作家でごはん!鍛練場
水橋薫

天津甘栗みたいな香り

 今学期の席替えでしほちゃんと前後の席になった。

 授業中ボーッとしていると必然的にしほちゃんが視界に入ってくる。
 長くてちょっと茶色がかった髪はとても印象的。いつも後ろで一つ結びにしている。しほちゃんは社会の時間に寝落ちする。確かに、深谷先生の声は平坦で退屈だ。気持ちは分からなくもない。しほちゃんがこっくりこっくりしていると、髪の毛がさらさらゆらゆらと動くのだ。なんとなく、目で追っているうちに、ぼくまで寝落ちしてしまうのだ。いい迷惑である。

 給食の時間には同じ班だから向かい合わせの席になる。
 しほちゃんは牛乳が苦手らしい。だから、一日置きに牛乳を残す。月曜日と水曜日と金曜日は我慢して飲むのだ。毎日残すわけじゃないのが少し偉い。そして、火曜日と木曜日は「大きくなりなよ!」と、言ってぼくに押し付けてくるのだ。余計なお世話である。牛乳を飲むだけで身長が伸びたら、ぼくはここまで深刻に悩んだりするだろうか。仕方ないから、飲んであげるけど。

 昼休みになっても、ぼくは外に運動しにいったりしない。適当に周りの友達としゃべっていることがほとんどである。どうせ、放課後のバレー部でうんざりするほど動くのだ。お昼くらい、ゆっくりしたい。しほちゃんもインドア派である。そのせいか、色白である。でも、ほっぺただけは赤い。よく見るとちょっとソバカスもある。
 しほちゃんはよく部活の話をする。吹奏楽部に所属していて担当の楽器はオーボエらしい。オーボエは世界で一番難しい楽器で、ギネスブックにものっているんだよ。と、誇らしげに教えてくれた。吹奏楽の話をする時、しほちゃんははいつもよりちょっと早口になる。本当に好きなんだなぁ、と思う。

 そんな、しほちゃんのことが、ぼくは本当に好きなんだ……。

天津甘栗みたいな香り

執筆の狙い

作者 水橋薫
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中学校の時好きな子がいました。
時間が経ったらその子のことをハッキリと思い出せなくなりそうなので覚えているうちに書いてみました。
私にとっては、なかなか魅力的な人物だったのですが、いかがでしょうか?

コメント

大丘 忍
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中学生の頃はそんなことはよくあるのでしょうね。私が中学の頃は戦時中で。男は中学校、女は高等女学校と男女別学でした。特別なことが無い限り男女交際はなく、女と話をすることもありませんでした。通学の途中に女学校に通う女生徒と同じ道になることがありますが、それでも知らぬ顔で通り過ぎました。でもね、内心では女の子と話したい気持ちはものすごくありましたね。君達の曾爺ちゃんの時代です。

貔貅がくる
n219100087061.nct9.ne.jp

全体の雰囲気が良い。
紙幅(の超タイトさ)にちょうどよく、コンパクトにまとめられてて、「しほちゃん」の描きかたにも好感が持てる。

ですが、やっぱもうちょい行数増やして、
「現状察せられなくもないタイトルの意味」が、鮮やかに立ってくるように描写した方がいい。

そして、導入部の説明が絶対的に足りてなくて、『主人公らの通ってる学校が、小中高、どの種別なのか不明』なんだ。

(『執筆の狙い』には中学と明記されてるけど…… そんな「作者の補足」なんぞなしに「読者が一発理解できるように書く」のが、ショートショートを書く上での最低限のマナーだと、自分的には思っています)

・まず「居眠りしてしまってる社会科」の科目名をはっきりさせる。
・給食の時間、班ごとに机固めるのは、主に小学校。
・中学の吹奏楽部は、オーボエ置いていないところも多い……ように思う。

その3点で、読者は「主人公らの通ってる学校」を、
『高校かなー?』 → 『えっ?! まさかの小学校だったの?!』 → 『・・・。中学??』
と、頭の中が無駄に忙しいことになって、これしきの文字数だのに、どうもアンフェアな思いさせられる。

