を巻き、肩から下げていた。
 後ろで控えている取り巻きたちは、正装をしているが落ち着きない。村人を見回し、携帯している武器をチラつかせる。賊のような振る舞いだ。村人たちも歓迎している様子じゃない。
「何で王子がここに来るんだ」
「兵隊集めだろ」
 キリ王子個人の欲求を満たすだけの募兵をどの村もしぶっていた。王子の気まぐれに付き合っていては男手が減り、村が維持できなくなってしまう。
 集まりの悪さを理由に村々を回り、それでも拒否すれば敵とみなされる。募兵を手段にして、殺戮という状況を作り出すことが目的になっていた。
「にしても大したことなさそう奴だな」
 リゼンの言うとおり、華奢な体格なせいで、王族としての威厳や強さは感じない。しかし、ダンは自分と同じ異様さを王子に見ていた。得体の知れないものが人の姿している恐ろしさだ。
「お、何か始まるぞ」
 ダンの不安を露知らぬリゼンが嬉々として立ち上がった。
 村人が下がって場を作り、槍を携えた大男が前に出る。そして王子と向かい合う。好奇心にせかされてリゼンは屋根から飛び降りて現場へかけていく。制止の声は届かず、ダンも後を追うほかになかった。
「お前ら、家の中に入ってろって言っただろうが」
 二人に気づいた大人の警告を無視して群衆に割り込む。
「王子さん自ら一対一の決闘とは。はったりにしても気に入ったよ」
 村一番の怪力が槍を振り回し、勢いのまま刃を王子の鼻先に突きつけるが、そんな威嚇に動じることなく切っ先をつまんだ。
「お前が村で一番の戦士か」
「さて、どうだろうな」
 王子の問いに答えた男の表情から余裕が消え、引きつる。奥歯をかみしめ、槍を持つ腕は小刻みに震えて血管が浮き出ていた。槍が動かない。
 体格が一周りほど違う二人が槍を引き合う。側からはその力が拮抗しているように見えた。
 両腕で力んでいる大男とは対象に、片手でつまんでいるだけの華奢な王子は、涼しい顔で引き合っていた力を押し返す。その反力で大男は槍を持ったまま群衆の中へ倒れこんだ。
 自分より小柄な相手に力負けをした。理解の及ばぬ恐れは、怒りで払拭するほかない。再び立ち向かおうとする大男の前に、リソンが割って入った。
「父上」
 リゼンが叫ぶと周りから歓声があがった。 
「お前、見たことがあるぞ。強いやつだな」
 リソンと目をあわした王子が腰の剣を抜く。
「先の戦よりずいぶんと変われましたな。やはり、黒騎士の呪いですか」
 リソンが剣を構えてたずねた。
「かもしれない。火をあちこちに点けて回りたくなる衝動ってあるだろう」
 王子が砂煙を巻き上げるほどの跳躍力で一気に間合いをつめる。そこから二撃、三撃と斬りかかった。予想以上のすばやい動きに翻弄されながらも、リソンは剣を合わせて攻撃を凌ぐ。左腕一本の斬撃とは思えない威力で後ずさり、片ひざを突いた。
 静まり返る観衆の中で、王子の笑い声が高らかに響いた。
「やはり、命乞いするだけの無抵抗を斬るより楽しい」
 パワーもスピードも常軌を逸している。体制を戻したリソンは、しびれている手に力をこめて剣を握りなおした。勝機があるとすれば、人の姿をしていることだ。
「命のやり取りって、こんなものか」
「生きているって感じがしますか」
「そうだな。生きることは抵抗だと、悟った気分だ」
 有利不利はあれど正面から剣を合わす。二人の間は好奇心と高揚感で満ちていた。
 再び、力任せに斬りつけてくる王子の攻撃を、正確に受け流すリゼン。防戦一方の中で反撃の隙をうかがう。チャンスはすぐにおとずれた。負傷している右腕側からのなぎ払いに刃を合わせて打ち払う。
 剣に引っ張られ、王子の姿勢が伸びきった。リソンは打ち払った勢いのままに体を反転させて斬りつける。
 金属のはじける甲高い音。王子の首を狙った軌道は包帯を巻く右腕に防がれた。刃は通らず、甲高い音が無情を知らせる。
「びっくり。思わず受けてしまったよ」
 鉄を仕込んでいたのか。身分のあるものが弱点をさらしたまま戦場に立つはずがない。だからこそ、その裏を突く。そんな博打に失敗し、リソンは距離をとる。
 ざわめきが起きた。観客の視線が王子の右腕に集まる。包帯が解け、あらわになった腕が青黒い鱗で覆われている。手甲などではない。
 有機的で、鱗の隙間を青い光が脈打って流れる。五本の指は全体が獲物を捕らえるための鋭利な爪になってぎらつく。おとぎ話に出てくる恐れの象徴、竜の、その腕を思わせた。取り巻き兵も表情をこわばらせて後ずさり。
 王子が得意気に腕をかざす。その腕から青白い光の衝撃がリソンに向かって伸び、首に絡む。人知を超えた現象にまったく反応できず、王子の元に引き寄せられる。
 一瞬の出来事だった。気づけばリソンが王子の異形の手に首をつかまれている。
「自分で言うのもなんだが、気味が悪いだろう」
 静かにつぶやいた王子は、そのままリソンを地面に叩き付けた。赤土が弾け飛んで陥没するほどの衝撃にリソンの上半身が見えなくなっていた。
 期待以上の能力に笑みを浮かべる王子に、剣を振りかざしたリゼンが親の敵と飛びかかる。
 しかし、リゼンの奇襲はあっけなく異形の手に受け止められる。王子は剣を奪い取り、投げ返す。剣はリゼンの横っ腹を貫いた。
 なぜ、自分が仰向けになって倒れているのか、リゼンは理解できなかった。怒りを叫び、拳を握りたいのに体がまったく動かない。
「息子か、安心しろ。王族の手にかかったものは、この世で犯したすべての罪が許される。極楽でまた会えるさ」
 自らの剣を取り、歩み寄る王子とリゼンの間にダンが割って入った。
「お前は、あのときの。いや、違うか」
 王子が足を止めた。そんな様子を気にかけることなく、ダンはリゼンの頭を支えて視線を合わす。眼帯を外し、ダンはわずかに反応を示した濁った瞳に問いかける。
「リゼン、こっちを見るんだ。怖いのか、それとも憎いのか」
 父親が殺されたこと、もしくは負けた父親に対してなのか、なす術のない自分の非力さを呪う。チクショウと唇を震わせるだけであったが、リゼンは確かにそう唱えた。白くにじんでいく視界に赤い光が揺れた。
 リゼンの断末魔が、ダンのくりぬかれた右目の奥に赤光を宿す。
 ダンと向き合った王子が身構える。先ほどまでの余裕はなく、赤い眼光に心地良い緊張感を抱いていた。

