作家でごはん!鍛練場
ガヤ・マエデール

king hand!!

気がつくと、俺は生まれ変わっていた。
いや、正確に言うと「転生」していた。

場所は戦場。
けたたましいほどの怒声が聞こえる戦場だ。

前世の記憶は少しある。
前世もやはり戦地にいた。
そう考えると、前世との差は、あまりないらしい。

いきなり戦場のど真ん中に放り込まれた俺は、どうすればいいかわからず立ちすくんでいた。

"前に進め"

頭の中に強い意志を感じる。
俺はその思いに従って前進むと、遠くに誰かが見えた。

「あ!」

俺は息をのんだ。

奥に見えるのは、以前、俺が仕えていた暴君だ。

奴はなかなか邪険な奴で、人の命もなんとも思っちゃいない冷酷非情な男だ。

俺は無性に腹が立った。

--奴を殺してやる。

俺の心に、密かな怒りの炎が灯る。

"前に進め"

そんな中、相変わらず頭の中に響く力強い声に従うと、斜めの死角から何かが飛び出した。

いや、人だ。

かなり遠くからやってきたそいつは、ギラギラと怪しい光を帯びた刀を俺に突き刺した。

「死ね」

俺はその言葉とともに自分に刺さった刃が抜かれ、あえなく気を失った。


気がつくと、俺は生まれ変わっていた。
いや、正確に言うと「転生」していた。

場所は戦場。
けたたましいほどの怒声が聞こえる戦場だ。

前世の記憶は少しある。
前世もやはり戦地にいた。
そう考えると、前世との差は、あまりないらしい。

いきなり戦場のど真ん中に放り込まれた俺は、どうすればいいかわからず立ちすくんでいた。

"前に進め"

やはり、頭の中に強い意志を感じる。
俺はその思いに従って前進むと、遠くに誰かが見えた。

今度は賢王だ。
彼は暴君の国で生まれ育ったちっぽけな俺の耳にでさえその聡明さが広まっており、他国でありながらも彼のような考えには常々賛同していた。

そんな彼はやはり戦場であっても、凛としている。

"前へ進め"

この声は誰の声なんだろう?
わからない。
ただ、今はこの声に従って前へ進むしかないのだ。

「よう、ガキ。俺の盾か?」
「?!」

唐突にそんな声が聞こえる。

後ろにいるのは誰だ。
聞き覚えがあるような、ないような、そんな曖昧な記憶。
俺は横目で彼の様子を伺うと、鏡のような銀の鎧が見えた。

「覚悟!」

そうぼんやり考えていると、目の前にあり得ないスピードで現れた男が、俺に大きな剣を振り下ろした。

「え?」

彼の渾身の剣が近づいてくる最中、後ろの彼は「サンキューな」と言って下品に笑った。


気がつくと、俺は生まれ変わっていた。
いや、正確に言うと「転生」していた。

場所は戦場。
けたたましいほどの怒声が聞こえる戦場だ。

前世の記憶は少しある。
前世もやはり戦地にいた。

こうも繰り返していると、なんだか「転生」と言うよりも、「繰り返し」に近い気がしてくる。

うーん。
考えれば考えるほど、頭が痛くなる。


その時、何か上から落ちてくるのが見えた。

よくよく目を凝らすと、人である。
そいつはまるで操り人形のように戦場の中央に降りてくると、少し戸惑ったように周りを見渡した。

--もしかして、同類かも。

俺は、自分とよく似た彼のことが無性に気になった。

"前へ進め"

声と気の赴くまま、俺は彼に近づいていく。

「誰だ!」

彼は警戒心をあらわにした声で俺を怒鳴りつけると、薙刀を俺の首に当たるか当たらないかの距離まで突き立てた。

「待て!俺は、あんたのことが知りたいだけだ」
「……俺のこと?」
「あぁ」

彼は俺を訝しげに見ると、「ふんっ」と鼻を鳴らした。

「何が知りたいんだ?」
「……あんたはなぜ、ここにいる?」
「知らん。気付いたら、ここにいた」

--やっぱりそうだ。

俺は心の中で確信する。
彼は、俺と同じ境遇なのだ。

「俺もなんだ。気が付いたらここにいて、何度死んでもまたここへ来る」

先ほどまで不機嫌そうだった彼は、目を見開いた。

「まさか……。お前もそうなのか?!」
「同じ境遇同士、仲良くしようぜ」

俺は右手を差し出す。
すると彼も「おう」と答えると、右手を差し出した。

"殺せ"

2人が手を取り合った瞬間、頭の中にあの声が聞こえた。

--殺……す?

