作家でごはん!鍛練場
小次郎

電球改改

 目が覚めると、自分の頭上に三つの電球が浮かんでいる事に気がついた。電球を触ろうと思い、右手を上げてみた。電球のある所を右手がすり抜ける。 
 一体これは何なんだろう? 
 この不思議な現象について、しばらくの間考えてみたが何も答えは見つからなかった。
 うん? 気が重い。どうしてだろう?
 最近、悪い出来事なんてなかった筈なのに、僕の頭は空にどんよりとした雲が覆われているのを見た時のように、陰鬱だった。
 鬱にでもなってしまったのだろうか? 食欲はある。体の調子も悪くない。たぶん、鬱ではないだろう。
 こんな事態なのに不思議と恐怖感はなかった。突然、フランツ・カフカの変身という小説が僕の頭を過った。読んだ事のない小説だったが、主人公の男が目覚めたら巨大な虫になっていたというストーリーだという事だけは知っている。フランツ・カフカが変身の中でどんなストーリー展開にしていようとも、今の僕には全く関係がない。そんな読んだ事もない小説の事を考えたり、僕の身に起こっている訳の分からない現象の事をいつまでも考えるよりも、食欲を優先させたかった。僕は立ち上がり、自室のドアに向かった。三つの電球は移動に合わせて、いつまでも頭上にある。僕の頭上にある電球を家族に見られたら、驚かれるだろうな、そんな事を思いながら、リビングに降りる。
 トーストとイチゴジャムの香りがし、いつも通り母さんが、いつもではないが僕より先に弟の哲夫がいた。母さんと、哲夫の頭上にも、三つの電球が浮かんでいた。その六つの電球をよく観察してみると、母さんの電球は一つも灯りが点いていず、哲夫の電球は三つ灯りが点いていた。母さんの表情はやけに暗く、哲夫の表情はやけに明るかった。
「母さん、食パンもう一枚焼いてくれる?」
 哲夫が元気そうな声で言った。
「いいわ。育ち盛りだものね」
 母さんは沈んでそうな声で答えた。元気のない母さんを僕は心配に思ったが、哲夫はそんな母さんの事を気にもしないで、テレビのニュース番組を見て笑っていた。車の玉突き事故のどこが面白いのか僕には分からない。理解に努めよう、そう思い聞いてみた。
「人の不幸が楽しいの?」
「楽しい筈ないじゃないか。ただ、車の角度とか、破損具合とかそんなのは面白い」
 理解は失敗した。でも、そんな事よりも、と僕は思った。もっと大切な事、この電球について聞かなければいけない。
「みんなには見えないの?」
「見えているよ。何なんだろう。この電球」
 哲夫は自身の頭上を右手で、指差してから、電球を掴もうとした。電球のある所で、何度も何度も手をパーにしたり、グーにしたりして掴もうとするが、電球は光のように掴めなかった。僕は母さんの方を見て言った。
「母さんは見える?」
 母さんは黙っていた。それどころか、いきなり泣き始めたのだ。びっくりして、咄嗟的に僕は声を出した。
「母さん、どうしたの?」
「これは、きっと不幸の前触れだわ」
 こういう事を言うという事は、母さんにもどうやら電球が見えているようだった。
「考えすぎじゃないかな。電球が浮かんでいるだけだよ」
 母さんの不安を拭いたくて、僕はそう言った。
「気分が悪い。もう寝る」
 母さんはそう言ってから、哲夫と弟の名前を呼ぶ。
「後は自分でやってちょうだい」
「うん。そうするよ」
「晴彦もね」
 僕は頷いた。母さんは少し歩いてから、転んだ。その時、スリップ音と、フローリングの床に体がつく派手な音が室内に響いた。
「母さん、大丈夫?」
 僕は言って、母さんの側に駆け寄った。
「痛い。何なのこの電球。きっと、この電球があるから転んだに違いない」
 母さんは自身の頭上にある電球を見ながら、唇を震わせていた。僕は電球と気分や体調の因果関係について考え始めた。電球が一つもついていない母さんは、気分も体調もすごく悪そうだ。電球が一つしか点いていない僕は母さん程ではないにしろ、気分が悪い。しかし、体調には変化がない。電球が三つ点いている弟は絶好調のように見える。どう考えても因果関係があるようにしか思えなかった。しかし、サンプルが少なすぎだ。
 テレビが天気予報になった。司会者の頭上には、僕達と同じように三つの電球があり、二つの灯りが点いていた。
 僕はハムエッグを作り、茶碗にご飯を盛って食べた。あまり、美味しくないのは体調が芳しくないせいだろう。
 家を出て、登校し始めた。学校に着くまでに気づいた事だが、人間以外の生命には頭上に電球はなかった。もっと調査が必要だなと思った。県立ひまわり高等学校と書かれた門をくぐり、二年二組の教室へと向かう。学校の中で、クラスメート達や教師と接していく内に、僕の推測は確信へと変わった。やはり、電球の点いている数によって気分や体調が変化するようだ。電球が一つも点いていない者は学校にはいなかった。たぶん、そういう者は登校していないのだろう。分かった事がある一方で、謎も深まった。電球が点滅している者もいたからだ。ある者は、電球が一つ常時点いている上に、残りの二つの電球の内、一つが点滅している。ある者は、電球が一つも常時点いていず、三つの電球が点滅している。様々な点滅のパターンがあった。この点滅する電球にもおそらく意味があるのだろうけれど、僕には分からなかった。
 ホームルームが終わり、僕は帰路に着く間、カテゴリー分けするのを思いついた。
 電球が三つ点いている者をネッアカーと命名し、電球が二つや、一つだけ点いている者をフッツーと命名し、電球が全て消えている者をネックラーと命名した。ポケモンみたいなネーミングセンスだったが、僕はポケモンが好きだ。ネーミングセンスに問題はないけれど、実の母の事をネックラーと命名するのは、我ながら酷いなと思った。
 点滅している者の事は現時点では命名しないでおこう。謎だからだ。


