作家でごはん!鍛練場
上松 煌

母さん、お肩を…(ある研修医の話)

「ちょっと待ってください、橋詰先生っ」
自然に声を荒げていた。
「あなた、なにをしたいんです?おれは当直業務を続けたい。出て行って下さいよっ」
しばらく返事がなかった。
頭をかきむしったらしく髪が乱れていて、額に深くかぶさった前髪が哀しげな眼を半ば隠していた。
かなり胸が痛んだが、とにかくこっちは血気盛りの20代だし、相手は疲弊しきった42の中年研修医だ。
いざとなれば若いほうに利がある。
だが、彼を叩き出したくはなかった。
本当に人間性の高い医師向きの人で、忙しくても疲れていてもそれを顔や態度に出すことはなかった。
ソフトで誠実な対応には、特に入院患者や家族たちが敏感に反応し、研修半月立たないうちに橋詰先生の周りにはハートが漂っている気さえするほどだ。
その人が、なぜ…?

 ナースの話ではこの日の夕方、橋詰先生は大林部長に呼び出され、ついに最終通告の『医局を敵に回したらど~なるかぁ』を突きつけられたのだ。
それはクビを意味した。
そしてそうなったが最後、医局が手を回し、自分で開業しない限り拾ってくれる病院はほとんどなくなるのだ。

 「橋詰先生、大林は弱いんです。弱い者が権力を持つとどうなるか。優秀な者、力量のある者への恐怖と嫉妬をパワハラで解決しようとする。あなたは医師たる天分と資質に恵まれた優秀な人だ。おれたちネーベン(研修医)もオーベン(指導医)もナースも、あなたをけなす人はひとりもいない。いるのは大林と狂った取り巻きだけですよ。ね、考えてください。医局がなんです?新制度でおれたち若手が独立できるのは26から29歳に延びちゃったけれど、おれ、そのあとすぐに開業予定なんです。その間、バイトかなんかで食いつないで、開院したらおれを手伝って助けてくださいよ。ねっ、ねっ?」
これは本心だった。
ちょっと先の話だったけれど、橋詰先生が来てくれたらどんなにいいだろうと思っていたことは事実だ。
思いつめた心情には十分同情できるけれど、騒ぎを起こしては大林部長を利するだけだ。
本気で何とかこの場を収めたかった。
先生は弱く笑った。
本当に寂しい泣き笑いだった。

 「時間がかかりすぎる。…ぼくは巽野(たつみの)先生みたいに若くはない。高い理想を掲げて医師を目指したけれど、今はもう、絶望…絶望しかないんだ」
耳をふさぎたくなるほど、悲痛な言葉だった。
哀しすぎて鳥肌立つほどだ。
「待って、待ってくださいっ。路線変更の余地はあります。精神科、そう、精神科がある。今の世の中に蔓延している醜悪なパワハラやセクハラ。それに身を持って戦ったあなたは患者の最も強い味方になれる。そうですよ、それに特化すればいい。内科医ばかりが医者じゃないです」
なだめるように言いながら、頼むからこのまま帰ってくれと願っていた。
取りみだした橋詰先生の醜態を、だれかに見られてはいけない。

 「ははは…。何度も、そう思ったよ。そう…何度も何度も何度も。だけど、疲れた。子供がいないぼくは妻を亡くしてからひとりぼっちだ。順調だった会社をたたみ、この年で医者を目指したのも、世の中の人が最愛の人を亡くす悲しみを少しでも軽減できたらと願ったか
らだ…。ふっ、思い上がってたよ。とにかく終わりにしたいんだ。ぼくはこの当直室に来るまでは誰かに思いのたけを言い残すだけでいいと思ってた。だけど君を見て、巽野くんを見て、いっしょに連れて逝こうと思ったんだ。君は必ずぼくの二の舞になる。苦しむだけになるんだよ。この封筒の山を見てごらん。こんなもんじゃ、すまなくなるんだ」

 正直言って、ため息が出た。
断定的な言葉は当たっていて、確かに自分も大林部長のターゲットになっていた。
いやがらせやイジメ、パワハラは先生がいなくなれば、さらにエスカレートするかも知れなかった。
それでも橋詰先生はすでに、少しおかしくなっていたと思う。
痛ましく疲れきった土気色の顔に、血走った眼差しが異様な決意をみなぎらせてギラギラしている。
瞳孔の縮小した目を覗きこんでも、その瞳には何者も映っていない気がして、説得の自信がグラつくだけだ。

