作家でごはん!鍛練場

矛盾に満たされた必要不可欠の愛とかを容易く理解したい

【矛盾に満たされた必要不可欠の愛とかを容易く理解したい】

窓のない部屋が、現実を遮断した切り売りの時間を無限に吐き出していた。
それは、なんだか妙に嘘っぽく華やかで軽薄に明るくて、僕は見上げた天井の照明を圧縮効果でぼやけた風景写真をみるように眺めている。
愛し合った後の気だるさまでが心地いい。
このままずっと、絡まるように智美を包み込んだまま微睡みの時間を感じていたい。
「変な感じ……」
言った智美の唇が柔らかく僕の指先に触れる。甘く溶け出した声が漏れそうなほどに心地よかった。ベッドの上にある智美の細胞全てをこのまま僕の中に吸収してしまいたい。永遠に閉じ込めてしまいたい。
人を愛したことがないわけじゃない。単純に、これほど深く愛したことがなかっただけだ。
「どうして?」
訊きながら鼻先にある甘い香りの髪を撫でる。その指先から伝わる感覚を表す言葉を探して諦める。どうせ僕には、愛と呼ぶ以外に術がない。
恋と愛の違いをずっと前に訊いたような気がする。誰から聞かされたのか覚えてはいないけれど、恋とは相手を想うことで、愛とは相手に溶け込むことらしい。
だとしたら、今の僕は間違いなく智美の愛に溺れている。それ以外に、この感覚を説明できない。
「なんだろ、身体中が痺れてる」
「痛かった?」
細くて柔らかい智美の全てが心地よくて僕はいつだってそれに触れていたい。
それでも、エネルギーを与えずに永遠に動き続ける動力はないのと同じで、差し出すものが無くなれば愛情は枯れて無くなる。
分かっていても、僕は永遠を願わずにいられない。
「うぅん、初めての感覚なだけ」
「そっか」
初めてのことが僕にも毎日増えている。それは多分今までだって経験したことがあるはずのことだけど智美がくれるそれは、上手く表現できないけど多分。色鮮やかなんだと思う。
智美が抱えてきた筈の苦しみを考えると、信じられないくらいにタフだとも思う。
だからこそ、他の女性に比べて輝いてみえるのかも知れないし。強がる反面、脆いのかも知れない。強靭な部分と脆弱な部分が重なって智美かいる世界は色鮮やかなのかも知れない。
僕はずっと、智美が抱えている苦しみをゆっくりと溶かしてあげることができないか考えていた。その為に寄り添うことを諦めないと決めていた。
そして、智美から奪いたいと願い続けていた彼女の真ん中を少しずつ手にし始めた僕は溶け始めている。真夏の直射日光を浴びるかき氷のように、露出を間違えた写真のように、冷蔵庫にしまい忘れたバターのように、溶けてく。永遠を願いながら、現実から逃げ切れなくなってもいる。
それでも、ギュッと抱きしめてほしくて、それが叶わないことを僕以外のことの責任して逃げ出してる。
智美の頬に触れて、髪を撫でて、唇を重ねて誤魔化してる。
自由に飛び回る智美を縛り付けたくないと思いながら、目の前の心地よさを手離したくなくてワガママを押し付ける。
僕以外を愛してしまわないでと、つまらないことを言ってしまいたくなる。弱虫になる。
僕は、矛盾に満たされた必要不可欠の愛とかを容易く理解したい。
もっと強くなりたい。
「一緒にいられる時間は直ぐに過ぎてしまうね」
言ってもう一度智美の細い肩を抱き締める。壊してしまうくらいに強く抱き締める。
智美は答えずに目を閉じている。
チクタク、チクタク。
有線のスイッチ近くに置いた筈の腕時計の音がする。

矛盾に満たされた必要不可欠の愛とかを容易く理解したい

執筆の狙い

作者
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思い出して書いてしまうと本当は良くないんだけど書くならこんな場面かな……なんて感じで書き貯めてるものが沢山あってまとまんない。