 玄関のドアを僕は開けた。
「ただいま」
 返事はなかった。母が外出やトイレに行っていなければ、いつもなら、お帰りと返事がある。まだ、寝ている可能性もある。その場合も返事はないだろう。
 トイレの前に行き、ノックしてみる。静かだった。母と父の寝室に近づいてみた。寝息が聞こえてきて、僕は母をそっとしておいてやろうと思った。
 リビングに行き、テレビを点ける。テレビの中の人々の頭上には電球がなかった。たぶん、過去に撮られた映像だからだろう。
 あと、二時間もすれば哲夫が帰ってくる。僕は帰宅部だけど、哲夫は中学でバレー部をやっていた。
 二時間後、玄関の扉が開く音がし、
「ただいま」
 と、哲夫の声がした。
「おかえり」
 と、僕は言った。少しすると、哲夫がリビングに入ってきた。
「母さんは?」
「寝てる」
「面白い世の中になったね」
 哲夫の目が輝いている。
「どこがだよ。僕は怖いよ」
「兄ちゃんは臆病者だし、暗いな」
 哲夫は言って、
「暗いのは電球が一つしか、点いていないからだな」
 と、付け加えた。
「お前も気づいたのか? 電球と気分や体調の因果関係」
「まぁね。それより今日の飯楽しみにしていたのに、これじゃカップ麺だな。あっ、兄ちゃん何か料理作ってくれる?」
「嫌だよ」
「だよね」
 こいつ、母さんの心配はしないのか? 腹が立ったが、僕は気が重かった。黙っている事にした。哲夫がキッチンに行き、いろいろな種類のカップ麺を五つ持ってきて、テーブルの上に置いた。
「兄ちゃんもたぶん飯まだだろう? どれ食う?」
 テーブルの上から、僕は焼きそばデカ盛りを手に取った。
「俺はこれにしようかな」
 哲夫は右手でキツネうどんデカ盛りを取って、左手で三つのカップ麺を取った。僕達はキッチンに移動した。哲夫がキッチンの棚に、三つのカップ麺を入れている。僕は哲夫を通り過ぎて、ポットの前に行き焼きそばデカ盛りに、湯を入れた。





