作家でごはん!鍛練場
空亡海

孤独の翼

その鳥を毎日のように見かけた。それは日課の散歩の中で、公園に向かう途中、鳥が道端を歩いているところだった。老人はその鳥が大好きだった。名前は分からないものの、白地に黒い線が入ったその模様はとても美しく、その歩く姿なんかはとても可愛らしかった。老人は毎日のように鳥に話しかけた。それは季節の話だったり、体調の話だったり。そんな日々が続くと、鳥も老人の顔を覚えだした。老人が近づけば、鳥は細い足をテクテクと跳ねさせて近づいてきた。老人は孤独であった故、友達が出来たかのように嬉しがった。


 春の日だった。老人はいつものように鳥に挨拶をし、セルリアンブルーの空の下、ゆっくりとした足取りで歩いていた。ふと目を下にやれば、知らぬ人の庭の鉢にローズピンクのシバザクラが咲いていた。老人はその小さな生命に微笑を送った。しかし、シバザクラを見ていた老人は少し居心地が悪いように顔をしかめた。それはたまに、唐突にくる虚無感であった。老人
はここのところ、この症状に悩まされていた。
「はぁ」
 短いため息が、ポッと出た。虚しい、とても虚しい。老人は段々と狭苦しい思いになり、シバザクラをあとにし、ゆっくりと歩き出した。その背中は寂しい雰囲気と、どんよりとしたオーラで包まれていた。

 老人は孤独であった。両親はとっくに亡くなり、妻もいなかった。仕事にのめりこんだ所為で友達もいなかった。この年になり、会社を退職するといよいよ孤独は酷くなった。一日、一度も声を出さないことなどはほぼ日常となっていた。寂しかった。とてつもなく、寂しかった。特に夜になるとその寂しさは死神のようにそろり、そろりと近づき、ついには血のような涙を流して眠った。だからこそ、老人は夜が怖かった。しかし、朝も怖かった。老人は人と離れるにつれて会話の仕方を忘れていった。人間が怖く見えた。だから朝に出会うどんな人も怖く見えた。だが、朝の散歩の日課は忘れることなく、ここ一年は継続してきた。それは人間としての最後のプライドからか、孤独を認めない意識の表れか。どちらにしても老人は孤独であった。

 老人は散歩の途中、家の近くの公園に行き、そこのベンチに座ることが習慣となっていた。それは三つ並ぶうちの真ん中のベンチであり、木々によって日陰になり、涼しく、心地の良い場所であった。
老人はいつものようにそこに行き、真ん中のベンチに座った。固くザラザラした感触が老人に伝わる。ベンチはココアブラウン色で、カカオ豆のような色だった。

 ゆっくりとした時間が流れる。それを人は無為の時間と呼ぶ。老人は心地の良い、春の暖かな風にあたり、ただ目の前の光景を眺めていた。子供達が遊んでいた。ボールを四人で追いかけ、その後ろでは公園の脇で携帯ゲームを一緒にプレイしていた。いつもの休日の風景だ。しかし、老人はまたも、あの感触に襲われる。それは圧倒的な虚無であった。いったい、何のために私はここにいるのか、と自問した。それから止まることなく、考えごとが頭に浮かんでは消え、浮かんでは消えた。風が吹く。老人は暗く、空虚な目で子供達を見ていた。私も昔はああやって遊んでいたのか。いつの間にか、一人になってしまった。老人は深く、とても深く、虚無の海へと入っていった。漆黒の海は老人を容赦なく沈める。私は、なんて惨めなんだろう。老人はただずっと子供達を眺めていた。