 万策尽きた気がして、少し沈黙した。
それにしても自分の当直の日はなんで問題が起きるのだろう?
想いは束の間、今日の自分をたどっていた。

          ◇ ◇ ◇

 もう、16時を回っていた。
広い待合室の南側に植生で隠れた小さな広場があって、茂った灌木に隔てられて駐車場に面している。
ベンチなども2~3置かれているが、人目につかないので利用者は少ない。
売店で買い込んだ菓子パンをトマト・ジュースで流しこんで、すばやく腹ごしらえをした。

 今日は月に4回ほどある当直の3回目だ。
今月の初回は、幸いにも徘徊がひとりいただけで何事もなかったが、2回目は散々だった。
頻繁ではないが、要請があれば救急も当然受け入れる。
もちろん、上級医とペアだけれど、ここではファースト・コールは研修医の仕事だ。
急患は50代後半の男性で、
「先生、痛いっ。押されるように痛いんですっ。あたたた…」
を繰り返していた。

 みぞおちから腹の上側への痛みの移動も訴えていたので、腹部大動脈瘤を疑ってそれを報告したが、上級医の初見では腸閉塞または腸捻転だった。
腹膜炎を患ったという言質や直前の嘔吐、便秘などから割り出したようで、検査は見事にそれを裏付けた。
さらに急激な発熱、血流障害や捻転の兆候も見られたため、緊急手術となったのだ。
緊急性の少ないことが多い腹部大動脈瘤のつもりで、のんびりしていたらどうなっただろう?
1年後には、どんなことでも自分で判断しなければならなくなるのだ。
そしてその日は、前日の通常勤務+大忙しの手術補助+寝る間どころか飲み食いする間もなく翌日業務と、32時間労働に突入したのだった。
10時間も小用に行けないという膀胱破裂寸前の思いは忘れられない。

 前回は多少は意思疎通のあるオーベン(指導医)だったが、今回の上級医はあまり接点のない先生だ。
早めに挨拶コールをし、そのまま2Fのナース詰め所に行った。
「ネーベン(研修医)の巽野翔人(たつみのしょうと)です。本日の当直担当です。なにかあったら遠慮なくコールしてください。よろしくお願いしますっ」
満面の笑みで元気良くお辞儀をすると、同じように輝くような笑みが帰って来る。
「こちらこそ、よろしくお願いしますっ」
ちょっと年配の看護主任が、そっと段ボールを差し出す。
「巽野(たつみの)センセ。お土産が…」

 けっこうな大きさだ。
覗きこむと書類と封筒、宛名シールが満載だった。
「大林部長からです。当直の合間に済ませておくようにって…」
「え…。またなの?事務職もいるのに…」
大林先生は超学会べったりの人で、これは案内状なのだろう。
カーストもNO,2の殿上人だ。
「センセは部長に目をつけられたんですわ。新人いびりの対象。でも、メゲないで。わたしたちも出来る限り補佐しますから」
彼女の目線の先には、もうひと箱同じものがあった。
イジメにしても陰湿すぎる。
寝かせないつもりなのだ。

 「ありがとうございます。ほんと助かります。ったく気が重いなぁ。やる気がそがれちゃうよ」
 研修が始まって、まだ4ヵ月ほどなのに、もう、このありさまだ。
「そのやる気が部長センセのイジメのもとですよ。毎年、がんばり屋さんがつぶされるの。あの橋詰センセね、とうとう、それやられて夕方に荷物まとめてましたもの。お気の毒に…立派なお医者様になれる方なのに」
「……」
ちょっと言葉が出なかった。
あの適性のある橋詰先生が、よりによって大林に叩き出された?
間違いでは?
いや、ナースが言うからには真実なのだ。
大殿様の教授を筆頭に家老がひかえ、上級武士に下級武士、町民のナースの下に最下層の穢多非人ネーベン(研修医)が蠢く世界だ。
淘汰されるウジ虫並みの立場では、ひたすら辞を低うして理不尽なパワハラをやり過ごすしかない。
ただ、直情径行の自分はどこまでそれに耐えられるだろうか?
我ながら、次は自分の気がするのだ。

