作家でごはん!鍛練場
久方ゆずる

『甘えん坊になる薬』

「こんな薬があるんじゃ」
 じいさんが話し出したのは、遊戯の家のおもちゃ屋で、じいさんはカウンターの奥から右手に小さな便を持って出てきた所だった。
 じいさんが店のカウンターに小瓶を置く。小瓶は電灯に照らされて、妖しく黒色に光った。丸くて首の細いガラスには縦にいくつかの切り込みが入っていて、中には透明の液体が入っているようだ。
「海馬君、飲んでみんかね」
 いきなり、じいさんが俺に向かってそう言い出した。
 俺が黙っていると、じいさんはカウンターから身を乗り出して、「ほれ」と言った。
「そんな妖し気なモノは飲みたくないんだが」
 俺が答えると、じいさんはあからさまにガッカリした表情をして、肩をすくめた。「勇気が無いかね……」
「まさか」
「ちょっと、おじいちゃん、やめてよ」
 カウンターの前にいる遊戯が言った。俺から見て、その右隣に立っている城之内も「そうだそうだ、なんかヤバイぜ。その薬」とたしなめるように言った。
「フン、いいだろう。飲んでやる」
「おっ、いいねェ。さすがは海馬コーポレーションの社長様!」
 じいさんがからかうように言うので、俺はツカツカとカウンターに歩み寄った。城之内が面倒くさそうに右によける。
「へっ、格好つけやがって」
「じいさん、瓶を貸せ」
「ほいよ!」
 瓶は、手に取ると予想外に重くて、少しだけ驚いた。栓に指をかける。右手の人差し指と親指できしむガラスの栓を抜いた。
 中から、甘い香りがする。どこかでかいだ事がある気がするが、忘れてしまった。
 だが、今はそんな事どうでも良い。
 一気にあおった。苦味のある甘い液体が、のどを通る。
 何やら変な感じがする。視線のする方を見ると、じいさんがニヤニヤと俺の目を見ている。
「どうじゃ、海馬君。これは甘えん坊になる薬じゃ! 効いてきたかな」
「な……!!」
 思わず、声が出た。どういう薬だ……!!
「本当、おじいちゃん?」
 遊戯が心配そうに聞く。城之内が何とも言えない表情で、俺を頭の先から爪先まで不躾に見た。
「何だ、ジロジロと見るな」
「海馬君、何か変わった……?」
「おうよ、思わず、ママーって叫びたくなったとか……?」
 城之内は心底、面白がっている様子だ。
 凡骨には驚きも何とやらだ。
 俺は悩んだ。このまま黙って帰るべきか。それに、なんだか本当に身体の調子がおかしい……。まるで、身体の重みが無くなったようだ……まさか……本当に?
「海馬君、大丈夫?」
「はは、こりゃ、イイや。海馬キュン、甘えてみろよ」
 俺がにらむと、城之内は「怖~い!」と冗談めかして笑った。
 いつもなら殴ってやろうかと思う所だが、今は何故かそんな気がしない。妙な可笑しさがこみ上げてきた。身体が火照るとはこういう事か……?
「どうじゃね、効いてきたようじゃな!」
「それは……」
 うっかり声が漏れて、顔が赤くなった。おかしな声になっている……。帰るにも、足がフラフラとする……。

 ドン☆
「よお、海馬」
 遊戯の目つきが険しくなった。額に垂れていた前髪も上がっている。
「その声は……あちらの遊戯か!」
 遊戯は両腕を組んで俺を見下ろすように見た。相変わらず、ムカつく男だ……。
「さっきから見ていたんだが、何を飲んだんだ……」
「そんな事、知るか!!」
 とにかく、頭までボーッとしてきた。そんな俺を見て、遊戯が歩み寄ってきた。ユックリと足を進める様はあたかもファラオと言うところか……?
 俺の目の前で歩みを止めた遊戯は、俺の目をのぞき込むと、「ふむ」と呟いた。
「目が赤いな」
 振り向いて、カウンターの上の小瓶を見る。
「じいさん、一体、何を飲ませたんだ? 答えによっては承知しないぜ」
「あちらの遊戯に聞かれては答えないワケにいかないな。チェリーウォッカじゃ」
「はぁ?! 酒~!!」
 城之内がガッカリした声を出した。それを聞いた俺は、思わず腰から床に倒れ込みそうになった……。
「そうか……海馬、酒は飲む方か」
「ほとんど、飲まん……」
「コレコレ、お前達、まだ未成年だろう」
「じいさんが飲ませたんだろう。よく言うぜ!」
 城之内とじいさんの掛け合い漫才をぼんやりとした脳で聞いていると、遊戯が何を思ったか両腕を大きく広げた。
「海馬。この胸に飛び込んでおいで、甘えん坊なんだろう」
「貴様っ!!」
 ギューッと抱き締められた。
 なんだ、この気持ち……。まさか……。
「さあ、モクバの所に連れて帰るか」
「なんか、遊戯が海馬の胸に包まれてるように見えるけど……まあ、そういうこっちゃな」
「気を付けてな、海馬君」
 今度会ったら、○すっ……。