コメント

5150
5.102.5.24

短いながらも、その雰囲気に思いっきり呑まれて、読み進めました。頑張って書いてもらって、ある程度まとまった形で読んでみたいですね。

貔貅がくる
n219100087061.nct9.ne.jp

「愛だ、愛だ、愛、愛、愛……」と連呼連呼、あんまり駄目押し怒涛連呼されすぎで、
「愛」を繰り返すごとに、言葉が「空虚」かつ眉唾になってく。

読む側(の私)は『それは本当に愛なのか?』〜『どうも違うんじゃないのか?』という胡散臭さでいっぱいになり……

『すべては、妄想男の痛い妄想である願望の世界』で、
『主人公の妄執の末に、すでに智美は死んで・仰臥してるんじゃないのか?』と考えてしまった。。

それほどに、「智美」が見えない。一切まったく「生きて存在している気配」がない。


現状の「愛、愛、愛……」と何十回となく連呼されるよりも、
たった1つでも「智美という存在が鮮やかに見える描写、エピ」が雄弁なのだ……と思う。

そういう点で、下にあがってる『天津甘栗……』が参考になるかと思う。

偏差値45
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>矛盾に満たされた必要不可欠の愛とかを容易く理解したい

確かにそう思うこともあるでしょうね。
しかし、現実の世界では愛はそんなに必要ではないです。
愛が無くても生きてはいけるからね。
むしろ必要なものはお金ですね。
それにAさんとの愛がダメでもBさんとの愛があれば良いのです。

それで文章はと言えば、個人的にはあまり好きではない感じですね。
冒頭がやや抽象的なんですね。
>窓のない部屋
嘘でもいいから、窓くらいあって欲しいなぁ。なんて思いますね。
それって納戸? それって何処よ? なんて疑問が生まれるからです。
そういう疑問は伏線でもない限りは与えない方が無難のような気がしますね。

大丘 忍
p1793091-ipngn200202osakachuo.osaka.ocn.ne.jp

>恋とは相手を想うことで、愛とは相手に溶け込むことらしい。

違いますね。どちらも相手が好きであることに違いはありません。でも恋とは相手を愛してセックスをしたい。愛とは相手を愛して抱きしめたい。
恋人とはセックスをしますが、我が子は抱きしめますね。

shion
KD106128001162.au-net.ne.jp

なかなか全体的にセンチメンタルな雰囲気があって読みやすかったです。もう少し場面の描写というか、情景描写があってもいいかもしれません。

エネルギー
p5665006-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

読ませていただきました。
確認したいことがあるので、質問してもよろしいでしょうか?

>窓のない部屋が、現実を遮断した切り売りの時間を無限に吐き出していた。

冒頭のこの文の意味を教えていただきたいのです。

作者に自作の解説をお願いするなど愚かで野暮な行為です。私の読解力が不足しているせいで申し訳ないのですが、お願いできませんでしょうか?

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5150様
ありがとうございます
まとまったものを読んでみたいとのこと、ありがとうございます。

自分自身の気持ち中心に書いているので物語もなくて、ただただ記憶を焼き付ける為に書いている部分もあって……

取りあえず今は繋がりも考えず場面場面を書いているところでした。

ありがとうございます

sp49-104-5-63.msf.spmode.ne.jp

貔貅がくる様
ありがとうございます

確かに智美を説明していないですよね。
多分、言われる通りに自分自身のことだけをみているのだとも感じます。

もしかしたら僕自身が智美のことを都合よく考えていて愛していると繰り返せば繰り返す程に彼女の中では僕の軽薄な部分を感じているのかも知れません

結局、良く分かってないのかも知れません。

ありがとうございます

ドリーム
27-136-247-172.rev.home.ne.jp

拝読させていただきました。

随分と難しい題名をつけたものですね。
愛とは何か、恋とはなにか? なんか言葉の表現に酔っているよに感じました。
結局二人でいる時間は何者に変えられないという事でしょうか。

dw49-106-187-225.m-zone.jp

偏差値45様
ありがとうございます

恥ずかしいのですが、最近知ったのです。時間の基準が地球の自転公転を都合よく分割したものに過ぎないってことです。
概念を疑わない。基準があるから存在してるとは言い切れない。
確かに愛情も実は存在などしなくても、なんら問題なく世の中はまわるのかも知れないですね。
それでも僕は今、その事に夢中なのかも知れません。