          ◇ ◇ ◇

 とにかく夕回診をすませ、大急ぎで申し送りをもらって、1Fの当直室に籠った。
案内状をきれいに三つ折りにし、汚さないよう積み上げていく。
封筒の宛名張りはそのあとだ。
深夜になっても終わる気配のない膨大な量に腹が立つ。

 それにしても大林部長の橋詰先生いびりは常軌を逸していた。
最初は年が近いからなどと言って、ニコニコと個人的な飲み会などに連れだしていたくせにだ。
態度が変わったのは、科の多くの先生方やナースたちが橋詰先生の人柄や力量、覚えの早さなどを認め、ほめそやしたりしはじめたころからだった。
忙しいさなか、毎日のように呼び出しては理不尽な叱責を繰り返し、恫喝や人格否定もあったらしい。
そうしておいて、次は他の研修医との離間工作だ。
嫌われている自分などは相手にもされなかったが、大林部長は陰でかなり悪辣な捏造話を人生経験の少ない若手に吹き込んだようだ。
権威と捏造に脅されて若手は先生を敬遠せざるを得なくなり、橋詰先生は孤立化したが、ナースや上級医たちは部長の長年のやり口を知っていて、むしろ同情的だったのがせめてもの救いだった。

 異様に当直の多いシフト、呼び出されてど~でもいいような仕事をあてがわれ、深夜まで帰されないなどのイジメには、周囲がそっと手をさしのべるなどの協力があったが、42歳の先生には体力的にかなり辛いものがあったらしい。
温厚な顔からは笑顔が消え、眼窩はクマで真っ黒になり、這うように歩く姿が見られた。
それでも努力する先生に最後通告の『医局を敵に回したらど~なるかぁ』だったのだ。
下劣にも表向きは、橋詰先生に技能習得の遅れがあり、医師としての資質に欠けるだった。
そのように仕向けた張本人が口を拭っての、もっともらしい理由づけだった。
橋詰先生はどれほど無念だったろう?

 心がつぶれる気がして封筒を放り出し、PCを立ち上げた。
申し送りを見直して、患者の容体を確認する。
カチャリと音がして誰かが入ってきたようだ。
机はドアを背にしているから、
「はい。なぁに?」
と背中で返事をする。
「…そうか。今夜は巽野(たつみの)くんだったのか…」
疲れきった声が後ろでしたのだ。

          ◇ ◇ ◇

 「巽野先生、ぼくといっしょに逝こう。そうすべきなんだ。君はここにいるべきではない」
絞り出すような橋詰先生の声で我に返った。
「先生、もういち度言います。なにがしたいんです?おれを道連れにしたいならいいですよ。かまいません。ひとりぼっちじゃ寂しすぎるっていう気持ち、わかりますもん。でも、あなたは無駄なことをするんだ。この状況じゃ、たぶん、おれは天国であなたは地獄でしょうから。…ね、今のあなたはいつもの橋詰先生じゃないんだ。おれが、いや、みんなが尊敬してやまない、いつものあなたに還ってください」
少しの間があった。
彼は深い息をついて視線を落とし、放心したうつろな表情をした。
正気に返ってくれ、心底祈る気持ちだった。
無音の、息詰まるような時間がどれだけ過ぎただろう。
返事はなかったが、説得は成功したかに見えた。

 ♪かあ…さん…おかた…を…たた…き、ましょ
  タン…ト…ン、タ…ントン、タン…トントン
  お……えんがわ…には…ひが…いっ…ぱい
  タ…ントン、タン…ト…ン、タ……ン…トン…ト…ン♪

 かすれた、つぶやきのような声だった。
それでも、それは明らかに歌声だった。
橋詰先生はきっと、今、亡くなった奥さんとともにいるのだ。
仲良くお互いを思いやりあった日々に、おそらく肩たたきをしながら歌ったであろうその歌を、まるで時を戻すかのように詠っているのだ。

 胸が迫る気がして、少しむせた。
最愛の奥さんを亡くした悲しみを乗り越え昇華して、純粋に医師を目指したひとりの崇高な人間に対して、運命はなぜこれほど過酷なのか?
大林も人間とするならば、人間とはなんと愚劣で醜悪、陰湿で酷薄なものなのか。

