作家でごはん!鍛練場
千才森 万葉

隣の次元の珍道中

 1

 狭い小屋、男を詰め込み蒸しあげる。
 何のことは無い、蒸気風呂だ。

 小屋の中で薪ストーブを焚いて周りを石で囲み、焼けた石に湯を掛けることで大量の蒸気を発生させ、室内の温度を上げる仕組みの蒸気風呂だった。密度の高い木組みの小屋に、水の焼ける音が響く。
 噴き出す汗をタオルでぬぐう。重たい空気に、吐き出した息も窮屈そうに溶けていく。
 蒸気の熱が身体の芯へと達すれば、心の表層と深部の境界がほぐれ、たぷたぷと水を吸わせた海綿体を絞った時のように、無意識に押し込めていた深層意識が滲み出てくるのだ。

 ジュウ。

 視界が白に霞む。
 湯の入った桶を腹に抱え柄杓を握っているのは、短躯山人《ドワーフ》族の男。髭に覆われた顔は青年とも老人とも見分けが付かない顔をしていた。もっとも、身長が1メートルほどのドワーフ族はそのほとんどが、見た目の区別が付きにくい容姿をしているのだが。
 古くから精錬・錬鉄加工を生業とする、人間に近い暮らしをしている亜人(モンスター)種族で、彼らの鍛えた鉄鋼は、どの国の軍においても重宝されると聞いている。

 ジュウ。

 そのドワーフが、ストーブの熱に炙られる石を親の敵《かたき》だと言わんばかりに、柄杓で掬った湯を思いっきり叩き付けていた。石がジュウと吠える度に、部屋の湿度と温度が ぐい と上昇する。
 かなり堪える暑さになってきた。それでも、この木造小屋に居座る男達は不平不満を漏らすこともなく、己の内面に巣くった鬼と対話しているかのように、真摯に険しい顔を見せている。

 炭鉱が近いせいか、強健そうな体躯の者たちが多い。彼らの腕は山脈か何かだろうか? 高く隆起する筋肉に、汗が筋を描いて流れる。
 規則正しく脈動する胸は、彼らの越えてきた人生の険しさを物語るようで少し羨ましい。私も、もう少し強靱な肉体が欲しかった。求めようともしないで得られるものではないだろうけど。

 男達の中で特に目を惹くのが、隅で静かに合掌している三面六臂神種《アシュラ》だ。天界に住むと言われる神の種族を下界で見るのは本当に珍しい。
 目立つのは、人とは違う面容ももちろんだが、無駄な肉を持たない引き締まった胴体と、張り出した筋肉が見事としか言いようのない下半身とが、10代の少年かと見間違うほど初心な顔と相まって、不思議な調和を見せている。
 この風呂屋の常連らしく、入ってくる人の多くが会釈を送っていた。

 視界が完全に白くぼやけて役割を果たせなくなった頃には、体の芯まで熱に占領されていき、要らなくなった感情から順に体の外へと流れ出していく。
 蒸気を立てる風呂は、古くは神域だったらしい。
 わかる気がする。
 慣れれば瞑想よりも遙かに深い場所へと、心身を沈み込ませられるだろうから。

 尋常では無く噴き出す汗。しょっぱくなった唇を舐めた俺は、ずいぶん遠くへ来たんだなと、何故か望郷の念に駆られるのだった。


 2

 湖の水の冷たさに、
 締め付けられる。
 抑圧と解放に、
 流れ落ちる、
 心の澱と、
 自意識。
 快い、
 無。

 々


 3

 立ち並ぶ蒸気風呂の木小屋は、大きな湖に面して建っている。風呂で火照った身体を、そのまま浸けられるようにとの配慮からだった。
 蒸気風呂の小屋から湖へと続く一帯は、目隠し用の仕切りで覆われていて、男女の入浴者が交じることも無い。もっとも、女性はあまり蒸気風呂を利用しないようで、区画も小さく設定されているみたいだった。

 広々とした湖で汗を流したら、程よく冷えた体を岸に投げ出した。水面を渡ってきた風に肌を撫でられる無上の幸せ。このまま夢に落ちていきたいところだが、まだ陽は高い。昼には昼でしか味わえない楽しみを享受するとしよう。
 燦燦と照りつける太陽の下で求める開放感は、なにものにも代え難い自由だ。空っぽになった体と心に、決して穢れることの無い純真な光が染みこんでくるのがわかる。このまま風に吹かれていれば、悟りの一つや二つ開けるだろう。