 ピンポーン♪
「はい、どちら様ですか」
「武藤遊戯だ。ご主人様をお連れしたぜ」
「城之内克也もいま~す!」
「なんだ、お前らか、ちょっと待ってろ。すぐに入口を開ける」
 モクバの声が聞こえて、意識を失った……。

 気が付いたら、自分のベッドの上に横たわっていた。
「あ、兄サマ、気が付いた?」
「モクバ……」
 頭を上げようとすると、しんがズキズキとする。
「まだ起きないで。お水入れてきたから」
「悪いな……」
 モクバが水の入ったグラスをサイドテーブルのトレーから取って渡してくれた。
「ところで兄様……遊戯と抱き合ったって、本当……?」
「はあ?! あれは……抱き合ったというか……不可抗力だ!!」
 あいつら、話したのか……今度こそ、○してやるからな……!
「はあ」
 今度は、疲れからタメ息をついて、もう一度ベッドに横になった。
 あー、吐かずにすんで助かった。
 じっと、白いベッドのシーツを眺める。すると、背中から、ただならぬ妖気を感じた。
「兄さま……俺は……」
「ちょ、モクバ……?」
「兄さまーーーっ!!!」
「ギャーーー」
 その後の事は語りたくはない……。

Fin

『甘えん坊になる薬』

執筆の狙い

作者 久方ゆずる
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「遊戯王」の二次創作です。BLの要素を含みます。
双六じいさんに妖しげな薬を飲まされた海馬君のお話です。海馬君視点です。

コメント

真夜中の揚羽蝶
77.111.247.22

 こんにちは、BLと聞いて駆けつけてきました。

 ところどころ文章的にまだ磨けるところはあると思いますけど、例えば

>じいさんが話し出したのは、遊戯の家のおもちゃ屋で、じいさんはカウンターの奥から右手に小さな便を持って出てきた所だった。

 二次創作ということもありますし、全体的にぱっとは読めました。

 薬は多分お酒だとすぐにわかりましたね。

 できれば二次創作ではなく、文章と物語の流れがもっと凝っている作品を読みたかったです。

久方ゆずる
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真夜中の揚羽蝶様

お読みくださりありがとうございます。
BLと銘打ちましたが大したことなくてすみません(笑)

