作家でごはん!鍛練場
加茂ミイル

御手洗は見た! 謎の怪人いちめんそうと誘惑のチェリーボーイ

登場人物 御手洗……探偵
     石岡……ミタライノミナライ
     依頼人……調査の依頼人
     真理子……特殊な能力を持つ謎の美少女
     城之内……真理子の家政婦
     北条……真理子の執事     

 新橋のとある薄汚い雑居ビルの3Fに、狭くて陰気な部屋があった。
 街の賑わいからそう遠く離れていないのに、その部屋だけ、まるで世の中から隔離された別世界のような雰囲気を漂わせていた。
 そして、その部屋には、私たちの物語の主人公、御手洗探偵事務所を構えていた。
 立ち並ぶ灰色のビルが陽炎に揺れている、夏の暑いさなかであった。
 午後1時ごろ。黒いカバンを持った一人の男性が、一枚のメモに書かれた地図を頼りにこのビルまでたどり着いた。彼は、ハンカチで額の汗を拭きながら、薄暗く蒸し暑い階段を上った。
 外の道を大型のトラックが通過する音が響き、その際、建物がグラグラと揺れた。
 男が驚いて周囲を見渡すと、ふと、天井の隅には大きな蜘蛛の巣が張られているのに気づいた。男には、その蜘蛛の巣が、監視カメラのようにじっと自分を見つめているような気がして、どことなく空恐ろしい気分になった。

 御手洗事務所の室内はほとんどサウナ状態だった。
 気温は35度を超えているというのに、節約のためにクーラーもつけずに、御手洗とその見習い助手の石岡はうだる熱気の中でやる気を失っていた。
「こんな暑い日はうなぎでも食べたいですねー」
 と石岡はぱたぱと扇子をあおいで自分の顔に生ぬるい風を送りながら言った。
「何で暑いとうなぎなんだ」
 と御手洗が読んでいた新聞の横から顔を覗かせて尋ねた。
「だって、そうなんじゃないですかー?」
 と、石岡は投げやりに答える。
「なら、スーパーで買って帰りなさいよ。千円くらいで売ってるでしょう」
 とイライラした口調で突き放す御手洗。
「僕は国産の、4000円くらいするうな重が食べたいんですよね」
とへらへら笑う石岡。
「付き合ってられんよ、全く」 
 御手洗は意識を読みかけの新聞に戻した。
 そこにはこう書かれてあった。
『かいじんいちめんそう、国立美術館所蔵の国宝級絵画10点を盗む』
 その時だった。石岡の耳毛がざわざわっと波打った。
「おや?」
 石岡は振り向いて、階段を上って来る足音の気配に耳を澄ました。
その足音は、さらに上の階には登らず、廊下の辺りを行ったり来たりしていた。
 石岡は椅子から立ち上がり、思い切ってドアを開けた。
 廊下に立っていた男と石岡の目が合った。
「あっ。御手洗探偵事務所さんは、ここでしょうか……」
 その30代くらいの、どこか気の弱そうな男の態度は、石岡の目にはいささか挙動不審に見えたが、ここに来る客にはたいていどこか挙動不審だ。
 石岡は快く男を部屋の中に招いた。
「どうぞ、おかけになって下さい」
 石岡が男に穴の開いたソファを勧める。
 男は、革が破れて中のスポンジがむき出しになっているソファを最初怪しんでいたが、勧めを断るわけにも行かず、ソファに座った。
 男は、ソファの上で上半身のバランスを取るのに苦労していた。

 男は、さっそく用件を切り出した。
「実は、自宅の郵便受けにこんな手紙が」
と、一枚の手紙を御手洗に手渡した。
御手洗はそれを読んだ。
『今夜、あなたの大切なチェリーボーイを頂戴いたします。
                 かいじんいちめんそう』

