作家でごはん!鍛練場
どう足掻いても凡人

犯人と警官~出会ってしまった二人~

 あるアパートの一室で、ドラマのような事態が発生した。
 それはドラマでいうところの、女が男を引き止めるシーン、である。
 ここで外出させてしまったら、夫はもう二度と帰ってこない。そうなれば専業主婦の自分は破産して泥沼に落ち込んでしまうだろう。そう考えた42歳のマリコは、夫の外出を止めようとするのであった。
 では場面スタート!

「知ったことではない」男はそう言って扉に足を向けた。
「待って!」女は泣きすがり、男の右手を掴んだ。
「くどい!」男は女を振り払った。
 女はバランスを失い、床に倒れた。彼女は必死に床を這いつくばい、男の足にすがりついた。「待って、待ってよぉ」女は涙声になっていた。
 それを見た男は憤怒の表情を浮かべた。「女だから泣けば許されると思っているのだろう、このフェミニストが!女は男女平等とキーキーわめくが、だったらなぜ女性専用車両があって男性専用車両はないのだ!女は差別されていると喚き散らすばかりで、自分たちが優遇されていることにはこれっぽっちも目を向けやしない!」彼は懐から銃を取り出すと、女の頭に銃口向けた。「もう貴様ら女には愛想が尽きた。死ねい」
 女の顔が真っ青になった。彼女は震え声で説得を試みる。「や、やめ」BANG!部屋に銃声が轟いた。誠に残念なことに、女は言葉を言い終えぬうちに殺されてしまった。
 男は女を見つめた。女はピクリとも動かなかったが、彼は一応念を入れることにした。男は弾切れになるまで引き金を引いた。女の頭はぐちゃぐちゃになった。
 男は満足して銃を収めた。彼は部屋を後にし、アパートの玄関を出た。すると玄関前にパトカーが一台停まっていた。
 パトカーには警官が1人乗っていた。警官は男の姿を見とめると、パトカーを降り、男に歩み寄った。
 彼は男に話しかけた。「少しお話を伺いたいのですが」
「ええ、いいですよ」男は頷いた。
「そうですか、では単刀直入に聞きましょう。先程このアパートから銃声が聞こえたとの通報がありました。そのことについて何かご存じないですか」
「ああ、それは私が妻を撃ち殺した音だ」男はあっけらかんと答えた。
 警官は男の言葉を話半分で聞いていた。「そうですか、あなたが妻を撃ち殺、えっ」彼は男の言葉を理解した。警官は驚愕の表情を浮かべ、驚きのあまり混乱状態に陥った。「え、え、ええっと、それは、うん」そこまで言ってようやく思考がまとまって来たらしく、彼は慎重に言葉を発し始めた。「つまり、あなたが、銃声の、原因、という、こと、ですか」
「その通りだ、私が銃声の原因だ」男は懐から銃を取り出した。「これが私の使った銃だ」
 それを見た警官はびっくり仰天した。彼は撃ち殺されるのではないかと思い、急いで腰の銃に手をやった。しかし慌てていたため手が滑り、中々つかめない。
「あっはっは、安心しなさい。この銃は弾切れだよ」男は銃を警官に差し出した。
 警官は銃を受け取った。「あ、ありがとうございます」彼は動揺した様子で礼を述べると、興味深げに銃を眺めた。「6発式のリボルバーですか。こんなもの、一体どこで入手したんです」
「文具屋で売っていた」男は平然と答えた。「一丁110円だったよ」
「それは消費税込みですか」
「もちろんだ」
「それは安いですね」警官は感心した。「それで、殺害の動機は何なんです?」
 男は苦々しげな顔をした。「女という生き物に愛想が尽きたんだ。あのコンチクショーをぶっ殺したくなったんだよ」
「その気持ち、よくわかります」警官は頷いた。「女という生き物は本当にずうずうしくて嫌になりますよね。僕も昨日恋人を東京湾に沈めたばかりなんですよ」
「おいおい、そんなことを私に言っていいのか」
「いいんですよ。これは僕とあなた、2人だけの秘密ですから」そう言うと警官はウインクした。男はこの警官が中々キュートな顔をしていることに気が付いた。
 男は警官の横に立つと、その肩に手を回した。「時代はやっぱり、男だよな」
「全くです」警官は頷き、男と肩を組んだ。
 2人は仲良く足を進め、パトカーに乗った。エンジンが点火され、パトカーは発進する。
 いざ、ハネムーンへ行かん。

End

犯人と警官~出会ってしまった二人~

執筆の狙い

作者 どう足掻いても凡人

投稿サイトに出そうかと思ったが、作者の悪ふざけが多すぎたため没になった作品です。
意見、批判、指摘、アドバイス等がありましたら、どんどんコメントしてください。
コメントする場合は、どこがどう良かった、もしくは良くなかった、を詳細に記入して欲しいです。
頂いたコメントは全て今後の執筆活動に役立てます

コメント

見習いさんH

なんやそれ!

