作家でごはん!鍛練場
すもも りんご

太陽を包む光冠の夢と悪夢・第三章 絆

 国王    レスヘラク   女王  アガイ(大女王)
 国王2   レスヘラクⅡ世 妃   カスピ(カスピの事情により后を拒む)

 兄  カルスト 姉妃 アカシペオ  弟 ポスルック     妹 スピカ
 カオス国  カルスト九十七世    ティポタ国   ポスルック九十七世
 九十七世は省略します
 エピデミック 限られた地域で予想を超える発生

  絆
 西暦二千十九年カオス国とティポタ国の王は今でも慣例として兄、弟と呼び合う仲だ。しかし、世界的植民地奪回争い時代、今から百年前頃のカルスト九十四世、ポスルック九十四世の時に国の目指す方向が異なり関係が希薄になった。長い歴史では兄弟国の協力で世界の危機を解決してきた。互いに協力しないと伝説のアガイ大女王様の意思に反切し世界平和に貢献することができなくなった。
 カルスト王はヒドクイツ国とアンナ大メリカン国と親しく植民地に関する情報を共有していた。強国が弱国を攻め滅ぼし植民地にして利益を得ようとする時代だ。各国は自国の利益を追求するために他国と同盟をしてグループを作った。グループ内の利害は流動的で争いが起こると同盟を簡単に解除する。国の指導者は油断ができないほど世界中が危険な状態に入った事を思い知らされる。
 ポスルック王はスベタイン国、アオストリア国と親しかった。過去に植民地主義で失敗したスベタイン国の話を聞いて世界的な植民地獲得政策を批判する立場になった。勿論、戦争は絶対に反対である。繁栄は富を分け合う事から始まると思っている。奪うことで繁栄を手に入れても長続きしない。また奪うこと考えて戦争になってしまう。
 欧州の各国は植民地支配の欲で、いつ戦争が始まってもおかしくないほどの騙し合いで結ばれていた。それぞれの国は利害一致で結び付き、分け前の不満で離れる。希薄な関係は離合集散を繰り返して敵か味方かはっきりさせた。その先は国の同盟集団がより強く固まり戦争の準備ができあがる。もう互いに牽制する段階ではない。事実上の開戦だ。
 各国は攻撃する理由を探している。そこにアオストリア国の皇太子夫婦が殺されたというニュースが流れた。ヒドクイツ国は動く機会を逃さないために暗殺の背後にある国を攻めて戦争状態になった。この国の動きを見て各国は欧州だけの戦争でなく世界全体の戦争を想定して更に大きなグループにまとまり他のグループの参加を求めた。直接利害がなくとも世界は二つに割れて大規模な戦争に入っていった。
 カオス国はヒドクイツ国につくべきかアンナ大メリカ国と共に行動すべきか迷っている。
 ティポタ国のポスルック王はカルスト王よりカオス国民が心配になり、中立になるべきだと主張した。カルスト王は内閣が選ぶ事で口出しできないと答えた。ポスルックは戦争に巻き込まれると国民が犠牲になる。祖国アガイ様の意思に反切する選択だ。アガイ様は平和のために尽力して本当の敵と戦えといっている。
 カルストはアガイ様を持ち出されて反論できず渋々承諾した。国民の意思を確認して内閣も説得した。その時の内閣は国力を伸ばす好機を失ったと悔しがる。
 世界全体はポスルックの願いが届かず実際の戦闘行為に突入した。自国の経済を最優先して植民地を奪うための戦いで現地の人命など関係ない。二つに割れた世界は悲惨な戦いの連続で千数百万人が犠牲になった。
 指導者の欲が国民を煽って戦争になり、尊い命が無駄に消えた。戦争が平和で豊かな暮らしを手に入れる手段になることは絶対に有り得ない。汚れた思想はどんなに正当であると主張しても垢を落とせない。戦争を宣言する当事者は欲だけを考え、命が尊い事を忘れる。   
 それを見逃さない敵がアンナ大メリカ国から発生した。瞬く間にスベタイン国に広がり、スベタイン風邪として全世界に猛威を拡散して何千万人が死んだ。それでも戦勝国は喜び、敗戦国は復讐の機会を伺う。
 世界は何もなかったように戦争と疫病の悪夢を忘れて次の世界大戦に進んでいく。最初の世界大戦をしのぐ死者の数に驚き、暫く冷戦という形で平和がくる。しかし、戦いの元は消えてない。
 遥か昔、アガイ大王女王様は命を犠牲にしてパンミダドラの蓋を閉め邪悪な欲を封じ込めた。その効果が完全に失われたような時代だ。年数を重ねると人類の欲が益々大きくなる事を感じる。封じ込めた筈の邪悪な欲は汚い思い込みになり自らを攻撃する疫病のウイルスに変化した。そのウイルスは人類が欲に負ける弱い心を利用して容赦なく攻撃した。
 ティポタ国の王ポスルックは三代前の王が経験した事を代々伝え聞き、ウイルスに勝つには欲を捨て国と国の争いを阻止する。人と人、社会と社会、国と国の絆を強める事が重要であると気付いた。世界を守り切れなかった王から語り告げられたこの事を忘れていなかった。
 百年前の人類の悲劇を体現したウイルスは時を経て最強になり繰り返し再現されようとしている。ウイルスは戦争の中でパンデミックを発生させ更なる戦争に導いた。ウイルスの本当の狙いは人間を不安にさせて戦争を起こさせる事である。