 王子は黒騎士と対峙したときのことを思い返す。
 突如飛来した黒い影に斬り倒される部下たち。助けを請うこともできず、ゆっくりと振り上げられる死の宣告を見つめていた。その背後に隻眼の剣士が現れ、黒い蒸気をまとった片刃の剣で黒騎士の首を断つ。
 幼ささえ残る、その若い剣士の左目はまぶたごと眼球を抉り取られたよう、大きな空洞になっていた。光を飲む込む空洞の最奥に宿している青い火に、王子の意思は引き付けられていく。
 足音で物音がした。刎ねられた黒騎士の兜から頭部が転がり出て、王子に向かって跳ねる。咄嗟にかばった右腕に噛み付く。
 腕を食いちぎろうとする黒騎士の素顔は、損傷が激しく、生きているようには見えない。王子が痛みよりも驚きでもがいているところ、隻眼の剣士が剣で黒騎士の頭部を腕ごと貫いた。
 黒騎士の首が砂になって崩れていく。剣が抜かれたところで我に返った王子は悲痛を叫ぶ。
 味方の兵が駆けつけたころには剣士の姿はなく、右手を負傷した王子と、抜け殻の黒い鎧だけが残っていた。

 右手は、そのときの傷口から今の姿へと変化し、身体能力は自然の法則から外れた。何者であろうと従える力を手にしたはず。王子は異形の手を握りこみ、ダンとの間合いをつめて振り下ろす。捉えたと確信した攻撃は空を切る。ダンが王子の右腕、ひじから先をもぎ取っていた。
 吹き出る血を見て王子は喚き、遅れてきた痛みで屈みこむ。ダンが握る、鈍い光を発していた青黒い腕は白く変色し、砂となってこぼれる。
 代々受け継いできた権力にあぐらをかき、漠然とすごしてきた。願うべくもなく偶然手にした、そんな根拠のない、借りものの力であったが、流れていく砂に王子は栄光からの挫折を感じた。
 最大の武器を失っても勝負熱は冷めない。現実に立ち返った王子は剣を取る。
「待たせた。続けよう」
 怒りでも憎しみでもない、王子は、もっと根源的なものに突き動かされている。全身に響く心臓の鼓動にせきたてられる。
「やる気になっているところ悪いけど、ここまでだよ。時間切れ」
 ダンの右目から火が消えている。
「仇を討つんじゃないのか。あの二人の」
「真っ向勝負に恨みごとなんてないよ」
 倒れたままの親子を横目にダンは愛想笑いを浮かべた。一対一の決闘に敗れた者をとがめられるのは勝者だけだ。村人たちは何を発することもなく立ち尽くす。
「王子さんなんでしょ。もっと大きな勝負ができるのに。小手先の小競り合いで失敗しちゃって良いのかい」
「失敗ときたか」
 ため息を吐くその口は笑っていた。ふらつきながら剣を収めた王子は、取り巻きに支えられながら引き上げていった。

 死者の肉を焼き、骨を砕き、土に返す。身体を残してはならない。魂の抜けたむくろに魔が宿る。そんな恐れから習わし従って、リソン、リゼン親子は埋葬された。

 赤土の村を見下ろす丘に来たダンは、そこで待っていた人物と顔を合わす。相手は隻眼の左右が違うだけでダンとよく似ていた。
「よう、ジル。お前が黒騎士だったのか」
 歩み寄ったダンが問いかける。
「なんのことだ」
 間近で向き合う二人は、鏡に映すようだ。
「泳がしておけば、接触してくると思っていたのだが」
「それは悪かった。てっきりまた仕留めそこなったのかと」
 片刃の切っ先がダンの眼帯に突きつけられた。刃から黒い液体が滴る落ちる。
「その剣ならあいつを倒せるのか。仇をとったところで父さんが喜ぶわけじゃないだろうに」
「お前は父が殺されるところを見ていないからな」
 ジルは片刃の剣を収め、左目の眼帯を外した。くりぬかれた闇の底に潜む青い火があふれ出し、全身を包み込む。
 青火をまとったジルの容姿が変化していく。皮膚が甲殻に、耳は垂れ下がった角に、目は左右が一本の筋になり、縦に開いた額の筋とつながる。背には四枚の羽が生え、辛うじて人の形がわかる三つ目の青い怪物に成り果てた。
 言葉を発せるとは思えない口形からくぐもった声が聞こえた。
「犠牲が必要なお前の力では、寝首をかかれるぞ」
「心配してくれるんだ」
「右目の能力を奪われるかもしれんからな。面倒になる前につぶしておくべきか」
 ジルの高ぶる感情に呼応して広げた四枚羽はまさに燃え盛る青火、一羽ばたきともに跳躍し、飛び去っていった。


