作家でごはん!鍛練場
皆さん以外の人類

白い糸と小屋

古びた椅子は私が座ると歯を食いしばるかのように錆びた足を地面に突き刺した。
もう耐えることができなくなってしまうのだろう。
森は、鳥のさえずりも虫の鳴き声もすべて吐き出したかのような静けさで、
生ぬるい雨と風に体を揺らしている。
森の東に位置するこの床のないこの小屋は、私の叔父がいつかの春に連れてきてくれた。

あの日は家から海の上に雲が二、三個確認できるだけの快晴の日だった。
春休みでうちに遊びに来ていた叔父が「明日、海か森に連れて行ってやる。」というので一晩中悩み、森に決め、朝叔父にそれを伝えた。
叔父は大きくうなずくと、「あの森には俺が荒れていた頃の、いろんなものがそこら中にぶちまけてある。危うく小火を起こして大事になるとこだった事もあったな。それが原因でたばこがばれたんだ。」そういうと、
たばこを取り出し「俺はいつでも行けるから、外で待ってる。準備ができたらすぐいくぞ。」と言ってそそくさと出て行った。
それからすぐ私と叔父は森に入っていった。
ここ十分程歩き続けていると叔父は首にかけたタオルで何度も顔をぬぐい、                        「春なのにもうこんなにあついとは」とこぼした。
私は静かに彼の後を付いていった。
「水が飲みたい」私がそう言うと、叔父は申し訳なさそうに振り返り「忘れた」とだけ呟いた。
しかし、しばらくそのまま歩いていると叔父が急に立ち止まり、                             「この近くに他の不良仲間と使ってた溜まり場の小屋がある、そこに水道があるから行こう。」そう言い、早足に歩き出した。
道から大きくそれ、草をかき分けて進んで行く。段々と奥のほうにみすぼらしい小屋が見えてくると         「ついた」と叔父がため息のようにこぼした。
そこで初めて私はこの小屋と出会ったのだった。
みすぼらしい、ツタに覆われた今となっては小屋と呼ぶのも憚られるようなこのぼろ屋は、
渇いた私を無感情に迎え入れた。

とうとう雨が本格的に降りだしたが、雨はこの小屋の屋根を優しく叩いている。たくさん降っているものの大粒ではなく、中にいると不思議な気分になった。
そしてそこにいる「僕」も同じような面持ちでそれを見つめていた。


私は錆びた椅子に座り、ぼんやりと僕を見た。
僕はぼんやりと錆びた椅子に座っている私を見た。

私は思った。なんて「僕」は美しいのだろう。傷一つなく、目は淀んでいない。口からは感情が飛び出してくる。
しばらくそうしていると、小屋の入り口あたりに大きな水たまりができていた。
私はそれが無性に気になったので立ち上がり、覗き込んだ。
そこに映った私は醜かった。目はぎょろ付き、頬はやせこけていた。
私は何かが壊れる音を聞いた。その音はこの小さな空間で反響し小屋の隅に消えていった。

私が僕に近ずくと、僕は縛られた手と足を一生懸命に動かし小屋の隅に這ってこれから行う事から逃れようとした。
しかし逃れることは許されない。私は僕の腕をつかむと、起き上がらせ錆びた椅子に座らせた。
椅子に括り付けている間、僕は抗ったがその度に椅子の足は土に深く埋まっていった。
外の雨は少し激しさを増していた。屋根を叩く音はもう優しくはなかった。

私は用意していた針に白い糸を通すと、うなだれている僕の顎を上げさせた。僕の目は恐怖でいっぱいだった。
そして唇をひと針ひと針大切に縫い合わせていった。針を刺し糸を引く度に白かった糸は赤く染まっていった。
僕は初めのうちは針が刺さるたびに痛がっていたが半分ほどまで縫うともう反応することはなかった。
僕が流す涙は外の雨より大粒で、私の手を濡らしていった。
縫い合わせ終わると私は僕の唇に指を這わせると、
柔らかい唇にぽつりぽつりと糸の感触を感じた。

私は思わず口付けをした。血と口から出ることのできなかった腐った感情の匂いがした。
腐ってはいたが、それは確かに恐怖と希望のの匂いだった。
私は外の雨に手をかざし、付いた血を洗い流すと水たまりの水を手ですくうと、それを飲んだ。
渇きを潤した私は無感情に錆びついた椅子に腰を下ろした。

僕は小屋から出るとあの時よりさらに激しくなっている雨の中、帰路に就いた。

白い糸と小屋

執筆の狙い

作者 皆さん以外の人類
124-18-26-79.dz.commufa.jp

ずっと一人で小説を書いていたのですが、第三者の声があったほうがいいと思い今まで書いていた小説の中で自信のある短編を推敲し直しながら書きました。どのサイトに投稿しようか迷ったのですが、このサイトのコメントのレベルがとても高く勉強になると思ったのでここにしました。自信があるといいましたが、自分で書いた小説だからよく見えているということもあると思います。また、慣れないもので編集がうまくできず読みにくいかもしれません。すみません。あと、アドバイスも是非頂ければと思っています。辛口も歓迎です。よろしくお願い致します。

コメント

アフリカ
sp49-104-4-254.msf.spmode.ne.jp

独りで書いてるのは勿体ないので是非ともここの感覚も堪能してくださいませ。

感想ですが、結構、途中から、ぐしゃっとなってる気がしてしまいました。

冒頭は気を付けていたことが終盤どうでも良くなってしまったような?