またいつかオリジナルを投稿した際はよろしくお願い致しますm(__)m

加茂ミイル
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セリフに躍動感があると思いました。

久方ゆずる
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加茂ミイル様

いつもありがとうございます。
また来てねぇ。

久方ゆずる
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pixiv公開終了記念!★

やっぱし、「遊戯王」二次創作♪♪
城之内×海馬……? ※Hな場面はありません。

『無題』

〈1〉
十月九日(金)。
雨が降っている。家の窓から見える裏庭の木に咲いた赤い花が水滴で揺れている。
俺はベッドから立ち上がって、その窓のカーテンを静かに閉めた。カーテンは水色にピンク色の水玉模様で、あまり俺の趣味とは言えない。新しく入ったメイドが選んだ物で、そのメイド曰く、「時々はこういう柄を眺めるのも良いものです」という事だった。
ベッドから立ち上がったままぼうっとしていると、ドアを二回ノックする音が聞こえた。
「瀬人様、入ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、パジャマのままだが」
「失礼致します」
静かにドアが開いて、メイド服姿の例のメイドが入ってきた。両手に朝の紅茶セットを載せた銀のトレーを持っている。
メイドはそのままトレーをテーブルの上に置き、紅茶の用意をし始めた。
「瀬人様、今朝のご気分はいかがですか?」
「まあまあという所だ」
「それはよろしゅうございました」
それから、窓のカーテンを眺めて、閉まっている事を不思議がっている様だった。
「今日のお召し物はいかがなさいますか?」
メイドがこちらを向いてそう聞いた。
「いつもの服装でいい……」
「かしこまりました」
いつもの服装とは、白いシャツブラウスにベージュ色のスラックス、そして、研究用の白衣という出で立ちだった。
昔の俺を見たら、こいつはどんな顔をするだろう?
「どうかなさいましたか?」
「いや……」
思わず本音を言いそうになって、笑顔を引っ込めた。
メイドは紅茶を用意し終わっても、まだぐずぐずとしている。いつもならさっと部屋を出るのに……。何か言いたそうにしている。
「どうかしたか?」
メイドの顔色が曇った。エプロンの左ポケットから一通の手紙を取り出した。
「城之内様からです」
一瞬、固まった。メイドはその手紙をゆっくりと紅茶の横に宛名、つまり俺の名を表に置いた。


〈2〉
一人残された部屋で、城之内からの手紙を開く。そこには見慣れた文字でこう書かれていた……。

海馬へ
元気か? オレは何だかんだ楽しくやってるよ。
遊戯ともしばらく会えてないけれど、こっちでの暮らしも悪くない。
それより、モクバに聞いたんだけど、社長を辞めて会長になったんだって! 凄えな。オレにはよく分かんねえけど、ほとんど会社にも来ないってモクバが愚痴ってた……。
明日、この手紙が届く頃にはもう今日かな? そっちに帰るよ。
お前と会えたらいいなと思ってるんだけど、どうかな?
出来たら、海馬コーポレーションの前で待ってる。時間はそうだな、午前十一時でどうだ?
来るかわかんねえけど、待ってるよ。二十分位なら待つかも(笑)
じゃあな!
城之内より

手紙を元々たたまれていた通りにたたみ直して、封筒に入れた。
あの頃の事が頭の中をかけめぐる。あの遊戯が消えた後、城之内が俺に言った言葉を思い出して、笑いかけた……それとも、泣きかけたのか?
「フ……俺も弱っちくなったものだ……」
掛け時計を見ると、午前九時三十分。これからでも充分間に合うな。

久方ゆずる
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〈3〉
久々に来た海馬コーポレーションの社屋前には警備員だけがいた。
「瀬人会長! お久しぶりです!!」
黒服を着たよく知るその男は、俺に気が付くと歩み寄って挨拶をした。
「久しぶりだな。どうだ、社長はよくやっているか?」
「は! モクバ社長はかなり厳しいお方ですが、我々、警備員にもお声をかけて下さって感謝しております」
「そうか……それは良かった。少し、人と待ち合わす。ビルの中に入ってくれるか?」
「はい!!」
警備員はそう言って、社屋ビルの中に入っていった。
腕時計を見ると、十時四十五分。あの馬鹿でもこれぐらいには現れるんじゃないか……。
十時五十分なって、城之内らしき人影が向こうの信号を渡ってきた。
俺に気が付くと、一瞬目を細めて、小走りでこちら側に来た。薄手のコートにグレーのパーカー、ゆったりとしたジーンズという出で立ちで、少し息を上げながら俺の前に来た。
「よう、久しぶり。変わんねえな……と言いたいところだけど、なんか変わったな、お前」
「そうか? 俺はそんな事無いと思っているのだが」
「なんか、地味になったっちゅうか……まあ、いいや。昔は凄かったね」
「それは心外だな」
俺の服装は今朝話したとおりで、城之内には意外に見えたらしい……。
「それより、その髪、どったの?」
「ああ、これは……面倒くさいから切っていないだけだ」
前髪と耳の横は以前と変わらないと思うが、後ろ髪が確かに随分と伸びた。茶色いゴムで一つに束ねているが、雰囲気は変わったかもしれないな。
そこまで話した時、白衣の腰ポケットに入れているスマートフォンが振動した。
「電話だ……」
そう断ってからスマートフォンを取り出すと、画面に出ているのはモクバの名だった。ボタンを操作して電話に出る。
「もしもし、俺だ」
『兄様。警備員から聞いたんだけど、お客様なんだって?』
「ああ、城之内と会っている」
一瞬、沈黙があって、モクバの声は続いた。
『そう。そういう事なら、社員カフェを使ったら? 俺は行かないから、ごゆっくりどうぞ』
「そうか、悪いな」
それで通話を切った。
「モクバ?」
「ああ。社員カフェで話すか? お前がいいならだが」
「俺は全然いいよ」