読ませていただいたので、素直な感想を置いていきます。

見習いさんH

あ、執筆の狙いをちゃんと読んでませんでした……すいません。
また来させてくださいませ。

見習いさんH

再度、お邪魔致します。

>「女だから泣けば許されると思っているのだろう、このフェミニストが!女は男女平等とキーキーわめくが、だったらなぜ女性専用車両があって男性専用車両はないのだ!女は差別されていると喚き散らすばかりで、自分たちが優遇されていることにはこれっぽっちも目を向けやしない!」

この台詞、強烈ですね。テンプレな理論ですが(失礼)、改めて書かれるとグッときます。
『フェミニスト』って女性にもいうんですね。初めて知りました。

>BANG!部屋に銃声が轟いた。

ここ。『BANG!』の後にスペースが必要かな、と思いましたが、あっても変かなー。

>警官について

銃声を聞いたという通報で来られる警官ってどれくらいの階級の方なんでしょう?
主人公の自白で動揺するくだりが違和感ありました。そんな気がするだけですが……。もう少し、動揺しないような?
消費税、10%になりましたねー。銃って課税かなー。

文章はわかりやすくて読みやすかったです。
ありがとうございました!

\(^o^)/

 意外な展開で面白く読めました。
 通報を受けた警官が来るのが早過ぎで違和感があります。パトカーでパトロール中の警官が銃声を聞いて停止したという設定にすると自然です。
「あのコンチクショー」ではなく、「アンチクショー」(「あの畜生」の意)ですね。

どう足掻いても凡人

見習いさんHさん、多くのコメントありがとうございます。ご指摘の点はギャグ要素の強化に役立てる予定です
・BANG!の指摘については、全く持ってその通りです。自分もスペースを入れてみましたが、しっくりこないのでこうなりました。今後より良い表現技法が見つかった場合、そちらに変えようと思います。それまでは色々実験する予定です
・警官が動揺するくだりについての指摘ですが、確かに動揺しない方がリアリティがあったかもしれません。今回はギャグ要素強めにしたためこうなりましたが、動揺しなければそれはそれで面白い展開になりそうです

\(^o^)/さん、コメントありがとうございます。作者が気づいていない事ばかりで、とても役に立ちました
・警官の来訪が早すぎる、という指摘、誠に尤もだと思いました。文中に説明を入れておこうと思います
・あのコンチクショーについては、アンチクショーにしてしまうと主人公のイメージが崩れるため、変更しないでおこうと思います。あのコンチクショーという言葉の違和感が強すぎるようであれば、全く違う言葉に置き換えよう、と考えています

夜の雨

読みました。

>投稿サイトに出そうかと思ったが、作者の悪ふざけが多すぎたため没になった作品です。<

ショートショート作品として面白いと思いますが。
原因は「作者の悪ふざけが多すぎた」とは、また別の問題だと思います。

●気がついた点、を含めての感想。

導入部が本筋とは違う描き方になっており、テレビドラマの現場みたいな感じで面白かった。

「本筋の導入部」がスリリングでどう展開するのかと思うと、夫による妻殺害、それも拳銃発砲に発展するとは。どうして男が拳銃を持っていたのか、などはショートショート作品においては問題ではない。
もし重要と思うなら、男を現職の警察官か刑事にすればよい。
または、妻と言い争っているところの背景に、テレビのニュースで交番を襲った男が警察官から拳銃を奪ったとかを流しておく。ほか、コンビニに寄った警察官がトイレで拳銃を忘れたとか、戻ったところ、拳銃は無くなっていた。
これで、拳銃の問題は解決。

「起1、起2、承3、承4、転5、結6」という構成でいうところの御作の起2のエピソードで、男が妻殺害に至る「男女平等問題」の一件については、「女性専用車両があって男性専用車両はない」という。
「女は差別されていると喚き散らすばかりで、自分たちが優遇されていることにはこれっぽっちも目を向けやしない!」 ← これらの怒りは最高裁判所の裁判官といえども納得するだろうという正論、いや、神でさえ納得する正論である。
なので、話の流れに違和感がなく、説得力がある。

●だからと言って、妻や女性を殺していいとは言えない。 ←ここが、社会的問題提起になり、小説としての値打ちがある。

パトカーと警察官の登場。
承3で男がアパートから出るとパトカーから降りてきた警察官に質問される。
銃声云々の話をすると、男はあっさりと自分が妻を殺したというような話。
驚く警察官に対して、堂々としている犯人の男のキャラにブレがないのがよかった。

