作家でごはん!鍛練場
もんじゃ

なつみかん・ふゆみかん(十四枚・五十一枚)

『なつみかん』

「潮風高校?」
「そう」
「何それ、どこにあんの?」と私が訊くと、「千葉よ、房総半島」と母はシャネルの箱をバレンシアガの箱の上に重ねながら応えた。
 なんか暴走半島って感じに聞こえた。
「私とお父さんはしばらく身を隠すから、だから節子も……」
「身を隠すってどこに?」
「それは言えない、おまえにも言えない、当分は言えない、少なくとも一年は待ってちょうだい、おばあちゃんのとこにいて、そんでそこから学校に通って。債務返済の消滅時効……とか言ってたかな、弁護士さんが教えてくれた本当にほっとできるときまではまだまだだけど、でも取り立ての嵐は一年もすれば収まるだろうって……」
 父の会社が潰れたのだった。たくさんの借金を踏み倒してどこかに隠れてしまうつもりらしい、シャネルもバレンシアガも売り払って。
「節子は学校通わなきゃだから、それだから一緒には隠れられないから、だからしばらくはおばあちゃんとこで暮らしてほしいの」
 だからだからと母が……、少し老け込んだ母が言うのを聞いて頷かないわけにはいかなかった。
 おばあちゃんは南房総に暮らしていた、早くにおじいちゃんが死んじゃってからずっと一人で暮らしていた。母の母であるおばあちゃんは、父とは仲がよくなくて、だからこれまで父に助けてもらうこともなかった。
 遠いむかしにちょっとだけ立ち寄ったことがある、おばあちゃんの家。海を見下ろすあばら屋だった。貧しげな暮らしぶりが幼い胸にもつきんと刺さった。
 お嬢様学校と呼ばれる高校から潮風高校とかとんでもなくダサい名前の学校に転校するだなんてぞっとしたけど、まあしかたがない、人生の暗転ってやつはいつだってこんなふうに突然なんだろう、新しい私を生きるしかなかった。
 おばあちゃんと話した、公衆電話で話した、借金とりに通話履歴を調べられたら困るから。
「おっさ、おいでよ、節ちゃんおっきくなったんだべな、むかしむかしはちっくりしてて、おばあちゃんの膝でみかんとかむいてたっけな、そうか、父ちゃんの会社潰れちゃったか、したっけ、うちは節ちゃんちみたいに広くないけど、でも海は広いから、だからきゅうくつなことなんてないべ、おいでおいで」
 そんなわけで私は東京を離れた。南房総に暮らし、潮風高校とやらに通うことになった。八月のことだった。

 潮風高校前という停留所で黄色いバスを降りたら海の香りがすごかった。空にはカモメだかトンビだかが飛んでて、ぴーひょろろろ、みたいに笑えちゃう感じで鳴いていた。丸刈りの少年たちが野蛮な言葉でふざけあっていた。
 坂をのぼり始めるとすぐにばてて、立ち止まって振り向くと海だった、嘘みたいに青い海だった。なんだよおまえ、おまえのことだよ、海め、何が言いたいんだよ、そうかそうだよ、私はよそ者だよ、でもこっちだって来たくて来たんじゃない、しばらくの間なんだし、だから私に構わないでくれ、そんなふうに圧倒しないでくれ。
 宇宙みたいにだだっ広いところに独りでぽつんといるみたいだった。
 やってらんないよね、とか内心で呟きながらまた坂をのぼり始めた。汗が吹き出して白いワンピースが心配なことになってしまった。
 やっとのぼりきって小さな平屋に着いた。屋根はトタンで、リンゴより大きくてスイカより小さい石が何個ものっかっていた。物干し棹ではくたびれた下着が降参の白旗みたいに揺れていた。
 敵地の建物を調べる兵隊みたいな気分で窓の前にかがんだ。
 中には痩せた老婆がいて、私に気がつくと立ちあがり、玄関に向かって歩み、扉を開くと手招きして「よく来たべよ」と言った。
 窓から離れて玄関に進み、お化け屋敷に入る決意で突入した。
 正面に見える柱時計が頓珍漢な時刻を指していた。ずいぶんと時差があるみたいね、と冗談を言ってみた、もちろん心の中で。
「お久しぶりです、おばあちゃま、しばらく厄介になります、炊事でも洗濯でもなんでも言いつけてくださいね」と冬用のもこもこしたスリッパに真夏の陽が当たっているのを眺めながら愛想よく言った、言わないわけにもいかなかった。
「節ちゃんさあ、今はつらいかもしんないけど、そのうちまたいいことあっから、なんでもかんでもじゅんぐりだから、嵐のあとの海が鏡みたいに凪いだりもするんだから、がっかりしないで頑張るべえよ、今夜はご馳走だからさ」
 嘘のない言葉がまっすぐ胸にきた。お月さまみたいな笑顔に照らされてなんだか不思議な気分になった。潮騒が聞こえたような気がして、それは嫌な響きじゃなかった。
 びっくりするほど新鮮なお刺身をいただき、ぼろ布みたいな、けれどもお日様の匂いのする布団で眠ったら、潮の香りとともにぱっちりと目覚めた。
 海外旅行先の朝みたいな気分だった。ふわふわしたまま狭い手洗い場で髪をブローした。
 亀の手とかいうグロテスクなものが入った味噌汁を飲み干してから、まるでいつもの習慣みたいな気軽さで小屋を出た。潮風高校に向かった。歩いてすぐだった。レクサスで送ってもらう必要もない。転校初日というやつだからと念入りにブローした髪をべたべたとした風が意地悪く揺らした。負けないぞ、と思った。
 役所の建物のようにくすんだ校舎に向かってずんずんと歩んだ。
 二年二組の、一段高くなってるところから見渡すと、真っ黒に日焼けしたいくつもの顔が露骨な好奇心むき出しでずらりと並んでいた。
「都会から来たお嬢さんだから」と眼鏡の担任がスイカ畑みたいな諸君に向かって言った。「ここらのことでいろいろわからないこともあるんじゃないかと思うけど仲良くしてあげてください」
 スイカ畑なんて見たことなかったけど、すいかのめいさんち、とかそんなタイトルの歌を知っていた。歌詞に書かれた情景が教室の中に広がっていた――なかよしこよし、すいかのめいさんち。仲良くしたくもなかったけれど笑顔を作って挨拶をした。
「門田節子と申します。世田谷から引っ越してきたばかりです。右も左もわかりませんがよろしくお願いいたします」
 そのときだった。廊下で音がして、そちらを見ると男子学生がいた。半ば開いた扉の向こうからこっちを見ていた。ワイシャツのボタンを三つくらい外していた。アイスを持っていた、無邪気に白い棒アイスだった。そしてそのまま魚屋の前で立ち止まった猫みたいに動かなかった。
「おい、一年坊主の教室はまだもっと向こうだろがよ」と担任が言った。「覗き見すんじゃねえぞ」
 うぃっすとか言いながら男子はまだこっちを見ていた。
 私と目が合った。
 鏡を前に研究を重ねたとっておきの微笑みを浮かべてやった。
 彼は黒い顔を赤くして、それから怒ったような目で私を睨んだ。
 負けるもんか、とまた思った。だからよりいっそうくっきりと笑ってあげた。
 彼は退散した。
 アイスのほのかに甘い香りが教壇にまで運ばれてきた。

 一時限目の終わった休み時間、「ねえねえ門田さん」とギャルとはまた違った黒さの顔が笑いながら言った。「世田谷ってとこから来たの?」
 黒さの中で際立つ白い歯を見つめながら「はい、世田谷区の等々力から来ました」と応えた。
「世田谷って東京だよね?」と別の子に訊かれて、当たり前じゃんと思いながらも頷いて、「じゃあ等々力っていうのも東京なんだよね?」とわけのわからないことを言うまた別の子にもくたびれた気持ちをきっちり隠しながら丁寧な説明をした。
「はい、等々力っていうのは環八沿いの……、あ、環八っていうのはぐるぐる回ってる道でいつも混雑してて……、そうだ、等々力って自由ヶ丘の近くです」
「ジユウガオカ」と彼女たちはざわついた。「ドラマとかに出てくるあのジユウガオカ」
 目を伏せて視線から逃れた。木の床に塗られたワックスの匂いが新鮮だった。机の足をほんの少し動かしてみると、リノリウムの床とは違った手応えがあって面白かった。
「もしかして門田さんって私立の女子高とかそういうとこから転校してきたんじゃない?」
「あ、そうです、ずばりです」
「やっぱりね、なんかすごくお嬢様っぽいもんね、髪の毛ふわふわだし、色が白くて、目がぱっちりで、鼻が高くて、唇つやつやで、あ、ほらね……」と言いながらその子は机の上の私の指をなんだか睨むように見て「白魚のごとく、ってそんな指してる……」と続けた。
 手を引っ込めながら曖昧に笑ってみせて、「あの……」と慌てて話題を変えた。
「何?」
「この学校ってテニス部ありますか?」
「門田さんってテニスやるの?」と、少し後ろの方にいた生徒が言った。ショートヘアのなかなかかわいい子だった。
「はい、下手ですけど」
「軟式? 硬式?」
「硬式です」
「あら残念、うちには軟式しかないよ」
「そうですか」
「でもいいじゃん、やろうよ、軟テ」と言いながらその子は私の肩に手を置き「私、由香だよ、若林由香」と自己紹介をした。
「若林さん」
「ユカでいいよ」
「じゃ私もセツでいいです、前の学校でもそう呼ばれてたから」
「そう? じゃあそうする、よろしくねセツ、放課後コートに案内したげるよ」
「よろしくお願いします」
 引っ越すにあたってラケットやシューズを捨ててしまっていた。新調したら持ってきたお金を遣い果たすことになると思って迷ったけれども、やっぱりテニスをやることにした。ユカは親切だったし、何より私には何かに没頭する必要があった。
 見学してすぐに入部の意思を伝え、翌日の土曜日にはユカに連れられ市役所のある町まで出掛けてラケットやスコートやシューズを選んだ。
「これにしたら?」とユカが勧めてくれたのはYONEXの軽量ラケットだった。色はメタリックグリーン。
「私もこれ使ってるんだ、これのメタリックブラウンのやつ」
「お揃いですね」
「嫌?」
「嫌じゃないですよ、っていうかむしろ嬉しいです」
「そう?」とユカは感情を隠さずに言って「だったらもう敬語とかよしてよ、私たち友達なんだから」と続けた。
 無防備な笑顔を見ながら私も無邪気に応じた。「じゃあさ、軟式の打ち方みっちり指導してよね、よろしくね」
「責任もって教えたげるよ」
 一緒にスポーツ用品店を出た、大きな袋を背負うみたいにして。
 視線を感じた。向かいの自転車専門店の前にこちらを見ている瞳があった。ビー玉みたいに丸い瞳だった。見たことのある瞳だった。魚売り場を見つめる猫の瞳。
「半魚人じゃん」とユカが言った。
「半魚人?」
「うちの学校の一年生、海ばっか潜ってるから半魚人、ほんとの名前は、ええと、松田だったかな」
 彼に向かって微笑んだ、野良猫に向かって微笑むみたいに。
 丸い瞳が急に尖った。
 どうしていいのかわからなかったので、私はまた微笑みに力を込めた。
 すると彼は路上に停めていた自転車に乱暴にまたがり、汗が黒く染みているグレーのランニングシャツの背中を見せながら猛然と走り去った。
「変なやつ」とユカが言った。変なやつ、と私も思った。

(なつみかん・つづく)




『ふゆみかん』

 旅の途中なんです、ってオイラ応えた。何してるの? って訊かれたから。
 ファミレスの裏で残飯あさってたんだ、野良猫みたいに。だから咎めて言ったんだと思う、ウェイトレスさんは、何してるの? って。
「旅」
 と彼女は、クエスチョンマークなしで言った。自分に確認してるみたいな言い方だった。
「旅です」
 ってオイラもう一度言った。
「どっからどこまで?」
 ってまた訊かれた。
 近づいてきたウェイトレスさんのおっぱい、わりとおっきくて、気になっちゃって、だから慌てて応えた。「こっちからあっちまで」
 変な返事になっちゃったって思った。
 ありんこみたいね、って笑ってからお姉さんは、「入りなさい」って言ってオイラを裏口から事務所に入れてくれた。
 走って逃げてもよかったんだけど、お姉さんの笑顔が優しそうだったからオイラ言われるがままに入ったんだ。
 殺風景な、図工室みたいな部屋でカップラーメンご馳走になった。ラーメンは埃を振り掛けたみたいな味がした。オイラの味覚が、まあおかしくなってたんだろうな。一週間まともなもの食べてなかったから。
「学生さん?」
「元、です」
「いくつなの?」
「十八歳」
 本当は十五歳だ。
「お家の人は?」
「家なんかないし、家族は死にました」
 これも嘘。オヤジもオフクロもアネキもちゃんと生きてる、荒川区の公団住宅で。
 ウェイトレスさんはテーブルに肘ついて、でもってふうっとため息なんかついてオイラを見た。なんだよ、その迷子の相談室の係の人みたいな感じ。
 ふんっと思って横向いたら、壁には鏡が掛かってて、そこにオイラが映ってた。
 なんてこった、山猿みたいに真っ黒だ、炎天下うろうろしてたから。家出する前から伸ばしてた髪、うしろで馬の尻尾みたいに束ねてるんだけど、これはまあ似合ってるな、とか思う。ひょいひょいっとした眉の下で、何考えてんのかわかんない感じの目がビー玉みたいに光ってて、変なやつ、と思ったら、鏡の中で口が漢字の一みたいになった。
「かわいいわね、いい目をしてる」
 と、お姉さんが言った。見ると、オフクロが友達とデートに行くときみたいな目してるじゃないか、ちくしょうめ。
 よく言われたよ、かわいいわねって、ちっちゃい頃から。タンポポ組の先生にも言われたし、アネキの友達とかにも言われた。
 それってオイラの武器だ。大事に使わなきゃいけない。でも今、目の前のこのウェイトレスさんに使うのはどうなんだろ?
 おっぱいおっきすぎるし、オイラを見てる目の上の、眉の形とか八の字だし。よくないな、危険かも。
 だからオイラ、ごちそうさまでした、って大声で言って、で、自分のトートバッグ掴んで立ち上がった。
「どこに行くの?」
 答えられない。行く先なんてないから。
「あっちに行くの?」
 そうだ、あっちだ、とにかく、ここじゃないどこかに行くんだ。
「どこで寝てるの?」
 河沿いに旅してる。橋に着いたらその下がその夜のホテルだ。トートバッグに入ってるアルミマット敷いて寝てる。明け方はちょっと寒くなってきたけどまだ平気だ。
「構わないでください」ってオイラお願いするみたいに言った。
「ほっとけないでしょ」ってお姉さんは言った。「とりあえず、私の部屋にいらっしゃいよ」
 やなこった、と思ってドアに向かった。そしたら背中で声がした。
「通報するわよ」
 何だって?
「お家に連絡、嫌でしょう?」
 夕方まで事務所で待たされたあと、逮捕されたみたいに下向いて、お姉さんのあとくっついて山手線に乗った。切符は買ってもらえたから財産に痛手はなかった。