〈4〉
以前と変わらない社員カフェは昼休み前で混みかけていた。
奥の窓際の二人掛けテーブルを選んで座った。テーブルはクリーム色で丸く、向かい合わせに座れるようになっている。
イスに黒いボディーバッグを置いた城之内が、
「何か買ってくるよ。お前は何がいい?」
と言う。
「ブレンドコーヒーで」
「オーケー」
カウンターに向かうその後ろ姿を見つめながら、あの時の事をまた思い出していた……。あんな言葉を俺に言う人間がいるとは……な。
「いやー、空いてて良かったぜ」
城之内はアイスミルクティーとブレンドコーヒーの載ったトレーをテーブルに置いた。俺の向かいに座って自分のアイスミルクティーを引き寄せた。
俺がコーヒーカップを持つと、話し出した。
「お前さぁ、ほんとにあんまり喋んねえな。高校ん時は訳の分かんねえことばっかり喋ってたのに……あの、ワハハーワハハーってのはどったの?」
「……うっ……!!」
思わず、ブレンドコーヒーを吹きそうになる。他の席の社員たちが笑っているような気がするのは気のせいか……?!
「それはそうと……、勤め先のゲームの売れ行きはどうなんだ……?」
表情を戻して、話題を変える。城之内は不機嫌な声で、
「そりゃあ、絶好調ですよ。俺の参加したチームの開発したゲームもバリバリ売れてるしね」
と語る。
「それは良い事だ……」
「相変わらず、お偉そうな事で」
城之内はそこまで言うと、アイスミルクティーのストローを口に含んだ。
カラカラと冷た気な音を立ててアイスミルクティーが一気に減った……。
「今日はあんがと」
そう言って席を立つ。目つきが険しい。
「もう帰るのか……?」
「まあね。あんまり長居しても悪いからね」
「そうか」
それ以上は何も言わず出口に向かう。
俺は黙ってそれを見ていた。すると、突然、振り返って、
「今でも、愛してるぜ……海馬キュン」
後ろ向きのまま右手を振った。
あの時と同じ……目が点になって、それから、笑みがもれた……。

久方ゆずる
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〈5〉
別荘に戻った俺は、自室のドアをしっかりと閉めて、小さなテーブルに向かった。
一番大きい引き出しを開け、中に入っていた銀のナイフを取り出した。目の前の壁に掛かっている鏡の中にいる自分の顔を見る。
随分と老けたものだ……。
ナイフを束ねた後ろ髪の根元にあてる。
ザクッという音がして、あの頃の髪型に戻った。
ポケットからスマートフォンを出し、モクバに電話を掛ける。
『ハイ、モクバです。兄様?』
「モクバ、今すぐに研究室を開けろ。これからそちらに向かう。しばらく閉じこもるから覚悟する様。以上だ!!」
しばしの沈黙……そして、明るい声で、
「分かりました! 了解、兄サマ!!!」
と返ってきた。

END


モクバ×海馬(城之内×海馬前提) R18
大丈夫な方のみお願いしまーすm(_ _)m

『モクバとの夜』

最近、目が覚めて仕方がない。
ベッドで紅茶を飲んでいると、ドアーの向こうで人の気配がした。
待つこと十秒……。
「誰かそこにいるのか!」
大きな声でそう言うと、ビクッとした空気が漂った。
立ち上がって、ドアーに向かう。

「兄様、ごめんなさい……」
ドアーを開けた向こうにはモクバがいた。
「ちょっと聞きたいことがあって、来たんです」
タブレットパソコンを俺に見せる。
「ふうむ、いいだろう。入るか?」
「もちろん!!」

モクバが俺のベッドに近よる。じっと見つめて、
「寝転んでもいい?」
と聞いた。
「ああ……まあ……」
この前の事を思い出して、身体が火照った。モクバがじっと俺を見る。
「どうかしたの、兄様?」
からかうように言う。すると俺の手を引いて、
「本当はこれが目的だったんだ。早く、ベッドに横におなりよ……」

