作家でごはん!鍛練場
水野

スタンドカレシ【原稿用紙6枚】

 ガソリンスタンドと道路の境目にある溝に私の自転車はよく嵌ってしまう。いけないと思いつつ、蚊に刺されたところを掻きむしってしまうように前輪が導かれていく。一瞬体のバランスが崩れたあとに立て直す、あの感覚が癖になっているのかもしれない。
 授業中、眠たくなったので落書きをしてみた。家から学校までの通学路を、記憶を頼りに描いてみた。スタンドの見える十字路より手前に曲がれば、あの溝に悩まされることはなくなる。枝と葉でトンネルみたいになっているあの細道にあまりいい思い出はないが、あそこを回避できるのであればなんだってする。忘れっぽい性格ゆえ、遂行できるかは明日にならないとわからない。
 いまどき給油をスタッフがじきじきにやってくれるところなどそこくらいしかない。たぶん付き合っているのだろう、黒尽くめのカップルがスマホの画面を共有しながら歩いていた。後ろの方で「おっと」という声が聞こえてきた。スタンド側を歩いていた女の足が、ちょうどあの溝につっかかったかどうかまでは定かではない。

「何かの病気を疑ってみた方がいいだろうな」
 仲のいい男友だちに真顔で言われた。通学路を変えると決意した翌日のことだ。その日も私は、無意識のままにスタンドの溝にひっかけた。
「しかし、ガソリンスタンドの溝に依存する人間は聞いたことがない」
「慣れた道をすぐ変えるって難しくない? 家を出る時はしっかり覚えていたんだけど、いつのまにか忘れちゃって」
「自転車を漕いでいる時はついいろんなことを考えちゃうからな」
 やはり真剣に聞いてくれない。ふんっと鼻息を鳴らし、昨日書いた新しい通学路のページを開く。「これが例のやつか」友だちが肩越しに覗いてきた。
「俺も昔、通ったことあるよ。でもあそこ狭いから、車が来たらどっちかが止まるしかないんだよな。対向車同士で動けなくなっている時あるし」
「でも、ここ以外にスタンドを回避する道がないんだけど」
「それでもってなると、うんと遠回りする必要があるしな……よし、一緒に考えてやるか」
 彼とは小学校からの付き合いだった。家に遊びに行ったこともあるが、私とは真逆の方向だったはず。部活が終わった後は塾の予定らしいが、彼はそれを蹴って、通学路調査に付き合ってくれることになった。

「そういえば、お前の使ってるボールペン、俺と一緒だったな」
 だからなに、と脊髄反射で返しそうになったが、彼にとってはくだらないであろう調査に同行させてしまっている手前、冷たくするのはよくないと思い、「そうだね、なんか偶然」かろうじて返答する。
「そうそう、学校近くのコンビニで売ってるやつな。使いやすくて長持ちするし、値段もそこまでじゃないから重宝するんだよな」
 それからも差し障りのない返答でごまかしていた。だが、相槌を打つ私の顔がそんなにつまらなさそうだったのか、彼は徐々に覇気をなくしていった。しまいには会話らしきものもなくなり、二人して黙って自転車を押していった。
 彼の背中を見ながら、昨日見た黒尽くめのカップルを思い出していた。もし私と彼が付き合うことになったらどうなるのだろう。さっきみたいに私は彼の話を退屈そうに聞くのだろうか。彼にはどうでもいいことなのに、自分の予定を蹴ってまで私についてきてくれるのだろうか。「ボールペン、おそろいだね! やった!」くらいの反応を見せてあげるべきだったのかもしれない。それがきっと正解だろうから。
 小学生時代はあまり意識してこなかったけれど、周りの同級生が異性と付き合い始めているのを見て、私も考え方を変えなければと思いつつある。前を歩く彼はあの頃と同じように、異性のそういったごちゃごちゃを意に介さず、あくまで友だちとして接してきてくれる。でも彼だって意識しているはずだ。二人して帰り道を一緒に歩く姿は、まさしくカップルそのものではないか。
 そんなことばかり考えていたせいで、向こうが止まっていることに気づけなかった。タイヤに脚をぶつけ、自転車に覆いかぶさるようにして倒れ込む。
「大丈夫?」
 差し伸べられた手を、混濁した頭で握りしめる。部活終わり、ろくに手も洗わなかったのだろう。土埃と汗でどろどろの手は、私の頭を冷静にした。
「本当に大丈夫?」
 単に転んだだけなのに、ものすごい勢いで心配してくる。その態度に妙な心地になり、握りしめた方の手をおもむろに嗅いでみた。思っていたほどではなかったが、我慢のできる代物でもない。
「ごめんな、何も言わないで。でも、例のガソリンスタンドが見えてきたからさ」
 言われないでもわかっている。この臭いは毎日嗅いでいるものだ。
 変な空気のまま、私たちはスタンドの向かい側で立ちすくんでいた。油の臭いは不快だけれど、でもなぜか安心しもする。
 通学路を変えるということは、きっとこの臭いとはおさらばすることだ。そしてたぶん、土埃と汗でどろどろの新しいあの臭いに取って代わることだ。「ありがとう」声が自然と漏れ出ていた。照れ笑いで「いいよ」と言われた。

