作家でごはん!鍛練場
御廚年成

花と実弾(後編)

御高覧のレディーへ。
 拙作には「下品な表現」「性的な表現」「差別用語」が多数あります。
御承知下さい。

目 次

前編 (https://sakka.org/training/?mode=view&novno=17758#comment-latest)
 1 ハフルー・イスラム共和国
 2 ラマダーンの月
 3 無法地帯
 4 実弾の宴

後編
 5 パリは燃えているか
 6 地中海の朝
 7 柔らかな風の中で
    柔らかな風の中で……師走
    柔らかな風の中で……初夏


前編あらすじ
 地中海に面する中東のハフルー・イスラム共和国。その威信をかけた5カ年計画のうちの一つ、海水淡水化計画にベンダーとして参加する帝国特殊工機の技術者たち。だが、中国の広州工業公司がその計画に割り込んできた。
 帝国特殊工機と広州工業公司のシェア争いと情報合戦が水面下で激しく交わされる。だが……。




5 パリは燃えているか

 シャルル・ド・ゴール空港に二人の日本人が降り立った。初老と言っても良い年齢の男と三十代半ばの男だ。
「しかし、坂口部長が行くと何か発生しますね」
「気にするな櫻井、昔からだ」
 入国審査のゲートに向かう二人に若い女性の大声が伝わった。
「ノン! 私は日本人ですっ! パスポートを見て下さい!」
「嘘を言うな! ハフルーでは女の一人旅は許されないことくらい調べてから偽造するんだな」
「だからぁ! ビザを見て下さい。特別に東京の大使館で貰ったんですッ!」
 二人の目が声の方へ向く。
 初老の男が声を出した。
「なんだ?」
「どうせコーリー(朝鮮)・ポトフ……」
 ポトフは日本でも有名な煮込み料理だが、売春婦を意味するフランス語のスラングでもある。最近は偽造日本人が多発している。
 そう言いかけた櫻井が女のほうへ向かって走り出した。
「どいてくれ! 通してくれッ!」
 野次馬をかき分ける声に若い女が振り返った。
「あ~ッ! 櫻井課長ぉ~!! 助けて下さぁい! 総務部会計課ぁ香坂ですぅ」
 だが、気が付くと周囲をFA-MAS自動小銃で武装した兵士に囲まれていた。
「お前は何だ?」
 迷彩色のコンバ(戦闘服)をまとったカポラル(伍長)が初老の男に銃口を向ける。
「私はその女のボス、帝国特殊工機COO(最高執行責任者)宮島だ」
「二人ともパスポートを出せ」
 カポラルは、あくまで高圧的だ。
 二人は、左手でスーツの襟をつまみ、大きく開く。開いた右手をゆっくりと内ポケットに入れてパスポートをつまんで出す。
「入国目的は?」
「ビジネスだ」
 二人のパスポートをカポラルから受け取った係官が口を開いた。
「ムシュウ・ミヤジマ、ムシュウ・サクライ、そしてマドモアゼル・コーサカ、別室で少し話を伺いたい」
 銃を向けられ青い顔をした香坂と対照的に宮島と櫻井は顔色一つ変えていない。潜り抜けてきた修羅場の桁が違う。
 係官がFA-MAS自動小銃を腰だめに構える若いカポラルに目配せをする。カポラルが銃を構えたまま櫻井の前に立った。
「おい、こっちへ来い!」
 突如、櫻井が激発し、カポラルを真っ向から指さす。
「おい、だと? フランスではそんな無礼が通用するのかッ! 私はパスポートを見せた。パスポートに何と書かれているッ! 日本国外務大臣による援助と庇護の要請ではないのかッ! それとも文字が読めないのかッ! 官・姓名を名乗れッ! 日本国大使館を通じて厳重に抗議するッ!」
 係官が割って入ってきた。
「ムシュウ、彼等も任務だ」
「任務ゥ? 作戦規定には礼を失して良いと書いてあるのかッ!」
 係官に向かって言い放つと、先程の兵士にまっすぐ向き直す。
「君は礼儀も知らん野蛮人かッ!」
 櫻井がカポラルに向き、静かに近寄って腰で銃身を圧し、宮島と香坂から射線を外す。だがその手は兵士の肩に添えられ、声も表情も柔らかく変わる。しかし視線はまっすぐにカポラルの目を見つめたままだ。
「違う。君は野蛮人ではない。君は国家の安寧を守る誇りある勇敢な軍人だ。だが、誤って不適切な言葉を使ってしまった。そうだろう? 人間は神ではない、誤る事もある。だが、文明人なら訂正する事を躊躇しない勇気がある筈だ。違うか、ムシュウ・カポラル(伍長さん)?」
 櫻井の気迫に兵士の声が震える。
「ウ、ウィ。言い間違えた。こちらへ来てほしい」
「承知した。社長、参りましょう。香坂もだ」

 入国審査ゲートの横にあるスチール製のドアが開かれ、コンクリートむき出しの狭い廊下を通り取調室へ連行された。取調室の中は窓がなく、壁は灰色。天井には監視カメラが3台、中央に会議用デスク、その周りには安っぽい椅子が整然と並んでいる。よく見ると凶器にならないように床に固定してある。
 しばらくすると制服姿の係官が入ってきた。丸腰なのは武器を奪われないためだ。ドアが閉められると外から鍵が掛けられる。ドアの内側にはノブも鍵穴もサムターンもなく、ドアの横に電話があるだけだ。
「さて、皆さん。もう一度パスポートを拝見できますか?」
 口調は丁寧だが、有無を言わせない圧力がある。
 全員のパスポートがテーブルの上に並ぶ。
「先程伺ったところによれば、同じ会社の方だそうですが、IDカードを持っていると思いますが」
 宮島と櫻井がIDを出す。ワンテンポ遅れて香坂も差し出した。
 係官の目が香坂をとらえた。
「マドモアゼル。なぜハフルーからの便に乗っていたのか、その理由が知りたい」
 パスポートの査証欄が開かれた。
「ほぅ、フィアンセですか。でも滞在許可は五日間、それにも関わらず翌日には出国している。なぜです?」
 オヤジキラーと呼ばれる舌足らずの甘い声と上目遣いの視線が係官を捉える。
「だってぇ、ここは危険だからって……だから……一夜だけ……あの……」
 係官の表情がわずかに緩む。
「わかりました。ヤマト・ナデシコはアグレシオンだ。ムシュウ・サカグチが羨ましい。確認のためここでしばらくお待ち下さい」
 三人のパスポートを持った係官がドア横の電話を取り、一言二言言うとドアが開かれた。開かれたドアの横にはサブ・マシンガンを持つ出入国管理官の姿が見えた。
 係官が退出すると宮島が口を開いた。
「櫻井君、君も無茶を……目的は?」
「香坂の確保です」
 香坂が目を丸くした。
「え? 確保って?」
 櫻井が言を継ぐ。
「あのままですと香坂が一人だけで拘束されます。三人同時に拘束されれば香坂は強制送還でも我々が確認出来ます」
 宮島の声が詰問調に変わった。
「撃たれる事は考えなかったのか?」
「あれだけの人混みで撃てば、私を貫通した弾で何人も死ぬでしょう。それを考えれば撃てません。催涙スプレーすら使えないでしょう」
 宮島の顔がほころぶ。
「さすがは坂口の秘蔵っ子だな。目的が明確ならば問題ない。香坂も上手く答えていた、良かったぞ」
 香坂に照れ笑いの笑顔が広がった。
「入管で咎められたらぁそう言えって部長がぁ」
「なるほど、坂口の入れ知恵か。ところで君はこの後どうするつもりだ?」
「え~っとぉ、乗り継ぎが上手く取れなくってぇ二日後の便で帰りますぅ」
 これも坂口の入れ知恵だが、緊張が一気に解けたからだろう、香坂はトンでもないオリジナルを口にする。
「あ、でも二日間は時間がありますからぁ、お手伝いできることがあればぁ言って下さぁい。事業部へ移動願いも出しますしぃ、DALF‐C2もぉ……」
 香坂は饒舌だった。