 高田馬場で降りて二十十分くらい歩いたら早稲田大学だった。冠みたいなのかぶってる時計塔、写真とかで見て知ってた。そのすぐ裏手に、お姉さんの部屋はあった。
 みすぼらしい建物だった。
 狭い階段で、「早稲田大学出身なんですか?」ってお尻に尋ねたら、「なわけないでしょ」って応えが笑いと一緒に降ってきて、なんでだろな、嬉しかった。安心したんだ。
 二階建ての二階には部屋が二つあって、手前の部屋からは変な匂いがして、そこ通りすぎた奥の部屋がお姉さんの部屋だった。
 女の人の部屋に入るだなんて生まれて初めてで、どんなふうにしたらいいのかマジわかんなくて、でもまあ一晩泊めてもらえそうだし、それってとても助かることだから、この際お行儀よくして親切にしてもらおうって打算した。
 おじゃまします、とか言って入ったら、ひどく素っ気ない部屋だった。部屋というか倉庫というか。育った団地以下だ、って思ったね、正直言うと。でも口では違うこと言った。
「素敵なアトリエですね」
 アトリエだなんて気取った言葉を、って言っといて照れた。でも咄嗟に出てきたんだよ、三脚の上の絵を見たら。
 ヌードだった。メロンみたいなおっぱい。ゲージュツ的で目のやり場に困った。
「この三脚の上の絵……」とオイラ言った。
「三脚じゃなくてイーゼルっていうのよ」
「イーゼルの上の人は……」
「私よ、自画像なの」
 言われなくてもわかる。お姉さんの絵だ。絵筆持ってる上半身。でも裸だ。なんで?
「上手ですね」って言ってみた。
「あら、ありがとう」
 本当に上手だったんだ。画用紙の中の人は生きてるみたいで、お姉さんにそっくりで、そんでもって裸で……。
「隠しときましょか」って言ってお姉さんは、絵に布掛けてくれた。
 ほっとしたよ、だってすごく本物っぽい絵だったから。
「ここって、元は美術部の部室だったの」
「美術部?」
「早稲田の美研」
 だからアトリエ風なのかな。
「でもって隣はブッカ部の部室、あっちは今でも活動してるみたい」
「ブッカ部、ですか」
「あ、物理化学部。部屋でケミカルガーデンとか作ってるみたい」
 ケミカル……?
「なんか、薬品とか混ぜ合わせて作るやつ。化学の庭なんだって」
 よくわかんない、でも変な匂いがしてた理由はなんとなくわかった。
「で、お名前は?」と、両手を腰に、前ならえの先頭の人みたいに当ててお姉さんが訊いた。口をすぼめて、ちょっとひょっとこみたいにしてる。
 用意してた嘘の名前言うべきだったんだけど、なんでだろ、本当の名前言っちゃった。
「ヒロです。寛大の寛って字でヒロ」
「昔飼ってた猫とおんなじ」
「そうですか、光栄です」
「私はリカ、リカさんって呼んで」
「どういう字ですか?」
「字なんてどうでもいいでしょ? 文通するわけじゃないんだから」
 後日わかった。果物の梨っていう字に花って書いて梨花。でも、リカって響きで十分だった、確かに漢字なんてどうでもよかった。
「じゃ、行きましょうか」
「はい?」
「まずはお風呂でしょ」
「……くさいですか?」
「自覚ないの?」と言いながら洗面器を手にしてリカさんは笑った。
 恥ずかしくなって下向いた。床板のささくれ足の親指でいじりながら思った。どうしてこんなことになってんだろ? 旅ってやつは油断がならない。

 銭湯のお金、払ってくれた。タオルも買ってくれた。助かる。けど、でも、と思った。カップラーメンもご馳走になっちゃったし、あとが怖いんじゃないか。
 心配しながらも、ごしごし体を洗った、この先いつ風呂に入れるかわかんないから。たくさん垢出た。鏡に映ったオイラ、ずいぶんやせちゃってたけど、力こめたらまだちゃんと腕にこぶとかできた。リカさんは今のとこ親切だけど、でも大人の女だからな、いざとなったら自分の身は自分で守らなきゃいけない。十五歳にもなって何言ってやがる、って思われるかもだけど、切り札として大事にとっときたいんだよ、そういうのって。だけど大事なとことか一応丁寧に洗っといた。
 脱衣場で牛乳飲んでるおっさん見て、平和だなあと思った。オヤジは相変わらず飲んだくれてんだろな。だなんて家族のこと考えたら気持ち悪くなった。あったまりすぎたのかもしんないけど。
 リカさんが出てくるの待って、夜風に吹かれて、そしたらいくらかましになった。もう家族のことなんて考えるのよそう、と思った。リカさん、ピーナッツのTシャツ着てた。スヌーピーもウッドストックも宇宙ヘルメットかぶってて、バックの紺色がほんと宇宙みたいだった。オイラ、宇宙飛行士になりたかったんだ。高校中退じゃもうなれないかもしんないな。
 帰り道、気がつくとリカさんはオイラの手ごくごく普通に握ってた。なんか親戚の姉ちゃんみたいだった。おっぱいがおっきすぎるから警戒してたんだけど、案外いい人なのかもなって思った。
 明るいうちは聞こえてた蝉の声がもう聞こえなくて、代わりに秋の虫なんだろか、鈴虫だろか、鈴虫はチンチロリンだから違うかな、ともかく虫が鳴いてた。さわさわって感じで鳴いてた。なんか予感みたいに思えたんだ。いい予感。そんなの感じたのめちゃくちゃ久しぶりだった。もしかしたら中学の真ん中へんくらい以来かもしんない。
「夏も終わるわねえ」
 リカさんの声が風みたいだった。オイラ、なんて返事したらいいのかわかんなくて黙ったまま頷いた。暗いからたぶん気がついてもらえなかったんじゃないかと思った。でもそうでもなかったのかな、リカさんの手にちょっとだけ力がこもった。だからオイラまた頷いたんだよ。

 部屋に帰るとリカさんはカレー作ってくれた。大盛りのご飯にレトルト二袋も掛けてくれたんだ。
「いくら払えばいいですか?」って思わず尋ねちゃった。そんなふうに言うのってよくないとは思ったんだけど、だってカップラーメンに続いてカレーだぜ、しかも大盛り。
「出世払いでいいわよ」って言ってリカさんは笑った。中卒のオイラが出世するわけないじゃんか、と思ったけど、面倒なこと考えてる場合じゃなかった。リカさんの気が変わらないうちにと慌ててスプーン突っ込んだ。あったかいカレーはヤバかった、うますぎた、涙出てきた。スプーンが止まらない、涙も止まらない。泣きながらがつがつ食った。この味は絶対死ぬまで忘れないって思った。
 あっという間に平らげて、顔上げたらリカさんがこっち見てた。また八の字の眉してた。そんで食べてる途中の自分のカレー指差して、これも食べる? とか言ったんだ。そんな意地汚いこと、と思った。思ったんだけど、首は横じゃなくて縦に振られてて、その首を知らない誰かの首みたいに感じながらオイラはリカさんの分も食べちゃった。
 三日分くらいは食いだめできたなって思った。さすがに満腹だった。食べ終わったら急に眠たくなった、プールの授業のあとみたいに。
 差し出してもらった歯ブラシで一週間ぶりに歯を磨きながら、戸棚ごそごそやってるリカさんの背中見てたら、そしたらなんだろ、すごく申し訳ない気持ちになってきた。
「ごめん」
 ってオイラ、だから言ったんだけど、聞こえなかったのか、リカさんそれについては何も言わず、陽気な感じで振り向いて、「これで寝てくれる?」とか言ったんだ。
 真っ赤な寝袋貸してくれた。冬用の立派なやつ。景色描きに行くときとか使うんだってさ。
「潜るとね、きっとまだ暑いから、だからそのまま敷き布団にして寝たらいいよ、で、はい、これバスタオル、タオルケットの代わりに掛けなよ」
 ありがとうございます、って言って寝袋広げてみた、寝てみた。ふわふわだ、サイコーだ、コンクリートに慣れた背中がびっくりしてるよ。
 そのときだった。
「じゃ、私の布団敷くから、これこっちに……」とか言いながらリカさんがオイラのトートバッグ掴んだんだ。
「あ、それ大事なもの入ってるから」ってオイラ急いで言った。でもそしたらリカさん笑って、「大事なものってこれのこと?」とか言いながら百均のアルミマット引っ張り出した。
 床に財布と、あれが落ちた。オイラが持って出た二つの貴重品。
 黒い財布じゃなくて紺色のあれを、やっぱりリカさん拾いあげた。
 そして黙ってる。ちょっと待ってみたんだけど何も言わない。
「中学入ったとき行ったんです、グアム、家族で」って説明した。
「グアム」と、リカさんはまたクエスチョンマークなしで言った。
「そんとき作ったんです、パスポート」
 リカさんは、中をあらためたりしないでそれを返してくれた。で、黙って自分の布団敷いてから、冷たくないけどあったかくもない声で「おやすみ」って言った。
 おやすみって返事したんだけど、何か言わなきゃいけない気がして、だから言った。「いつか外国行きたいから」
 リカさん黙ってる。
「少しでも遠くに行きたいんだ」
 って独り言みたいにまた言った。そうだ、家族から少しでも遠くに離れたい。
「明日仕事休みだから」とリカさんは、林の木みたいに立ってるイーゼルたちの向こうで言った。「だから洋服買いに行こう」
 見ると白い布団が南極とかの氷山みたいだった。闇に浮かぶ白い島。ちっこいペンギンが登ったり降りたりしてるとこ想像して、気がついたらもう朝だった。

 リカさんに連れられてジーンズショップに行って、リーバイ・ストラウス一本と、三枚入りの白Tと、それからブリーフも三枚、ソックスも三足買ってもらった。
 お店の人は親切で、更衣室でソックスもパンツもはかせてくれて、でもってそのまま帰っていいよって言ってくれた。ぴかぴかのジーンズと白Tのオイラ、鏡で見たら、なんだよなかなか悪くないじゃん。
 古い服でトートバッグが豚みたいに膨らんだ。なんか急に財産が増えた。
 それだけじゃ終わらなかった。会計してから気がついたみたいにリカさんは、「これから涼しくなるわね」とか言って店内に戻って、そんでグレーのパーカーも買い足してくれた。
 なんだってそんなによくしてくれるんだろう? 通報するつもりならTシャツもパンツも一枚ずつでいいはずだ。着替えも買ってくれたってことは旅を続けていいよってことだ。リカさんは変な大人だ。
 ジーンズショップを出たら隣のシューズマートに入ってスニーカーも買ってくれた。そんないいのじゃなくていいです、ってオイラ言ったんだけど、これが似合うよ、って言ってリカさんは本物のスタンスミス買ってくれた。かかとが紺色のやつ。
「あとは散髪かな」とかリカさん言うから、慌てて首を横に振った、馬の尻尾はお気に入りだから切られたくなかったんだ。
 帰りにコーヒーショップに入った。
「いつもこんな贅沢してるんですか?」
 って、アイスコーヒー飲みながら尋ねてみた。あの汚い部屋に住んでる人にそんなお金があるとは思えなかった。
「背伸びしてるの」
 って言ってリカさんは大人の顔で笑った。
 つらいな、って思った。こんなふうに優しくされちゃうと別れがつらくなる。でも贅沢な悩みだった。リーバイ・ストラウスとスタンスミスで旅を続けられる。心の底から感謝した。行けるとこまでまた行こう。
 店内にはきらきらしたお姉さんたちがいっぱいいた。黒いTシャツに黒いデニムのリカさんは、お葬式の人みたいで、ちっともきらきらしてないはずなんだけどでも店の中で一番目立ってた。ファミレスの制服着てるときよりずっとよかった。普通に美人っていうんじゃなくて、いくらか宇宙人みたいな顔してて、そう、ヤモリみたいに見えなくもなかったけど、でもそれがおしゃれに思えた。おっきいつり目も、少し上向いた鼻も、アヒルみたいな口も、映画館で見た外国の女優さんみたいに見えないこともなかった。それはオイラにとって新しい何かだった。親戚の姉ちゃんみたいな気さくさと、メロンみたいなおっぱいと、ときどき見せる八の字の眉と、それから外国の女優さんみたいな珍しさ、どれもこれも悪くなかった。変な大人だけど、たぶんリカさんは魅力的な大人なんだと思う。
「でね、これ」と声がして、びっくりして思いから覚めた。
 テーブルの上に鍵があった。
「二つあるの、だから一つ使って」
 鍵?
「明日からまた私仕事だし」とリカさんは当たり前みたいに言った。「あんな部屋だけど、出掛けるときは一応鍵して出てね」
 明日? 出掛けるとき?
 オイラの思い、顔に出たのかな、リカさんはオイラを安心させるみたいな言い方で言った。
「一緒に暮らしましょうよ、あったかくなってまた橋の下が恋しくなるまで」
 拾われたんだ、って気がついた。
 店内のざわざわした声が潮騒みたいに聞こえた。河を下って旅をしてたら海に出た、ってそんな感じだった。
「嫌かしら?」
 って訊かれて、首しっかり横に振った。拾ってもらえなかったら冬を越せなかったかもしれない。越せなかったら公団住宅に戻るかあの世に戻るかどっちかだった。どっちも嫌だった。春になるまでアトリエにいよう、と思った。でも、それなら働かなきゃいけない。家賃や食費の何割かだけでも稼がなきゃ駄目だ。
 出入口のとこにあった求人情報誌を一冊もらって店を出た。

 アトリエみたいな家に帰って、情報誌めくってみたけど駄目だった、年齢制限に引っ掛かって何も見つからなかった。
 財布の中のお金じゃどうにもならなかった。でも、ただで置いてもらうわけにはいかない。
 焦りながら顔を上げると、リカさん、お月さまみたいに優しく笑ってた。ますます焦る。
 どうしよう?
 そしたら急にリカさん、尻尾がはえてる悪い女みたいな顔になって言ったんだ。
「カラダで払ってもらおうかしら」
 電撃が走ったよ。そんなことそんなふうに言われるなんて思わなかった。
 動揺してオイラ下向いて、で言っちゃった。
「あの、本当は十五なんです、十八歳じゃなくて。だからインコウ条例に引っ掛かります」
 言ってからリカさんを見ると、月の顔に戻って笑ってて。なのに言うんだ。
「シャツを脱いでみて」
 真剣な口調。
 わかったよ、とオイラ思った。世間は甘くない。カップラーメンもカレーもうまかった。寝袋ふわふわだった。春まで屋根貸してもらえるんだし、だから……、こんなの安いもんだ。
 買ってもらったばかりのTシャツ剥ぎ取るように脱いで、リーバイ・ストラウスのボタン外した。
「下はいいのよ、脱がないで」
 手を止めてリカさんを見た。
 知らないリカさんがそこにいた。
「こっちに来て」
 イーゼルの林の向こうに招かれた。
「ここに座って」って言いながらリカさんは、ボクサーが座るみたいな丸椅子を、上にあったギリシャ人の上半身どかしてオイラにすすめた。
 言われたとおりにした。
「こっちを見て」
 リカさんを見た。
 手の甲を口に当てるみたいにしてリカさんはオイラを見てた。
 そして横にあったイーゼルに向かった。
「足を組める? そう。体は窓のほうに、そうよ、捻るみたいに上半身だけ、いいわ。そしたらね、ダメよ、眠そうな目をしない、いつもの目で、そう! その目。その目でこっちを、そうそう、それでいいわ、完璧、思ったとおりよ、動かないで」
 長いことそうしてた。目を開けたまま寝そうになった。もしかしたら寝てたのかもしんない。
 カラスの声が聞こえたような気がしてびくっとした。「まずはここまで」
 なんだ、リカさんの声か。
 終わった、と気がついた。オイラすっかりくたびれてた。動かないって大変なんだ。
 で、ため息ついて、首とかこきこきしてたら急に言われた。
「あなたと契約したいわ、月額で三万払います。ここの家賃と同じ額」
 えっと、どういうことだろう?
「絵のモデルをやる気はない?」
 ってことは……。
「是非お願い」と真剣な顔してリカさんは言った。
 仕事にありつけた?
 立ちあがり、イーゼルの横のリカさんのとこに行った。
 胸がばくばくしてたけど、ありがとうございます、ってちゃんと言えた。家出して、河を下って拾われて、そしたら仕事に恵まれた。なんてラッキーなんだろう。
 オイラ、モデルになっちゃった。
 はっと気がついて、リカさんの手もと覗いた。
 リカさんに見えてるオイラどんなかめちゃくちゃ気になった。
 描かれたばかりの線を見た。とても上手なデッサンだった。だけど、あれ? おかしいな、と思った。
 絵の中の男、オイラに似てたけど、でもずっと歳上に見えた。それに……。
「二十年後のあなたよ」
 二十年後、と思った。そう言われるとそうかもしれない。三十五歳になったらこんなふうになるかもしれない。でもそれはともかく、そんなことより、とまた思った。
「目がない」
 と、思いがそのまま口に出た。男には目玉がなかった。
「いつか描けるようになりたい」とリカさんは言った。「それが私の夢なの」
 夢、と、クエスチョンマークをつけないで思ってみた。リカさんの夢。
「美術の学校に通いたくてね、だからお金貯めてるの」
 学校に通いたくて……か、不登校だったオイラとずいぶん違うな。
「おかしいよね」と、ちっちゃな女の子みたいな声でリカさん。
「通ったらいいですよ」ってオイラ言った。「こんなに上手なんだから、学校なんて行かなくてもいいかもだけど、でもちゃんと学校とか行ったらもっと上手くなるかもしんないし、そしたらすごいから、それってすっごい夢だから、だから学校行ったらいいですよ」
「そう?」
 うんって強く頷いた。
「ありがとね」
 窓の向こうのオレンジを、カラスがさっと黒い線になって横切った。
 こういうのって何? 
 小さかった頃に聞いた豆腐屋さんの笛を思い出した。林間学校のキャンプで歌った唱歌を思い出したりもした。
 響くメロディみたいな何かにくるまれて、世界が突然、ぐっと押し寄せてきた。波みたいなそれに乗って、かっこよく立ち上がって、風を切れたら気持ちいいだろう。
 感謝いっぱい、そんな気持ちでリカさんを見た。
 リカさんはやっぱりお月さまみたいに笑ってた。
 よし、オイラ頑張らなきゃ、モデル頑張らなきゃ。リカさんの夢、かなえる手伝いなんだから頑張らなきゃ。
「頑張ります」
 って声に出してきちんとリカさんに約束した。