スタンドカレシ【原稿用紙6枚】

執筆の狙い

作者 水野
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元々は時間制限つきで書かれたものでした。書き終えた段階では3000文字を超えていましたが、これを2000字に引き締め、装いも新たに投稿した次第です(題名は『コンビニカレシ』のもじり)。

コメント

恵 幸人
46.209.49.163.rev.vmobile.jp

 意味がわかりませんでした。ヒロインが通学路を変えたくて男友達に相談して協力してもらう。それがどういう意味なのか不明です。ヒロインが何を考え何を望んでいるのかわかりません。
 男友達なのにタイトルがスタンドカレシなのも意味がわかりませんでした。

三枝松平
ntngno151245.ngno.nt.ngn.ppp.infoweb.ne.jp

水野 様

 拝読いたしました。
 私、今年喜寿ですが、おおよそ60年前を思い出しましたね。
 彼女(その時は彼女以前でしたが)と自転車を押し、いまはアンダーパスになっている踏切を超える通学路で、やはり似たような場面がありました。
 彼女も私も、さほど意味もない話題をただなんとなく話しながら、一緒に歩くという行為自体を楽しんでいました。
 卒業までのわずかな日々でしたが、青春の甘酸っぱい記憶はいまだに色あせることなく、心の片隅に残っております。
 しっかり推敲されて、完成されることをお待ちしております。

大丘 忍
ntoska314132.oska.nt.ngn.ppp.infoweb.ne.jp

私は米寿の男性ですが、中学の時は旧制中学で、男女別学。高校も二年生から学区制が採用され、地区の新制高校に男女共学として転校させられました。男女共学といっても大多数の女子は家政科に行ったため、普通科の我々のところではクラスに3人の女子しかいませんでした。したがって、このような現在の中学、高校生の生活、特に男女関係は興味を持って読んでおります。
本作を興味深く読んでみましたが、そのような理由でちょっとわかりにくい点もありましたが、この時代の青春物語はこれからも興味を持って読みたいと思っております。

優香
124-18-26-79.dz.commufa.jp

 拝読しました。心理描写がくどくなく、かと言って浅くもない素敵な作品だと思います。
 ですが、男友達と一緒に歩いている場面にはもう少し風景のことを書いたほうがいいと思います。夕暮れ時なのか、それともまだ日は高いのか、夏の暑い日で肌はべとべとしているのか、寒い冬の雪降る日なのか、季節は秋でその溝には少し落ち葉がたまっているのか、など。
 3000字を2000字まで引き締めたと仰っていましたが、今回切られた1000字の中にあなたが昔書いたとき必要だと直感的に思って書いた描写も含まれていると思います。そういったものは大切にすべきだと思います。またその中に風景描写もあったのではないかと感じました。(単なる憶測ですが、無かったらそれもそれでまずい気がします)
あと、違和感を感じたのはヒロインに気がある男の子が「何かの病気では?」と真顔で言いますでしょうか。恐らく、少し面白みを持たせるために書いた一文だと思いますが、読者としては引っ掛かるところです。(これに関しては、私の読解力、適応力の無さからくるものかもしれません。)
 それと、<仲のいい男友達>として最初に登場させるとモブなのかと勘違いしてしまい、読み流してしまったりすることが起きると思います。そこに関しては工夫が必要だと感じました。
ここまで、色々な事を書いてきましたが素敵な作品だと思います。リアリティーがあって甘酸っぱくてとても面白かったです。しかしながら、もっと面白くなると思います。頑張ってください。