 今、それが発生しようとしている。まだウイルスの恐ろしさは誰も実感してない。 
 世界で一番経済活動の勢いがあるのは中大華国であった。アンナ大アメリカ国は中大華国の五Gなどの次世代情報システムを構築しようとしている最先端の技術を警戒していた。五Gのビックリデター(五GBD)は世界の情報をコントロールして企業の優劣さえ分析できる事が脅威である。
 人間は五GBDが大容量すぎてコントロールできないかもしれない。どうなるか分からないが次のステージに入ったことに間違いない。
 ついに五GBDの中心国の中大華国から知能を持っていると思われそうなウイルスが発生した。
 太陽コロナの化身は心外だが、このウイルスの名をコロナウイルスとした。
 地元では単なるエピデミックと認識されたが瞬く間にアウトブレイクとパンデミックが同時に起こった。  
 世界中の国と国の分断、地域社会の崩壊、人と人まで分断して経済を壊滅させようとしている。ウイルスへの恐怖心で近くの人間を疑い、引き離して経済の壊滅を齎す。経済の破綻は人間の不満を爆発させ利己主義になり排他的思想が全面に出てくる。
 ヒットルーは経済の破綻に不満がある人間の心理を巧みに利用して民族主義で国家をまとめようとした。自国民だけが正しくて他を犠牲にしても良いという考えを芽生えさせる。そして経済的利益獲得戦争が始まる。
 そのような事を人間に思い出させ、それに導く世にも恐ろしい敵の正体が具現化した。しかし、目前に現われたが症状だけで実態は謎だ。
 過去の王の話を記憶しているポスルックだけが、その瞬間に背筋に青く冷たい稲妻が走った。人間の心を氷のように固めようとしているのがコロナウイルスである。
 コロナウイルスの本当の狙いは大国と大国の大戦争である。結論はアンナ大メリカ国と中大華国の核戦争であった。一、二の大戦では戦争と疫病で一億人ぐらい死んだ。三の世界大戦が起こったとしたら核戦争と疫病で一億人が生き残って良かった、という事である。
核の放射能から身を守るためにシエルターに逃れても容赦なくコロナウイルスが殺りくを繰り返す。最悪の場合、人類は全滅する。
 コロナは人類が全滅しても構わないと思っている。人間の欲の結果である。巨竜が消滅して人類が繁栄し、その人類が消滅して放射能に強い動物が繁栄するだけだ。
 ポスルックは震えるくらい緊張した。 
 ティポタ国は事前に対策を準備していた。経済省の国民安全生活経済資金を使い主な国際空港、港湾、国境の入り口に大規模なホテルを建てた。通常は観光ホテルとして営業をして収益を得る。有事に病院とする。普段でも、そのホテルには必ず感染症科を含む一般外来病院を併設した。
 健康省の職員及び研究機関の偉い先生達も持ち回りで勤務させていた。本庁の建物に隠れて現場を知らないと状況の変化に関心を持たなくなる。
 新型感染症の患者は差し迫った状況で治療ができないと命の分かれ目に立たされる。医師の治療の前に検査専門チームが感染の有無を調べ、感染患者を医師にゆだねる。症状が出ているのに検査をしないで四日間も待たす。それで良いと考えている医師は誰もいない。
 医師は医療現場で命の選別になる治療を放棄しない。繰り返すが医師の治療負担を軽くするために疫病との戦いでは検査が重要でここが最前線の基地になる。ティポタ国の考えである。
 カオス国では箱根ビガン社が開発したインフルエンザ治療薬のアビルガンガンが承認されていた。しかし、このウイルスには使用されない。妊婦等に副作用があると健康省傘下の研究者がいう。有効性の厳格な確認は必要だがアンナ大メリカ国が特例的に使用を認めたデシビルレムとどう違うのか説明すべきである。
箱 国立大学などの治験責任医師のもとで調査しなければ認可できないと主張する。カオス国の内閣の長も認可を支持しているのに何故あろうか。政治家は国民に選ばれている。健康省の役人といわれる官僚は自分たちの組織しか見ていない。前線の医師の判断で投薬治療したら感染初期で九割の症状改善が見られた報告があった国もある。それでも使用制限をするのは何か思惑があるのだろうか。箱根ビガン社は製薬専門の会社じゃない。この会社は高い技術力で多方面に対応する優れた製品を作っている。カオス国健康省の官僚の許認可を餌に簡単にコントロールできない会社であった。
 ティポタ国のポスルック王が大株主であるのも認可できない要因である。いち早く認可したなら既存の製薬会社とのバランスが崩れる。薬承認で大学の研究者と一緒に築き上げたシステムが崩壊して利益誘導ができなくなるのを恐れた。
 官僚はノーベル賞受賞者の大先生が提言した貴重な情報も聞きたくないという態度だ。普段でも大きな病院には来るなという健康省の方針もある。来たければ個人病院の紹介状を持ってこいなど国民患者に不利な制度である。
 健康省の予算や医療全てが国民の金で成り立っている。健康省の予算は国民からの預かり金である。預かり金は国民が病気の時に使うものである。
