作家でごはん!鍛練場
ハル

四月雨サイダー

ゴム工場から溶けたゴムが流れてきた。触ったら温かかった。感触はやっぱり溶けたゴムって感じだ。

ストライプの猫が通りを渡った、春先の25℃はとても暑かったが風は冷たかった。

ゴム工場の社長の娘はとてもスラッとした娘で大股で颯爽とゴム工場前の通りを歩いた。その日はゴムが道に流れていたが、長い脚でなんなく飛び越えた。

低気圧が近づいて来たのか、ちょっと頭痛がした、ホットミルクを急いで飲んだ後みたいに。

早く流れたゴムを片付けないと迷惑がかかってしまう。工場の人はみんなやさしいからきっと怒らないけど、みんなの休憩時間が減ってしまうのが申し訳ないから早くどうにかしなきゃ。

ぼくが大きめのバケツを探していると一緒に働いてる女の子が緑色のバケツを持ってきてくれた。そしてゴムを片付けるのを手伝ってくれた。

ぼくがスコップでゴムをすくいバケツに入れたものをその子はせっせと運んでくれて、空にしたバケツをまた持ってきてくれた。
ナイロンみたいに綺麗な赤い髪をしていて不思議なゴーグルをかけていた。今度お礼にお茶にでもと誘おうかと思ったが、気が小さいぼくにはできなくて、ありがとうとだけ言ってそのときは終わった。

工場の近くに小さな公園があって、そこでよく菓子パンを食べていた。生クリームが挟んであるパンと100%グレープフルーツジュースを店で買ってきて公園でひとりで食べていた。
その公園にはレトロな小型宇宙船がオブジェクトとして飾ってあった。こんなものがホントに宇宙を飛んだのだろうか?といつも半信半疑でながめていた。

ぼーっとしているとあっと言う間に休憩時間は終わり午後の仕事に遅刻しそうになる。まあ遅刻したらそのときは少し高級なプリンを買って、みんなに配ればゆるしてくれるんだけどね。

午後は時間が流れが速く感じる。仕事をしながら夕飯のことなどを考えていると直ぐ終業の時間になっている。
後片付けして着替えてぼくは工場を飛び出す。街へいこうか近所の商店街に行こうか何でも自由に行動できるひとりの時間だ。
それでその日は街へ行くことにした。自転車で20分も移動すれば街に着く。大きなレコード屋に行って、それからペットショップで猫を見るんだ。

デパートのショーウィンドーの前で人を待っている女性型ロボットを見かけた。お洒落してデートだろうか?。ロボットの恋人を連れて歩くひとも大分ふえたなあ、僕もいつかはあんな可愛いロボットの彼女が出来ればいいな。

ああそうだ、アクリル絵の具の白を買って行かなきゃ。きのうは白が無かったからクリームチーズを代わりに使ったんだ。でも量的にはクリームチーズを使った方が経済的なのかもしれない。

レコード屋でそのとき出ていたハイラマズのアルバムを試聴していると、となりの試聴機にロボットの女の子がやって来た、大きなオレンジ色のダイヤみたいな瞳をしていた。あまりにも魅力的で、ぼくは息ができなくなった。

ぼくは逃げるようにレコード屋を飛び出した。今のコと一緒の空間にずっとは居られなかった。たしかに僕は意気地なしだが、あのオレンジダイヤの瞳と目が合ったら誰だってこうなると思う。

ぼくは買うものも買わずに帰ることにした。それは低気圧が近づいて来ているからではない。

おわり

四月雨サイダー

執筆の狙い

作者 ハル
110-135-75-227.rev.home.ne.jp

自分が若かった頃を懐かしんで書いてみました。ファンタジーも織り交ぜてちょっとだけ異質な世界観にしました。

アルファポリスというところに何作か投稿してるんですが反応もなくたいくつなのでここに投稿させていただきました。

コメント

shion
KD106132082026.au-net.ne.jp

なかなか特殊な言葉を使うことで幻想的な感じになってると思います。

群青ニブンノイチ
KD106161221232.au-net.ne.jp

“四月”が漢字でホッとしました。
下の人に教えてあげてください。

声出して読んでみてください。
あなたは現在どこにいますか。
熱っぽいなら医務室へ。
気まぐれなだけの頭痛は女子トイレの嗤いものとして。

他人の懐かしさに同調して甘んじてくれるのは間が持たない苦し紛れのぺらぺら世界だけとコミュニケーションの相場は決まってますから、ファンタジーとさえ言い切って締まりのない雰囲気のみをはばからず差し出しただけの世界というその他人様向けらしい理由を正確に述べよ。


“低気圧のせいではない”と、オレンジダイヤの瞳に言えますか。

言えるならそれはきっと”小説”
縮こまるだけの世界に“小説”なんてものを見つけたはくないと、個人的には完全に思います。

大丘 忍
ntoska042068.oska.nt.ngn2.ppp.infoweb.ne.jp

若かったころの話とすれば、自分が何歳の頃かわかるようにしたらいいですね。また、何を中心に描くか。流れたゴムの片づけ作業なのか。それを手伝ってくれた女の子のことか。そうならその子にどんな感情を抱いているのか。好きなのか、それほどでもないのか。そのような場面の状況が読者に想像できるように書くと迫力が増してきますよ。

貔貅がくる
n219100086042.nct9.ne.jp

ストライプの猫、オレンジダイヤの瞳 etc、比喩がすてきだ。話のファンタジーさは、今朝夢で見たことを書き記したよう。
「>あのオレンジダイヤの瞳と目が合ったら誰だってこうなると思う。」が特に効いてる。

さりながら
「>ナイロンみたいに綺麗な赤い髪」「>小型宇宙船がオブジェクトとして飾ってあった」「>その日は街へ行くことにした。自転車で20分も移動すれば街に着く。大きなレコード屋に行って、それからペットショップで猫を見るんだ。」等々に昭和調、村上春樹調な感じがつきまとっていて、
それが原因で、どうも信頼できない、なにか胡散臭い印象を抱いてしまう。

ハル
110-135-75-227.rev.home.ne.jp

shion様 初コメントありがとうございます。

ハル
110-135-75-227.rev.home.ne.jp

群青ニブンノイチ様 貴重な意見ありがとうございます。

ハル
110-135-75-227.rev.home.ne.jp

大丘 忍 迫力ある作品を書く時の参考にさせてもらいます。

ハル
110-135-75-227.rev.home.ne.jp

貔貅がくる様 コメントありがとうございました。 自分は本はほとんど読まないのですが何らかの影響で誰かの感じに似てしまうことがあるんですね。村上春樹の文章はキャッチャーインザライの訳ぐらいしか読んだことはないのですが、別な作品も読んでみようかと思います。

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