「このチェリーボーイというのは? 宝石ですか?」
「いえ、私がかわいがっている12歳の少年です」
「あなたとどういう関係で?」
「それは、言えません」
 依頼人は気まずそうに視線を逸らした。
「困りましたね。そこのところがはっきりしないままこのご依頼を引き受けるわけにはいきませんのでねえ」
「ちょ、ちょっと、待ってください。引き受けてもらえないんですか?」
 依頼人は御手洗の袖にすがった。
「まあ、落ち着いてください」
 と御手洗が依頼人の手を放そうとした時だった、窓ガラスを突き破って、から飛んできた一本の矢が壁に突き刺さった。ガラスの破片が床に飛び散った。
 最初、3人は驚いて身動すら出来なかったが、部屋が静かになると、石岡はその矢に結ばれている手紙をひもといて読んだ。
『邪魔するやつは、けちらす。私を甘く見るな。
             かいじんいちめんそう』
石岡は、慌てて窓に駆け寄り、外を見渡した。
向かいのビルを一通り眺めたが、どの窓も閉め切っており、人影は見えない。眼下の通りは、銀座方面から流入して来る大勢の通行人たちで、誰が誰だか分からない。あの中に犯人がいても、見分けられないだろう。
 御手洗はその手紙を読んで、フッと笑った。
「面白いことになって来たみたいだね」
 と言って、御手洗は手紙を机の引き出しにしまった。
 依頼人は、
「いちめんそうの奴。手荒な真似をしやがって。すみません。こんなことになるとは思わなかった。あなたがたに迷惑をかけてしまった」
 と言って、依頼人は部屋から出ようとした。
「お待ちなさい」
 と御手洗が引きとめる。
「そのお依頼、お引き受けしましょう」
「ほんとですか?」
「男に二言はありません。かいじんいちめんそうとやら。近頃世間を騒がせているらしい。警察を始め、国家権力が束になっても叶わない、その実力のほどをこの目で確かめてみたくなった」
「御手洗さん……」
 石岡は眩しい夕陽に目を細めるようなまなざしで、御手洗の背中を見つめた。
「とりあえず、私の大切なチェリーボーイをお二人にお見せしたいと思います」
 と依頼人は言って、色とりどりの宝石を埋め込んだ携帯を取り出し、車を呼びつけた。
 事務所の外に、ロールスロイスが停まり、アルマーニを着た運転手が車の傍らに立って3人を出迎えた。
 御手洗と石岡は驚いたが、黙って車の後部座席に乗り込んだ。
「ロールスロイスなんて、僕、初めて乗りましたよ」
 と石岡は興奮気味に車内をきょろきょろ見回している。
 いつも見慣れているはずの窓の外の景色が、今日の石岡にはきらきら輝いて見えて、子供のようにはしゃぎ続けていた。
「御手洗さん、御手洗さん、見て見て、国会議事堂ですよ!」
「いいから、君は黙って外の景色を眺めていなさい」
 2時間ほど経過し、ロールスロイスは北鎌倉駅の前を過ぎ、そこからほど近い場所にたたずむ依頼人の家の前に停まった。
 それは、瀟洒な洋館風の邸宅だった。
「ご案内します」
と依頼人が先に歩いて、二人はその後をついて行った。
正面玄関に向かってまっすぐ石畳が続いていたが、依頼人は突然右方向に向きを変え、よく刈り込まれた芝生の上を通って、その先にあるプレハブに入って行った。
「ここが私の仕事場なんです」
と依頼人が披露したのは、等身大のフィギュアで、ざっと見渡しただけでも、30体は下らないだろう。
ほとんどが裸体の女性をモデルにしたものだったが、中でも目を引くのは、部屋中央に飾られている少年のフィギュアだった。男から見ても、うっとりせずにいられないほどの艶めいた美を全身に宿したそのフィギュアを見て、石岡ははっと気づいた。
「ひょっとして、これが、チェリーボーイですか?」
と依頼人に尋ねると、依頼人は意味ありげに笑って、その象に近づき、ハイタッチを求めるように開いている少年の指に自分の指を絡ませ、
「君を誰にも渡さないよ。君は僕だけのもの」
と甘ったるい目つきと口調で囁きかけるのだった。
石岡はその異様な光景を目にしてうろたえ、助けを求めるようなまなざしで御手洗を見た。
御手洗は全く動じることなく、冷静に依頼人を観察していた。

「マモル、僕がそばにいるからね。何も恐れなくていいんだよ。ね、マモル。僕が君を守るから」
 そう言いながら石岡はフィギュアに熱い吐息を吐きかけ、2人が見ている前で少年の体を撫でさすり始めた。
「ちょっと、何してるんですか! ねえ、御手洗さん、あいつを止めた方が良くないですか?」
 石岡が依頼人の行為を制止しようと前に歩み出すと、御手洗に肩をつかまれた。
 石岡が御手洗を振り返ると、御手洗は首を横に振った。
「させておけと?」
 御手洗は首を縦に振った。
 依頼人がとうとう少年の股の間を咥え始めると、石岡はもう我慢の限界を超え、プレハブから外に出て行った。
 外で、石岡が吐瀉する声が聞こえた。
 一方、御手洗、この男は石のハートの持ち主なのだろうか?
 これほどまで常軌を逸した狂態を目の当たりにしながら、眉一つ動かさず、ただじっと、まるで化学の実験を観察するような表情で、依頼人の行動を最初から最後まで観察しているのであった。

 数日後。
 御手洗探偵事務所。
 ドアが威勢よく開き、石岡が事務室に入って来た。
「御手洗さん。うなぎ弁当買ってきましたよ。鹿児島産の高価なやつです。これで暑い夏を乗り切りましょう」
 と誘いをかけたにも関わらず、御手洗はじっと書類に目を通している。
 石岡はテーブルの上に買い物袋を置き、
「何見てるんですか?」
 と覗き込む。
「この辺で過去に失踪した未成年者のデータだよ。石岡君、実に興味深いデータを見つけたよ」
 と言って、御手洗は1枚のページを石岡に手渡した。
 石岡はそれを読んで思わずあっと叫んだ。
「この、二宮マモルっていう子。依頼人の仕事場にあったチェリーボーイに瓜二つじゃありませんか!」
「その通り。石岡君、これは何か匂うぞ!」
 御手洗は、机の上の電話に身を乗り出して、番号を押した。
「フジオカ君かね。私だ、御手洗だよ。久しぶりだね。実は折り入って君に頼みたいことがあってね」
 数日後。
 御手洗と石岡が依頼人の屋敷に到着すると、既にフジオカを始めとする捜査官たちが広大な庭で調査を開始していた。
 フジオカは大学時代に御手洗と知り合い、親友になった。現在は警視庁の警部をしていた。
 今回、彼は御手洗から捜査の協力を頼み込まれ、謎めいたチェリーボーイの存在と、御手洗の推理の内容に興味を抱き、訓練された警察犬を派遣して捜査に協力する気になった。
 警察犬は芝生の中で土がむき出しになっている場所で止まった。
「あそこに何かあるようだ」
フジオカが先にそこに走り、御手洗達もそれを追いかけた。
同行して来た4人の警察官たちがシャベルで穴を掘り始める。
30分後。
「警部。遺体らしきものが見つかりました」
フジオカは慣れたもので、動揺の片鱗すら見せず、穴の中を覗き込む。
御手洗と石岡も、フジオカの隣で掘り出される遺体を注視している。
「御手洗さん、ひょっとして、あれは、二宮君じゃないでしょうか? 僕は怖くてこれ以上見ていられそうにありません」
「これくらいのことでひるむようでは私の助手は無理だよ」
と御手洗からあしらわれて、石岡はもう逃げることが出来ないと覚悟を決めた。
穴の中から掘り出された人物を見て、石岡はもちろん、御手洗でさえも驚きの表情を浮かべた。
その遺体は、二宮少年のものではなく、数日前に元気な姿を二人に見せていた、あの依頼人のものだったからだ。
警官が駆け付けて来て、フジオカに何か報告している。
フジオカは聞き終わった後、御手洗のところに来て、言った。
「この家の家政婦に事情聴取したところ、この依頼人には妹がいるらしい。で、その妹なんだが……」
フジオカは何かが奥歯に詰まったように、次の句を言いにくそうにしていた。