 仮にそのシステムを導入したければ総合医師診療所を作り、紹介状でなく、病気の診断書を付けて、大学病院や個人専門病院へ行ってもらうべきである。選択権は国民にあるべきだ。何事にもカオス国健康省の対応が遅いのはやはりシステムに問題があるからだ。感染症は時間が命を左右する。
 カオス国健康省は本当に国民の事を考えているのか。薬価基準、年金資産運用不透明なことが多すぎる。
 年金の支払いは世代間の問題という。嘘か、本当かと聞かれたら本当だと言えない。民間の保険会社だとすると三十年も四十年も保険料を払ったのに加入者(人口)が減ったので約束は守れませんと平気で言う。言える筈がない。
 難病で障害者になったとしよう。障害者年金がありますので安心してください。いざ障害者になって働けなくても難癖をつけ金を出さないという話を聞く。王様も憤慨している。
 カオス国年金者の貴重な資産が株安であっという間に十七兆円の損失を被った。全国民一人当たり十万円配っても十二兆円。それより大きな金額である。そもそも年金機構の資産の半分にあたる七十兆円を株式に入れることが間違いである。あまりにも金額が大きすぎて株式を現金に換えることが困難である。
 株式とは売る人がいて買う人がいなければ取引が成立しない。大量の株式を売りにだすと、そのつど大暴落になる。その繰り返しで経済が破綻する。
 全世界の国などに共通する問題だがカオス国営銀行も同じである。無秩序な政策は破綻の道を着実に進んでいるとしか思えない。各国がマネーをどんどん刷ればいい話じゃないかいう経済学者もいるが最終的に戦争が起きてチャラにする道しか残されない。過去に起きた戦争は必ず経済的利益が絡んでくる。
 ついに中大華国から抜け出した白い悪魔がやってくる。
 中大華国籍の豪華客船キングゴールドキング号がゴホンダホンコン港を出港してから数名の体調悪化者がいるので寄港したいとティポタ国の外務港省に連絡が入った。勿論、許可するが検査や一定期間の上陸止め条件などを加えた。
 ティポタ国は二千十九年に中大華国から発生しエピデミックの兆しを感じた若い医者が当局に報告した情報を掴んでいたからである。
 キングゴールドキング号は豪華客船の中で最高峰の設備で世界中の成功者が利用する海上の楽園を提供する船だ。全世界を回る船旅は人気が高く、各地に寄港の際は大歓迎を受けた。
 船は国境の町のベンチネチア港に入港する予定だ。船旅の主催者はティポタ国の下船条件が厳しすぎるのでカオス国に変更した。
 カオス国は船の寄港を許可した。客船が港に入り着岸する。乗客はいつものように観光バスが出迎え歴史の国の名所を回る。早速、第一便の観光バスが迎えにきた。二階建ての台豪華バスが十台並んだ。港の楽団のトランペットが派手に鳴っている。英語と中国語の歓迎の挨拶が空のブルーと海のブルーに包まれて流れている。アガイ大聖堂も白く輝いている。
 ベンチネチアは半分がカオス国でもう半分がティポタ国に属する町だ。カオス国に属する町は本来ベンチという地名である。
ティポタ国に属する方はネチヤという。慣例でベンチネチアと呼んでいる。港の中間が国境であった。
 千年前に高原から海の見えるこの地にアガイ大聖堂が移された。宗教施設のように煌びやかであるが権威的でなく、堂の前で売っている仮面を買って顔を隠すと誰でも自由に入れる。
 毎年二月はカオス国とティポタ国が共同で舞踏会カーニバルを開催する。今年はカオス国が男六人の若者を出しティポタ国は女六人を出す予定だった。翌年は入れ替わる。しかし、今回はティポタ国が世界的疫病を理由にカーニバル不参加を宣言した。
両国の王様どうしは了承しているがカオス国の内閣が不満を持っていた。カオス国には世界中から観光客が既に来ている。
六百年前のペストが流行した時に仮面をかぶり疫病と戦った誇りがあった。まだ事の重大さが分からず苦々しく思うのは当然であった。
 キングゴールドキング船の乗客はセレモニーが終わり第一便の観光バスに乗り込んだ。四日かけて毎日迎えに来る。
 カーニバルの会場アガイ大聖堂には大勢の人達が見に来ている。ティポタ国は参加してない。国王のアガイ大聖堂の持ち分はカオス国王に貸した。
 その中に紛れ込んだのが白の仮面を被り踊る姿は天の上の人と思われても仕方がないほどの好青年がいた。ステップを踏めばみんなの目線が集まる。選ばれた男六人も圧倒され踊りの輪から離れて立ち竦むしかなかった。
 女たちは男の演じる踊りに魅了され息を吹きかけられた。息を飲んだ女は踊りながら狂ったように笑い出した。悪の使者だった男の毒牙に侵された。
 狂気の踊りが笑いと共に周りに拡散していく。町に広がり国中に広がった。それが頂点に達したとき笑いが悲鳴に変わった。慟哭があちこちから聞こえてくる。
 人が倒れた。救急車のサイレンが鳴り響いた。国中にパトカーが走り回っている。カーニバルの舞踏会が地獄の門を開けた。悲劇の禍が人間に降りかかる。

