作家でごはん!鍛練場
松岡修子

連作短編 もしもシンデレラの前に 裏話 後日談

【もしもシンデレラの前にあの熱い男が現れたら】

 シンデレラの前に異国風の青年が現れた。浅黒い肌のちょっとのっぺりした、でもちょっとハンサムな東洋風の青年だ。ここはシンデレラの暮らす屋敷のキッチン。朝食の準備ができたので、シンデレラはこれから皆を呼びに行くところだった。
 青年は脚を大きめに開き、少し膝を曲げて腰を落とし、やや前のめりの体勢になる。と同時に指を開いた両腕の肘を軽く曲げ、それを約九十度左右に広げた姿勢のまま、真剣な表情で尋ねた。十本すべての指先にも強い力が込められている。
「ねぇ、シンデレラ。君が幸せになるための方法は?」 
「何もありません……」
 彼女は絶望していた。彼は真顔で問いただす。
「ちょっと待って。今……なんて言った? おいシンデレラ! 今なんて言った!?『何もない』!?」
 驚いたように彼は問う。
「どうせ、何をしたってダメなんです……」
 彼女はすでにこれまで、いろんな努力を重ねてきたのだ。
「『どうせダメ』、とか言ってる間は、ずっとダメなんだよ!」
 彼は彼女を叱咤する。
「何も思い浮かばない……」
 もう思いつく限りのことはしてきたのだ。だけど、どうしても幸せにはなれなかった。
「考えろよ! もっと考えろよ!」
 彼は熱く励ます。
「本当に、何もない……」
 彼女は学習性絶望感に陥っていたのだ。
「ないことない。ないなんてことはない! どこかにあるはず、探そうよ!」
 彼は熱く熱(あっつ)く励ます。だけど、現実的な努力なんて、何も実らなかった。どんなに一生懸命働いたって、幸せにはなれなかった。家族からはこき使われ、あしざまに言われるだけだった……。だからシンデレラは、こんな夢みたいなことを口走ってしまったのだ。
「王子さまと結婚して、お妃さまにでもなれたら……」
「ほらあるじゃない! ほら見ろ! あるじゃないか!」
 これが幸せになる方法? こんな夢みたいな話が? だけどこれを夢でなく、現実のものにするには……。シンデレラは具体策を考え始める。なんだか愉しくなってきた。
「王子さまと知り合うために王子さまに会いに行けば、もしかしたら……。見初(そ)めてもらうために綺麗におめかしして行けば、もしかして」 
「そうだ!」
 彼は笑顔で力強く頷き、彼女に自信を与える。それから声のトーンを下げ、ゆっくりと質問した。
「どうやって、王子さまに会いに行く?」
 さらに具体的に考えるよう導くためだろう。
「友達が運び屋だから、頼めばきっとお城まで、私を馬車で運んでくれる」
 そうよ、レオンに頼めば良いわ。
「そうだ、作戦を立てておくんだ! もっと!」
 彼は笑顔で力強く同意し、自信を与え、さらに励ます。
 シンデレラは希望に瞳を輝かせ、「王子さまの好みについて、事前リサーーチ!」と人差し指をビシッと中空にかざした。
「はい。今、死んだ」
「え……?」
「今、君の気持ち死んだよ。『どうせ何をしてもダメ』ってあきらめてしまってた君の気持ちは死んだよ」
 もう、以前の私は死んだのね。今日から私は……。
「今日から君は、自分で考えて行動し、自分の手で幸せをつかみ取るんだ!」
 彼が力強い励ましの言葉をかけると、シンデレラが大きく頷く。すると彼は安心したように、爽やかな笑顔を残して消えた。こうして青年に熱く励まされたシンデレラは、秘めやかに密やかに行動を開始したのである。

「ああ、こんな手袋もう使えやしない!」
 指先部分がすり切れて穴の開いてしまった手袋を、お嬢さまはいまいましげにシンデレラの顔に投げつけた。パシッ。シンデレラの左頬が赤く染まる。
「捨てときなさい!」
 それは夏用のレースのショートグローブだった。
「はい、お嬢さま」
 このお嬢さまは、シンデレラの家の当主である男爵の後妻の連れ子である。ここはお嬢さまの居室。日当たりの良い広い部屋だ。シンデレラは唇を噛みしめ、床に落ちたショートグローブを拾うと、それをエプロンのポケットに入れた。
 外出のための着替えを済ませたお嬢さまは、その母親と男爵の三人で、湖畔へピクニックに出掛けて行った。シンデレラの作ったお弁当を持って。

 シンデレラは、こっそりとリメイク中だったドレスのリメイクに取りかかる。自分の魅力が最大限に引き立つように。これは、男爵の後妻に取り上げられていた母の形見のパーティードレス。そしてリメイクが完成すると、何食わぬ顔をして納戸のクローゼットに戻しておく。
 投げつけられたショートグローブは、第二関節あたりで指先部分を十本分、すべて切り落としてしまった。そして切り口がほつれてこないようにちくちくと細かく縫う。隠し場所は、枕の下。
 母の形見のアクセサリーは、何もかも男爵の後妻とその連れ子に取り上げられてしまっていたのだから、これくらいのことをしたってバチは当たるまい。

 シンデレラの母が亡くなるとすぐ、男爵は再婚した。男爵の後妻はシンデレラから、日当たりの良い広い部屋を取り上げた。自分の娘に与えるためだ。そのためシンデレラは、ばあやの住む屋根裏部屋に追いやられた。シンデレラは貴族の娘でありながら、下働きとしてこき使われることになったのだ。
 屋根裏部屋は使用人を住まわせるための部屋で、狭くて昼なお暗く、冬になるとひどく冷える。それなのに暖炉がないものだから、シンデレラはできるだけ重ね着して、ばあやと身を寄せ合って、粗末な堅いベッドで眠らなければならなかった。ばあやは掃除や洗濯や料理の仕方を教えてくれた。「家事がちゃんとできなくて、お嬢さまが叱られることがないように」と。
 亡き母は華奢な女性だったので、グラマーな後妻には亡き母のドレスが入らない。それでも後妻はシンデレラから、亡き母のドレスを取り上げた。シンデレラではなく、自分の娘に着せるために。
 だが後妻の連れ子は、「お古なんてイヤ!」と嫌がった。結局、母の形見のドレスは誰にも着られることもなく、いわゆる「タンスの肥やし」として納戸のクローゼットに無意味に吊るされたまま。
 哀れなシンデレラが成長し、これまでの服が着られなくなると、後妻はその「タンスの肥やし」の中からできるだけ地味で簡素な、木綿か麻の普段着を選んで、惜しみつつ投げ与えた。「高価なシルクや暖かなウールのドレスなんて、お前なんかにはもったいない」というわけだ。
 その地味で簡素なドレスを、ばあやが補正してくれた。ばあやはシンデレラのために、針仕事を教えてくれた。「私が死んだ後、服の補正ができなくてお嬢さまが困ることがないように」と。
 小さくなって着られなくなった服は、ばあやと二人でちくちくとはぎ合わせ、一枚の大きな布に仕立て直した。それをぼろぼろになった毛布の上に広げ、少しでも冬の寒さをしのぐために……。だが、そのばあやもとうとう亡くなってしまい、シンデレラは一人ぼっち。

「シンデレラ、今夜は遅くなるから夜食を作っておくように」
「はい、ご主人さま。食べごたえはあるけれど、おなかにもたれない『大きめ野菜のシチュー』を作っておきます」
「シンデレラ! 帰ってくるまでにバスルームを掃除して、ピカピカに磨き上げておきなさい!」
「はい、奥方さま。すでにお掃除用のお湯の準備もできております」
「シンデレラ! 私のヘアメイク道具一式の手入れをしておきなさい! 鏡もピカピカに磨き上げるのよ! もし、ヘアブラシに髪の毛が一本でも残っていたら、絶対許さないわよ!」
「はい、お嬢さま。必ず完璧に手入れをしておきます」
「シンデレラ! 私のヘアメイク道具一式もやっておきなさい!」
「はい、奥方さま。必ず完璧に……」
 シンデレラは彼らのことを、もはや家族だとは思ってなかった。男爵はもはや父ではないから「ご主人さま」、その後妻は赤の他人で母ではないから「奥方さま」、その連れ子も赤の他人で姉ではないから「お嬢さま」、と呼ぶことにしたのだ。
 彼らがシンデレラを家族として扱わなかったからだ。彼らは彼女を家族ではなく、下働きの娘として扱った。同じ食卓に着くことも禁じ、キッチンで皆の食べ残しを食べることを強いた。家族ならば当然与える愛情を、彼女に対してはひとかけらも与えようとはしなかった。だからシンデレラは彼らに見切りをつけたのだ。彼らは私の家族ではない、と。
 彼らがお城の舞踏会に出かけて行くやいなや、シンデレラは灰だらけのヘアキャップを頭から外して入浴した。大釜に沸かしておいた湯で、肩より少し長い髪と煤(すす)だらけの顔と白くほっそりとした体を丁寧に洗う。
 髪が乾くまでの間に美しくメイクアップ。すっかり乾いた波打つ髪は、エレガントな夜会巻きに結い上げた。シンデレラは毎日、彼女たちのヘアメイクをさせられていたから、ヘアメイクはお手のものだ。ヘアメイクが終わると、道具一式は野菜貯蔵用の麻袋に詰め込んだ。
 リメイクしておいたドレスに着替えると、取り上げられていた母の形見のアクセサリーを身に付ける。繊細な細工がほどこされたティアラとイヤリングとネックレスだ。
 それから納戸のクローゼットから亡き母の靴を取り出して履く。華奢ではあるものの、もうすっかり娘らしい体に成長していたシンデレラの足に、小柄ゆえに足の小さかった亡き母の靴は、あつらえたようにぴったりと合う。ドレスの共布で作られたその靴は、柔らかいから踊りやすいことだろう。
 最後に指先部分のないショートグローブをはめると、家の前で待っていた幌のないオンボロ荷馬車の御者台に乗り込む。夜食の用意もバスルームの掃除もしていないが、それがどうしたというのだ? 大きめの包みを御者台の少年レオンに手渡すと、彼は中身を改めてからそれを後ろの荷台に乗せた。
 シンデレラを乗せた荷馬車は、王子さまのいるお城へと走り出す。風を切って走る荷馬車にゆられながら、シンデレラはその肌に涼しい夏の夜風を感じた。すべては今夜のために用意していたのよ。このチャンスは決して逃さない……。
 国中にお触れが出されていたので、若い娘なら誰でもこの日だけはお城に入れた。たとえどんなにひどいオンボロ荷馬車でやってきても。たとえ御者がどんなにみすぼらしいやせっぽちの少年でも。

「エラ嬢、おなーりー!」
 ほかの娘たちよりもずっと遅れて夜ふけにやって来たエラは、誰よりも注目を集めた。母ゆずりの美貌、繊細で洗練されたアクセサリー、その華奢な体を引き立てるセンスの良いドレス、風変わりなショートグローブ。そして優雅な身のこなしと気品のある笑顔に人々は息を呑む。いったい、どこの国の姫君だろうか?
 王子さまはエラの前に進み出て歓迎のあいさつ。
「ようこそ、エラ嬢。私がこれまで独身だったのは、あなたに出逢うためだったような気がするのです」
「お待たせしました、王子さま。私が生まれてきたのは、あなたに出逢うためだったような気がします。逢いにくるのが遅くなったおわびに、今夜は朝までダンスのお相手を務めます」
 王子さまが優しくエラの手を取り、大広間の中央までエスコートすると、二人は優雅に踊り始めた。
「なんと軽やかなダンス。あなたの脚には翼が生えているのですか?」 
「亡き母に仕込まれましたの。母はダンスが得意でしたので」
「亡くなられたとは残念。一度お会いしてみたかった。あなたのように美しい方だったのでしょうね」
「母はもちろん美しい女性でしたが、何よりも美しい魂の持ち主でした」
「その美しい魂は、きっとあなたに受け継がれていることでしょう」
「ありがとう存じます。私は素晴らしかった母のような女性になりたいと、ずっと願っておりました」
 誰もが認める文句なしの美男美女のカップル、そして二人ともダンスの名手だった。王子さまのお妃の座を狙う若い娘たちでさえ、嫉妬心すら湧かない完璧なカップルだ。娘たちは彼女を妬むのではなく、「ほーっ」とため息をついて彼女に憧れた。

 初めのうち、シンデレラの家の当主と後妻とその連れ子は、「エラ嬢、おなーりー!」と聞いても、それが自分たちが虐げているシンデレラだとはわからなかった。家では彼女を『エラ』と呼ぶ者などいなかったからだ。彼らはエラのことを、「灰だらけのちっぽけな娘」という意味の『シンデレラ』というあだ名で呼んでいたからだ。そう名付けたのは男爵、つまりエラの実の父親だった。
 両開きの大きな扉が開き、大広間にエラがその姿を現したとき、どこかで見たようなドレス……。あれは……、シンデレラだわ! 母娘(ははこ)はわなわなと怒りに震えた。あの娘! あんな勝手なことを!
 男爵も驚いたが、シンデレラが美しかった亡き妻の若いころにそっくりだと気づいたので、邪心を起こした。もうすっかり娘になったな、そろそろ私が女にしてやろう……。  
 母娘は怒り心頭だが、王子さまの前でシンデレラを怒鳴りつけることはできない。貴族たるもの人前で、怒りの感情をむき出しにするのは恥ずべきこと。そんな醜態をさらすことは、王子さまに対するはなはだしく不敬な態度でもあるからだ。
 王子さまにすべてを暴露して、シンデレラに恥をかかせてやりたいが、なんと言えばよいのかわからない。「この娘はうちの娘で、下働きの娘としてこき使ってるんですよ」とは言えない。
「なぜご自分の娘をこき使っているのですか? なぜ貴族の娘を下女としてこき使うのですか?」と尋ねられたら困ってしまうからだ。母娘は悔しさに歯ぎしりするしかなかった。覚えておいで! 帰ったらタダではおかないから!
 十二時の鐘が鳴り始めた。エラはかまわず踊りつづける。魔法に頼っていないので、あわてて帰る必要などないのだ。
 若い娘たちは、王子さまのお妃になることなどとうにあきらめていたので、大広間から静かに退出し始めた。『美しい完璧なカップルを見せてもらった……』という感動と共に。
 あんな娘は夜どおし歩いて帰ってくるがいい! エラの魅力を決して認めることができない母娘は、彼女を置き去りにして帰ってしまう。男爵もエラを見捨て、妻子と共に帰宅した。
 十二回目の鐘の余韻が消えたとき、エラをお城まで運んできた荷馬車は静かに走り出す。一方その頃、エラの前に現れなかった魔法使いのおばあさんは、ぎっくり腰で寝込んでいた。

 エラはその夜、帰らなかった。彼女は王子さまと踊り始めた早い段階から、ダンスの合間にはバルコニーで、王子さまに辛い身の上をすっかり打ち明けていたのだ。
「では今日からずっと、ここで暮らすと良いでしょう。今後の生活に必要なものは、私がすべて用意しますから」
 王子さまは優しく、しかしきっぱりと約束してくれた。
「王子さまのハートを射止めることができたら、荷馬車には戻らない。でももし、王子さまのハートを射止めることができなかったら、十二時の鐘が鳴り終わるまでに戻ってくる。だから十二時の鐘が鳴り終わるまでは待っていて」。それが、御者台の少年レオンとの約束だった。
 十二時の鐘が鳴り響き、誰もが帰宅し始める中、二人だけは夢中で踊っている。見つめ合い、微笑み合い、二人は踊り明かした。ときどきバルコニーに出て、ダンスに火照った身体を冷たい飲み物でクールダウンさせながら、二人が語り合ったこととは……。
 悲しい過去の話はとうに終わり、二人はおたがいの素晴らしさを賞賛し合った。「自分は相手のどんなところに惹かれたのか?」という話は、第三者からすると気恥ずかしくて聞いていられないものだ。が、恋する二人にとっては大事な話である。どちらかがそれについて熱く語ると、もう片方はうっとりと耳を傾けた。
 そして、二人の幸せな未来についても自由に語り合う。
「子供はできるだけたくさんほしいのです。どの子にも十分な愛を注いで、大事に育てたいと思います」。王子さまは語った。
 エラはエラで、「自分の頭で考えて、自分の意志で行動できる子に育てたいんです。それから最低限、自分の身の回りのことは自分でできるように躾けたいんです」、とかね?

