作家でごはん!鍛練場
鯛茶漬け美味し

ガストロノミー

 みかん色に染まった建設途中のビルは、灰色の無機質から暖かみのあるものに見えた。
ヘルメットを被り、鳶服姿の男がぼんやりと沈む夕日を見ている。
男の名前は新門辰海。肩幅が広く、力強い目と鼻筋が通っており、口元はへの字になってる。
一見近寄りがたい風貌だが、どこか人情味が溢れる男に見えた。
「今日の夕日はキレイだな」
ビルに設置された足場であぐらをかき、汗や埃で汚れた顔をタオルで拭った。
すると辰海の腹の虫が鳴った。
「聞こえましたよ。腹の音」横から辰海の弟分である勝次が声をかけた。
「ハハハ。聞こえたか。やっぱこの時間になると腹が減るよな。さて今日の晩メシは何にするかな」辰海が腹を擦った。
「オレはコンビニでからあげ弁当を買って帰るつもりっすね」
「からあげもいいな。でも勝次、あの夕日を見ているとクロケットに見えてこないか」
「クロケット? 何ですかそれ」
「クロケットはクロケットだ。美味いんだぜ」
勝次は何のことか分からず、たそがれている辰海を見ていた。


 仕事帰り、タピオカミルクを飲みながら辰海は、仕事場の近くにある“フレッシュマートしまだ”という八百屋に立ち寄った。
そこは辰海の幼馴染みの父親が経営する店であった。そしてそこで幼馴染みの秋音に声をかけられた。
「辰っちゃんいらっしゃい! 今日はキャベツが安いよ」
「おー!それは助かる。じゃあキャベツとじゃがいもを貰おうかな」
「毎度。ていうか何飲んでるの?」
「タピオカ。これ美味いのな」
「意外に新しいもの好きね。私のお父さんだったら、そういった新しいもの苦手だから絶対に飲まなさそう」
「そういえば今日、親父さんは」
「腰痛で奥で寝てるわ。それと今日、直送された柿が入ったのよ。大奥さまにどう?」と琥珀色の艶のかかった柿を見せた。
「柿かあ」
大奥さまとは、辰海の祖母のことである。辰海は祖母と二人暮らしをしており、腰が悪い祖母に代わり炊事や洗濯をしていた。
辰海は祖母が大の果物好きということもあり、購入することにした。
「じゃあ仕事場の人にも配りたいから、箱で貰おうかな」
「毎度!」
すると後方から誰かの揉め事らしき声が聞こえてきた。
振り向くと、拡声器やプラカードを持った者たちが大声を張り上げていた。
「ビル建設反対! 街の景観を壊すな! 歴史ある街を守れ! 即刻、工事の中止をしろ」
それは町内の人々の反対運動であった。
「あれは?」
「ああ、あれね。最近、いろんなとこで都市開発が進むようになったじゃん。一応この街は東海道の宿場街で伝統工芸を守ってきたもんだから、町内の人々が何とか風情を守りたくて反対運動を起こしているみたい」
「なるほどな」
「黒金不動産が今いろんな所でビルを建てようとしてるからね。じゃあ辰ちゃん、柿はあとで自宅の方へ届けるね」
それを聞いた辰海は、今の現場の請負先が黒金不動産だったことを思いだした。
「じゃあ柿はお願い」と買った野菜を受け取るとそそくさとその場を離れた。


「反対運動かぁ。もし建設作業員だってバレたら面倒なことになりそうだな」と辰海が呟くうちに、自宅へと辿り着いた。
その家は大きな門構えがあり表札には新門と書かれてある。
辰海は入口を通り玄関の扉を開き「ただいま帰りました」と奥に聞こえるように発した。
すると奥から祖母の実和子が出てきた。
「辰海さんお帰りなさい。あらやだわ。相変わらず汗臭いわ」と実和子が鼻を摘まんだ。
「はい。今日も精を出し働きましたから」
「どうしてあなたは大学を出て、フランス留学までしたのに建設現場なんかで働いているの? 一体何を考えているのか呆れるわ」
「いや、現場で働くのもとてもいいことですよ。汗水たらして、力仕事をするということは健康にもいいですし。現場の人たちの知識と高い技術。そこでしか知り得ない人間関係から教わることがいっぱいあります。そして仕事が終わったあとの充実感、達成感は素晴らしいものです」
「他のことで充実しなさいよ」
「じゃあ、直ぐにシャワーを浴びて、夕飯の支度をします」とだけ答えると、辰海は脱衣場へと入って行った。
「全くどうしてああなっちゃったのかしら。あの子の親も悪いわ。両親共々、仕事で海外へ飛び回っているなんて困ったものだわ」
実和子はいつもの愚痴をこぼしていた。