「この辺では、夜の女王と呼ばれているらしい」
 とフジオカは言った。
「それはどういう意味だね?」
 御手洗が尋ねた。
「実は以前から公安がマークしていた人物なんだ」
 そのフジオカの一言で、御手洗と石岡の表情が変わった。
「こ、公安?」
 石岡は何か大きな事件に自分たちは巻き込まれつつあるのではないかと震えた。
「実は、十年前の、宗教団体ハーブによる政府要人を狙ったテロの黒幕と目されている人物だ」
「この依頼人の妹が?」
御手洗は興味深そうに指先で自分のとがった顎をつまんだ。
「御手洗さん、よしましょうよ。これは我々が扱える業務の範囲を超えていますよ」
「うるさい。嫌なら帰りなさい」
「御手洗さ~ん」

御手洗と石岡は家政婦に案内されて真理子の部屋に入る。
薄暗い部屋の壁を、オレンジ色の間接照明が弱弱しく照らす。
天井からぶら下げられた御簾の向こうに、真理子の気配を感じた御手洗。
「あの、勝手にお邪魔してすみません。私、御手洗と申します」
「真理子です」
「あなたが、依頼人様の妹さんなのですね?」
 と御手洗が尋ねると、
「真理子です」
 と返って来る。
 その言い方に何かしら違和感を感じた御手洗が、
「カーテンごしにというのも何ですから、お顔を拝見してもよろしいでしょうか?」
と尋ねると、また、
「真理子です」
と同じ答えが。
御手洗と石岡は顔を見合わせた。
御手洗が一歩妹に近づき、
「あの、このお屋敷のお庭で事件が発生したことはご存じでしょうか?」
「真理子です」
御手洗はさらに一歩近づき、
「失礼なことをお尋ねするようですが、あなた、本当に依頼人様の妹さんなのでしょうか?」
「真理子です」
 御手洗は、カーテンに手を伸ばし、斜めにめくった。
 そこに現れたのは、首から上が金属で出来たサイボーグの顔だった。
 そのサイボーグは突然、カウントダウンを始めた。
「10……9……8……7……」
「石岡君、逃げるんだ!」
 御手洗と石岡は全速力でダッシュし、部屋から出て、廊下を走り、玄関から勢いよくジャンプして庭にダイブした。
 と同時に、ものすごい爆音が響き、依頼人の屋敷は粉々に吹き飛んだ。
 御手洗と石岡は、呆然とその光景を眺めていた。
 そこにフジオカが駆け寄る。
「二人とも、ケガはないか?」
「私は大丈夫だ、石岡君は?」
「僕も大丈夫です」
「消防車を呼べ!」
 とフジオカは部下たちに指示を出す。
 しばらくして、石岡があることに気づいた。
「そういえば、あの家政婦さんは無事でしょうか?」
 と、その時、上空から笑い声が聞こえて来る。
 見上げると、そこには気球に乗って空高く舞い上がって行くエプロン姿の家政婦の姿があった。
「あーっはっはっは!」
 とその小太りの中年女性は、御手洗たちを見下ろしながら、高笑いしていた。
 石岡は、あっ! と叫びながら、顔面蒼白になって、震える声で言った。
「御手洗さん……まさか……」
「君も気づいたようだね。あの女が怪人一面相だ」
御手洗、石岡、フジオカの3人は、プレハブ小屋へと向かって歩いた。
プレハブ小屋は母屋から離れており、爆発に巻き込まれずに済んだ。
中には前来た時と同じ、たくさんのフィギュアが飾られてある。
そして、その中央部。
その位置にあるはずのチェリーボーイの像がなくなっていることに気づいて、石岡はがっくりとその場に跪いた。
「畜生。今回は僕たちの負けか……悔しい!」
と拳で床を叩いた。
すると、
「くっくっく」
と御手洗が笑いをもらす。
驚いて、石岡は御手洗の顔を見上げる。
御手洗はさらに上機嫌になり、
「はっはっはっは」
と腹を抱えて笑い出す。
「御手洗さん、何笑ってるんですか。全然楽しくないですよ。僕たちは怪人1面相にしてやられたんですよ。それをどうして……はっ、まさか、あなた、怪人1面相じゃあるまいな」
「私が? 何バカなことを」
「じゃあどうして笑ってるんですか」
「あそこにあるフィギュア、ここに運んで来て」
御手洗の指さす方を、石岡は見た。
「あの、窓際にあるやつですか? あの髪の長い、おっぱいの大きい女性の」
「そうだよ、早く」
急かされて、石岡は言われた通りにそのフィギュアを運んで御手洗の前に置いた。
「これが、どうかしたんですか?」
御手洗は、ゆっくりと手をそのフィギュアの髪に近づけ、そして、ばっと振り下ろすと、その手にはかつらを握っていた。
「あっ、かつらだったのか。じゃあ、もしかして、これも」
と石岡は両の手でおっぱいを掴み、ぐいっと引っ張ると、シリコンのカップが取れた。
そして、目の前には、あの、数日前に見たのと同じ、りりしい姿のチェリーボーイ像が現れたのだった。
「じゃあ、怪人1面相が盗んだのは」
「そうさ、偽物さ」
「御手洗さん、やりますね!」
「何、これくらい、大したことないよ」
 石岡はきらきら目を輝かせ、尊敬のまなざしを御手洗に向けていた。