 いつの間にか自分も顔いっぱいに泣いていた。
「いや、やっぱりダメだ。心変りはできない。巽野くん、5階だっ」
顔を上げた先生の目にはおぞましい錯乱がよみがえっていた。
5Fのデイ・ルームの隣りには災害時のために、開けられる大窓がある。
橋詰先生を変えることはできなかったのだ。
いや、もとの彼に戻すことは不可能だったのだ。

 そう、それが正しい。
悩み苦しんだ数カ月の時間の累積が、短時間の同僚の説得などで覆るわけがない。
もし、それが覆るのだとしたら、その決心は本物ではないのだ。
それでも阻止しなければいけない。
「先生、ダメだっ。飛び降りなんてっ」
全身で前に回っていた。
身体でドアをふさいで、その行動を阻むつもりだった。 

 室内にいきなり異音が響いた。
ナースからのコールだ。
正直言ってたじろいだ。
それでも出なければいけない。

 瞬間、彼は全身でぶつかって来た。
狂気じみた力に不覚にもよろめく。
止める間もなかった。
橋詰先生は放たれた魔物のように、風を巻いて出て行った。

          ◇ ◇ ◇

 即座に追って引き戻すはずだった。
だが、あわてていたせいか、腰砕けになって四つん這いに転んだ。
深夜の廊下は照明が最低限に落としてあるから、先生の姿はすぐに見えなくなった。
行先はわかっている。
果敢に立ち上がろうとした時だった。
「あたっ、痛ってぇ~」
思わず声に出していた。
はずみで足首をひねったのだ。
めげてはいられない。
ピンピン跳ねながらエレベータに向かう。
最上階の9階から下りてくるボックスに、超イラ立つ。
橋詰先生が操作したのだ。

 ドッシャーッ。
初めて聞く、異様な音だった。
本能的に総毛立つ。
なにが起きたか瞬時に把握できていた。
間に合わなかったのだ。
いや、そんなはずはない。
「先生っ」
エレベータ前から、瞬時にとって返す。
再び、すっ転んでいた。
痛かったが、我を忘れて立ち上がった。

 落ちた場所は待合室の前のベンチのあるあの場所だ。
橋詰先生はきっと無傷でそこに座っている。
その姿が目に見える気がした。
正面玄関に突進する。
自動ドアは電源が切ってあるが、手動で開く。
両腕に力を込め、一気に引き開けた。
街灯の向こうに植生が間近に見えるから、もう少しだ。

 先生が待ちわびているのを感じる。
現場に急ぐ救急隊員のように、冷静に確実に前に進むのだ。
不意に沸き上がるように、橋詰先生の歌声が聞こえた。

 ♪母さん お肩をたたきましょ
  タントン タントン タントントン

  お縁側には 陽がいっぱい
  タントン タントン タントントン♪

 自然に唱和していた。
痛いほど熱い液体が、とめどなく溢れ滴るのを感じた。
音を聞いて駆けつけてくるナースたちの気配を背に受けながら、ただひたすらに詠い続けていた。

 

母さん、お肩を…(ある研修医の話)

執筆の狙い

作者 上松 煌
p7677254-ipngn35401marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

おれ、現在、仕事モードに入りっぱなしなんで、ごく短いものをひとつ。
パワハラをテーマにした哀しく考えさせられるお話です。

コメント

大丘 忍
p1611005-ipngn200303osakachuo.osaka.ocn.ne.jp

今から60年前の無給医局員時代を思い出させてくれる小説でした。ただ、この文中で用いられる用語に時代の違いが少々ありますので訂正いたします。
まず、私の大学では、医学部の講義に用いられた外国語はドイツ語でした。その頃、大学教養課程終了資格で受験する医学科の入学試験には英語と同等にドイツ語が課せられていたのはそのためでしょう。
さて、学年が上の医師をオーベンといっております。オーベンとはドイツ語で上という意味ですから上級生なら皆オーベンです。では、我々下級生、つまり新米医師はどう呼ばれていたか。それは先ずそのままでウンテン(下)でした。上級生(オーベン)に対して下級生(ウンテン)ですね。ネーベンには副という意味があり、いわゆるアルバイトという意味に使われていました。「何処そこの病院に週一回ネーベンで行っている」という具合ですね。
我々(昭和34年卒業)の時はこのようにドイツ語が主流でしたが、その後はアメリカ医学が主流になり、殆どが英語だとおもいます。だから、今だにオーベン、ウンテン、ネーベンという言葉が生きているのかどうか知りません。私は昔人間ですからカルテにドイツ語で書きますが若い医師には読めないようで、日本語で書くよう意識しております。
医師は簡単に失職することはありませんよ。医師免許ある限り何処にいても医師という仕事が出来るからです。
医師の社会にもパワハラはあると思いますね。これは医師の人格の問題だと思います。パワハラを受けたらさっさと見切りをつけて新しい職場に変われば良いと思います。職場はいくらでもあります。
小説としては興味深く読ませて頂きました。