モクバが俺の顔の両脇に両手をついて、俺を見る。
「兄様、好きだよ……」
俺は恥ずかしくて横を向いた。
「何とか言って」
そのままキスをされる。初めは頬に、顔を向けると唇に。
息がもれて、声になりそうになる。
深く口づけられ、モクバの片方の手が俺のパジャマのズボンを下ろしにかかる……。
緊張して、身体がこわばる。

「まだ緊張してるの、かわいい。兄様」
カーっと顔が真っ赤になる。何か反論しようとすると、ギュッと握られた!
「あ……あ!!」
そのまま揉みしだかれて声が出る。
「モクバ……ん!」
「兄様、声がエロイ」
「は、あ、ん」
乱暴に、そして優しく扱われ、口から唾液が漏れそうになる。
それから口に含まれ……絶頂に達した……。

力の抜けた俺の髪をなで、自分のものを出した……。
久しぶりに見るそれに……思わず唾を飲み込んだ……。
「兄様、欲しいの?」
「あっ!」
乱暴に俺に差し込む。激しく動かれ、歯を食いしばる。
「城之内のも良かったの?」
四つん這いにさせられて、何度も挿入を繰り返される。
「答えてよ、兄様……は……あ」
モクバが俺の中でイった。
震える俺に、再び硬くなったものを動かし始める。

「あ、あん、あん……モクバ……もうダメ」
何度もいかされ、意識が遠のく。
「兄様、言ってよ、オレが好きだって!」
「は……それは」
「あの金髪バカよりも好きだって言って!!」
「あ、モクバ……」
名前を呼ぶと、モクバは腰を震わして、もう一度俺の中でイった……。

二人でベッドに横たわる。モクバは俺の手の甲にキスをした。
そうして寂しそうに笑う。
「今日も言ってくれなかったね。今度こそ言わせてみせるから」
俺は困り果てて、
「そんな事を言っても、俺たちは兄弟……痛てーー!!」
言いかけて、モクバの平手打ちに悶絶した。


エンド

久方ゆずる
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最後に本投稿の修正点です。

おじいちゃん→じーちゃん

久方ゆずる
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ここまで大丈夫な方のみ限定!!
モクバ×海馬 R25


二十歳の誕生日というものは、予想よりもあっという間に済んでしまうものだ。
パーティー会場を抜け、自室に戻り、シャワーを浴びようとガウンを手に取ったところだった。
白いタオル地のガウンは手に嫌な触感を与えた。洗濯糊が変わったのか。洗濯係に言わねばならんな……。

そう思って、サイドテーブルの電話の受話器に手をのばしかけた時、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
受話器から手を離し、ガウンを戻そうかと少し迷った後、
「誰だ?」
と返事をした。

「兄様」
モクバの声だった。俺はガウンを持ったまま、
「モクバか? なら、入っていいぞ」
と答えた。
しばらく間があって、ドアがゆっくりと開いた。絨毯の上を滑るように動くそれは、まるで生き物のようで、なぜか背筋がゾッとした。

モクバは何やら後ろ暗いような目をして、俺をちゃんと見ようとしない。やはりガウンをベッドの上に置いて、モクバの方に近づいた。
「モクバ?」
モクバは斜め下を向いて、黙っている。それから、ゆっくりと話し出した。
「ちょっと人に疲れて。兄サマは大丈夫だった?」
「ああ、慣れているからな。お前も慣れているだろう? 珍しいな」
モクバはそれでも顔を上げようとしない。俺はそっとモクバの右手に触れた。
びくりとした反応が返ってきて、俺はモクバの顔をのぞき込んだ。
「こうやって触れるのは久しぶりだな。どうした、何かあったのか?」
その瞬間、天地がひっくり返った……。


それから、一年以上が過ぎた。
二十一歳のクリスマスが来て、今日はその当日だった……。
海馬コーポレーションのクリスマスパーティーが盛大に終わり、後はもう片付けとなった。
「瀬人様、本日はお疲れ様です! 十二月二十五日ももう後二時間ですね」
磯野がそう言って、大きなケーキの載っていた大皿をテーブルから下げようとする。俺は手伝おうかと思い手を伸ばしかけた。その時、脳裏にあの時の事がよみがえって、俺は床に両ひざをつきそうになった。
「瀬人様、どうされました! 顔色がすぐれないご様子……ですね」
「大丈夫だ。心配ない」
「でも……」
その時、大入口の両開きのドアーが開いた。薄いピンク色の分厚いドアーは開くと木のきしむ音がする。その中心に現れた人影を見て思わず目をそらした……。