窓のない部屋は
ラブホテルの一室を書きたかったのですが言葉足らずでした。
勉強になります。

ありがとうございます

dw49-106-187-225.m-zone.jp

大丘忍様
ありがとうございます

恋人だからセックスするのかは分かりませんが、確かに愛情が全てセックスに直結しているわけではないですよね

可能であれば精神も肉体も融合したい解け合いたい。
そんなことがあるはずはないのですが、そんな雰囲気が伝わればな。とか、考えて書いていたのかも知れません。

参考になりました。

ありがとうございます

dw49-106-187-225.m-zone.jp

shion様
ありがとうございます

センチメンタル
確かに書いてるとき正しく感傷的な感覚だったと思います。

智美の全てを手に入れたい。肉体も精神も手に入れたい。
それでも、そんなことは叶わない。
そんな風に感じているのだと思います。

今は、もっと溺れてみたいと思ってもいます。

ありがとうございます

dw49-106-187-225.m-zone.jp

エネルギー様

ありがとうございます

やっぱり「窓のない部屋」は失敗だったのかもな……とも感じています。

僕の中にあったのはラブホテルの一室です。窓はあっても隣接しているビルに隠れて窓としての役目を果たさない飾りのような窓。
僕の近所は、そんな感じのラブホテルが多くてなんだかそんな風に記憶にあるのでした。
でも、都会は違うのかも知れません。
ご休憩数千円で急ぎ足に抱き合う場面でした。

参考になりました。

ありがとうございます。

エネルギー
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お返事ありがとうございます。

いえ、別に「窓のない部屋」は分かります。ラブホテルというのも、後の描写を見れば想像がつきます。
私が分からなかったのは、ラブホテルの「窓のない部屋が現実を遮断した切り売りの時間を無限に吐き出していた。」というところです。

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ドリーム様
ありがとうございます

酔っ払っているのは間違いないのかも知れません。
前後左右上下に向かう感覚がぐらぐらしてるのだとも思います。

溺れている不道徳な愛情に窒息したいのかも知れません。

そう考えれば僕は非常に恵まれているのかも知れないし、排泄物や吐瀉物に似たものを手のひらに溜めているに過ぎないのかも知れません。

どろどろとした泥沼の中にいるのが僕の必然なのかも知れません。

優しい言葉になんだか救われました。

ありがとうございます。

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エネルギー様

私が分からなかったのは、ラブホテルの「窓のない部屋が現実を遮断した切り売りの時間を無限に吐き出していた。」というところです。

言葉足らずで本当にごめんなさい。

ラブホテルの役割って現実を切り離すことだと勝手に感じています。
あの独特な雰囲気が心地よかったり吐き気がしたり。
それでも、僕達には車中か露出狂かの選択しかなくて結局は数時間を切り売りする部屋しかなくて直前に誰が利用したかも分からないベッドで絡まり合うしかなくて……

って、そんな感じです。
すっきりすっかりしっかり爽やかに抱き合って嘘のない愛を囁いてみたくもあるのですが僕は本当にウンコです。

ありがとうございます

5150
5.102.5.24

>>人を愛したことがないわけじゃない。単純に、これほど深く愛したことがなかっただけだ。
>>もっと強くなりたい。

j-popじゃあるまいし、こういう言葉をさらっと書ける、って、けっこうすごいのでは。普通は小説だと、陳腐になりすぎて、なんとなく書きづらいですよね。逆を言うと、それくらい書き手の熱情がひしひしと伝わってくるわけで。

誰かに恋しているときって、やっぱり文章にしたくなりますよね。

まあ、御作はいわゆる心情のメモみたいなものだし。
本来なら、他人に見せるより、自分のためにとっておくようなものですよね。

やっぱり小説ってのは基本的には、他人に読んでもらうものであるので…。
こういう実生活での鮮やかな体験って、実は小説という形にそのまま当てはめようとすると、気持ちが強ければ強いほど、書ききれなくって逃げちゃうんですよね。

だからこそ、書く方は小説の持つ虚構という性質をうまく使って、作者だけの真実を書かなくちゃいけない。

なので、もっとまとまった形でって、軽く無責任に書いちゃったけど、こういうのをそのまま小説としてまとめるのって、かなり難しいと思います。

あ、言いたいことはですね、こういうピュアな気持ちを持つことってすごく大事だし、それを言葉で表そうとする行為そのものが、かなり貴重だということです。どんどん書いて、どんどん struggle した方がいいですね、ただあくまで自分自身のために。

書いた後でしばらく放置しておいて、それから今度は、表現するって何だ、つまりは他人に伝えるってどういうことだろう、わかってもらうにはどうしたらいいかと、そこで初めて考えてみればいいんじゃないでしょうか。そうやって、少しづつ小説という形にしてゆく、と。