「フジオカさん、あなたのご協力があったおかげで、怪人1面相に勝利することが出来ました」
御手洗が感謝の気持ちを伝えると、フジオカは、
「何、私の力など微々たる物です。全て御手洗さんの天才的な推理力の為せる業です」
「いやいや、そんな」
「ところで、お二人とも、ここに来る時、手の消毒はされましたかな?」
「あ、そういえば、忘れていました。フジオカさんは偉いですね、こんな場所でもきちんとフェイスシールドをされていて」
「今からでも遅くない。さ、両手を出してください。私がエタノール消毒液をスプレーしてさしあげます」
フジオカはバッグの中からスプレーを取り出した。
御手洗と石岡は、両手をフジオカに向かって差し出した。
と、その時だった。
フジオカは、スプレーを二人の手ではなく、顔に向けて噴射したのだった。緑色の煙が巻き起こる。
「うわっ、何を!」
二人は抵抗する間もなく、激しい眠気に襲われ、その場に倒れこんでしまった。
「こういう時のために、フェイスシールドはしておくべきなのだよ」
と、フジオカは既に深い眠りに落ちている二人に向かって忠告をした。
「さて、と……」
フジオカはチェリーボーイ像の方に向き直ると、感極まったようなまなざしで、その像をしばしの間、じっと見つめていた。
窓からはセンチメンタルな夕陽が差し込んで来る。
十分に感慨にふけ終わったところで、フジオカは、
「よっこらしょ」
と掛け声を出しながら、肩にかつぎ、プレハブの裏口の扉を開けた。
左右に誰もいないのを確認すると、茂みの中に入り、姿勢を低くして、道を進んだ。
県道に出ると、一台の黒い車が道の脇に停められていた。
フジオカはそのトランクにチェリーボーイを隠し入れ、自らは運転席に乗り込み、エンジンをかけ、車を発進させた。
横浜港の倉庫内で、ロープでぐるぐる巻きにされ、口をガムテープで塞がれたフジオカが発見されたのは、それから2日後のことだった。
「不覚をとった。怪人1面相を逃したのは俺の責任だ」
フジオカは目に涙を浮かべていた。
「じゃあ、やはりあのフジオカさんは偽物だったわけですね」
と石岡。
「まさかこの俺にまで変装するとはな。それから、鎌倉材木座の砂浜に、穴の開いた気球が墜落しているのが発見された。それと一緒に、家政婦のマネキンも。スピーカーからはひっきりなしに笑い声がリピートされているのが聞こえていたそうだ」
とフジオカ。
「あの家政婦まで偽物だったとは一本取られましたね。1面相はそれで僕らの気を引き付けて置いて、その間にフジオカさんに変装していたんだ」
と石岡。
「おかしいと思いましたよ。フジオカさん、最初はフェイスシールドつけてなかったのに、いつの間にか装着していて、しかも急に潔癖症みたいになって、消毒に熱心になっているんだから」
と御手洗。
「それで、お詫びと言ってなんだが、これは警視庁内部の極秘情報なんだが、あなたたちだけに特別に資料をお見せしようと思う」
とフジオカ。
御手洗と石岡は、突然の棚からぼたもちに興奮した。

「これは、10年前、ハーブ教団の施設をガサ入れした時に押収した資料だ」
とフジオカは、段ボールをテーブルの上にどかっと置いた。
「その中でも特に興味深いのがこれだ」
と言って、彼は、一枚のパピルス紙を取り出して見せた。
そこには、様々な象形文字が羅列されていたが、その下に、その日本語訳が併記されていた。
それにはこう書かれてあった。
「チェリーボーイを手に入れた者が、この世界の支配者となる」
「チェリーボーイ……これは、10年前の資料なんですよね。その時から既にチェリーボーイを狙っている人間たちがいたということか」
と御手洗。
「それから、もう一枚、これを」
と言ってフジオカはパピルス紙を見せた。
それには、依頼人のプレハブで見たのとそっくりそのままのチェリーボーイ像の設計図が描かれていた。
御手洗が気になったのは、その胸の部分だった。
「ちょうど心臓の部分に、uraniumと書かれていますが、これは?」
と御手洗がパピルス紙のその部分を指さしてフジオカに尋ねた。
「ウラニウム。つまり、核兵器の原料だね」
とフジオカ。
「これは、どういうことで?」
と御手洗は眉をひそめる。
「これは、トップシークレットなので、本来、門外不出なのだが、私はあなたを信頼しているし、あなたがこの問題を解決に導ける唯一の人間と思っているから、あなたにだけは教えるのだが……チェリーボーイ像は、マネキン型核兵器なのです」
「えっ!」
石岡はびっくりして叫んだ。
「そんなものが怪人1面相に盗み出されてしまったというのですか?」
石岡はうろたえている。
「それから、あのプレハブにあった30体ほどの裸体のマネキン。あれも、開発中の新型兵器の可能性があり、現在押収して、解析している最中です」
とフジオカ。
「怪人1面相はその核兵器を一体どこで使うつもりなんだ。あるいはあくまでもそれを外交カードとして使うつもりでいるのか」
と御手洗。