「えっ、お、おい?!」

そう認識した途端、俺は片手に持った刀を振り上げていた。


しばらくしてから、自分が犯した罪を自覚した。
目の前には、先程まで話していた彼が倒れている。
彼の体からは毒々しい色をした血が広がっており、なんとも無残な光景に思える。

"前へ進め"

半ば強制的に支配するこのその声は、前で倒れている彼を踏みつけるよう指示した。

--いやだ。

俺は必死に抵抗しようとするも、まるで決まり事のように体は勝手に前と進み、俺は彼の死体を踏みつけた。

ぐちゃり、という生々しい嫌な音がする。

俺はいてもたってもいられず、下を見た。
すると、踏まれたはずの彼の体は徐々に色薄め、数秒としないうちに消えてなくなった。


一体、なぜこんなことを繰り返しているのだろう。
誰が、何のために。

そんなことばかりが頭を巡っている。

"前へ進め"

しかし、そんなことはお構いなしに力強い声が俺に進むように命じた。

「よう」

今度は横から話しかけられる。
声のする方を見ると、自分と同じぐらいの青年が立っていた。

「誰だよ、お前」
「ん?俺だよ、俺」

彼の口調は、まるでオレオレ詐欺だ。

「お前、賢王軍だろ?」

突然の質問に、俺は少したじろいだ。

「そうだけど……。お前は?」
「俺?今は残念ながら敵だよ、お前のな」

彼はニヤリと笑う。

「……殺したけりゃ、殺せよ」

呟くように俺がそう言うと、彼は「ははっ」と声を上げて笑った。

「俺はお前を殺せねーよ。そういう決まり事なんだ」
「決まり事?」
「まぁ、もうすぐ分かるさ。それに、俺はお前を殺せなくても、俺の仲間はお前を殺せる」

彼がそういったが早いか、後ろから馬の嘶きが聞こえると同時に、体に強い痛みが走る。

何度繰り返しても慣れない痛みに顔を歪める俺に、彼は「我が軍へ、ようこそ」と笑った。


気がつくと、俺は生まれ変わっていた。
いや、正確に言うと「転生」していた。

場所は戦場。
けたたましいほどの怒声が聞こえる戦場だ。

どうやらさっき不敵に笑った彼の言った通り、俺は暴君の軍下にいるようだ。

何回も繰り返してわかってきたことがいくつかある。

俺は必ず敵軍に殺される事。
殺されると、敵軍の兵士として転生する事。
俺一人の意思では動けない事。
何者かによって、俺は操られている事。
そして。それは俺個人の問題では無いという事。

どういう意図なのか、誰の思惑なのか?

俺の頭上を取り巻く空は、怪しげな色を浮かべていた。

右も左もわからないポンコツな俺は、やはり理解できない。


「久しいな、小僧」

隣から聞こえた低いドスの効いた声には、嫌なぐらい覚えがある。

「お、お前は……」
「王に対して『お前』とは、失礼な奴だな」

ご機嫌そうな暴君は、ガハハッと豪快に笑った。

「何が『王』だ!人の命なんて、どうとも思ってないくせに」
「それは褒め言葉として受け取っておこうか?」

俺はケッと、唾を吐き捨てた。

その時。

「覚悟ーーーーーーッ!」

突然、槍を持った男が凄まじい勢いで陣地の手前まで突進してくる。
彼の形相はまさに鬼のようで、暴君に対する深い憎しみが見て取れた。

「おっと、危ない」

暴君は楽しそうにそう言うと、俺の後ろに回り込んで盾にした。

「お、おい?!」

いきなり標的と化した俺は、慌てふためいていた。

しかし、そんなことも気に留めず、彼は陣地の中に足を踏み入れると「ナル!」と叫んだ。

--「ナル」?