応援してます。

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5150様

本当に、ありがとうございます

分かります。
小説として成立する筈もないと理解しているつもりでもあります。

なんだろ……溜まっているものを吐き出してしまいたいのかも知れないし、誰にも打ち明けることのできないものを消滅させる為になのかも知れません。

少しずつ
懲りずに書いておきます。

ありがとうございます。

エネルギー
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お返事ありがとうございます。
意図は誰様の説明でよく伝わりました。でも、やはり冒頭の文章は適切ではないと感じました。
冒頭でかなり立ち止まってしまい、行為の場面だと分かって冒頭に立ち戻ってまた悩んでしまい、かなりもやもやが募りました。

窓のない部屋が(ラブホテルの部屋が)、
現実を遮断した切り売りの時間を(恋人と二人きりの、夢のような、しかし日常におけるなけなしのお金などを差し出して作った時間を)
無限に吐き出していた。(?)

ラブホテルって時間的空間的に限りがないのでしょうか? 僕にとっては無限に思える時間ということでしょうか? でも切り売りした時間って書いてあるから切り売りって有限のひとまとまりがベースにあるし無限と矛盾しないか? 無限は無限のようなという比喩? 多くの人や物や時間を無限に置き換えている? ということはラブホテルを利用した、またこれから利用する人のことも僕は想定してこう思ったのか? でもこの話の視点は、僕で、恋人と二人きりの場所で「愛」だとか言う人が他人のラブホテルまで想定するのかな? 他人のラブホテルまで想定しても「無限」とは言わなくなか? ということは人類の歴史を通じた普遍的な「愛」を説こうとしているのか? それにしては話が僕の個人的な思い込みに近いし普遍性を感じないよな、親子愛、兄弟愛、友人愛、隣人愛にエッチは含まれないしな……。

みたいな感じで分からなくなってしまい、冒頭でかなりフラストレーションがたまってしまいました。
私の読解力不足の可能性も高いので、確かなことは言えませんが、何となくの雰囲気で書いてしまったのかなあと感じました。素人にありがちな「小説ってこんな感じだよね」感がすごくありました。世に出版されている本を読むと、こんな雰囲気だけの小説はほとんどありません(ライトノベルや自費出版は除く)。

自分が本屋でお金を出して買って、この冒頭だったらどう思うかを考えながら推敲してみてください。それはもちろん、冒頭に限らず。この話にお金を出す価値はあるのか。ないなら、どこに問題があるか。読者はシビアですから、作者よりも読む力が高かったりします。それに負けない作品作りを心掛けてみてください。

読解力のない私が偉そうに申し訳ございませんでした。

飼い猫ちゃりりん
106171068105.wi-fi.kddi.com

誰様
題名からしてそうですが、やはりまだ作品になってないのでしょう。ただ、自分の感じたことを言語化して保存することは良いことです。
「愛」は表現される対象だから、小説での「愛」の多様は読者を萎えさせます。
「これは愛だ!」
「だからその愛ってなに?」

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エネルギー様

ありがとうございます

お金を出してよみたいか?
確かに自問してみると読みたくなる要素など微塵もないのだと感じています。

ただただ単純に吐き出したいのかも知れないです。
多分、書くことで発散させたいのだとも思います。

指摘の表現も感情に任せて読み手のことを考える余裕が無かったのかもしれません。

参考になります。

ありがとうございました。

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飼い猫ちゃりりん様

タイトルの件、内容の件。
言われている意味分かります。
溺れたままに言葉にしてる。
客観視等、微塵もできていない。そうも感じます。

愛の件

愛の表現、何か自分自身の真ん中に響くようなもの探してみたいものだとも感じています。

とろとろのどろどろで、もどかしくてウザったい。でも、手放せないそんなものを伝えるのってやっぱり難しいですね。

勉強になります。
ありがとうございました

羅愛
124-18-36-149.dz.commufa.jp

思ったことを文章にするそれは我々小説を書く者にとっての至福であり幸福である。
そのままであれ。

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羅愛様

ありがとうございます

思うまま
本当に好きな感覚ですが
それが書き手を駄目にしてしまうもの理解してるつもりでもあります。

もっと集中して
溺れて
書いてみます

ありがとうございました

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