「ただいま」
 父の声がして、
「「おかえり」」
 僕と哲夫は同時に言った。
 リビングに父が入ってくる。
「母さんはいないのか?」
「寝てるよ。具合悪いみたい」
 哲夫が答えた。父さんの頭上の電球は二つついていて、残りの一つは点滅している。
「父さんの電球、一つ点滅しているね」
 哲夫が言った。
「どうやら、気分によって電球の点く数が決まるようだ」
「知っているよ。兄さんも俺もね。でも、俺は電球が点滅している理由は分からない。父さんは分かる?」
「ああ、これか」
 父は言って、笑った。
「気持ちの持ちようで、点滅させる事が出来るみたいだぞ」
「気持ちの持ちよう?」
 僕は父に向かって言った。
「元気な自分をイメージしろ、晴彦」
 父に言われた通り、僕は元気な自分をイメージしてみた。
「してみたけど」
「気合いが足らん。気合いが。もっとはきはきとし、大きな声で喋ってみろ」
「分かった。父さん」
「頭上を見てみろ? 点滅しているぞ」
 自分の頭上を僕は見てみた。確かに、僕の頭上にある電球の一つが点滅していた。
「お前はもっと元気なふりをしろ。分かったな?」
 僕は笑い、誤魔化そうと思った。元気なふりなんてしたくなかったからだ。僕はカテゴリー分けの種類を増やす事にした。父のように、気合いで電球を点滅させる人達の事をガンバルーと命名した。
「苦笑いか。まぁいい。それより飯はないのか?」
「母さん、具合が悪くて寝込んでいるから」
 僕は答えた。
「全く、気合いが足らん。気合いが」
 父は言って、リビングの外へ消えた。少しして、父の怒声が聞こえてきた。
「早く飯を作れ。お前の仕事だろ」
 哲夫が走って、リビングのドアへ向かおうとする。僕も弟のあとに続いた。
 二人で父と母の寝室に入る。母は胸ぐらを父に掴まれ、持ち上げられていた。
「父さんやめてよ」
 僕は声を張り上げた。
「そうだよ。母さんは具合が悪いんだ」
 哲夫が言った。
「具合が悪いだって。父さんはな、具合が悪くてもいつだって仕事をしているんだ。気合いでな。それなのにこいつときたら」
 父が母を、降ろし、顔を平手打ちし、音が響いた。そんな父に対して、母は黙っていた。母の目は虚ろで、どうやら反抗する元気もないようだった。
「やめてよ。父さん」
 母を殴っている方の父の手を僕は両手で掴んだ。
「えぇい、邪魔するな」
 父が僕の手を振りほどこうとする。
「僕がご飯作るから。だから、やめてあげて」
「本当だな?」
 父が真剣な眼差しを僕に向けてくる。
「本当だよ」
「なら、勘弁してやる」
 父の腕を僕は離した。
 父が暴力を振るうなんて、初めての事だった。電球のせいだろうか?
 僕はリビングに戻り、台所でトマトベースのパスタを作って父にふるまった。父は不味いと文句を言いながらも全部食べてくれた。
「さて、風呂だな」
 父は言った。
 いつもなら、母が風呂を沸かしているのだが、母はご飯の支度もできない程に体調が悪い。風呂は沸かされていないかもしれなかった。もし、そうならその事を風呂場で父は知り、また、怒るかもしれなかった。
「待って。風呂が湧いているか僕が見てくるよ。沸いていなかったら、ついでに沸かしておくから」
「あぁ」
 僕は風呂場に向かった。やっぱり風呂は沸かされていず、僕は風呂を沸かした。その旨を父に報告したら、やっぱり父は怒り出した。僕は精一杯父をなだめた。
 僕は自室に行き、宿題をした。その後、洗い物をし、風呂に入り、音楽を聞いてからベッドで横になった。
 朝起きると、相変わらず自分の頭上に三つの電球が浮かんでいた。灯りは昨日と同じで、一つだけ点いている。