五月公英
p2931151-ipad020105sasajima.aichi.ocn.ne.jp

↓中学生キャラを設定する上での重要事項。

女子中学生のほぼ全員は何らかの少女マンガを読んでいてそれなりの影響を受けている。
男子中学生のほとんどは少女マンガを読んでいない。

これ、書く方も読む方も忘れがちだから気をつけたいものです。

冒頭、良かったです。
ふだん見過ごしていそうな小さな事件を巧くからめていらっしゃる。

失礼しました。

u
opt-211-132-66-15.client.pikara.ne.jp

読みました
たぶん作者様、書かずに描くというスタンスなのね
本作は良品だと思いました
御健筆を

BBQ
157.208.91.34.bc.googleusercontent.com

独特の味がありますね。「いけないと思いつつ、蚊に刺されたところを掻きむしってしまうように前輪が導かれていく。」っていうはじめの比喩のところから面白くて、よくわからないまま掴まれちゃいました。この主人公がどんな人間なのか知りたくて、もっと読んでいたい気分になりました。

水野
i114-183-76-253.s41.a012.ap.plala.or.jp

恵 幸人さま

この作者とはもう長い付き合いになりますが、整合させようとすると明らかにしくじるような物事同士を、「それでも」とかたくなに繋げようとしてしまうところは悪い癖だと感じます。
一般的な小説の考え方からすると、登場人物の一つひとつの行動には必ず根拠があり、読者の共感を得られるものであるはずですが、そうした考え方が文章を鍛えることに関して多少とも障害になりうるのだとすれば、この作者は根拠も共感もきっと捨て置くのだと思います(意図せず寄せ集めることはあるにせよ)。

水野
i114-183-76-253.s41.a012.ap.plala.or.jp

三枝松平さま

私自身はまだ30にも満たないので、おおよそ60年前を思い出すことがどれほどのことなのかが想像できません。せいぜい10数年前の学生時代の記憶を揺り動かせる程度でしかありませんが、好きだった人と心を交わそうとした時間は、当時の情景と共にはっきりと思い出せます。今思えば首を傾げたくなるようなものも多々ありますが、あの時の自分はきっと充実していたのだろうと推測するしかありません。
小説らしきものを書き始めたのも、そういえばあの頃からでした(好きだったファンタジー小説の二次創作的な意味合いが強かったですが)

もんじゃ
KD106154133178.au-net.ne.jp

 水野さま

 固着ともいえるルーティーンからの脱出、新しい明日――みたいなことを非常に思わせぶりに書いているのかなというようなことを感じましたが、鍛練場に投下する起爆剤としての効果は認めうるものの一般的にはこれが抱きとめてもらえる表現でないことは書き手が誰よりもわかっていることでありましょうから御作は釣り堀にたらされた餌であるのだなと思ったしだいであります。
 冒頭に配置された抗しきれないさまについてのあの比喩のごとく技巧的にしてわかってもらいづらくしかし読み手を何かが読めた気持ちにさせるそんな類いの掌編であるなと感じました。
 相当に筆達者なかたであろうことがわかるぶんだけなおいっそう個人的にはこの表現をあまり面白いとは思いませんでした。多分に読みまちがっているかもしれませんが衒いを感じてしまいました。端的にいって読みづらい作品でもありました。

taki
133-106-65-120.mvno.rakuten.jp

「私」が女性だと気付くまで時間がかかりました。説明不足の印象を受けました。しかし再読すると違和感がなくなります。小説の情報がすでに頭の中に入っているからですが、これは推敲や刈り込みの難しさを示していると思います。初読の読者に厳しくならない範囲で不要なものを刈り込むのは難しいことですが、必要な技術だと感じました。

ガソリンスタンドと道路の境目にある溝に自分から嵌ってしまう癖というのがあまりピンと来ませんでした。日常の些事を描く場合ナンセンス感が出ないようにしないといけないのではないでしょうか。

モチーフがコロコロと変わり本作における作者の主たる関心事が何なのかわかりにくかったです。不合理なこだわり、ルーティンと人間の行動、淡い恋愛感情、匂い…。焦点がぼやけている印象です。この分量であれば一つに絞った方がいいと思います。最後に唐突に出て来た匂いのモチーフがガソリンスタンドというキーワードと結びついて急に終わった印象です。そのほかの部分と有機的な連関を保っていないため唐突感と無駄が多い印象を受けました。小説というより随筆のようだと感じました。叙述の過程で自然に働く連想が思いがけずもたらすものを加工せずに羅列して行く感じです。その小説制作の方法が読者に気付かれるのはあまり好ましいことではないと個人的には思います。