 カッコロ、カッコン。
 下駄の音が近づいてくる。てっきり客だと思って日光浴を続けていたら、声を掛けられ、慌てて飛び起きた。
 随分若い、女の子の声だったのだ。

「お飲み物はいかがですか~?」
「冷たいの、ご用意しています」

 隣にしゃがみ込んで笑顔をよこすのは、水着を付けた二人の少女だった。彼女達から外した視線を下へと落とし、腰に布を当てていたかどうか、もう一度確認する。
 そんな俺の態度にも、二人は笑顔を崩さない。晴れ渡る空にも負けない爽やかさが清々しい。

 息の合わせ方や動き出すテンポが一緒で、仲が良いのが一目でわかった。しかし、彼女たちの見た目から受ける印象は正反対と言っていい。
 ラミネートされたメニューを差し出してきた娘は、なかなかぐいぐい来るタイプだった。積極的にこちらのパーソナルスペースへと進入を仕掛けてきては、はきはきとした発音ながら耳の中でしばらく溶け残るほどに甘い声を紡ぎだす。
 小さく弾けた花火柄があしらわれている水着は、幼さに満ちた子供らしいデザインだが、一方で柔らかそうに早々と育った身体の要所を隠しきるには小さすぎるそのサイズが、絶妙に感情の表面をくすぐってくる。水着を選んだのが誰かは知らないが、上手く魅力を引き出しているのではないだろうか。

 そして、積極的な彼女の後ろに控える白い百合姫。先の娘とは対照的に、色白の娘だった。
 長く伸ばした銀の髪は右肩から前へと素直に流されていて、慎ましやかな体つきにアシンメトリーのアクセントを添えている。纏っている落ち着いた雰囲気は、年齢を迷わせるほどの麗しさを醸していた。
 肌の色に似せた白の水着に大胆さはないものの、縁や胸の真ん中にあつらえられている非実用的なレースが肌と生地の境界を惑わせる様で、清楚な作りながら冒険心も織り込まれている。
 恥ずかしそうに頬を染める笑顔が、白い靄の中に浮かぶ薄紅の蓮花を思わせた。

 と、ここまで描写しておいてなんだが、俺の望むものは、彼女たちが示したお品書きの中には無かった。

「牛乳はあるかな?」

 風呂上がりの牛乳だけは譲れない。そう問いかけると、二人は顔を見合わせた。
 甘い声の娘が、遠く後ろ、売店の店員に声を飛ばした。

「ママー、お兄さんがミルクだって~」

 どういう設定になっているのかは知らないが、完全に不意を突かれて俺の顔は引きつった。30近い男に向かってママとミルクは、さすがにそれは苦情が出るんじゃないだろうか?
 するすると近づいてきて、耳元へ顔を寄せてきた。

「お兄さんは、そーゆーのが好みかにゃ?」

 その声で言われると、実にイラッとくるから不思議だ。
 後ろの娘が、彼女をコチンと叩いた。彼女を引き剥がすと、俺に付いてきてと誘う。メニューに無い牛乳は配達サービス外なのだそう。売り場まで取りに行かなければいけないらしい。

「こちらですよ、お客様」

 水着姿の二人が仲良く並んで歩く後ろを、大人しく付いていく。
 なるほど、彼女たちは人間では無かったか。二人の背中には、木目の美しい無垢材を限りなく薄く削いで作ったかのような、透かし模様が刻まれた小さい羽が付いていた。
 手の平ぐらいの大きさのそれが、時折パタパタと揺れる。羽が音を立てる度、背中が一瞬ぼやけて輪郭が定かではなくなるのだ。まるで中継映像がぶれる時のように。

「気になりますか?」

 クスクスと笑いながら二人同時に振り返った。どうやら視線が刺さっていたらしい。
 パパパパパッと鋭い羽音。すると今度は彼女たちの全身が揺らめき、実像を捕らえられなくなる。