may
pw126033133113.23.panda-world.ne.jp

医師のパワハラ、興味深く拝読しました。
先生が壊れていくのがみじめで、哀しく残念でした。
私の父親も医者ですが、医師というのは世間から少し離れた存在で、ありがたがられ褒めそやされるからこそ奢り昂る傾向があると思います。
ナースの扱いなんかひどいものです。自分を神様が何かかと勘違いしていて自惚れています。
当直ばかり、どうでもいい仕事を膨大に当てられるなんて体も心も壊れますよね。
パワハラ。問題によく切り込んだ作品をありがとうございました。

上松 煌
p7677254-ipngn35401marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

大丘さま、こんにちは
 お読みくださり、大変うれしく思っています。

  >>今から60年前の無給医局員時代を思い出させてくれる小説でした。この文中で用いられる用語に時代の違いが少々ありますので訂正いたします。まず、私の大学では、医学部の講義に用いられた外国語はドイツ語でした<<

 60年前ですか?
「遥けくも来つるものかは」の感がありますね。
そうですね、そのころはドイツ語でしたね。
でも、その後、英語にとって代わられ、クランケなどは死語でしょう。

 このオーベン・ネーベンにはソースがあり、なにかの漫画かドラマではこの呼称でしたし、コンサルティングもやっている30代内科医の指南書でもこの言い方でした。
ひょっとしたら一般市民の方もこれを知っているかもしれません。
おれは物語を描くときに、小説は文字だけで画像や図などの補助がないので、特別な思い入れがない限り、みんなの目に触れていそうな呼称を心がけます。

 また、おれは上級医と区別するためにオーベン(指導医)を用い、対になる形でネーベン(研修医)を採用しました。
研修医はレジデントで「住み込み」の意ですが、あまりにも露骨なのでイヤですw

 ま、100の病院があれば形態も100通りですので、様々な言い方をしているでしょう。
  

   >>医師は簡単に失職することはありませんよ。医師免許ある限り何処にいても医師という仕事が出来るからです<<

 そうですね。
国家資格ですから。
ただ、35~50未満の医師では「医局が手を回して」就職できなかった例が散見できます。
非常に理不尽な話ですが、恐らく大病院のことでしょう。
町医者なら問題ないでしょうし、今現在のことではなく、10年くらい前の話かもしれません。
最近では医局所属は半数を割り込んだデータ報告があるからです。


   >>パワハラを受けたらさっさと見切りをつけて新しい職場に変われば良いと思います。職場はいくらでもあります<<

 そうですね。
ただ、キャリアや研究、最新技術にいそしみたい人はためらうでしょうね。
現在でも大学病院は突出した設備や技術を持ってますもん。


   >>小説としては興味深く読ませて頂きました<<

 興味を持っていただき、ありがとうございました。

上松 煌
p7677254-ipngn35401marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

mayさま、こんばんは
 あんまり、見かけないHNですが、新規の方ですか?

   >>医師のパワハラ、興味深く拝読しました。先生が壊れていくのがみじめで、哀しく残念でした<<

 興味を持って読んでいただき、また、残念と言ってくださり、非常にうれしく思いました。
そうですね、
最愛の妻を失い、高い理想に燃えて、自分の事業を整理してまで医師を目指した、人間力の高い中年研修医が不運にも、理不尽なパワハラの対象になってしまう。
その過程と苦悩を20代の同僚研修医の目を通して、短く簡潔に描きました。
 
 妻と歌ったであろう「肩たたき(現在では別の恐ろしい意味に使われているのが象徴的ですが…)」を文中で効果的に使ったつもりです。


  >>私の父親も医者ですが、医師というのは世間から少し離れた存在で、ありがたがられ褒めそやされるからこそ奢り昂る傾向があると思います。ナースの扱いなんかひどいものです。自分を神様が何かかと勘違いしていて自惚れています<<