 白い悪の使いは本性を現した。
 白い息を吐くから呑み込めよ。
 涙なんて要らない青空を壊せ。
 太陽の光を遮り希望を捨てろ。
 生きる難しさを知っているか。
 北の氷の上で暮らす白い野獣。
 犬のようにやせ細って海の中。
 溺れても人間は気が付かない。
 隣の人は悪の使いで信じるな。
 さあ人よ、社会、国家の分裂。
 一人になっても泣く事は無い。
 僕と踊り孤独感から逃れよう。
 空高く飛んで地の果てへ行く。
 お前は僕に抱かれて奈死の界。
 女よ、後に戻れぬ後悔するな。
 
 悪魔の使いは酷い言葉を発する。女たちは男の魅力に負けて催眠術から逃れられない。いつの間にか悪魔の伝達者になっていった。そして男からもらった息を彼方此方にばら撒いて広がっていく。
 カオス国に死者が出た。カオス国の健康省の役人は医療現場で起こっている事を詳細に知らず、有識者会議で議論して時間を失っている。
 国民の生き死に関係するような時に法律を立てに適切な指示をしないのは国民を軽視している証拠である。現場の医療関係者が最大限努力しているのに何故だろう。例えば大規模な火災が起きたとしよう。複数の火の元がある。有識者会議を招集して消す方法論を話し合っている。結論が出た時は燃えてしまった。火事で命を落とした人もいる。カオス国の議論は虚しすぎる。
 船旅の主催者はティポタ国の下船条件が厳しすぎるのでカオス国に変更した事を後悔した。
 カオス国も船の寄港を簡単に許可したのは間違いであった。客船が港に入り着岸し乗客はいつものように観光バスで歴史の国の名所を回り船に戻る。夜は地元の食材を使って豪華な食事やダンスを楽しみ、酒を飲むことを想像していた。
で 第一便の観光バスが早々に帰ってきた。途中で異変に気づき客船に戻るように指示された。実際に下船し舞踏会を楽しんだ客もいたが長くは続かなかった。船の客は何千人もいたので最初の人をバスが出迎えただけであった。次に出迎える筈のバスはなかった。赤橙が回る救急車だった。船に残された人は何が起こっているのが分からなかった。 
 客は単なる風邪ぐらいの程度で念のために救急車を呼んだに違いないと思った。コロナウイルスのクラスターが発生したことの重大さを認識していなかった。残った人は狭い船の中で飲み食いしてダンスを踊っていた。観光客として当然であるが、それが原因で次々に感染していった。カオス国の健康省はクラスターとして封鎖した。しかし、国全体の封鎖が遅れている。命と経済、どちらを選ぶとすると選ぶのは命である。