「あっれー? お兄さん、私達を見るの初めて? そんなに驚いてくれるお客さん久しぶりだよ~」

 積極的な子の方が手を出してくる。
 握手、との事で握り返した。
 いや、正確にはこちらが一方的に握ることになった。彼女の手は、握られるように出来ていなかったから。
 幻影の手の輪郭をすり抜けて触れた実際の手は、荒い毛に覆われた関節とその先に続く鉤爪のような手、カブト虫の足に似ているだろうか。
 知っている。
 この虫……生き物を知ってはいるが、これほど上手に人間に化けている者には初めて会った。
 葉乃娘虫《ハノムスメムシ》。
 森羅万象、目に見える全てのものに擬態が可能と言われる種類の亜人虫だ。普通、生物の擬態とは、身体の表面の色を変化させ、周りの景色と馴染ませるものが一般的だが、葉乃娘虫は体の周囲にまとわりつかせた鱗粉を任意の色に変えることが出来る。触られてしまったり、さっきのように鱗粉を揺らしてしまえばバレてしまうものの、そうでもされない限り、どれだけ近づいて見ても気がつかれることのない擬態が可能。

「お触りはダメですからね?」

 身体は恐らく、昆虫のように硬い皮膚とぎこちない動きの手足を持った姿なのだろうが、柔らかく微笑んだ幻影を纏う娘は人間にしか見えない。
 得意とする固有の擬態能力を、人間の社会に溶け込むために使っているらしい。化ける相手をよく学び、騙す相手の好みを細かく探ったのだろう。その結果の看板娘。

「裏方のスタッフは、皆さん亜人なんですよ。私達がママと呼んでる売店の主人もナナフシの亜種です」

 湖と外を隔てる目隠しの仕切り、その通り口に設けられた売店には、艶やかな着物を着こなした妙齢の女性が座っている。彼女がナナフシ種? 驚くほど、人間にしか見えない。 

「いらっしゃい。甘えん坊さん」
「いや、それは……」

 ナナフシ種は身体の色を変えるだけだったと思うのだが。となると、この人間にしか見えない姿に生まれてきたと言うことなのだろうか? であれば、かなりの希少種。
 よく、こんなにも優秀なスタッフを集めたものだ。それに、みんなの仕事に対する熱意も感じられる。

 瓶牛乳一本を得るために、随分と遠回りをしてしまった。だが、色々と学べることも多かった。
 温泉旅館が軒を連ねるこの風呂町で、開店したばかりの蒸気風呂屋が急成長株と言われる理由の一片を味わえた気がする。
 ここなら、あいつも快く働けるかもしれないな。
 この旅行は一応、連れの働き口を探す目的も兼ねていた。


 4


 手ぬぐいに、汗垂る男の氷掻き。

 受付のある宿泊所へ戻ってきた。
 エントランスホールの隅に設けられた足湯では、各種屋台が女性客を楽しませていた。特に元気な客引きをしていたのは、捻り鉢巻きを頭に巻いた『無駄に』調子の良い、かき氷屋の青年だった。

「寄ってらっしゃい、聞いてらっしゃい。
 当店は、どこにも負けない薄い氷を、自慢にしてる氷屋でねぇ。口に入れりゃあ、この世はあの世。ふわっと溶ける口当たりに、冷たい甘みが広がって、それはまさしく雲の上を泳ぐよう。
 さぁ、お客さんはどんな彩りがお好みかな?
 鮮烈な甘酸っぱさに、心の芯まで溶かされちまう、狂う情熱トロトロストロベリー?
 初恋の、思い出はどこか罪の味、甘く滴る恋々《れんれん》練乳?
 ひと目合ったその日から、寝ても覚めても君ばかり、緑の誘惑メロメロメロン?
 目一杯想いを伝える重ね掛け、とっぷり濃い味好き好き小豆?
 夢に出てくる反則は、イエローカードを出しちゃうよ? キュンとすっぱい悶々レモン?
 自慢の色を取りそろえ、貴方の味見を待ってます。
 はい、いらっしゃいませ! お客さんはどの色を――」

 買いにくいだろうに。





 部屋で待つ連れは、かき氷よりは桃の方が好きだろうと、隅の方で風呂敷を広げた桃売りの処へ向かった。
 売る気はあるのだろうか? ガンガンに回した扇風機の前に仰向けに寝そべり、キャップの付いた帽子で顔を覆っている。