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 山越えをしている商人の一団が盗賊と遭遇した。法のない時代の強奪は悪いことではなく、賢いことになる。
 更なる不運にも、この盗賊は道をふさいで脅すような紳士じゃなく、問答無用で襲い掛かってきた。食料や金品を奪うよりも、暴れまわることが重要な輩だった。
 交渉のできない相手からは、逃げるの一択だ。
 仲間が次々倒されていく場から抜け出した二人が決死の覚悟で崖を転がり落ちていった。
 追いかけてきた盗賊が崖を覗き込む。
「この高さ、無事ではないだろう。たとえ生きながらえたとしても、このあたりにはなにもない。助からんだろう」
「うわさの古い館があるのはこの下じゃなかったか。そこに向かうつもりかもしれん」
「深追いはやめておけ。その館、怪物が住み着いているって話だ」
 暴力衝動をそれなりに満たした盗賊は、食い残しの積荷を置いて引き上げていった。

 崖は草木のよく生える柔らかい土であったため、二人の商人の命はつながった。
 とは言っても、一人はかすり傷で済んだが、相方はどこを怪我しているのかわからないほどの重傷で、意識もうろうとしている。
 周辺に村はないと聞いていた。助けは期待できない。もう一つ聞いていた怪物が住む館のうわさ。建造物であるからには、なにかしらの人の形跡、治療に使えそうな道具があるかもしれない。
 崖を飛び降りる前からそう決めていたのだろう。商人は呻く相方を担ぐ。汗なのか血なのかわからないべったりとした感触と、かすかな上下の息遣いが歩みを焦らせる。
崖を背にまっすぐ進んでいくと、ぬかるんでいた足元が固くなり、岩肌が露出してきた。そして不毛の地にたたずむ館が見えた。
 予想より近かった。商人は温存していた体力で館に急ぐ。
 そこかしこ朽ちているが、由緒ある家系が住んでいたのだろう、石造りの立派な館だった。後ろの深い谷から吹き抜ける風がうねりを上げていた。怪物の住処とうわさになるのもわかる。
 扉がずれて開いたままの玄関をくぐる。
 館内はつい今しがた手入れがされていたように整然としていた。真っ先に盗まれそうな絨毯に相方を寝かせ、布と水を探そうと立ち上がったときだった。コツコツと叩く音が聞こえてきた。獣の足音ではないがこちらに向かってきている。うわさの怪物か。
 商人は音のする館の奥を警戒しながら、武器になるものを探す。
「誰だ」
 接近してくるのは人影で、音は杖が発しているとわかったとき、商人は威嚇した。
「勝手に押し入ってきて、誰だとはずいぶんなことを」
 おだやかな声が返ってきて、暗がりの中から女性が姿を見せた。顔以外の露出している肌には模様とも文字とも言えそうな黒い刺青が見える。
「すまない。人が住んでいるとは思わなかったので」
 無用心に寄ってくる女性に、商人は気を緩めて謝罪した。
「まぁ、この有様じゃ仕方ないか。怪我人がいるようだね」
 一度引き返した女性は、どこからか緑色をした果実をつまんで戻ってくると、横たわる相方の横で屈んだ。手の中で絞ってあふれ出た汁を相方の傷口にたらす。
 出血が止まり、傷口がふさがっていく。相方の肩を揺らす荒い呼吸が穏やかな寝息に変わる。どんなにすぐれた薬品であろうと起こるはずのないことだった。
 そんな奇跡は喜びよりも不安をかりたてる。
「あなたは一体」
「医者ではないぞ。名はダーパ、と言う」
「ダーパって、あのダーパ・スアとでも」
「ほう。その名を知っているのか」
 ダーパ・スア。かつてこの地方を統治していた王国の圧政に対して反乱が起きた。その先導者の名だ。反乱成功の後に彼女も王族の血筋であることが知られ、火あぶりに処された。
 全身の黒い刺青は火傷とでも言うのか。目の前の女性に辛らつな面影は見えなかった。
 そもそも歴史ではなくおとぎ話の域だ。ダーパ・スアも王国も実在していた確証はない。よって悪魔との契約で得た力を使い、国を支配していた。とも伝えられている。
 詮索をしてもきりがない。とにかく相方の傷が癒えるまで館に居させてもらえるよう商人は申し出た。館には自分一人しか居らず、もてなすことはできないが、と女性は快く承諾した。