●こんなもの、一体どこで入手したんです」
「文具屋で売っていた」男は平然と答えた。「一丁110円だったよ」 ← これらが納得できない。御作で随一、違和感がある設定です。

殺害の動機を男が答えると、警察官は犯人に共感するがごとく、「女という生き物は本当にずうずうしくて嫌になりますよね。僕も昨日恋人を東京湾に沈めたばかりなんですよ」という警察官。

共犯者のごとく、二人は手に手を取ってパトカーでハネムーンへ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いやはや、「ギャグネタ」としては面白かった(笑)。
オチも決まりました。

お疲れさまでした。

どう足掻いても凡人

夜の雨さん、コメントありがとうございます
・原因は「作者の悪ふざけが多すぎた」とは、また別の問題だと思います、ということですが、では原因は何でしょうか。詳細に述べてもらえると有難いです
・文具屋で銃が売っていた、ということについては、一応これもギャグのつもりです。分かりにくくてすいません

加茂ミイル

躍動感のある文章でした。

コントみたいで楽しい雰囲気でした。

ところで、最後のBLになったのは、何か深い意味があるのでしょうか?

どう足掻いても凡人

加茂ミイルさん、コメントありがとうございます。
良点欠点を細かく説明していただけるとありがたいです。今後の作品の役に立ちますので
最後の同性愛展開については、コメントを控えさせていただきます

どう足掻いても凡人

上のコメントは言葉遣いが失礼でした、申し訳ございません
しかし、今後の文章に役立てるため、詳細な感想が欲しいです
できればでいいので、お願いします

加茂ミイル

そうですね。具体的に気になったところというと、

>あるアパートの一室で、ドラマのような事態が発生した。
>それはドラマでいうところの、女が男を引き止めるシーン、である。
 
ちょっと「ドラマ」って言葉がだぶってるような印象を受けました。

>ドラマのような事態が発生した。それはドラマでいうところの

というところのつながりが、何となくしつこい感じを受けたんですね。

私だったら、こんな風に書くかな。

>あるアパートの一室で、ドラマのような事態が発生した。
>髪を振り乱した女が死に物狂いで男を引き止めているのである。


>ここで外出させてしまったら、夫はもう二度と帰ってこない。そうなれば専業主婦の自分は破産して泥沼に落ち込んでしまうだろう。そう考えた42歳のマリコは、夫の外出を止めようとするのであった。
>では場面スタート!

では場面スタートっていうのも、いらない気がしたな。

あくまでも、「ドラマのような」って書いているから、ドラマじゃないわけだから、場面スタートっておかしくないかな?

加茂ミイル

>だったらなぜ女性専用車両があって男性専用車両はないのだ!

っていうのにかけて、最後に二人が「男性専用車両」に乗り込むっていうのはどうだろう。
それに乗ってハネムーンに行くとか。

どう足掻いても凡人

加茂ミイルさん、コメントありがとうございます
わざわざ追加コメントをしてくれるとは、あなたの器の広さに敬服します、ありがとうございました
それでは、指摘された点について弁解をしていきます
・ドラマ、がだぶっている
…全く持ってその通りです。だぶりは昔からの癖なので、改善していこうと思います
・では場面スタート!はおかしい
…はい、そうですね。書いている時は面白いだろうと思って付け足したのですが、言われてみれば違和感があります。こういったセリフを削除するのは惜しいので、違和感のないセリフに言い換えておこうと思います
・最後に2人が男性専用車両に乗ったほうが良いのではないか
…重大な違和感が生まれるため却下します
以上です。自分の癖に気づけたのはとても役に立ちました。コメントありがとうございました

加茂ミイル

>では場面スタート!

確かにこれがあることで、ユーモアを感じる効果はあると思う。
だから、私も削るのはもったいない気がしたんだけど、ただ、あくまでもドラマではないという設定だから、それに対して監督みたいなセリフがあるのはどうかなと思った。
その違和感を払拭するためには、冒頭の部分を、

「あるアパートの一室で、一つのドラマが発生しようとしていた」

みたいな表現にするとかだと、しっくりつながるような気もする。
そうすれば、ドラマだから、監督の声がするんだ、みたいに納得できる気がした。
ドラマのようではあるけれどドラマではないものについて、スタートって呼びかけるのはちょっと違和感を感じた。