一方、依頼人の住居跡。
黒焦げになった芝生の庭に、一台のポルシェが停まった。
運転席から、甲冑を見にまとった人物が、降りて来た。
黒革威しの鎧着て、黒漆の太刀を佩いたその人物、顔を見れば、まだ幼さの残る少女であった。
透き通るような色白の肌に、切れ長の瞳、薔薇のように赤い唇、吹き寄せる風に靡く長い髪。
彼女は、どこか物憂げなまなざしで、自分が生まれ育ったこの懐かしい土地を見渡した。
「真理子お嬢様」
と、木陰から声がした。髪の毛が爆発し、顔中煤だらけになっている小太りの家政婦がよろよろと少女に近寄って来た。
「城之内ではないか。久しぶりじゃのう。どうしたのじゃ、その恰好は?」
「私も何が何だか……。私はただ、真理子お嬢様からEメールで指示された通り、あのうさんくさい探偵を真理子様のお部屋に案内し、言われた通り真理子様がいるということにして、それから台所で夕飯の支度にとりかかろうとしたら、突然大きな音がして……そこから先の記憶は途切れております」
「それは難儀であったな」

「ところで、お嬢様。執事の北条が、お嬢様と来月、東京駅で待ち合わせをしていると申しておりましたが。こんなに早くお帰りになられるのであれば、一言、この城之内か北条に連絡を入れてくださればよかったのに」
「すまぬの。じゃが、気遣いは不要じゃ。わらわはこのたび、急用が出来たゆえ、プライベートジェットで戻って来たのじゃ」
「そうでございましたか」
「北条も元気か」
「北条も今年で75になります。50年間勤めたこのお屋敷がこのような姿になって、ずいぶんと気落ちしたようでございます」
「今、どこに?」
「逗子の自宅で療養中でございます」
「容態の方はどうじゃ」
「食欲はあるみたいですし、心配するほどのことはないようですが、お屋敷を守り切れなかったことに責任を感じて、お嬢様に会わせる顔がないと嘆いておりました」
「そうか。北条らしいな」
「ところで、お嬢様。近頃、御手洗という探偵がこの周辺を嗅ぎまわっているようでございます」
「御手洗……どんなやつだ」
「何と言いますが、顔や風体が太宰治にとてもよく似ているんでございますのよ」
「ほう。それは、ちょっと気になるな」
「それから、お嬢様、プレハブのマネキンたちが警察に押収されてしまいました」
城之内は視線を足元に落として言った。
「そうらしいな」
真理子は、少し考え込んでから、ポルシェに戻り、運転席に乗りこんだ。
「御手洗……少しはこのわらわを楽しませてくれそうじゃ」
彼女が運転するポルシェは、正門を過ぎて、小動物たちの王国となっているうす暗い林道をまっすぐに走って行った。

フジオカは一枚の写真を見せながら言った。
「平真理子。坂東の地で最後まで源氏の勢力に対抗した平氏の末裔と言われている」
御手洗と石岡は、目を丸くしてその写真を見つめた。
「この少女が、夜の女王……ハーブ教団の教祖なのか」
御手洗はまるでその写真の女性に魅了されるかのようだった。
「まるでアイドルみたいに可愛いじゃありませんか」
と石岡は目を輝かせながら言った。
「人を見かけで判断してはいけない」
とフジオカ。
「10年前のテロ事件では、東京、大阪、札幌、仙台、名古屋、広島、福岡の7都市で、ハーブ信者たちが一斉蜂起して、政府関連の施設を爆破させた。犠牲者は巻き添えをくらった市民も含めて、一万人を超えた」
とフジオカは暗い声で言った。
「それは、この真理子という少女が指示した作戦によるものなのですか?」
と御手洗。
「決定的な証拠は最後まで上がらなかった。だが、全ての状況が、彼女をクロと示している」
と悔しそうなフジオカ。
「僕も当時ニュースで見てましたよ。あれだけ状況証拠が揃っていて、真犯人を逮捕出来ないというのは……まるで、教祖の身代わりのように、下っ端の信者ばかり検挙されてましたよね。その時は、さすがに教団の教祖がそんな少女だったとは……ちょっと待ってください、10年前というと、その頃、真理子は何歳だったんですか?」
と石岡。
「おそらく、5歳の子供だった」
とフジオカ。
「5歳の子供にそんなテロを指示することが出来るんでしょうか?」
と石岡。
「彼女は1歳で九九を暗記し、2歳でショパンの幻想即興曲を、世界一流のピアニストですら追いつけないテンポで完璧に弾きこなし、それを聞いたあるフィルハーモニーの名指揮者は、あまりの素晴らしさに気が狂い、真理子を悪魔と叫びながら精神病院に隔離された。さらに真理子は3歳で平家物語と源氏物語を全て暗唱出来た。4歳になると10か国語で会話し、アインシュタインの一般相対性理論を理解し、政府中枢のサーバー内部に侵入し、国家の最重要機密を暴いた。5歳の子供でも、大人以上の犯罪を計画することは可能だ」
「ひゃあ……」
石岡は背筋の凍る思いがした。
「それから、もう一つ問題がある。それは、当時の警察庁長官と真理子の関係だ」
「何ですか、それは?」
 と石岡は聞いた。
「当時の警察庁長官は、真理子に骨抜きにされていたみたいなんだ」
「何ですって?」
「もしかすると、ハニートラップを利用したのかもしれないと最初我々は考えた。だが、その考えは間違っていた。おそらく、彼女がその時使用した能力は一種の弁論術だった。彼女は世の中の男が100人束になっても自分にはかなわないという自信があった。だから、色仕掛けのような姑息な手段を使って男を罠にかけるというまわりくどいやり方を嫌っていたんだ。彼女は、性的魅力ではなく、あくまで知力を駆使した戦いを好んだ。彼女の言語能力はあまりにも優れていて、極度に洗練された弁論術を備えた彼女は、敵にとっては最も手に負えない人間兵器だった。敵は戦意すら喪失したのだ。どんなに強い力を持っていようと、戦意を奪われてしまえば、負けだ。彼女はたったの20文字で、強いアルコールの何百倍もの威力で、人の心を溶かす」
「何て恐ろしい……」
「しかも、それは普通の意味でのマインドコントロールではない。危険なまでに人の深層心理に入り込み、思いのままに操る。真理子には特別な能力がある。それは科学では説明できない次元の力だ」
「科学では説明できない? というと、つまり……」
「魔力と呼ばれるものだ」