「モクバ様……」
何かを察知しているらしい磯野は不安そうにモクバを見てから俺を見た。俺はそらした視線を元に戻せずいにいた。
「兄様……もう片付けなくていいよ……後はオレがやっておくから……磯野!」
「あ、はい!」
「お前も下がっていいよ。河豚田に手伝わせるから」
「しかし……」
磯野はちらっと俺を盗み見た。俺は左肩を右手で抱いていた……。

「いいから、早くしろ! 兄様も部屋へお戻りよ。オレが送って行くから……」
「あ、ああ」
そう答えるのが精一杯だった。

モクバがオレの前を、オレの自室まで歩く。オレは黙って少し後ろを歩いていた。
廊下は夜の十時過ぎでも明るくて、少しだけホッとした。
「兄様。部屋についたら入ってもいい」
モクバが有無を言わさぬ口調でそう言った。
「それは……」
「何? 何か気に入らないの? はっきりとしない人だなあ」
「オレは……」
そこまで話しかけた時、部屋の前まで来た。モクバがこちらを向いてオレに手で鍵を開けるよううながす。
オレはスーツの上着ポケットから鍵束を取り出し、部屋の鍵を指でつかみ、平静を装って鍵穴に差し込んだ。ガチャリと嫌な手応えがあって、鍵が左に回った。
そのまま、ドアーノブを回して、ドアーを内側に開く。
真っ暗にしておいた部屋はあの事を想起させた。後ろを振り向きたい衝動を必死に押さえて、中に入る。モクバが後に続いた。
電気のスイッチを押して、鍵束をポケットに戻した。

モクバに背を見せたまま、ベッドを見る。
白いシーツが電灯に光って、妖しい気持ちにさせる……。
「何? 兄様、誘ってるの?」
モクバが後ろからオレの腰を抱いた。
「それは……」
モクバの手が腰のベルトを外しにかかる。
「モクバ! やめろ」
「本当は嫌じゃないんでしょう……ねえ、兄サマ」
「あ」
そこを探られ、腰の力が入らなくなる。
「んん」
「ねえ、ベッドに寝てよ、兄サマ」

久方ゆずる
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自分のベッドのシーツの上、柔らかい、でも糊のきいたそれは独特の肌触りで、オレの身体を高揚させた。
「兄サマ……ああ……」
モクバの指先がオレのワイシャツのボタンを外し、そこから中へと侵入する。
酒で敏感になった突起を執拗に触られて、腰が浮く。
「モクバ……や……あ」
「何が嫌なの? 言ってよ……」
「ん、ダメ」
モクバが少し上半身を起こして、俺を見つめる。身体が熱くなって、思わず目をそらす……。
そのまま無言でズボンのベルトを外し、オレのスラックスを下ろした……。
「いい? 兄様?」
「…………」
「あの時みたいに痛くしないから」
「いい、大丈夫だ」

熱いモノが中に入ってきて、思わず声を上げそうになる。
口を閉じて堪える俺を見るモクバは、俺の右頬に手のひらをあてた……。
そのままキスされる。口の中に温かい粘膜が入ってきて、ますます腰に力が入らなくなる……。
口を離したモクバが言う。
「もっと声聞かせてよ、兄様……」
「あ……! ん、モクバ……!!」
腰を激しく動かされて、堪えきれなくなる。腰を両手で掴まれ、自由が利かなくなる。
「やっと名前を呼んでくれた……瀬人……!」
「あ……ああ……」
「ん……!」
そこでモクバは果てて、俺の意識も途切れた……。

目が覚めたらモクバは部屋に居なかった。
「なんだ……もう帰ったのか……」
一人呟いて、ベッドの上で身体を起こした。
「そうか……仕方が無いな……」
そう言って、自分の部屋を見た。何もかも昨日と同じ。でも、何もかもが変わって見えた……。
執事が来る前にシャワーを浴びようと、ベッドから降りた……。

遅めの朝食をとりに食堂に向かうと、モクバが席に着いていた。
「……まだ食べていないのか?」
モクバは俺の方を見ようとせず、テーブルを向いていた……。
「うん」
「そうか」
「ねえ、兄様」
「……なんだ?」
それから、やっと俺を見て、笑う。
「また、ああいうことしようぜい、兄様☆」
思わず、むせた。