 舞踏会から帰宅したいじわる家族は怒り心頭だった。夜食が用意できてなかったからだ。もしや、とバスルームを確認してみると、掃除もできてなかった。まさか、と確認してみると、ヘアメイク道具一式が消えていた。一家は怒り心頭で、「シンデレラが帰ってきたら、どんな罰を与えてやろうか」と毒を吐きつづけた。

 舞踏会の翌日、一家は困った。
朝食がない。外食しようにも、ヘアメイクができない。貴族の女がヘアメイクを整えずに、出かけることなど不可能だった。領民に命じて食事を作って運ばせたが、シンデレラは正午になっても帰ってこない。またも領民に命じて、食事を作って運ばせた。用事を言いつけようにも、シンデレラはいない。夕食時になっても、シンデレラはまだ帰ってこない。またも領民に命じ、食事を作って運ばせた。
 一家はこの日、三食ともいつもの時間通りに食べられず、一日中イライラしていた。眠りにつく間際までずっとイライラして、なかなか寝付けなかった。それというのも、シンデレラが帰ってこないせいだ。一家はシンデレラに対する怒りと憎悪を募らせる。シンデレラが帰ってきたら、思いっきり叱りつけて、思いっきり痛めつけてやる……。

 翌朝。屋敷の玄関ドアがノックされた。シンデレラだ!
「いったいどの面下げて帰ってきた!」と最後まで言えなかった。そこにいたのはシンデレラではなく、国王さまの使者と教会からの使者だったからだ。
「いや、恥ずかしい!」
 ヘアメイクを整えていない母娘は、隠れようとしたが取り押さえられた。貴族の女が国王さまの使者の前で、ヘアメイクを整えていない姿を見られる――。これはかなりの屈辱だ。
 まず教会からの使者が、破門状を読み上げる。
「『家族全員による、なんの罪もない娘への虐待罪』により、男爵一家を教会から破門する!」
 次に国王さまの使者が、勅令状を読み上げた。
「『未来の王太子妃への虐待罪』に対する罰として、男爵の爵位を剥奪する。領地と領民と財産は没収する。即刻、屋敷から出て行け!」
 貴族の身分を失なった元男爵は、屋敷を追い出されることとなった。このとき家宅捜索がなされ、邪悪な母娘に取り上げられていた母の形見は、すべてエラの元に戻ってきた。
 正午までの猶予を与えられ、一台の荷馬車に載せられるだけの生活必需品を乗せ、一家は出発した。どこへ? 彼らは、元領地内にある小屋のように狭くて古い農家に、領民として住み着いたのだ。今後は新しい領主さまに、家賃を払わなければならない。もはや彼は領主ではなく、一介の領民に過ぎないのだから。

 翌日、エラの使者がやって来ると、ヘアメイク道具一式を母娘に返してくれた。エラは母の形見をすべて取り返すことができたので、母娘から取り上げておいたヘアメイク道具を返してやったのだ。彼女たちがヘアメイクできなかったのは、たったの二日間。だが、エラは女らしく美しく装うことを十五年間ずっと禁じられ、灰にまみれ煤に汚れて耐えてきたのだ。
 年頃の若い娘が、ヘアメイクもさせてもらえなかった寂しさ悲しさ恥ずかしさ辛さを、彼女たちは少しは理解できただろうか? そして情け深いエラによる、寛大すぎるほど寛大な処置に、少しは感謝しただろうか? 答えはどちらも「ノー」。無反省で恩知らずな彼女たちは、被害者ぶるばかりだった。エラに感謝するどころか、逆恨みしかしなかった。

 エラがお城で暮らし始めた日から、王子さまは約束どおり、エラに必要なものをすべて与えてくれた。さらに嬉しいことには、王子さまには心優しい姉君がいて、エラを大歓迎してくれたのだ。
「なんて可愛らしい方! 私、あなたのような妹がずっとほしかったの。私たち、きっと誰よりも仲良しになれるわね?」
 当面は姉君のドレスを貸してもらうことになったが、王子さまは舞踏会の翌日には、国一番のドレスメーカーに命じ、あるだけのドレスを運び込ませた。

 城内でファッションショーが始まる。色とりどりのドレスを着たモデルが一人ずつ登場し、王子さまとエラと姉君の前まで歩いて着て、いろいろなポーズでドレスを見せる。それが済むと背中を向けて退場する。その時、ドレスの後ろ姿も確認するのだ。そのドレスを着たときに、自分が人からどんな風に見えるのかがわかる、重要なポイントなのだ。
 一通りショーが済むと、三人はエラに似合いそうなドレスの番号をいくつか告げる。するともう一度、そのドレスを着たモデルたちが一斉に飛び出してきて、間隔を開けて立ち並ぶ。それはまるで、華やかなドレスの森。
 女にとってドレス選びほど楽しいものはない。エラと姉君は立ち上がると、ドレスの森へと出掛けて行く。姉妹仲良くピクニックにでも出掛けるような、浮き浮きとした足取りで。二人はドレスの手触りを確かめたり、レースの模様を確認したり、キャッキャ言いながら選んでいる。そんな二人を優しい眼差しで見守る王子さま。
 エラ……。あなたは娘同士でおしゃべりするときは、そんな表情で笑うのですね。姉君と仲良くドレスを選ぶあなたは、姉君の本当の妹のようです。あなたの笑顔が、決して曇ることなかれと願わずにはいられません……。
「王子さまも私のために、アドバイスしてくださらない?」
 胸を弾ませながらエラが戻ってくると、きらきらとした目でお願いする。
 王子さまは「はい、喜んで」と立ち上がり、優しくエラの肩を抱いて、彼女と共に森の中へ。自分がエラに『着てほしい』と思うドレスを選んで着せてみるのだが、決して無理強いはしない。ドレスに着替えたエラが、より美しく見えるかどうかを見極めながら、心を尽くして選ぶのだった。

 王子さまが与えてくれたのは、ドレスだけではない。靴もバッグも手袋も、バッグの中に入れる素敵な小物も与えてくれた。女にとって大切な、ヘアメイク道具一式も。そして何より大切なもの、エラが一番ほしかったもの、すなわち愛と敬意も!
 これまでエラは、不当にも家族から愛情を与えられなかったどころか、家族ではない扱いを受け、貴族なのに下女として卑しめられて使役され、見下されて生きてきた。『家族として愛してくれる人がほしい。対等な人間として、自分という人間を尊重してほしい』、とずっと願っていたのだ。
 王子さまは愛の証しとしてプロポーズしてくれた。彼はエラの知恵と勇気と行動力を高く評価し、エラへの敬意を込めて、ひざまづいて結婚を申し込んでくれたのだ。

 国王さまも王妃さまも、これまでのエラの不幸な身の上を知ると、涙を流して深く同情してくださった。そして正義感の強い王妃さまはエラのために、「陛下のお力で、事を正してあげてください」と、国王さまに請願してくださったのだ。国王さまは、愛する王妃の請願を二つ返事で引き受ける。国王さまだって、エラを虐げてきた男爵一家に対する義憤を募らせていたからだ。そして見事な裁きを下してくださった。
 またお二人は、エラの愛らしさ、心根の美しさ、くじけない強さ、行動を起こした勇気に感嘆し、彼女を王子の未来の妃として喜んで迎えてくださったのである。

 こうしてシンデレラは王子さまと約一年の婚約期間を経て、翌年の六月、薔薇の咲き乱れるころに結婚した。盛大な式に、いじわる家族の姿はなかった。なぜなら、王族の結婚式には王族と貴族しか参列できないからだ。シンデレラは新しい家族たちに愛され、子宝にも恵まれて、一生幸せに暮らした。
 これが、「ジューンブライド(六月の花嫁)は幸せになれる」と言われるようになった由縁である(嘘)。
 めでたしめでたし。

 そうそう、ショートグローブ。王子さまに手袋を含むおしゃれ小物をいろいろと買ってもらったシンデレラは、あのショートグローブなんてすぐに捨てた。それをエラの顔に投げつけたいじわるお嬢さまの元所有物など、エラにとってもはや、なんの用もなかったからだ。
 だが、エラのリメイクした指先のないあの風変わりなショートグローブは、一大旋風を巻き起こした。娘たちはエラに憧れ、エラにあやかろうとこぞって真似したので、その後は社交界における夏の必須アイテムとなったのだ。
 ピンとこないかもしれないが、手袋をしたままだと食事がしにくい。しかも距離感がわかりにくくてグラスを倒しやすいのだ。一度やってみればわかる。だが指先のない手袋なら、晩餐会でナイフを取り落としたり、グラスを倒してしまうおそれもほとんどない。
 それに舞踏会では殿方にもライバルにも、自分の美しい爪をアピールすることができる。現代においては、マニキュアで美しく装った爪やネイルアートを施した爪を見せるには持ってこいのアイテムである。これが今日、夏の結婚式の花嫁の定番となったフィンガーレスグローブの誕生秘話である(嘘)。
 今度こそ、めでたしめでたし。


【「シンデレラ」裏話】

 中世のヨーロッパ。ここは積み木のような小さな家が建ち並ぶ小さな街。もし、街の真ん中にある噴水広場に面して建っている教会の、十字架のてっぺんによじ上って周囲を眺める者がいるなら、この街が綺麗な円形であることがわかるだろう。広場からは街全域に石畳の通りが放射状に延びている。メインストリートを眺めるなら、その突き当りにそびえる壮麗な白亜のお城もよく見えることだろう。
 そして今度はお城の高い塔に上って見渡してみると、お城からも放射状にメインストリートが延びていて、その先にはさっきの街と同じような小さな街が全部で八つ広がっているのが見て取れる。日曜に市の立つ「日曜市の街」、月曜に市の立つ「月曜市の街」という具合に七つの市の立つ街がある。残る一つは「文化芸術の街」。ここには全寮制で王立の大学・美術学校・音楽学校・演劇学校・体育学校がある。真ん中の噴水広場は、彼らが学んだ成果を発表する場として開放されている。
 お城からそれぞれの街へと伸び、街の中も通り抜けられるメインストリートは、有事の際には戦車や騎馬隊が出動し疾走できるように設計されたのだが、歴代賢王たちのお陰でこの国の平和は長年保たれていた。お陰でメインストリートは平和そのもの。通るのは行き交う街の住民か元気に走る子供か荷馬車くらいのものである。文化芸術の街では学生たちか学校関係者くらいのものだ。
 それぞれの街の外周には石畳の道がぐるりと整備され、豪華な馬車に乗った王族がお城から領地への視察に、貴族が領地からお城への参上に利用していた。

 さあ、元の小さな街へ戻ろう。今はもう、噴水広場の石畳はほとんど見えない。日曜市の立つこの噴水広場は、今日も人々でごった返しているからだ。そう、ここは「日曜市の街」。
 郊外の森で採れた美味しそうな果物、郊外の畑から届いた採れたてのみずみずしい野菜、外国から仕入れた珍しい食材のビン詰め、すぐに手に取って食べられる軽食、土産物用としても人気の綺麗な陶器、大事な人へのプレゼントとして欠かせない花々、水晶玉を前に座っている年老いた女占い師、手頃な大きさの絵を並べたまま客の似顔絵を描く絵描き、陽気な音楽を奏でる辻楽士たち、目あての商品を探す買い物客たち、その足を止めようと呼び込む声……。今日も広場は賑やかだ。
「地中海地方のオリーブの実から採れる油だよ。食べて健康、塗って美人になる油だよ!」
「え、美人に?」
「そうさ。若返って旦那に愛されて、毎日幸せに暮らせるよ」
「若返る?! どうやって塗ればいいの?」
「じゃ、手を貸してごらんよ。これを一滴垂らしてよーくこすり合わせて……」
「ほう、旦那の様子がこの頃おかしいとな?」
「この頃、妙に浮かれてて、身綺麗にするようになって怪しいんだよ。変に色気づいちゃってさ」
「この水晶玉がなんでもお見通しさ。ほら、若い女の影が見える……」
「いよいよプロポーズ? じゃあ薔薇で花束を作ろう。色は?」
「もちろん、赤」
「それが正解だ。ほら、この薔薇の匂いを嗅いでみな」
「なんて良い匂いなんだ!」
「ダマスクローズだよ。ちょっとばかり値は張るが、匂いが最高なんだ」
「ああ、この薔薇なら、彼女はきっと喜んでくれる……」
「ヌッツェンマーン!」
「はーい!」
 ヌッツェンマンと呼ばれた少年はあたりをきょろきょろする。向こうで手を振る軽食売りのおかみさんが見える。
「今、行くよ!」
 少年はすばやく人混みを縫っておかみさんの元へ。
「レオン、ちょっと店番を頼むよ。小一時間ほどしたら戻ってくるからさ」
「お安い御用だよ、ハンナ」
「じゃ、頼んだよ。どれでも一つ、食べていいからね。お駄賃は後払いで」
「ありがとう! 行ってらっしゃい」 
 レオンは売り台の内側に入ると、瞳を輝かせて並んでいる軽食を見る。燻製やハムや卵をハーブと一緒にはさんだパンは、食事として食べごたえがある。果物と一緒に焼き上げたバターたっぷりのパンは、美味しそうにつやつやとしている。こっちも甘くって美味しいんだよなぁ……。どれか一つ。どれも食べたいけど、どれか一つ……。
「おいレオン、そんなに見つめてばかりいると、大事な売り物に穴が空いちまうぞ?」
「え?」
 振り返ると隣のスペースで商売をしているジュース売りの青年が笑っている。
「穴が⁉ 見てたら穴が空くの?」
「ははは! 物の例えだよ。そういう言い回しがあるのさ」
「なんだぁ、ほんとに穴が空いちゃうのかと思った!」
 レオンは人懐っこい笑顔を見せる。
「今日は何を飲む? レモネードならサービスしとくぜ。今日はレモンが安かったからたっぷり仕入れたんだ」
 青年はウインクする。
「いつもありがとう。助かるよ。じゃ、レモネード作って!」
「OK。ヌッツェンマンとしてもっと稼げるようになったら、なんでも好きな果物のジュースを注文してくれよ?」
 手早くレモネードを作りながら、青年は言う。
「うん。その日一番飲みたいと思うジュースを、なんでも注文できるようになりたいな!」
 サンドウィッチか菓子パンかで真剣に悩む少年の夢は、こんなささやかなものだった。