「こんちには、おじいさん」
 ふと、声が聞こえた。老人は初め、自分に向けられたものとは思わなかった。それもそうだ、声をかけられることなど生きてきて一度も無かったからだ。しかし、ふと声のした方に目を向ければ、そこには子供が居た。そして老人は自分に声をかけてきたのだと知った。
「こ、こんにちは」
 たどたどしく、そして焦ったように老人は言った。そしてそれからその子供の目を見た。眼光炯々にこちらを見つめるその目には好奇心という塊が孕んでいることがわかった。だが、どこか空虚な、自分に似たなにかがあることが伺えた。小学四年生あたりだろうか、とても幼く見えるが、身長は顔に見合わずに大きかった。
「おじいさん、具合悪そうだよ、大丈夫?」
 老人はその言葉を理解し、次の返答を返すまでに数秒の時間を置いた。
「あ、ああ。大丈夫だよ。ちょっと考えごとをしていたんだ」
「考えごと?」
 子供は不思議そうに老人に尋ねた。老人はその疑問に何て答えればいいか迷った。しかし、すぐにその答えを探りあて、子供に言った。
「人生、についての考えごとかな」
 子供は「へぇ」と興味深そうに頷いてから老人を獣の目で見つめた。それはどこまで透き通り、そしてその力強さはアンドロメダまで突き抜けそうな勢いであった。老人は恐怖した。この子供に、私はすべてを見破られる、そう予感させられる何かがこの子供にはあった。
「おじいさん、寂しそう」子供は言った。
 老人は戸惑った。それは的を得ていた。いや、得ていすぎた。老人は怖くなった。この子供は普通とはかけ離れたように感じた。が、普通とは何であろうか、老人は余計に訳がわからなくなっていた。
「私が、かい?」
 老人は問うた。すると子供はにっこりと屈託の無い笑顔を浮かべて、「うん」と頷いた。短い返答であった。
「どうだろうね……」
 老人ははぐらかすようにそう言った。しかし、子供の目はさらに力強く老人を貫いた。まるで嘘を見破る母親のように。
「おじいさん、一つ聞いていい?」子供は指を一本、杉の木のようにピッと立てていった。
「ああ、どうぞ」老人はどこか緊張しながらそう答えた。
「いつから、ひとりぼっちなの?」
 老人はその言葉を聞いて、唾を飲んだ。何故、この子供はこんなことを聞くのだろうと思った。しかし、所詮は子供だ。と思い直し、老人は問いの答えを端的に答えた。
「たぶん、もう二十年以上前から、かな」その問いの答えに、子供は満足したように答えた。
「へぇ、やっぱり」
 老人はその答えに少し疑問を持って、子供に問うた。
「何故、わかるんだい?」すると子供は。
「ひとりぼっちの人はね、同じ目をしているだよ」
「どんな目なのだい?」老人はすぐに言った。
「からっぽの目」
 老人は痛切に、その言葉を心で感じた。そして、子度は続けていった。
「僕はそういう人を見つけると話しかけたくなるんだ」
 老人は「そうか」と答え、この少年の不可思議な部分について理解した。この子供は幼いながらに、目がからっぽ、なのだ。老人はどこか納得し、そしてまた疑問が浮かんだ。この少年はいったい何者なのだろうか、と。だがその問いを打ち消すかのように、子供は口を開いた。
「おじいさんも、同じ目をしている。それで話かけてみたら、やっぱりひとりぼっちだった」
 老人は何も答えなかった。すると、子供は老人の隣に腰掛けた。子供はふぅっと息を吐き、公園を眺めていた。静かな沈黙が流れた。老人は沈黙を断ち切るかのように言葉をだした。
「君もひとりぼっちなのかい?」
 子供は「うん」と静かに頷いた。それから続けて「僕にはお父さんもお母さんもいない。もっと小さいときに亡くなったんだ。今は親戚の家に住んでいるけど、みんな意地悪なんだ」
「たとえば?」老人は言った。
「僕は寝る時以外は外に出される。毎日五百円渡されてそれでやりくりしないといけないんだ。学校がある日はいいけど、休日はこうやって公園で暇をつぶしているんだ」
 子供はどこか寂しそうにそういった。老人は悲しくなってきた。それは同情心からか、もしくは自分より辛い思いをしている事実への情けなさからか。老人は静かに言った。
「ひとりぼっちは、辛くないのかい?」
 子供は数秒の沈黙の後、優しい声で答えた。
「分からない。でも、とても寂しいよ」
「そうか」老人は小さく言った。
 子供はふと、何かを思い出したように空を見上げた。老人もそれを見て、空を見上げた。
「でもね、そういう時は空を見上げるの。そうすると、寂しい気持ちは無くなるよ」
 老人は黙って空を見上げていた。そこには雲一つない、快晴が広がっていた。
「空はね、どんなに悲しくても、寂しくても、変わらずにそこにあるから」
「そうだね」
 老人は空を眺めた。
「君は、とても強いね」老人は短くそういった。
「ううん、違うよ、おじいさん」
 子供は一息置き、意思のこもった声で言葉を放った。
「僕はとても弱いよ。でも、信じているものがあるから生きていられるんだ」
「信じているもの?」
「そう、信じているもの」
 老人はその言葉を静聴した。風が優しく流れた。
「輪廻転生、昔、本で読んだんだ」
「りんね、てんせい?」老人はその響きを聞いたことがあるものの、どういった意味であるかは忘れていた。
「死んでしまったら、輪廻の流れで新しい生命に生まれ変われるんだって。だから僕はね、来世で家族に囲まれて、ひとりぼっちじゃない生活をしたいんだ」
「死んだら、新しい生命体に……」
 老人の心に、その言葉が響いた。輪廻、来世、新たな生命。老人は深く頷いた。
「本当に、転生できるのかな」老人は子供に尋ねた。
「信じれば、きっと大丈夫だよ」
 老人は黙って空を眺めていた。信じれば、きっと大丈夫。老人はその言葉を心に刻み込んだ。
「もう少し、輪廻転生について聞かせてくれないかい?」
 老人は静かに言った。すると子供は「うん」と頷き、新たな話をはじめた。
「輪廻転生の仕組みを本で読んだことがあるんだ。
 僕達はみんな最後は死んじゃう。そうするとみんな火葬される。火葬されなくても土に埋めるよね。そうすると僕達はみんな小さな原子になるんだ。分解されて、分解の出来ない原子になると、僕達は空気中を彷徨う。そして、新たな生命が誕生するときに、僕達は使われるんだ。
つまりね、僕達はどこかの見知らぬ生命によって出来ていて、僕達はどこかで繋がっているんだ」
「繋がっている……」
「うん。だから僕達は孤独じゃない」
 子供は小さく、頷いた。それから、子供は大きく息を吸った。それから吐いた。
「でも、僕達はひとりぼっちだよね。
 ”孤独ではないけど、ひとりぼっち”
 僕はそう思うんだ」
 孤独ではないけど、ひとりぼっち。老人はその詩的な表現が気に入った。
「でも、やっぱりひとりぼっちは辛いよね」子供は言った。
「ああ、そうだね。どうしようもなく辛いものだよ」
 老人は頷きながら言った。すると、子供はベンチから立ち上がった。
「僕はそろそろ帰るよ。おじいさん、話が出来てよかったよ」
「そうか、いや、感謝を言うのは私のほうだ。君のおかげで何かいろんなことに気がつけた」
「それはよかった」
 子供はニコリと笑い、手を差し出した。最初、老人はそれが何かわからなかったが、やがて握手だということに気がつき、手を握った。二人はしっかりと手を握り合い、子供は手を降って歩き出した。老人は子供の背中を見つめ、その姿が見えなくなるまでずっと見ていた。