 う~ん、「医は仁術」「実るほど首を垂れる稲穂かな」はすでに死語なのでしょうか? 
だとしたら、自分はせめて仁徳と言う高度な人間力を追求して行きたいですね。

 そして、あなたは医者の息子なのですから、教師の子と同様、その立場に対して忸怩たるものがあるかもしれませんね。
それが一転して、「虎の威を借(か)る狐」になったら?と、おれは危惧します。


 おれ、あなたの作品を見に行って来たんです。
そして、自分自身の中にある「死にたい病」を大いに刺激されて帰って来ましたw

 ラノベやなろうによくある、おれとしては見飽きたテーマ・展開なのですが、軽く浅い内容の中にも、素直な表現と視点、澄んだ淀みのない筆致を見て、おれはあなたの中にある透明で汚されていない善き部分を感じました。

 それは「伸びゆく芽」のようなもので、人間の中に必ず存する「善性(仏性)」で、これは自分自身が心して育成して行かない限り、やがて枯れ果て、消滅してしまうものなのです。

 ルソーの「エミール・または教育について」やアミーチスの「クオーレ」を読んでみてください。
何か感じるところがあれば、あなたはおれの「初見」通りの人かもしれない。

大丘 忍
ntoska043001.oska.nt.ngn2.ppp.infoweb.ne.jp

医局ににらまれたら、その医局の系列病院には就職はむつかしいでしょうが、全国には医師を求めている民間の医療機関はたくさんあります。
ネーベンにそのような使い方があるとは知りませんでした。こんなのは正式の用語ではありませんから、所によっていろいろの使い方をするんでしょう。ちなみに我々が新米医師のころは、オーベンの先生方からはウンテン(ドイツ語でオーベンは上、ウンテンは下)と呼ばれておりました。若いころを思い出し、なつかしく思いました。

上松 煌
p7677254-ipngn35401marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

大丘さま、こんばんは

   >>医局ににらまれたら、その医局の系列病院には就職はむつかしいでしょうが、全国には医師を求めている民間の医療機関はたくさんあります<<

 そうですね。
ただ、最近のアンケートでもこんな意見があるのです。
面白いので張っておきます。

★2019年4月~5月にかけて「大学医局」について医師へのアンケート調査を実施し、合計1,580名の医師から有効回答を得たもの★
・大学医局への現在の所属状況では、「所属している」が46%、「所属していない」が54%で、現在所属していない医師のうち79%は過去に医局に所属していたことがあり、所属したことのない医師は21%だった。
・大学医局に入ろうと思った動機・きっかけでは「それが当たり前だった」と「専門医などが取得しやすい」という回答が多かった。
・所属医局の良い点では「関連病院が一流」「教育体制がしっかりしている」など、良くない点では「望まない人事異動」や「給料が安い」などの回答が多かった。
・現在所属している医局には65%が「満足」と答えている一方で、医局に「ずっと残る」と回答したのは14%で、半数以上の医師は(今すぐでなくとも)医局を辞めることを検討している。
・医局を辞める場合に不安に感じることとして多かったのは「職場が見つかるかどうか」という点だった。
・「退局すること」に対して、医局を辞める前は「アウトロー」「ドロップアウト」というイメージだったという回答が見られた一方、実際に医局を辞めた後は「医局だけが医師じゃない」「自由だが自らの力が試される」などのイメージに変わったという回答も多く見られた。


   >>若いころを思い出し、なつかしく思いました<<

 おれも「な・べ・お・た・ま」を懐かしく思い出しました。
よもや、青春の昔に帰らじ…

夜の雨
i223-216-205-231.s42.a027.ap.plala.or.jp

「ある研修医の話」読みました。

いろいろ調べて書かれているようで、当方は、専門的なことはわからないのでそのあたりのことはほかの方にお任せします。

研修医時代にいじめで潰すという話ですが、上松さんは、いつものごとく書き慣れている文章なのですらすら読めます。

>パワハラをテーマにした哀しく考えさせられるお話です。<

たしかに、書かれている内容は狙い通りですね。
人物もよく書かれているし、内容もわかりよい。
特に問題はないのですが、上松さんには、その上を描いてほしいと、思います。
御作を読むとストーリーは書けています。