 不思議な果実の効果はいちじるしく、相方の体力はすっかり回復した。
「お世話になりました。この恩はいずれ返しに来ます」
 商人は刺青の女性に深々頭を下げた。
「ならその恩、今返してもらおう」
 思いがけない返答に顔を上げると、女性は良からぬ思いつきをしたときの不敵な笑みを浮かべていた。
 案内された部屋には大きな鏡が立てかけられていた。女性が鏡を開く。隠し扉になっているんだ。さぞ大切なものをしまっているのだろう。好奇心で奥の棚をのぞいた商人は驚く。二人の赤子が横たわっていたのだ。
 首に紐をかけられ、二人の子はそれぞれが片目を黒く抉り取られていた。それが死因であると商人は察した。
 やっぱり、この人はダーパ・スアだ。おとぎ話の魔女だ。現実感から遠い真実に商人はバランスを失う。甲高い音がした。女性が杖で床を叩いたのだ。おかげで倒れずにすんだ。
「そう焦りなさんな。取って食うわけじゃないよ。この子達を預かってほしいんだ」
 女性は有無を言わせぬ期待のまなざしを商人に向け、二人の赤子の首にかけられていた紐を手繰り、通されていた指輪をつまんだ。その指先から腕にかけての刺青がわずかな光を帯びる。すると赤子たちが寝息を立て始めた。
「これは時の指輪と言ってな。この子たちに成長を止めている。里に帰ったら外してやっておくれ」
 意味は理解できなかったが、死んでいるわけではなかったと商人は安堵した。
「そんなことよりも、今の生活に余裕があるわけじゃないので、養うなんてとてもできない」
「面倒を見る必要はないよ。そばに置いてくれれば良い」
「それに、小さな子を二人も連れて帰るのは厳しい」
「馬車を用意しよう」
 断りきることができないと悟った商人は自信なく尋ねた。
「この子達に、名前はあるのか」
 それを女性は承諾と受け取って口元を緩め、二人を指差して答える。
「こっちがジルで、こっちがダンだ」

 館の前には大きな馬車が待機していた。相方に二人の赤子が入ったかごを乗せても十分な余裕がある。これもおとぎ話の産物だろう。御者がいないのに目的地へ向かう。速さも尋常じゃなかった。
「もう帰ってきたのかい」
 小さな港町に戻ってきた。大きなかご抱えた商人を隣人が笑顔で迎える。盗賊に襲われて、と理由を話せば、ヤクザな商売をしているからさ。と返される。
 そっけない対応に懐かしさを、町を出る前と変わらない。紙の束がそこかしこに散乱している住居で、言われたとおりに赤子の首紐から指輪を外した。
 二人の赤子は泣くことも笑うこともなくじっと商人を見つめた。目で訴えるのは友好だ。それで親と子の関係が成立した。
 世話好きの多い町人に助けられ、子育ては順調だった。なによりも丈夫な子らで病気や怪我をすることがなかった。
 当初は隻眼でしか見分けのつかなかった二人だが、成長とともに違いが現れる。
 活動的で、怖いもの知らずのダンは町のガキ大将になっていた。砂浜で出くわした、身の丈を越す獣を取っ組み合いで追い返したことがきっかけだ。引き裂かれた衣服は血まみれなのに、かすり傷さえなかったことをかけつけた町人は不思議がった。
 一方のジルは誰とも関わらず、親が行商で扱う写本を読み漁っていた。人見知りというよりは、町の人を見下し、相手にしていない感じだ。

 ジルが恐怖を感じている。
 町の子供たちと散策しているさなかのダンに悪寒がよぎった。
「どうしたの。ダン」
 立ち尽くすダンに隣を歩いていた子供が振り返る。
「あ、いや、なんか、ジルがね」
 二人には意思の疎通がたびたび起きた。それでも相手の気持ちを察するくらいで、感情を乱れが伝わることはなかった。
「ダンってさ、ジルと仲が悪いの」
「ジルのことが嫌いなの」
 歯切れの悪いダンのもとに子供たちが集まる。
「わるい。先に帰る」
 質問攻めを振り切ってダンは駆け出した。
 いつもの部屋で本を読んでいるのだろう。そんな怖い物語でもあったのか。
 家にたどり着くとジルの名を叫んで玄関を開けた。
 巨大な獣が暴れまわったように荒らされている部屋に、青白い光に放つ殻を着込む何者かが佇んでいた。そして、その足元に倒れる育ての親の姿があった。
「ジル、なのか」
 ダンが問いかけると光の殻は蒸気になって消え、ジルが姿を現した。力なくその場で膝をつく。
 駆けつけるダンを制止するようにジルは奮い立つ。左目の深淵に青火が揺らぎ、相当の疲労から肩で息をしている。
 育ての親は胸を裂かれて絶命していた。
「思うところはあるか。怒りとか。憎しみとか」
 息切れ切れにジルがつぶやいた。
「こういうときって悲しむものじゃないのか」
「悲しんでいるのか」
 そう言い残してジルは町を去っていった。