「さぁ、帰るか」
 老人はベンチから立ち上がり、帰宅の道へと足を向けた。頭の中では、未だにあの子供の言葉が巡っていた。
 孤独ではないけど、ひとりぼっち。
 老人は一人、ゆっくりと歩いた。道のりは覚えているが、老人はどこかぼぅっと、まるで生気のなくなった死人のように、ふらふらと歩いていた。途中、行きでみかけたシバザクラを見かけるも、立ち止まることなく、ただ真っ直ぐと歩いていた。
 孤独ではないけど、ひとりぼっち。
 老人は未だにあの言葉が脳裏から離れないことに気がついた。私はいつからひとりぼっちなのだろうか。ふと、自分がまだひとりではなかったことを思い出していた。母がいて、父がいて、友がいた。いつからだろうか。たぶん、それは母が死んだあの日からだ。もう二十年も前のことだ。癌を患った母の看病をしていた。あの時はまだひとりぼっちではなかった。母は言った。
「あなたは本当にいい子ね。私は誇らしいわ」
 老人は無言だった。母はなつかしそうに天井を眺め、涙を浮かべていた。
「最後に、心残りなのは、あなたのこれからよ。ひとりで寂しくないかなって」
「寂しくないよ」
 あの時、老人はさみしくないと答えた。しかし、現実は寂しさに包まれていた。
 老人は母を思い出し、虚しくなった。またあの虚無感が老人を包み込んだ。足取りが重くなった。帰ったところで私はこの先、死を待つだけではないか。老人は帰りたくなくなった。しかし、家に帰らなければどこへ向かうのか。老人はそんなことを考えもせず、家とは別方向へと向かった。
 太陽が傾いてきた。老人はまだ自分の行き先を決められず、ただゆっくりと歩いていた。次第に虚無感は膨れあがり、老人は立っているだけでも辛くなった。涙が溢れてきた。だが、老人は涙を出さなかった。決して涙を人には見せようとはしなかった。
「ああ、」
 その声は静かに、しかし確かにそこへ響いた。
「なんて惨めなんだ」
 老人はついに涙を一滴、頬から流した。虚無感は老人の体を突き抜けるほどに溢れた。
 だが、老人はそれでも歩いた。
 空が茜に染まった。真っ赤に燃える空の下、老人はゆっくりと、ゆっくりと歩いていた。
 ふと、前を見た。そこには踏切があった。老人は踏切に近づいた。すると、赤い光を放ち、甲高い警報が鳴った。