 リビングに行くと、母と哲夫がいたが昨日と様子が違っていた。母の電球の灯りが三つ点いていた。哲夫の電球の灯りが全て消えていた。僕は困惑しながらも、二人に訪ねる事にした。
「二人共、どうしたの? その電球」
「目が覚めたら、こうなっていたのよ」
 母が清々しい声で答える。
「今日、学校休んでいい?」
 僕の言葉を無視し、哲夫が今にも死にそうな声で母に向かって尋ねた。
「いいわよ」
 哲夫がリビングの外に消える。たぶん、自分の部屋に向かったのだろう。点いているテレビのニュース番組を僕は見た。ネッアカーの人々がネックラーになり、ネックラーの人々がネッアカーになっていると、報道されていた。もちろん、ネッアカーとかネックラーというのは、僕の造語だから、テレビでは灯りが三つついている人、灯りが全て消えている人とそのままの表現が使われていた。ニュースが切り替わり、ガンバルーの人がネックラーの人を殺したという報道があった。殺人の動機は頑張らない事に腹を立てたというものだった。そういう事件が一件だけじゃなく、何件もあると報道されている。父が哲夫を殺すんじゃないかと、心配に思った。
「ねー、母さん。僕も学校休んでいい?」
「どうして?」
「ニュースを見てて、哲夫の事が心配に思えてきたから。父さんが、哲夫を殺すんじゃないかって」
 母が深刻そうな表情をした。
「怖い事言わないで。でも」
 そこで、母は言葉を区切り、
「分かった。哲夫の側にいてちょうだい」
 と、続けた。
 母がベーコンエッグとトーストを作ってくれて、僕は食べて、哲夫の部屋に向かった。
「哲夫、入るよ」
 声が聞こえない。仕方なく、僕は哲夫の部屋に入った。哲夫はベッドで横になっている。寝ているのかもしれないし、寝ていないのかもしれない。そっとしておこうと思った。しばらくすると、母が哲夫の部屋に入ってきた。
 夕方になり、僕と母は夕食を食べた。哲夫は食欲がないと言って食べなかった。
 夜になった。僕は言った。
「トイレに行くから、哲夫を見てて」
「分かった」
 僕はトイレに入り、用をたしていた。その時、玄関のドアが開く音がした。きっと、父が帰ってきたに違いない。
 廊下を歩く足音。
 足音が聞こえなくなる。
 少しして、廊下を歩く足音。
 少しして、母と父の言い争う声。
 僕はトイレを出て、慌てながら、哲夫の部屋に向かう。
 父の悲鳴。
「どうしたの父さん?」
 僕は廊下で叫び、急いで、哲夫の部屋に入った。そこには、血のついた包丁を持つ母と、腹から血を流して倒れている父と、呆然としている哲夫がいた。
「これはどういう事? 母さん」
「父さんがね、哲夫を殺そうとしたの。だから、母さん、父さんから包丁を奪って、父さんを刺したの。哲夫を守ったわ。あなた達は、父さんから母さんを守ってくれようとした。だから、父さんを刺しても仕方ないのよ」
 自分に言い聞かせるような言い方だった。
「こんな事望んでいないのに」
 哲夫のその言葉は呪いのように、室内に響いた。母が我に返ったような顔をした。その瞬間、母の頭上の三つ点いていた灯りが全て消えた。
「ごめんね」
 母はそう言って、自分の喉を包丁で刺した。哲夫が母の元へゆっくり寄って行き、母の手から包丁を引き剥がした。
「こんな事望んでいないのに」
 また、呪いのように哲夫の言葉が室内に響く。哲夫が自分の喉を包丁で刺した。二人の行動は僕の脳の芯を揺らした。僕は自分の頭上を見た。電球の灯りが全て消えていた。父の言葉を思い出し、元気な自分をイメージした。すると、思考が大嵐のように押し寄せてきた。努力しろ。努力しない者を殺せ。思考に駆り立てられるように、哲夫の手から僕は血のついた包丁を引き剥がした。そして、玄関のドアを開け闇夜の中を歩いた。
 