三枝松平
ntngno151245.ngno.nt.ngn.ppp.infoweb.ne.jp

水橋薫 様

 読ませていただきました。
 質問ですが、天津甘栗みたいな香りはどのへんで感じれば良いのでしょうか?
 私には「牛乳の香り」しかしてきません。
 せっかくの思い出ですから、なぜ、天津甘栗なのかそれとなく書いてほしかったですね。
 超辛口で申し訳ありません。

 ただ、せっかく牛乳を飲んであげているのに、しほちゃんが上から目線で「大きくなりなよ!」ってなんだよ!?と、ちびのぼくが虚勢をはるところは良いと思います。
「バレー部でしょ!」と、牛乳飲めないくせに虚勢をはるしほちゃんも良いですね。

 この部分が一番のきもだと思いました。

偏差値45
softbank219182080182.bbtec.net

ほとんど人物紹介程度で終わっている。
ストーリー性が薄いですね。
現実に起きた事ではなくても短くても良いので、
面白いものを期待したいですね。

例えば、十年後に車椅子に乗るような障害者になっていたとか。
ブサイクな男性と結婚してしまったとか。
実は心は男性だったとか。いくらでもストーリーは作れるとは思います。

夜の雨
ai215139.d.west.v6connect.net

「水橋」さん、作品読みました。

「恋に恋する」という内容だと思います。

>中学校の時好きな子がいました。<
御作を読んでみましたが、「しほちゃん」という女の子、他人の私からだと魅力的に思えません。
というか、魅力的に書いていない。
主人公の「ぼく」が、意識しているだけではありませんか。
前の座席に座っていて、髪の毛が揺れたりするので、意識してしまう。
猫が猫じゃらしに、意識するのと大して変わらない。
吹奏楽のオーボエを担当しているので、その話を主人公にするので、当然主人公は彼女に焦点を当てるので彼女だけを見るので、意識する。

>時間が経ったらその子のことをハッキリと思い出せなくなりそうなので覚えているうちに書いてみました。<
彼女が魅力的なら時間が経っても思い出せるはずです。
「ハッキリと思い出せなくなりそうなので」ということは、彼女が、特段魅力的でなかったということではないでしょうか。

>魅力的(みりょくてき)とは。人の心をひきつけるような力のあるさま。「魅力的な人柄」「魅力的な話」<
ネット辞書。より。

御作を読む限り、彼女が人を惹き付ける力があるとは、「読めません」。

>私にとっては、なかなか魅力的な人物だったのですが、いかがでしょうか?<

「魅力的な人物だった」とは「思えません」。
では、なんだったのか、というと、主人公が、「恋に恋する」状態だったということだと思います。

こういった、恋愛感情を何度ももち、コミュニケーションをとった後、人間は人生のパートナーを選ぶのではないでしょうか。

そして、最高の相手を選んだと思っているが、あとから後悔するのが人生です。
だから人生にはドラマがあるし、不倫もある。
結婚して、何度も離婚する、者もいる。

御作に出てくる「しほちゃん」の表面しか、主人公は見ていない。
御作では、彼女と主人公が話しているのは、吹奏楽のオーボエとか牛乳ぐらいのものです。
あとは、髪の毛が揺れたとか、の意識がある。

小説とは、主人公とヒロインの彼女がコミュニケーションを何度もとり、相手の人柄とか容姿とかを(エピソードで)、多方面にわたり、キャラクターを知った上で好きで好きでいられなくなる。そこに邪魔者が入り、物語が展開していき、結末になる。
そこには、ああ、そういう青春も人生もありだなと、思わせるところに、小説のドラマの面白さがあると思います。

御作だと表面しか描いていないので、表面しか見えていないので、これは主人公の「恋に恋する」という内容だなと思った次第です。

水橋薫
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大丘忍様
お読みいただきありがとうございます。
人それぞれ、時代、場所により色々な青春があること、とてもワクワクします。
今、送れている幸せな青春を謳歌したいと思います。