 しばらくすると係官が戻ってきた。その顔には笑顔があった。
「マドモアゼル・コーサカ、まるでゲネラール・ノギ(乃木将軍)の妻返しの松のようですな」
 こんな例えが出る、こいつはタタミゼ(日本かぶれ)だ。三人が胸をなで下ろす。
「結構です。フランスへようこそ。だが、ムシュウ・サクライ。昨今フランスでもテロリストが横行しております。我が国の治安を守るためには、ご協力を頂く事もあります。よろしいですか?」

 取調室からコンクリートむき出しの通路を通り、ロビーへ出た。タクシ(タクシー)乗り場には、何年落ちか分からないルノーのタクシが群れをなす。先頭のタクシ運転手は、一目で海外県(植民地)の出身と分かる褐色の肌の男だった。櫻井が声をかけた。
「オテル・ニッポン・ド・パリは判るか?」
「もちろんでさァ、旦那。あっしは五年もこの街ィ走ってますぜ。乗って下せェ」
 車のトランクに荷物を詰め込み、席に座るとシャルルドゴール空港からパリ右岸までの公定料金を運転手に渡す。
 走り始めると運転手は饒舌だった。
「旦那方は、どこから来なさったんで?」
「日本からだよ」
「そうですか日本かァ、あっしは行った事がねェですけど、ウチのガキ共が日本のアニメに夢中でさァ」
 空港からA-1高速道路に乗りパリ市内を目指す。道路の両側にはフェンスが続き、エプロンに並ぶ旅客機とフェンス沿いに軍用犬を連れた兵士の姿も見える。
「マドモアゼル、何か疲れていなさるようだね?」
「入管で少し揉めちゃいました」
「そりゃあ災難だ。そうだ! マドモアゼル、これをお持ちなせェ。あっしの故郷の魔除けでさァ」
 運転席の下に隠してあった小さな鞄から書道の墨ほどの大きさの灰色の石を取り出して香坂に渡す。
「こいつをポケットに入れておきゃァ、悪魔は寄って来れねェんでさァ」
 空港からパリ市内へのタクシは公定料金だからチップや小遣い稼ぎの意味もあるのだろう。

 ホテルに着いた。先程の石の代金を含んだ十分なチップを渡す。運転手は珍しく車から降り、トランクから荷物を下ろしてくれた。
 オテル・ニッポン・ド・パリに入ると、日本の一階に当たるRDC(ゼロ階)にあるフロントへ足を向ける。ちなみに日本では妊婦の臨月を十ヶ月と表現するが、フランスではゼロから始まって九ヶ月が臨月だ。

 部屋へ入ると櫻井がハフルーの現地事務所に電話を入れる。
「アッロー……」
 その声を遮る様に櫻井の声が響く。
「櫻井だ。坂口さんは?」
「お疲れ様です。飯塚です。今、替わります」
 ざわつきが受話器に伝わり、坂口の声が流れた。
「おお櫻井、坂口だ。パリに着いたか?」
「ホテルに入りました。社長に代わります」
 受話器が宮島に渡された。
「宮島だ。婚約おめでとう。やっと身を固める気になったか」
 坂口の声が笑いを含むものに変わる。
「よくご存知ですね」
「冗談はともかく、お前の無茶にも呆れるな。会計課の女の子まで使うとは」
「いやぁ、まさかハンドキャリーで香坂が来るとは思いませんでした……」
「それで、一体何をさせたんだ」
 レンタル花嫁の件を掻い摘んで話した。
「それと、お願いがあるンですが……今回の件が上手くいったら会計課の河田、ヤツも手柄の列に加えて下さい」
 声に一瞬の間があった。
「ほう、それで?」
「本社に帰れるように計らって欲しいンです」
「いいネタを仕込んだのか」
「御覧になりますか?」
「いらん。どうせ、えげつないモノだろう」
「社長から習った手口のような気がするンですが」
「下らんコトは忘れろ。それよりこの後はどうする?」
「明日は、出城に切り込みます。実弾をブッ放しに」
「どの位ブチ込む?」
「損益に計上出来る範囲を少し超えました。チンクの二倍の見積りです」
「失敗したら株主総会で吊し上げられそうだな」
「まあソッチは、社長にお願いする他ありませんが」
 静かだが熱を持った笑い声が上がる。
「他人事のように言いやがって。それと香坂が事業部への異動を希望してきたぞ。知ってたか?」
「直訴ですか……頭も切れるし、度胸もいい。可能でしたら次の異動で産休中の鈴木のフォローに入れて貰えますか? 育児時短も申請してたし」
「分かった。だが、今は水盃を交わして出国する時代ではないが、十分気を付けろ」
 受話器が置かれた。

 翌日、事務所の前にはレクサスLS四六〇Eのブラック・セダンがあった。フロント・バンパーの両側にアルミパイプを加工した旗竿を着け、ハフルーと日本の国旗を立て、大使館等の公用車風に仕立てている。咎め立てされたら両国の友好のために付けていると言い張ればいい。
 朝倉は既製品のスーツを着て、日に灼けた顔に映画「トップ・ガン」でトム・クルーズが使っていたアメリカン・オプティカル社の軍用サングラスを掛けている。その姿は出稼ぎフィリピン人と笑われた。だが、東南アジアの軍人上がりをドライバー兼ボディーガードに使うのはよくある。それに対して坂口と植田は、サビル・ロー仕立てのスーツとドゥシャンやアトキンソンのシルクタイ、英国紳士風の姿だ。

 朝倉の運転で労働省へ向かい、アポなしで乗り付けた。
 ゲートで直径十五センチもある突進防止の金属製ガードバーに阻まれ止まる。執銃して正門に立つ衛兵は、レクサスに付けられた国旗を見て捧げ銃の礼を行う。若い衛兵少尉が車に近づいてきた。直前で止まり、フランス式の手のひらを見せる挙手の敬礼を行う。窓を開いた坂口は、鷹揚にアメリカ式の挙手の敬礼を投げる。口を開きかけた少尉の先手を取ったのは坂口だった。
「おはよう、少尉。モフサン閣下への御挨拶に伺った」
「身分を証明するものを拝見出来ますか」
 坂口と植田がパスポートを差し出す。パスポートからは、ちらりと米ドルの紙幣がのぞいている。銀行取引なら日本円は絶大な信用があるが、実弾としてブッ放すには米ドルに一日の長がある。
「日本から来られたセイエド(Mr.)・サカグチとセイエド・ウエダですね」
 若い衛兵少尉の表情が緩む。
 世界中で日本人に対する信用は意外なほど高い。日本人だというだけでガードが下がる事もあるほどだ。中東でもそうだが、イスラエルだけは日本アカ軍だかバカ軍だかと名乗るゴキブリにも劣る白痴のクズ共の御蔭で厳しい。
「そうだ。浄水プラントの工事を行っているので御挨拶だ」
「分かりました。おい運転手。お前もだ」
 朝倉の手がスーツの内ポケットにサッと伸びた時だった。
「動くなッ!!」
 若い少尉の鋭い声が飛び、周囲の歩哨の銃口が一斉に向く。歩哨の一人が運転席のドアを開け、あっという間もなく朝倉は引きずり出された。シートベルトをしていたため下半身は車の中に残り、宙吊りのようになって身動きが取れない。歩哨の一人が朝倉の頭に銃口を押し当てた。
「待ってくれ少尉!」
 植田の声が飛ぶ。
「そいつはうちの社員だ! 朝倉ッ動くなッ! マフムード少尉、今からこいつのパスポートを出す。撃たないでくれ」
 衛兵少尉の戦闘服に付いた名札を読みとっていた植田は、ゆっくりとドアを開け、両手を上げたまま車を廻って朝倉に近づいて両膝をつき、右手を挙げたまま左手で朝倉のスーツの内ポケットからゆっくりパスポートを取り出し、マフムード少尉に差し出した。
「日本人だったのか」
「そうなんだ。こいつは何も分かっていない」
 少尉の合図で歩哨の銃は下げられ、ほっとした空気が流れた。
 後席に座ったままの坂口がバックからアメリカ煙草のマルボロのカートン箱四個を輪ゴムでまとめたものを取り出し、悠々とした態度で少尉に渡す。よく見ると間に札束が挟んである。
「済まない少尉。君の部下にも心配させたことを謝っておいてくれ」
 少尉の目が札束を捉える。
「……分かった。部下への心遣い、感謝する」
 受け取ったカートン箱から視線を引き剥がし、威厳を保つようにそう言うと車両止めが油圧で下ろされる。車は労働省の建物に向かった。
「ビビりましたよ。本当に撃たれたらって……」
「もし死んでもお前の嫁さんにガッポリ保険が入るから問題ねェ。まァ、上手くゴマかせたから上出来だな」