「魔力? そんなものを私は信じませんよ」
と御手洗は嘲るように言った。
「もちろん、私だって、最初はそんな話信じられなかった。だが、真理子という人物について調べれば調べるほど、科学の常識では説明できないことが次から次へと明らかになって来たんだ」
とフジオカ。
「魔力ですか……さすがに、僕もそれはちょっと信じられないなあ」
と石岡。
その時だった。
3人のいる部屋がガタガタと揺れ出し、しまいには立っていられないほどの大きな揺れになった。
それから、本棚が倒れ、窓にひびが入り、床に散らばった本たちが宙に浮いて、ぐるぐると飛び回り始めた。
大きな本棚が、床を擦りながら、部屋の端から端に移動する。
「何だ、これは!」
魔力を信じないと言った矢先にこのような超常現象を目の当たりにした御手洗は、悲鳴を上げた。
「テーブルの下に隠れて!」
フジオカの指示に従って、御手洗と石岡はテーブルの下に隠れた。
騒動は5分の間続いたが、3人はその間、生きた心地もしなかった。
やがて、ぴたっと騒ぎが収まり、3人はテーブルの下から這いずって出て来た。
「どうやら、真理子はこの近くにいるようだ」
とフジオカ。
「何だって?」
御手洗と石岡は怯えた。
「これほどまでの力を及ぼせるのは、真理子が半径100メートル以内にいる時だ」
とフジオカ。
「このオフィス街のどこかに真理子はいて、こちらを監視している、そういうことですか?」
と御手洗。
「御手洗さん、石岡さん、あんたがたはもうこれ以上、この件に関わらない方がいいと思う」
御手洗と石岡は、進退に窮していた。

一時間後、御手洗と石岡は床に手をついて、フジオカに土下座してあることを頼み込んでいた。
「そうですか、どうしてもと言うなら……」
フジオカは二人からの懇願を断り切れず、ある人へ電話をかけた。
「はい。探偵事務所の方たちです。ええ。決意は固いようです……あとは、お師匠次第です……そうですか……はい、分かりました」
フジオカは電話を切った。
「待っているそうです。本当に行きますか?」
御手洗と石岡はうなずいた。

3人がたどり着いたのは、山奥のあばら屋だった。
周囲には枯れ葉がうず高く積もっている。
あばら屋の扉をフジオカがノックする。
「入り給え」
という声がして、フジオカは扉を開けた。
中には白いひげをたくわえた老人がいた。
彼は手に杖を持っていた。
「お久しぶりです。お師匠」
とフジオカは頭を下げた。
老人は、杖をくるりと回した。
すると、御手洗の体が宙にふわりと浮いた。
それから地面に下ろされた。
石岡はそれを見て、信じられないといった顔をしている。
「あなたたちが私に弟子入りしたいという変わり者かな?」
と仙人が尋ねると、
「はい。真理子に対抗するためには、私たちも強い魔力を身につけなければならないのです」
と御手洗。
「よかろう。しかし、スキル……わしらは、特別な力のことをスキルと呼んでいるのだが、それを手に入れるのは決して楽じゃないぞ」
「覚悟はしています」
「いい目をしている。よかろう、弟子入りを許す」

「違う、もっと集中して!」
 フジオカがコーチの役割を担って、二人のトレーニングを指導している。
 仙人は大きな岩の上に座って、その様子を見下ろしている。
「御手洗さん! オーラが弱い! もっと、一点に意識を集めるんだ」
 御手洗は、体中の体温を、指先の一点に流入させ、そこにパワーを集め、増幅させる訓練をしているが、なかなかうまく行かない。
 石岡もその隣で同じことをしているが、やはり集中力が乱れる。
「もう駄目だ!」
 と御手洗は弱音を吐いて、疲労のあまり地面にうつぶせに倒れた。
 その時、御手洗の体から、青白いオーラがしゅうっと蒸気のように体から放出されて空気中に分散した。
「ふぉふぉふぉ。一日目にしてはなかなかの出来栄えじゃぞ。隣の石岡とやらは、もう少し努力が必要じゃな」
と仙人からのアドバイス。
石岡は少ししょげている。
仙人は岩からふわっと浮き上がり、そのまますうっとあばら家の中に滑り込んで行った。
「さあ、二人とも、夕食にしよう。君たちはよくやってる方だ」
とフジオカ。
 石岡が思いつめた表情で立ち尽くしている。
「どうした、石岡。夕食だぞ」
 フジオカが呼びかけると、石岡は地面に跪いて泣き出した。
「何も泣かなくていいんだ。誰だって最初はこんなものだ。いずれ君にもスキルは身につく」
「そうじゃないんだ。僕は君たちに打ち明けなければならないことがある」
と石岡。
「何を?」
「僕は罪を犯してしまった」
「一体どんな」
「依頼人を殺して庭に埋めたのは僕だ!」
 フジオカと御手洗はその告白に言葉を失った。
「御手洗さんと初めて依頼人のプレハブを訪れた日、依頼人がチェリーボーイに破廉恥な行為をするのを見て、僕は許せなかった。それで、僕はあの夜、依頼人の館に忍び込んで……」
「もういい、それ以上言うな!」
「だけど、僕には修行する資格がない!」
「バカ野郎!」
 フジオカは石岡をびんたした。
「確かにお前が罪の意識にさいなまれる気持ちは分かる。人としてそれは当然なことだ。だけど、今お前が逃げたら、誰が地球を救う?」
 そのフジオカの言葉に、石岡ははっとフジオカの顔を見た。
 御手洗が石岡の肩に手を置く。
「フジオカさんの言う通りだ。罪をあがないたいなら、真理子を倒してからにすればいい。だけど、何も裁判にかけられたり、牢屋に入ることだけが罪に対するあがないじゃない。地球に生きる人々を救うことで、お前は自分がしたことの禊を済ませることにだってなるんだ。いや、その方がよっぽど人のためになる」
「御手洗の言う通りだ。そんなに自分を責めるな。お前は地球の平和のために必要とされている」
「本当にいいのか? 僕みたいな奴が……」
 泣きじゃくる石岡の背中を御手洗が押して歩く。
 フジオカが石岡の肩に腕を回して励ます。
「でも、本当に僕たち、強くなれるのかなあ」
と石岡は不安げに言った。
「自分のスキルを信じろ。スキルは君たちを裏切らない」
とフジオカ。
日は沈み、あばら家の中に白熱灯の明かりがともった。
弱弱しい灯りの中で、4人は簡単な雑炊を食べて、一日の終わりを迎えた。