全体にバランスよく書いていて、内容や人間は描いているが、突出している物がほしいというところですかね。
御作に置ける「突出している物は何か?」というと、「その一つとして」人物の背景を細部まで書きこむとか。
主人公の巽野(たつみの)であったり、準主役の橋詰だったり、はたまた憎まれ役の大林部長だったり。
御作では内容がわかる程度にしか書けていないように思いました。
読み手に伝えるには背景がしっかりと見えるようにすればするほど、よいのではないかと思います。

人物の背景のほかにも「突出している物はいろいろとあるとは思いますが」。
医学的エピソードでもよいですし、興味深いので、読み手を引っ張ることが出来る。

上松さんは公募とかには興味はないようですが、もし公募とかで入選を目指すのなら「突出している物」が「必要」だと思います。

それにしても、上松さんは何でも書きますね。

お疲れさまでした。

上松 煌
p7677254-ipngn35401marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp

夜の雨さま、こんばんは

 いつものように数ある作品の中から、見つけ出してお読みくださり、心よりうれしく思っています。
昨日から、おれ、あなたの感想を繰り返し読みなおし、思考したのですが、小説を読まず、読解力のないおれはあなたの真摯なご指摘が理解できないのです。
自己愛の塊のおれが怒り狂わないように気を使ってくださり、更には、こうしたら良いとアドバイスまで下さっているのに、わからないのです。

 おれは最近、心境の変化がありました。
あの幡京ニッケルが、口を開けばおれに死ね死ね言うので、逆に生き延びたくなったのです。
生き延びるからには上手くなりたい。
その折のご指摘なのに、正直言ってなんのことかわからないのです。

 おれは読者に理解しやすいように書いているようなことを口走っていますが、実は自分の欲求の充足のために書いている。
つまり、書きたい病と死にたい病のままに、発作と自動書記のままに書き散らしてしまう。
プロットなど考えたこともなく、自分で書いていてその話の結末がどこにどう落ちるかも書き終わるまでわからない。
自動書記という表現は比喩でなく、本当に勝手に指が動いてしまうのです。
いい加減そのままです。
そのことをご警告くださったのでしょうか?

 そろそろ、きちんとした、公募にも出せるような物を書かなければいけないということなのでしょうか?


   >>内容や人間は描いているが、突出している物がほしいというところですかね。
御作に置ける「突出している物は何か?」というと、「その一つとして」人物の背景を細部まで書きこむとか。主人公の巽野(たつみの)であったり、準主役の橋詰だったり、はたまた憎まれ役の大林部長だったり。御作では内容がわかる程度にしか書けていないように思いました。読み手に伝えるには背景がしっかりと見えるようにすればするほど、よいのではないかと思います<<

 これが全く分かりません。
この作品でおれ自身が感じたのは、後半からやけに書き急いでいるなぁ、でした。
長くならないように意識したみたいです。

 このごはんに来て、消去法を覚えました。
主題を明確にするために、余計な表現を削り落すことです。
そのせいで文節は詩のように短くなることすらあります。
今、ざっと読みなおしたのですが、訴えたいことも書けていますし、歌を象徴的に使ったのも成功していると思います。
医院開業を目指す巽野(たつみの)の目を通して、パワハラの理不尽さ、それによって追いつめられる有能な善人の橋詰が医者を目指した背景も、大林のゆがんだ性根もバラしてあります。
周囲の善意や医局に睨まれたら失業することも書いています。

 未熟なおれにはこれ以上の書き込みは不要に思えます。
いたずらに長くなって主題がボケるのは好みません。
夜の雨さまの指摘がどうにも腑に落ちないのです。

 以前にもそういうことがあって、その時はまだ「端月」と言っていた「u」さまに泣きついて、非常に明確に解説してもらい、やっと理解できたことがありました。
ああ~。
uさま、来ないかな。

 

夜の雨
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再訪

御作は原稿用紙21枚です。
同じ内容で原稿用紙50枚の作品にすれば、中身が濃くなるのではないかということです。
つまりエピソードを濃くするか、背景をもっと描くかということです。
御作は原稿用紙21枚の割に、ストーリーを書き過ぎているのではないかと思います。