 上は九歳から下は生まれたばかりまで、四人も幼い弟や妹たちがいるため、大工の父親が必死で働いてもレオンの家は貧しかった。弟妹たちはいつもおなかを空かせている。貧しかったが家族はみんな仲が良く、愛し合っていた。彼も十二歳ながら毎日楽しく働いていたし、辛くはなかった。彼は自分が不幸だとは思っていない。
 長男である彼は幼い弟妹たちのために、ヌッツェンマンとして日銭を稼いでいた。主に運び屋として荷馬車で荷物を運んでいたが、日曜日は市場で店番を頼まれたり、ちょっとした使いっ走りを頼まれたり、すき間時間には情報屋としていろんな人と話をして情報を集めその情報をほしそうな人に売ったりと、まさにお金になることであれば何でもする何でも屋だ。

 ある日レオンは市場で、自分よりも三つほど年上の娘エラと知り合った。彼女は頭が灰だらけで顔は煤(すす)で汚れ、みすぼらしい身なりをしていたが、平民とは違う気品と優雅さを漂わせている。二人は親しく言葉を交わすようになり、だんだん彼女の気の毒な身の上がわかってきた。
 貴族の娘エラは意地悪な継母とその連れ子から虐待されていたのだ。実の父である男爵からは見殺しにされているという。それどころか父は、「シンデレラ(灰だらけのちっぽけな娘)」というひどいあだ名まで付けたというではないか! それを面白がってはやし立てた継母とその連れ子からも、エラはシンデレラ呼ばわりされているというのだ。
「だけどお願い、レオン。私のことをシンデレラなんて呼ばないでね」
「絶対に呼ばない。約束するよ、エラお嬢さん」
 俺んちは貧乏だけど、愛情いっぱいの家庭だから毎日楽しく賑やかに暮らしている。このお嬢さんは貴族だから貧しくはないけれど、みすぼらしい格好を強いられて、家族の誰からも愛されず、それどころか虐げられて、辛い思いをしている。この気の毒なお嬢さんをなんとか助けてあげたいけど、幼い弟妹たちをおなかいっぱいにしてやることもできない俺に、いったい何ができるだろう?
 今、運び屋の彼にできることは、買い物を済ませた彼女をオンボロ荷馬車に乗せて、郊外の男爵領内にあるお屋敷まで送って行くことくらいしかなかったが。
 どうかいつかお嬢さんのために、俺が役に立てる日が来ますように……。レオンは毎晩、寝る前に祈っていた。

『来たる七月七日、お城で王子さまのお妃選びの舞踏会を開催致します。若い未婚女性ならどなたでも入場可能。奮ってご参加ください』
 このお触れを知って、情報屋のレオンはすぐにエラに知らせた。読み書きは両親から教わっていたから、レオンにはこのお触れ書きが読めたのだ。読み書きのできる情報屋のレオンなら、将来は新聞記者になれるかもしれない。
 エラはレオンが教えてくれた舞踏会の話に強い興味を示し、「このチャンスを絶対つかみたい」と言う。そこでレオンはエラのために、情報屋としての自分のネットワークを駆使してさらなる情報を集めているところだ。
 ところでエラはこの頃ずいぶん変わった。以前のように灰だらけの頭ではない。家事をする際には、頭をすっぽりと包むヘアキャップを被るようにしたらしい。
 外出時にはヘアキャップを外して代わりに生成りの亜麻(リネン)の三角巾を被り、顎の下で小粋に結んでいた。顔周りにはフリルがあしらわれており、彼女の可憐な顔立ちを引き立たせている。彼女を真似てフリル付き三角巾を被る女性の姿を、最近よく町中(まちなか)で見かけるようになった。
 エラの顔はもう以前のように煤だらけではない。出かける前には濡らした布で顔を拭くことにしたという。そして市場で手に入れたオリーブオイルを一滴、両手のひらでよくこすり合わせて温めてから、その手のひらを顔全体に押し当てるという美容法を始めたらしい。それだけでずいぶん美しく見えるものだ。
 何より表情が明るくなった。以前のように憂いに沈んだ感じはもうない。それに、何か希望を見つけたのか、その瞳にいきいきとした輝きが宿った。
「浅黒い肌の不思議な東洋風の青年と出会って、大事なことを教わったの。もしかしたら天のみ父が遣わしてくださったみ使いだったのかもしれないわ」と言うのだ。エラの不思議な体験を聞き、感動したレオンは答えた。
「異国のお方でも神さまでも天使さまでも誰でもいい。お嬢さんに希望を与えてくだすったそのお方にお礼を申し上げたい」。
 
 情報屋のレオンはエラのために、王子さまの好みのタイプ・王子さまの好きな色・王子さまの好きな楽器……、とにかく王子さまの好きな物や興味のあることに関する情報を日々かき集めては、惜しみなく全部エラに教えてあげた。もちろん無償で。
 そしてエラはそれらの情報を元に、王子さまのハートを射止めるための作戦を練る。二人ともわくわくしていた。なんだかうまく行きそうな気がする。ひょっとして
、ひょっとするかもしれない……。

 舞踏会の夜。運び屋のレオンは、美しく装ったエラを荷馬車でお城に送り届けた。彼女はこの日のために、母親の形見のドレスをリメイクしていたのだ。可愛い共布の靴も履いている。髪を素敵に結い上げて、頭にきらきらした綺麗な飾りを乗せたエラは、本物のお姫さまのように見えたものだ。
 エラが荷馬車に乗り込む際、レオンは彼女から包みを一つ預かっていた。中身はヘアメイク道具一式だったのだが……。

 舞踏会の二日後。レオン一家が食卓を囲み、食前のお祈りを済ませ、いつものように賑やかに夕食を食べている。と、玄関の扉がノックされた。
「こんな時間に誰だろう?」
 レオンの父がアーチ型の木の扉を開けると、エラの使者と名乗る者がよく通る声で説明する。
「お城からやって参りました。『この家のレオンという少年に預けていた物を引き取りに行くように』とエラ嬢から仰せつかりました」
「レオン、お嬢さんからの預かり物を持っておいで」 
「わかった!」
 そう、エラの作戦は成功し、王子さまのハートを見事に射止めたのである。もうお城で暮らしているらしい。やっぱり作戦は成功したんだ! レオンは喜んでエラから預かっていた包みを渡すと、使者は預かり賃として金貨を一枚くれた。
「金貨……!」
 レオンも両親も息を呑んだ。金貨がどれほど価値のある物かを知っているからだ。
「キャー、きれーい!」
「うわぁ、ピッカピカだぁ!」
「ぴっかぴかー!」
「アッブブブー!」
 幼い弟妹たちは初めて見る金貨に大はしゃぎ。金貨をみつめる彼らの瞳もまた、金貨のようにキラキラと輝いている。
「この金貨があれば、みんながおなかいっぱい食べられるね……」
「ああ、そうだとも。レオン」
「毎晩お祈りしてたんだ。『弟や妹たちをお腹いっぱいにしてやれますように』って」
「お前はほんとに優しい子だね。母さんの自慢の息子だよ」
「お前がお嬢さんにした親切は、家族みんなの幸せとなって返ってきた。私はお前を誇りに思う」
「嬉しいよ、こんな日が来るなんて……。さあ、お前たち静かに。お祈りしよう。神さまに感謝の祈りを捧げるんだよ」
 レオンが手を組んでお祈りを始めると、弟妹たちもおとなしく手を組んで、目を閉じて兄に倣った。両親はそんな子供たちの姿を見て頷き合うと、それぞれに神に感謝を捧げ始める。エラの使者は彼らの姿を見届けると、静かに立ち去った。

 レオンがもらった物は、金貨だけではなかった。かつてエラが暮らしていたお屋敷が与えられたのだ。そこに家族七人で暮らせることになった。しかも、もらった物はお屋敷だけではない。エラの父がかつて持っていたものの、失ってしまった物が与えられた。すなわち、男爵という爵位とそれに伴う貴族の身分、そして領地と領民だ。こうしてレオンは少年でありながら男爵となったのである。
 エラに対する虐待行為を知って激怒した国王さまは、エラのかつての家族たちを『未来の王太子妃への虐待罪』で処罰した。邪悪な一家はすべてを失い、お屋敷からも追い出されていたのだ。

 後日。レオン一家を空き家になったお屋敷へ案内するために、国王さまが使者を寄こしてくださった。レオン一家を乗せた大きな馬車が、お屋敷に向かって走っている。
「みなさんのお引っ越し先は、あちらに見えるお屋敷です」
「おお、立派なお屋敷だ!」
「まあ、夢のようだわ!」
「窓がいっぱいあるね!」
「どうして? お兄ちゃん」
「部屋がいっぱいあるからだよ」
「すごぉい!」
「すっげーな!」
「すっごーい!」
「アッブー!」
「あんたたち、あの広いお庭をご覧。毎日、思いっきり走り回って遊べるよ」
「わーい!」
「わーい!」
「わーい!」
「わーい!」
「アーッブ!」
「どうして地面が緑色なの? お兄ちゃん」
「芝生っていう短い草が生えてるんだよ」
「芝生で寝転んでもいい?」
「いいさ。昼寝もできるよ」
「きゃー、嬉しい」 
「昼寝かぁ、気持ち良さそうだな!」
「おひるねー!」
「アブブブー!」
「お庭でお昼ごはんを食べてみたいなー」
「庭でピクニックもできるよね? 父さん」
「よし! 父さんが庭にレンガを積んでコンロを作ってあげよう」
「そしたら母さんはお肉やらお野菜やらを串に刺して用意しておくよ」
「じゃあお兄ちゃんがそれを焼いてあげるから、みんなで食べようね」
「うん!」
「やったぁ! 肉だ!」
「おちゃかなは? ねぇおちゃかなは?」
「ンマッ! ンマッ!」
「父さんなら、大きなお魚だっておいしく焼ける石窯(がま)も作れるよ。ねえ、あんた」
「ああ、任せてくれ」
「やったー!」
「やったー!」
「やったー!」
「やったー!」
「アッブー!」

 こうしてレオンの父は、屋敷と領地と領民を持つ少年男爵レオンの後見人となったのである。父子は良い領主となるように努めたので、領民たちから慕われた。『元平民のくせに……』と反感を抱く者などいない。
 それどころか領民たちは、「以前の領主さまは暴君ではないものの、まるで蛇のように心の冷たいお方だった。だけど新しい領主の少年男爵とその後見人の旦那さまは元平民だからこそ、平民の気持ちを理解してくださる」と新しい領主を喜んで迎え入れたのだ。
     
 新しい生活が始まり、何もかも初めて尽くしで目まぐるしい日々。それが少し落着いて、やっと一息つけるようになった頃。
 レオン・フォン・ヌッツェンマン男爵宛てに、王子さまからの招待状が届いた。お城の中庭で開かれるお茶会への招待だ。上質の紙には、流れるような美しい文字で「私と私の婚約者エラ嬢と貴殿の三人で愉しく過ごしましょう」と書かれている。
 懐かしいエラお嬢さん! たくさん話したいことがある。まずはお祝いの言葉を言いたい。お二人は舞踏会でどんな風に親しくなったのかとか、そんな話も聞きたい。もちろん家族を代表して、王子さまにもきちんとお礼を申し上げたい。「お嬢さんを一生大事にしてください」とお願い申し上げよう。「不幸せだったお嬢さんを必ず幸せにしてあげてください」って頼むんだ……。

 お茶会当日。レオンは王子さまに失礼のないよう、上等な外出着に着替えて屋敷を出た。床屋には昨日行ったし、あまり生えてないけど髭も剃ってもらったから顔全体がツルツルピカピカしている。靴もピカピカに磨いてある。爪もきちんと切って、やすりもかけておいた。握手する際にお手を傷付けないように。
 その日、レオンは生まれて初めてお城の中に入った。子供の頃、外から眺めているだけだった壮麗なお城――。その中に入ってみると内側も立派で豪華で、庶民の家とは大違い。一家で引っ越してきた屋敷よりも、もっともっと立派で豪華だ。
 広く滑らかな床は白い大理石が敷き詰められたものだった。見上げるほど高い天井からは、精巧なガラス細工が施された眩いシャンデリアがいくつもぶら下がっている。まだ昼間だというのに、シャンデリアの蝋燭には惜しげもなく火が灯され、王家の豊かさを物語っていた。客人のために惜しみなく蝋燭に火を灯すことは、おもてなしという意味もあるのだろう。
 蝋燭のゆらめく炎がシャンデリアのガラスのパーツに反射して、白い大理石の床の上にふわふわと雲のように浮かび上がって見える陰影を映し出している。レオンは平らな硬い床の上に立っているのに、まるで雲の上にいるような不思議な感覚に陥った。
 そこかしこに色とりどりの花が飾られていて、部屋の中には甘い香りが漂う。小鳥たちの可愛いさえずりも聞こえてくる。バルコニーに面した窓の外に目をやれば、緑豊かな中庭が見える。
 真ん中にある噴水では、小鳥たちが水浴びをしているようだ。中庭の木々にたわわに実る果実の甘酸っぱい香りに誘われて、たくさんの小鳥たちがやって来るのだろう。レオンが今まで見たこともない目にも鮮やかな色とりどりの珍しい鳥たちもいた。きっと異国から取り寄せたのか、異国の使者から献上された物なのだろう。
 噴水の両サイドにはなんと言うのだろうか、屋外用のティールームがあった。四本の白い柱に支えられたオレンジ色のドーム型の屋根があり、その下にテーブルセットが置かれている。あすこでお茶会を開いてくださるんだな。今日はお天気だし、気持ち良さそうだ。ああ、天国ってこんな感じなのかもしれないなぁ。良かった。お嬢さんはこんな天国みたいなお城で、幸せに暮らしているんだ……。