加茂ミイル

>・最後に2人が男性専用車両に乗ったほうが良いのではないか
>…重大な違和感が生まれるため却下します

却下されたので、もう一度考えてみました。
こういうのはどうでしょう。

>男は警官の横に立つと、その肩に手を回した。「時代はやっぱり、男だよな」
>「全くです」警官は頷き、男と肩を組んだ。
の続きとして、以下のような展開はどうでしょう?
>「そういえば、あなたはさっき、『なぜ女性専用車両があって男性専用車両はないのだ!』と怒っていましたね」
>「聞こえていたのですか、これはお恥ずかしい。でも、同じように考えている男性は他にいっぱいいると思います」
>「私もその一人ですよ」
>「何だ、気が合うなあ」
>「よかったら、その男性専用車両にこれから乗ってみませんか」
>「え、そんなのあるんですか? どこの鉄道会社ですか。聞いたことないなあ」
>「あれですよ」と言って、警官はパトカーを親指でくいくいと示した。
>「パトカーが?」
>「今夜、貸し切りで、あなたと二人。どうです?」
>それを聞いて、男は顔を桃色に染める。
>「わあ、何てかわいいその仕草。犯罪的だ。君を逮捕する」と言って、警官は男の手首をしっかりつかんだ。
>「さあ、来なさい」と言って、警官は男をパトカーに連行する。
>警官は運転席に、男は助手席に乗る。シートが後ろに倒される。
>夜中、うぉ~ん、うぉ~んとけたたましい音が街に響く。
>通りがかったカップルが、「何かしら」「パトカーのサイレンみたいだね、ほら、あそこの茂みにパトカーがある」「何だ、パトカーだったのか」と会話しながらパトカーの前を通り過ぎる。
>そのサイレンにも似た音が、サイレンではなく、快楽にまみれた狼たちの雄たけびであることを一体誰が知りえただろう。

中野サル信長

タイトルが悪いと思う
出合ってしまった二人
に削るべきだと思う
プロの意見をちゃんと金払って聞いてね
俺もアマチュアだから

どう足掻いても凡人

加茂ミイルさん、コメントありがとうございます
しかし、あなたのセンスは私には合わないようです。
ケバくて下品で、私はそういう文章を書こうとはどうしても思えません。
酷い言葉に聞こえるとは思いますが、単刀直入に言って、私はあなたのおふざけセンスが大嫌いです

中野サル信長さん、コメントありがとうございます
・タイトルに関してですが、どこがどう悪いのか詳しい説明が欲しいです。自分は結構このタイトルを気に入っているので、ただ悪いと言われただけでは変更しようという考えになりません
・プロの意見を聞くべきだ、という指摘に関しては、プロの意見を全面的に受け入れる方針は自身の作品を壊しかねないので、遠慮しようと思います

加茂ミイル

そう言っておきながら他のところで私のアイデアをこっそりパクったりしないでくださいね(笑

あのにます

グラセフ並にヤバイ世界観。

>男は弾切れになるまで引き金を引いた。女の頭はぐちゃぐちゃになった。
女に対する(世間の)怒りの理由が
"泣けば許される"・"女性専用車両"の有無・優遇されていることに気付かない
とかで弾切れになるまで女の頭をぐちゃぐちゃにする程なので
怒りの沸点が恐ろしく低い。
警官も主人公と同類で、文房具屋で110円税込で拳銃が売っている世界。

紐解いてみると大したことじゃないんだけど拳銃をめちゃくちゃにぶっ放さずにはいられない気分。
リミッターを外せるのは女という自分よりも弱い存在が相手だから。
いわば、自分の身に危害を加えられるか・加えられないか。


何かに似てるな、って思ったらネット上での議論に似てるな。

どう足掻いても凡人

加茂ミイルさん、マネしませんのでご安心ください

どう足掻いても凡人

あのにますさん、感想ありがとうございます
指摘なども書いていただけるとありがたいです

そうげん
121-83-151-235f1.shg1.eonet.ne.jp

BANG!の唐突な挿入が、アメコミみたいで新鮮でした。小説の中にこの言葉を入れ込むのも効果的だなと感じました。小さいけれど意外な驚きがある感覚がして、わたしは面白かった。コミカルというか、ダークコメディ?みたいな感じがしましたが、そういう調和のある世界の出来事だと思って読めば、面白い話でした。銃声から通報、警官が操作までの時間があまりに素早すぎで、どれだけ警官有能なのと感じました。そこはもうすこし時間の経過のためのタメを設けてもいいかと感じました。短いですけれど、失礼いたします。

どう足掻いても凡人
210-146-167-133.hiroshima.ap.gmo-isp.jp

そうげんさん、コメントありがとうございます
・警察の到着が早すぎることに関しては、同じ指摘を以前に回答したため、回答は割愛させていただきます

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