 ティポタ国は早めに法律によって特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。内閣の長が各知事を任命し国全体にロックアウトを実行する。知事の補佐役として各省庁から一名を選ぶ。選ばれた補佐役は知事が代表である緊急事態本部の決定したことを出身省に報告し実行させることができる。省庁が正当な理由なく実行しなかった場合は省庁に実行命令ができる。
 検査体制の整備、感染認証薬の有効性の有無の臨床試験、国内各地域のロックアウトタイミングの準備、自治体の過去三年間の消費税額を算出してロックアウト保障金の準備。国境ホテルの感染対策拠点臨時病院の創設。国内企業のワクチン共同研究システムの構築。医療関係防護服などの安全品の増産体制整備。特措法には罰則がないが過去の経験により国民の意識が高いので必要なかった。
 普通の国の特措法は国民に厳罰化を求める法律だ。大統領のように国民から直接選ばれない総理が権力乱用もできる法律を自由に使うべきでない。地域で選ばれた知事が限定的使えば良い。罰則がなくても国民は自分を守るためだと理解してくれる。医療従事者、官僚などの行政官、国民が選んだ政治家、歴史が作った国の誇りと絆を信じよう。ティポタ国民は協力的だ。ティポタ国は医療関係者の努力を無駄にしないためのシステムを構築しただけだ。
 六百年前のペストや百年前のスペイン風邪の苦い経験を忘れなかったからだ。王様は広く国民に絆という団結を呼びかけた。
元々、人は動物の中で弱い者。火を使い家族や仲間ができ家族を守り、仲間も守り絆を深めた。絆で世界を見つめ国を家族、そして自分を知るチャンスであると発した。
 国内はほとんど感染者がいなく経済活動も普通で国民の保証も必要なかった。しかし、気を緩めてはならない。その事を徹底して認識させる。ティポタ国は感染者がいないのでワクチン開発に時間を稼げる。国内全ての製薬会社に協力を呼びかけた。内閣の長は各地域の知事が厳格にロックアウトの準備をしているので余裕がある。感染も封じ込めている。感染終息後の経済を研究することができた。内閣は各知事や外務港省と協議した結果、二箇所の国境ホテル医療施設を隣国の患者に医療無料開放を決めた。一箇所二千人の受け入れが可能である。隣国の医療チームと合同で行う。同時に医療感染防御チームつくった。
 両国の王家の所有物アガイ大聖堂の医療施設化で四千人の受け入れ態勢が可能である。国内側の準備はできている。感染者の多い国、アンナ大アメリカ国や中大華国への大量の医療品の提供、有効薬の無料提供をする準備も出来上がった。
 世界で最も古い国で如何なる事情があっても戦争に参加しなかった事実は絶対的な信用である。
 世界をリードする両大国が受け入れてくれたのはアガイ大女王様の意思で人間の絆が深まり本当の敵に勝つことができるのを確信した。
 ティポタ国外務港省に緊急連絡が入った。アンナ大メリカ国籍のプリンスシルバープリンス号が寄港したいと申し出た。呼吸困難者四十名、発症者八百名かなり厳しい数字だ。プリンスシルバープリンス号は患者数が多いのでどこの国も寄港を許可しなかった。本国もパンデミックで救援できなかった。
 洋上の楽園から洋上を彷徨する黄泉の船と思えるほど逼迫していた。取り敢えずベンチネチアに入港してもらった。
 アガイ大聖堂の半分はまだ舞踏会の飾りが残っている。カオス国もやっと緊急事態宣言が出された。でもカオス国側のアガイ大聖堂に時々観光客が入ってくる。二次感染の恐れがあるので困っていた。
 ティポタ国の外務港省がカオス国の外務港省に借りたい事を申し出た。カオス国は返事もできなかった。感染者、死亡者が大量に出てカオス国の得意な有識者会議で意見を交わす余裕がなかったからだ。救いは地域の知事が住民を守るための頑張り、法的強制力がなくても信じて従う住民、危険を恐れず患者を助けようとしている医師、看護師、救急隊員、等の医療従事者をサポートする裏方の名もない人達が心を合わせてコロナウイルスと戦う姿に絆を感じることだ。
 ティポタ国外務港省の担当官は国王のポスルックに「カオス国王カルストに王家の所有物部分アガイ大聖堂を貸してもらいませんか?と尋ねて欲しいのです。条件としてはキングゴールドキング号の患者をティポタ国が責任を持って治療に当たります」ポスルックは兄のカルスト(慣例的)に連絡をすると約束した。