 すると足元に広がる雲のような淡い陰影の中から、異国風の青年が姿を現した。浅黒い肌のちょっとのっぺりした、でもちょっとハンサムな東洋風の青年は、レオンに熱く熱(あっつ)く語りかける。
「ねぇレオン。君のお母さんの幸せって、なんだと思う?」
 このお方はもしかすると、以前にお嬢さんが言っていた天使さまかもしれない……。きちんと答えなきゃ。
「はい。家族みんなが仲良く元気で、笑顔で暮らすことです。毎日おなかいっぱい食べて」
「ちょっと待って。今……なんて言った? おいレオン! 今なんて言った⁉『毎日おなかいっぱい食べて、家族みんなが仲良く元気で笑顔で暮らすこと』⁉」
「はい。家族みんなの幸せが、母さんの幸せだと思います」
「『家族みんなの幸せが、母さんの幸せ』、とか言ってる間はずっとダメなんだよ!」
「え……? でも、『みんなが毎日おなかいっぱい食べられるようになって、母さんもう何も言うことはないよ』っていうのが、母さんの口癖なんです。だから、それ以外にはちょっと、思いつかないんですけど……」
「考えろよ! もっと考えろよ!」
「いや……、それ以外には多分、もう……ない……」
「ないことない。ないなんてことはない! どこかにあるはず、探そうよ!」
「うーん、そうだなぁ。もっとゆっくり家族と一緒に過ごすことかなぁ……。母さんは毎日、家族全員分の洗濯と家中の掃除で忙しいから」
「ほらあるじゃない! ほらみろ! あるじゃないか!」
「じゃあ母さんの代わりに、家事をしてくれる人を雇えばいいんだ!」
「そうだ!」
「うん。洗濯婦を雇おう!」
「もっと‼」
「掃除婦も雇うよ!」
「はい。今死んだ!」
「えぇっ⁉」
「『家族みんなの幸せが母さんの幸せ』、なんて思ってた思いやりの足りないほんの子供だった君は死んだよ」
 なんだびっくりした。そういうことか!
「今日から君は、お母さんを幸せにすることができる思いやりを持った少年男爵だ!」
 レオンが大きく頷くと、青年は爽やかな笑顔を残して消えた。

 あ! お礼を言い損なった! 以前にお嬢さんの前にも現れて、何か大事なことを教えてあげてくれたことのお礼も言ってなかった! そのおかげでお嬢さんが希望を持つようになって、見違えるほど生き生きと明るくなったことへのお礼も……。今晩、寝る前のお祈りで神さまにお礼を言わなくちゃ。「天使さまを遣わしてくだすってありがとうございます」って。それから、「天使さまに俺からの感謝の気持ちをお伝えください」ってお願いしとこう……。
 
 その時、両開きの大きな扉がノックされた。レオンが返事をする。いよいよ王子さまとエラ嬢のお出ましだ! 緊張するなぁ。少年男爵は、深くお辞儀をしてお声がけを待った。。
「初めまして、ヌッツェンマン男爵」
 優しく温かい男性の声。声を聞くだけでハンサムだとわかる。
「お久しぶりね、レオン」
 久しぶりに聞く鈴を転がすような愛らしい声。懐かしいお嬢さん!
「初めまして、王子さま。お久しぶりです、エラ嬢。この度はご婚約おめでとうございます」
 レオンは挨拶とお祝いの言葉を申し上げた。言い間違えないように何度も練習して来たのだ。
「どうか顔を上げてください」
 王子さまにお声がけをいただいたので、レオンは顔を上げる。王子さまは、予想と噂にたがわぬハンサムだった。それにこんな上品でエレガントな男性には、これまで会ったことがない。いや、女性ならそんな上品でエレガントな人を、一人だけ見たことがある。それは、王子さまの隣で気品ある笑顔を湛えたエラ嬢だ。
 王子さまの婚約者となった彼女は、ますます美しくなっていて眩しいほどである。愛し愛される喜びを得て、その幸せが彼女を一層美しく輝かせていたのだった。目の前のお二人は、『結ばれることが生まれる前から決まっていたのではないか?』と思うほどのお似合いのカップルだ。
「私の大事な婚約者エラに協力してくれて、本当にありがとう。君のおかげで私は彼女に出会えました。男爵の爵位と男爵領は、私の感謝の気持ちとして、君に与えてくれるよう父王に頼みました」
 王子さまは真心込めてお礼を述べられた。
「王子さまが国王さまに頼んでくだすったおかげで、私たち一家は以前よりももっと幸せになれました。家族が誰一人、空きっぱらを抱えて辛い思いをせずにいられるなんて、本当にありがたいことです。家族みんなを代表し、お礼申し上げます。本当にありがとうございます」
 レオンは深々とお辞儀をして感謝の意を表した。
「おなかが空くのは辛いですね。馬に乗って遠くまで鹿撃ちや鳥撃ちに行った時は、特におなかが空きます。料理ができあがるまでの時間は、待ち遠しくておなかがきゅうっと鳴るんです。あんな思いはできるだけしたくないものです。ご家族がもうあんな辛い思いをしなくなったのですね。それは何よりです」
 レオンは思わず、下げていた頭を上げて答えた。
「はい! 俺ずっと、いや私はずっと『家族をおなかいっぱいにしてやりたい』って思ってたんです」
 つい気持ちが高ぶって言葉遣いを間違えてしまったが、王子さまはそんなことはお気になさらず、レオンの話に優しく頷いてくださった。レオンは更につづける。
「気の毒な境遇にあったエラ嬢に、なんとか幸せになってほしかったんです。幸せになるためのお役に立てて嬉しく思います。いつかそんな日が来るようにと、毎晩お祈りしてた甲斐がありました。どうかエラ嬢を一生大事にして、必ず幸せにしてあげてください。どうかお願い申し上げます」
 レオンは言葉遣いに気を付けながら、それでも懸命に自分の思いを王子さまに伝えた。
「もちろん。私の命に変えても彼女を守り抜き、一生大事にします。彼女が幸せになれるよう、力を尽くします」
 王子さまは男らしく、はっきりと約束してくださった。
「私からもお礼を言うわね。私が幸せになれたのはレオン、あなたの協力のおかげです。どうもありがとう。これからもずっと、私の大切なお友達でいてね。そして、私たちの結婚式には必ず来てね」
「はい、お嬢さん。もちろん喜んで!」
 少年男爵レオン・フォン・ヌッツェンマンは緊張しながらもはっきりと、未来の王太子妃さまからの招待をお受けした。

「さあ、堅苦しい挨拶はここまでにして、中庭へ下りましょう。あの東屋(あずまや)でお茶をご馳走します。支度ができるまでの間、中庭をご案内しますよ」
 王子さまが親しみを込めた笑顔で誘う。ああ、あの屋外用のティールームは、東屋っていうのか……。勉強になったぞ。
「レオン、さあこっちよ。お菓子もたくさんあるわ」
 エラは優しくレオンの手を取って、バルコニーへと誘導する。
「お菓子? 嬉しいなぁ。弟や妹たちに持って帰ってやると喜ぶだろうなぁ!」
 レオンは足取りも軽くバルコニーへ。
「もちろん、ご家族へのお土産としてお菓子を用意してますよ。だから君は安心して、たくさん召し上がれ」
 どこまでも気の回る王子さまだ。相手の気持ちを考えて行動できる。人の上に立つ者として望ましい人柄である。
「うわ、ありがとうございます! 俺、いや私はお菓子が大好物なんですよ」
 バルコニーから中庭へ下りながら王子さまに答えるレオン。
「いっぱい食べてね。あなたのために用意したんだから」
 温かく優しいエラの笑顔。ああ、この笑顔が決して曇ることがありませんように!
「はい、遠慮なくいただきます!」

 帰宅したレオンは家族のみんなに、王子さまからもらったお土産のお菓子を渡した。
「一人一つずつだよ。晩ごはんを全部食べた子は、ごはんの後にもう一つ食べて良いからね? 約束できる人は?」
「はーい!」
「はーい!」
「はーい!」
「ンマー!」
 弟妹たちは小さな手を元気良く挙げて返事をする。
「よーし、みんな良い子だね」
 嬉しそうにお菓子を選ぶ弟妹たちの姿をレオンは嬉しそうにしばらく眺めていた。
「母さん。俺、ちょっと行ってくるよ」
「そうかい。晩ごはんまでには帰っといでよ」
「はーい。行ってきまーす」
 レオンは屋敷の近くに住む領民のおかみさんたちに頼んで回って、明日から洗濯婦として働いてもらうことにしたのだ。
 おかみさんたちは翌朝から毎日、自分たちの洗濯物の入った洗濯かごをぶら下げて、子供たちの手を引いてやってきてくれた。子供たちはお屋敷の広い庭で、レオンの幼い弟妹たちと一緒に遊びながら、母親が洗濯仕事を終わらせるのを待った。そしておかみさんたちは手分けして、少年男爵家の洗濯物を洗ってくれるのだ。
 広い屋敷の掃除は大変なので、レオンは子育ての終わったベテラン主婦のおかみさんたちを掃除婦として雇い入れた。庭を元気に駆け回って遊ぶ子供たちの様子を、レオンの母がニコニコと見守っている間に、おかみさんたちは屋敷中をすっかりきれいにしてくれるのだ。こうしてレオンの母は重労働から解放されたので、子供たちとゆっくり向き合う時間ができた。

 お城の素敵な中庭でのお茶会から二週間後、レオン・フォン・ヌッツェンマン男爵の叙勲式が執り行われた。未来の王太子妃への多大なる貢献を称えられ、国王さまから勲章を授与されたのだ。
「未来の王太子妃を助けた少年男爵は真の英雄であり、我々の仲間入りをするにふさわしい」と貴族たちからも拍手喝采で歓迎された。
 レオンは王族たちからも他の貴族たちからも「まだ剣術学校で学ぶ前の少年なのに、信仰とレディへの献身という騎士道精神を持つ立派な騎士(ナイト)だ」と賞賛された。
「ぜひうちにもお越しください。エラ嬢に対する騎士(ナイト)ぶりを、もっと詳しくお聞かせいただきたい」とたくさんのお茶会や晩餐会のご招待もいただいたのだった。レオンは一躍、社交界の花形となったのである。
 社交界におけるレオンブームが落ち着いた頃、レオンは城外の森にある剣術学校に入った。騎士道と馬術と剣術を教わるために。レオンは荷馬車を御すことはできても、乗馬はしたことがなかったし、剣を持ったことすらなかったからだ。そうとは知らずに騎士道精神を発揮していたらしいのだが、騎士道がどういうものなのかも知らなかったから、一度きちんと学んでおきたかった。
 領地と屋敷を持つ領主ともなれば、盗賊や不届き者を追い払うことができなければ務まらない。父さんは強い男だけど、いつまでも父さんに頼ってばかりじゃいられない。俺が家族を守れるように強くならなくちゃ………。

 レオンが剣術学校に入ると言うので母は心配したが、兵士になるわけじゃないと聞いて安堵した。そしてレオンが剣術学校で学んでいる期間は、父が領主代行を務めてくれることになった。レオンは剣術学校を卒業後、父から領主としての仕事を教えてもらうことになる。
 屋敷の庭に東屋を作ろう。父さんに教えてもらいながら、日曜日を利用して少しずつ作るんだ。そしてお茶会を開いて、エラお嬢さんと王子さまを招待しよう。弟妹たちにはお二人に失礼のないように、きちんと礼儀作法を教えておこう。家族全員分のよそ行きの服もあつらえるんだ……。夢いっぱいの楽しい計画に、レオンの胸はわくわくしていた。

 若き騎士よ、神を愛し、婦人を尊ぶことを学べ。 さすれば、汝の誉(ほまれ)も育つ。 騎士道を実践せよ。 汝を気高くし、戦いにおいて汝に誉をもたらす作法を学べ。
【剣術の書『ニュルンベルク手稿』ヨハンネス・リヒテナウアー著より】

 レオンが剣術学校に入って最初に学んだのは、この詩の言葉だった。そして次に挙げる、騎士が守り行うべき「騎士の十戒」である。

一、神への信仰
二、主君への忠誠
三、レディへの献身的な愛 
四、誓いを守る誠実さ
五、悪に対抗し正義を守る不屈の精神
六、弱者を守り、惜しみなく与える親切さ
七、礼儀正しい振る舞い
八、正直
九、慎重
十、節制

 この十戒をただ暗記するだけではなく、実践することが肝要なのだ。騎士道とはただの学問ではなく、真に男らしい男としての生きざまである。どれが欠けても騎士とは言えない。
 馬術も剣術も初めてだったが、父親に似て運動神経が発達しているレオンは、「筋が良い」と先生から褒められた。近い将来、レオンはたくましくて頼もしい立派な領主となるだろう。
 また、剣術学校では社交儀礼と言葉遣いの授業もある。社交儀礼とは、上流社会での振る舞い方や知っておくべき厳密な規則のことだ。言葉遣いの授業では、上流社会で通用する正しい発音・正しい言葉遣い・敬語表現も学べるので、平民出身のレオンにはありがたかった。
 騎士は貴族の子弟だけではなく平民でもなれる。剣術学校を卒業後は、平民なら貴族に仕え、貴族の子弟なら王族に仕えることになる。平民が貴族に仕えるためには、社交儀礼と正しい言葉遣いをわきまえていることが要求される。だから「騎士の十戒」の七つめには「礼儀正しい振る舞い」が掲げられているのだ。
 剣術学校を卒業した平民が騎兵となって武勲を立て功績を認められれば、騎士号の称号を与えられ準貴族にもなれる。上流階級の仲間入りをしてから恥をかかないためにも、これら社交儀礼と言葉遣いをマスターすることは重要なことなのだ。