「やってるかい?」

 声を掛けると、若い男が帽子をずらして見上げてくる。

「うん? お客? 1個150エルカ(この国の通貨)。先に言っておくけど美味しくは無いっす?」

 見た目、不味そうにも見えない桃だった。
 2個を手に取り代金を渡す。
 桃売りが金子を受け取りながら、俺の背後を睨み付けた。
 刺さる視線に不穏な気配。
 ああ、ああ。
 嫌な予感がする。

「オマエ、モーレンス、ダナ?」

 振り返ると、何処に穴が開いているのかわからない真っ黒のっぺりな仮面を被った二人の男と、突きつけられた銀の小刀。小刀も怖いが、何より、男達の規格外の体格が驚異だ。2メートルを超える身長と、100キロを超えていそうな筋肉質の禿頭の男が二人。一筋縄ではいかないだろうな。
 素性は……俺を昔の名前で誰何《すいか》してくるということは裏社会の売買人だろうか。とすれば、非合法でモンスターを扱う連中。俺も裏社会に身を置いていた口だが、こいつらとは敵対していた。目的は何だ? 連れを捕らえに来たのだろうか。

 と、桃売りがのんびりと声を掛けてきた。

「なあ、お客人。俺は良い桃と悪い桃を見分けるのには自信があってね。俺の見立てでは、あんたは良い桃だ。そっちの禿げ二人組は悪い桃だ。手を貸すぜ、おいらを雇いな」

 俺は思わず向き直る。

「桃売りに用心棒を頼むのか?」
「おいらは桃売りじゃ無いぞ? これは山から取ってきたおいらの昼飯だ」

 男は桃を手に握り、後ろへ引いた。サイドスローの構え。
 ならば頼むと頭を下げれば、頭上を桃が飛んでいく。
 体を捻り、桃の軌道に沿わせるイメージで、右足を背後上方へ繰り出した。
 仮面男からすれば、顔面に向かってきた桃を叩き落とした直後に飛んでくる俺の足。咄嗟では反応できなかったらしく、ノーガードに踵が入った。顎を捉えた感触は小気味良いものだった。
 と、まあ、こんな感じで、彼との契約は見事に成立した。

 隅から、動きやすいロビー中央へ転がり出ると、客の誰もが遠巻きに喧嘩の観戦を始めている。麦酒を片手に眺めるのなら、これ以上の見物は無いだろう。俺も向こうが良かったけどな。

 ロビーは二階まで吹き抜けになっていて、先制攻撃を食らい顔を真っ赤にした二人組の吠える声が良く響く。声は太く、ビリビリと震える。人間では無いかも知れない。
 緊迫度を増す空気感に、観客が野次めいた拍手を贈る。もう見世物の感覚だ。

「1日3万エルカで3日。どうだ?」
「んー、良い値段っすね。羽振りの良い旦那だ。じゃあ、それでいいっす」

 禿げの二人がマスクを外し、破かんばかりの勢いでシャツを脱いだ。中から現れた顔は、真ん中にぎょろりと厳つい大きな目玉。一つ目の怪人、幽谷乃独眼巨人(サイクロプス)か。亜人の中でも危険ランクの高い戦闘狂で知られるが、知能は人間より劣り、戦闘要員として雇うには人のルールを教え込ませなければならないが、それには専門的な知識とコツがいる。
 そのノウハウはもちろん公開されるようなものではないから、その筋の者で無ければ知りようがない。やはり影には大きな組織が動いている恐れがある。
 これは面倒。

「値段は上げないぞ?」
「…………う、了解」

 二人で一応構えを取るものの、体格差だけはいかんともしがたい。まして、俺の武器は部屋に置いてきたままだった。こんな白昼堂々と襲われるとは思っていなかったし。
 一方、桃売り、もとい、用心棒の男は体の重心を落として、爪先立ちで手足がうねるような構えを取っている。柳に扇子を持たせたら、こんな動きになるだろう。
 徒手空拳の拳法家だろうか。彼も身長は高い方だし、手足も長い。人間相手には引けを取らないと見えるが、はたして亜人に通用する拳法なのだろうか。