 労働省内へ踏み込んだ。
 アタッシェケースを持つ坂口を先頭に左手にアタッシェケースと右手に大きな包みを下げた植田、両手に包みを提げた朝倉が続く。
 ドアを塞ぐ様に立っている入口のガードにも一箱ずつマルボロをポケットに押し込む。むろん折り畳んだドル紙幣を挟んである。
「日本から来た帝国特殊工機の坂口だ。モフサン閣下への御挨拶に伺った。案内を願いたい」
「閣下の執務室は二階だ。その階段を上がれ」
 赤い絨毯に導かれるように二階に上がる。エアコンの効いた建物の床は大理石の模様を合わせてカットされており継ぎ目が見えない。ドアはクルミの一枚板にアラベスク模様が彫刻され、ドアノブは真鍮ではなくゴールド。存分にオイルマネーが注ぎ込まれていることが分かる。廊下を塞ぐ様に小さなデスクが置かれ、コンセルジュとガードの男が立っていた。
「日本の帝国特殊工機の坂口だ。モフサン閣下に御挨拶に伺った」
「そのような予約は入っておりませんが」
 坂口がコンセルジュのデスクに乗っているクリップボードの紙を勝手にめくる。
「ここを見てくれ。日本の帝国特殊工機、面会、五分と書いてあるじゃないか」
 そう言うとコンセルジュの胸ポケットに紙幣をねじ込む。
「ほら、書いてあるだろう?」
 更に紙幣がねじ込まれる。
「しかし、次の予約が……」
「まだ到着していないじゃないか。この時間を有効に使うのは、ハフルーのためになる。我々はハフルーの将来を担う浄水工事を行っている。御挨拶するのは、ハフルーのためになるのだ。君は愛国者だろう?」
 アラビア時間といわれるほど時間にはアバウトだ。もう一枚紙幣をねじ込む。
「マフムード少尉も通してくれた、怪しい者ではない」
「でも、その荷物は……」
「これは閣下へのプレゼントだ。マフムード少尉の検査も受けている」
 嘘だ。見せてもいない。検査をうやむやにし、袖の下を握らせるために朝倉をエサに使った。
 更に紙幣をねじ込む。
「五分で出てこなかったら衛兵を呼べばいいじゃないか」
「……」
「さあ、閣下に取り次いでくれ」
「お、お名前をもう一度……」
 ダメ押しの紙幣がねじ込まれた。
「日本の帝国特殊工機の坂口だ」
「お連れの方は?」
「私のスタッフだ。心配は要らない」

 数分程待たされたが、アラビア界隈では神速と表現できる。開かれたドアの向こうには彫刻の施されたローズウッドのエグゼクティブデスクがあり、豪華なハイバックチェアに座るのは労働大臣のモフサンだ。反対側にはアラビア式の白と金に彩られた応接テーブル、そこへ座れれば今日の目的の八割は済んだも同然だ。
「モフサン閣下、お時間を頂いた事を心より感謝申し上げます。日本の帝国特殊工機エグゼクティブ・スタッフ、坂口と申します。また、ここに控えておりますのは私のスタッフ、現地責任者の植田とその部下である朝倉でございます」
 予定を変更されたのが気に入らないのか憮然と答える。
「日本人とは、何とせっかちな民族だ。マン・アジラ・ナディマ(急ぐ者は失敗する)と言う諺がある。知らないのか?」
「閣下、マン・ジャッダ・ワジャダ、ワ・マン・ザラア・ハサダ(努力する者は発見し、種を蒔いた者は収穫する)と言う諺も御座います故」
 モフサンの表情がわずかに緩んだ。
「なるほど。用件は挨拶と聞いているが」
「御挨拶の品を置いたらすぐに退散するつもりでおります。おい」
 植田と朝倉が執務机に日本人形のケースを並べた。紐を解いて段ボールの外装を取る。中には千代紙のような模様の化粧箱。それが開けられ、ガラスケースに入れられた日本人形が現れる。
「おおっ、ゲイシャ!」
 人形のケースを持ち上げたマフムードの顔は、ズシリとした重量に不審げな表情が浮かぶ。
「碩学の閣下はご存じと思いますが、日本は地震の多い国です。その為、倒れないように錘が要るのです」
 ケースの引出しを開いてモフサンに見せる。
「……こんな錘が入っているのか」
「はい閣下。我々の友好関係も地震が来ても倒れないように強固なものにしたいと思っております」
 モフサンの目が引出しから目が離れない。小さく咳払いをする。
「他の人形にも錘は入っているのか?」
「もちろんです」
 錘はゴールド・スークで買った金の延べ板だ。王政の頃とは違い、懐に入る金が寂しくなり、内情は火の車だとの情報を得ていた。真偽のほどは分からなかったが、ゼニが嫌いな人間はいないと賭に出たのだ。
 モフサンがデスクの机上のインターホンに声を掛けた。
「コーヒーを持ってこい」
 そう言うと坂口達へ視線を送った。
「そこへ座れ。コーヒーを飲んでいけ」
 ソファーを指さした。アタッシェケースの中身の出番だ。

 会談は一時間にも及んだ。
「閣下、貴重な時間をありがとうございました」
「これからも我が国の発展のため尽力して欲しいものだ」
「誠心誠意、尽くす事をお約束いたします」
 そう言って部屋を出ると、控えの間には次の客が待っていた。コンセルジュに送られ廊下へ出ると、トドメの紙幣をポケットにねじ込む。
 車が正門を出た瞬間、坂口が衛星携帯電話を取り出す。
「社長、実弾ブチ込んできました。手応えも悪くありません」