三枝松平
ntngno151245.ngno.nt.ngn.ppp.infoweb.ne.jp

水野 様

 青春時代の記憶は年とともに薄れていくと思いきや、むしろ鮮明によみがえる時があります。
 それも、停年前(二十数年前)には思いもしなかった記憶がこの年になって。
 きっと、残り少ない余生への贈り物のように自分のどこかにしまってあった小さな塊が飛び出してくるのですね。
 この度も水野様の作品が呼び水となって、自身の青春時代の思い出がよみがえってきたのでしょう。
 ぼやぼやしていられません、老体に鞭打って頑張らねばと心新たにしている次第です。
 

shion
KD027083171050.ppp-bb.dion.ne.jp

文章は上手いのですが、ちょっと意味がわかりにくいかなと思いました。序盤で登場人物の説明があるといいかもしれません。

水野
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大丘 忍さま

私自身もそうでしたし、この作者にしても男女共学の世界しか知りません。そんな我々からしてみれば、男女別学の世界というのは身体的に存在していないわけで、それらに関するすべてが観念的な情報として、もしくは冗談としてしか処理されません。少なくとも私は、虚構の範囲内で楽しむことにしています。
ただ、大丘さまのおっしゃるような男女別学の世界がどのようなものか、経験のない私でも、頭の中でそれなりに想像がついてしまうというのは面白い現象だと思っています。もしも小説というものが、誰しもが簡単に想像可能な世界を描いたものだとすれば、大丘さまの上記の感想そのものが既に小説であると言うこともできます。

水野
i114-183-76-253.s41.a012.ap.plala.or.jp

優香さま

小説の風景描写についてどう考えていたか、当時の作者に聞いてみたのですが、申し訳ないことにこの作者は、そうした風景物についてはまったく意識を割いていなかったようなのです。
優香さまの意見に私自身もおおいに納得するところがあったので、私は彼をその点でもって責め立てました。すると彼は、しどろもどろになってこう答えました。「私の書いたものは、小説というよりも架空の語り手による日記に近い」
彼の書くものが日記だとしても、それが風景描写を抜いていい理由にはなりえません。それ以上の返答はありませんでした。思うに、そこまでの想像力を働かせることが単にできなかったのでしょう。

水野
i114-183-76-253.s41.a012.ap.plala.or.jp

五月公英さま

最近は『アオハライド』を読みました。少女漫画を読破することはこれまでになかったですし、漫画自体あまり読まない性質ですから、かなり新鮮な感覚でした。そこに描かれた物語には何の不満もありませんでしたが、主人公が結局元の男のところに帰って行く根拠が不足していると感じましたし、先生に恋をしている女生徒の行動原理が若干物語に引っ張られ過ぎていやしないか、などの疑問点は残っています。
ただ、漫画を読み通したあとに来るあのどうしようもない淋しさは慣れません。この淋しさは小説には無いものです。『五等分の花嫁』も最近完結しましたが、本を閉じた後は3日間ほどぼんやりし続けてしまった記憶があります。

夜の雨
ai199129.d.west.v6connect.net

「スタンドカレシ」読みました。

なかなか面白いですね。
ガソリンスタンドの敷地と道路の境にある「溝」、たしかに気になります。
私も、以前からこの「溝」には気をつけなければと思っていました。
歩いているとけつまずきそうになるのですよね、靴先が溝に入るような気がして。
それを御作は小説にしました。
御作が良くできていると思ったのは、この「ガソリンスタンド絡みの匂い」と「男友達の部活関係の土埃と汗の匂い」。
が、ラストで絡んだところです。
ちなみに「ガソリンスタンドの匂い」は、導入部で伏線として、描写しておいた方がよいですね。
現実的にはあまり匂わないかもしれないので、「ガソリン」=「匂い」の精神的なイメージが主人公にある、ような書き方をしておけばよいと思います。

●ガソリンスタンドの溝をよけて通るということと、これから男友達と帰りが一緒になり付き合うというような関係になる。

これが、伏線もあり、しっかりと描かれているのではないかと思います。
主人公の溝の話に、男友達は実に真剣に取り組んでくれているので、主人公の脳裏には彼と付き合う羽目になるだろうという感じです。
主人公が彼のことを積極的に好きになっていないのが、小説として良くできていると思います。
彼の方は、主人公が好きらしいのですが。
この二人、付き合うと、今後に波乱が待っていると思われます。
ドラマ的には面白い。