 レオンは卒業後に騎兵になるつもりはないし、男爵なので貴族に仕える必要もない。仕えるとするなら国王夫妻や王太子夫妻の身辺警護をする近衛兵ということになるが、兵士になるつもりはないのだ。父から領主の仕事を教えてもらって立派な領主になり、大工仕事も教わって、父の仕事を手伝うつもりだ。
 エラお嬢さんのことは、王子さまが「命を懸けて守る」と約束してくださったから、王子さまにお任せした。俺は自分の家族を守る。お嬢さんの友達としてお城に遊びに行くときに、王族の皆さんに対してうっかり失礼な振る舞いをしないように、しっかりと社交儀礼と言葉遣いをマスターするんだ……。

 レオンの母は毎日、存分に料理の腕をふるった。なにしろ食べ盛りの子供たちが五人もいるのだから。レオンは剣術学校に入ってからというもの、成長期ということもあって大人の二倍は食べるようになり、ぐんぐん背が伸びて筋肉も発達し、日に日にたくましくなって行く。以前とは違って食糧は豊富に手に入る。食糧が足りないときには息抜きがてら、自ら荷馬車を御して市場へ買い物に行けばよいのだ。
 そんなときにはお駄賃を払って、領民のおかみさんたちや娘さんたちに子守りを頼めばよかった。市場でなじみの顔ぶれと挨拶を交わしておしゃべりをすれば、良い気分転換にもなる。彼女は幸せに満ち足りていた。
「新しい領主さまんとこの奥さまは、ちっとも偉そぶることがなくって、私たちと同じ庶民感覚を忘れない謙虚なお方だねえ」
 彼女の奥さまとしての評判も上々だった。やせっぽちだった小さな子供たちは、日に日に太ってゆく。そして彼女自身もどんどんふくよかに。特におなかのあたりが……。

 半年後、少年男爵家に新しい命が誕生した。
「元気な女の子が生まれたぞ! お前たちの妹だ!」
「わーい、妹だー!」
「妹だわー!」
「妹だー!」
「いもうとー!」
「アブブブー!」
「母さんは? 母さんは元気なの?」
「ああ、大丈夫。母さんは元気だ。今、おっぱいを飲ませてる」
「入ってもいい?」
「ああ、いいとも。だけど赤ちゃんの前だから静かにな」
「うん。みんな、シーだよ?」
「シー」
「シー」
「しー」
「アム……」
 キィ……。
「みんな、こっちきて見てごらん。可愛い女の子だよ」
『あれ? 赤ちゃん、寝てるの?』
「起きてるさ。生まれたばかりだから、まだ目が開かないんだよ」
『かわいいいなぁ……』
『かわゆいわぁ……』
『ちっちゃな手だなぁ……』
『ゆびもちっちゃい……』
『アブ……』
「あんたたちもみーんな、生まれたときはこんなに小さくて可愛かったんだよ」
「みんな、『赤ちゃんの良いお兄さんお姉さんになる』と、父さんと母さんに約束してくれるかい?」
「もちろんさ」
「もちろんよ」
「もちろんさ」
「もちろんよ」
「アブブッブ」
 家族みんなが明るい笑顔になった。少年男爵家のこのエピソードが、「明るい家族計画」という言い回しの語源となったのである(嘘)。
 めでたしめでたし。


【「シンデレラ」後日談】

 実の父とその後妻とその連れ子に虐待されていたシンデレラは、王子さまのハートを射止め、その婚約者となった。
 すると直ちに王子さまの父である国王さまの命令により、シンデレラの父親は『未来の王太子妃への虐待罪』で男爵の爵位を剥奪され、貴族の身分を失なう。と同時に『家族全員による、なんの罪もない娘への虐待罪』で教会からも破門された。つまり彼らは、死んでも天国へは行けなくなったのだ。
 領地と領民と財産を没収され、屋敷を追い出された元男爵一家は、元領地内にある空き家になっていた小屋のように狭くて古い農家に住み着く。そして元男爵は何でも屋になった。鍬を振り上げてもヨロヨロとしてしまい、農夫としてはまったく役に立たなかったからだ。しかし元男爵が何でも屋として稼げるお金は微々たるものだった。一家の悪評は国中に知れ渡っているため、誰も仕事を頼みたがらなかったからだ。

 元男爵の妻と義理の娘は、狭い家の中を整理整頓することもできなかったし、綺麗に掃除することもできなかった。だから、古くて狭い家の中は散らかり放題で埃だらけ。
 自分たちの汚した服を洗濯しようと川で濡らしてみるのだが、汚れやシミをうまく落とすこともできなかった。干して乾かした服にアイロンをかけても、かけたはずの部分がまたシワになってしまう。だから服はシミだらけのシワだらけの毛玉だらけで、ほころびたらほころびたまま。もちろん針の使い方だって知らないからだ。
 料理の作り方もわからないし、パンの焼き方も知らない。元男爵の稼いでくるなけなしのお金で買い求めた肉や野菜を、妻子が焦がして台無しにしてしまうこともよくあった。不味くて食べられたものではなかったが、食べなくては空腹で辛い思いをすることになるから食べるしかない。

「せっかくの稼ぎを、せっかくの食材を無駄にしてくれるな!」と元男爵が叱責しても、「文句があるなら自分で作りなさいよ! お料理って難しいし大変なんだから! 私たちの苦労も知らないくせに!」と妻は逆切れする。
「全部シンデレラが悪いのよ! あの子が国王さまに告げ口なんかするから! 私たちが不幸になったのは、全部シンデレラのせいよ!」と義理の娘はシンデレラを逆恨みして泣きわめく。
「シンデレラはあなたの娘でしょ? だから親であるあなたの責任よ! 私たちは悪くない! 私たちは被害者よ! あなたの監督不行届のせいだわ! どうしてくれるのよ!」と妻は元男爵に責任転嫁して被害者ぶって責めたてるばかり。
 二人とも謝りもしないし反省もしない。だからいつまでたっても妻子の料理の腕は上がらず、料理はずっと不味いまま。

 ああ、シンデレラがいた頃は良かった――。あの頃、家の中はいつもすっきりと整理整頓され、どこもかしこもピカピカに掃除が行き届いていたのになぁ。
 着るものは常に清潔で石鹸の良い匂いがしてシミ一つなく、ピシッとアイロンがかかっていて毛玉一つなかった。ほころびても次に着るときにはいつもきれいに修繕されていたのになぁ。
 毎日温かく美味しい料理を食べることができた。「あれが食べたい」、「これが食べたい」と言うだけで、なんでも望みどおりの料理が食べられたのになぁ。
 でもあの日、シンデレラをお城に置き去りにして帰ってきて以来、シンデレラは戻ってこなかった。お陰で私たちは困り果てた。失った物のかけがえのなさを思い知り、後悔した。あの便利なシンデレラを、もう二度とタダでこき使えなくなってしまったのだから! それが惜しくて悔しくてたまらないのだ……。

 この無反省な一家は、シンデレラを一生使役し続け、自分たちだけは楽をして得をしたかっただけなのだ。シンデレラ一人にすべての面倒を押しつけ、すべての苦しみを負わせて。家族として与えるべき愛情をひとかけらも与えず、感謝もせず、見下し、侮辱し続けて。ついでに純潔を奪ってよこしまな欲望のはけ口として今後は利用する予定だったのに、逃げられてしまったのが惜しくて惜しくて堪らないのだ。

 そんなある日――。とうとう元男爵が家を出て行った。妻子から、際限のない不平不満と愚痴を聞かされる毎日に、嫌気がさしたのだ。
 シンデレラがいた頃は、彼女が妻子のストレス発散のためのスケープゴートだったので、男爵は妻子から八つ当たりされずにすんでいた。しかし、シンデレラはもういない。スケープゴートを失った妻子は、夫に継父(ちち)に不平不満をぶつけるようになった。だが、不平不満をぶつけられる側にとってはたまらない苦痛である。シンデレラは長年、それをずっと耐えていたが、元男爵はすぐに音を上げたのだ。
 それである朝、彼はいつものように出て行ったきり、そのまま二度と帰らなかった。彼は前夜のうちにこっそりと、荷馬車に手回り品を積み込んで、当日の朝、有り金全部持って出たのだ。自分で選んで再婚した妻と、養育するとして受け入れたはずの娘なのに。
 シンデレラにとっては自分で選んだ家族ではないから、彼らからの仕打ちを耐える責任も義務も道理も何もなかった。それなのに長年耐えていたのだ。その苦痛はいかばかりか?

 残された母娘(ははこ)はすぐさま困窮した。だが、新しい領主も領民たちも誰一人彼女たちには同情などしない。彼女たちは平民になってもなお、領民たちを見下し、なめた口を聞いて反感を買っていたからだ。
 自分では何もできないくせに、同情した領民たちがいろいろと教えてやったり手伝ってやったりしても、「こんなことはお前たちがやるのが当り前。ほら、さっさと全部やりなさいよ!」という態度で、お礼を言うどころか文句しか言わなかった。そんな身の程知らずで礼儀知らずで恩知らずな彼女たちには、人望がないのは当然だ。
 もう誰にも助けてはもらえない。食べる物もなければ、それを買うためのお金もない。家賃を滞納したために、小屋のような古い農家からも追い出された。
 だが母娘は家政婦どころか、料理婦としても、掃除婦としても、洗濯婦としても、一切役に立たない。子守り? 冗談じゃない。こんな性悪女どもに、大事な子供を任せられるものか。母娘に残された道は、娼婦となって春をひさぐことだけだった。

 娼館に身を寄せた邪悪な母娘。仲間の娼婦たちからは汚いものを見るような目で見られ、軽蔑され、侮辱され、憎悪され、突き飛ばされ、つばを吐かれた。そう、かつて自分たちが「灰だらけのちっぽけな娘」と呼んでいたエラのように。それほどこの邪悪な母娘の悪評は、天下に知れ渡っていたのである。娼婦たちはこの邪悪な母娘に、自分を虐待した挙げ句に娼館に売り飛ばした、むごい親きょうだいたちの姿を投影していたのかもしれない。
『国民のアイドルである未来の王太子妃を虐待した、元貴族の性悪女!』というスキャンダラスな宣伝文句は、またたく間に広まった。母娘は毎日、数え切れない男たちからいたぶられることに。
「お前のような性悪女はこうしてやる!」
 客としてやって来る男たちからは、軽蔑と憎悪のありったけを込めて罵倒され、恫喝され、顔を張り飛ばされ、髪を引っ張られ、首を絞められながら乱暴され、最後につばを吐かれて大事な所を踏みにじられた。日頃の鬱憤を晴らすのにちょうど良かったのだろう。それに悪者を成敗するのは気持ちの良いものだ。
 すぐに娘が発狂。正気のまま生きているよりも、楽になれただろう。母親は哀れな娘の世話をするためにしばらくは堪えていたのだが、やがて堪えきれずに発狂した。これで彼女も少し楽になれただろう。だがそれは、ほんの束の間のことだった。
 なぜなら、『良心の呵責に耐えかねて、ついに発狂した元貴族の性悪女!』という新たな宣伝文句も、またたく間に広まったからだ。今度は国外からも、筋金入りの狂人マニアの変態男たちがやってきたから堪らない。どうせこの女は狂人なのだから、何をしたってわからないんだ――。マニアたちは情け容赦なく、ありとあらゆる変態行為の限りを尽くし、母娘はますます激しく狂うことに。
 娼館のマダムは母娘の売り上げをピンハネした。どうせ相手は狂人なのだから、何をしたってわからない。死なない程度に喰わせておけば良いのだ。そう、かつて彼女たちがシンデレラと呼んでいたエラのように。
 この邪悪な女たちは死ぬまで働かされ、搾取され続ける。生きている限りは永遠に、責め苦に遭い続けるのだ。どんなに狂っても狂っても、この苦しみからは決して逃れることはできない。一生楽になどなれない。生きている限りは絶対に。

 この国の冬は厳しい。冬が来る前に早く住む家をみつけなければ――。だが元男爵は商売の才覚がなかった。それ以前に人として大事なものが欠けていた。もはや平民であるにもかかわらず、同じ平民を見下してなめた口を聞く。実の娘を虐待した人でなしに情けをかけてやっているのに、その人でなしから見下されるのは我慢ならないのは当然だ。
 しかし彼は、自分の何がいけないのかがまったくわからない。だから無礼な態度は一切改まらなかった。散々世話になっておきながら感謝の念もない、散々迷惑をかけておきながら謝罪の言葉一つ言わない。初めのうちは元男爵に同情して仕事を恵んでやっていた人々も、今ではどんなに忙しくても彼にだけは仕事を依頼しなくなった。
「これ、そこの者。私が仕事を請け負ってやろう」
「間に合ってるよ」
「忙しそうではないか。手伝ってやるぞ?」
「忙しいけど、賃金を払って手伝ってもらうゆとりがないんでね」
「ゆとりがないとはどういうことだ?」
「不景気だってことさ。だけどそのうち景気も良くなるだろうから、そうなったら手伝ってもらうよ」
「うむ、そうか……」
 しかし、それは体(てい)の良い断り文句だった。だからいつまでたっても景気とやらは良くならなかった。あれ? おかしいぞ? どうして仕事がこないんだ? 彼にはまったく理解できなかった。

 別れた妻とその連れ子は娼婦に身をやつし、発狂してもなお、春をひさぎ続けていると噂に聞いた。だから金をせびろうと訪ねてみたのが、まるで話にならなかった。彼が誰なのかもわからなくなっていたのだ。いやそれどころか、自分たちが誰なのかということすらも。
 二人とも薄ら笑いを浮かべながら意味のわからないことを喋り続け、時折何がおかしいのか声を上げて笑っていた。かと思うと急に怯えたような顔になり、「お願い、殺さないで!」と叫び声を上げるのだ。
 ずいぶん気味の悪い女どもだ。なぜ私はこんな女どもを、一度でも家族にしようなどと思ったのだろう? まったく、女は良いご身分だな。こんなわがままで恩知らずで家事もできない役立たずの気味の悪い女でも、股さえ開けば金が手に入るんだから。だが、話が通じないんじゃ仕方ない。こんな奴らに用はない。
 元男爵は、娼館のマダムに「彼女たちの売り上げの中からいくらか貸してほしい」と虫の良い借金を申し込んだが、素気(すげ)なく断られてしまった。この強欲な売女(ばいた)め! 私がこんなに困っているというのに!