 翌朝、パン一緒に食べて、それから玄関でリカさんを、事故とかに遭いませんようにって祈りながら見送った。
 窓からも見送った。リカさんはこっち見たりしないですたすた行っちゃった。
 リカさんがいなくなると、ちょっと不気味なくらいにしんとなった。
 八畳くらいあるのかな、わりと広い部屋。茶色い板の床、茶色い板の壁、冬になったら寒そうだ。
 西向きかな、太陽が沈んだ方向だからきっとそうだよな、うん、西向きの窓が一つあって、アルミの柵がついてて、そこに靴下がぶら下がってた。
 広い押し入れがあって、上の段にはリカさんの布団が、下の段には着ない服とかストーブとか入ってた。
 クーラーはなくて扇風機があって、ちっちゃな冷蔵庫があってテレビはなかった。
 風呂もトイレもなかった。でも流しはあった。ぴかぴかだったよ、そのへん彼女わりとちゃんとしてるんだね。
 玄関側の半分が御飯するとこ、ちゃぶ台立てたらオイラの寝るとこ。窓側の半分はリカさんが絵描くとこ、そんで夜になったら布団敷いて寝るとこ。オイラの側とリカさんの側の間にはイーゼルたち。絵が掛かってるのもあれば掛かってないのもあった。裸のリカさんの絵も目玉のないオイラの絵も部屋の真ん中にあったってわけ。
 あと隅っこにギリシャ人の上半身があった、絵描きさんがモデルにするやつ、つまりオイラのライバル。
 昼間っから薄暗くてさ、裸電球つけたくなったけど節電することにして暗いままでいた。
 窓から野良猫見たり、口笛でロックンロール吹いたり、昼御飯の菓子パンをフライングでかじったりしたけどまだ全然お昼にならなかった。
 ヒマだと人間ワルになる、ってそんな格言があったよね、なかったかもしんないけど、オイラ悪いことした。布めくっちゃったんだよ、裸のリカさんの絵の。玄関見て天井見て、そんで横目で絵を見てそれから正面から見て、とうとう近づいて見ちゃった。
 やらしいなあ、と思った。なんたって裸なんだぜ。エロ本の女とは違うよ。だってリカさんなんだから。乳首だってちゃんと描かれてる。本当にこんなおっぱいしてんのかなあ。
 そのときドアが叩かれた。
 夢中になってたから聞こえなかったんだ、階段上ってくる足音。
 リカさんが帰ってきたのかと思った。慌てて布かぶせた。心臓すごいことになってる。
 またドアが叩かれた。
「はい」
 オイラの声、知らない誰かの声みたいだった。
「春日さん?」
 って声がした。リカさんじゃない。男の声だ。春日って誰だ?
「いらっしゃいますか?」
 また言った。
 そうか、春日さんっていうんだ、リカさんは。リカさんのお客だ。
「あの、春日さんは留守です」
 って言っちゃった、黙って居留守してればよかったのに。
「そうですか」って声がして、それからちょっと困ったみたいな調子であとが続いた。「お土産をですね、買ってきたんですけど、あ、千葉の実家に行ってたんで、だから春日さんにお土産を……」
 リカさんにお土産? お土産って何だよ? こいつ、リカさんの何なんだ?
 なんでだか急に勇気が湧いちゃって、玄関行ってドアに向かって言った。「どちらさまですか?」
「あ、西村です、隣のブッカ部の、西村って言います」
 怪しいやつではなさそうだ。
 ドア開けた。
 ひょろっとした人が立ってた。髪が長くて眼鏡掛けてて、なんだかバッタみたいに見えた。
 オイラが子供だったからだろう、バッタのやつ、あれ? って顔してから背筋伸ばして、口に拳骨とか当てて少し咳き込むみたいにした。そんで言った。「春日さんはお留守かい?」
「仕事に出てます」
「ファミレス?」
「そうです」
「今日休みの日じゃなかったかな」
「休みは昨日でした」
「そうだっけ。で、君は留守番?」
「まあ、そうです」
「これ、お土産なんだ」
 そう言って袋をくれた。わりと重くて冷たかった。
「サバなんだ、千葉で獲れたばかりの。あぶらがのってておいしいよ」
 袋とバッタ交互に見て、嘘じゃなさそうなんでありがとうございますってお礼言った。
「冷蔵庫にしまっておいて、で春日さんが戻ったら渡してくれるかい?」
 頷いた。
「西村からだ、って」とまたバッタが言った。
 もう一度頷いた。それでドア閉めようとした。
 だけどバッタは、「もしよかったらなんだけど」って言ってドア押さえた。「流しと包丁を貸してくれないかな?」
 包丁?
「部室に包丁なくってさ。ワタ取っといたらあとが楽だろ? ほら、魚のワタってさ、女性にはちょっとね?」
 ちょっとね、って言い方がなんかダサかったけど、確かにそうだなって思った。リカさん疲れて帰ってくるだろうし。
「いいかい?」
「どうぞ」って言って閉め掛けてたドア開けた。「入ってください」
 バッタは背が高かった。並んだら首が痛いほどだった。
 バッタは流しのとこ行って、すっと包丁を手に取った。まな板を敷いた。慣れてる感じだった。前にもここに入ったことあるな、って探偵みたいに推理した。
 包み開いて、きらきらしてる魚取り出して、それからバッタはオイラに訊いた。
「親戚の子かい?」
 リカさんが親戚の姉ちゃんに思えたこと思い出した。
「まあ、そうです」って応えながら思った。オイラさっき何してたんだろ、親戚の姉ちゃんみたいなリカさんをやらしい目で見て……。
「今日は学校休みかい?」
 嫌なこと訊くなあ。「創立記念日です」
「学校は楽しいかい?」
「まあ、そうですね」
「勉強、好きかい?」
 そうか、バッタめ、こいつ早稲田大学なんだ、偏差値高いんだ。「偏差値四十くらいです」と応えてから尋ねた。「お兄さんは七十くらいですか?」
 きょとんとした顔で振り向いてバッタは歯を剥き出して笑った。
 イケてない笑い方だ。
「好きな科目は何だい?」
「国語です」
 嘘じゃない。国語の点数だけはずっとよかった。
「ほう、すごいね。僕なんか国語は苦手だな。人間の言葉ってやつは、これ、僕にはどうにもよくわらかない。曖昧だし、錯綜してるし、割り切れないから嫌になる。言語ってやつは実にカオスだ、化学式なんかに比べてね。あ、化学式はもう習ったね?」
「えいちつーおー」
「うん、そうだ。水素二つは酸素一つと化合して水になる。これだ」と言ってバッタは蛇口を捻って水を出した。魚のお腹を洗ってる。
「えいちつーおーとかよんぱいあーるじじょーとか呪文にしか聞こえないです、バカだから」
 それには応えず、「よしできた」と言うとバッタは戸棚開けて皿出して、魚を乗せてラップでくるんだ。包丁やまな板洗って、取り出した内臓を魚が入ってた袋に入れた。
 手際がいい。
「いつもそんなふうにやってくださってるんですか? 姉ちゃんのために」
「うん」って言いながらバッタは冷蔵庫に行って魚しまった。
 なんかすごく変な感じだった。
「お茶でも飲みますか?」
 なんでオイラそんなこと言ったんだろう、自分のお茶でもないのに。
「お、いいかい?」って言ってバッタはまた歯を剥き出して笑った。
 冷蔵庫の中から麦茶が入ってる容器出して、コップと一緒にちゃぶ台に並べた。
 バッタの向かいに座ってから、気がついて立ち上がり、裸電球をかちっとつけた。
 明るくなるとバッタは少しだけ人間らしく見えた。眼鏡の向こうの目がよく見えるようになったからかもしんない。
「春日さんは偉いよね、よく働くね」と目を細めるみたいにして彼は言った。
 あんたは親のお金でお勉強か? って意地悪く思った。ケミカルガーデンだか作っていい気なもんだ。
 そしたら西村、空気漏らすみたいに言った。「親もいないし、身寄りもないって聞いてたけど……」
 オイラを見た。「親戚の子がいたんだね?」
 親がいない?
 知らなかったけど、知ってるふりして頷いた。だって親戚の子なんだから。
 リカさんも独りぼっちなのかな。
 網戸にしてる窓から、秋の始めみたいな風が入ってきた。どこかで感じたことある風だ。ずいぶん前に、どこかで……。
 麦茶のコップをかたんと置いて、その音に弾かれたみたいに西村が言った。
「恋を知っているかい?」
 恋?
 訊いといて西村は自分で答えた。「鯉はコイ目・コイ科に分類される魚で、川や池、沼や湖に生息する淡水魚だ」
 麦茶をごくりとしてやった、わざと音が出るように。
「っていうのは冗談だよ、魚のことじゃない」
 そりゃそうだろ。
「人をセクシャルに好きになったときにね、陥る心の状態を恋というんだ」
「知ってます」ってオイラ言った。
「お、知ってるかい?」
「ヘッセが書いてます」
「ヘッセ?」
「ヘルマン・ヘッセです」
「車輪の下、だったかな」
「はい、車輪の下、デミアン、クルヌプ、ナルチスとゴルトムント、荒野のおおかみ、そしてガラス玉演戯……」
「おいおい、すごいね」
「中学では文芸部の部長でした」
「そりゃ恐れ入ったね」と言って西村はあごを上げて笑った。今度の笑い方はそんなにダサくなかった。
「じゃあ、教えてくれるかい?」
 何を?
「好きな人がさ、もしも他の人を好きだったら……」と言う西村の目は真剣で。「どうしたらいい?」
 コップを強く握って考えた。西村はたぶんリカさんが好きなんだ。ってことはリカさん、好きな人がいる……?
 麦茶の茶色がちょっと濃くなったように見えた。
「ごめんごめん、子供に尋ねたってわかるわけないよな」
「水になればいいんじゃないですか?」
「何だって?」
「水ですよ、酸素一つと水素二つが化合したらいい」
 西村の丸い目眺めながら冷蔵庫のぶうんって音聴いた。勝利の音色だ。ざまみろ、って思った。
「ヘルマン・ヘッセの言葉かい?」
「青山寛の言葉です」
 思いついたこと適当に言っただけだけど。
「水ってのは何の喩えだい?」
「あるべき状態の喩えです」
 西村は考えてるみたいだった。でも何もわからなかったんだろう、首を横に振って笑った。
「難しいね、人間の言葉ってやつは」
「4πr²の方が難しいですよ」
「いや、球体の表面積ならここで求められる」と言って西村は自分の頭を指差して、それから続けた。「でも恋の答えはここで求めなきゃならないからね」
 胸を痛そうに押さえて彼は小学生みたいな目でオイラを見た。
 大学生ってこんなもんか。
「さて」とか西村は呟いて、胡座にしてた足いったん正座にして、そんで背筋を伸ばし、「お茶をごちそうさま」って言ってオイラを見た。
「お構いもできませんで」
 立ち上がって彼は、「サバ、春日さんにね」って言って、バッタに戻ったみたいなぎくしゃくした歩き方で玄関に向かった。
 恋する大人の背中ってやつを観察した。あんまりいい眺めでもなかったな。
「じゃ、春日さんによろしく」って魚の内臓が入った袋を振るみたいにしてバッタは言った。
「さよなら」って言って見送った。
 春日さん、春日さん、春日さん、か……って思いながら部屋の真ん中に行って裸電球をまたかちりと消した。
 リカさんに好きな人……?
 イーゼルのとこ行って布外して裸のリカさんを見た。薄暗い部屋の中の白い体。
 なんでかな、もうリカさんはやらしく見えなかった。寂しそうだった。おっぱい見て、おっぱいあーるじょ、っとか言ってふざけてみたけど面白くもなんともなかった。玄関の前に戻ってちゃぶ台どかして寝転んで、天井見ながら窓からの風を感じた。
 橋の下で拾った子だよ、って声がした。そうか、この風、あの日吹いてた風に似てるんだ。