それと、色々と唐突に突き出してくるので何をどれに乗せて物語を感じれば良いのかわかんなくなる感じでしょうか?
ライドさせる感覚はとても大切な気がします。

ありがとうございました

恵 幸人
74.177.138.210.rev.vmobile.jp

>自信のある短編を推敲し直しながら書きました。

 自信を持ってはいけないレベルだと思います。見直しが不十分です。


>このサイトのコメントのレベルがとても高く勉強になると思ったので

 玉石混淆なので盲信は禁物です。

大丘 忍
p1793091-ipngn200202osakachuo.osaka.ocn.ne.jp

 まず、小説を書くときには、改行後の段下がりという約束事があります。これをきちんと守りましょう。これがなければ、文学賞に応募しても読んでもらえずに一目でボツに成ります。
 次に、地の文に私と僕という一人称が二つ出てきます。これは小説では普通にはありえないと思います。二つの一人称を使うのであれば、読者にその理由を納得させる必要があります。「僕」と括弧をつけているところから、「僕」に必然性があるのかとおもいましたが、それは感じられませんでした。単に奇を衒っただけかなと感じました。
 小説を書く場合の、このような基本的な約束事を無視していながら、作者はいわゆる美文を書こうとしております。いくら美文をならべても、それだけでは小説には成りません。それらのことを承知しながらこの作品を書かれたのなら別ですが、私には面白い作品とは思えませんでした。

ウニ
14-132-49-74.aichieast1.commufa.jp

拝見させて頂きました
読んでいて1人で書いてきたのだというのは感じられました
私が思うに小説とはなるべく他人に読んでもらうためのものなので、オナニープレーになってはいけないと思うのです
より多くの人に読んでもらいたい、共感してもらいたいというのが作者の心だと思います
しかし、もし他人に読んでもらうのであれば、世間の人々が求めているものや、魅了させるために予想外の展開が必要になると思うのです
書籍化にしろ映像化にしろ、エンターテイメントでなければいけないと思うのです
凄いと認められたいという思いより
みんなを凄いと思わせてあぇて下さい
ありがとうございました

皆さん以外の人類
124-18-26-79.dz.commufa.jp

アフリカさんコメントして頂きありがとうございます。冒頭の部分と終盤の部分の意識の違いを注意してくださりありがとうございます。もともと後半があってそこに前半をつけたので今回のようになってしまったと反省しています。色々突き出してしまった事は恐らく私の説明文不足や文章力のなさが原因だと思いますのでその力をつけれるように練習してきます。そのあたりを改善してもっといい作品を書くので二週間後か、もう少し後になるか分かりませんがその時またアドバイスを頂けたら光栄です。読んで頂きありがとうございました。

皆さん以外の人類
124-18-26-79.dz.commufa.jp

恵 幸人さんコメントして頂きありがとうございます。確かにその通りだと思います。井の中の蛙大海を知らずという言葉がよくあてはまりそうです。でも、このサイトをうまく使って井戸から這い出したいと思っています。今回頂いたアドバイスはためになるものばかりでしたが、仰る通り全てを鵜飲みにせずアドバイスも取捨選択をしてそれを踏まえ、小説の腕を上げていきたいと思います。次投稿するときもまたアドバイスを頂けたら光栄です。読んで頂きありがとうございました。

皆さん以外の人類
124-18-26-79.dz.commufa.jp

 大丘 忍さんコメントして頂き大変参考になりました。一つ目の段落についての注意については投降した後に気ずき、やってしまったと思っていました。しかし、その一つのミスでせっかく書いたものも読んでもらえなくなると聞いて、日ごろから気をつけねばならないと心に刻みました。注意して頂きありがとうございます。二つ目のご指摘に関しては書いている側としては一番自分の文章力のなさなどをまざまざと感じさせられました。憚りながら書きたかったことを解説させて頂きますと、《中高生くらいの自分に嫌になった主人公が幼かった頃の主人公に嫌悪感を抱きその幼い自分(その記憶や思い出など)を傷つける》というものです。その為、幼い主人公を「僕」、今の主人公を「私」としました。今こうして、書きたかったこと、を書いていてもこの様な作品では伝わらないと改めて認識しました。やはり根本的な文章力に問題があると思いました。次回の投稿にも、今回のようなアドバイスを頂けたら本当にありがたいです。読んで頂きありがとうございました。