真理子の心のビジョンに、その4人の共同生活の映像が浮かんだ。
「ふふふ。面白い。この私に立ち向かえる戦士たちがまだこの地球に生き残っていたとは。楽しみだわ。胸が高揚するわ。まるで、初めて恋をした時のように。御手洗……彼の瞳の奥に強大なオーラを感じる……彼をうまく利用すれば、この宇宙を征服できるかもしれない」

修行開始から一年後。
御手洗は仙人が乗っている大きな岩に両手を広げて向けた。
「スキルよ。我に力を与えたまえ」
すると、ゴゴゴと音が響き、その全長10メートルはある岩が1メートルほど垂直に浮き上がった。
石岡もほんの少しではあったが、御手洗と同じようにスキルでその岩を数センチ浮き上がらせた。
「これでわしがそなたたちに教えるべきことは全て教えた」
と仙人。
「本当にありがとうございました」
御手洗はふわっと宙に浮いた。石岡もそれに続く。
「真理子を甘く見ないようにな。彼女には第二形態、第三形態がある」
とフジオカのアドバイス。
御手洗と石岡は、光速で空の彼方へと飛行した。

宇宙空間。
真理子が真空に浮かんでいた。
そこに、御手洗と石岡が到着し、真理子と向かい合った。
「この私に勝てると思ってるの?」
「やってみなきゃわからない」
と御手洗が先手を打つ。
真理子は、御手洗のチョップをかわし、一回転した勢いで、ドロップキック。
御手洗はそれをかわせず、腕を負傷。
石岡が後ろから援護。しかし、真理子に見切られ、腕をつかまれてぐるぐる回されて、そばを通りかかった小惑星にぶつけられた。
苦戦しているところに、仙人の声が聞こえて来る。
「意識を一点に集中するのだ。スキルの力を信じろ」

御手洗と石岡は言われた通りに、心を静かにし、意識を集中した。
スキルのパワーが増幅する。
真理子が油断したその隙に、スキルを一気に放出。
光線が真理子を直撃し、その体が蒸発した、と思いきや、第二形態に変身。
どろどろした泥の塊のような巨大な化け物に変形した真理子。
枝をつなぎ合わせたような長い腕を伸ばし御手洗を掴もうとする。
そこに、もはや10代の少女の面影はなかった。
しかし、その化け物とも何とか互角に渡り合い、かろうじて勝利を収めた御手洗組。
そして、真理子は最終形態へ。
それは、あのチェリーボーイの姿だった。
「お、おまえがチェリーボーイだったのか」
と御手洗。
「ふっふっふ」
真理子の指先からビームが放たれる。
御手洗は肩を負傷。
さらに御手洗の心臓めがけて、第二の攻撃。
もはやこれまでかと諦めた瞬間、石岡が御手洗の前に立ちふさがり、胸を貫かれる。
「石岡!」
駆け寄って、石岡の体を受け止める御手洗。
「御手洗さん……地球を救ってください」
と最後の言葉を残して、目を閉じる石岡。
「石岡ーっ!」
御手洗のスキルが解放された。
御手洗の体が光り輝くオーラに包まれる。
「な、何だ、あれは」
驚く真理子。
御手洗の手から放たれた青白い光が真理子の体を飲み込む。
真理子はその光の中で溶け、そして浄化された。
御手洗は全ての力を出し切って、気を失った。

平和な地球。
騒々しい日常の中で、人々は仕事や遊びに夢中になっていた。
しかし、大気圏のはるか向こう側で、この日常を守るために、御手洗と石岡の活躍があったことを、彼らは知らない。

END

御手洗は見た! 謎の怪人いちめんそうと誘惑のチェリーボーイ

執筆の狙い

作者 加茂ミイル
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壮大なスケールで送る、愛と感動に満ちたスペクタクル巨編。

コメント

茅場義彦
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うわあああああああああ ぶっ飛び  いいかも 漫画にするといいかも