 バスタブに沈められて息できなかった。もう少しで本当に死ぬとこだった。
 オイラ小学一年生だった。
 オフクロ迎えに来たボーイフレンドの車、クソダセえって言ったらオフクロに頭掴まれた。
 一緒に風呂入ってたんだよ。で、向かいで揺れてるおっぱい見ながらオイラ言ったんだ、クソダセえって。
 ほんとのこと言うと車はカッコよかった、赤くて平べったくて宇宙船みたいだった。でも嫌だったんだ。学校から帰ったらそれ団地の前に停まってて、横でオフクロが短いスカートの裾揺らしてた。
 お姉ちゃんが帰ったらおやつをもらいなさい、って言い残してオフクロ、ボーイフレンドと一緒に行っちゃった。オイラ自分の鍵で家入って、テレビ観ながらクラッシュデニムのボーイフレンドのこと呪った。あの車が事故りますようにって思って、でもそしたらオフクロもヤバいって気がついて慌てて呪い直した。クラッシュデニムだけがもっとぼろぼろになりますようにって。
 小学校に上がってもオフクロと風呂に入ってた。アネキはそんなの変だよって言って、友達もおかしいよって言ったから一人で入りたかったんだけどオフクロは一緒に入るって言ってきかなかった。いつも頭を洗ってくれた。お湯が入らないようにってぎゅっと目を閉じてると、オフクロの匂いが目開けてるときよりもっとはっきりわかった。
 いつ頃からだろう、たぶんオフクロがボーイフレンドと遊ぶようになってからだ、匂いが少し違うみたいになった。新しい匂いがあんまり好きじゃなかった。なんでだかボーイフレンドの匂いみたいな気がしたんだ。
 その日オフクロは二時間くらいでデートから戻って、まだ明るいうちからお風呂沸かして、オイラに服脱ぎなさいって言った。アネキはテレビ観てて、オヤジはもちろん仕事から戻ってなかった。
 すごく嫌だったの覚えてる。デートから帰ったばかりのオフクロと風呂入るだなんてめちゃくちゃ嫌だった。でもオフクロって気に入らないことあるとすぐきいって怒るから、だから言われたとおり服脱いだ。
 やっぱりだった。オフクロからは嫌な匂いがした。頭洗ってもらいながらはっきり感じた。その匂いは赤いスポーツカーを思わせた。クラッシュデニムを思わせた。
 バスタブの中で向かい合って、お湯の中で揺れてるおっぱいがなんだか憎らしくて、だから言ったんだ、あんな車クソダセえって。
 頭掴まれて沈められて、上から押さえられて息ができなかった。手を伸ばしておっぱい掴んだ。そんでぎゅって力を込めてやった。
 押さえが緩んだ。頭を突き上げた。
 浮かび上がったら目の前に知らない女がいた。よその知らない母ちゃんとお風呂入っちゃったのかなって、ガキだったオイラマジそんなふうに思ったくらいだ。
「おまえなんて要らない」
 ってそいつは言った。オフクロの声で言った。
 オマエナンテイラナイ?
「おまえなんて橋の下で拾った子だよ」
 ハシノシタ?
 目にお湯が入ったのかな、って思った。ぼやけて世界がよく見えなかった。
 風呂から出されて、体乱暴に拭かれて、それから茶の間に連れてかれて裸のまんまベランダに出された。
 アネキがすごく驚いてたな。
 団地は三階で、外を行く下の人から見られないように、サッシにぺったり背中つけてオイラ震えてた。
 まだ夏の雲だったけど、お日様は沈みかけてた。遠くのビルの向こうに沈んでくとこじっと見た。これが沈んだらもう夜なんだ、って思った。
 知ってるかい? 太陽ってさ、上の方にあるときは止まって見えるだろ、でも沈んでくときってすごく速いんだ。逃げるみたいに隠れるみたいに慌てて沈んでく。あのときもそうだった。あっという間に沈んじゃった。
 そしたらビルの上あたりオレンジになった、空の高いとこはまだブルーだったけど。オレンジとブルーがきっかり分かれてて、でもおんなじ空だってんだから不思議だったな。知らない世界が見えた気がした。
 オレンジに溶けるみたいにビルがぼやけた。お湯が入ったんじゃなかったんだって気がついた。世界が歪んで見えるのはオイラが泣いてるからだ。
 カラスが鳴いて、一本また一本って感じで黒い線になってどっかに帰ってった。帰るとこあんだね、って羨ましく思った。ここは家だから、オイラの家だから、ここからどっかに帰るなんてできないんだって思った。
 橋の下で拾った子だよ、って声が蘇った。
 いつかもっとおっきくなったら、って思った。そしたら帰ろう、オイラ橋の下に。
 そのときだよ。風が吹いたんだ。昼間の熱風じゃない。やさしい風だった。それはオレンジの向こうから吹いてきたんだ。
 どっか遠くにきっとある、って思った。オイラの本当の家があるって思った。
 そこにはほんとの母ちゃんがいて……、とかガキだったオイラ呟くみたいに思った。
 空の上の方、まだブルーなとこに羽根っぽいのが見えた気がして、よく見たら小指の爪みたいな三日月だった。白かったけど、見てるうちにだんだん黄色くなって、どんどん明るくなって、すがるみたいにオイラそれ見つめた。なんだか月も、さっきの風みたいにやさしかった。ほんのりだけどやさしかった。ほっとした。歪んでた世界も徐々にくっきりしてきて、だからオイラ思った。負けないぞ、って思った。いつかオレンジの向こうの世界に帰って本当のホンモノの母ちゃんにただいまって言うんだ。
 裸の体が冷えきったころ、オフクロがサッシ開けて、入りなさいって言った。いつものオフクロに戻ってたけど、騙されないぞって思った。そこにいるのはもうニセモノの母ちゃんだった。
 それ以来風呂は一人で入った。
 二年生に上がってからも、三年生になってからも、いろんな色の車がやって来たけど、知ったことかって思った。
 学校が終わると一人で図書館に行った。本の隅々までを探索した。頁のあちこちでホンモノの欠片がみつかった。集めた欠片をジグソーパズルみたいに組み合わせたら秘密の地図ができそうだった。オレンジな世界に帰るための地図。少しずつわかってくるこの世界、それから向こうの世界、ブルーとオレンジみたいに混じり合わないで二つはあった。
 風が迎えに来てくれるのを待ってた。一週間前ついに風は吹いた。財布とパスポートをバッグに入れて家を出た。途中の百均でアルミマット買った。河に出て、橋を目指した。
 次の橋では何かに出会える、そう思って日々歩いた。けど、何にも出会えずにいた。
 何してるの?
 って訊かれて、
 旅です。
 って応えたあのときまで、オイラまだオレンジな世界の存在を半信半疑に思ってたような気がする。でもリカさんに拾われて始まった、本当の旅が始まった。
 もう団地には帰らない。オイラ行くんだ。外国にだって行って、世界の果てにだって行って、そんで帰るんだ、本当のホンモノの世界に。

(ふゆみかん・つづく)

なつみかん・ふゆみかん(十四枚・五十一枚)

執筆の狙い

作者 もんじゃ
KD106154133074.au-net.ne.jp

 二つの話を同時に執筆中です。続きをより読みたいと思っていただけました方を先に仕上げたいと思っています。二択ならどちらがよりマシでありましょうか?
「どっちも読みたくねー!」って場合はそっとしといてやってください。
 あ、あと「どっちかにしてくれーい」って方には『ふゆみかん』の方をおすすめしちゃいます、五十一枚あるけどそうめんみたいな文章なんですぐ読めちゃうかと思われますので。
 よろしくお願いいたします。

コメント

読み人
sp1-72-6-110.msc.spmode.ne.jp

まずは「なつみかん」の感想
節子が社会人七年目くらいに感じる。まるで自分にこれから起こる未知の世界を把握しているかのごとく歩んでいくのは如何なものか。つぎは「ふゆみかん」

sin
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 両方とも拝読しました。私としては「ふゆみかん」の方が面白くなりそうだなと思います。
 「なつみかん」の方は、おばちゃんの家の描写など良い面も多々あると思うのですがいかんせんパワー不足という印象を受けます。環境の変化を活写するなら、変化前の環境を節子がどう思っていたかなども書いた方がよかったのではないでしょうか。そのせいで節子のキャラが薄味になっている気がします。あと文体がところどころ大仰で、世界観もコミカルな感じなのがちょっと気になりました。具体的には「潮風高校」のネーミングとか、節子の容姿の描写とか。いっそのこともっと振り切った方が面白くなるかもしれません。
 それとは対照的に「ふゆみかん」の方は、ブルーとオレンジの世界観が心地よく感じられました。それにキャラも立っていてちゃんと共感できるように書かれています。ベタといってしまえばおしまいですが、王道をきちんと書ける人を私は評価したいです。リカさんやバッタの重ね塗りのような人物描写はとても良かったと思います。特に「バッタ」という一語にキャラの印象を集約させるのは上手な描写だと感じました。以前の「ペトロ」の話とテーマが似ていますが、個人的にはこっちの方が好みですね。母親の喪失というテーマを基調に現実と非現実の境界を闊歩している感じがよい雰囲気を醸し出していますし、一人称オイラでの語り口も上々な軽妙さです。
 ただ強いていうなら、前半部分が良かった分後半が凡な結末に終わると一気に印象が悪くなる気がしてそこが気がかりですね。元々ちょっと(ダサい表現ですね)ありがちな作品ですし、読者の予想の裏をかくような驚くべき結末があると個人的にはありがたいです。余計なお世話かもしれませんが。

 あとこっちの方が間違いなく余計なお世話なのですが、失礼を承知で申し上げます。もうブロンコさんに構うのはよした方がいいと思います。自分の投稿の感想返しでも書きましたがあれはネットによくいるかまってちゃん気質の荒らしです。他人との非難の応酬の中で自分の存在を実感する虚しい人種なわけです。伝言板でここを散々くさしながら、実際にはぴったりしがみついて離れようとしないのがいい証拠でしょう。あの手の輩は非難しようが説得を試みようがすべて快楽に変えてますますつけあがるだけです。
 加えてあの人には文学的教養もロクにありません。以前の感想返しで私は実存主義の用語をあちこちにちりばめましたがあの人は無頓着でした。つまるところその程度の知識しかないわけです。ネットには「荒らしに構う方も荒らし」という金言がありますし、個人的には放っておくのが吉だと思います。

茅場義彦
133.106.148.39

全体的に昭和っぽいでづね

オイラとか

個性とか新しさもちょっと無いかなあ ペデロのほうが 見たことない感ありまぢた

でもオイラ悟空のオイラを僕にすれば 昭和感減るかもですね

舞台がそもそも正和ならこれでいですが

もんじゃ
KD106154133074.au-net.ne.jp

 読み人さま

 ありがとうございます。

>節子が社会人七年目くらいに感じる。

 語り手が節子になりきれていない、みたいなご感想でありましょうか。
 どのあたりで七年目なのがわかりましたか?
 よろしければその箇所を指摘していただけると勉強になります。

 これからふゆみかんを、と書いていただいたため、返信を控えて待機していました。ちょっと時間が経ってしまったので返信を開始します。

 早速のご感想をありがとうございました。

もんじゃ
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 sinさま

 ありがとうございます。

 ちょっと生意気な感じで返信してみようかな。取り澄ましたくはないので。

>なつみかん、パワー不足

 なつみかんもふゆみかんもそれぞれ全尺の五分の一程度といったところで物語は始まったばかりです。
 なつみかんはすでにエンディングまで含めてかなり詳細なストーリーが書き手の内にあるのですが、ふゆみかんにあるのは尺のイメージのみで、あてどなく筆を走らせていてエンディングも見えておらず、まさに旅の途中みたいな感じです。見えてないからでありましょう、書き手としてもふゆみかんの方が書いていてわくわくします、旅なので。それが読み手に伝わるのかもしれません。
 その意味で、ご指摘のように、現状ではなつみかんの方がおとなしいかもしれない。けれども、冒頭の暴走半島という言葉で予告していたりもするのですが、なつみかんには、このあと、とりわけエンディングにおいてとんでもない暴風が吹き荒れます。なので今は嵐の前の静けさなのでありました。

>世界観もコミカルな感じ

 ご指摘ありがとうございます。これはもう書き手の作風でさえあるかもしれないのですが、シリアスになりきれないし、なりたがらないのですね、登場人物が。実はなつみかんは、語り手こそ節子でありますが、主人公は視点人物である節子にあらず、見られている側の松田=半魚人なのでありました。彼を魅力的に書いてゆくつもりです。節子には彼を、ちょっとのっぴきならない感じの彼を、歳上ならではの光で照らしてもらうわけですが、光源の性格を暗くしたくない、明るくしたい、闇という環境の中においてもルクスを高めてやりたいと考えていたりします。節子の語りにユーモラスな調子を与えているのはそのへんの思惑もあるから、かもしれません、なにせ話がずいぶんと切なく展開してゆく予定なので、キャラはライトウェイトにしておきたくもあるのでした。

>具体的には「潮風高校」のネーミングとか、節子の容姿の描写とか。

 あれ? コミカルとのご指摘は節子についてじゃありませんでしたか……。なるほど、そのあたりは登場人物の問題じゃなくて書き手の問題でありますね。書き手が暗さに堪えられないのかもしれない。

>ふゆみかん、ブルーとオレンジの世界観

 端的なご指摘をありがとうございます。そういう話なのでありましょうね、たぶん。

>ふゆみかん、キャラも立っていてちゃんと共感できるように書かれています。

 キャラが座っているものを書きたいわけではないのですが、キャラの心や気持ちを体温が感じられるように書くことをあまり好まない書き手ではあります。が、前作感想欄にて指南していただきまして今回はそのようにしています。
 心や気持ちは、心や気持ちの外に立って初めてまともに書けます、中で溺れていたのでは書けません、作家は書く側であり書かれる側ではないからです。そう思います。

>ベタといってしまえばおしまいですが、王道をきちんと書ける人を私は評価したい

 ベタは嫌いです、照れますし。というかさんざん書かれていることをまた書いても面白くないし。ごはん内で売文するわけではないので。
 だから、ふゆみかんもベタで終えることはたぶんしません。メタに踏み出さないよう手綱をさばいているけど、踏み出さざるを得なくなったら踏み出しちゃいます。っていうか、オイラくんの肖像に目玉がなかったり、リカさんのおっぱいがやたらと強調されてるあたりから、もうメタは始動しちゃってるわけですね。ペトロの話みたいになっちゃよろしくないと感じる読み手がメジャーかと思うけど……、あれ、でも、うーん、どうしようかな、ご指南に則って書いてるわけだから……とか、ふゆみかんは読み手に最後まで寄り添ってみようか、実験的に。はい、決めました、そうします。はみ出しすぎないでオレンジを描いてみます、そのように努めます。

>ただ強いていうなら、前半部分が良かった分後半が凡な結末に終わると一気に印象が悪くなる気がしてそこが気がかり

 そこですよね。でも凡には終わらない予感があります。そういう書き手じゃありません。むしろペトロになるほうが読者をがっかりさせるかもしれません。そちらを警戒して書き進めてみます、今回は。
 みかんシリーズはどちらも、わかりやすく、を前提に書いています。鍛練場の書き手でもある読み手に何かを挑んだり投げ掛けたりする表現ではありません。なので、

>ありがちな作品

 となりかねないわけでもありますが、

>読者の予想の裏をかくような驚くべき結末があると個人的にはありがたい

 こちらはそのようにしたいと思います。天の邪鬼なんでどうせそうなります。因みに読み手さまは今どのような凡なる結末を予想されているのでありましょうか? ご教示いただけましたらそれを避けます。
 ともあれ普通に終わらないのはなつみかんも同じです。なつみかんには衝撃のエンディング(といっても現実の大地の上の衝撃であり、なつみかんが浮遊することは一ミリもありません)をすでに用意しています。ふゆみかんはまだぼんやりとしか見えてないし、ぜんぜん見えてない場所にたどり着いちゃう可能性も十分にあります、いかようにもなります。

>もうブロンコさんに構うのはよした方がいいと思います。

 かもしれませんね。幻覚も見え始めておられる(あげまつにケンカ売られるかわいそうな焼け残りもんじゃニッケル)ようだし、包帯を巻こうとするとかえって暴れて傷口開いちゃうみたいですね。ちょっと考えます。

 早速のご感想をありがとうございました。

もんじゃ
KD106154133074.au-net.ne.jp

 茅場義彦さま

 ありがとうございます。

>全体的に昭和っぽいでづね
オイラとか

 オイラ、って昭和でありましたか、北野武?