 家もなく仕事もなく金もない。ならばゴミを漁るほかはない。しかしそんなことは、彼のプライドが許さなかった。彼はエラに金を要求するためにお城へ行き、「娘に会いたい」と面会を申し出た。だが、「私の父は、天のみ父だけです」と面会は叶わなかった。
 恩知らずな奴め! 育ててやった恩も忘れて! まったく、どいつもこいつも役に立たない馬鹿女だ! 女は全員、地獄に堕ちるが良い! 元男爵は女という存在を呪った。

 やがて冬となり、宿なしで一文なしの元男爵は、行き倒れになっていた。物乞いになどなりたくない、どんなに苦しくてもプライドを捨てずに生きよう。それが彼に残された最後のプライドだった。今日まで彼は物乞いをせず、人々が捨てた腐りかけの食材や残飯を漁って生きてきた。だが冬は食べ物が腐りにくくなるので、人々は古くなった食材も捨てずに、なんでも煮込みにして食べてしまう。だから食べられるゴミはなかなかみつからないのだ。

♪荷馬車が来たよ
 荷馬車が来たよ
 いらない物を貰いに来たよ
 いらない物は引き取るよ♪

 酔客の食べ残しを期待して、居酒屋の前で閉店まで待ってみたが、店じまいする頃に荷馬車に乗った男が愉しげに歌いながらやってくると、居酒屋の亭主は野菜くずや客の食べ残しの入った桶を、荷馬車の男に渡してしまう。

♪荷馬車が行くよ
 荷馬車が行くよ
 いらない物を運んで行くよ
 いらない物は処分だよ♪

 荷馬車の男は、街中の居酒屋から出る生ゴミを集めると、愉快に歌いながら去っていく。家畜の飼料として引き取っているらしい。だから酔客の食べ残しはすべて家畜の餌となり、宿なしの口には一口だって入らなかった。
 もう何日も食べていない。寒い。もう歩けない。宿なしは力尽き、道端に倒れた。寒い。疲れた。眠い……。眠ればそのまま凍死するだろう。死にたくなんかない。でも、眠い……。

 すると宿なしの一文なしの前に、東洋風のちょっとのっぺりした、でもちょっとハンサムな浅黒い肌の青年が現れた。青年は宿なしを熱く熱(あっつ)く励ます。
「さむい……」
「声が小さいよ! もっと大きい声で!」
「たす……けて……」
「全っ然、気持ち伝わってこない。もう一回!」
「なにか……、たべもの……」
「はい、今死んだ! 今、君の気持ち死んだよ。『物乞いになどなりたくない。どんなに苦しくてもプライドを捨てずに生きよう』、という君の気持ちは死んだよ。今日から君は、物乞いだ!」

 そこへみ使いが現れ、青年に告げる。
「青年よ、それは違う。その男は貴族としてのプライドなど、そもそも持ってはいなかった。彼が持っていたのは、自惚れと傲慢さと尊大さと虚栄心だけである」
 もしかしてこれは天使か? 青年は驚愕の表情でみ使いをみつめる。そうか……。この宿なしは自惚れや傲慢さ、尊大さや虚栄心の塊に過ぎなかったのか!
「聞け! 元男爵の宿なしよ。あなたは貴族なら騎士道精神を持って、貴婦人であるかつての自分の妻たちと娘たちを、命を懸けて守らねばならなかったのだ。そして、あなたの父親としての気持ちは、とうに死んでいた。それは舞踏会の夜、決定的なものとなった。あなたは実の娘に情欲を抱き、その毒牙にかけようと思い定めていた」
 この者は天使に違いない――。瞬時に宿なしは悟った。誰にも明かしてなかったエラに対する邪心を見抜かれていたからだ。
「お救いください、天使さま!」
 宿なしはみ使いに救いを求めた。天使なら今すぐに自分を寒さと飢えから救うことができる! 今すぐ温かい子豚のシチューが食べたい!
 このろくでなしは悔い改めもせず、罪の許しを乞うこともなく、自分の救いだけを求めているのだ。み使いはそれに答えることなく、忠実に神のお告げを伝え続ける。
「それにあなたは、人としての良心もとうに捨ててしまっていた。妻の存命中から自分の妹と不貞を働き、妻を邪険に扱った」
 何⁉ 青年は驚いたようにろくでなしを見遣る。なんというおぞましいことを……。
「あなたは妻が心労で死ぬと、『これ幸い』と世間の目をあざむき、自分の妹と再婚した。彼女は、あなたの父親がその妻を裏切って他の女に生ませた異母妹である。あなたはそれと知りつつ、自分の妹と寝た。あなたは妹と近親姦を犯し、今度は実の娘と近親姦を犯そうと思い定めていたのである」
 なんという人でなし! 青年は義憤に駆られた。
「だから私は『やめろ』と言ったのに! あの女が私を誘惑したのです! エデンの園のエバのように。昔から女が諸悪の根源なのです。ですから私に温かいシチューを!」
 人でなしは大嘘をついて妹に責任転嫁した。
「あなたは自分の妹の連れ子にも情欲を抱いていたが、あなたの性的嗜好を知っている妹が、自分の娘には手を出させなかった。それは娘を守るためでもあるが、半分は嫉妬によるものだった。そして彼女は自分が生んだ娘よりも兄の娘のほうが血が濃いので、この娘に激しく嫉妬した。いつかこの娘に自分の兄を取られるだろうと予感していたのだ。なぜならあなたは、血の濃い女と寝るのが好きだからだ。兄の娘なら、兄の異母妹である自分よりも血が濃い。彼女は、あなたがいずれ自分よりも、実の娘と寝ることを渇望することがわかっていた。だからあなたの娘に激しく嫉妬し、虐待していたのである」
 兄妹(きょうだい)揃って人でなしか! なんという罪深い兄妹なんだ……。青年は生理的嫌悪感から身震いする。
「はい。あの女は悪い女ですから、地獄へ堕としてもかまいません。ですから今すぐ私に温かいシチューを!」
 共犯の妹だけを地獄に堕とし、自分だけ助けてもらおうとは卑怯な奴め! 青年は怒りに燃えた。
「聞け、宿なしよ! あなたは貴族の家に人として生まれたが、ろくでなしで恥知らずで恩知らずな、身の程知らずの礼儀知らずな人でなしとして生きた。そしてあなたは、宿なしで職なしの一文なしの物乞いとして死ぬのである」
「お救いください! 焼き立てのパンでも、蒸(ふか)したジャガイモでも、野菜のスープでも良いから、今すぐ温かい食べ物を!」
 人でなしは当然の報いを受け入れようともせず、まるで自分が譲歩してやっているかのような態度で、厚かましい要求をくり返すばかり。それらの恩恵を受ける資格などないにもかかわらず。み使いは、貪欲な人でなしの要求には取り合わず、神のお告げを忠実に伝え続ける。み使い、グッジョブ! 青年は拳を握って頷く。
「天においてあなたの居場所など、どこにも用意されていない。あなたは人々の心の中に、ろくでなしの人でなしとして永遠に存在し続ける。後の世の人々にも軽蔑され続けるのだ。それがふさわしい報いである。『神のみ前で明らかにされない秘密はない』のである」
 神さま、ナイスジャッジ! 青年は両腕を広げ、天を仰いで言う。
「ハレルヤ!」

 その時、逆恨みした人でなしが、悔しげに呪いの言葉を吐いた。
「滅びよ、神も天使も……!」
 すると天から火が下り、人でなしは元気に起き上がって情熱的な死のダンスを踊り始めた。
「ナイスファイト! やればできるじゃないか! 君はまだ、頑張れる!」
 青年はエールを送る。励ますのが好きらしい。人でなしは人々が眠りについた真冬の夜の街を一人、赤々と燃えながら噴水広場まで熱狂的なダンスを踊りながらパレードし、果敢にも寒中水泳に挑んだ。
「ナイスプレー!」と青年は応援する。スポーツが大好きらしい。存分に寒中水泳を堪能した後、噴水から這い出た人でなしは、冷たい石畳の広場に転がり落ちた。次は床運動でも始めるつもりだろうか? 青年は固唾を飲んで、次の競技が始まるのを待っている。

 ――六匹は飢えていた。丸二日、何も食べていない。五匹の子犬を持つ母犬は、焼けた肉の匂いを放つ瀕死の獲物をみつけるや、その喉笛に噛み付くとこれを絶命させた。
「おおお、ナイスファイッ!」
 青年は手に汗握る。異種格闘技も好きらしい。そして母犬が腹を喰い破って腸(はらわた)を引きずり出すと、子犬たちはこれに喰らいつく。こうして腹を空かせた野良犬たちは、久々の食事にありつけたのだ。たいして旨くもなかったが――。
「野良犬、グッジョブ!」
 青年は声援を送ると何度も頷きながら、野良犬たちに盛大な拍手を送った。

 朝、人々が起き出す頃には獲物はほぼ食い尽くされ、ほとんど骨しか残っていなかった。人々が広場に転がる白骨死体を取り囲み始めたときには、み使いの姿も異国風の青年の姿も、もうとっくに消えている。顔に酷いやけどを負っていたため人相はわからなかったが、わずかに焼け残った毛髪の色と、野良犬が喰わなかったために散乱していた焼け焦げた服の特徴から、あの人でなしであることがわかった。
 教会は破門済みの人でなしのために葬式を挙げてやるはずもなく、こんな人でなしのために墓石を手配したり、墓掘り人に賃金を払って埋葬してやろうとする酔狂な者など誰一人いない。

♪荷馬車が来たよ
 荷馬車が来たよ
 いらない物を貰いに来たよ
 いらない物は引き取るよ♪

 すると、どこからともなく陽気な歌声と共に、満面の笑みを湛えた男が荷馬車に乗って現れた。男は白骨死体と化した人でなしを引き取り、荷台に積んであった空の樽に無造作に投げ込む。そして愉しげに歌いながら町の外へと走り去った。その姿を見るたびに不愉快な思い出が蘇る、目障りな人でなしの姿が町から消えたので、人々は手を取り合って心から喜び合った。

♪荷馬車が行くよ
 荷馬車が行くよ
 いらない物を運んで行くよ
 いらない物は処分だよ♪

 そして、ほんの少しだけ肉をまとわせた白骨死体となった人でなしは、この後、細かく砕かれて豚に喰われることになる。
 これが今日、家畜の飼料として知られる肉骨粉(にくこっぷん)の誕生秘話である(嘘)。
 めでたしめでたし。

連作短編 もしもシンデレラの前に 裏話 後日談

執筆の狙い

作者 松岡修子
129.67.239.49.rev.vmobile.jp

※皆さんへお願い。良識のある感想とアドバイスをお願いします。忖度やお世辞は一切不要です。

3編共通の狙い
 自由間接話法。登場人物の心の声が違和感なく地の文に溶け込んでいるか気になります。
 専門用語がわかりませんが、文体の乱調(?)もやってみました。文体は統一するのが基本ですが、あえて調子を変えた部分があります。
 あえて会話文や説明文だけで人物描写や情景描写を省略・簡略化しています。だけど「ここは絶対描写が必要でしょ」というシーンがあればアドバイスしてください。

「シンデレラ」の後日談の狙い
 陰惨なシーンを詳述してないのに怖い、逆に詳述してるのに笑える。愉しそうなシーンなのにゾッとする。そういう矛盾する感情を読者に感じてもらうこと。

※独立した短編としても読めるように書いたので、3編を続けて読むと内容が一部重複しているように見える箇所があります。「亡き母」「亡くなった母親」と同じ意味の言葉を作品によって使い分けています。表記の揺れではありません。

コメント

匿名希望者
nat2.kkm.ne.jp

こんにちは。

>>自由間接話法。登場人物の心の声が違和感なく地の文に溶け込んでいるか気になります。

 個人的な感覚、考えですが。
 小説における自由間接話法は、あくまでも語り手の言葉(発声)であり、かつ、語り手の思考や気持ちではない。(文章は伝達節を抜いた感覚や感情や思考の直接的に近い表現)
 ある意味、直前に書いた状況や情報に対する主人公の批評(どう思ったか)を、語り手が(違う言葉で)代弁している。
※主人公がため口だからと言って、ため口で書いてはいけない。

 これを考えると基本的に、段落の冒頭部分では出てこない。語り手の客観的情報に対しての主人公の心情であるから。
 なお、自由間接話法を使用する部分では、主人公の視点と語り手の視点を同一にする必要がある。なぜなら、主人公が違うものを見ていたら、文末部分で出てくる感情は主人公のものではないことになる。

>>「ほらあるじゃない! ほら見ろ! あるじゃないか!」
>> これが幸せになる方法? こんな夢みたいな話が? だけどこれを夢でなく、現実のものにするには……。シンデレラは具体策を考え始める。なんだか愉しくなってきた。

『なんだが愉しくなってきた。』は、自由間接話法と言える(かもしれない。感覚の問題)

 始めの 『これが幸せになる方法?』について、会話の流れから、(私は)完全に主人公の言葉と感じる。
 また、……など、語り手は間を置く必要もない。主人公の口癖を地の文に入れると、一人称化してしまうような気がする。

 逆に、伝達部を入れるつもりで書くと、三人称としては書きやすくなる。視点について楽になるから。
 冒頭での直接的な心理描写もしやすい。(これは主人公の独白と読者に明確に伝える意味)

 あくまでも個人的な意見ですのであしからず。頑張ってください。

匿名希望者
nat2.kkm.ne.jp

追伸

語りでの言葉か、それとも主人公の独白かは、朗読したときに読む人がどのように表現するかで決まると思います。

読む人が、淡々と読めば語り手の言葉。落語のように、主人公に成り代わって読めば、主人公の言葉。というふうに解釈してください。

松岡修子
23.177.138.210.rev.vmobile.jp

匿名希望者さん

解説ありがとうございます。二回読み返してみましたが、残念ながら残念な私の頭では半分も理解できませんでした。

私の認識が誤っているのだろうなとは理解できました。私がやってみた書き方は、正しくは何と言うべきなのか、検索してみましたがわかりませんでした。自由間接話法とは言わないのでしょうね。
地の文の中に、『』を使わずに登場人物の心の声を書くのは自由「直接」話法と書いてるサイトがありました。

以前に別の投稿サイトで、あるクリエイターさんと話をする中で、「『』を使わずに地の文の中に登場人物の気持ちを書きたいんです」と言ったら、「それ、自由間接話法って言うらしいですよ。落語家さんがやってる手法」と返事があって、「ああ、そういうやり方がちゃんとあるんだ!」と嬉しくなっちゃったんです。それで、今まで『』を使って書いてた登場人物の心の声から『』を外したという経験・経緯があります。 

その手法は間違ってはいないけれど、その手法を自由間接話法と言うべきではないということですよね?
私の頭で理解できたのはこの程度でした。せっかく時間を割いて親切に解説してくださったのに、半分も理解できなくてごめんなさい。

匿名希望者
nat2.kkm.ne.jp

>>その手法は間違ってはいないけれど、その手法を自由間接話法と言うべきではないということですよね?