俺は首を傾げた。

どこか聞き覚えのあるその言葉は、俺の記憶の何かを引っ掛けるように脳内で何度も再生されると、途端に頭が痛くなってくる。

彼はその魔法のような言葉を叫んだ途端、体に纏って鎧が光り輝き、金色の兵士に変化した。
その金色は、周りの喧騒や怒り、憎しみ全てを混ぜ込んだような、そしてそれを映し出すような、何とも言えない金色に見えた。

ニヤリ。

彼は怪しい輝きを増した瞳で、俺を睨んだ。


俺は、死を覚悟した。

「図に乗るな」

突然、先程まで暴君がいた場所の隣にいた老人が、声を上げる。

そのじいさんは古びたような金の鎧を纏っており、やはりそれと同じ色の刀で侵入者の首をはね落とすと、ぐちゃりと踏みつけた。

酷たらしい光景に、俺は目を背けた。


パチパチ……

「よくやった。それでこそ我が臣下よ」

暴君は満足気に手を叩くと、老人は「お褒めに預かり、光栄です」と礼を述べた。

俺は老人に踏まれた死体を見つめた。

その死体もいつかの彼のようにだんだんと薄れていって、いつの間にか影も形もない。


「彼には気の毒なことをした」

死体があったであろう場所を見つめる俺に、老人はボソリと呟くように言った。

「私もそう老い先は長くない。先にこの軍からおさらばするとしよう」
「ど、どういうことだ?」
「君もわかっているはずだ。どうせ散るなら、賢王の軍として、この戦争を全うしたいだろ?」

老人は笑った。

しかし、その眩しい笑みは、敵軍の侵入によって掻き消される。

「ごめんねー。おじいちゃん」

ふざけたような口調で入ってきた男は、馬の上から老人を一突きにした。

老人の体は肉が裂けるとも、骨が折れとも取れない不気味な音を立てて崩れた。

「ナル」

馬に乗った男が、楽しそうに倒れ込んだ老人の体を踏みつけながらそう言った。

彼の体が目が眩むような金色に変化してゆく最中、俺は老人を見つめていた。

"先にこの軍からおさらばするとしよう"

その声だけが、俺の耳に酷く焼き付いていた。

「今度こそ、お前はワシの盾となるのだ」

下品な笑い声を上げた暴君は、俺を見捨てて逃げ出した。

その様子をギロリと見た金の兵士は「お前も憐れな奴だな」と言って、老人と同様に俺を一突きした。


俺はやはり、「転生」していた。

前世の記憶。
前々世の記憶。
前前々世の記憶。

あやふやに、しかし、しっかりと覚えている。

人の命の重みも。
権力の醜さも。

全て生々しいほど、明確に覚えている。

自分の無力さが嫌になった俺は、空を見上げた。
空は厚い雲が覆っており、お天道様の光すら届かない。
砂埃が舞い、人の悲鳴や馬の嘶き、全てが倒錯した悲しい世界であった。

--俺はこんな世界を望んだわけじゃない。
こんな風に生きていきたいと思ったわけじゃない。
きっとみんな、こんなことがしたいわけじゃない。

どうして人が人を傷つけ、同じ血の流れるもの同士が痛いほどまでにこんな戦いを繰り広げなきゃいけないのか。

一体何が間違っていると言うんだ?
そして俺に何ができると言うんだ?

俺は右手で拳を作ると、強く握り締めた。


今回俺が転生した場所は、暴君の陣地に意外と近い場所であった。

陣地の手前だというのに守るはずの兵士の姿はまばらで、すぐ前にはあの暴君が見える。

「ほお、小僧。何の用だ?」

暴君は演技がかったセリフをのこのこと吐いた。

「お前を、殺しに来た」

そんな暴君を冷ややかな目で見た俺は、右手に持った刀を握り直した。

"前へ進め"