 光と熱が人生の最後を艶やかに弔う。ダンは葬儀のあとの残り火に育ての親とジルの会話を思い出す。
「民衆の反乱で滅んだ王国があってな」
「その王国って本の話でしょ」
「そう本の話だ。ジルはもうあの本が読めるようになったのか」
 うれしそうにおどろいた育ての親とジルは反乱の先導者ダーパ・スアの話を始める。ダンもそばで聞いたが、よくしゃべるジルを珍しがって内容はまったく入ってこなかった。
 覚えていたのは、お前たちが王族の末裔である証と見せてくれた指輪だ。
 半壊した家に戻り、探してみたが指輪は見つからなかった。
 ジルが持っていったのか、あるいは。
「探し物はこいつかな」
 ふいに背後で声がして振り返ると、赤黒い外套を着た銀髪の男が立っていた。
 面識のないダンになれなれしい笑みを浮かべて、つまんだ指輪を見せびらかす。
 瞳孔のない目、傷ともしわとも言えない、深いひび割れがいくつも走り、脈動する血管がはっきりと浮かぶ。その姿が被り物であることを示す。
 男を見上げてダンは確信した。ジルはこいつに会ったんだ。
「逆賊ダーパ・スアの呪いを解きに来たよ。こういうのはやっぱり平等にしておかないと、仲間はずれはよくない」
 口を介さずに腹から響いてくる声だ。突然のことでダンに返す言葉が出てこない。
「さすがに私が犯人だと気づいているだろう。滅びた王国の話は聞いているかな。その生き残りだということも」
「あんだが、王様の家来だったと」
「字が読めないワりに賢いな。いや、カンが良いだけか。ここからは実習といこう」
 男はあざ笑っている。問答をする気のないダンは足に力をこめた。もう一歩近づいたら首根っこを押さえるつもりだ。
「ケンカに自信があるようだけど、想像してみな。なんでも解決してきた自慢の腕力が通じない相手がいるってことを」
 そう言うやいなや男はダンを家の外へ蹴り飛ばした。
 表通りに倒れ、腹をつぶされたダンは胃液と血を吐き出す。息が詰まって起き上がれない。痛みを理解するよりも危機感が先行する。
「災いの竜を倒し、人間のための国を作ると我らの王は言った。国民は平等であると。なのにさ、足の遅いやつに歩調を合わせるが気に入らないとか。平和ってのは弱者にやさしい世界じゃないのかい」
 騒ぎで集まった待ち人たちに向けて声を荒げる。
「おい、お前。何をやっているんだ」
 町人の一人が男を指さして叫ぶ。倒れている近所の子に見知らぬ男が危害を加えようとしていれば、正義が働くだろう。
「良いのか。お前らは平和より自由を選んだのだぞ」
 男の肩越し、中空に赤い光の粒が集まって一本の剣を形作った。赤光の剣は矢のように放たれ、町人の胸に突き刺さると破裂した。その半身が吹き飛ぶさまを目撃した幾人から悲鳴が上がる。
「自由を選んだということは、生きる権利を捨てることだ」
 奇怪な現象と言動に慌てふためくやじ馬たちは建物の中へと逃げ込み、通りには男と未だ起き上がれないダンが残された。そこに石ころが投げ込まれる。見れば一人の子供が困惑しながらも男を睨みつけていた。
 ダンの遊び仲間の一人だ。投石は外れたけれど、目的は達成できた。男が近づいてくる。
 相手をひきつけ、逃げ回ることでダンを助けようと子供は考えていたが、実際は足がすくんで動けなくなってしまう。災害のごとき、圧倒的な脅威を前に、運命を理解してしまったのだ。子供は男に抵抗なく捕まってしまう。
「どうした。助けを求めれば、あの子がパワーアップして悪いおじさんをやっつけてくれるかもしれないよ」
 ダンを横目に男は子供をつまみ上げた。首元を絞められる子供はもがきこそするけど、ダンのほうを見ようともしない。
「かばっているつもりなのか。面白い。じゃあ、趣向を変えよう。本にはアンデットと書かれているか。死体に対して使うものらしいが、実際は」
 子供が悲鳴を上げて手足をバタつかせる。首元より無数の黒い筋が、皮膚を裂きながら網目状に広がっていく。
 黒い筋が全身を覆い、動かなくなった子供をダンへ向かって放り投げる。
 なんとか上体を起こしたダンの目の前で子供はあおむけに倒れる。
 ダンは這いながら子供に近づく。黒い切り傷だらけ顔を覗き込むと、赤く充血した目を見た。
 反射的なことだろう。子供の片腕がダンの首をつかむ。表情はない。ただ、すがるように力を込めてダンの首を締め上げる。
 食い込む指にかまうことなくダンが顔を上げた。
「人は、どれだけ幸福な人生を送っても、その最後に後悔や未練を残す。満足して死を迎えるなんて自殺と変わらない」
 傍観する男が言う。確かにこのままじゃ死にきれない。ダンがそう思ったとき、眼帯の奥がうずいた。
 意識が一歩下がり、俯瞰した感覚になる。まだ拳を作れる。なにもない右目の空洞が熱を持つ。
 お前も後悔しているのか。ダンは無垢となった子供に視線を落とし、眼帯を外す。
 その右目には生命を象徴する赤い火が揺らいでいた。
 火を見た子供は衣服を残し、白い砂になって崩れていく。
 子供の生命力で傷を癒したダンは体力をみなぎらせて立ち上がる。
「これがあんたの目的なのか、礼を言う気はないけど」
「そこは言葉じゃなく態度で示してもらいたいな」
 男は手招きで挑発し、辺りを見渡した。
 町中の人がクワやカマなど、武器になりそうなものを手に集まってきた。
「憎悪と恐怖に満ちている。まさに人の世を成り立たせているのは法じゃなくて情ってことじゃないか」
 取り囲まれた男に慌てる様子はない。その気になれば町ごと一掃してしまうだろう。ダンを呼び戻そうとする声はあれど、誰も先陣を切らない。
「悪の組織を作って世界征服とか、人の仇になる気はないから。争うのは人同士でなけりゃ。あとは自分でその力の扱い方を学べ」
 男は指輪をかざし、その姿を消した。 

 各地の集落が土地をめぐる小競り合いを始めた。拡大した領土は国となり、富と栄誉を求めて戦いに身を賭す凶者たちが集う。
 港町も戦火にのまれ、ダンは根無し草となった。

巫病 剣と魔法の物語へ

執筆の狙い

作者 hir
f87-pc157.cty-net.ne.jp

 ファンタジー世界の国盗り物語を書くにあたって、
「遠い昔はるか彼方の銀河系で」
 みたく一言で世界観を説明する前置きがないものか考えています。

コメント

青木 航
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 ちょっと時間が有ったので覗いてみました。
 正直ラノベは嫌いです。
 有り得ないことを好き勝手に書き連ねるだけの『文字で書くマンガ』ぐらいにしか思っていませんでしたから、まともに読んだことは有りません。