>個性とか新しさもちょっと無いかなあ

 かもしれませんね。今後まきかえそ。

>ペデロのほうが 見たことない感ありまぢた

 sinさんとは逆の価値観でありましょうか、普通に考えるとみかんシリーズの方がペトロよりは万人受けすると思われるのですが。ある日のアウトラインは、詩的で散文的で、みたいなご指摘をいただきましたが、双子のみかんは普通に小説っぽくないですか? 普通もよろしくないですかね? まあそうでありましょうね。普通じゃなくて面白くて小説してないと、ですよね。 

>でもオイラ悟空のオイラを僕にすれば 昭和感減るかもですね

 あ、ドラゴンボールでしたか、北野武じゃなくて。僕、にすると、今度はムラカミ云々みたいに言われちゃいそう。んーじゃ、こうしよ、オイラを全部ジブンに置き換えよう、いくらかましになるでしょうか。でも、オイラな問題だったら、まとめて置換しちゃえばいいから楽だけど、リカさんの巣がむしろ前時代的だから昭和っぽいんじゃないかなあ。レトロ感はたぶんあの部屋に漂ってるんじゃないかと思う。このあとあの部屋との対比で令和を描いてバランスしてみようか。いっそ冬去りしあとの春をコロナな二〇二〇春に繋げてみようか。あの部屋のあの感じは捨てたくないから。ご指摘ありがとうございます。

>舞台がそもそも正和ならこれでいですが

 なるほど、誤字じゃないなら面白いですね、昭和でも令和でもなく正和、異次元みたいな設定ですね、図書館戦争みたいな。じゃなくて、昭和の懐古タンにしちゃえば、みたいなことですかね。ありかもですね。全部書き終わってからでも頭とお尻にシーンを加えたらそうできちゃいそう。ジブンへの置換、令和の付け加えじゃ足りないようならそうしよう。ありがとうございます。

 実際今昭和ブームだから。平成を描くよりは尖ってる気もしますね。若い子は昭和のアニメ見て昭和の歌唄ってますもん。ブラウン管テレビ風スマホセッターもタカラトミーから出てるし。復古的な風がぴうぴうしてる。ふゆみかんも想定読者は今を生きる高校生じゃないし。かつて高校生だった大人に、パパやママに向けて書いてるように思う。ってか時代の影響をあんまり受けない普遍的なものにほんとはしたいけど。あと、どなたかの感想欄でも最近書いたけど、今日から俺は!! はイマですよね、60年代はマニアックだけど80年代は90年代よりイマな気がする。

 ご指摘ありがとうございました。

 あと蛇足。上の方も書かれてた旬の話題だけど、ぐんちゃんにいじわるされたからってあんなふうに返しちゃうのはよろしくないかもですよ。だってそれを狙っておられるわけですから向こう様は。スルーってのも芸がないから、合いの手入れて踊らせてさしあげるのが一興かと。いよっいよっいよっ。相手にすんなよ、って注意を受けたばかりでなんですが、スルーってちょっとお高くとまってるみたいで感じ悪くないですかね? あんまりいじってぐんちゃん壊れちゃっても大変だけど。だからそこはちょっと考える。真面目にやってる周りが迷惑、みたいな声も目にはしてるけど(そんなお利口さんがなんで裏に出入りしてんねん?)、真面目に創作ってのもどうなんでしょうか、ごはんって学校じゃないですもんね、いろんな表現が咲いてよかろうかと。それが活気でもあるわけだし。クリエイティブな現場ってどこでもそうでしょ? 内的には勿論各自真面目にやるわけだけどさ、真面目を真面目にだけ表現したんじゃどんづまりですよね。そだ、ゲロは何したいんだ? ってな外野さんの質問についでに応えとくと、あうふへーべんしたいんですよ、ごはんって場を利用してね。してる人見ると、よしよしとか思っちゃう。創作ってそゆことじゃないでしょか(とか書くとまた裏は騒ぐか)? よそでやれ、とか言わないでね、ここでやらなくてどこでやる? ぐんちゃんについてもね、こちら(もんじゃとか)側にも言われてやむない事情もありますので、いくぶんかはお互いさまであるかもしれませんし。それにしてもあの書き方はないよなって思うけど。だから角度を変えつつもハムラビ法典に則ってますよ、もんじゃも。ただね、踊らされないようにいたしましょうぞ、なんかしゃくだからさ。とか書いたけど、sinさんもあれだけ訴えてくれちゃってたからなあ、ふむ、スルーしますか。

 ともあれ、作品について、参考になるご指摘をありがとうございました。

sin
softbank060155199121.bbtec.net

 質問をいただいのでお返しします。ありがちなオチといってもいろいろありますが、結局は描かれ方の問題という気がします。最終的に主人公はリカさんと別れることになるが、リカさんとの生活の中で得たものを胸に新たな一歩を踏み出すとか、たさにありがちですが普通の人はそういう結末を望んでいると思います。実際私もそうです。ただ、そういう「ありがち」なパターンにも結構振れ幅があると思うんです。その振れ幅の中でもんじゃさんの個性が最大限発揮されていれば私は満足できると思います。問題は個性のかけらもない、安易なオチになってしまうことです。ここまでいい感じに進んできたのに、二束三文の邦ドラマのようなオチは流石にイヤだなあといったところですね。
 あとブロンコさんの件ですが、差し出がましい発言をして申し訳なかったです。ただ、正直あれはあしらうとか考えた時点で負けな気がします。スルーがお高くとまってる感じでいやというのも分からなくはないですが、ここはネット空間ですし、ある程度の割り切りはどうしても必要になってきますよ。

もんじゃ
KD106154133074.au-net.ne.jp

 sinさま

 ありがとうございます。

>ありがちなオチといってもいろいろありますが、結局は描かれ方の問題

 おっしゃるとおりですね。筋の問題じゃなくて表し方次第。

>最終的に主人公はリカさんと別れることになるが、リカさんとの生活の中で得たものを胸に新たな一歩を踏み出すとか

 ありがとうございます。参考になりました。

>普通の人はそういう結末を望んでいると思います。実際私もそうです。

 なるほどです。

>ただ、そういう「ありがち」なパターンにも結構振れ幅があると思うんです。その振れ幅の中でもんじゃさんの個性が最大限発揮されていれば私は満足できると思います。

 参考になります。予定調和、ステレオタイプに落とし込んでなおそこに書き手の個性を反映させる、みたいなことでありますね。多くのヒットドラマもそんなあんばいであるかのように個人的には感じています。

>問題は個性のかけらもない、安易なオチになってしまうこと

 ふむ、なるほど、よく理解いたしました。安易なオチ、これは回避したいと思います。
 また、オチ、はたぶんなんにせよつけない気がします。景色に溶け込んでゆくような終わり方にしたい。と、今は感じています、すっとフェイドアウトするような、または、ぷつんとカットアウトみたいな。なにかわざとらしい帰結があるような話にはしたくないです。なんて書いてはっきりしてきました。わざとらしい帰結があるような話にはしない。メモしときます。ありがとうございます。

>ブロンコさんの件ですが

 そうですね、遠目に映るうちはスルーを決め込むことにいたします。

 非常に参考になりました。小さな決意も生まれましたし。ありがとうございました。

もんじゃ
KD106154133074.au-net.ne.jp

 茅場義彦さま

 出し抜けにすみません。
 ふゆみかんについて。
 オイラ、みたいな一人称、それからたぶん、リカさんの住み処を主としたあれこれ、が昭和を醸している、とのご指摘をいただき考えました。
 オイラをすべてジブンとかに置換して、このあと書く続きの部分に意図的に令和の何やらを埋め込もうか、と。
 そう考えたのですが、迷い、そしてやはりそうしないことにしました。
 オイラはオイラのままにして、リカさんハウスもままにして、令和なあれこれは埋め込まず、代わりに冒頭に、以下のようなパラグラフを、続く本文の手前に空行二ラインあきで配置しようかと。
 昭和の話だっていうなら頷ける、とのご指摘を受けて、本文全体を昭和にしてみようかと。お台場にゆりかもめが開通した頃(あれ? それって平成の頭かな――調べたら一九九五年開通でした、 ま、いいですかね、平成の頭でも昭和の終わりでも雰囲気は一緒ですよね?)。
 その上で巻末に、冒頭を受けるパラグラフを設置するかもしれません。
 冒頭に配置しようとしている以下の文章について、お手間でなく、お嫌でなければご意見を頂戴できますと大変嬉しいです。


(新規テキスト)

 父は作家でした。でも作家でご飯を食べていたわけではありません。
「お父さんはどうして小説家じゃないの?」
 と幼い私が尋ねると、父は決まって、
「作家って職業があるわけじゃない。作家って生き方があるだけだ」
 と応えていました。
「お父さんの小説が読みたい」
 って言うと、
「どうしても?」
 と父は尋ね、私が頷くと、
「じゃあ一つだけだよ、一つだけ読ませてあげる、君がお嫁に行くときに」
 と応えてくれました。
 明日私は嫁ぎます。
 フラッシュメモリを一つ、父はくれました。
「これはね、全部が全部本当のことってわけじゃない」
 と父は言い、でもね、と続けました。
「本当のことじゃないけど、書かれてる言葉は残らず、あのね……」
 フラッシュメモリを握りしめながら続く言葉を待ちました。
「本当のホンモノなんだよ?」
 本当の、ホンモノ?
 氷の入ったグラスにウイスキーを注ぎ、きしきしいわせてから父は、書斎の灯りにそれを掲げて、深い眼差しで私を見つめながら、
「結婚おめでとう」
 と言ってくれました。
「ありがとう、お父さん」
 頷く父に、
「おやすみなさい」
 と告げて、書斎を出て、自分の部屋に行き、机上のパソコンを立ち上げ、フラッシュメモリを挿しました。
 画面に表れた言葉を残らず読み尽くしてから、明日父に、おはよう、と告げよう。


 旅の途中なんです、ってオイラ応えた。何してるの? って訊かれたから。
 ファミレスの裏で残飯あさってたんだ、野良猫みたいに。だから咎めて言ったんだと思う、ウェイトレスさんは、何してるの? って。

茅場義彦
133.106.184.15

オイラは昭和っぽいから
トラさん好きで トラさんから真似た令和の若者ってことにすればどでしょう

令和にしてはスマホでてこない

古きよきフェイス to faceコミニケーションだから

設定昭和でもいいかと思いもしまづ

平成初期でもいいし

まあ 一度も1次診察と追ったことない人間ドックの意見なんで

茅場義彦
133.106.184.15

あと北条さんと同じなんだけど

主人公が拾われるだけの説得力ある容姿の説明かイヴェントあるといいかも

茅場義彦
133.106.184.15

誰かが誰かに執着する動機の説得力が薄いかと

5150
5.102.11.208

えーと、他の感想者さんに引きずられたくなかったので、コメントはほとんど見てません。なお、この感想は、もんじゃさんが拙作に感想をいただいた直後くらいにすでに書いてあって、ファイルに保存しておいたものです。返答でのもんじゃさん語りにもほとんど、いや薄っすらくらいしか見てないです。なんか早くも感想自粛がすでにアホらしく感じられております。というわけで、こんなにも早く自粛解禁といきます。

こういうのは直観しかないんで、それでいきます。

ずばり、なつみかん、を選びますね。理由はないです、というか、今の5150の気分が酸っぱいものを求めているから、というまったく根拠のないものです。あ、ばか正直に書くと、なつみかん最初に全部読んで、ふゆみかん冒頭に入ったあたりでもう決まっちゃいました。

なつみかんは、入りが、ビターで、大筋はスイート、そんでもってまたビターで終わるような、そんな感じ。予感がするだけ。

ふゆみかんは、これは甘くて食べごろで、いつまでも食べていたいんですけど、今の気分的にそんなんじゃないんですよね。

これは逆に、スイート スイート スイートときて、終わりで、スイートビターって、感じがする。安定して乗っていけそう、みたいな。

あ、これももちろん、当てずっぽうです。

ちなみにいうなら、全体的な完成度だけなら、圧倒的にふゆみかんだろうけど、やっぱり、5150は今の気分的には、たとえ完成度は低くあっても、なつみかん、をとっちゃうかな、たぶん。

ところどころで、思いっきり酸っぱいので目を覚まさせて欲しい、って感じなんで。ただ終始、酸っぱいというのではなく。

逆に、ふゆみかんは、酸味は少なさそう。せいぜいが言って甘酸っぱい感じで終わりそうな気がするので。

ちなみに拙作に関して一言。もんじゃさんにだいぶ迷惑をかけたような気がして申し訳なく思っております。

いないいないばあ
M106072175192.v4.enabler.ne.jp

私 時代がはっきりしない 作品嫌いだって 自分の読んで気づいた

今 産業構造社会構造がものすごいスピードで変わっているから

それぞれの年代で お姉さんがショタを拾って暮らす意味合いが変わっていってると思いまづる

昭和なら あら 出会いっていいわねえ
平成なら 女性のロリコンあるよねえ でも通報しましょ おほほ
令和なら みんなコロナか格差でお陀仏だから 楽しめる間に愉しめば

節子って名前も 令和だったら クラスメートから 蛍好き?トートイって絶対つっこみありそう

もんじゃ
KD106154132217.au-net.ne.jp

 茅場義彦さま

 ありがとうございます。

>トラさんから真似た令和の若者

 なるほど、葛飾柴又な感じで。

>令和にしてはスマホでてこない

 はい。ってか、あーっ! と言われて気がつきましたが、今回のを投稿したあとに書き足した続きの部分で携帯電話出しちゃってます、オイラくんのことがニュースになってないかリカさんが確認するシーンで。スマホとは明記せず携帯電話と記してますが、昭和や平成頭だと携帯電話も出さないほうがいいですね。スマホのこと指摘してくださりありがとうございます。

>古きよきフェイス to faceコミニケーションだから設定昭和でもいいかと思いもしまづ
平成初期でもいいし

 はい。また考えてみます。掲示させていただいた冒頭の追加テキスト、もしやよろしくなかったでしょうか、気遣っていただいてスルーみたいな? そこちょっと心配ですが時代設定の件お世話になりありがとうございます。

>主人公が拾われるだけの説得力ある容姿の説明かイヴェントあるといいかも
誰かが誰かに執着する動機の説得力が薄いかと

 ここは大丈夫です。このあと明かされるのでした。オイラくんの瞳がリカさんをして拾わせたのでした。実はですね、オイラくんの瞳は……みたいな展開になってゆくのでした。ご指摘ありがとうございます。

 お手数をお掛けしました。感謝しています。

もんじゃ
KD106154132217.au-net.ne.jp

 5150さま

 ありがとうございます。

>ずばり、なつみかん、を選びます

 おお。なんか、他の方がかなりふゆみかん推しだった印象だったので、気持ちがすっかりふゆみかんだったのですが、なつみかんを選んでくださりありがとうございます。というか両方読んでくださりありがとうございます。

>なつみかんは、入りが、ビターで、大筋はスイート、そんでもってまたビターで終わるような

 鋭いですね、まさにそんな感じです。

>ふゆみかんは、これは甘くて食べごろで、いつまでも食べていたいんですけど

 なるほどです、甘いんですね、ふゆみかん。かもしれませんね。

>スイート スイート スイートときて、終わりで、スイートビターって、感じが

 ふむ。

>全体的な完成度だけなら、圧倒的にふゆみかんだろうけど、やっぱり、5150は今の気分的には、たとえ完成度は低くあっても、なつみかん、

 はい。参考になりました。たぶん、未完成原稿のきりが、ふゆみかんよかったのかもしれません、前向きなとこでちょうどきれてるんで。対してなつみかんは主役が見えてきたとこでいきなりぷつり、で、何も始まってない。だから、ふゆみかんの方が完成度高めに映るのかも。未完の凡作掲載しちゃって、でも、これも勉強になるな、と感じてます。ご指摘ありがとうございます。

>思いっきり酸っぱいので目を覚まさせて欲しい、って感じ

 はいいいっ。すーっぱくて、にがいというよりからいみたいな刺激をなつみかんで炸裂させることができるよう頑張らせていただきます!