 連絡を受けたカルスト国王は内閣の長と健康省、外務港省、健康省の役人を集めた。「ティポタ国からアガイ大聖堂の我が国(王家)の所有権部分を貸してほしいとの申し入れが有ったので意見を聞きたい」
「内閣の長として反対します。今年の舞踏会カーニバルで主催者を辞退した事で我が国に損害を与えました。許せない行為で有ります」
「外務港省としては賛成です。中大華国籍のキングゴールドキング号の感染者対応の成果が上がらずクラスター阻止が難しいのでティポタ国に責任を押し付けた方が外交上得策です」
「ティポタ国は我が国の医療制度を批判しています。健康省として賛成できません。両船を合わせると感染者が千五百人になり治療が難しいと思います。反対です」
 王様のカルストは「我が国の死亡者はどのくらいになるのか」
 健康省の役人は直ぐに答えた「アンナ大メリカ国より少ない三万人程度です。国全体では成果が上がっていると思います」
「ティポタ国の死亡者は何人か」
「今のところゼロです」各省の役人達から驚きの声が上がった。
「我が国との違いは何だ」怒ったように王様が言った。
 少し考えて「感染者の人数の違いだと思います。詳しくは有識者会議を招集して専門家の意見を添えて提出します。一か月あれば十分です」
 他の官僚達は苦笑いするしなかった。王様だけが酷く怒っている。
 見かねたベンチ地域の知事が「私の権限で対応します」と宣言した。
 内閣、省庁も異存なしとした。
 知事は老いた父に事情を話しティポタ国の王に直接連絡をしてもらった。知事の先祖は建国当時から王家に使える武将の家柄であった。
 承諾を得てベンチ知事とネチヤ知事はクラスター地域としてロックアウトをした。両船の呼吸困難をともなう重症者百六十名を国境対策臨時ホテル病院に移した。一日、二日の時間冠ロスが爆発的に増える。ぎりぎりセーフだ。素早く全員検査して感染者と正常者を分けた。軽感染者の順にアガイ特設病棟ホテル病棟に入れていく。その際、素早く両船を完全に消毒して陰性者はプリンスシルバープリンス号に乗船させる。治療で陰性になった人はキングゴールドキング号に乗せた。両国合同医療チームの連係は見事に成果を上げた。元々一つの国で改めて絆を感じた。
 カオス国に蔓延ったコロナウイルスは人間の強い絆に無力で終焉した。
 両船の旅立ちの日が来た。この日の朝乗船客と医療従事者アガイ大聖堂に入り、選ばれた男女六人が少しだけだが踊りを披露した。
 両国の王様も来てアンナ大メリカ国、中大華国の船長と挨拶をした。船が出航するのを見届けた。
カルスト王は先に帰った。
 ポスルック王はベンチ知事、ネチヤ知事らと残り医療従事者を労う宴を開いていた。
その時、酒に酔ったような男が王様に近づき胸のポケットから拳銃を取り出し、いきなり撃った。
つづく

太陽を包む光冠の夢と悪夢・第三章 絆

執筆の狙い

作者 すもも りんご
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想像上のことで実際はあり得ない。主人公が夢を見ているだけです。でたらめです。書いているが自分でも、さっぱりわかりません。先にすいませんとあやます。未熟でした。

コメント

shion
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読んでいて登場人物がいた方が、もちろん作品には王様も登場するのですが、その方がいいと思いました。読んでいて最後の方は面白かったです。テーマを絞って面白く書くといいかなと思いました。

すもも りんご
116-65-240-38.rev.home.ne.jp

shion様 読んでくれてありがとうございます。この物語は第一章、平凡なトラウマ男、滝沢光が観光施設の藻岩山展望台にいって平和な暮らしを実感した。夜中に帰宅すると熱が出る謎の病気にかかり寝込んだ。そして夢を見ている。第二章、謎の病気は古代国カウスの時代から戦っている。因縁の疫病の存在。第三章、その進化したのがコロナウイルスです。という話です。第一、二も読んでくださると、すももりんご、とても嬉しいです。

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