 しかし、御作一気に読ませて頂きました。一口に言って面白い。描写力が有り私に欠けているものを持っている。正直、負けてると思いました。

 細かく言えば気になる点もありますが、今は、それを挙げるよりも、素直に『面白かった』『今後の展開が楽しみです』とおとお伝えしておきます。

青木 航
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追伸:ラノベでは無いですが、高橋克彦の
『火怨』『風の陣』『炎立つ』などは好きです。

夜の雨
ai197175.d.west.v6connect.net

「巫病 剣と魔法の物語へ」読みました。

原稿用紙42枚。

読ませる力のある作品でした。
ひとつひとつのエピソードが盛り上がるように描かれています。

また、御作の良いところは、読み手に創造力を膨らまさせる力があります。
導入部を読んだだけで、頭の中にそのあとのいろいろな世界の展開が浮かびます。
これって、かなりすごいことだと思いますが。

●導入部の「ダン」と「リソン」の出会い。このエピソードはしっかりとわかりやすく描かれていたので、世界に入りやすかった。
ちなみに、この導入部の時点では、ダンはそれほど強く描かれていませんが、王子のエピソードで、とたんに強くなりました。このあたりは、隠されていた力が、何かのきっかけで覚醒したとすればよいですね。(内面描写をいれると、良くなると思います)。

●リソンの村で彼の息子リゼンとの稽古とコミュニケーション。
リゼンの性格がよくわかるエピソードがある。
この後にもいろいろな人物が登場するが、キャラ設定とか個性の出し方がうまいです。

>ダンには常人離れした治癒力があった。骨折も瞬く間に治ってしまう。本人が言うには、魔女との契約でこういう体質になったらしい。その代償で右目を盗られたと。<
このあたりは稽古のエピソードがらみでさりげなく「ダン」の特殊能力を書きこんでいる。

●「王子」の登場。この王子がなかなかのキャラでよかったです。「中ボス」というところ。
なので、彼にまつわるエピソードも膨らんでいます。
リソンとリゼンも王子のエピソードに巻き込まれていますし、そこに主人公の「ダン」も参加。
てんこ盛りですが、読ませる内容でした。

●「ジル」の登場で主役はそろったという感じです。
まあ、次の商人のエピソードで、ダンとジルの関係がわかるのですが。

●商人が盗賊に襲われるエピソードが「ダン」からみになるとは、なかなかの設定でした。
もう一人の重要人物「ジル」ともからんでいるし。

●ラストにパワーがある謎の男が登場して、ダンと怪しげなコミュニケーションをとって、おさらば。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
全体にパワーのある作品だと思いましたが、会話の内容をもっとわかりやすく書いたほうが読むのが楽なので、エンタメらしいと思いますが。

>「悪の組織を作って世界征服とか、人の仇になる気はないから。争うのは人同士でなけりゃ。あとは自分でその力の扱い方を学べ」<
たとえば、ラストのことセリフでも「私は」と、頭に書きこむと、「何を言っているのかが、とたんにわかりやすくなる」。

順番から書くと、「商人」が盗賊に襲われて、逃げた屋敷で「ダン」と「ジル」が赤ちゃんとして手渡されるので、これが、物語の最初になるわけですが、時系列が変更されています。
なので、作品の流れがわかりにくいので、各エピソードの頭あたりで、「ダン」がどの時系列にいるのかをわかりやすく書いたほうがよいですね。


読ませる内容と、描写力があるので、あとは「構成」に気をつければ、「大衆受けする作品になる」と思います。


良い作品でした。

夜の雨
ai197175.d.west.v6connect.net

追加です。

こちらのサイトではこれで楽しめますが、「公募」等に応募する場合は、各パートをもっと肉付けして、「流れに厚みを、もたしたほうがよい」ですね。
御作の場合は、原稿用紙42枚で、かなりのエピソードが展開しているので、流れが薄いです。
それが、作品の本質をわかりにくくしているのではないかと思います。

以上です。

貔貅がくる
n219100087087.nct9.ne.jp

さーっと見たけど、「章立て、構成」「時系列」が乱れていて、読者不親切。
相前後して、ごちゃごちゃ、うだうだしい。


枚数の割に、ストーリーが駆け足すぎ。
「説明だけで楽して済ませてる箇所」があんまり多すぎる感じで、たぶん『いいところ』が割愛されまくって、ものすごーく味気なくなってる 鶏ガラ。



文章は読み難い。スピード感がまるでないんで、全然さくさくとは読めない・読ませない。
【書き癖】がきつすぎる。


そうなってる原因は、ぱっと見ですぐ分かったんだけど、
文章末尾の【現在形、現在形終止?】の使い方り方が、全体を通してマズいせいだ。


いっぱいありまくるけど、まあ、こういうとこ ↓ 


>キリ王子は争いを嫌う、引っ込み思案であったが、黒騎士を倒したことで好戦的な性格へと一変する。
 右腕の傷が癒えないうちに兵を引き連れて、周辺の独立集落へ向かい、属国になるか、殲滅かの二択で迫る強行な活動をはじめた。
 領土拡大、労働力の確保を名目にしているが、盗賊まがいな、一方的な殺戮に、王子の道楽には付き合えない。そんな声も上がり、黒騎士の呪いを受けたのではと疑われていく。


現在形で止めてる箇所がヘンテコ。そんで違和感ありまくるところへ、

>性格へと一変する。 >疑われていく。

現在進行形??
読者からしたら、『それは誰視点で、どの時点からしてそうなるのか??』と言いたくなるし、
口調がもう完全に【あらすじ】のそれ! だから。。



>ダンの不安を露知らぬリゼンが嬉々として立ち上がった。
 村人が下がって場を作り、槍を携えた大男が前に出る。そして王子と向かい合う。好奇心にせかされてリゼンは屋根から飛び降りて現場へかけていく。制止の声は届かず、ダンも後を追うほかになかった。