 辰海は風呂から上がると、さっきまでの埃っぽい鳶服とは違い、真っ白な清潔感のあるコックシャツ姿に変わった。
鍋と包丁を取り出し、さっそく料理にとりかかる。
辰海は、フランス留学時に、フランス料理に魅了され、自分で料理をするようにまでなった。
鍋に、昆布を入れ、酒を入れる。
沸騰直前に昆布を取り出し、マイタケ、しめじ、エノキを入れ、合わせ味噌を溶かす。
買ってきたジャガイモを蒸かし、少し固形が残る程度に潰し、炒めた挽肉、塩、胡椒を加え混ぜ合わせる。
そしてそれを円盤形にして、卵、小麦粉、パン粉の順にまぶす。
フライ鍋の中の油が、キレイな黄金色に光っている。
そこへ数滴の水を入れると、油が跳ねる音がした。170℃の温度を確認して、さっき作った円盤形のものを鍋に入れる。
すると勢いよく気泡が取り囲み、油がる音をたてる。そして揚げ物の香ばしさがキッチンに広がった。
狐色に変わり取り出し、バットに入れ油をきる。
その間に辰海は買ってきたキャベツを素早く千切りにする。
そして白い皿にキャベツを盛り、その隣に揚げ物を置いた。
タイマー予約をしておいた炊飯器の蓋を開けると、ツヤツヤの炊きたてのご飯が入っていた。
「よし。上手く炊けているな。やっぱり新米のツヤはいいな」
辰海は釜の中のご飯を混ぜると、茶碗にご飯を盛った。
実和子が今か今かと、テーブルの前で待っていると、ご飯と味噌汁、おしんこと揚げ物が並べられた。
「まあ美味しそう。これはコロッケかしら?」
「はい、そうです。フランス語ではクロケットと言います」
「ではさっそくいただくわ」
実和子は箸でクロケットを食べやすい大きさでに切る。熱い湯気が出ているまま、口の中に放り込んだ。
口の中で揚げたての熱さが転がる。
「どうですか?」
「ホクホクでとても美味しいわ。通常のコロッケより衣が甘いのね」
「はい。牛脂で揚げたので、衣が甘味と旨味を出すのでしょう」
「牛脂? あなたは色んな方法で料理ができるのね。簡単なケーキだったら私にも作れるけど、こんな料理は私には出来ないわ」
「これは、明治初期の西洋料理指南書に書かれてあるレシピを使いました」
「そんなに大昔からコロッケがあるの?」
「はい。文明開化の時代に、ヨーロッパの方から伝わりました」
「へえ。そんな昔からこんな美味しいものがあるのね」
実和子は味噌汁をすすると、幸せそうに笑みをこぼした。
するとインターホンが鳴り「毎度! 柿をお持ちしました」と秋音の声が聞こえた。