 パリでは宮島、櫻井、香坂の三人がホテルの前からタクシに乗った。
 シャンジェリゼ通りを過ぎ、エトワール凱旋門をくぐる。少し走ると日本の丸の内に相当するパリのビジネス街、ラ・デファンスがある。パリには珍しい高層ビルが林立するうちの一つがモント社のオフィスだ。
 アポの時間に合わせ乗り付けた。サソメッション(受付)で用件を伝えると、華やかなハニーブロンドの髪をハーフアップにまとめた秘書らしき女性が現れた。コリーヌ・ポリニャックと自己紹介した女の後に付いて社内を進む。紺色のタイトスカートに包まれたヒップが一足ごとにクイックィッと動くとつい目が向いてしまう。抜群のプロポーションだ。
 会議室に通された。テーブルの向こうには、社長のパスツールと数人のエグゼクティブが座っている。エグゼクティブの一人が口を開く。
「ムシュウ・ミヤジマ、遠い所をようこそ」
 香坂の通訳で宮島が口を開いた。
「お時間を頂いた事を感謝しております」
 席を勧められ三人が腰を下ろし、コリーヌが全員にコーヒーを配り退出した。
 パスツールが口を開いた。
「ヴァカンスを中断するような良い話なんでしょうな?」
 フランスの八月はヴァカンスの時期で、一斉に長期休暇を取る。日本人からしたら一斉に連絡が取れなくなるのは、迷惑この上もない。
「いえ、中国の現場が予断を許さない状況で……」
 宮島が日本語で答え、香坂が通訳をする。だがパスツールの声がそれを遮る。
「ムシュウ・ミヤジマ。彼女は通訳や秘書ではなく、インテリジェンス(諜報)かアナライザー(分析員)かね?」
 表情はコントロールするもので、自らの感情を表すものでははない。何も変わることのない表情で櫻井が言い放つ。
「なぜそう思われます?」
「トボけても無駄だ。なぜ彼女はハフルーからの便に乗っていたのかね?」
「よくご存じですね」
「新聞に載っていたよ」
 パリの街角で新聞売りの少年が上げる「モンド、モンド、ル・モンド」の声で有名な有力紙、ル・モンドがテーブルに乗せられた。
「ですが、偶然のなせる技です」
 櫻井の声が上がり、宮島の視線が香坂に向く。小さくうなづいた香坂がパスポートを取り出す。
「ムシュウ、これをご覧下さい」
 香坂がパスポートを開き、ビザのページがパスツールに示された。
「……マサユキ・サカグチ……まさか?! カミカズ(神風)・サカグチか!?」
 香坂が大輪の花のような笑顔を向ける。
「私は坂口を心から尊敬しております……説明が不足でしょうか?」
 大きく息をついたパスツールが口を開く。
「カミカズを撃墜するのはアメリカ人のやる事かと思っていた。認識が間違っていたようだ。マドモアゼル・コーサカ……」
「祐依とお呼び下さい」
 パスツールの顔がわずかな緩みを見せた。
「……マドモアゼル・ユイ、君の現地分析を聞きたい」
 香坂の視線がちらりと櫻井に向かう。小さくうなづいた櫻井の前のフォルダーを開いた。香坂の口から摺合せされたブリーフィングの内容が流れた。

 エグゼクティブの一人が口を開いた。
「少々問題があるのは把握している。だが残念な話も聞いた。君たちが現地で好ましくない行為を行っていると」
 香坂がにこやかに答える。
「その話は、中国製ですか? シャリーア上の問題は軽視出来ません。コンフォルミィーティーを問われれば悪影響を及ぼすと断言出来ます。それに……」
 不意に香坂の貌からオヤジ・キラーの笑みが消えた。
「……万が一の場合は、ムシュウ・ベクレルやムシュウ・コリオリの命も保証できかねます。アフリカのあの現場のように。そして、この写真をご覧下さい」
 香坂は開いているフォルダーに文鎮代わりにタクシーの運転手から買った石を置き、新たなフォルダーを取り上げた。
 パスツールの眼がギラリと光る。
「マドモアゼル・ユイ、この石は?」
「幸運のお守りです、ムシュウ・パスツール」
「語るに落ちるとは、このことだな」
「何のことでしょう?」
「この石は、わざわざ日本から持ってきたのかね?」
「ノン、昨日乗ったタクシーの運転手から買った物です」
「その言葉を信じろと?」
「ウィ、ムシュウ・パスツール。嘘を言った覚えはありません」
「つまり、全て調べてある……そう言いたいのかね?」
「さぁ、何のことでしょう?」
 そう、当然パスツールの生まれが海外県であることも、他のエグゼクティブ達の素性も調べ上げている。だが、そんな事をわざわざ口にする必要はない。
「マドモアゼル・ユイ。君たちにも事情があることは理解しているつもりだ。要求は何なのだ?」
 櫻井が「待ってました」とばかりに口を開く。
「至急、中国の現場を引き継ぎ、基礎工事からやり直したいのです」
「やり直す? なぜ?」
「奴らはレイタンスの処理すら行っていません」
 レイタンスとは、コンクリートが固まるときに出る灰汁だ。これを除去せずに次の打設を行うと接合面の強度は極端に低下する。
「そんなことはあり得ない!」
「これを御覧下さい」
 櫻井は、そう言って取り出した一枚の写真をエグゼクティブ達に示す。
「この男は、御社の監督の一人でジョー・ヤマダと日系人のように名乗っておりますが、本名はマオ・シャオ・リン、中国人です」
「本当かね? 証拠は?」
「彼に関しては、我々を信用していただくしかありませんが、これをご覧になれば、我々の言う事が嘘でないとお分かりになると思います」
 ノートパソコンが広げられる。
「このビデオは、八月五日に撮影されたものです」
 一つのファイルがクリックされ、動画が始まった。
「本来、コンクリートを打ったらバイブレーターでエア抜きをする。そう、ここにバイブレーターは準備してある。見て下さい。ムシュウ・コリオリが自らコンクリートの受入れ検査をしています。そう、これです。パイプから入るコンクリートにです。早送りします……ここでも自ら検査しています。ここでも……。そして打設が終わるとムシュウ・コリオリが現場を離れます。すると……」
 コリオリが離れたのを見た男達は、サッサとバイブレーターを片付け始めた。
「これは、ムシュウ・コリオリの責任ではないでしょう。バイブレーターでのエア抜きが五分や一〇分で済む作業ではないのは、ご存知でしょう。そしてここ、レイタンスの除去をせずに……」
 パスツールが口を開いた。
「なぜこんなビデオを」
「中国の現場の速度があまりに早いためです。我々としても、そんな工法があれば……と思って超望遠で撮影したのですが、結果はこれです」
 櫻井の声が穏やかに変わった。
「日本では、リオン(ライオン)でも体内の寄生虫には勝てない、と言います。ハフルーにこんな寄生虫が住み着いてしまっているのです」
 パスツールがため息をついた。
 エグゼクティブの一人がマオの写真を指で突いて口を開いた。
「この様な寄生虫の除去もできるのかね?」
「可能です。条件次第ですが」
 ドワーフ社のエブゼクティブ達にざわめきが広がる。
「条件とは?」
「今後のメンテナンス。フィルター等の消耗品の納入を含め、全て弊社に指名を頂きたい」
 ここで若干の損金を出しても長期にわたって収益を上げる計算だ。
「太いパイプがあると伺っております。特に建設大臣のサダーム氏と」
 エグゼクティブの一人が口を開いた。
「見積もりは、いつ出せるかね?」
「準備しております」
 新たなフォルダーを取り出して香坂に渡し、香坂がパスツール達に配る。
「ほう、ずいぶん早いな」
 櫻井が穏やかな声で言う。
「遠からずシノワ(中国人)は消えるでしょう」
「ムシュウ・サクライ。やり方はどうするのか?」
「このデータについては、自然な形で伝わるように準備してます」
「自然な形……か」
「御社に御迷惑をかけることは決してないでしょう。正体不明の密告者……いや、これ以上申し上げるのは野暮でしょう」
 パスツールの視線が香坂に向かう。
「マドモアゼル・ユイ、あなたはどう思うかね?」
 香坂の笑顔がパスツールに向いた。
「さぁ、私には分かりかねます。フィアンセの所へ旅行しただけですから」
 パスツールの顔がわずかな緩みを見せた。
「マドモアゼル・ユイ。君はサァケ(日本酒)のようだ。甘く口当たりは良いが、裏には炎が潜んでいる」
「パシオン(情熱)だけは、負けまいと思っています」
 パスツールが相好を崩した。
「この仕事が成功したら本物の日本料理を一緒に食べたいものだな」
 コロコロと笑いながら香坂が答える。
「ウィ、ムシュウ・パスツール。オテル・ニッポン・ド・パリのレストロン鍾馗はいかがですか? この季節は、鮎とよく冷やしたヴィンセック(辛口)のサァケが美味しいと思います」
 鍾馗は、格調ある和食レストロンとして有名だ。うかつに注文すれば、四〇〇ユーロは軽く吹っ飛んでゆく。TAV(消費税)が二〇%にもなるフランスでは、とんでもない高級店だ。
「アユの噂は聞いたことがある……セル(塩)でローストする魚料理だと。だが、魅力的なポットゥ・ヴァン(一杯のワイン=賄賂)だな。ムシュウ・ミヤジマ、サインはどこにすればいいかね?」
「サインは、中国人が消えた後の再入札でお願いします」



