作家でごはん!鍛練場
垂氷観寒

ColdSorcery

 力が......ない。
 あいつと向き合う一瞬で自然と漏れ出ていた言葉だ。あの焔には勝てない。たとえここにある水を扱ったとしてもまさに焼け石に水だ。
「力が......」
 水面が揺らいだ。

『貸してあげる』
『だから、守ってよ? 必ず』
 力を?だがもうなりふり構ってはいられない。死の危機と、守るべきモノ。これらを前にして、戦わず死ぬ道は考えられるはずがない。
「必ず、守る!」
『でも、扱えるかわからない。力に呑まれるかもしれないし、逆に力を出せないかもしれない』
「この際なんでもいい!」
 視界がすっかり蒼く、まるで手で覆われたかのように何も見えなくなり、刹那。

 覚悟はできた?目を覚まして──

 ──呼び声が聞こえる。

 止まった時間が動き出した。
 XIIで止まった時計がIへと時を刻み始める。
 その刻みは破滅へのカウントダウン。
 時計の歯車は揃った。
 コルネーゼは起動させた。この世界の最期へのカウントダウンを。

 ゆっくりと目を開ける。封印は氷解した。

「フラストレイト!コード・コルネーゼ!」『......あんたの時まで凍らせてやるわ!』

 今まで溶けかかっていた氷が急速に固まり、地に落ちた水はその場で氷としての形を作る。その光景は、まるで早送りに冬になる秋を見ているようだ。
 奈々とコルネーゼを中心に凄まじい冷気が生まれて渦を巻く。この冷気でラグ・マトスの動きは鈍さを帯び、焔の勢いも弱まってきている。

「いい調子ね、ナナ」

 悪戯っぽく微笑むコルネーゼ。実態はないものの、なんだか、白髪の少女がイメージできる。

「これが......あなたの力......」

 自らを恐れている。これほどの力を得たら、自分が自分でなくなるのではないかと。しかし、寒さはまったく感じない。フグは自分の毒で死なないというのは当たり前だが、目に見えて凄まじい冷気に、ただの服の私が耐えられそうにない、と、思ったが......
 服が、変わっている。
 先程の翠の装備とはうって変わり、蒼と水色、それは奈々の好きな、特別思い入れのある色だった。

 先程まではただ下ろしていただけの長髪が、右上にくくられ、俗に言うサイドテールになっている。肩ほどまである後ろ髪は下ろしているので首元がスースーしない。髪飾りが前髪についているようだったが、どんな形かは見えない。
 腕周りは相変わらずレースバングルがついていて、細いリボンが右手首に結ばれていた。その色は白に青みがかった風になって、清楚な印象を与える。
 ミニスカートにハイヒールと、一見アンバランスなシルエットのように思えたが、その純潔な雰囲気だけはすべてが調和しきっていた。

 白い冷気から、一本の武器が生成される。柄、刃、切っ先...,..。生成された鋭利な刃は、全体的に青と少々の白色で、フォルムも相まって、透き通った印象を与え、氷とは思えない、まるで水晶のような輝きを放ち、あたかも生きているかのような冷ややかな胎動を纏っている。

 シンメトリーな装飾が施された大剣は薄いが、折れることのなさそうな強気の雰囲気を肌で感じる。
「いける!」

 根拠もない勢いのまま駆け出す。一気に距離を詰める。動きの鈍いアイツは左前足で引っ掻こうとしたが、すかさずバク宙ですり抜ける。頬に当たる風邪、空振った足の地をかすめる音が耳に入る。鼓膜を揺さぶるような波がリアルだ。

 薄氷を勢いよく踏みしめ、体を横回転させる。大剣の間合いにおさめ、捻りを入れながら力いっぱい右前足を斬りつける。

「ガッ......!?」

「よし、まずは一撃......」
『アーツ、使い方わかる?』
 アーツ、衿の『ストレイト』みたいなものか。どこからともなく聞こえるコルネーゼの声に合わせる。
「どうすればいい?」

 間合いを取りつつ剣を構える。その間にもアイツは攻撃しようと口から炎を覗かせた。
「くる......!」

 反射的に剣を横にし、片手を添えて相手に向ける姿勢を取った。

『アーツ......『ディストラクトパリィ』』
 コルネーゼが静かに言い放つ。右腕と剣が、いや、コルネーゼの本体が光り輝く。使い方がふと脳に刻まれたような感覚。
 確信に変わり、一転して攻撃に移ろうと剣を構えなおした。

ColdSorcery

執筆の狙い

作者 垂氷観寒
122.16.242.143

普遍的な冒険のワクワク感と、繊細な描写。既存のチート風に努力を加え、ジャンプ漫画っぽくした作品です。
意識の転生、時計の月、近代都市と古代都市の共存、AIなど、物語の根幹にはファンタジーやSFの要素を取り入れ、奥深さを出しています。
話数は少ないですが、遠慮なく読みにくい部分など指摘いただければと思います。

コメント

垂氷観寒
122.16.242.143

見てて誤字や主語のない文が見受けられますね、お恥ずかしい。見栄を張って文章を盛ったのが仇となりましたね。

>動きの鈍いアイツは左前足で引っ掻こうとしたが、すかさずバク宙ですり抜ける。頬に当たる風邪…

 アイツは左前足で引っ掻こうとしたが、鈍いので対応できる。腕を振り上げ、空いたそこをすかさずバク宙ですり抜ける。頬に当たる風…です。

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