おわり


城之内×海馬 R18

 卒業式の後、高校の近くの公園で海馬と二人きりになった。遊戯も本田も杏子も先に帰ってしまって、他の連中もてんでばらばらに消えてしまって、取り残されたのは俺と海馬の二人きりだった。
 海馬は何を考えているのか、隣の大きな像のすべり台を見つめていた。俺は困り果てて、卒業証書の筒を振りまわしていた。
「城之内、帰らなくていいのか」
 海馬がこちらを向いてそう聞いた。俺は卒業証書の筒を振るのをとめて、
「まあね。帰ってもつまらないし」
 と答えた。
「お前こそ、帰んなくていいの? お仕事忙しくないんですか……社長様?」
「俺はいい。別に……」
「別に……?」
 海馬はいきなり俺の目を見ると、静かにこう言った。
「ホテルに行かないか。もちろん、そういう意味でだ……」
「へえ……?!」
◆◇◆
 安ホテルの一室。二つ並んだベッドの左側で海馬が眠っている。ベッドは白いシーツと黒い木枠で出来ていた。
 俺は吸っていたタバコを赤いプラスチック灰皿の底にこすりつけた。
 天井はピンク色で、落ち着かないことこの上ない。でも……。
「ん……」
 海馬が俺の隣で寝返りをうった。
「悪い、起こしちまったか?」
「いや、イイ」
 意外と寝起きの悪い海馬は、低血圧なのかもしれないな。不機嫌そうに頭をあっちに向けたりこっちに向けたりしている。
「おい、そろそろ出ないと……二時間目になっちゃう」
 そう言って、茶色い髪をそっと撫でた。
「ん……遊戯……」
 はあ。だよね。
「海馬、本当に起きろって!」
「もう少し寝る。泊まればイイだろう……金は俺が出す……」
「ヘイヘイ……」
 なんだか、おかしな卒業式の夜になっちまったな……。夜になったら、カラオケでも歌わせておちょくってやろう……!

久方ゆずる
240.133.31.150.dy.iij4u.or.jp

同じく、城之内×海馬 R18

"I like him.. ?"(『彼が好き……?』)

I like him. I feel so. But I should not say so never till now.
(ヤツが好きだ。しかし今まで決して言えずにいる)
"Kaiba, What's are you feeling?"
(「海馬、なに考えてるんだ?」)
While doing Johnouchi asks me in a low voice.
(事の最中、城之内が低い声でオレに聞いた)
"Whatever"
(「さあな」)
"Hahn, so.. I'm OK"
(「はぁん、そう……それならイイよ」)
And, after that.. he touched me again.
(すると、その後……オレに再びふれた)
"Nn.. "
(「ん……」)
I cried in a little one. But I am n't done by that..
(オレは小さな声を上げた。だがそのせいでは無い……)
"You are really weakly in this only.. "
(「ホントにこういう時だけはおとなしいな……」)
"Hun!"
(「ふん!」)
I do turned in left side, and said aloud.
(オレは左側を向いて、そして声に出して言った)
"You are so stupid!"
(「貴様は本当に愚かだ!」)
"Really, I'm a stupid. I can't understand your complex tence.. well"
(「本当にな、オレは馬鹿者だよ。テメーのややこしい気性なんか理解できねえもん……そうだ」)
Suddenly.. Johnouchi touched me more roughly than that.
(突然……城之内がさっきより乱暴にさわってきた)
"F.. fool, I'm breaking"
(「バ……バカ、どういうつもりだ」)
"Hahn. You are right! I'm got here.. "
(「はあん。お前は正しいよ! ようやく分かった……」)
He laughed and kissed on my chest. Once right, once left.
(城之内は笑ってからオレの胸にキスをした。まず右に、それから左に)
"N.. Johnouchi"
(「ん……城之内」)
"You say!!"
(「言えよ!!」)
"Aah.. I love you"
(「あぁ……愛している」)

End
(終わり️)

夕凪
124-18-36-149.dz.commufa.jp

BLも立派にジャンルの一つなのですね。感想は特にありません。文章力がお高くてびっくりしました。

久方ゆずる
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お疲れ様です。また来まーす☆★☆

久方ゆずる
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夕凪様

お読みくださり、ありがとうございます。
いやー、BLってイイですね……!(本気☆)