6 地中海の朝

 アル・ハミース(木曜日)の昼前だった。マジド達がまた事務所にやって来た。
「マジトさん、ちょうど良かった」
 坂口の声を制するようにマジドの声が上がった。
「サカグチ、公共の場での露骨な愛情表現は好ましくない」
「お耳が早いですな」
「我が情報部は遊んでいる訳ではない。だが、今日はお前達に聞きたい事がある。正直に答えろ」
「私もお話ししたい事がありましたので好都合です。おい、植田」
 植田に視線を飛ばした。
「どうぞこちらへ」
 植田がマジドを会議テーブルに座らせると、フォルダーに挟まれた写真を広げ、その一カ所を指さした。
「これを見て下さい。そう、この丸の付いた所です」
「何だこれは? 何の意味だ」
「猪、この文字は中国語で豚の肉を意味します。そしてココ、先日の瓶と同じマークのビンがあるでしょう」
「お前達は隠していたのか!」
「違います。大きく引き延ばしたら気が付いたんです」
 植田が言い放つ。
「本当か? 嘘ではないのか?」
 植田が堂々と受けて立った。
「私の曾祖父は、大戦の時にヴェトナン(ベトナム)でフランス軍と戦った勇士です。その名誉は汚しません」
 日本でこんな発言をすれば極右呼ばわりされかねない。だが世界ではスタンダードで、特に旧宗主国の名前を出すのは効果的だ。
 マジトの顔が僅かに緩んだ。
「私の祖父もフランスと戦った。ロファクァーウ・キファーホンだ」
「ロファクァーウ・キファーホン?」
「知らないのか? 一緒に戦う仲間の意味だ。日本語にはないのか」
「日本語では戦友と言います」
「センユゥーか……よしセンユゥー、話を聞こう。全部だぞ」
 今まで掴んだ情報をリークするが、話はメダカにクジラの尾鰭を付けたように膨れ上がっていた。
「見て下さい。作業員の現地雇用をせず、自国から連れて来ているし、食料品も、この国の旨い野菜や肉を買わず中国製です。工事が終わった後は間違いなく居座ります。アフリカでもそうです。あいつらは寄生虫と同じです」

「戻りましたッ! 異常ありません」
 大声と供に入ってきたのは朝倉だった。
「あれッ?! マジドさん、もうすぐズフル(昼の礼拝)ですが、大丈夫ですか?」
 全員が時計に目をやる。ズフルに合わせて昼食の時間だ。作業終了を示すサイレンが鳴り、続いてズフルを呼び掛けるアザーンが響く。
 数人の現地雇用員が席を立つ。隣室は簡易礼拝所となっている。
「こちらへどうぞ」
 朝倉は隣の部屋へマジド達を連れていく。部屋に入る。キブラ(礼拝方向)すなわちカアバ神殿の方角を示すのはハフルーの国旗だった。
「これをお使い下さい」
 そういうと簡易礼拝所のスチール棚にいくつも置いてある礼拝用の小さなじゅうたんを取り出し、マジド達に配った。
「私はこれで失礼します」
 そういって朝倉は部屋を辞した。

 しばらくするとマジドたちが事務所に戻ってきた。朝倉が口を開く。
「マジドさん、昼食は? もしよろしければ、ここの食堂を検査されてはいかがですか」
「検査?」
「そうです。検査です。皆さんもいかがですか。我々が全てにおいてシャリーアを順守しているのを確認していただきたいのです」

 食堂に入る。今日のメニューは、トウガラシの効いた魚のフライが乗ったビリヤーニだ。
「うむ、なかなか旨い」
「調理長のイフサーンが、良くやってくれます」
 やがて、現地の作業員達や日本人技術者達がプレハブの食堂にドヤドヤと入ってくる。食堂に汗の匂いが立ちこめる。幾人かは、入るなり壁際に何台も並んだサーバーからペプシコーラやセヴン・アップを大きな紙コップに注ぎ、グビグビと飲み干す。一人の若者が大きなゲップをすると周囲に笑い声がおこった。テーブルのピタを摘み、冷水で流し込む者もいる。乾ききった体を砂糖を含んだ飲料と塩の効いた料理で補う、暑さで落ちてゆく食欲を香辛料で刺激する。料理は気候が育む。

「あの靴は何だ?」
 マジドが指さす先は、アラビアサンダルではなく安全靴を履いた作業員の足だ。
「日本人は靴まで売り付けて稼いでいるのか」
 植田が声を上げた。
「まさか! ここに採用された者には無料で支給しています。ヘルメット等の安全具とともに」
「無料だと?!」
「そうです。妻子を持つ者は、稼がねばなりません。独身の者もいつかは妻を娶り子を成すでしょう。でも怪我をしては働けません。それは不幸です。ですからそれを防止するためなのです。ハフルー人と日本人は、シルクロードの西の端と東の端に別れて住んでいますが、同じアルタイの兄弟です。兄弟の不幸を願う者はおりません」
 アラビア風の麗句を並べて言葉をつなぐ。
「ここから送り出される水は、母の乳のようにハフルーの人も作物も大地も潤し、同じ乳を飲む兄弟のように育ち、この国を栄えさせ、皆が幸せになるのです」
 マジドが少し考え込んで口を開く。
「ウエダ、お前の言うとおりだ。皆が幸せになる。アッラーの思し召しどおりだ……。分かった。協力を感謝しよう。だが、今日の事を他言したら鞭打ちの刑になる」
 植田の強い声が響く。
「そんな心配は無用です。我々は、約束を守る事を大切にする民族です。日本人は約束を守ることに命をかけています」
 そう言って右の拳を左腹に当て、右に動かした。
「オオッ! ハラキリ。知ってるぞ」
 そう言うとマジド達は食堂を出て行った。ハッタリが効いた。

 翌日のアル・ジュマア(金曜日)はシャバット、すなわち安息日で休日だ。一部の過激な者は、救急車の運行すら止めよと言うシャバットにも関わらず、第二の現場へ向かう軍用トラックの一団があった。
 そしてアッサブト(土曜日)の朝、第二プラントの現場に中国の旗は掲揚されなかった。