水橋薫
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貔貅がくる様
お読みいただきありがとうございます。
ショートショート初挑戦のため、自己完結的な所が多数ありました。私は文章が稚拙なため、いつもは冒頭が説明文臭くなってしまうのです。雰囲気がでないのでいろいろと端折って書いてみたのですが、確かに削り過ぎでした。いい塩梅になるよう努力します。
追記
しほちゃんは地理でも公民でも歴史でもなんでも寝ます。
私の中学ではお昼は班でたべていたのです。高校生になった今、班でたべることは、接点がない人と話すきっかけができる素晴らしいシステムだったな、とよく思います。
うちの学校は割と人数が多かったので、吹奏楽部は楽器が充実していました。文化祭の時のしほちゃんのオーボエのソロパートは素敵でした。

水橋薫
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三枝松平様
お読みいただきありがとうございます。
天津甘栗が出てこないのは私の怠慢のためであります。本当は、しほちゃんと私の長袖ジャージが入れ替わってしまって、その時に初めて、女の子の体臭って甘いんだ!ってことを知る、というエピーソードを書くつもりでした。ですが、その時自分の気持ちを書き起こすと、なかなかに気持ちが悪いものだったので、思いっきりカットしました。タイトルは気に入っていたので、そのままにした、というのが顚末です。それと、今考えてみると、『天津甘栗みたいな香り』よりも『天津甘栗みたいな匂い』の方が自然ですね。多分、加筆して再投稿すると思うので、その時はもう一度お読みいただければ、幸いであります。

水橋薫
KD106156228118.ppp-bb.dion.ne.jp

三枝松平様
牛乳のエピソードは中学校での特にお気に入りのものです。結局、私の身長はあまり伸びませんでした。それと、しほちゃんが無理して牛乳を飲んでいたのは、貧乳を気にしていたからだった、というのも強烈に記憶に残っています。

水橋薫
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偏差値45様
お読みいただきありがとうございます。
ストーリー性がないのは偏に私の文章や構成力の問題ですね。もっと試行錯誤してがんばろうとおもいます。私にはまだ、しほちゃんへの想いが燃え滓程ですが、残っているのです。なのでなるべく幸せになっていただきたいのです。ちなみに、現在しほちゃんとは同じ高校なのですが、しほちゃんには陽気なキャラクターの彼氏がいるのです。自分語りお許しください。

水橋薫
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夜の雨様
お読みいただきありがとうございます。
手前の稚拙な文章力のために、夜の雨様に微塵も彼女の魅力が伝わらなかったのは非常に遺憾であります。良い話が書けるように尽力しようと思います。
特に、夜の雨様に主人公が「恋に恋する」つまり関心のベクトルが「好きな相手」ではなく、「恋をしている自分」に向いている。と捉えられてしまったのは大変ガッカリでした。
手前が書きたかった「片想いの楽しさ」というテーマと夜の雨様が仰る「恋に恋する」は似ているようですが、本質的に全く異なるものです。自分の表現力に失望しそうです。
ですが、手前の駄作の文章量をはるかに凌駕する、夜の雨様の感想(たとえ否定的なものであっても)をいただけたことはありがたく、嬉しいことであります。
再執筆した際は是非お読みいただければと思います。

北に住む亀
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拝読しました。
短い文章にも関わらず、「しほちゃん」の人となり・魅力がきちんと描けていると感じました。例えば、牛乳を残す件ですが、「一日おき」がいいですよね。これが毎日残しているんだったら、魅力的にならないと思います。また、「ほっぺただけは赤い。よく見るとちょっとソバカスもある」と、(一般的に見れば)マイナスの情報を出しているのもお上手ですね。本当に好きという感じがよく伝わってきまました。

ラストの一文はもう少し何とかなったかもなぁ…と個人的には思いました。素直な感じが出て「ぼく」らしいのですが、「好き」という言葉を使わず「好き」が伝わる文章だとより印象的になった気がします。

ただ、全体的にはとても好感が持てる素敵な掌編でした。次回作も楽しみにしています。

水橋薫
KD106132131081.au-net.ne.jp

北の住む亀様
お読みいただきありがとうございます。
こだわったところに気付いていただけて嬉しいです。いいオチが思いつかなかったのは自分でも歯痒いです。頑張ってもっと上手く書けるように努めます。

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