代表として……( ・`д・´)
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闇遊戯×海馬 R20
典型的オンパレード

 川原の土手で遊戯に会った。
「あ、海馬君。どこ行くの?」
 オレは少し戸惑って、手に持っていた新聞を遊戯に見せた。
 今朝届いたばかりのスポーツ新聞で、表にしているのは三面記事だった。
「この記事の現場に行く」
 オレはそれだけ言って、遊戯とすれ違おうとした。
 その瞬間、隣に風圧があって遊戯がもう一人の遊戯に変わった。
「海馬、その話は本当か?」
「ふうん、貴様、興味があるのか?」
「まあな、ちょっと記事を見せてみろよ」
「字が読めるのか……?」
「バカにするなよ。じいちゃんと相棒から習っているんだ」
「あ、そう」
 もう一人の遊戯は俺から新聞を受け取ると、真剣な表情で読み始めた。
「フン」
「なになに、『この辺りの公衆トイレで痴漢騒ぎ』? 『被害者の男性は何者かが個室の窓をのぞいていたと警察に訴えている。』……これだけ?」
「まあな。一応、童美野町の問題は俺にも関係あるからな。これから調査に向かうところだ」
「そうか。じゃあ、オレも一緒に行こうかなあ」
「勝手にしろ!」
 それから、俺と遊戯が二人並んで問題の公衆トイレに向かうこととなった。
 遊戯は無言だ。俺は少し退屈になってきて、どうしてこいつと並んでいるのか忘れそうになった。
 何かを考えているようなのだが……。まったく、わからん男だ。
 結局、トイレに着いた時、時間は午前九時ちょうどだった。
 はあ、やれやれ。こんな用事でも無ければ来たくない場所だ。
 トイレは予想よりずっとキレイで、安心したが、やはりそれでも学校のトイレと大差は無かった。
 問題の個室はここか……?
 入口を入って、左手、薄汚れた白い個室のドアが並ぶ方を見た。
確か警察によると三番目だったな。
 嫌々ながらドアーに手を伸ばす。あんまり開けたくないなぁ。
 ギイイィという不気味な音がしてドアーが開く。中は汚れきった和式トイレがあるだけだった。まぁ、それはそうか。
 例の窓は……。
 そう思って、見上げた時、
「なあ、海馬」
「なんだ、今忙しい」
「したくなっちゃった」
「トイレか? それなら隣でしろ」
「違う。セックス」
「はあ?」
「しようぜ」
 いきなり、両手で服をつかまれて、個室の奥に押し込まれた。遊戯は後ろ足で器用にドアーを閉める。
 さすがに鍵までは閉められないようだ。
 ……そんな事を言っている場合ではない! すごい勢いで上着を脱がせにかかられる。
「トイレって、エロいよな」
「そんなの貴様だけだ!」
「そんなこと言っちゃって~」
「な、あ……」
 股間をさわられて、思わず変な声が出る。
「へえ。大きくなってんじゃん」
「あ……らめ」
 ズボンを下ろされて、思わず震える。
 いつの間にベルトを外したんだ。恐ろしい奴。
「は、あ、遊戯」
「海馬、いいぜ。中に出してもいい?」
「アホか!」
「だって、そうしなきゃ、お前の服が汚れちまうぜ」
「それは……あん」
「もうちょっと動いてもいい?」
「もう、勝手にしろ! ああ」
『ちょっと、兄サマ! 何やってんだ! 遊戯、ぶっ殺すぞ』
「おお、怖」
 モクバと無線で繋がっていたんだった。やばい、という事は……他の社員にも……。
『兄サマ、そっちに向かうから、大人しくしてて!』
 あまりのショックに気を失いかけた。
 その瞬間、頭上でまぶしい光があった。
 なんだ?
 まさかと思うが……。
「やったぜ、海馬コーポレーション社長、公衆トイレでライバルと蜜月! これで、スクープはオレのもんだ!」
「ちょ、ちょっと待て!」
「あーあ、撮られちゃったな」
「アホか、追いかけろ!!」
「なんで、オレは構わないぜ。それに、いま走れないし」
「俺だって走れんわ……」
『兄様……後始末はオレがするから、会社に帰ってきて』
「…………」
 もう、泣きたい。

FIN

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