電球改改

執筆の狙い

作者 小次郎

頂いたご意見をもとに書きなおしてみました。
いかがでしょうか?

基本的に、返信は遅れます。

コメント

夜の雨

読みました。

改稿前の作品見当たりませんが、感想を書いたような気がします。

御作面白く出来上がっています。
電球が頭上にともりその数で喜怒哀楽が表現されるって、かなり面白いです。
エピソードが具体的であり、読み進めるのが楽なエンタメ作品です。

頭上の電球がなぜともったのかは「カフカの変身」同様書く必要はないと思います、また御作で「カフカの変身」の件が書かれていますが、うまく取り込んでいます。
ちなみに「頭上の電球がなぜともったのか」などをもちろん書いても、それはそれでよいと思いますよ。
話の規模が大きくなりそうですが。

家族に災いが起こりますが、このあたりのエピソードの処理もよいです。
テレビのニュースの扱い方もよかった。

ラストで主人公が闇夜に出ていくところは、そのあと何が起こるのかをイメージさせています。

あと登場人物のキャラクターは主人公を筆頭にうまく表現されていました。

あとは一つ一つのエピソードを肉厚にすれば読みごたえがある作品になるのではないですかね。


お疲れさまでした。

小次郎

推敲できていなかった部分を訂正します。

 トーストとイチゴジャムの香りがし、いつも通り母さんが、いつもではないが僕より先に弟の哲夫がいた。

トーストとイチゴジャムの香りがし、今日もいつも通り母さんがいて、今日は僕より先に弟の哲夫がいた。

あまり、美味しくないのは体調が芳しくないせいだろう。

あまり美味しくないのは、気が重いせいだろう。

二人の行動は僕の脳の芯を揺らした。

二人の行動は僕の脳を揺らした。 

小次郎

夜の雨様

ありがとうございます。

電球改については、感想を頂きました。今その作品は二ページ目にあります。

ラストですが、私の場合大体苦手なんですが、今回は成功していたみたいでよかったです。

一つ一つのエピソードを肉厚にしたいんですが、長く書く適性がなくて困っています。

はるか

 小次郎さま

 拝読しました。
 感想欄を拝見して、自作を大切にされている様子に感銘を受け、作品を読ませていただきましたが、作品もまた、傲ったところのない筆致で丁寧に書かれているようで、とても好感を覚えました。

 確かに、ご自分でもいくつか推敲をされていらっしゃるように、文章には粗が目立つようです。一例だけあげますと、

> 最近、悪い出来事なんてなかった筈なのに、僕の頭は空にどんよりとした雲が覆われているのを見た時のように、陰鬱だった。

 頭は~陰鬱だった、という文章ですが、気持ちは陰鬱だったりしうるけど、頭は陰鬱になったりしないので、主語と述語が対応してないように思われました。

 が、言わんとすることはよくわかります。鬱っぽいときの、あの頭の回らない感じを書きたいのではないかと。気持ちがどうこう、じゃなくて、むしろ頭がどうこう、って感じなのですよね、だから、陰鬱だった、という述語のほうを変えたほうがいいかと感じました。あるいは、頭と気持ちは別々の文に分けて重ねるとか。どんよりとした雲を見たときみたいに、という比喩は、他の比喩に置き換えて、例えば、真綿がつまったよう、とか、そんなような、頭を主語にできる比喩を選択するとか。

 というような、文章的な瑕疵は、他にもちらほら目につきました。さらに推敲されるとよろしいかと思われます。だなんて偉そうに、すみません。

 アイディア、面白いですね。可視化される気分。

 二面にあるという、前回の作品も、今、拝読しましたが、今作のほうが格段によくなっていると感じました。肉がつきましたよね。

 ただ、今度はつきすぎたかも、と私は感じました。肉じゃなくて筋が。点灯、消灯、点滅の意味が、その推測が、何度も繰り返されていて、そこんとこは、あっさり、むしろあまり語らないほうがよろしいかと。エピソードが厚くなるぶんにはよいのですが。私は、御作は、アイディアを、刺身で出したほうがよいかと、あまりひねくり回さず、歯切れよく、掌編として、二千字程度にまとめたほうがよろしいのではないかと、そのほうがアイディアの活きのよさを損ねないのじゃないかと思いました。すみません、いろんな読み手がいろんなことを感想するので書き手さんは混乱されてしまうかもしれませんね、書き手さんが、取捨選択すればよろしいかと思われます。

 アイディア九十点、文章二十点、構成四十点、好感度九十五点、だなんて、採点するとか、傲慢にして最低なことを敢えてしてしまいますが、そんなふうに感じました。アイディアに特化した話なので、そこを端的に見せるのが吉、と私は感じた次第です。主人公のキャラ、こちら、大変に好感が持てるので、今後もずっとこのままがよいかと思います。個人的な主観です。

 このアイディア、なんとかいい感じで結実できるとよいですね。また改稿されたら、再度読ませていただきたいと思いました。こちらの背筋もすっとのびるような姿勢を表現してくださり、ありがとうございました。

小次郎

再度、推敲してみました。修正します。

目が覚めると、自分の頭上に三つの電球が浮かんでいる事に気がついた。電球を触ろうと思い、右手を上げてみた。電球のある所を右手がすり抜ける。

目が覚めると、自分の頭上に三つの電球が浮かんでいる事に気がついた。電球を触ろうと思い、右手を上げてみた。すり抜ける。

最近、悪い出来事なんてなかった筈なのに、僕の頭は空にどんよりとした雲が覆われているのを見た時のように、陰鬱だった。

最近、悪い出来事なんてなかった筈なのに、僕の心は空にどんよりとした雲が覆われているのを見た時のように、陰鬱だった。

 哲夫は自身の頭上を右手で、指差してから、電球を掴もうとした。電球のある所で、何度も何度も手をパーにしたり、グーにしたりして掴もうとするが、電球は光のように掴めなかった。僕は母さんの方を見て言った。