↑ 現在形終止にする箇所が、なんか毎度おかしい。



>一撃目を避けた兵士が後ずさる。初手で仕留めるつもりだった少年は、焦りながらさらに踏み込む。
 勢いを欠いた二撃目、兵士はその持ち手を掴んで、組み伏せる。
 こうなってしまっては体格差で勝ち目はない。油断を誘うために少年は短剣を手放す。

↑ のっけから「無造作に現在形連発」で、、、現在形の連続すぎる。


それはもう書き出しの、

>火と鉄の時代。名誉で人が死に、野心で国が滅びていく。

から、ずーーーっと
「現在形終止」になってる箇所できまって、作者がとにかく気を抜きまくってて、
末尾付近で文章が崩れてて、結果『チープかつずさんになる』。

その連続。



その【癖】は、、、
ここのサイト「そうなってる人」が、やたらめったら多すぎるのが現状なんだけど、

『文章の巧さは文末に出る』んで。

speech19
fp5ccadb2d.tkyc627.ap.nuro.jp

読ませていただきました

“最強剣士”という単語が出てきたところで、集中力がプツッっと。

う、うーん。ちと薄い。。なんとも小学生マンガの主人公が目指してる最強剣士的発言の雰囲気が急に。
「黒騎士を倒して最強の剣士になる」
であればセーフだったかと。
「世界一の剣豪」でも腹巻剣士は好きなんでセーフ。

隻眼の少年ダンを知りたい気持ちに読み進めたのですが。


「隙あり」?
どこのどんな隙??
描写があれば、その隙をも見逃さない凄さが伝わったのかと。。。無かったので、なんか薄いなと。


黒騎士?
ワイルドハントを思い浮かべてみたり

常人離れした治癒力?

ナルトも九尾のチカラですぐなおったな。
BOYSのスターライトもそうだなー
とか、脱線して、もう集中力が限界。

すみません、最後まで読めなかったです。
私的にはリアルさに欠け、ファンタジーにも感じ取れず、うまく入り込めなかったです。

hir
f62-pc159.cty-net.ne.jp

 青木 航さん、感想ありがとうございます。

 ライトノベルはストーリーやテーマよりもキャラクターで読者を引き込んでいく作品だと考えています。
 実際、文字で書くマンガを目指し、登場人物の個性を強くしたいと試行錯誤中です。
 思い付くまま書き進めているので、つじつまが合ってなかったり、この先の展開は真っ白な状態です。当初は1で終わらせる予定でした。
 気になる点などをあげていただけたら、参考にさせていただきます。

hir
f62-pc159.cty-net.ne.jp

 夜の雨さん、感想ありがとうございます。

 主人公の特殊能力は対象の感情を吸収してパワーアップする。ダンが憎悪。ジルが恐怖。
 死の淵にいる人からは純粋な感情を吸収できるので強さが増す。
 そんな設定で短編を三つのつもりが、アイディアが沸かず、このような形に。
 1だけじゃ説明しきれてないと思って、0を作ったのですが技量不足でした。

 キャラクター性が定まっていなかったので、私、俺、僕、等々、人称をどれにすべきか決めれませんでした。
 もっと煮詰めて書き直そうと思います。

hir
f62-pc159.cty-net.ne.jp

 貔貅がくるさん、感想ありがとうございます。

 書き癖より書き方の問題かもしれませんけど、最小限の設定ができたらあとは筆の進みに任せているので、つじつまが合わなくなります。
 文章はもっとチープにしたいと考えています。物書き始めたころの自分なら、半分の文量でまとめられたはすなのに。
 時間がたつごと、変なこだわりができて、肝心の伝える部分が濁っていくようです。

hir
f62-pc159.cty-net.ne.jp

 speech19さん、感想ありがとうございます。

 最強剣士は小学生の発言として書いたのですが、裏目に出てしまいました。
 あとは言い訳ですが、隙ありは技量の差のつもりでした。勝者が凄かったわけではなく敗者が下手だった。
 黒騎士は単純に悪っぽいイメージをつけました。
 治癒能力より不死に近いです。心臓突き刺されても大丈夫。
 少年マンガの逆転に次ぐ逆転みたいな話を作ってみたいのですが、うまく出来ません。

貔貅がくる
n219100087087.nct9.ne.jp

>物書き始めたころの自分なら、半分の文量でまとめられたはすなのに。

短くまとめろとか言ってません!

ファンタジー系は、『長く書いて、没入させてなんぼ』なんで、
こんな半端枚数で駆け足、あらすじ状態は、

もう完全に「ファンタジー失格」なんです。


『なろう』って行ったことないんで、現状は知らないけど、
電子で『なろう』小説は読んだことある。
それからすると、
【あらすじ状態】のこれを『なろう』に投稿したら、スルーだろうなー。

貔貅がくる
n219100087087.nct9.ne.jp

>最小限の設定ができたらあとは筆の進みに任せているので、

そこにも問題があって、、、

【筆速がおそい】のが歴然と分かるんです。
だもんで、全体に無駄にねちねちねちっこい。


知り合いでファンタジー小説書いてた人は、基本的にみんな筆速がはやくて、
その筆速のはやさが「本文のいきおい、流れ、よみやすさ 」に直結する。


草稿の段階だけでも、今現在の「倍の筆速」を出すようにすると、鍛錬になるかも・・だけど、

現状だと、見るからにあんまり遅すぎて、いきおい「皆無」だから、
ファンタジー書くには厳しすぎますねー。

青木 航
sp49-98-142-230.msd.spmode.ne.jp

hir様ご返信有難う御座いましす。

批評は出来ないので、単なる感想です。

>それを降参の意思を見た兵士は、少年の拘束を解いた。
こういう人は早死するかと思います。

>「あの中に俺の友人のものがあってね。家族の元へ持ち帰らないといけないんだ」

>そう言って兵士は少年の"そり"を指差した。
 敢えて漢字を避けて読み易くしたのかと思います。個人的な感覚ですが、ここは『橇』若しくは『ソリ』の方がイメージと結び付き易いのではないかと思います。

>相手を出来るのが
私見ですが、
➡️相手を出来る者が
の方が良いのでは?