「安心してもらいたいっす。これでもサイクロプスとやり合ったことはあるんでね~。負けたことはないっす」

 頼もしい言葉だ。
 これなら、ある程度任せても良いだろう。

「……まあ、勝ったことも無いんすけどね」

 言っては何だが、予想の範囲内。いくらか自信も見えるし、3日だけはきっちりと働いてもらうことにしよう。
 さて、どう仕掛けようか。それとも逃げだそうか。
 初手を考えている時だ。二階から、ざわつきの中でも良く通る声が聞こえてきた。

「なに面白そうなことしてるの?」

 声を追って見上げると、二階廊下の手すりに腰を掛け、こちらを見下ろす俺の連れがいた。
 今度は、彼女の容姿を見た人達から別種のざわめきが起こる。
 腕の代わりに広げた翼は白銀のように光を弾く白、短い羽毛に覆われた体だが、体の表側と顔は人間と同じ身体、足は太ももから下が鳥の足になっている希少亜人種、深山乃羽巫女(ハーピィ)
 サイクロプスが彼女を認めて目配せをしあう。やはり狙いは彼女らしい。

「旦那の彼女ですかい?」
「まあ、そんなところだ」
「おお! ハーピィは魔法が得意と聞いたことがあるっすね。おいらの出番は無いかな?」
「……いや、あの顔は。手伝う気はなさそうだな」
「うい?」

 高みから見下ろす目は優越感に浸りきっていて、嗜虐的で妖艶な光を湛えていた。あれは、この状況を楽しんでいる目だ。新しい遊びを見つけた時の表情に近い。
 自分を取り合って殴り合う男達を、高みから眺めている気分にでもなっているのかもしれない。

「ほらほら頑張りなさい、男ども。私が歌ってあげるから」

 予想的中。
 俺の武器、短槍をこちらに放ると、彼女は鳥の翼を揺らしながら、澄んだ声を響かせた。宿屋の広いエントランスの隅々まで透明な歌が渡っていく。
 歌魔法。ハーピィは、生まれながら魔法を歌える。
 俺はこの歌声に、惚れたのだ。


 伸ばした影色 街に呑まれ
 気配は茜の 雲の如し
 歌うは鳥の子 姿乱れ
 の一人さえも 触れさせない


 学舎を旅立つ歌として有名な歌のメロディに乗せて、魔法歌『夕影揺浪《ゆーえーよーろー》』が詠唱される。
 魔法の効果が発動すると、俺たち二人の輪郭がぼやけ、体の動きに遅れて残像が生まれる。槍を振り回せば残像が幾重にも重なって、周りに残像のドームができるほどだ。
 用心棒の男も、驚きながらその効果を流れるような型の演武で確かめていた。それでなくても、捕まえにくい体の動きを見せる徒手拳法だ、残像の効果との相性は抜群に良い。
 これならそうそう捕まらないだろう。

 こうして俺たちは、ハーピィに見守られながらサイクロプスと対峙した。





 珍道中、風呂屋街にて。

隣の次元の珍道中

執筆の狙い

作者 千才森 万葉
14.9.117.64

シナリオ以上に、世界観を楽しめるような作品を作ってみたいです。面白いと思いますか?
シナリオはもう出尽くした感があるなーと考えることが多くて、というか、わたしが新しいのを産み出せないからかもしれませんが。
前回はわかりにくいとの評を頂いたので、前よりはわかりやすさに気を配ってみましたけども、どうでしょうね。

コメント

瀬尾辰治
49.98.55.137

千才森さん、
どうでしょうね、と書いていたので。

初めて読みました。面白かったです。

小屋の中で薪ストーブを焚いて……。
それは、薪ストーブを燃やすって意味にも取れますし。そのストーブを燃やしてから、石で囲むようにも取れます。

……仕組みの蒸気風呂だった。
と、説明を終えてから、
……密度の高い……音が響く。

吹きだす汗をタオルで拭う。重たい空気に、吐き出した息も窮屈そうに溶けていく。
誰の吹き出す汗を、誰が、タオルで拭うのか、分かりません。(一人か、複数か)
重たい空気。(空気は軽いと思うから、説明不足です)
吐き出した息「も」。も、と言うことは、その前に何かがある、「何か」の、説明不足で分かりません。

どうでしょうね、と書いていたので。
再度、

男を蒸しあげると、深層意識が出るんですか?
ほんまに、面白い!!
ふざけた事を真面目に書いているから面白いんでしょうね。
自分も、変な事ほど真面目に書くんやけど、負けました。

