作家でごはん!鍛練場
あかね

もし死なないとしたら

三月、雪の降り止まない季節の終わり頃桜の芽吹きが細々と見かけられる街の主要道路の並木道を遥は歩いていた。まだコートとマフラーに手袋が手放せない。彼の叔父は冬の無い国インドから帰ってきたところだったから季節ボケして真夏みたいなシャツ一枚で空港にあらわれ、寒い!と遥かのコートをひったくって我がものにした。叔父はヒンドゥー教の研究者だった。インドの歴史をくまなく調べ大学で論文を発表するのが叔父の生業だ。
遥かはそんな彼のやっかいになっていたからコートを取られても文句が言えず二の腕に鳥肌が立つのを感じながらクシャミをした。
「悪い悪い。」
叔父は口だけで謝りコートをかえそうとはしない。
「遥か、お前永遠の命に興味はないか?」
唐突に言われたので単語を正確に認識できなかった。
「ん?」
「不老不死だよ。俺はインドで不老不死の薬を手に入れてきた。150過ぎの怪物みたいなババアからだ。シワクチャで、腰も曲がっていたが生きている。ピンピンしていたんだ。不思議だった。その秘密がこの薬さ。」
遥かは叔父の取り出した琥珀色の液体を眺めた。マムシのエキスみたいだった。
「遥か、お前今年で15歳だな?実験台になれ。」
叔父の提案は酷かった。遥かに液体をのませ、腹をナイフで刺したり首を括ったり崖から突き落とす実験をして、それでも彼が生きているかを確認するというのだ。
遥かは薬を飲まされた。無理矢理だ。その水はガンジス川の汚染された糞尿や牛の汚い背中の脂汗を混ぜたような味がして、思わず吐き出したのだが、残念ながら大半が胃に流れこんでしまった。
まずは、手始めだった。叔父はカッターナイフを手にして遥かの人差し指を切った。
痛かった。
しかし、血は出ない。
かわりに肌が紫色に変色し、ものの5秒で皮膚が元に戻った。
「本物だ!」
叔父は興奮した。そして次に遥かの頸動脈を切りつけた。
痛かった。しかし、遥かの体はリンゴを切った時のような反応を示し、何か汁が出た後にふにゃんと紫色のミミズ腫れができて、15秒で元に戻った。
「遥か、お前は不老不死だよ!」
遥かもさすがに信じていいような気になって今度は自ら、歩道橋を飛び降りた。
クラクション。
行き交う無数の車が驚いて焦り、だれか落ちたぞーと騒ぎになった。遥かは頭を打ったが衝撃は無く、何かゼリー状のものに守られている様な感覚がした。同時に三台の車に跳ね飛ばされたが彼は生きていた。
「おい!自殺かよ?」
「死んだか?」
「迷惑だ!」
「だれだ?まだ子どもじゃないか!」
「おい!生きてるぞ?」
「まさか!」
人混み。野次馬。渋滞。パトカーのサイレン。
全部が混じり合いぐちゃぐちゃ死体を誰もが探していた。遥かはこっそりと抜け出した。
「叔父さん、これ本物だ。」
彼は認めた。遥かは不老かはわからないが、確実に不死になったのだ。
彼にはやりたい事があった。不死の体を手にした今やらなければいけない事があった。
中学の同級生だ。名を啓太という。しかし彼は心が女の子だった。所謂性同一性障害というやつで、そのせいで啓太は激しいいじめに遭っていた。学校には半グレ集団がいて啓太を標的にしていた。水をかけるなんていうのは生優しい方で、殴る蹴る異物を食させる自慰をさせられ笑い者にされる、レイプまがいのことをされるという酷さだった。遥かは見ていられなかった。なんとか啓太を救いたい今自分は不死身になった。半グレ集団と一人きりで闘う覚悟ができた。
4月。地獄のような日常がはじまる。啓太はすぐに倉庫裏に呼び出された。遥かはこっそりとついて行った。
レイプが始まった。啓太のお尻の穴に異物が突っ込まれようとしていた。5人の屈強な上級生が啓太を羽交い締めにしている。
「やめろ!」
遥かはゴミ箱の影から出てきた。皆驚いていたが啓太が一番心配をした。
「こないで!危ないよ!遥か君!」
大丈夫、と啓太に笑ってみせ、遥かはにぎりしめた

もし死なないとしたら

執筆の狙い

作者 あかね

短編小説を描きたくてこんなになりました。

コメント

はるか

 あかねさま

 拝読しました。

 読点の少ない、最近の若い方にはよく見られる文体ですが(書き手さんが若い方かどうかは存じませんが)、読みやすく、面白いな、と思いながら読み進めましたが、投稿事故でしょうか、シリキレトンボなありさまで残念でした。つづきが読みたいです。

 お邪魔いたしました。

中野サル信長

まだ書き慣れてない方とお見受けしましたが、なかなかうまかったですね。
「遥」とか名前は普通漢字にまとめるんじゃないですか。あと文章の記号や書き方は作家でごはんのトップページに簡単な説明があります。「!」「?」とかの表記ですね。
作家でごはんの使い道は掌編小説を書けるようになったらすぐ公募の執筆に専念に取り組むことです。批評が欲しかったらCWSなどの小説学校の先生に八万円くらいで添削してもらいます。あとは公募と売り上げのデットレースです。やはりここは素人の集団なので、批評が出来る人が少ないんですよ。ここでできることは掌編レベルです。ただ小説学校や文学部の人でも文学賞を取れるわけじゃないし、基本的に文学教育が貧困なんですけどね。
良いと思うテキストを紹介します
「ベストセラー小説の書き方」ディーン・R・クーンツ これがダントツです。
あと面倒なので検索してください。
13フェイズ、村上春樹、高橋源一郎、大沢在昌、中条省平の本を読めばぐんぐん上達するでしょう。

