一人称風景描写の練習
(前提:バイクで走って大きな川に出くわした)
バイクを停めた。私はまず防寒着を二枚脱いで車体のサイドケースにしまった。昼近く、あまりに爽やかな秋晴れで、暑かった。
川辺に降りて、しばらく川を眺めることにした。
降り立った川岸は人工的に整備されていたが、暖色の不揃いな花崗岩の組み敷かれた陸がなだらかに水に沈み込んでいて、わりあい自然的な親しみを感じられた。数人の釣り人を認めたが、その背格好が分かったのは一人か二人で、他は各々ずっと遠く下流か上流で小さな影だった。水域は湖のように広く、対岸は低い山と街並みがぼんやり見えるだけだった。上流の長い鉄橋を自動車がゆっくりと行き交っていた。殺風景に思えるほどの蒼穹を数羽の鳥がつつましやかに漂い飾りつけた。
穏やかな川面はときたま海の真似をして遠くで小さな白波を立て、たっぷりと間をおいた後に可愛らしく岸に打ち付けた。
河口付近にしては綺麗な水だった。ドジョウくらいの大きさの小魚の二、三十匹のささやかな魚群が、私の前を下から上に緩やかに通り過ぎた。釣りをしてみたいなと思った。私は一度も釣りをしたことがなかったけれど。
地べたに座り込んで、しばらくちゃぽんちゃぽんという水音を聞きながら小さく歌を歌ったりして、満足すると、再びバイクに乗った。
執筆の狙い
描写を書きました。目線の移りを意識したつもりです。大河川の悠大な感じを描ききれて無いと思います。何が良くないでしょうか?