 正直、手法についてはこだわる必要はないと思います。読者に情報が伝わりやすく、主人公に感情移入させやすくするためのことですから。
 文章の良し悪し以外にも、ストーリー性や世界観やキャラクター性で読者をひきつけることです。それ+αで表現力です。

 小説の表現力は、ある意味、自分の感性ではないでしょうか。読者が良いというものは、自分も良いと思う。自分が良いと思うものは、読者も良いと思う。
 このような感覚、感性の共通点があれば、定石や形式にこだわる必要はないと思います。

建前は置いといて。

自由間接話法の作品と言えば村上春樹の1Q84だと思います。段落冒頭の心理描写の技法でいいなと思う作品は小野不由美の十二国記です。(それぞれベタですが)

頑張ってください。

松岡修子
81.69.239.49.rev.vmobile.jp

匿名希望者さん

おすすめ図書ありがとうございます。そのうち立ち読みしてみます。

松岡修子
81.69.239.49.rev.vmobile.jp

訂正

一作目で、シンデレラがその夜帰らなかったことを書いた地の文→いじわる家族のエピソード、となってますが、改稿して順序を入れ替えました。「帰ってきたら痛め付けてやる!」と思っていて、翌日帰ってきたと思ったら別人で、後から「シンデレラは二度と帰らなかった」という流れのほうが効果的だと思ったからです。

二作目はプロットに大穴がありました。主人公が国王に一度も会わないのが不自然なので、改稿しました。爵位授与式と叙勲式のシーンがあって、主人公は国王から爵位と勲章を授与されます。

松岡修子
188.250.149.210.rev.vmobile.jp

投稿直前に時代設定を近世から中世に変更したので、辻褄の合わない箇所を発見しました。
二作めで王子が「鳥撃ちや鹿撃ち」と言ってますが、「狐狩りや巻き狩り」に変更しました。 
三作目の「ふかしたジャガイモ」は「鴨のロースト」に変更しました。

しまるこ
KD106180004110.au-net.ne.jp

遅くなってすいません。いつもお世話になっております。皆さんがコメントされない分、私が10人分ぐらいコメントしようと思います。あまり難しいことはわからないので、フワフワした感想になってしまいましたが大目に見てください。自由間接話法も知らないので触れないでおこうと思います。普段は調子のいいお世辞を言ってしまいますが、それもやめておきます。

文体の乱調とのことですが、地の文が急にフランクだったり、ビックリマークがついて元気になったり静かになるのは、初心者がミスしているわけではなくて、気づいてる人があえてやっている感じはありましたが、作品の出来に関与するとは思いませんでした。

私だったらショートグローブの件はまるまるカットするかなぁ。

登場人物に、あまり興味を抱けなかったところがあります。登場人物が勝手に動き出すなんて言葉がありますけど、その反対というか、登場人物達を抑えこんでしまっている感じがしました。淡々と用意された役割を遂行して退場しているといいますか(連作短編だから当たり前かもしれませんが)、キャラクターが役割以上の魅力を放っていないと作品がどうしても弱くなってしまうと思います。人物に対する記述はたくさんあるのですが、どういう人間か最後までよくわからなかったかなという印象です。おそらく、そもそもが息をしていない人間を引っ張ってきているのが原因だと思われます。松岡さんがおっしゃる通り、心理描写でんでんが関係しているかどうかはちょっとわかりません。

と言っても、私が同じ題材で書いたら、おそらく何も書けません。エラのことを何も知らないからです。まぁ、ファンタジーの世界も書けないんですけど(笑)

こういったファンタジーの世界を書く時でも、よくしっている人間をもとにして書かないと、キャラクターが開いてこないというか、記号的になってしまう気がします。お姫様をお姫様としてだけ書いていると、松岡さんの独自の視点も見えてこないかなと。

ライトノベルの転生物のように、舞台が中世ヨーロッパでも、キャラクターは我々とどこか相通じるような、リアルな息づかいがあった方が、引き込めるかと思いました。舞台や骨組みがしっかりしている分、それに寄せられ過ぎているかもしれません。お話だけが続いていくのを追っていくのは、途中少し疲れてYouTubeに浮気してしまいました。

今作は、お姫様をお姫様として書く硬質な童話の方面を書いてみようと実験されているように思いますし、そうだとしたら私の意見はアホなほど的外れとなります。しかしこれしか感想が浮かびませんでした。よく的外れな意見をすると人に言われるので、違うと思ったら違うので大丈夫です。

一人現実的な元気なキャラクターがいますし、ここによく知ってる登場人物を絡めれば良くなりそうな気がしました。登場人物をおもしろおかしく茶化すには、その人の本当の特長に迫らなければ成功しないかと思います。有吉のあだ名芸みたいなものでしょうか。というより、松岡さんがよくコメントでやられていることです。

この童話的なストーリーの素材の中だけでイジろうとすることは、人形の欠点を探し出すように難しく、骨が折れるだろうし、ただイジっているだけのシーンが空虚に流れてしまうかと思われます。

松岡さんがあちこちのコメント欄で投げられている素晴らしい皮肉(褒めてます、あれは親切行為です)を勉強させてもらってます。松岡さんからしたら、見なくてはいけない現実を差しあげているだけだと思いますが、あれが作品の中で欲しかったなと思います。あれはよく対象を知ってるから出来る芸に他なりません。いくら良いたたき棒で叩いても、人形からは何も出てこない、といったら、ちょっと口が悪いですね。人の作品の登場人物を人形人形言って申し訳ありません。

これはあくまで私の考えですが、松岡さんが普段から腹を立てている人や、皮肉が嫌というほど湧いてくる人や、または、この人のことを考えると愛が溢れてやまないという人を登場キャラにして、それを正直に感想を漏らしていくストーリーにしたら、いいものになりそうだと思いました。

いつもされているコメントも、すべてを言い表してはいないと思います。小説でその制限を取っ払って、人物の正体を暴いたらどうかと思うのです。

文章やら文体やらは私よりずっとお上手ですから、私からは何もありません。よくこの題材に手を出すなぁとびっくりしているぐらいです。

面白いとまでは思えなかったけど、読み応えはありました。

三話目は、急ですね(笑)個人的には一番楽しく読めましたが。

しかしこれも、残酷な設定がキャラクターの上を歩いてしまっているように思えました。自分が本当に正直に思ったことを書いた結果、残酷になってしまったのであれば面白くなりますが、はじめから残酷を狙うと空回りすると思います。昔、私はよくそれをやりました。

悪党達を残虐に殺したのは世論に置きにいったように思えましたが、私だったらシンデレラを焼きます。本当は松岡さんもシンデレラを焼きたかったんじゃないかと思うのは勘ぐりすぎですかね(笑)

素材を創りあげるのにエネルギーを取られてしまってるように感じました。

日常から既に与えられている素材の中で自身の感じたことを言うのであれば、「狐狩りや巻き狩り」や「ふかしたジャガイモ」に気を揉むこともなく、もっとらくに楽しく書けたと思います。

まぁ、こんなこと言っていたら、ファンタジー作品ぜんぶダメなのかという理屈になり、ワンピースやハンターハンターもダメなのかという話になってしまいますが、まぁ、その辺りは別の機会に。

>冬は食べ物が腐りにくくなるので、人々は古くなった食材も捨てずに、なんでも煮込みにして食べてしまう。だから食べられるゴミはなかなかみつからないのだ。

意外と、書けそうで書けないところだと思います。

松岡さんの投げている問題提起を無視して自論展開をしてしまいました。悪い癖です。松岡さんの執筆の狙いを読んでいると、公募のために作品を固めようとしている気がしないでもないから、これほど余計なことはなかったかもしれません。とは言え、勉強させていただきました。ありがとうございました。

>高価な肉を卵でしゃぶしゃぶして食べる。
 すき焼きはしゃぶしゃぶしません。入れてしばらくおいてから食べます。

笑いました

松岡修子
84.125.148.210.rev.vmobile.jp

しまるこさんへ

とんでもない間違いに気づきました。ありがとうございます!
取り急ぎお礼まで。

松岡修子
84.125.148.210.rev.vmobile.jp

しまるこさんへ

 たくさんのご意見・ご感想ありがとうございます。なかなか理解できず、二回読みました。具体的なアドバイスならすぐに取り掛かれるのですが、わりとふわっとしたアドバイスなのでどうすれば良いのかよくわからず、改善するのが大変そうです。三編とも読んでくださって嬉しいです。

>心理描写でんでんが関係しているかどうかはちょっとわかりません。
 安倍総理リスペクトですか!?(笑)

>お姫様をお姫様として書く硬質な童話の方面を書いてみようと実験されているように思います
 まったくそんなつもりはなく、呑みながらテレビを見ていて、『もしもシンデレラの前に松岡修造が現れたら?』という空想から始まっただけの話です。
 従来の、自分では何もせず幸せを待ってるだけの受け身なお姫様ではなく、自分で行動する能動的な姫を書こうと思って書きました。

>一人現実的な元気なキャラクターがいます
 これは謎の青年のことですか? 現実的ではなく、むしろ異質な存在(激しく場違いな存在)として書いたつもりでした。ではなくて、レオンのことでしょうか?

>松岡さんがよくコメントでやられていることです。
 本質をえぐるということですか?

>松岡さんがあちこちのコメント欄で投げられている素晴らしい皮肉(後略)
 私は皮肉を言わないようにしています。櫻井さんには一言だけ言いましたが、本人には全然伝わってないようです。このように私は皮肉を言い慣れてないので皮肉が下手なんです。

>松岡さんが普段から腹を立てている人や、皮肉が嫌というほど湧いてくる人や、または、この人のことを考えると愛が溢れてやまないという人を登場キャラにして、それを正直に感想を漏らしていくストーリーにしたら、いいものになりそうだと思いました。
 このご意見は、私が新たに別の作品を作る際のアドバイスということですか?

>面白いとまでは思えなかったけど、読み応えはありました。
 ありがとうございます。

>本当は松岡さんもシンデレラを焼きたかったんじゃないかと思うのは勘ぐりすぎですかね
 シンデレラを殺すつもりは一切ありませんでしたよ。なぜそう思ったんでしょうか?

>公募のために作品を固めようとしている気がしないでもない
 そういうつもりは一切ありませんでしたよ。公募ってオリジナル作品という条件ばかりですし。
 と言うか、私は執筆量も少ないし、きちんと完成させた作品もほとんどありません。小説を書くための初歩的なこともわかってません(自由間接話法についても間違えてましたし)。公募に出せるような代物を書く力は私にはありません。
 誤字脱字も多いですし、語句の用法もよく間違えますし、語彙も少ないし、お恥ずかしい限りです。
 だから使い方に自信のない漢字や熟語、語句は調べますし、何度も読み返して手直しして推敲を重ねています。少しでも読みやすい文章になるようにと。
 でも読み返すたびにアラが見つかり、何度も手直ししているので、量産できません。我が子を手塩にかけて育てている感覚です。

 しまるこさんは構想にある程度時間をかけてから、一気に書き上げるタイプなんですね。職業作家としては、そういうタイプのほうが成功します。一種の天才肌ですね。

しまるこ
KD106180004110.au-net.ne.jp

松岡さんへ

具体的なアドバイスですと、群青さんとのやり取りをそのまま小説にされたら良いと思われます。

例えば私(松岡さん)は、とある小説投稿サイトに出入りしているが、群青なんたらという男に出会った。みたいな感じからはじめていって、

『サルの唯物論』での松岡さんのコメントと群青さんのコメントをコピペしながら、そのとき松岡さんはどういう気持ちでそのコメントをしていたのか、正直な説明や心理描写を加えてあげるだけのストーリーです。群青さんに向けて言ったコメントの中にも全部言い切れてないところもあるだろうし、あれから2週間ほど経って、また少し違う角度からこの文学喧嘩を見つめられることができると思います。

これは見ていて本当に面白かったです。皆さんもコメントを控えていましたけど、絶対楽しんで見ていたはずです。言いにくいのですが、松岡さんが書いたシンデレラの作品よりずっと面白かったです。

これを作品に昇華してくれたら、お金を払ってでも読みたいぐらいです。これは松岡さんか群青さんにしか書けない物語だと思います。

ここにいる人達も絶対に最後まで読むだろうし、普段小説も読まなかったり、このサイトと何ら関係ない人達も楽しませることが可能だと思います。

実際、私は櫻井さんの作品や、櫻井さん自身、ここにいるサイトの人達をおもいっきり馬鹿にした物語を書いて、このサイトと無関係の人たちを楽しませることができました。犬畜生でごめんなさい。

ご参考までに。

https://www.simaruko.work/4504

コピペして、読みやすい感じにして、間に自分の意見を付け加えればいいだけですから、そんなに大変ではないと思います。

私はそれが読みたいなぁと思うだけです笑


>心理描写でんでんか関係しているかはどうかはちょっとわかりません

すいません、このコメント分かりにくかったですね。

>あえて会話文や説明文だけで人物描写や情景描写を省略・簡略化しています。

と松岡さんが書いてあったので、人物描写の不足のために、登場人物が見えてこないかどうかは、ちょっとわからないと言った意味でした。

>従来の、自分では何もせず幸せを待ってるだけの受身なお姫様ではなく、自分で能動的なお姫様を書こうと思って書きました。

個人的にはこれだけだとまだちょっと硬質な動画から抜けられないような気がしてしまいます

>これは謎の青年のことですか?

はい。私には彼だけ現実的なキャラクターに見えました。『もしもシンデレラの前に松岡修造が現れたら?』と松岡さんが言われたように、シンデレラの世界に現在のキャラクターが飛び込んでいったように見えました。

>本質をえぐるということですか?

そういうことなんですけれども、松岡さんは正直に話すだけで十分本質をえぐっているので、ただ正直に話せば大丈夫だと思います。

>私は皮肉を言わないようにしています。
すいません、私の方で勝手に松岡さんを作り上げていました。

>このご意見は私が新たに別の作品を作る際のアドバイスということですか?

そうです。

>シンデレラを殺すつもりは一切ありませんでした、何故そう思ったんでしょうか?