えんがわ

あー、好きだ。これ。
惚れてしまうね。このセンス。ほんと150円はらうから、くださいな。

なんてね。
文章も、主人公のエキセントリックさも、ちょっと気になる歪さだけど、それが読みにくさではなくて、イイ感じのおうとつになっていて、味だよなー。
結果としてヘタウマな作品になってるけど、上手い作品も書けるだろう。これ。ずりー。

はい。
やっぱり魅力の多くは、主人公の価値観、命とか不死とか、すげー軽いようで、手軽さとは違う、独特の浮遊感があってドライブする感じ。

どこまで走れるか見たい気もするし、でも、やっぱり息切れして止まる瞬間は見たくない。微妙な心。おっさん心でしたー。

あかね

はるか様
最後まで読んでくださったみたいでありがとうございます、コメント嬉しいです。
オチは、ちょっと疲れがでまして尻切れになりました。主人公が敵をバタバタ倒すところまで描ききれず投稿してしまいました。ちなみにわたしは30でございます。

あかね

中野サル信長様

これからのことを考えてのメッセージありがとうございます。参考文献、大切にいたします。
読みづらいところあったでしょうに大変優しいコメントだと思いました。

あかね

えんがわさま
好きと言ってもらえるのが一番の宝です。
エキセントリックさ、伝わりましたか?嬉しい。150円であげますよもちろん笑笑
えんがわさまのコメントにはとてもセンスを、感じます。頭のいい方だろうなと、
上手い作品は書けませんが、これで精一杯なんですが、これからも時間をかけて精進します。
ありがとうございました。

ナトホ

初めまして。

面白かったです。
掌編と呼ばれる長さのものですので、ラストもこれでいいのではないか? とも思いました。
そのあとのごたごたは読者の想像範囲内のような気もします。
それを覆すような展開があるのでしたら、続きもあったほうがいいとは思います。

もう少し長い話――たとえば短編の賞とかに出せる長さのものを書いたら、どんなものになるのか、楽しみです。
ではでは。

群青ニブンノイチ

遥ですか、遥かですか。
何かその違いに意味はあるのでしょうか。
わたしだけがわかっていないことでしたら、とても恥ずかしいです。

叔父がインド帰りでもマッドな学者でも気の置けない性分でも、そんなことに理由を求める必要はないと思います。
ですが、啓太が性同一性障害である必要があるなら、叔父がインド帰りのマッドリサーチャーで大らかな性分であることにも説明が必要になってくる気がするのですが、どうなのでしょう。

ただの気まぐれなストーリーで無精しているということはありませんか。
センスなどと鈍らな言葉に甘えたがる必要は、読み手としてはどうにも思いつけないのですが、どうなのでしょうか。

あかね

ナトホさま
面白いと言っていただき感謝です。
私としては今後のバトルも力入れて描きたかったんですが疲れてしまいました。
掌握としてはこんな感じでよかったんですね

あかね

群青ニブンノイチさま
感想ありがとうございました
遥かには意味はありません、ただのミスでした。
インドにしたのは日本人からみてインドは神秘的な国で不老不死もあり得そうかなと思ったからです
厳しいご意見もありがとうございます。気まぐれに執筆し、思いの外他の方に褒めていただけたので舞い上がってしまいました。

文章力をみがくため、また精進いたします。

跳ね鳥

はじめまして、拝読いたしました

フローフシといえば、お料理に混ぜて使える、マイナス5度の鬼女神からプラス5度のアマテラスリップまでラインナップした、ウズのコスメスイーツリップが、ananという雑誌で人気ありますよね?

あ、すみません女性誌は読みませんよね、ただの女神リップの雑話ですすみません。私は、マイナス2度の雪女王リップ愛用してます。

アドバイス、は、不老不死の悲しみを切実に書いてほしいです。看取る悲しみを加味すれば、貴方の文章力なら、いけます。茜紅葉様へ、期待します。神話書いて下さい!

羽橋椛、黄緑椛拝

あかね

跳ね鳥さま

期待のコメントと受け取りましたがよかったでしょうか?神話ねえ。興味ありますがなかなかご期待に添えるものが書けるかどうか?アンアン、読みますよーちょっと跳ね鳥さまのおっしゃる意味は意味不明でしたが。
不老不死は、悲しみがいっぱいですね。面白いと思います。次回はそのテーマを加えてまた再訪しますね。半年後くらいに。

夜の雨

あかねさん、二面「もし死なないとしたら」読みました。

エンタメとして面白かったです。
どこが面白いかというと、登場人物のキャラクターの設定がうまくできていると思います。
たとえば遥の「叔父」ですが、ヒンドゥー教の研究者ということですが、かなりおちょこちょいですね、インドから日本に帰ってきたということで、季節を間違っていたので夏服で冬の日本の空港に現れた。
そして「遥かのコートをひったくって我がものにした。」自己中で、キャラクターが立っています。
展開としては、その叔父さんが、不老不死の薬を持って帰ってきた。
遥を実験台にする、という流れ。
このあたりがテンポよく描かれています。
不老不死になった遥は、いじめにあっている級友の啓太を助けるべく、5人の屈強な上級生に立ち向かう。
というような流れで、読ませる展開です。
まだ、導入部を過ぎたところですが、ラストまで書くと小説を書く力がつくと思います。

それでは、頑張ってください。

あかね

夜の雨さま
二面なのに読んでいただき感想までありがとうございました。導入で力尽きた感がありますが、おもしろかったならよかったです。キャラは出来るだけぶっ飛んで描いてみようと思いました。伝わったようで嬉しいです。またよろしくお願いします

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