 数日後、第二プラントへも参加する事が決定し、全員の歓声が上がった。
 プライムであるドワーフ社の立会いのもと、申し受けのために中国の工区に入った。だが、中国人は一人もいなかった。
 事務所だったプレハブに足を入れると床にバーベキューソースをブチ撒いたような染みが幾つもあり、散らばる薬夾が鈍く光り、室内は血と大便を混ぜたような悪臭が漂う。室内にはドワーフ社の関係者以外にマジド達まで居た。
「許されない事をすれば罰を受ける。良く覚えておくがいい」
 マジドは、そう言い放ち周囲をねめつける。朝倉が震え声で口を開いた。
「ビスミッラーヒル・ラハマーニル・ラヒーム(*4)……」
 (慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において)
「……イザー・ジャーア・ナスルッラーヒ・ワル・ファツフ……」
 (アッラーの援助と勝利が来て)
「……ワ・ラアイタン・ナーサ・ヤドフルーナ・フィー・ディーニッ・ラーヒ・アフワージャー……」
 (人々が群れをなしてアッラーの教えに入るのを見たら)
「……ファ・サッビヒ・ビ・ハムディ・ラッビカ・ワ・スタグフィルフ……」
 (あなたは主の栄光を誉め称え,また御赦しを請え)
「……インナフー・カーナ・タウワーバー」
 (本当に度々赦される御方である)
 朝倉の朗唱が終わった途端マジトが破願し、ハグして頬を押しあてる。
「アサクラは感心だ! 皆も見習え! アサクラ、困った事があれば言ってくるが良い」
「アル・ハムド・リッラー」(神に感謝を)
 震え声で何とか返事をした朝倉を満足げに見たマジドは踵を返し、いつもの様にズカズカと部屋を後にした。
「朝倉ァ、練れてきたなァ! とっさにアレが出るなんざ大したモンだ!」
 喜色満面の坂口に肩を叩かれたが、朝倉の玉袋はキーウィーのように縮み上がったままだった。

 坂口の帰国の日だった。
 いつものようにベッドの下の安全靴を逆さにして振り、中にサソリがいない事を確かめて足を通す。夜の間にサソリが靴の中に入るのは珍しくない。
 壁に掛けてある安全帯とヘルメットを身に付けると、まだ暗い中をプレハブ宿舎から出た。
 クレーンの階段で安全帯のロープを掛け、鉄階段を上がる。闇の中にカンカンと安全靴の音が響く。
 やがてアザーンの声が朗々と響き渡る。ファジュルの祈りが止む頃には、西に広がる地中海が朝日を受けてキラキラと輝く。不意に尿意を覚え、手すりの間から地中海に向かって放出する。地中海のきらめきとシンクロするようにキラキラと輝きながら落ちて行く液体を眺め下ろした。

 朝食後、坂口を空港まで送った。朝倉の顔にわずかに曇りがあるのを坂口は見逃さなかった。
「どうした? 気になるコトでもあるのか?」
「いえ……何か……タオがちょっと可哀想な気がして……」
 坂口の顔が緩む。
「お前が気にするコトァない。ケンカを売ってきたのはチンクだ。いいか? 俺達が知らないだけで、今日も誰かの命日だし、地球の上では、今もどこかで葬式やってンだぞ」
 ダンディー坂口の笑顔が広がり、朝倉の肩に手が掛かる。
「そんなコトより、マジドのキンタマを上手く掴んだな。上出来だ。社長賞とボーナス、期待しておけ。休暇、近いンだろ?」
 そう言って朝倉の肩を強く叩き、出国ゲートへ消えていった。
 見送る朝倉の顔はボーナスを想像してか、来週からの約一ヶ月の休暇を思ってなのか、自然と笑顔になっていた。

*4 クルアーン第110章 援助 第1~3節



7 柔らかな風の中で

 柔らかな風の中で……師走

 坂口の帰国した翌週、朝倉にも待望の休暇が来た。申し送りもそこそこに機上の人となった。

 東京湾の上空を大きく旋回する飛行機の窓からは、ビル群や緑に覆われた日本の大地が見える。ランディングギアの下りる微かな振動が伝わり、小さな衝撃に続きゴトゴトと揺れる振動、逆噴射とブレーキングのマイナスGでシートベルトが腹に食い込む。日本の地に脚が付いた。

 入国審査を過ぎ、空港のロビーへ出る。柔らかく、しっとりとした湿度を持つ日本の空気が体を包む……いや、日本の空気に抱かれる、そんな気がする。携帯の電源を入れる。一瞬躊躇したが妻より先に会社へ電話をかける。
「朝倉です。成田へ着きました」
「おお、朝倉。お疲れさん。部長がお呼びだ。何時に来れる?」
 腕時計に目をやり、ダメ元で口を開く。
「タクシーなら一時間ちょっとで……」

 海外事業部のオフィスに入ると口々に労いの言葉や軽口が飛んできた。朝倉も軽口を叩きながら私金立替払いの請求用紙を書き、タクシーのレシートをクリップで止める。秘書室に電話を入れ部長のアポを求めると、すぐ来いのコールが掛かった。
 部長室のドアをノックする。カミカゼ・サカグチではなく、ダンディー坂口の笑顔があった。
「さっそく出たぞ」
 そう言って渡されたのは、「社長賞」と書かれた封筒だった。
 私金立て替え払いの用紙に印鑑をもらって部長室を辞し、ほくほくとした笑顔でトイレに入リ、個室で丁寧に封を開けた。紙幣を数え、半分を財布に突っ込み、丁寧に封を直すと内ポケットに入れる。
 経理に寄り、私金立替払い用紙を提出してオフィスに戻る。いくつかの書類に目を通してサインを入れ、お待ちかねの休暇等予定表を画面に呼び出してプリントする。休暇・代休は三十六日と記されていた。

 電車が贅沢な程のインフラに包まれた街を通り抜けてゆく。やがて自宅のある駅に着き、迷うことなくタクシーに乗った。
 自宅の呼び鈴を押す。
「はぁ~い」
 妻の声がインターホンから聞こえ、鍵を外す音に次いでドアが開いた。玄関に入ると後ろ手にドアを閉じる。
「お帰りなさい」
「ただいま」
 わずかな会話が交わされ、軽く唇が重なった。
「あれ? 子供たちは」
「由美は図書館、弘樹は友達と釣りに行くって言ってたわ」
「そうか」
 寝室でスーツを脱ぎ妻に渡す。日本に帰ってきた実感がわく。
「風呂、入りたいな」
 まずは風呂だ。日本は風呂だ。日本の風呂はドラム缶一本分、一か月も生命を維持できる量の飲用水を温めた風呂は日本では贅沢ではない、普通だ。日本の普通がそこにあるのだ。
「はいはい」
 そう答えた妻が横を通りかかったとき、髪の香りが鼻に伝わった。その瞬間、体の中の野獣が雄叫びをあげた。
「玲子……」
 そう言って妻を後ろから抱きしめ、ワンピースのファスナーを引き下ろしてベッドに押し倒した。
 剥ぎ取るよう様に下着を取り、下半身に手を置く。手のひらに丘を飾る茂みの柔らかな感触。曲げた指には、まだ潤いのない襞の感触がある。強引に押し当てていた唇が吐息とともに緩むと舌が絡む。
 唇が肩から双丘に降り、先端を舌先で転がす。やがて唇がさらに下降し、茂みが飾る丘から太ももに寄り道をして襞に触れる。かすかな尿臭が鼻につたわるが、一度唇を押し当ると気にならない。舌が緩く閉ざされた襞をかき分け、その下に隠れる小さな突起を掘り起こす。やがて唾液か潤いか判別がつかない液体が襞を覆い、入口の戸までも開かれていった。
 姿勢を変えると一挙に突入した。突起部が釈迦もブッダもムハンマドも、いや、全ての人類が通り抜けてきた奥の宮に到達した瞬間、高圧パイプにクラックが入った様な激しい噴出が拔去する余裕もなく始まった。
「あ、あなた……」
 内部で噴出を感じたのであろう。だが、一回目の噴出が終わっても硬度は緩むことはなかった。「半年ぶりだから」と囁き、更なる抽送を開始した。
 やがて指も舌も何かを探りだす様に絡み、二人の腰が複雑な曲線を描くと回転速度が上がる。二度目の噴出の後、ゆるやかに硬度を失った突起部が内圧で押し出された。

「……子供たち帰ってくるから……」
 そう言ってベッドから降りる妻の後を追い、ハンガーに掛けられたスーツの内ポケットから封筒を取り出した。
「これ」
 そう言って社長賞と書かれた封筒の封を乱暴に開けた。
「結構入っているな。少し貰っていい?」
 数枚の紙幣を抜いて封筒を妻に渡した。