>ふゆみかんは、酸味は少なさそう。せいぜいが言って甘酸っぱい感じで終わりそうな気がする

 ふむ。どうなんだろ、そうか、そういう印象なんですね、入りの部分。少しいじめてみよう、オイラくんのこと。すごく参考になりました。

>拙作に

 衝撃の問題作ですからね。スルーすべきだったのかもだけど、わっ、やばくね? みたいな感じで慌ててかき混ぜちゃいました。こちらの乱入こそ話を大きくさせてしまった一因かもしれずすみませんでした。

 ともあれ、みかんの糖度についてのご指摘非常に参考になりました。いろんなニーズがありますよね、勉強になりました。ありがとうございました。

 追記。5150さんが正解? 5150さんってずっと書いちゃってました。失礼しました。

もんじゃ
KD106154132217.au-net.ne.jp

 いないいないばあさま

 ありがとうございます。

>今 産業構造社会構造がものすごいスピードで変わっているから

 確かに。

>それぞれの年代で お姉さんがショタを拾って暮らす意味合いが変わっていってると思いまづる

 確かに。
 ところで、この、>お姉さんがショタを拾って暮らす って表現、実に的確ですね!

>昭和なら あら 出会いっていいわねえ

 ふむ。

>平成なら 女性のロリコンあるよねえ でも通報しましょ おほほ

 はい。

>令和なら みんなコロナか格差でお陀仏だから 楽しめる間に愉しめば

 なるほど。

>節子って名前も 令和だったら クラスメートから 蛍好き?トートイって絶対つっこみありそう

 なつみかんもかじってくださったのですね。ありがとうございます。
 火垂るの墓?
 門田節子って名前はですね、実は姓名判断してつけました。あほか、とか思われちゃうかもなんですが。青山寛も、春日梨花も姓名判断してます。青山にはブルーをかけてるし、春の日に咲く梨の花の花言葉は、そっとよりそう愛情なんで、その方面からの名付けでもあるんですが、どちらも幼少時期に苦労するけど大器晩成な名前にしてます。ちなみに青山くんは十一月十一日生まれで春日さんの父親春日晴さんが死んだ日に生まれてます。梨花さんは四月五日生まれでこのこともストーリーに絡んできます。青山くんは今十五歳、梨花さんは今二十五歳、十歳差ですが、この年齢差が物語を動かす重要な数字になってきます。みたいに、筆任せに書きつつも実は都度いろいろ設定してたりします。が、時代設定が曖昧だった! 盲点つかれたって思いましたよ。いないいないばあさんの、ショタ拾うお姉さんの時代ごとの意味ってあれかなり重要な着眼点かもしれませんね。ありがとうございました。

大丘 忍
ntoska314132.oska.nt.ngn.ppp.infoweb.ne.jp

なつみかん・ふゆみかん 両方読みました。私は文学には全くの素人で多くの小説を読んだ時代を経験しておりませんから、皆さんの様に的確な感想が述べられません。
ただ、この二つの作品、まだ未完で続編があるようですが、読んだ範囲内では非常に面白いと思いました。どこが面白かったかと問われても答えることはできません。続きが出ればぜひとも読みたいと思っております。

もんじゃ
KD106154133116.au-net.ne.jp

 大丘 忍さま

 ありがとうございます。

 二つとも読んでくださり感謝しています。

 こういうタイプのやつを面白いと評していただけたこと大変参考になりました。

 続きは書いてゆきます。モチベを高めることができました。ありがとうございました。

そうげん
58-191-198-57f1.shg1.eonet.ne.jp

もんじゃさま

なつみかん・ふゆみかん、拝読しました。

なつみかんは、半魚人? さいしょは印象がよくないけれど、彼との展開も関係性において変化していくさまが見られるかもしれないと思うと、面白くなりそうな要素が感じられました。ふゆみかんに比べると甘い展開というのでないから、書いているときにふふっ、となりにくいから、なつよりもふゆのほうが枚数が増えているのかなと感じられました。波乱が起こりそうなどきどきする感覚に魅力を覚えましたよ!

ふゆみかんは、年上のお姉さんに拾われる展開でしたけれど、西村というキャラが出てきて、かれとお姉さんの関係性も気になりますし、十分にあとを読みたいと思わる下準備ができているように感じました。また子供の頃にバスタブに沈められたという過去を語り抱いたりするようなところも、主人公が抱えている暗い部分を垣間見せてくれてますし、この作品もこんごもんじゃさまの筆致によってくるくるといろんな模様を見せてもらえそうな気がいたしました。

どちらも書かれようによって読者をひきつける内容になり得ると思いますし、わたしの意見としては、もんじゃさまが書きたいと思える方を優先してくだされば、わたしはしっかり読もうと試みるだけのことです、といってしまいたい。けれど、どうしても選びなさいといわれるのであれば、ヘッセも出てきましたし、新しい世界を知り、新しい体験をして、背伸びするようなところも感じさせてくれそうなふゆみかんを選びたいと思います。

同時進行で書かれているのですね。もんじゃさまの執筆活動のますますの発展をよろこばしく思っています。それでは失礼いたします。

もんじゃ
KD106154133116.au-net.ne.jp

 そうげんさま

 ありがとうございます。

>なつみかん・ふゆみかん、拝読しました。

 二つとも読んでくださり感謝です。

>なつみかんは、半魚人? さいしょは印象がよくないけれど、彼との展開も関係性において変化していくさまが見られるかもしれない

 はい。そうなんです。節子は彼に慕われて彼の期待を彼のために裏切り彼にひどいことをされるに至ります。生きるために容赦のないさまを、とりわけお金にまつわる何やらを、海の中の美しき回遊魚たちが、例えば毒を持つクラゲを食らってふてぶてしく生きるさまにだぶらせるように描きたいです。田舎のひと夏の花火や夏祭りや海中散歩も舞台にする予定です。若い二人が自立してゆく物語なので家族との葛藤や、あまりたちのよろしくない学校の教師たちを毒クラゲになぞらえて書いたりもする予定です。だなんて、なつみかんには実に十分な構想とかなり緻密なプロット、具体的なシーンのイメージ、台詞のサンプルさえすでに存在するのでありました。

>ふゆみかんに比べると甘い展開というのでないから、書いているときにふふっ、となりにくいから、なつよりもふゆのほうが枚数が増えているのかな

 なつみかんは夏の未完、ふゆみかんは冬の未完、という識別コードを付したツインズ(半魚人も青山寛もともに十五歳の男の子であります、彼らの瞳に映る節子、梨花は一歳上と十歳上のともにやはり年上の女性なのでありまして、二作は双子なのでありました)に過ぎず、その糖度についてはなんの意味も重ねていなかったのですが、5150さんにも指摘していただき、考えてみたら偶然そのとおりでびっくりしました。なつみかんはフレッシュなんだけど酸っぱくていくらか大味な夏の物語で、ふゆみかんはやさしい甘さで美味しくもあるがその甘さは厳しい寒さゆえに甘いのだ、みたいな冬の物語。
 なつよりふゆの枚数が伸びているのは、筆がリズミカルに動きやすい話だってこともあるけど、想定している尺との対比のような気もします。なつは八十枚程度でシュリンクする予定なのですが、ふゆは二百枚半ば程度まで伸びても構わない、くらいの心持ちで書いています。なつに詳細なプロットがあるのに比べてふゆにはロードマップがありません。二つか三つの謎だけ投げ込んでいてそのかけらたちがケミカルに反応してくれそうだとは感じていますがそれだけでして、物語がどう転がってゆきどこにたどり着くのかは、彼と彼女に託してるみたいな感じです。
 サイト内一部で流行しているらしい区分けで分けるなら、なつは絵画的な話で、ふゆは音楽的な話です。だからふゆは、猫の目のようにくるくると変化してころころと転がってゆくのでした、だからどんどん進みもするようです。

>また子供の頃にバスタブに沈められたという過去を語り抱いたりするようなところも、主人公が抱えている暗い部分を垣間見せてくれて

 そうなんです、夏の金欠と、ふゆの愛欠、どちらにも影がありますね。生きるのって大変だ。十五歳の男の子にも、十六歳や二十五歳の女にも、すごく大変。
 で、そう、思い出しました、そうげんさんからは指摘を受けるかと思ってたのでした。カフカっぽいかも、って。いえ、ザムザの方じゃなくてカフカ少年の方です。いちばんタフな○○歳ってやつ、あれ、何歳でしたかね。そうげんさんとは真逆でもんじゃは、ねじまき以前は全て所有してるし何回も読み直しているのですが、ねじまき以降は一度しか読んでおらず、現在は本を所有してもいないのでした。だからカフカを詳しく想起できずにいるのですが、ふゆみかんの旅立ち、似てるかもって思いました。いえ、書き始めたときはまったく意識していなかったのです。先日そうげんさんと五反田くんの話をさせていただいたときにはっと思い至ったのでありました。ふゆみかんは、別のある作家のある一文を読んでいて最初の一行目、旅の途中なんだ、ってのができて、寛くんの語り口が見えてきてから、旅の途中なんです、ってセンテンスに書き直したんですけど、ともかくカフカを微塵も意識してなかったのです。なのに似ている。ストーリーはどうなんだろう、たぶん似ないし、たどり着く場所はまったく違うっぽいけど旅立ち方が似てます。佐伯さんでしたっけ、うろおぼえですが、カフカ少年も歳上の女性と深く関わりますもんね。そうげんさん、気づかなかったかな? 露骨に気づかれちゃうのもなんだかちょっとな気がするので指摘されなくてほっとしてるみたいな、一方でちょい寂しいみたいな。

>くるくるといろんな模様を

 あ、そうです、猫の目のようにくるくると。ご指摘いただいていましたか。

>書きたいと思える方を優先してくだされば

 はい。なんか今後も同時進行してみようかな、とかそんなふうにも思ってきてたり。ちょっと語り口が違うから混同しないように注意が必要だけど。

>けれど、どうしても選びなさいといわれるのであれば、ヘッセも出てきましたし、新しい世界を知り、新しい体験をして、背伸びするようなところも感じさせてくれそうなふゆみかんを

 ありがとうございます。参考にさせていただきます。実際の季節が今後冬なんで冬物語の方が確かに書きやすいかなとも。なつみかんは書き始めたの夏だったし。
 ヘッセ、寛くんもすごく好きみたいです。

 ご感想に照らしていただくみたいにしてまた長い独り語りを失礼いたしました。親切な、ぬくみのあるご感想をありがとうございました。別件では失礼いたしました。今後も親交を続けさせていただければありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

そうげん
58-191-198-57f1.shg1.eonet.ne.jp

追記いたします。

毎回もんじゃさまの作品を読んで、村上作品のこの作品に近いですねということを書き送るのはくどさがあるかもしれないと思って控えていました。

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年にならなくちゃいけないんだ。なにがあろうとさ。そうする以外に君がこの世界を生きのびていく道はないんだからね」というセリフに象徴される海辺のカフカですね。わたしこの作品を読んだのが村上作品の2作目なんですよね。はじめはねじまき鳥で、そのあと、刊行間もないカフカを2002年の秋に読みました。ちょうど人生において不可抗力の挫折を味わったというか、苦渋を舐める年になったので、そのときに傍らにおいて読んでいった『海辺のカフカ』は一種特別な読書体験になったのでありました。

わたし、この作品は、かなり年上の佐伯さんよりも、比較的年の近いさくらさんのほうに魅力を覚えてしまったんですよね。たぶんわたしは長男で兄弟で一番上だからお姉さんという存在がいませんでした。だからカフカ少年がもういまはいなくなってしまった姉を思慕するように、さくらさんにその存在を重ねてみようとする試みにふしぎと共感を覚える感覚が育ったものだと思ってます。

大島さんという存在も居ましたね。LGBTが世間で取りざたされる前にこのキャラクターを登場させていることに先見の明のあった村上さんの作法を思わされます。

カフカ少年は生まれ育った街から出なければならないというある種の焦燥感に駆られて四国まで旅をしますが、そこで幾人もの人物の世話になりながら人間としての貴重な経験をしていくという、一種のロードムーヴィーのような展開であったかと思います。たしかにふゆみかんのお話の旅のコンセプトにもそういったものがあるのかもしれないという予感はありました。でも、世界観はカフカに比べてすこしこぢんまりとしていたために、ただ誰かに拾われてなんとか生きるよすがを取り戻すみたいなところにストーリーが収斂してしまっているように感じられたのでした。しかし、それも今後の展開によって印象は変わってくるものと思います。すくなくとも現時点ではそう感じたというだけでした。

書かれ方はもっと荒々しいし、村上さんの作品とは趣がまったく異なるのだけれど、わたし、純文学ってなんなんだろうと疑問に思っていた時期に、かなり過去の芥川賞作家丸山健二さんの『争いの樹の下で』という作品に出会いました。これは徹頭徹尾、さすらっていく主人公の物語で、視点人物(?)は千年以上の生を得ている大樹ということになっています。つぎからつぎへと現状に飽くことなく変化していく舞台づくりは圧巻でした。いま読めばそれほどではないかもしれませんが、純文学初心者だった頃に読んだ丸山作品は衝撃的でした。

でも旅をするということ。とくに魂の遍歴として、精神の陶冶という点においての教養小説には並々ならぬ関心を抱いていましたので、それこそ、西洋の古典的な小説群にはどっぷりのめり込む楽しみを得ていました。だから御作のふゆみかんも、主人公が身辺で起こってくる状況を通じて、どんなふうに成長、あるいは変化していくのかということが楽しみでなりません。

なにがいいたかったのかよくわからなくなりましたが、ちょっと強調したいのは、佐伯さん(母要素)より、さくらさん(姉要素)のほうに魅力を覚えていたので、御作のリカさんが主人公にとってどんな存在になるのか、続きを読むのが楽しみですということでした。

もんじゃ
KD106154133116.au-net.ne.jp

 そうげんさま

 ありがとうございます。

>「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年にならなくちゃいけないんだ。なにがあろうとさ。そうする以外に君がこの世界を生きのびていく道はないんだからね」というセリフに象徴される海辺のカフカ

 わちゃ。十五歳まんまでありましたか!
 拙作の十五歳は、最初十六歳にしてたのを、リカさんのお父さんの年齢とのあれこれ、およびインコウ条令云々を踏まえて設定し直した年齢でありまして、誓って書くけど、カフカ少年が十五歳だったなんて意識してなかった。偶然だなあ。というか、なんかあるんですかね、その符号に。

>傍らにおいて読んでいった『海辺のカフカ』は一種特別な読書体験になったのでありました。

 なるほど、では当然に一発で気がつかれていたのでありましょうね、気遣って触れずにおいてくださったのですね、やはり。

>佐伯さんよりも、比較的年の近いさくらさんのほうに魅力を

 さくらさんっていましたか。覚えてないです。やばいなあ。梨の花って見た目さくらにそっくりなんですよ。村上作品へのオマージュととっていただければまだよし、パロってるみたいに思われたら不味いなあ。にしてもすごい偶然だなあ。

>大島さんという存在も居ましたね。LGBTが世間で取りざたされる前にこのキャラクター

 あ、いましたね、そちらは覚えています。LGBTは天使のメタファであるように感じます。両性の統合を最終形態として掲げていたのはユングでした。

>カフカ少年は生まれ育った街から出なければならないというある種の焦燥感に駆られて四国まで旅をしますが

 うう。四国に旅してましたっけ。拙作はギリシャを予定してました。サントリーニ島。そのためのパスポートでした。

 あれ? 四国。お遍路少年いましたね、学校やめたかして四国を旅した実在の少年。本になってました。

 あと、映像作品で山田洋次監督作品の『学校Ⅳ』、あれなんかサブタイトルがずばり『十五才』でした。九州に行くんですよ、不登校の男の子が、ヒッチハイクで。で、いろんな大人と関わって成長する話です。ちょっと待ってくださいよ、ぐぐりますね、2000年の公開でした。海辺のカフカが2002年。奇しくも似たような時期ですね。不思議。

 でも気づきました。中学って義務教育ですもんね。不登校だからって簡単には辞められない。だから高校生に設定したい。でもって一番若いのは十五歳、だから十五歳が旅立ちの年齢なのかも。

 あ、『十五の君へ』ってサブタイトルでしたっけ、アンジェラ・アキの『手紙』。これも不思議に符合してます。あの歌非常に好きです。

>『争いの樹の下で』という作品

 タイトルいいですね。読まねば。大樹というモチーフはもんじゃ何度も実は書いていまして。それにも符号を感じます。もろもろは、あるいはアーキタイパルな何かだったりするのかも、とか妄想もいたします。
 だなんて書いたら、CHAGE&ASKAの『ロケットの樹の下で』だったかなタイトルの歌を思い出しました。人生の大きな節目のときに聴いていたなあ。だなんて思ったら、今このサイトに上がってるアリアドネの糸さんの作品を連想しちゃった、ロケット繋がりで。なんかいろんな模様はやっぱり相似形なのかも。

>佐伯さん(母要素)より、さくらさん(姉要素)のほうに魅力を覚えていたので、御作のリカさんが主人公にとってどんな存在になるのか

 ふむむ。さくらと梨の花を妄想的に関連づけてしまうなあ。でも拙作は実は、母を訪ねて三千里な話でありますし、寛くんの旅は、ゴルトムントが帰らむとした母性を求める旅であったりしますので、梨花さんは姉じゃなくて母のメタファなのでありました。
 あ、でも、寛くんには、そういえばアネキもいるんですよ。ふむむう。やっぱりいるんだ、佐伯さんとさくらさん。真似してるわけじゃないのにいいい。村上春樹氏がやっぱりすごいんでしょうね。しかるべきポイントはすべてすでに彼が押さえているのかも。模様は描かれているのかも。だなんて不思議なことを思いました。
 再訪をありがとうございました。

もんじゃ
KD106154133116.au-net.ne.jp

 西の空に新月だよー

>アフリカ氏が焼け残りクズに取り合った時点でコンペは終了&同じ穴の狢見下し決定ですので鋭意覚悟判断のこと。
焼け残りあげまつ粘着奇特記者にまとわりついて湧く馬鹿に取り合っても作者感想人共に同罪として今後ブロンコさんに毒盛られること必定ですから真摯に振舞って欲しいものです。

 もんじゃと話しちゃだめー、話したら絶交だからねー、いじめるよー! みたいな?