俺の意思を汲み取ったような力強い声は、頭の中で何度も反芻する。

--わかってるさ、それぐらい。

俺は笑った。

今まで繰り返してきたすべてを、今ここで終わらせるんだ。

ゆっくりと一歩を踏み出した俺は、奴の陣地に入るといつかの兵士たちのように「ナル!」と叫んだ。

途端に俺の体は金色の光に包まれると、くすんだ何とも言えない色の鎧は金色へと姿を変える。

「?!」

さすがの暴君も驚いたのか、「ま、待て!」と慌てて後ずさりした。

「もう遅い。お前が今まで犯した罪をよく考えるんだな」
「謀反者だー!出会え。出会え!!」

必死にそう叫んだ暴君の声に呼応するものは、もはや誰1人としていなかった。

俺は今までのすべての怒りを込めて、刀を構える。

その時。

「図に乗るな」

聞き覚えのある声がした。

まるで俺の盾になるかのように、暴君と俺の間に金色の兵士が舞い降りた。

「じいさん!」

俺は、本当にあの時のじいさんかと思うほど若々しく見える老人に会えたことに喜びを感じ、歓声を上げた。

「よくやったぞ。さて、われわれは賢王の軍としてこの暴君を成敗する。賢王の軍として散る覚悟はいいか?」

老人の声は以前とは打って変わってはつらつとしており、年齢を感じさせない若さが見て取れる。

俺は老人への尊敬と、暴君への憎しみを込めて、大きく「はいっ!」と返事をした。




「王手!」

ここは小学校の教室。
休み時間となったこの室内には、熱心に将棋に励む子どもたちがいた。

その中の1局。

ついに陣形を崩されて追い込まれた玉将は、成金を背に置いた金将で、あえなく「詰み」となった。


-fin-

king hand!!

執筆の狙い

作者 ガヤ・マエデール

転生モノが嫌いな作者が送る、クスッと笑える転生モノ!

最後まで読んで、「あーっ!」となっていただければ幸いです(*^▽^*)

コメント

偏差値45

しっかり読んだわけではないけれど、
同じようなことの繰り返しで「あきる」。
メリハリのある文章の作り方が望ましいかな。
簡単に言えば、死んだ経験のカウントをした方が良いかもしれない。
オチは、想像した通りなので「やっぱり」という感じですね。

ガヤ・マエデール

偏差値45様、コメントありがとうございました。

なるほど!
そう言われてみればそうかも知れません。
あんまり気にしていなかった所なので、もう一度よく考えてから再構成させて頂きたいと思います。

的確なコメント、ありがとうございましたm(__)m

\(^o^)/

『読み始めてすぐ、『コントかな?』と思いましたが、笑いどころがなく、飽きてリタイアしました。
 勝手にヨーロッパの戦場をイメージしてましたが、薙刀が出てきたので『え、日本?』と意外に思いました。王が出てくるので大和政権誕生前後の話ですか?
 戦場なら騒がしいはずなのに、音をイメージできませんでした。描写不足が原因だと思います。
 この手の作品は、ドドドドッ!とかカキィィン!とかズンッ!とかバスッ!とかいう擬音語を入れるんじゃないんですか?
 そういった擬音語を使わない場合は、そういう音を読者がイメージできるような臨場感あふれる描写が必要です。

ガヤ・マエデール

\(^o^)/様、コメントありがとうございました!

そうですね。
確かに音の描写が少ないです。
(言われて気付いた)

もう少し騒がしい感じを出しながらも、最後まで引き込めるよう工夫させて頂きます!

ありがとうございました!

あのにます

感想書きます。

前前前世言いたいだけやろ!w
作者すごい若いのかなと思ってURL開くと2000年生まれ。
19歳か。
けどこういう作品って、最近は平気で30代40代の作者が書いたりするから
年齢わからんもんね。

なんとなく作品に入り込めないのは、たぶんキャラクターだと思います。
「俺の名は〇〇!!」
みたいな感じでもっとキャラクターが自己主張してきても面白いのかなって。
ストーリーはおまけみたいなもんで、キャラクターありきでいいと思って。
もっとキャラクターの個性とかクセを感じる描写が欲しいなって思いました。

ガヤ・マエデール

あのにます様、コメントありがとうございます!

別にRADWIMPSを意識したわけではないのですが、確かに前々前世!
ややこしい表現ばかりで恐縮です……

もっと作品に最後まで引き込める語彙力をつけたいと思います。

ありがとうございました!

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