作家でごはん!鍛練場
謎の男

小説に保護膜か

 2020年6月1日、午前10時ごろ、高知県内で一人暮らしをする大学生の新島さん(21)が文庫本を開いたところ、その小説の一文字一文字逃さず全文にグレーの保護膜が張られており、内容を読み取ることができないという事件が発生した。
 新島さんによると、その文庫本は、同日午前9時ごろに朝食を買いにコンビニへ寄った際に見かけたものだった。有名作家のものではなかったが、タイトルが気になって購入したという。タイトルは、『赤い青色』という奇妙なものであった。
 そのグレーの保護膜は、スマホの課金用カードの数字やアルファベットコードを内密にするためのコード保護膜に酷似していた。つるつるとした感触のそれは、文字の上にシールのように張り付けられていた。10円玉で削れば文字が出てくるのではないかと新島さんは考え、さっそく、10円玉で削りはじめた。
 すると、やはり、文字が出てきた。冒頭の文字は、『私は、彼を』だった。さらに削っていくと、『私は、彼を殺すことにした』と文字が浮かび上がってきた。なんだろう、とその内容が気になり、新島さんは、さらに削った。
『私は、彼を殺すことにした。彼は、とても許されないことをした。私は彼のことを野放しにすることはできない』
 そこまで削ったところで、新島さんの右腕は悲鳴を上げていたが、内容が気になったので、10円玉で削り続けた。
『あれほどひどいことをした人と私は今まで出会ったことはない。そう、彼は、私を地獄の底へ陥れたのだ』
 先が隠されていると、気になって気になって仕方がなかったのだという。新島さんは、現在、『赤い青色』の四分の一ほどまで読み進めている。弊社の調査によって『赤い青色』などという文庫本が実在しないことがわかっているが、新島さんは気にしない意向だ。
 「手に入りにくいものの方が、手に入りやすものよりずっと、手にしたくなるものだ」と新島さんは確信を滲ませて語る。

小説に保護膜か

執筆の狙い

作者 謎の男
14-133-224-28.shizuoka1.commufa.jp

 おひさしぶりです。ずいぶん前に(僕自身覚えていませんが)作品を投稿させていただいたものです。

 面白い小説を書きたいなぁという思いがあって、その練習のつもりで毎日ショートショートをひとつ書いています。この作品はそのうちのひとつです。特色を与えようと思って、毎日、新聞形式で書いています。

 書いているだけでは実力は変わらない、他人の意見がなければ! と思って、投稿しました。こうした方がより面白くなるのでは、みたいな意見や指摘をお待ちしています。同じような形式でショートショートを毎日書いているので、内容というよりは形式に対するコメントの方が、これからの作品の質の向上に役立てられるのでは、と考えています。

 同じような作品を100以上URLのサイトで公開しているので、もし時間がありましたら、そちらにもお越しいただいてコメントなどいただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

コメント

PNかぶったので変えました
134.208.138.210.rev.vmobile.jp

 不思議な出来事を新聞記事形式で書くという試みは面白いと思います。『続報があるかもしれない』という期待も湧くので、たまには過去記事の続報を書くと良いと思います。

 冒頭で『新聞記事の書き方で書いてるんだろうな』と思いました。

「右腕は悲鳴を上げていたが、」
 新聞記事では、こういう暗喩は使いません。ここで多くの読者がシラケてしまうと思います。一貫して新聞記事らしく書くほうが良いと思います。それから数字は漢数字で。

「弊社の調査によって『赤い青色』などという文庫本が実在しないことがわかっている」

 現に存在しているので変です。

「『赤い青色』なるタイトルの文庫本は国内の主な出版社からは出版されていない事が判明している。この事から自費出版による限定本である可能性が高い。」など新聞記事っぼく書きましょう。

「気にしない意向だ。」がひっかかります。『これまでは気にしていたけどもこれからは気にしないようにしよう』と決意したのなら「意向」で良いと思うのですが、元々気にしていない場合に「意向」を使って良いものか?と疑問に思います。もしかしたら使っても問題ないのかもしれません。

「確信を滲ませる」→「確信を語った」

そうげん
58-190-240-140f1.shg1.eonet.ne.jp

小説を読むときに、慣れた速度でふっと読み流していくと感じられないニュアンスがあるように思います。自分で物を書くときの速度とまではいきませんが、声に出して読む速度、あるいはそれよりもゆっくりした速度で、目で活字を拾っていく感覚で読んでみると、途端に味わいが出てくる文章があります。御作のように、保護膜を硬貨で削りながら、つづきはどんなふうに書かれてあるんだろうと期待しながら文章を読むことは、単純に書かれてあるものを読むのとはちがった期待感が読み手の中に生まれるのではないかと期待します。こういう文庫本があるんだったら読んでみたいなと思いました。難点は、同じ環境で再読することができないことですね!

shion
KD106132081145.au-net.ne.jp

読みました。短かったですが、なかなかおもしろかったです。

謎の男
14-133-68-143.dz.commufa.jp

>PN被ったので変えました さん

 いろいろな指摘ありがとうございます。「右腕が悲鳴を」は、うっかりしていました。新聞記事っぽくなるよう、気を付けるようにします! この新聞記事シリーズは、新聞記事の体裁をとりながらありえないことを物語るシリーズなので、そこまでの厳密性は求めていません。でも、やっぱり、できるだけ新聞記事に近付けように心がけます。ありがとうございました。

>そうげん さん

 そうですね! 僕も、こういう小説があったら読んでみたいです。けど、僕はチカラ加減が苦手なので、うっかりすると削りすぎてしまい、文字まで削って読めなくなってしまうかもしれません(汗) 読んでいただき、ありがとうございました。

>shino さん

 ありがとうございます! もっと面白いものを書けるように、毎日、頑張ります。

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