 その夜は、家族で近所にある高校の同級生が営む寿司屋へ行き、寿司と刺身に現地では御禁制のビールや日本酒をたらふく呑んだ。
 そろそろ、と思った頃「おい啓介」そう言って軍艦巻きが置かれた。
「サービスか?」
「バカ野郎」
 と言って手招きをすると、カウンター越しに朝倉の耳に口を寄せ「アワビの肝だ。これを喰えばギンギンだぜ」と小声で言った。
 友人が、男子校のノリが、生まれ育った日本が、祖国が、ここにあった。
 その後も夜毎に妻の温もりを肌に感じ、週末には子供たちと水族館や遊園地に行き、あっという間に三十六日は過ぎた。

 次の帰国は、師走も押し迫った頃だった。
 数年ぶりに日本で正月が迎えられる。そんな喜びに沸き立つ朝倉に妻から一通のメールが届いた。そこには「 ♡ お話があります ♡ 」とあった。
 成田空港から会社に寄り道をし、自宅のドアを開ける。いつもの妻の笑顔があった。玄関で唇が軽く触れると一部は臨戦態勢となった。吶喊突撃を敢行すべく寝室に妻の手を引いて入り、スーツを脱ぎ捨てた。
「ちょっと待って」
 そう言って妻がベッドの横のローチェストから何かを取り出し、差し出した。母子手帳だった。男はベッドに腰かけ、両手を妻の腰に回すと腹に口を近づけ声をかけた。
「おーい、お前も元気か?」
「元気よ」
 そう言う妻の声に照れ笑いのような表情を浮かべた。
「安定期に入るまでは……」
 臨戦態勢の突起部が妻の口の中へ納まリ、温もりが伝わる。
 窓の外には華やかな初春を待つ師走の風が舞っていた。


その2 柔らかな風の中で……初夏

 おだやかに晴れた土曜日。ツタに覆われた古い教会に続くレンガの階段には、ざわめく人々の列があった。
「信じらンないッ! 何であの子なのよ!?」
「マジ肉食系?」
「ゲイじゃなくってロリコンだったとはなァ」
「犯罪者だ、犯罪者」
「オヤジキラーの腕は確かだったってコトだ」
「でも選りに選ってアレだぞ」
 教会の鐘が高らかに響き、正面の扉が開かれると照れ笑いを噛み殺したような新郎と満面の笑顔の新婦が現れ、拍手と歓声が興る。
 フラワーシャワーの中、階段を進む二人を祝福するように柔らかな初夏の風がブライダルヴェールとミツコの香を揺らした。

Fin

花と実弾(後編)

執筆の狙い

作者 御廚年成
M014011161224.v4.enabler.ne.jp

御高覧を感謝いたします。
1 最後まで読む事が出来たでしょうか。 読むのを止めた箇所・理由を御教示下さい。
2 風景・情景等についてイメージできたでしょうか。
3 登場人物・セリフが多めです。
(1) 人物の識別は容易だったでしょうか。
(2) 読み進めるのを阻害しませんでしたか。
4 場面転回での混乱はなかったでしょうか。
5 その他、御指導いただける事は何でも。

何卒、厳しい御指導を賜れます様、お願い申し上げます。
フィーアマニッラァ(神の御加護があなたにありますように)。

コメント

えんがわ
M014008022192.v4.enabler.ne.jp

はい。さっそく……
読みました。

前半後半を通して、地球半周というか、ロングトリップしたような体験でした。
それは異国の雰囲気とか習俗とかにふれた楽しさもありますし、同時に良くわかんないまま終わってしまった感じも実はあります。

良くわからなかったのは、自分はそこまで真剣に読めなかったのと知識不足が大きいです。
ただ、書き方にも、少し原因があった気がします。

本題として物語が進んでいく中で、なんか装飾として使われる異国の知識、豆知識的なモノとかが、ちょっと多すぎて、その本筋の物語の流れがわからなくなってしまったところがあった気がしました。


パリでのエグゼクティブとの交渉シーンが、緊張感があって好きです。
それは文のテンポが良いのがあって、それはそこまでの落差もあるのですが。
逆を言うとそれ以外の交渉のシーンとかで、なにかその国の豆知識的なものを入れすぎて、それが却ってわかりやすさを無くしてしまったり、回り道として緊張感を削いでしまった部分はあるような。
ここらへんは感覚なんですけど。

といってもその豆知識自体が面白いのもあって、誰にとっても100%ヒットする知識を用意することは不可能だし。
だからそれを読ませるという点では、アリだと思うんです。
ちゃんと年成さんだから語れるような知識となっているのも、なんか多くの作品から一つ頭を抜け出すような魅力的な面ですし。

でも、やっぱり、多いかなって気がします。
あれ? これ要る? とか思ってしまった瞬間に、なんで読んでるんだろう。とか冷める部分もあって。

ストーリーを読ませるか、異国の雰囲気を伝えるのか、上手いこと両輪が絡めば、敵無しなんでしょうけど。


あとは、なんか前半のイスラムの性風俗と同じく、日本に帰ってからのベッドシーンは自分にはキツカッタです。
エロく感じなかった。なんか脂っこく感じた。
それは世代の価値観もあると思うし、自分自身の価値観との落差が大きいのかな。
もうちょっとソフトタッチで秘めた方が、ソソルンデスヨネ。
香坂さんの、「ですよぉ、それでぇ」みたいな喋り方も、やっぱりちょっとウザく感じてしまうのが自分でした。

そこは女性の書き方次第なんだと思います。
これが上手く自分とマッチしたら、なんかとても好きな作品になると思うんですけど。
でも、あれ? 書き方というよりも、やっぱ言ったようにその前の価値観という所で断絶がありそうだから、難しいのかな。


でも、好きな作品でしたです。

海外を旅した感じ、「なんだなんだ」とちょっと自分自身わからずに回ったところもあるけど、主人公の帰国と共にほっとした、心地いい疲れがありました。

単純に、こういう作品、他では読めないっす。自分の知る範囲では御厨さんしか知らない。代わりを選べない。だから貴重な体験なんです。

ありがとうございました。

御廚年成
M014011161224.v4.enabler.ne.jp

えんがわ 殿

さっそくの御高覧を感謝いたします。また、返信遅延を心よりお詫び申し上げます。

>題として物語が進んでいく中で、なんか装飾として使われる異国の知識、豆知識的なモノとかが、ちょっと多すぎて、その本筋の物語の流れがわからなくなってしまったところがあった気がしました。
 余分なものが多かったかもしれません。異国情緒をどう表現するか、という所で足踏みをした結果かもしれません。

>ストーリーを読ませるか、異国の雰囲気を伝えるのか、上手いこと両輪が絡めば、敵無しなんでしょうけど。
 理想ですね(笑)だが筆が追いつきません。精進いたします。

>日本に帰ってからのベッドシーンは自分にはキツカッタです。
 実は、お笑いとして挿入した場面でもありました。現金で渡された社長賞を会社で中抜きし、妻の目の前で封を乱暴に開けて証拠隠滅を図り、さらに抜くセコいサラリーマンを書いたつもりでしたが

>香坂さんの、「ですよぉ、それでぇ」みたいな喋り方も、やっぱりちょっとウザく感じてしまうのが自分でした。
 オッサン集団の中の「異物感」を出したくて書いてみたのですが、正直自分の中でも異物感がありすぎの気がします。

>でも、好きな作品でしたです。
 ありがとうございます。そう言って頂ける筆を練る様に短連に励みたいと思います。

>単純に、こういう作品、他では読めないっす。自分の知る範囲では御厨さんしか知らない。代わりを選べない。だから貴重な体験なんです。
 逆に言えば私にはラノベを書く筆がありませんので、このパターンに固執しているだけかもしれません。以前「異世界資源開発」の仮題で書き始めたのが、ハードディスクの奥に眠っています(笑)。