 哲夫は自身の頭上を右手で、指差してから、その電球のある所まで手を上げて、何度も何度も手をパーにしたり、グーにしたりして掴もうとするが、やはり光のように掴めずにいた。僕は母さんの方を見て言った。

声が聞こえない。仕方なく、僕は哲夫の部屋に入った。哲夫はベッドで横になっている。寝ているのかもしれないし、寝ていないのかもしれない。そっとしておこうと思った。

声が聞こえない。仕方なく、僕は哲夫の部屋に入った。哲夫はベッドで横になっている。寝ているのかもしれないし、寝ていないのかもしれないけど、どちらにしろ、そっとしておこうと思った。

小次郎

はるか様

ありがとうございます。

倣ったところのない筆致という言葉で褒めていただき、嬉しく思います。文章は小説を書き始めの頃、村上春樹を模倣していたんですが、模倣は模倣でしかなくそれ以上にはなれないと思いやめました。

頭は、から、陰鬱だったという文章のご指摘、勉強になりました。ここは深く考えていませんでした。素直に、頭を。気持ち等に置き換えるか、仰られているように、頭に、ふさわしい比喩に置き換えたり、述語を変えればいいんですね。

肉つきすぎましたかね? 自分ではもっと長く書ければいいなと思っています。

主人公のキャラですが、この作品は読み手によってブレがあります。可愛いネーミングをつける面白いキャラという人もいれば、カフカも持ち出す理屈っぽいキャラという人もいれば、キャラが薄いという人もいます。
私としては、いろんな作品で主人公及び他の登場人物のキャラをいろんなタイプで書いてみたいと思っています。キャラの個性を変えて書く方が面白いと感じるからです。

この作品の改稿ですが、今の所考えておりません。ですが、再度推敲はしてみました。

\(^o^)/

 もう見てらっしゃらないかもしれませんが、良い作品でしたので感想を書いておきます。大変興味深く読めました。飽きることなく最後まで読み通せました。ストーリー自体は良いと思います。誤字も見当たりませんでしたし、表記の仕方もご存知のようです。
 ですが文章に関しては他の方も書いてらっしゃるようにかなり稚拙です。不要な読点も散見されます。母親を「母さん」と表記していたのに途中から「母」に変わっています。どちらかに統一しましょう。

>目が覚めると、自分の頭上に三つの電球が浮かんでいる事に気がついた。
 ↓
目が覚めると、自分の頭上に三つの電球が浮かんでいた。

>母さんの電球は一つも灯りが点いていず、
 ↓
母の電球は一つも灯りが点いておらず、

>母さんは沈んでそうな声で答えた。
 ↓
母は沈んだ声で答えた。

>母さんは黙っていた。それどころか、いきなり泣き始めたのだ。びっくりして、咄嗟的に僕は声を出した。
 ↓
母は返事をせず、いきなり泣き出した。びっくりした僕は声をかける。

※「咄嗟的に」ではなく「咄嗟に」ですが、ここで「咄嗟に」は不要です。

>その時、スリップ音と、フローリングの床に体がつく派手な音が室内に響いた。
 ↓
その時、スリップ音がした。次の瞬間、フローリングの床に体が落下する派手な音が室内に響いた。

>「母さん、大丈夫?」
 僕は言って、母さんの側に駆け寄った。
 ↓
「母さん、大丈夫?」
 僕は母の側に駆け寄った。

>家を出て、登校し始めた。
 ↓
登校のため家を出た。

 まだありますが、この辺でやめておきます。余計な言葉が多いので、まどろっこしい文章になっています。余計な言葉を省いてすっきりと読みやすい文章を書きましょう。うろ覚えの言葉、使い方に自信のない言葉は辞書を引くなり検索するなりしましょう。以下に推敲すべき文章をコピペしておきます。

>ある者は、電球が一つも常時点いていず、三つの電球が点滅している。

>ホームルームが終わり、僕は帰路に着く間、カテゴリー分けするのを思いついた。

>父が母を、降ろし、顔を平手打ちし、音が響いた。そんな父に対して、母は黙っていた。

 面白いストーリーを考えることができる人なので、今後、文章力を付けて行けばファンが増えると思います。

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