加茂ミイル
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>茅場義彦さま

私の作品を読んでくれてありがとう。
私にはこれっぽっちの才能もありませんが、
こんな私のために感想を書いてくれる茅場義彦様のその優しさに心打たれました。

茅場義彦
133.106.160.223

お知らせ
2020.07.13
【コンテスト情報】「GETUP!GETLIVE!第2回漫才・コント大賞!!」開催のお知らせ

https://blog.syosetu.com/?itemid=4158

これ出せば

加茂ミイル
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面白そうですね。
コントですか。
確かに私はギャグ方面の方が向いているかもしれません。
あんまり暗い深い深層心理とか考えたり書いていると心が病的になりそうですから。
たぶん、本当に根暗だからでしょうね。
明るくて強い性格の人の方が、文学の深みとも向き合えるのかもしれません。
私は暗くて弱い人間です。
むしろ、ギャグとかで、自分を癒そうとしているのかもしれません。

茅場義彦
M106072175192.v4.enabler.ne.jp

チェリーボーイ人形とか発想がコントだよ 是非なんか作ってみ

加茂ミイル
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ところで、正統派の文学作品って、笑わせる場面ってあるんでしょうか?

いわゆる正統派の文学作品読んで、すっきりするほど笑った記憶がないんですよね。

たまに笑ったとしても、フンって鼻で笑う程度で。

加茂ミイル
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笑いって人間にとって大事な感情だよね。

そう思う。

5150
5.102.1.246

面白かったです。

もう少し推理っぽいものかなと思って読み始めたのですけど、でもエンタメとして楽しく最後まで読めました。

加茂ミイル
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5150さま。

私は、純文学が肌に合わないのではないかという気が最近しています。
だって、私という人間8割は漫画やアニメとゲームで出来てる気がするんです。
残りの2割は文学と哲学かな。

茅場義彦
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b the beginningって ネフリのアニメ知ってる かもちゃん好きかも

加茂ミイル
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ありがとうございます!
今見てるドラマ見終わったら見てみようと思います。

加茂ミイル
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今契約してるのhuluでした。

加茂ミイル
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5150さま。

>でもエンタメとして楽しく最後まで読めました。

最後まで読んでくれたのですね。
たいていの人は途中でギブアップするかと思ったのですが。
ありがとうございます。

5150
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加茂ミイルさま

欧米では、You are what you eat. という表現があるようです。あなたはあなたが食べるもので決まる、つまり、人は食によって決まる、という意味です。

小説家にとったら普段触れているメディアなわけで、加茂ミイルさんは、

>>だって、私という人間8割は漫画やアニメとゲームで出来てる気がするんです。
残りの2割は文学と哲学かな。

と、書かれています。

>>私は、純文学が肌に合わないのではないかという気が最近しています。

とも。

文面からはかなり否定的な感じがします。でもこれってむしろ、いいことなのでは、と思えてしまいます。逆に、ないものねだりって、決してプラスにはならないと思うんですよね。

小説書く人って、普段は他の小説から主にインスピレーションを受けますが、でも小説だけ読んでいたらむしろ、ダメなような気がします。書く作品が二番煎じみたいなのになりかねないと思いませんか。小説を書くのに、小説をまったく読まないのはいけませんが、小説だけ、というのもどうかな、と思ってしまいます。小説の中でも、純文学はというと、マーケットの上ではすごくマイナーな部類になると思います。

ミュージシャンなのに大の小説好きとか、映画監督なのに実は写真の方がよほど好きだったり、むしろ、そういう人の方がいい仕事をするような気がします。

小説家であっても、落語が好き、オペラが好き、写真が好き、と、そういう方が面白い作品を書けると個人的には思います。しかも、ゲーム&漫画 8割 、小説&哲学 2割だなんて、いい比率だと思いますよ。哲学をメインの味にすると、食べず嫌いになりそうですが、哲学が隠し風味程度ならピリッとして最高ではありませんか。素材の味が引き立ちそうです。

いい漫画は下手な小説よりよほど深みがありますし、ゲームはビジュアル効果が創作に活かせそうですよね。というか、御作は文字によるビジュアル効果がすでに凄いレベルだと思います。ちなみに僕は、洋楽ロックが大好きで、もしかしたら小説より好きかもしれません。こういうとなんですが、音楽からインスピレーションを受けて小説書くヒントが出てくることって、よくあるんですよね。ホントです。

なんか偉そうに長々と書いてしまいましたが、僕が正直に思ったことでもあります。独り言程度に受け止めてもらえると嬉しいです。

加茂ミイル
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>5150様

そう思います。
文学しか知らないというと、過去の文学の中から題材を見つけて来るということになりがちで、
つまり、焼き直しのようなものを書いてしまう可能性が高くなるような気がします。
しかし、文学以外のことに詳しい、たとえば、最新の科学に詳しいという人であれば、
それまで人々が知らない、新鮮なテーマを武器に小説が書けるわけですから、
これは、オリジナルの、新しい分野を自分で築きやすい。
歴史でも、音楽でも、オタクなことでも、スポーツでも、グルメでも、とにかく、得意な分野を持っていれば、
そのことを詳しく書くだけで、自分流の、オリジナルな話を書けると思うんです。
だから、文学畑にはやたら詳しいけど、他の分野を知らないとなると、
他人が書いた作品に詳しいだけで、自分だけのオリジナルをなかなか持てないんじゃないかなって気がします。
文学についてはすごく高尚な意見を持っていて、たとえば文体は過去の文豪を彷彿とさせるような技巧があっても、
内容にその人だけの観点とか嗜好とか他の人に真似できない癖とか、そういうのがないと、
ただの既成の文学をなぞるだけで終わってしまいそうな気がします。
そう考えると、文学以外のことで専門的な知識があると、小説を書く上でも心強いと思います。

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