 カン、カン、カン。

 老人は立ち止まった。涙はもう出ていなかった。
 カン、カン、カン。
 老人は踏切の前で、ただひたすらに考え事をしていた。私は何のために生まれてきたのだろう。何を成すために生きてきたのだろう。私が生きた証はどこに残るのだろう。

 カン、カン、カン。

 酷く、頭が痛くなった。老人はそこにいる、存在するだけで辛くなった。

 カン、カン、カン。

 涙が溢れてきた。一滴、一滴。老人は子供のように泣いた。その嗚咽は甲高い警報に塗りつぶされていた。

 カン、カン、カン。

 老人はあの時出会った子供の言葉を思い出していた。
 孤独ではないけど、ひとりぼっち。
 老人はひとりぼっちだった。まるで世界でただ一人、ぽつんと存在しているようだった。

 カン、カン、カン。

 子供は言った。輪廻転生すれば、来世に期待すればいいと。そしてそれを信じればきっと来世は……
 カン、カン、カン。
 老人は最後に、微笑んだ。そして、毎朝のように会う鳥を思い出していた。
「ああ、」
 老人は―――

・・・・
 
 公園からの帰り道、子供はあの老人のことを思い出していた。とても悲しそい顔をしたおじいさんだった。
 子供はこれから家に向かうわけではなかった。毎日、決まった時間で公園を移動するのが日課だった。そうすれば、いつの間にか一日が終わっていることを子供は知っていた。
 太陽が傾いてきていた。子供は空を見ながら、テクテクと歩いていた。
「あ、」
 ふと、目の前に何かがあるのを発見した。目をそちらに向け、その何かに走りよった。それは、

 鳥の死骸であった。

 白地に黒い線の入った、綺麗な鳥であった。子供は鳥の心音を確かめた。しかし、心音は無く、死んでいることがわかった。子供は鳥を優しく持ち上げた。
「かわいそうな鳥さん。でも、何で死んでしまったのだろう」
 子供は傷が無いか確かめた。しかし、どこにも傷はない。子供は不思議に思いながら鳥を見つめた。静かに目を瞑り、気持ちよさそうに寝ているように見えた。しかし、確かに鳥は死んでいるのだった。
 子供は走って先ほどの公園へ戻った。それは突然の思いつきではあった。
 公園に戻ると、さきほど老人と話していたベンチの辺りに行き、大きな木の下の涼しげな場所に穴を掘った。手で掻き分けて小さな穴が出来た。子供は優しく、鳥をそこへ寝かせた。
「鳥さん、ここは良い所だよ。涼しいし、居心地が良いんだ」
 鳥は何も答えなかった。だけど子供は鳥に優しく語りかけるのだった。
「今日ね、僕は優しいひとりぼっちのおじいさんに出会ったんだ。あの人は毎日ここに来ているみたいだから。鳥さんもひとりぼっちは嫌だろう。さぁ、鳥さん、おやすみ」
 子供は優しく、静かに、土をかけた。そうして鳥を埋めた。子供は少しの沈黙の後、風とともに言った。