 西の空に細い月

 ここも、もう誰も訪ねてこんかもしれんのう

 ま、いいか、したらあの月に向かって書くまでさ、今後も続きを書いてゆこう

そうげん
58-191-198-57f1.shg1.eonet.ne.jp

新月ですか~。夜勤からの帰宅が朝の4時なので、今頃は、東の空に明けの明星(金星)、西の空に火星が、呼応するようにひときわまばゆく輝いていて無料で見れる天文ショーに胸躍らせながら、チャリ漕いで帰ってきてます。しばらく帰宅時間に月は見えないけど、逆にいろんな星が見れて得した気分になれます。オリオン座が最高高度に達してますし。

わたしも新しいのを書きはじめよう。
もんじゃさんのご健筆をお祈りしてます!

って、これ感想じゃないな。エールかな。

もんじゃ
KD106154133116.au-net.ne.jp

 そうげんさま

 ありがとうございます。

 あとでそうげんさんとこに、小説の話をしにお邪魔しちゃっていいですか? そうげんさんの作品について、再読したわけでもないのに、いろいろ語りたいこと出てきちゃって-一読しかしてない読者にそれだけ何かを残しちゃうってのはやはりあの話には何かがあるんだと思われます-、いいですかねー、お邪魔しちゃいますー。

 あ、そう、拙作のことだけど、そうげんさんは確か、前々作のある日のアウトラインも読んでくださったじゃないですか、なので端的にうかがえたら嬉しいんですけど、アウトラインと、例えばふゆみかん、両者を比べたらどちらがいくらかマシですか? なつみかんとふゆみかんはテイストこそ違えど、人を書いてたりストーリーがあったり、だいたい似たようなもんじゃないですか、でもアウトラインはまた違うと思うんです、嫌われる要素満載の作品だけど、でも好きな人は好きかもしれないし、だから気になるのです、奇をてらった感じに思われかねないやつと、わりと王道な作りの中にテイストをこめたやつと、現状どちらも下手だとしても、今後つきつめてゆくなら、客観的には、普通にいって、どっちがより望ましいのか、そして普通一般さておいて、そうげんさんはどう感得したか、みたいなことうかがえたら嬉しいです。忌憚なく、こちらの期待を斟酌せず、ありのままで応えてくださったらめちゃ嬉しいです。
 だなんて、ちょっと寄ってくださったかたをつかまえて図々しくすみません。

 じゃ、あとでちょっとお邪魔しちゃいますね。

そうげん
58-191-198-57f1.shg1.eonet.ne.jp

あ。ぜんぜん来ちゃってください。アウトライン。もう一度見直してみます。ちょっと待っていてくださいね。
(今夜これから友人と長電話の予定なので、取り掛かれるのは21時以降になります。)

もんじゃ
KD106154133116.au-net.ne.jp

 そうげんさま

 ありがとうございます。でも読み直していただくほどのことではありません。気持ちだけサンキューです!

u
opt-183-176-87-74.client.pikara.ne.jp

両方読みました
次あげるのであれば、ふゆみかんwww希望!
これ、なんだか花村萬月「百万遍青春篇」をマイルドにして時代設定チョットいじってハルキ臭すこし振りかけてwwwミタイナ
長いもの読みたいかもネ
ただおいらはnGミタイナwww
あとりかさんgカップチュウノはわかるのですがブスなのか美人なのかようわかりまへんwww
御健筆を

そうげん
58-191-198-57f1.shg1.eonet.ne.jp

読み直さなくても大丈夫とおっしゃっていただきましたが、精読ではないものの、「ある日のアウトライン」の流れを、ざっと追ってきました。他の方の感想への返信に書かれていたように、わたしも村上さんの『アフターダーク』のことを思いました。各章の頭に時刻が示されていて、一日(アフターダークは一晩でしたね)のことが描かれます。文章のスタイルとか、構成の種別とか、そういったものは、わたしの読む読まないの判断をほとんど妨げません。ですので、「ふゆみかん」と「ある日のアウトライン」の二つの作品の相違点としてわたしが関心をもったのは、作中に出てくる男女ふたりの間柄――関係性のちがいでした。

「ふゆみかん」は主人公に比べて女性側が知識も上回っていて広くもあるように感じられます。どちらかというと、女性側がつねに優位に立っていて、男性側は女性側の指示に従う、うまく扱われる、なんというますか、一種の主従関係にある感じがいたしました。

他方、「ある日のアウトライン」は、「ふゆみかん」に比べると、男性と女性がけっこう対等に渡り合っているといいますか、互いに攻守交代しながら、示唆に富んだ、あるいは含蓄の在る言葉の応酬を行っていて、それが天秤が交互に揺れるバランス感覚の見事さ、あるいはあやふやさ、あぶなっかさみたいなものを演出すしていて、それに魅力を覚えます。

その比較点だけであれば、わたしはどちらもよい作品だと思うのです。しかし伸びしろがあるかどうかという点においては、わたしは「ある日のアウトライン」を取りたいと考えます。理由は、作中における描写に懸けられているであろう、多くの示唆の予感です。おそらく読者が十分に読み取れなかっただけで、一文一文に豊富な意味をこめて書かれたんだと思います。その予感が十分に感じ取れるくらいに示唆に富んだ文章の連続でした。おしむらくは、それが現状の文体であると、読み通したあとにも、なにか意味が込められてあるはずなのに、十分に受け止めきれてなくて、表されている文言のうわべしか読めていないことによるもどかしさを覚えるのでありました。読者の、読後のこのもどかしさをいかに少なくする工夫をこらしていただけるかによって、この種の作品ののびしろは豊富に用意されているように思うのです。

ほかの形式で書かれる場合でも、象徴というのかな、いろいろな文章によって、なにを表しているのかということを、もうすこしほどいて書いていかれると、わたしとしては(あくまで個人の好悪の問題ですが)、作品にぶつかって、とりこまれて、そこでたくさんのことを味わい、多くの体験をして、豊富なものを持ち帰ってこれるように思います。

「ある日のアウトライン」がダメな作品だとはまったく思っていません。

でも象徴をすこしほどいて描くというか、そういうのが希望ということは、なつみかん・ふゆみかんでも、アウトラインでも、どちらでも応用可能なことだから、どの作品でもわたしは好んで読んでしまいそうで、どちらがいいかという判断を下しにくいところであります。

幅広い人に読んでもらうなら「なつ・ふゆ」の方がいいのかと思いますが、自分こそが書くべきものを目指すなら、「アウトライン」の方かなと思いました。尋ねられたことに関してちゃんと回答できてないかもしれませんが、思うことをつらつらを書いてみました。

もんじゃ
KD106154133116.au-net.ne.jp

 uさま

 ありがとうございます。

>両方読みました

 感謝です。

>ふゆみかんwww希望!

 参考にさせていただきます!

>花村萬月「百万遍青春篇」をマイルドにして時代設定チョットいじって

 こちらは寡聞にして……。読んでみたいと思います。

>ハルキ臭すこし振りかけてwwwミタイナ

 カルキでなくてハルキな……、そうですか、消臭の方向で足掻いてみます!

>長いもの読みたいかもネ

 ふゆみかんは長くなりそうです。

>ただおいらはnGミタイナwww

 代替案一、ジブン
 代替案二、ヒロ

 も少し考えます。

>りかさんgカップチュウノはわかるのですが

 メロンなカップはGですかね、かなりですね。

>ブスなのか美人なのかようわかりまへんwww

 美人でなくて、個性的、みたいな。モダンでエキセントリックみたいな。

 ポップなご指摘をありがとうございました。

もんじゃ
KD106154133116.au-net.ne.jp

 そうげんさま

 ありがとうございます。

 こんなにたくさん書いていただけるとは思ってなくて、気軽に質問をしてしまいました、感謝でいっぱいです。

>『アフターダーク』のことを思いました。各章の頭に時刻が示されていて、一日(アフターダークは一晩でしたね)のことが描かれます。

 はい。一夜のことが一昼夜になってるだけの違いかもしれません。

>文章のスタイルとか、構成の種別とか、そういったものは、わたしの読む読まないの判断をほとんど妨げません。

 ここ、すごく参考になりました。目から鱗です。書き手が思うほどには、そのあたり、問題にならないことなのかもしれませんね。

>相違点としてわたしが関心をもったのは、作中に出てくる男女ふたりの間柄――関係性のちがい

 関係性。

>「ふゆみかん」は一種の主従関係

 リカさんが主でオイラが従。現状そうですね。いずれこちらも交代しそうなんだけど……。

>「ある日のアウトライン」は、けっこう対等、攻守交代、天秤が交互に揺れる

 なるほど、アウトラインの方は、交換性。

>伸びしろ、「ある日のアウトライン」を取りたい

 !

>示唆に富んだ文章の連続

 !

>現状の文体であると、読み通したあとにも、なにか意味が込められてあるはずなのに、十分に受け止めきれてなくて、表されている文言のうわべしか読めていないことによるもどかしさ

 うわべ。
 もどかしさ。

>象徴というのかな、いろいろな文章によって、なにを表しているのかということを、もうすこしほどいて書いていかれると、わたしとしては(あくまで個人の好悪の問題ですが)、作品にぶつかって、とりこまれて、そこでたくさんのことを味わい、多くの体験をして、豊富なものを持ち帰ってこれる

 ほどいて表す。

>象徴をすこしほどいて描くというか、そういうのが希望ということは、なつみかん・ふゆみかんでも

 ここです。ここですね。
 なつみかんは、アウトラインへの反応を感じる前に書き出していたもので(というか、そうげんさんの作品を拝読したことによって閃いたもので――って書いたかな)、だから、象徴をほどく、みたいなことは考えず、普通に(といっても浅いという意味では――そうげんさんの作品からのインライトメントなんだから――全然なくて)人間ドラマを描いているんですが、ふゆみかんは、まさに、これ、ご指摘の、象徴をほどく、みたいなやり方を試してみようとしてる気がします。

>幅広い人に読んでもらうなら「なつ・ふゆ」の方がいいのかと思いますが、自分こそが書くべきものを目指すなら、「アウトライン」の方かな

 アウトラインの中身を、なつみかん的に表したものがふゆみかんであるような気がしてきました。
 なつみかんを書いてる途中で、なんかもぞもぞしちゃって、途中でアウトラインをあげてみたのですが、その反応が得られたことで、あ、こういうことかな、と書き始めたのがふゆみかんだったのでした。だから、ふゆみかんは、まだまだこれからですね。

>尋ねられたことに関してちゃんと回答できてないかもしれませんが、思うことをつらつら

 端的に、アウトラインで、とか、みかんで、とか、応えていただくのでも参考になるかと思ったのです。はっきりきいてみたかった。
 みかんはダメだよ、凡庸だよ、アウトラインの方がとんがってるとこあるからそっちを掘りなよ、とか。
 逆に、ひとりよがりな感じがすさまじいからアウトラインは問題外だよ、みかんしかないね、とか。
 でも、和魂洋才みたいな、折衷を示唆していただけたみたいで、逆に旗色鮮明になったように感じています。
 アウトラインで表したかったことをなつみかんな表しかたで表してふゆみかんとして結実させたらいいのかも、たぶん。
 わかりました、それをやってみます。

 お時間いただきすみませんでした、ありがとうございました!

ソップ
118-106-123-179.aichieast1.commufa.jp

ほんと、文章上手ですね。うらやましい。
なつみかんに一票。「んアおっ!」で衝撃をうけた読者としてそのニオイを感じた「なつみかん」の続きを知りたいです。ふゆみかんも良かったですけど、やっぱオイラに違和感。下町っほいけど、僕みたいな田舎者にはちょっとなーって感じでした。話としてはいいと思いますが。

もんじゃ
KD111239164180.au-net.ne.jp

 ソップさま

 ありがとうございます。

>なつみかんに一票。

 おお。

>「んアおっ!」で衝撃をうけた読者として

 んアおっ!
 覚えていてくださってびっくりです、嬉しいです。
 そういえば、佑香ちゃんの名前も姓名判断して付けたなー、懐かしい。

>そのニオイを感じた「なつみかん」の続きを知りたい

 なるほど、佑香と節子には通じるものがあるかもですね。

>ふゆみかん、やっぱオイラに違和感。

 参考になります。オイラ、よくないのかな。どうしようかな。

 ご指摘ありがとうございました。

アリアドネの糸
dhcp.nipne.ro

なつみかん、拝読しました。ふゆみかんを読むのに時間が空くかもなので記憶が風化しないうちに「なつみかん」だけ感想を残します。

まだお話が動き出していないので、どうしても細かい指摘になってしまいますが、

>なんだよおまえ、おまえのことだよ、海め、何が言いたいんだよ、
 のところ、痛いほど伝わってとてもよかったのですけど、ここだけ一人称濃度高すぎませんか? なんて思った。筆が潜りすぎたのでは(ってへんな言葉だけど)って思った。でもこういうひとりごちをはさむのはよいなと思った。戦わないといけないし、対峙しないといけない、少なくとも、そういう意思を見せないといけない。そういう儀式めいた振る舞いはとても大切、この一人称の場合には、とかね。


>宇宙みたいにだだっ広いところに独りでぽつんといるみたいだった。
>お月さまみたいな笑顔に照らされてなんだか不思議な気分になった。
 みたいなだしぬけに無意識を照らすような描写が入っているのはいいなって思った。深度が地の文の中でシームレスにけれども急激に変わる。こういう揺さぶりは大切だと思う。個人的には。そこに違和を感じさせないのは流石というかなんというか。

 比喩表現に「みたいな」とか「みたいに」が多かったのが、ちょっと煩く感じました。こういうちょっと婉曲した比喩ほど、見過ごせないほんとうを照らそうとする、徐々に効いてくる散布された毒みたいなものなので、本筋との関係が薄くても素通りできないものなのですが、読者に文章の額面を読んでいて煩いなと思わせてしまうのは単純に損かもしれない。「みたいな」の前にくる言葉はど真ん中を射抜かない微妙な線をなぞる事で、的の存在をあぶりだすものだから、例えばそこに飛躍したコントラストがあったとしても逆によかったりもするのですけど、額面の感触が飛躍したという事実のみを浮き彫りにするので、扱いに細心の注意が必要のように思ったりします。

 全体的な印象まだなんとも言えないです。半漁人松田がどう関わってくるのか? 乞うご期待というところでしょうか。

もんじゃ
KD111239164180.au-net.ne.jp

 アリアドネの糸さま

 ありがとうございます。

>ここだけ一人称濃度高すぎませんか?