普通に読むのなら、御作の内容で充分です。

公募とか、上を目指すのなら、書き込みが必要ではないかということです。
もちろん、私が、勝手に思っているだけです。
他の人が読めば、これで、充分公募レベルかもしれません。

主題を明確にするために、余計な表現を削り落すことです。 ← それなら、ストーリーの説明をすればよいだけです。
小説(文学)は、「主題を明確にする」のではなくて、「主題を深く感じさせる」ことであると思います。
そうしないと直木賞や芥川賞はとれない。

文学は人間を説明するのではなくて、深く描く(感じさせる)ことだと思いますよ。

上松 煌
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夜の雨さま、こんばんは

 再訪をありがとうございます。
おれ、また今日1日考えて、

   >>小説(文学)は、「主題を明確にする」のではなくて、「主題を深く感じさせる」ことであると思います。文学は人間を説明するのではなくて、深く描く(感じさせる)ことだと思いますよ<<

は、わかる気がしますが、やっぱり、
   >>突出している物がほしいというところですかね<<
は、わからない気がします。


 おれの作品がどれも発作と自動書記で形成されてしまうのは、そのすべてが自分自身から涌出してくるもの、抗いようもなく噴出してくるものだからだと思います。
今のところはそれを制御出来ない、制御しようとしないから、いつまでもその上に行けないの
でしょう。
夜の雨さまはそれが見えているので、おれにアドバイスしてくださるのですが、肝心のおれにはそれがわからない。

 イラっちのおれは頑迷な自分がもどかしくて、またブチ殺してやりたくなるので、今は仕事モードに戻ろうと思っています。
非常に大切なことを教えてくださり、本当にうれしくありがたく思っています。

 よけいなお時間を取らせましたが、あなたの指摘を心して行きたいと思います。
ありがとうございました。

夜の雨
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「例によって例外なくレイの話でし」読みました。

上松さん、作品投稿お疲れさまです。
丁重に読ませていただきました。
何やら文面の背景に品が漂っています。このあたりが上松さんの個性かなと思ったりします。
主人公が生活する場所が結構庶民レベルを超えたところだったり、その共住宅の描写がハイソだったり、親が金持ちだったりしている。
そういった庶民より高いところで生活している主人公なのですが、親のすねかじりのために、幽霊がいることがわかっても、簡単に引っ越しできない。
まあ、主人公の麒麟生(きりおい)自体が女に飢えている大学生というコメディ的な設定から幽霊でも女性、それも美しければほしいというようなアカンタレなので、物語は、入り口を越えてしまうと言ったところでしょうか。
幽霊に主人公はレイナ(霊那)という名前をつけて、自ら奈落の底に堕ちていくと言った感じです。だんだんとレイナに惹かれていくところが、うまく描かれていました。
この幽霊が主人公に認知されるあたりは、環境がだいぶ影響しているようです。
新婚夫婦や恋人たちが居るようなマンションを借りると、周囲の影響を受けて彼女が欲しくなるでしょうね。
新婚さんと主人公がコミュニケーションを取るエピソードはありませんでしたが、状況設定の描き方がうまいので、雰囲気が伝わってきます。

物語的にはまだまだ続きを書けそうですが、一応収めてあるので終了になっています。
主人公は幽霊の出る海が見えるハイソなマンションを親の金で借りるのですが、比重から言うと、幽霊よりも浅井との友情の方に重きが置かれているように思いました。

主人公の麒麟生(きりおい)と友人の浅井のキャラクターがよく描かれていて、彼らのエピソードの展開で物語が進んでいます。
レイナ(霊那)については、主人公がやっとコンタクトを取ったと思ったら、浅井が運よくか悪くかはわかりませんが、やってきて、「南無妙法蓮華経、たいさん―」ですからね、幽霊もたまったものではありません。
レイナ(霊那)の背景が描かれていないのは残念ですが、導入部を過ぎたところで彼女との物語は終了に向かったので、違和感はありませんでした。
まあ、背景が描かれていないので、深くはありませんでしたが。


文章やエピソードの進み具合がよくて、かなり読みやすいです。
詰まるところは全くありませんでした。

●主人公の麒麟生(きりおい)と浅井との友情物語に、幽霊のレイナ(霊那)が絡んでいると言ったところでしょうか。

なかなか面白かったです。

お疲れさまでした。

夜の雨
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上松さん。
伝言板での返信ありがとうございました。

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