ちなみに御作、文章をしっかりと読み直したほうがいいですよ。
読んでいて、引っかかったところがいくつかありました。

忘れっぽい性格ゆえ、遂行できるかは明日にならないとわからない。 ←溝のことが中心に展開しているのに、忘れるわけがない。

たぶん付き合っているのだろう、黒尽くめのカップルがスマホの画面を共有しながら歩いていた。後ろの方で「おっと」という声が聞こえてきた。

「後ろの方」 ←前にした方がよいと思いますが。後ろだと、そのカップルを見られません。

「慣れた道をすぐ変えるって難しくない? 家を出る時はしっかり覚えていたんだけど、いつのまにか忘れちゃって」
「自転車を漕いでいる時はついいろんなことを考えちゃうからな」
 やはり真剣に聞いてくれない。  ←男友達はかなり真剣に聞いていると思いますが。


全体では良くできている作品だと思います。

夜の雨
ai199129.d.west.v6connect.net

たぶん付き合っているのだろう、黒尽くめのカップルがスマホの画面を共有しながら歩いていた。後ろの方で「おっと」という声が聞こえてきた。

「自転車で追い抜くと」をいれると、わかりよくなる。

たぶん付き合っているのだろう、黒尽くめのカップルがスマホの画面を共有しながら歩いていた。自転車で追い抜くと、後ろの方で「おっと」という声が聞こえてきた。

五月公英
p2864190-ipad030106sasajima.aichi.ocn.ne.jp

再訪失礼します。

>漫画を読み通したあとに来るあのどうしようもない淋しさは慣れません。

たいへんよいヒントを頂きました。
ありがとうございます。

水野
i114-183-76-253.s41.a012.ap.plala.or.jp

uさま

他者の目を否定する気は毛頭ありませんし、その資格すらありませんが、私としてはやはり、小説においては描くよりも書くことが重視されてしかるべきではないかと思っています。この作者にしてもおそらく同様で、風景描写に関してまったく頓着しないのもこの理由からだと考えられます。
ただ、言葉だけで何かを描くという行為が、小説に独特の運動だというのも事実です。通常の会話で風景を描写しようとすると説明口調になりますし、漫画や映画は描かれるべき風景がすでにそこにあるので言葉を費やす必要がない。
私がもし何かを描こうとするなら、それが小説にしかないであろう運動であることを意識しながら描くのだと思います。

水野
i114-183-76-253.s41.a012.ap.plala.or.jp

BBQさま

この作者は奇を衒うことを好むらしく、各々の記述に抜けを作っている場合が多いようです。もう少し長いものになると通用しなくなりますが、このくらいの短さであればいくらでも省略することができるので、掌編を書く楽しみはそこにしかないのではないかというのが感想です。
人間を書くことに関しては、彼は声というものを重要視しています。この小説を黙読してみたとき、私は私で何者かの語り声を聞いていますし、各々の読者方にしてもきっとそうです。そしてたぶん、その声は他の文章を読んでいる時にはあまり出てこない声色をしているのだと思います。
あとは全体的な物語としての細部を詰めるだけですが、この作者にとっては量子論と相対性理論を繋げるのと同等の困難さを伴うようです。

水野
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もんじゃさま

この作者の書くものは、小説というものを読み慣れていれば読み慣れているほど、読めなくなってしまう性質を持ってしまうのではないか。上記の感想から、私はそのような仮説を立てました。
作者である彼自身、一般的な小説をもはや読まなくなってしまったからかもしれません。私は彼の近年の読書遍歴をおおまかに辿ってみたのですが、読んでいるのはむしろ批評文ばかりであり、ここ最近はシステム理論や漫画などに食指を動かしているようです(一年半ほど前は、量子論や宇宙論、和歌にも手を出していた様子)。
ただ、彼の基礎には村上春樹という巨人が居座っていることも確かで、そこからどうにか脱出しようともがく結果、よくわからないものばかりが生み出されている可能性も否定できません。現在一面に投稿されている『不安の法則』は村上春樹的な要素を多分に含んでいる作品ですが、ともするとその手の小説を書いてしまう気がして空恐ろしいのだということを、作者は私にぼやいていました。

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