瀬尾辰治
49.98.55.137

再度、
女性は、蒸しあげないんですね。
もし、高圧で蒸しあげた場合、何が出るのか、そのセンスで書いてほしかったなー、です。
もしかしたら、先に書いているかもですから、読んでみます。
自分が読んだ中で、一番ですね。

読点、句点、これらは、要研究やと思いました。

見たままを感じているのと、その先を想像するのは、読点で区別するといいと思うよ。

 燦燦と照りつける太陽の下で、……。

それまでと、今現在なら、
 古くから、……。

まだまだパターンはあるから、要研究だと思うよ。

瀬尾辰治
49.98.55.137

最後まで読んでみました。
自分としては、前半までの書き方が好みでした。
読み手によって、感想は分かれるかもしれないですね。

千才森 万葉
14.9.117.64

 瀬尾辰治 さんへ
 お読みいただきありがとうございます。
 しまったな~、そうでしたか。前半は普通の小説の書き方では無かったので、あんまり好む方はいないかなーと思っていたのですよ。なので、後半は小説らしくシナリオを入れて書いたんですけど、前半の雰囲気のまま書いた方が良かったですか。
 元々はライトノベルサイトへ持って行った作品でしたから、そっち寄りにしたのですが、かなりライトな感じにしてしまって後半浮いてるなーとは感じてましたけども……失敗。

 さて。前半だけでも楽しんでいただけたようで、ほっとしています。全滅よりは、まあ。
 蒸気風呂のシステム描写。冒頭から説明文はさすがにマズかろうと、薄くしたのが裏目に出ました。これを書くに当たって色々とサウナについてネットで調べた(紀行文を読んだり、動画を見たり)のですが、わたしも実際に体験したことが無いんですよね。憶測で書くと説明抜けが多くなってしまいます。
 小屋の中に、全体を石で囲んだ薪ストーブを設置して、普通にストーブとして焚くわけですね。火が燃えていけば、周りの石も熱せられます。その熱くなった石に水や湯を掛けて蒸気を発生させるサウナらしいです。本場は北欧(向こうは低温タイプだったかな)らしいですけど、日本でも焼いた石に水をかけるタイプのサウナは遙か昔からあって、神聖な場所とされてたみたいです。ただ、機密性の高い部屋を作れなくて効率が悪かったみたい。
 という説明をファンタジックに出来れば良かったんですけども。

 あー、前回も、冒頭が誰の視点なのかわからないって指摘を受けてましたね、わたし。一応ずっと一人称で書いてたんですけども、読み返すと確かにわかんないですね。
『隣の人に当たらないよう気をつけながら、噴き出す汗をタオルでぬぐった。ふぅ、と思わず吐き出した息は、水蒸気を抱き込み密度を増した空気の中へ、窮屈そうに溶けていく』
 こうかな。

 蒸し上げると深層意識が出るんですよ~。ほんとですよ? やったことないですけど(笑)
 わたしはむしろ、真面目にしか書けないんですよ。コメディタッチの文体で書くと滑るんですよね。ふざけた事を真面目に書く時は、ふざけた事を書いているって思わずに、これがこの世界じゃ当たり前なんだって思い込んで、世界に浸りながら書くと良いかもしれません。
 てか、ここに食いつく方がいらっしゃるとは思わなくて、女性の方は考えてなかったです。女性のパターンを書くなら、そっちの視点のお話を考えないと思いつかなさそうですね。何が出てくるんでしょうね。昔に捨てた感情とか、かな。
 女性には人気が出ないわけだ(笑)


 読点と句点。
>見たままを感じているのと、その先を想像するのは、読点で区別する
 なるほど! これは是非参考にさせて頂きます。今までは、読んで息を止める場所に読点を打つ感じにしていましたから、自分の中でのルールが定まって無かったんですよね。そのため、読み返す度に読点の場所が変わったり。そうですね、意味や目的、視点変化なんかに注目しながら使ってみたいと思います。


 貴重なコメントありがとうございました。
 いやー、もう、なんだか申し訳ないです。糠喜びさせてしまったみたいで。
 前半にしろ後半にしろ、わたしが書くのは好みが大きく割れるんですよ。そこはもう、諦めてますね。