 濃いですね、確かに。恋ですね、ほとんど。ダイッキライな海をダイスキになっていずれまぐわうさだめの女の、つきつめた語りな気がします。節子、わりとさめてる人なんで、だから人生のドラスティックな変化に対しても大人びた受容のしかたをしてるし、おばあちゃんや学校のみんなにも用心深く本音を隠して、あるがままではなくあるべきな自分を演出している。「」にはさまれて表される言葉と内的モノローグがひどく解離している。そんな彼女があるがままに対峙(という正しい言葉をアリアドネの糸さんが使ってくださったわけだけど)するのは劇中海と松田に対してだけなのです。一人称濃度なるもの、ここだけ明らかに高いので違和感を与えてしまったのかもしれません。それでよかったように思います。

>深度が地の文の中でシームレスにけれども急激に変わる。こういう揺さぶりは大切だと思う。個人的には。そこに違和を感じさせない

 鋭いですね、触覚が。気がつかない人は気がつきもしない、縫い目すらないと表現していただいたスカボローフェアの歌詞みたいな段差をスルーしないで拾われて、おお、とか思いましたが、急激に変わる、と表現していただけちゃうような挿れ方はよくなかったようにそこらは反省しました。もっと溶け込まして吉であろうかと今感じました。

>比喩表現に「みたいな」とか「みたいに」が多かったのが、ちょっと煩く感じ

 これはよいお薬を処方していただけました。盲点でした。チェックしてみたら、みたいな、と、ような、をイッタリキタリの形容でお恥ずかしい。まるで、とか、ほとんど、まんま、とか、そっくり、とか、あるいは直喩とか、いろんなバリエーションを今後意識してつかってゆきたいです。ご指摘ありがとうございます。額面は大事ですね。

 丁寧に読んでくださってありがとうございました。

maco
p66209-obmd01.osaka.ocn.ne.jp

もんじゃさん はじめまして

ふゆみかん.。
えって感じのちょっとアクロバティックな、心地いいけれんの冒頭の入りでがっとつかまれて、すっと読まされて、読み出したら文章のリズムが心地よく、そのままオイラの語りに乗せられました。
なんだろな、なにかがどっかで滞るってことがない。ない。ほぼなかった、気がする。そうめん。うん。するする抵抗なく入ってくるという意味ではそうだけど、でもそうめんというよりメロディーみたいなものが入ってくるのかも。そうめんより軽くて儚くて腹よりもっと高い位置で膨らむ。(全体の構成ももしかしたらクラシックぽかったりするんだろか。リカのパートから西村のパートへの変化はかなり極端で、ふとそんなことも思った)。

いやー、とにかくこの語りだ。どんだけ情報を周到に扱ってるんだろう。メロディーならほぼ心に訴えてくるからよほどヘンテコなことやんなきゃとりあえず入ってくるけど、語りは同時に頭にも訴えてくるから、ちょっとでも読み手を覚ますようなヘタ踏んだらアウトだもんね。当たり前だけど、情報を扱う手の動きは完全に隠れている。素晴らしい道具を作る職人の手が見えないように。これでまだアマチュアなんですか……。道具でもメロディーでも語りでも、作り手の見えない優れたものって、もはや準自然だよなー。自然と人工の間で自立しているもの。だから安心して関われるし心を許せるんだ。そう、御作は、こっちの心が許せるのかも、変な言い方だけど。

いわゆる調子のいい語りとは違うですよね。浅いところや狭い層を、筆に任せてスイスイ進む感じではまったくなく、ノッてる作者が透けることなく、あくまで物語優位で、確実に物語世界の陣地を広げながら進む感じ。容赦ない碁の打ち手というか。表面的には、一人称のどちらかといえば饒舌な語りなのに、全体の印象は控えめで、慎ましい感じなんですよね。うん、ざっくり言って、ふくよかな語り。(おれいまたまたまハックルベリー読んでるけど、魅力的な語りって点では同じ地平にあるものに感じる←おれ基準)。作品はさまざまな層のさまざまな情報が組み合わさってできているけど、その中で一番大きな情報はこの語りそのものなんだろう。家を見るとき、パッと外観を見てあ、いい家だなと思うように。土台が栗だとか建物の向きがちゃんと太陽の軌道配慮してるなとかって考えず、まず全体の印象が入ってくるように。

それと、全体の明るいトーン。これも好き。(なんとなくだけど、語りはどっちかいったら作者より語り手に属しているのに対し、明るさは語り手に属する以上に作者に属しているような気がする。まあこれは作者さんの他の作品もいくつか見てみた上での印象だから我ながら後だしの匂いもするんだけど、ね)。
明るさ。明るさの単位は知らないけどこの作品けっこうな照度だと思うけど(目立たない恒星みたいな印象)、いうまでもなくただ明るいわけじゃない。なんだろな、たぶんある種の達観とか覚悟、というような領域の言葉が関わってくるんだと思う。たとえば「さよならだけが人生だ」という有名なフレーズの持つ明るさと、似た種類の。

あるいは比喩的に。明るさってふくらみがあるものだと思うんですけど、その明るさが引き伸ばされて平らに近くなってしまって、その平らさが切ないというか、明るさがその明るさを十全に発揮できないけれど、それでも光を発すること自体はだれにも、オイラ自身にも止められないような、そんな明るさ。あ、これってピョン吉か。ピョン吉的明るさ。あれ、ついさっき言った明るさとは違うか。似てるか。

ピョン吉。むろん褒め言葉としての。弱さ、男気、明るさ、照れ、孤独、そしてど根性、そんなもんが詰まったハイパーカエルですから。オイラくん、わりと被ってますよね? 三つばかナイーブ寄りだとしても。

てかそっか。ピョン吉だからオイラなんだ。

オイラ。感想欄ざっと眺めて、「オイラ」がトピックになってるみたいだけど、おれは最初から違和感がなかった。というか、オイラあってのこの語りだと思う。ぼくやおれじゃこういう風にはハマらないんじゃないかな。いや、それはそれでハマるかもだけど、それはもはや別の作品で、この作品に関していえば、重要なところが失われる気がする。なにがオイラで持っているんだろか。やっぱピョン吉的明るさ?
ただ、「オイラ」が臭いのきついワードであるのは事実で、どっかで「オイラ」が対象化されるところを作るとか。リカ「ふふ。あなた、オイラって言うんだね」オイラ「オイラはオイラだから」とか。なぜオイラかっていう設定はあっても、設定は特に明かす必要はなくて。あ、思いついた。オイラがブラジル人とのハーフとかだったら、「オイラ」というワードが別の説得力を持って、レトロファンタジー臭が一蹴されて、作品全体も一気にリアル寄りになるなー。これまた別の作品になっちゃうけど。そういえば地の文じゃなくてセリフで「オイラ」っていうところ一箇所もなかったような。なんか意図があるんだろうか。

ファンタジー。この作品は、根っこはファンタジーですよね(←形だけの異世界とかじゃないよ。そう受け取ったす)。リアルの意匠を施されたファンタジー。リアルの向こうに誘ってくれる空気がプンプン。でも自分の思いつきで言うのもなんだけど、ブラジル人ハーフのヒロの物語も読んでみたい気がする。

これはどうなんだろと思うところもあった。

> 「少しでも遠くに行きたいんだ」
 って独り言みたいにまた言った。そうだ、家族から少しでも遠くに離れたい。

ここはめずらしく説明になっちゃってると思った。
この場面でオイラがこう思うこと自体は自然で、情報を出すタイミングとしては間違いないけど、はたしてそもそもこの情報を出すことは必要なんだろか。
ここまでの段階で、おいらについて伏せられたなにかは、明るさの裏のなにかは、どうしたって感知されているし、すこしあとでおふくろの回想シーンがあるのだから言わずもがな、では。
もし言わせるにしても「家族」は外向けの説明のワードで、オイラの言葉なら「みんな」くらいになるはずじゃないかな、と思った。

オレンジな世界。
象徴というか、これからの展開を引っ張る、いわばストーリーの根幹めいた気配が濃厚だけど、説明的な匂いも、する。



ありゃ。入りきらなかったので、もう少し続き送ります。

maco
p66209-obmd01.osaka.ocn.ne.jp

オレンジな世界。
象徴というか、これからの展開を引っ張る、いわばストーリーの根幹めいた気配が濃厚だけど、説明的な匂いも、する。
作者さんならこちらの想像の上をゆく料理ができるのは間違いないだろうし、案外象徴の気配だけで、なにかあったルフィみたいに、オレンジな世界ってなんすか、鼻毛抜きながら橋の下で暮らす五十歳になるのかもしれない。
現時点では、もしかしたらこの先への期待以上に、最初のリカさんのパートだけで掌編として終わってもいい、気もする。というか、それだけリカさんのパートが立っていて魅力的なんだけど。
ただでさえ地味っぽい西村クンはそこからのバトンタッチで気の毒っちゃ気の毒だ。でも草食系なのに肉食系の技なんか持っていて地味な革命家っぽいなんかやるな気配もある彼はこの後巻き返すんだろか。
小説的には、オフクロパートでまた主題変えて盛り返して(そうそう、>アネキがすごく驚いてたな。←これとかすごくいいですよね。シンプルでリアリティを補強する光ってる文がさらっとそこかしこにあったような)、いいな動いてく感じだなって印象ではありました。うん、やっぱ掌編じゃもったいないか。

ちょっと違和感があったのは、リカがファミレスで働いていること。なぜ?
今現在経済的に苦しい上に、親がなくておそらく早く自立していたはずで、しかもこれだけ個が確立されていて具体的な夢があってそっちに時間を割きたい人がわざわざ遠くのファミレス(ごとき?)で昼勤務でバイトするものだろか。徒歩一分で深夜勤務とか店長が友達でシフトが自由とかならともかく。今後の伏線なんだろか。二人が出会ったファミレスそのものが大きな意味を持ってくるとか。整合性とか伏線ほぼ興味ないので、どうでもいいちゃいいんだけど、気づいたので一応。

もうひとつ。二人が出会ったファミレスは、池袋から渋谷にかけての山手線沿線のどこかにあるんだろうけど、オイラが荒川区からそこに来るまで一週間かかるって一体どういうルート? オイラはたぶん西の彼方、現実的にもイメージ的にもとりあえず秩父か丹沢の向こうのオレンジを目指すだろうから、まっすぐ西へ行けば一日で着いてしまう。それと何川沿いを来たんだろう。というか荒川河川敷とかならともかく、都心の小さな川に野宿できる橋なんてあるの? 謎の一週間。この後明かされるんだろか。

細かいところでは、

>二十十分

>クルヌプ
これは、しっかり者の十五歳の、それでもやっぱり十五歳な上滑りな感じを出すための意図的なもの?

なつみかんもふゆみかんもどちらも続きを期待させます。おれの文章の好みがふゆみかんだったので(いつか自分でもこんなの書いてみたいものだ)、疲れちゃったし、これにて失礼す。なつみかんはオートマ車のシフトチェンジみたいな文の並びで、ふゆみかんはタクシードライバーによるマニュアル車のシフトチェンジみたいだったかなー。あえてオートマのシフトチェンジな効果は分からなかった。ありがとうございました。

もんじゃ
KD111239164106.au-net.ne.jp

 macoさま

 ありがとうございます。

>ちょっとアクロバティックな、心地いいけれんの冒頭の入り

 最初の一文がまず浮かんだんですよね、旅の途中だ、ってやつ。で、そのシーンがファミレス裏になった理由はよくわかりません。外連味ある入りかただよな、とか書いてて自分でもちょっと思いました。

>メロディーみたいなものが入ってくるのかも。そうめんより軽くて儚くて腹よりもっと高い位置で膨らむ。

 お腹より高い位置って胸かな、胸膨らますのは夢かな、ドリーミーなメロディとか? おお。

>準自然

 すっごく褒められてる。

>一番大きな情報はこの語りそのものなんだろう。

 ストーリーとかキャラ設定とかじゃなくて語り。漫画や映像作品と文芸が一線を画するのは実に全編これ語り、って点ですよね。

>全体の明るいトーン。

 あまり意識してないのだけど前にも指摘していただいたことがあって。明るいとか、軽いとか、ノーテンキとか。

>語りはどっちかいったら作者より語り手に属しているのに対し、明るさは語り手に属する以上に作者に属しているような気が

 たぶん根が楽天的なんで、だからシリアスなこと書いててもどこか飄々としちゃうのかも。

>明るさの単位は知らないけどこの作品けっこうな照度だと思う

 ルクスじゃないですか、ルクス。

>ある種の達観とか覚悟、というような領域の言葉が関わってくるんだと思う。

 経験値、みたいな?

>ピョン吉

 松山ケンイチ。オイラちっくかも。

>オイラあってのこの語りだと思う。ぼくやおれじゃこういう風にはハマらないんじゃないかな。

 十五歳のオイラくん、なかなかかわいいかと。

>オイラがブラジル人とのハーフとか

 わはは。

>セリフで「オイラ」っていうところ一箇所もなかった

 そうなのですよ。

>すこしあとでおふくろの回想シーンがあるのだから言わずもがな、では。もし言わせるにしても「家族」は外向けの説明のワードで、オイラの言葉なら「みんな」くらいになるはずじゃないかな、と思った。

 確かにそのとおりですね、みんな、くらいに直します。ありがとうございます。

>これだけ個が確立されていて具体的な夢があってそっちに時間を割きたい人がわざわざ遠くのファミレス(ごとき?)で昼勤務でバイトするものだろか。

 ふうむ。山手線を半周近くして通ってますもんね、昼間のファミレスに、リカさん。なんか後付けで理由を付けることにしますね。ありがとうございます。

>もうひとつ。二人が出会ったファミレスは、池袋から渋谷にかけての山手線沿線のどこかにあるんだろうけど、オイラが荒川区からそこに来るまで一週間かかるって一体どういうルート?

 イメージとしては、オイラくんの団地は荒川区にあって、そこ出て彼は荒川の河川敷きを旅してたんですよ、その一週間で何があったかはこのあと語りました、投稿したあと書き足した分で。ホームレスの人に説教されたり、警察から逃げたり、暴走族に助けられたり、トイレや水道探し回ったりいろいろしてて、実はいくらも進めてないんですよ。で、リカさんに拾われたファミレスは山手線の右端くらいにあるんですね、で、切符買ってもらって、山手線ぐるっと半周して高田馬場に来た、と、そんなふうに考えてました。でも一週間は長いかも。三日に縮めてみようかな。

>二十十分

 わちゃ。

>クルヌプ

 クヌルプでした!

 ありがとうございました、また続きを書き進めます。

もんじゃ
KD111239164063.au-net.ne.jp

 5ちゃんねるの君と、あと君、かな?

 見たよー。ずいぶん根に持ってるみたいじゃないか。遠くから石投げてないで遊びにおいでよ?

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