偏差値45
softbank219182080182.bbtec.net

感想としては大丘さんと同じですね。
私と僕の併用は、分かりにくいですね。
そういう表現は避けた方が無難だと思います。

それから僕の存在意義が分かりませんでした。
例えば、悩み、不安、恐怖、そういうものを象徴していたり、
過去の自分自身やトラウマのような存在を表していたり、
明確ではありません。とても曖昧で意味が分からないので、
この小説もよく分からないものになっていますね。

で、前半に登場した叔父ですが、後半ではその描写はありません。
一緒に居た筈なのに……。どこへ行ったのでしょうか。不自然な感じがしますね。

>第三者の声があったほうがいいと思い

これは正解でもあり、不正解でもありますね。
なぜならコメントが必ずしも正しいとは限らないからです。

>このサイトのコメントのレベルがとても高く勉強になると思ったのでここにしました。
そんなことはないですね。
わりと皆さん、適当に書いていますよ。否、私だけかもしれませんね(笑)
仲には読んでもいないのに、賞賛する人もいましたね。

>自分で書いた小説だからよく見えているということもあると思います。
それは充分にありますね。
難解な小説を書いておきながら、
「読解力がないオマエが悪い」と言われても困りますからね。
読解力がないのは認めますが、そう思う前に「自分自身に表現力があるのか」
疑問に思った方が良いでしょうね。

皆さん以外の人類
124-18-26-79.dz.commufa.jp

ウニさんコメントして頂きありがとうございます。今まで一人で書いてはフォルダーに保存するということを繰り返していました。他人にこんな自己満足な物読んでもらう訳にはいかない。ずっとそう思っていました。でも、一人で自己完結しているばかりで一向に作品の質は向上しませんでした。そこでこのサイトに投稿しようと決心しました。いまはこんなに冷静、そして有意義なアドバイスを頂けるならもっと早くから投稿すればよかったという思いでいっぱいです。
ですが、まだ人に読んでもらう、ということをうまく認識できなかった自分がいます。その為にウニさんから今回のようなご指摘を頂く事になったのではないかと思っています。ウニさんが言うような人を楽しませる、魅了するような作品を書けるようになるにはまだまだ時間がかかると思いますが努力していきたいと思っています。次回は今より少しでも技術を上げて投稿したいです。そのとき、またアドバイスを頂けたら光栄です。今回の作品を読んでくださりありがとうございました。

皆さん以外の人類
124-18-26-79.dz.commufa.jp

偏差値45さんコメントして頂きありがとうございます。確かにそうだと思います。技術がないのにトリッキーなことをしようとして失敗した気がします。技術が付いたらこういう文体で書いてみたいです。
僕、の存在意義がわからないとのご指摘なのですが、私としてはそれなりのものを持たせたつもりであったのでただただ、自分の文章力を呪うばかりです。(呪うだけでなく練習しますが)偏差値45さんが仰った様に、悩み、トラウマそういったものを「僕」に持たせることは必要だったと思います。このようなミスはよくやってしまうので自分でも気をつけようとおもった矢先の事でちょっとショックです。叔父のことなんですが、叔父が出てきているのは回想場面なので後半には出しませんでした。そういう意図があってだったのですが、確かに後半出てこないのに書いたのはダメだったかもしれません。
主人公に一人で小屋を見つけさせたほうがそういうことは起こらなかったかもしれないです。反省します。
また適当にコメントを書いていると仰いましたが23行も書いてくださって、しかも大変勉強になりました。
次回の投稿時も、コメントを頂けたらとても嬉しいです。ほんとにこの作品を読んでくださってありがとうございました。

飼い猫ちゃりりん
123-1-101-34.stb1.commufa.jp

皆さん以外の人類様
 まずはごくごく普通の文章を書くことが大切です。小学校の国語の教科書レベルの文章です。私が見る限りそのレベルに達している人は少ないです。私も達してはいません。
 それと事務的な文章を書く練習も大切です。事務的とは、正確かつ効率的な伝達を為す文章です。

皆さん以外の人類
124-18-26-79.dz.commufa.jp

飼い猫ちゃりりんさんコメントして頂きありがとうございます。なるほどです。一つ目標ができた気がします。
でも、国語の教科書レベルって「読書なんか普段しないよ」っていう学生が読んでも理解ができるってことですよね。
今の私には到底考えられませんが、そんな小説を書けたらどんなに素敵なことだろうと思います。
小説の練習の仕方、文章力のつけ方などを模索していたところだったのでとてもありがたいです。
頑張って練習して投稿しますのでその時またアドバイスを頂けたら幸いです。この小説を読んでくださってありがとうございました。

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