瀬尾辰治
49.98.55.137

千才森さん、
先に書いた以外の面白さを考えると、先入観で書いていないから、自分のツボにはまったんだと思います。
これは先々の参考になりました。ありがとうございます。

そうですね。石を焼いてサウナにする。
自分は、テレビで観たことがあります。書かれていたとおり、北欧でした。
氷の湖で体を冷やす場面もありました。

ドアを開けて高温のサウナに入った瞬間は、息がしにくいです。(しかし、人によって違うかも、ですね)

自分の変な考えだと、
高温で空気が膨張し、酸素がちょっと薄いかもですが、不確かです。
(スキューバダイビングの、水分の無い空気で長時間、息をしているときの感覚ですかね。温度の違いだけかな? これは自分の感覚ですよ)

以前は電気風呂もあるサウナもあったけど、現在は分かりません。(しびれ具合は、家庭用100Vより、ずいぶん弱い感じでした)
参考までに、でした。

瀬尾辰治
49.98.55.137

ちょっと書き抜かっていました。
書かれていることは、全部分かりますよ。

自分は最初、先入観で薪ストーブの箇所を捉えたのですが。
後になってよく考えると、読む側の先入観を逆手にとった、いいアイデアでもありますね。
ほんまに面白いですよ。

電気風呂は、チクチク刺される感覚でした。

瀬尾辰治
49.98.55.137

たびたびすみません。
あと一つ、抜かっていました。
コメントに書かれた文章は上手ですが、その面白い箇所に関しては、普通の文章だと思いました。
重い空気も、同じ箇所ですね。いろいろな現象があると思いました。
と、思いましたよ。

千才森 万葉
14.9.117.64

瀬尾辰治 さんへ

おお、わざわざありがとうございます。
もっと、作者自身の感覚を大事にしたネット小説作品が増えてくれると良いなーと思う千才森です。

うー……そうですよね、普通、サウナ室は乾燥していますよね。
もっとも、日本の温泉にあるサウナは、ちょっとタイプが違うらしいんですけど、空気が膨張(かな?)している。あの感覚はわかります。確かに息苦しい。
そう考えると、密度が高いわけが無い。

この前テレビで、高温のサウナに入ったとき、同じ温度のお湯に入るよりも熱く感じない理由の解説がされていたんですよ。室温が高温時、空気中の水分子の密度が高い(湿度が高い)と、熱せられた水分子の皮膚に当たる量が増えて、熱く感じるらしいんです。逆に、日本のような高温のサウナ室は、室内が乾燥していて水分子が少ないから、水分子の温度が同じでも肌表面に当たる(ぶつかる)分子量が少なくなるために熱さを感じにくい、らしいです。ぐっしょりと濡れたタオルを持ち込まないよう書かれているのはそのせいらしいですね。タオルに含まれている水分が高温になってしまうため、最悪やけどをしてしまう。

それを踏まえた上で。
石を焼いて室温を上げると、気圧は上がって、水分子は気圧の低い外へと逃げだすため、部屋は乾燥する、はず。その状態で、焼けた石に水をかけると水が気化して大量の水蒸気が発生し、空気中の水分子が増える。湿度が上がる=室内における熱せられた水分子量が増えて、熱く感じるようになる。

これらの現象から、焼けた石に湯を掛けると室内は水蒸気に満ちて、空気が重たく感じるようになると思ったんですが、そもそも、最初の段階でかなり乾燥してるのですから、湿度の上がり具合なんて文字通り「焼け石に水」程度なのかもしれません。湿度が高いと、やけどしますからね。
んー、考えるほど『小屋の中は乾燥している』気がしてきました。そうなると、この描写は成り立たない気がする……

説明がゴチャゴチャしてきました。要約すると、実際に確かめて書くべし。百聞は一見にしかず、百見は体験にしかず。

電気風呂!? 聞いたことはありますけど、入ったことはないですね。てか、100Vだと生命に危険が及ぶような。ネット上を軽く流して調べたところだと、一桁台みたいですね。アンペアで数ミリアンペア。ビビりなわたしは電気は遠慮しておきます(笑)
ただ、ファンタジー作品なら色々使えそう。