「来世は、きっと良い人生だよ」

孤独の翼

執筆の狙い

作者 空亡海
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短いです。処女作なのでビシバシお願いします。

コメント

夜の雨
i223-216-205-231.s42.a027.ap.plala.or.jp

「孤独の翼」読みました。

名作を読み終えたあとの心の豊かさと哀しみを感じる作品です。
特に前半までがよかった、御作の後半もよくて、作品としては出来上がっていると思う。

「特に前半までがよかった」というのは、そのあとの部分は話を膨らますことが出来るからです。
御作では二人の主人公が出てきます。
一人は導入部からの「おじいさん」であり、もう一人は、そのおじいさんが公園で出会う「男の子」です。
おじいさんは「孤独で人生の終焉を見つめている方です」。
そこに「ひとりぼっち」だという男の子が話しかけます。
おじいさんとの会話をしている途中で「読み手の私たち」は、男の子も老人と同じく「ひとりぼっち」だと、わかります。
男の子はひとりぼっちでも、「弱くても」、「信じているものがあるから生きていられる」と、老人に語ります。
何を信じているのかというと「輪廻転生の仕組みの本を読んだんだ」という話で、その内容がまた、説得力があり、驚きました。

>「でも、やっぱりひとりぼっちは辛いよね」子供は言った。
「ああ、そうだね。どうしようもなく辛いものだよ」
 老人は頷きながら言った。すると、子供はベンチから立ち上がった。<

このあと、握手をして子供は老人の前から去ります。
そして、後半になり、老人はひとりぼっちでなかった母が生きていた頃のやり取りを思い出したりして、過去を振り返り、踏切へとさしかかります。

この後半部分ですが、「御作は話としては良くできています」が、老人が亡くなるのは、「ほかのエピソード」を挿入して「御作の構成を膨らましてからのあとで」最終的に老人が「輪廻転生」を思わせるような振りで、ラストを迎えるのがよいのではないかと思います。

つまりこういうことです。

「起、承、転、結」 ←小説やドラマの構成の基本部分。

「起、承、承、承、転、結」 ← 御作の構成を単純化するとこうなる。

「起、承、承、承、承、承、承、承、承、承、転、結」 ←こういう具合に「承」のエピソードを増やすと、御作はドラマのすそ野が広がるのではないかと思います。

男の子と別れた後の老人は、スーパーで弁当とビールを購入して一人家に帰り食事をする。
その日にあった鳥や男の子のことを思い出して、少し勇気づけられる。

男の子も公園で時間を潰すと家に帰り、公園で老人と話したことを思い出したりして、ひとりぽっちの夜を過ごす。
この時に、男の子は両親が生きていた頃のことを思い出してもよい。
男の子は「輪廻転生」の本を取り出し、すでに読んだであろう所を読み直す。
こうして男の子は生きる事と亡くなる事の意味を深く考え、眠りにつく。

次の「承」というか、構成で話は、老人と男の子の距離がありそうで、近づいていく展開に設定をする。
二人が再び公園で出会ってもよいし、男の子が学校で級友たちに無視されている展開でもよい。
一方、老人は孤独であってもそれなりの人生というか、仕事もしてきたので、自分から何かをやり始める。
ボランティア活動のようなものでもよい。

老人と男の子は公園で会って、話をしているうちにお互いのことがわかって来て、男の子は老人がボランティア活動をやり始めて、顔色がよくなっていることに気が付き、喜ぶ。
一方、男の子は学校で無視されているので、つらい日々を過ごしている。家に帰ってもそうなので。

話の展開としては、老人と男の子それぞれにエピソードがあり、男の子は学校でも無視されなくなり、自分の存在価値を発揮し始める。
老人も孤独の中で生きがいを見つけてひとりぽっちから仲間ができたりして、元気をもらうが、やがて、物語の終焉を迎える。
老人が「輪廻転生」の世界に旅立つときが来たのである。
男の子は公園で老人と会うことが出来ずにいたが、あの鳥が亡骸になっているのを見つけてお墓をつくり、掌を合わせる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