最後に悪党をコテンパンに殺して終わりにするのは、そのまんますぎるというか、勧善懲悪のようなところがあって、松岡さんでしたらあえてシンデレラの方を狙うんじゃないかと勝手に私が思っただけです(笑)私は思い込みが激しくて、勝手に間違った人間像を膨らましてしまう癖があります。申し訳ありませんでした。

椋丞
softbank126117173120.bbtec.net

しまるこさん、櫻井さんに作品転載の許可を得ているのですか?
もし得ていないのなら著作権侵害という立派な犯罪です。
はっきり言ってあなたのしている行為は愚劣で最低です。
他人が一所懸命書いた小説をブログに上げ、論い、仲間内で笑い合う。なぜそんな真似ができるのか、私には到底理解できません。見た瞬間、絶句しました。
櫻井さんに謝罪し、今すぐ記事を削除してください。

松岡修子
18.252.149.210.rev.vmobile.jp

>群青さんとのやり取りをそのまま小説にされたら良いと思われます。
>これは見ていて本当に面白かったです。
>これを作品に昇華してくれたら、お金を払ってでも読みたいぐらいです。
>ここにいる人達も絶対に最後まで読むだろうし、普段小説も読まなかったり、このサイトと何ら関係ない人達も楽しませることが可能だと思います。

 嬉しいお言葉ありがとうございます。ですがあれは群青さんの劇場型小説で、私はその脇役(作品への感想を述べる者)に過ぎません。私の作品として世に発表するのは筋違いだろうと思うのでやめておきます。
 それから誤解なさってるようですが、私と群青さんは喧嘩などしてませんよ? 私は群青さんの劇場型小説という斬新なスタイルの作品に対する感想を感想欄で述べていたに過ぎません。
 同様に、他の人たちとも喧嘩などしていません。私が誹謗中傷を受けたので、加害者たちに注意したり、抗議したりしていただけです。(身の程もわからせてあげようとしましたが、彼らの知能では無理でした。)私自身は誰のことも誹謗中傷などしてませんので、喧嘩ではないのです。私は事実を言ったに過ぎません。


>実際、私は櫻井さんの作品や、櫻井さん自身、ここにいるサイトの人達をおもいっきり馬鹿にした物語を書いて、このサイトと無関係の人たちを楽しませることができました。

 拝見しました。大ウケしてますね。そこでアドバイスなんですが、引用された人たちから著作権侵害として訴えられないように、引用元と本人たちのペンネームを変えずに明記しておくと良いですよ。そして引用する文は変更してはいけないみたいです。そうすれば本人へ許可はいらないそうです。まとめサイトとかありますよね?あの要領です。
 まとめサイト以外の他のサイトでも、ツイッターの発言とハンドルネームもそのまま引用してるのを見たことがあります。法律上そうしなければはいけないから、伏字にしたりマイルドに改変したりしないそうです。
 ですが私は詳しいことまでは良く知らないので、調べてみてくださいね。


>>従来の、自分では何もせず幸せを待ってるだけの受身なお姫様ではなく、自分で能動的なお姫様を書こうと思って書きました。
>個人的にはこれだけだとまだちょっと硬質な動画から抜けられないような気がしてしまいます。

 彼女が能動的である事がもっと良く伝わるように書き込む必要がありますね。改稿します。


>私には彼だけ現実的なキャラクターに見えました。『もしもシンデレラの前に松岡修造が現れたら?』と松岡さんが言われたように、シンデレラの世界に現在のキャラクターが飛び込んでいったように見えました。

 彼だけ実在の人物ですからね(笑)テレビで見る松岡氏の様子を思い出しながら描写したらリアルに仕上がったんでしょうね。他の登場人物も自分の中でもっと具体的に作り上げて、それを言葉で描写すれば人形ではなくいきいきとしたキャラクターに仕上がるだろうな、と書きながら気付きました。


>松岡さんは正直に話すだけで十分本質をえぐっているので、ただ正直に話せば大丈夫だと思います。

 良くわかってらっしゃいますね。本質をえぐり過ぎて逆切れされることがしばしばありますが(笑)


>最後に悪党をコテンパンに殺して終わりにするのは、そのまんますぎるというか、勧善懲悪のようなところがあって、松岡さんでしたらあえてシンデレラの方を狙うんじゃないかと勝手に私が思っただけです。

 ひねりを効かせるんでは?と思ったんですね。ですが私は罪もない人を苦しめたりしませんよ。ひねりとしては、原作ではたいして詳述されなかった加害者たちの末路を詳述し、彼らを主人公とする一つの作品として仕上げました。


>心理描写でんでんか関係しているかはどうかはちょっとわかりません
 これに対する私の返信は、「でんでん」に反応したからですよ。云々(うんぬん)をでんでんと読んでしまった安倍総理をリスペクトしてるのかな?と。

 大収穫でした。ありがとうございます。
追伸 誹謗中傷は相手にせず、運営に通報しましょう。削除してもらえます。

しまるこ
KD106180004110.au-net.ne.jp

松岡さん

よくわかりました。アドバイスありがとうございます!

松岡修子
153.255.149.210.rev.vmobile.jp

しまるこさんへ

ゴミは適切に処理されましたよ。で、他の人の感想欄での私の感想に対するしまるこさんのツッコミにお答えしますね。

(短い小説らしき物の要約)
これだけでは小説とは言えません。
短いからダメなわけではないのです。小説として成立してないからダメなんです。←客観的事実
あなたは一読者としてこの話を読んで、面白いと感じますか?←真摯な質問
もし感じるなら、箸が転んでも林檎が落ちても面白いんでしょうね。←まっとうな推論
毎日楽しそうで羨ましい限りです。←嘘偽りのない真っ正直な本心
というわけです。私は皮肉など言ってませんよ(^^)

しまるこさんのアドバイスを参考に、登場人物に有吉風のあだ名を付けてみました。
男爵:髭の肥満体→ヒゲ樽(だる)→ヒゲ箒(ぼうき)
継母;ヒステリーグラマー
姉:への字団子
団子鼻でいつも不満げなへの字口(へのじぐち)だから

人物描写もより具体的に書き足しています。人形や記号ではなく、生きた人間として感じられるように考えながら。とりあえずシンデレラから始めました。

群青ニブンノイチ
softbank221022130005.bbtec.net

ゴミ ← こういうねじ曲がった根性を憚りなく振舞える鈍感神経が、そもそもおまえの支持されない根本的理由なんだよ絵文字粘着こじき馬鹿修子あまえアホすぎヒマすぎ

しまるこ
KD106180005044.au-net.ne.jp

松岡さんへ

どんなに頑張って書いても、あのシンデレラの作品を面白くすることは難しいと思います、どんな文豪であっても。

群青さんもよく色んな人に言いますけれども、日記から始めるというのはとても良いことです。創作しようとすると嘘と冗長ばかりになります。

ただ、自分を開示されればいいと思います。

私もここにいる皆さんも、そして、ここにさえいない見知らぬ誰かですら、松岡さんの何が読みたいかというと、松岡さんが創ったものではなくて、松岡さんを読みたいんです。

松岡さんのプロフィールだったり、日記だったり、松岡さんが何者なのか知りたいんです。どこで何をして、何を考えて生きているのか。

別に日記を書かなくても、自分が心から正直になれる題材を選ぶと、それは日記となり、自分を開示する作品となり得ます。

今、私に話してくれたこの文章ですら「私と皮肉」というタイトルにして、今までの自分の皮肉を集めて、皮肉に対する考え方、こういう理由だから皮肉ではないということを究明させていけば、10枚くらいの掌編が書けるかと思います。もし本気で皮肉ではないと考えているのであれば、そこに正直さが宿り、正直であれば正直であるほど面白くなります。間違いなくシンデレラより良い作品になるでしょう。

私だって例外じゃありません。私が今松岡さんに向けて書いてるこの文章ですら素材となり得ます。「松岡修子の文章について」というタイトルにして、今までの私と松岡さんのやり取りを素材にして、描写を加えて深堀をしていけば、とてもいい作品になります。私と松岡さんの人間を明らかにすることが可能となるからです。その人間を明らかにすることが作品の面白くなる秘訣です。松岡さんのコメントが面白いのは何かを明らかにさせようとしているからです。シンデレラは元々が生きてはいない人間なので、それを一生懸命いくら付け加えようとしても、手垢がついて汚れていってしまうだけだと思われます。

目の前のことを明らかにすることを念頭にされると、大抵面白くなります。自分があちこちでばらまいて書いたもの(コメント)を、一つの題材に向かっていけるようにしてしまえば、これほど楽な作品の作り方はありません。「私と皮肉」というタイトルならできてしまいます。「私と皮肉」でなくても別に何でもいいです。今まで松岡さんが書いてきたものをまとめるだけでいいです。

>これだけでは小説とは言えません。
短いからダメなわけではないのです。小説として成立してないからダメなんです。←客観的事実
あなたは一読者としてこの話を読んで、面白いと感じますか?←真摯な質問
もし感じるなら、箸が転んでも林檎が落ちても面白いんでしょうね。←まっとうな推論
毎日楽しそうで羨ましい限りです。←嘘偽りのない真っ正直な本心
というわけです。私は皮肉など言ってませんよ(^^)

こうやって松岡さんが自分の書いた皮肉を一文一文例にとって私に説明してくれたように、それと同じことを小説でやればいいのです。私が過去に書いたものは、その手法でやっているのが分かると思います。一番初めの180センチのデブの話から、竹内まりやまで、全てこれです。題材に感想を入れているだけです。

題材を創ろうとすると駄作になります。松岡さんがコメントだと楽に気持ちよく文章が書けてしまう理由は、既に生きた題材が用意されているからです。

松岡さんは今までたくさんコメントをされてきてますから、それをまとめるだけで大丈夫です。

文章論なるものを記事に書いてあるのでよければ読んでみてください。
https://www.simaruko.work/category/ブログ・文章論/

あと、上であげた投稿サイトの物語、あれは1話目で、全部で7話の連作になっています。無事完成させることができました。松岡さんやここにいる皆さんが書いてくれました。文章は他人に書かせてナンボです。竹内まりやのやつも、竹内まりやが書いたんです。題材に感想を書けば終わりです。今、まさにこうして私達がやっていることです。
ある人が、そんなのはジャーナリズムであって、芸術ではないと言いましたが、その人ですら、7話目の最終回で、1時間以上何も手がつかなかったほどの雷に打たれたような衝撃を受けたようです。まあ良かったら、続きも見てみてください。松岡さんの創作のヒントになるかと思います。2週間後に完全版にして投稿したいと思ってますが。

今朝の6時ですけど、ついつい書きたくて仕方がなくなってしまったから書いてしまいました。文章はやっぱりこうじゃなくちゃダメですね。

>エロ本ばかり読んで間違いだらけの記事を鵜呑みにして、
>それともエロシーンが好きなんですか?

あだ名悪くなかったんですけど、こっちのコメントの方が面白かったです(笑)

土門肇
sp49-97-100-160.msc.spmode.ne.jp

松岡さんは純文学の結晶です。
ですから、このような魑魅魍魎の巣で
正論を仰っても、悲しいことですが
反感と、理不尽な攻撃にあうだけです。
かならずや職業作家になられることは
明らかですから、このようなバカサイト
に発言せず、松岡さんご自身のサイト
を立ち上げたほうがいいとおもいます。
素晴らしき松岡さまの存在と勅語を、
クズどもに侵されるのはつらいのです。

失礼しました。

松岡修子
249.253.149.210.rev.vmobile.jp

しまるこさんへ

 だから皮肉じゃないんですってば(笑)皮肉とは弱点をつくなど骨身にこたえる事を、【それとなく】言う、【意地悪】な言葉です。
 私は作者の間違いを【はっきりと】指摘するという【親切】行為をしているだけです。これは鍛錬場ではごく当たり前の行為です。ところが間違いを間違いであると素直に認めず、恩人である私を誹謗中傷してくる恩知らずたちもいます。
 私は彼らに「恩知らず」「身の程知らず」「礼儀知らず」という彼らに関する事実を「それとなく」ではなく【はっきりと】教えてあげているに過ぎません。
 それらは事実ですし、不利益になる情報ではないので誹謗中傷には当たりません。むしろ彼らを益する情報です。なぜなら身の程を知ることは大変大事なことだからです。もちろん皮肉にも相当しませんよ。意地悪な言葉ではなく、彼らにとってとても有益な言葉すなわち【親切】な言葉だからです。
 
 本音を綴ったエッセイならブログにたくさん書いてたんですけど、サイト自体のサービスが終了したり退会したりしたから残ってないんです。小説よりエッセイの方が閲覧数が多く、「いいね!」もたくさん付いてました。
『エッセイは短くて読みやすいからだろう』と思ってましたが、単純に読者としてはそっちの方が面白かったんでしょうね。ブログによくありがちな当たり障りのない一般論や『善い人だ』と思ってもらうための綺麗事なんか一切書きませんでしたから。そんな話、読まされてもつまらないし、書いててもつまらないですからね。
 世論や一般論に迎合せず、感じたことや思ったことを素直にそのままエッセイに書いてました。ただし感情論ではなく、論理的にまとめて。
 エッセイは創作の合間の気分転換や息抜きとしての執筆でしたが、むしろそっちの方が人気だったので複雑な気持ちでした。

 リアルタイムで進行する日記(実体験)と小説(虚構)を融合した実験小説も連載してたんですけど、それは結構人気でした。でも登場人物(実在の人物)と絶縁したので完結せずに頓挫しました。
 主人公が書き手である私自身、登場人物が実在の人物、物語の内容が実体験がベースなので、私小説であるかのような生々しさのある作品だったからだと思います。リアルタイムなので臨場感がありますし、『続きはどうなる?』と気になったのでしょう。
 作者である私本人も続きがどうなるか分からないというワクワク感がありました。書いてて楽しかったです。「書いてて楽しい」が「読んでて楽しい」に繋がったようです(書いてて楽しくても作者の独りよがりではいけませんが)。あれは良い経験でした。

 ブログ・文章論を拝読しました。ちょっとわかりにくい部分があったので、完全版を楽しみにしています。

しまるこ
KD111239155246.au-net.ne.jp

松岡さんへ

もう十分わかっていたんですね。しゃしゃり出てしまってすみませんでした。

完全版はただ記事を連結させるだけなので、特に何も変わりません笑

松岡修子
59.198.214.202.rev.vmobile.jp

しまるこさんへ

 お詫びには及びません。しまるこさんに教えていただいたことを創作の中にも活かせるようにしたいと思っています。大事な気付きをありがとうございました。

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