>リゼンが振り上げた木剣をダンの頭部に叩き込む。遠慮のない一撃で鮮血が飛ぶ。
➡️死にますよね、普通
>深手を負ったように見えたが、何事もなく起き上がった。
➡️これが、『チート』ってやつなんですかね。
 ラノベファンは『お~スゲエ』と思うのかもしれませんが、そのセンスな無い私は白けてしまいます。
 寧ろ、『木刀で強か叩かれたにも関わらず平然としている』の方が、同じ有り得ないことの中でも、ほんの少しリアリティーが有るように思えてしまうのは、私が、こういうものに慣れていないせいでしょうか?

>ダンには常人離れした治癒力があった。
が説明になっているのかも知れませんが、一旦は崩れ落ち、死んだと思う瞬間が有って、回復する。鋼の身体を持っているという設定では無く、ダメージは受けているのだから、その方が説得力が有るように私には思えるのですが、考えてみればそんな設定は腐るほど有るので、敢えてそれを避けたと言うことでしょうか?

>最強剣士になるって言ってるけど、どうやったらなれるんだ
『最強剣士』ラノベに腐るほど出て来る言葉ですよね。私には分からないんですが、ラノベの世界には"陳腐"という概念は無いんでしょうか?

>一騎当千の武勇
もし、時代小説や歴史小説の中で使ったら陳腐な表現と間違い無く評されるであろう表現も、ラノベの中では許される?

 戦闘の場面で、敵味方の動きの説明が混在してしまい、どの部分がどちらの動きの描写なのか判然としなくなって、少し戻って確認しなければならなくなったりしました。

>キリ王子は争いを嫌う、引っ込み思案であったが、黒騎士を倒したことで好戦的な性格へと一変する。

『何故』とここで理由を求めるのはナンセンスなんですかね。『黒騎士』に取り憑かれたと言うことでした。

 すいません。ここまで細かいところに拘って疑問を呈して来ましたか、ラノベとは庶民の娯楽の王道『講談本なんだ』とここでやっと気付きました。

 江戸時代からの庶民の楽しみであった『講談本』が、web と言う新しい媒体に乗せて形を変えただけのものなのだと気付きました。遅いですね。
 であれば、細かい指摘など意味の無いことでした。

 登場人物のカタカナ名前を『孫悟空』や『おろち』や『地雷也』に変えれば、大昔から有った庶民の楽しみの王道でしかない。
 そうか、新しいのは、媒体、登場人物の名前、ものに寄っては武器の名前や国の名前がカタカナになっているだけで、相変わらず魔法や変身、時空移動などは健在。

 ただ、『講談本』と違うところが有るとすれば、カタカナの名前が沢山出て来ると名前の背景が無い為に、誰が誰やら分からなくなってしまうという新しい欠点が生まれたと言うことですかね。

 『三国志演義』や『水滸伝』など、登場人物の多い中国ものは、二文字の名前だけでは混乱するので『劉備玄徳』『豹子頭林冲』などと印象に残り易い名前表記を使っている訳で、ラノベの登場人物にもそういった工夫が必要ではないかと思います。

 申し訳ありません。最初は内容を追って感想を書いていたのですが、書いているうち、いまいち理解が及ばなかったラノベの本質に気付いてしまったもので、途中から独り言みたいになってしまいました。お許し下さい。

茅場義彦
M106072175192.v4.enabler.ne.jp

おっさんが読むには物足りないかも。。。中二ならいいかも

最初にキャラが沢山出てきたら覚えんのめんどうかも

青木 航
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 申し訳有りません。『講談本』というのは条件がもっと限定されるもののようですね。ラノベのファンタジーというカタカナジャンルは、『少年冒険小説』と言う古くから有るジャンルが、webと言う新しい舞台で新しい衣装を纏ってリニューアルしたものと言い換えておきます。

hir
f63-pc2.cty-net.ne.jp

 青木 航さん、ありがとうございます。

 確かに兵士らしからぬ甘い性格でした。縛り付けるくらいの用心さが必要と思いながらも、そういうキャラでもないかなと葛藤してます。

 自分で読めない漢字は使わないようにしています。橇は難しいので代用を考えます。荷車とか。

>相手を出来るのが
 これは誤字脱字ですね。修正します。

 おっしゃるとおりチートです。心臓貫かれても死なない設定です。その原理は考え中。
 攻撃する側の躊躇のなさを強調したかった場面でもあります。

 最強剣士は子供っぽさで書きました。うまく機能しなかったみたいです。

 戦闘の場面は難しいです。結果さえわかれば良いかと、争っている最中の描写はとっ散らかしてしまいます。

 ライトノベルは子供の時の空想をそのまま物語にした感じでしょうか。
 下調べして、リアリティを付け足したのが児童文学、冒険小説になるのかと。
 ジャンルとか意識し始めるとなにも書けなくなりそうです。

青木 航
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 ムッとするような部分も有ったかと思いますが、ご丁寧な返信有難う御座います。全て承知した上で覚悟を決めて書かれていることが伺えました。
 頑張って下さい。

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