本文の書き方でも状況が伝わってましたか?
最近、現代詩のサイトにお邪魔していまして、ガッツリ影響を受けています(笑) 現代詩はやばいですね。『文章の常識』を木っ端微塵に粉砕されました。まず、読めない……、読めないんですよ、文章が。
小説創作にちょっとブランクを挟んでいる上に、そういった変わり種の文章作品を読んでいたせいか、小説用の文章の書き方が怪しくなっていまして、ですね。わざと崩している部分もあるんですが、意図していない箇所が伝わりにくくなっていたら困るなーと。
いずれにせよ、説明不足は否めないので、ちゃんと説明を入れるように気をつけたいと思います。

てか、根本的に、蒸気を立てるタイプのサウナじゃ無くて、普通のサウナにした方が無難だったかもしれませんね。普通のサウナでも、シナリオ上は、なんら問題が無いのですよ。

そうげん
121.83.151.235

石を焼くにしても、室外で行わないと、一酸化炭素中毒になるのではないかと、その点が気になりました。冒頭からある程度までは、どんな話が展開されるか気になりましたが、娘二人の売り子が出てくるあたりから、調子が軽くなって、あとは固有名詞の目新しさ、漢字の並びの偏差によって、読者を釣ろうという下心が見え隠れして、それこそ、炎玉(ファイヤーボール)みたいな、むかしなつかし『スレイヤーズ』的なルビ文化の残滓に出会ったような印象を抱きました。(「的な」と書いたのは、スレイヤーズは書店で本をパラパラしただけなので、記憶がアヤフヤだからです)

PC98で出ていた、『マスターオブモンスターズFINAL』では、天界のあるマップで、ヘカトンケイルや、張飛や、関羽や、ミカエルや、アーサー(王)というような、英雄であったり、神であったり、神話の登場人物を、ひとつの世界観のなかの、キャラクターとして、並列に登場させていたことを思いだしました。これもあまり詳しくありませんが、Fateシリーズも、こういった文化圏にあるものだったかと記憶しています。

幻想文学として読むには、わたしには不満が残るし、ライトノベルとしては、食指の動くものとはいえません。ただ、書かれ方と内容がぴたりとはまれば、じっくり読んで味のある作品を書いてくださるのじゃないかなという期待は覚えました。

ちょっと生意気な書き方になってしまいました。
作者様の作品についての方向性は、ちゃんと定まっているのかなとそこが疑問でした。
わたしは読みながら、方向性がいまいちアヤフヤかなと感じたものですから。

それでは失礼いたします。

千才森 万葉
14.9.117.64

 そうげん さんへ

 お読みいただきありがとうございます。一酸化炭素中毒は、薪ストーブなので煙突が付いてるんですよ。なので大丈夫かなと。石は焼いても一酸化炭素を出さない……はず。多分。

 そうですね、途中からは変に軽くなったのと、言葉遊びが目立つようになってしまいました。というか、それぐらいしか面白みが無いかも。固有名詞の漢字は、カタカナだけだとわからない人もいるかなーと考えて、一応漢字を付けたんですよね。このサイトは年配の方が多い印象なので。もっとも、年配の方が読んで面白いようには書かれてないんだろうなとは思いますけどね。

 スレイヤーズ、読んだことはないですが、さすがに名前だけは知ってます。ネーミングセンスが古いんですよ、わたし。
 異種の神話なんかをごちゃ混ぜにしたのは、今もなお、色々なゲームで使われていますね。新しくキャラクターを作り出すよりも、既存のイメージをそのまま使える強みがありますし。混ぜた分、キャラクターを増やせるので、ガチャ要素の高いスマホゲームと相性が良いんですよ。課金ランダムガチャは、出てくるアイテム(キャラ)が多い方が個別の当たり確率が低くなるので、課金の泥沼を作りやすいですから。

 幻想文学ですか。馴染みが無いので詳しくないんですけど、もし私の書き方と合うようなら参考にしようかな。ライトノベルは難しいかなーと考えてます。今回は、お邪魔しているサイトに載せるために軽くしたのですが、やっぱり失敗でしたね。
 私の作風は、まだ安定していないんですよ。元々は普通の小説を書いてたのですが、言葉遊びなんかをするようになってから、詩を小説に取り入れようと思いつき、試行錯誤で迷走してます。
 方向が定まれば、もう少しガッチリとした世界が書けるのかもしれません。それまでは、色々試してみたいなと思ってます。
 ありがとうございました。

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