上に、御作の後半部分を膨らます話の展開を書かしていただきましたが、やり方はいろいろとあると思います。
要するに、御作の出来はとても良いが、原稿用紙20枚という短編なので、もっと本格的な作品にしてはいかがでしょうか、ということです。

ほんとうに良い小説を読ませていただきました。


お疲れさまでした。

ssscl
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主人公の苦悩には、まだ水気が有って、老人じゃなくて青年かなにかだな、って感じがする。

文章を紡いでいこうとする力はしっかりと有るし、書こうとしている内容もなかなか渋いんだけど、渋すぎる。
渋いものを書くのが悪いってことじゃなくて、
言葉遣いにまだ慣れてない印象を受ける場所が多いから、
そういう文章で渋いことを書こうとすると余計幼稚に見えてしまうから損だ。
この作品のメインテーマを孤独とするとエッセンスは「ゆっくり」だと個人的には思う。なので、「ゆっくり」という言葉を一切使わず同じエッセンスを感じさせるように書き直せば深みが増すはず。


その鳥を毎日のように見かけた。それは【「その鳥」の直後で「それは」はくどい。】日課の散歩の中で【誰の日課? と読者は思う。】、公園に向かう途中(、鳥が【散歩しているのは老人だとまだ書かれていないのに、ここで「鳥が」と書くとややこしい。歩いている等とあるのでなおややこしい。鳥の様子をなるべく文章を変えずに書きたいならここは冒頭にまとめる】道端を歩いているところ)だった。老人はその鳥が大好きだった。【(「歩いているところ」だけが大好きなのか?文は変わっても意味は引っ張られる。)】名前は分からないものの、白地に黒い線が入ったその模様はとても美しく、その歩く姿なんかは【前出の部分と整理すべき】とても可愛らしかった。老人は毎日のように【「毎日のように」は分かった。冒頭を見よ。くどい。】鳥に話しかけた。それは【「それは)いらない】季節の話だったり、体調の話だったり。そんな日々【季節の話、体調の話をした、というだけで「そんな日々」と片づけるなら、もう少しその話を実際にセリフで書くべき。】が続くと、鳥も老人の顔を覚えだした【様だった】。老人が近づけば、鳥は細い足をテクテクと跳ねさせて(テクテクを辞書)近づいてきた。老人は孤独であった故(ゆえ、は他の部分の現代語と違和感)友達が出来たかのように嬉しがった。【(老人の主観を前に直接書いてしまっているのだから「嬉しがった」ではなく「嬉しかった」でいい)『人称』のことを調べたほうがいい。深入りするとややこしいんで軽く】

空亡海
p9111-ipngn4301funabasi.chiba.ocn.ne.jp

夜の雨さん。読んでいただきありがとうございます。

話の膨らませ方、とても参考になります。また、褒めのお言葉は本当に嬉しいです。
今はもう少し話を広げてみたりして、試行錯誤しています。

今回は本当に読んでいただき、コメントまで残していただいてありがとうございました。

空亡海
p9111-ipngn4301funabasi.chiba.ocn.ne.jp

sssclさん。読んでいただき、コメントもしていただいてありがとうございます。

このコメントを読み、自分の力のなさを体感しました。私はsssclさんが言っていただいた「渋さ」、というのを再認識し、これからの起点にしていきたいと思います。

また、細かいところまでのご指導ありがとうございます。一つ一つ確認し、次に活かしたいと思います。

最後に触れている「人称」について深く考え、自らで調べてみたいと思います。

今回は本当にありがとうございました。

5150
5.102.0.111

なかなかよかったです。

作品のテーマである孤独に相応しい文体であったように思います。最後まですっきりしていて、テーマもはっきりしていますし、オチもらしい終わりかただったと思います。

出だしは抽象的で、現代にあるようでない雰囲気がよかったのですが、描写が進んでいっても老人の孤独というものが、読んでいてもっとこちらに伝わってくる部分があれば、なおよいと思いました。説明させろという意味ではなく、老人の仕草や癖だったり、孤独な人はそういうものをどこかしら背負い漂わせているものだと思っています。そしたらもっと引き込まれて読んだと思いますが、どうでしょうか。狙いとして、わざと抽象的にして、童話風にしたかったのだとしたらゴメンなさい。

好きなタイプに見受けたので、楽しめました。

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