言い訳めいた返信になったしまいました。
貴兄の御健勝御健筆あらんことを心より祈念申し上げます。
ありがとうございました。

カルナック
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楽しませていただきました。

1 もちろん、最後まで読んだ。
 前編を読んでから、続きが待ち遠しかった。
2 風景・情景等はイメージしやすかった。くどくどしていなく、ポイントを押さえて書かれていると思った。
3(1) 容易だった。
 (2) 阻害されなかった。
4 特に混乱はなかった。地名、空港などの施設名を覚えるのが苦手なひとは戸惑う部分があるかもしれないが、作者がそのレベルに合わせて書く必要はないと思う。
5 香坂の口調がやや、わざとらしく感じられる。香坂にやられたオヤジたちの表情が、一様に『表情を緩めた』で表現されているので、またか、と思った。


タイトルが良かった。読む気を誘われる。作者さんの過去作で、タイトルに『24時間戦えません』とつくものを以前読んだが、その作品は内容は面白かったが、タイトルはいまいちと感じていた。今回は作品の顔として相応しく感じる。
ここまで実弾をぶっ放す元気が、現在の日本にはあるのだろうかと考えると、ちと裏寂しくなるね。

イスラム世界や諸外国の蘊蓄、これはぜひ削らないでほしい。これがあるからこそ、面白いと感じる読者も多数いると思う。わたくしはそうである。

地中海に向かって放出するシーンはストーリーのピークとして良い場面だった。心に残る。

小説の基礎構造がしっかりしているので、読み進めるのがラク。鍛錬作を読んでる感はなく、ただ、面白かったという読後感。惜しむらくは、ボリューム。少々物足りなかった。この内容なら、200枚以上でお願いしたいものです。

カルナック
softbank126243086248.bbtec.net

書き忘れ。
上で作者さんもふれている社長賞の件。
笑った。
スケールの大きな仕事をしていても、やっぱりそこはサラリーマンだね、と。

カルナック
softbank126243080000.bbtec.net

何度もすみません。

前半を読んでいて、軽い引っ掛かりを覚えたところを思い出した。
香坂がディナーの前にミツコを胸元にたっぷりスプレーするところ。

ミツコはかなり濃厚な香りなので、フォーマルな席であればあるほど、ディナータイムにはつけないかと。料理の邪魔になるので。(ついでに言えば、わりと年配向けのパルファム)。つけるなら、ナイトラウンジ以降ではないだろうか。
とはいえ、フランスの名香なのでやはり演出に使いたいっすね。
ディナータイムに使わせるなら、腰から下、膝の裏とか足首あたりにワンプッシュ。これなら、香りがほのかに立ちあがるので大丈夫かと。挙式の時は周囲に漂ってもオッケーだね。
知識自慢みたいですんません。
食事中にあの香りに辟易したことがあるので、つい。

大丘 忍
ntoska043001.oska.nt.ngn2.ppp.infoweb.ne.jp

後半も読みました。ハードボイル風の文体が好きですね。

社長賞の件は笑ってしまいました。妻と離れての単赴任。久しぶりの逢瀬となればそのようになるのは当然でしょう。私にもわずか二週間ですが、丹後の病院に行かされ妻と離れた経験があります。妻の体が恋しくて帰ったとたんに同じようなことをした覚えがあります。ここでは大丘 忍はエロ爺と言われておりますが、その通りかもしれません。
我々の知らない中東でのビジネス。私にはとてもこんなことは出来ないですね。蛇足ですが、大学の工学部に入ってから、サラリーマンには向かないと思って医学部に代わったのは良かったと痛感しました。

御廚年成
M014011161224.v4.enabler.ne.jp

カルナック 殿

御高覧、御高見を感謝いたします。

>楽しませていただきました。
>前編を読んでから、続きが待ち遠しかった。
 ありがとうございます。そう言って頂けると作者冥利に尽きます。


>香坂の口調がやや、わざとらしく感じられる。香坂にやられたオヤジたちの表情が、一様に『表情を緩めた』で表現されているので、またか、と思った。
 脂っこい男達の中の異物感を持たせるのと、誰のセリフかを明確にするために行いましたが、評判は良くないですね。次からは別の手法を考えます。


>タイトルが良かった。読む気を誘われる。作者さんの過去作で、タイトルに『24時間戦えません』とつくものを以前読んだが、その作品は内容は面白かったが、タイトルはいまいちと感じていた。今回は作品の顔として相応しく感じる。
ありがとうございます。花(女)と実弾(賄賂・脅迫)


>ここまで実弾をぶっ放す元気が、現在の日本にはあるのだろうかと考えると、ちと裏寂しくなるね。
 今日も世界中で実弾をブッ放している男達がいます。安定した資源、安価な輸入品、低廉な工場の確保で世界中で汗を流しております。
 また、輸入品の99%以上は海を渡ってきます。その海の安全を守る男達もいます。
 https://www.facebook.com/mod.japn/videos/470471660250959/
 テレビでは放送しませんが……。


>イスラム世界や諸外国の蘊蓄、これはぜひ削らないでほしい。
 そう言って頂けるのは、ありがたい事です。


>地中海に向かって放出するシーンはストーリーのピークとして良い場面だった。心に残る。
 ここを読み取っていただけたことは、「感謝・感激」です。
 高い所からの立ちションは男のロマンですよね。


>惜しむらくは、ボリューム。少々物足りなかった。この内容なら、200枚以上でお願いしたいものです。
 これについては、長い筆を持てるように精進いたします。


>笑った。
>スケールの大きな仕事をしていても、やっぱりそこはサラリーマンだね、と。
 やっぱり、小遣いの確保は大切ですよね。


>ミツコはかなり濃厚な香りなので……
 「柔らかな風の中で……初夏」のヒントのつもりで書きましたので、完全に失念しておりました。
 初夏の部分は、人名を一切出さず、でも人名が判る。ちょっとした実験のつもりで書きました。
 ご指摘ありがとうございます。


次は中東以外のサラリーマンとジュブナイルを温めております。
もしお目に止まりましたら、御指導御鞭撻を賜れる様お願い申し上げます。
貴兄(で、宜しいですか?)の御健勝を心より祈念申し上げます。



追伸
あまり褒めても、何も出ませんよ(笑)
でも、どこかでお逢いした時は、最初の一杯は奢らせて下さい。

御廚年成
M014011161224.v4.enabler.ne.jp

大丘 忍 殿

御高覧と御高見を感謝いたします。


>後半も読みました。ハードボイル風の文体が好きですね。
 ありがとうございます。

>社長賞の件は笑ってしまいました。
 ちょっと摘みたくなるのは男の習性です。


>妻と離れての単赴任。久しぶりの逢瀬となればそのようになるのは当然でしょう。
>ここでは大丘 忍はエロ爺と言われておりますが、その通りかもしれません。
 「人は、ハメマラで老いる」とある高僧から伺ったことがあります。
(うろ覚えですが)
 歯:噛む、なにかを手に入れたいという思い
 眼:見る、なにかを知りたいという思い
 魔羅:欲望、なにかを成し遂げたいという思い
この3つを失った時に人は老いるそうです。
歯をむき出して目を開き魔羅をオッ勃てて進みましょう。インポ野郎に用はありません(笑)


>大学の工学部に入ってから、サラリーマンには向かないと思って医学部に代わったのは良かったと痛感しました。
 昔、クレイジーキャッツが歌ったとおり「サラリーマンはァ~気楽な稼業ときたもんだァ~」を地でいっております。


寒さ厳しき折、何卒御自愛下さい。

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