 翌朝、資材を積んだ2tトラックで辰海が現場に着くと何やら様子がおかしかった。
それは昨日見た、ビル反対運動の町内の人々が押し掛けてきていたのだ。
「うわぁ。これは仕事やりにくくなりそうっすね」と助手席から勝次が呟いた。
「オレたちは気にせず与えられた仕事をするだけだ。ほら荷物下ろすぞ」
「うっす」
辰海たちが荷台から荷物を下ろす横で、黒金不動産の社員がその対応にあたっていた。
「皆さん、また説明の場を儲けますので、今日の所はお引き取り下さい」
「そんな説明の場を待っていたら工事が進んでしまうだろ! ビル建設反対! 即刻、工事を中止しろ!」
両者の対立は激しさを増しているようであった。
するとそこへ黒いハイヤーが停まった。
運転手がドアの扉を開くと、そこから黒金不動産社長である黒金が降りてきた。
反対運動の人々は直ぐに黒金に気付くと、取り囲み抗議を始めた。
「工事反対! 風情を壊すな!」
黒金は渋柿をかじったような顔で、部下に計画書を見せろと指示をした。
小太りで、メガネをかけ、年は60歳は過ぎているだろう。
計画書に目を通した黒金は口を開いた。
「皆さん、反対運動を起こされていますが、最新鋭の商業ビルが建つことで、街の繁栄にもなるのです。古いものに囚われていてはいけません。新しいものがあれば若い人たちもこの街に集まってきます」
「なんだと? そんなのは勝手な理由だ! 古き良き時代、文化を守れ! ビル建設反対!」
その黒金の言葉に、反対運動の住民達は腹を立て、さらなる猛抗議となり、火に油を注ぐ結果となった。


「まだ反対運動の人たちが居ますよ」
建設途中のビルから、勝次が座り混んでいる住民たちを見ながら言った。
辰海が時計の針を見るとすでに12時を回っていた。
「なんだか大変なことになってきたな」
「風情も分かるんですけど、工事が中止になれば、オレたちの商売も上がったりですからね」
そのとき辰海の腹の虫が鳴った。
「こんなときでも腹は減るもんだ。よし! 昼飯にすっか」
「うっす」
2人は資材に上に座り弁当を広げた。
辰海が弁当の蓋を開けると、勝次が反応を示した。
「おお! 美味そう! 焼き鮭にそのご飯は炊き込みご飯ですか?」
「ああ。キノコと栗の炊き込みご飯だ。キノコは冷凍しておいたマイタケとしめじ、エリンギを使うんだ。その方が食感がよくなって、香りと旨味が増すんだ」
「へえ。そうなんですね。オレのは昨日、嫁が作ってくれた茄子のカレーです」
勝次は18のときに、付き合っていた恋人が妊娠をしてしまった。
進学をするはずであった大学を諦め、産まれてくる子供のために辰海の下で働くようになったのだ。
「茄子のカレーか。でもな勝次。秋茄子は嫁に食わすなって言ってな、茄子を食いすぎると体が冷えるから、妊婦にはあまりよくないって言うぞ」
「そうなんですか?」
「まあでも、カレーのスパイスで体が温まるからいいのか。ん? カレー! それいいかも!」
突然、辰海が何かを閃いた。しかし勝次には、何のことであるかさっぱり分からなかった。
辰海は弁当をかけこむと、黒金の所へ向かった。


「社長。反対住民の人たちと話し合いをするために、私にいい考えがあります」
辰海は現場の敷地内にある仮設事務所へ来ていた。
「藪から棒に何だね君は?」黒金がふてぶてしく聞いた。
「私は下請けの新門辰海といいます。連日の反対住民の方たちとの話し合いは平行線のままだと思います。私たちも背後が気になり仕事がやり辛いものがあります」
「それは私も分かっとるよ。しかし工事を止めるわけにはいかん。ここまで来るのに、どれだけのお金と時間がかかっていると思うんだね」
「はい。それは察しがつきます。なので、黒金社長と反対運動の皆さんの時間を私に下さい」
「そもそも、たかだか下請けの君に任せられるとも思えん」
すると横から黒スーツを着た黒金不動産の社員が、辰海に関する資料を黒金に見せた。
「社長、この新門という男は信用できるかと」
その資料に書かれてあるのは、辰海の経歴であった。
都内T大学を卒業後、官僚となり厚労省に勤務。行政の研修留学制度でフランスへ留学。
帰国後、仕事を退職し、徳川組に入社。そこで現場の足場組みの作業員となり現在に至ると書かれていた。
その辰海の以外な経歴に黒金は目を大きくさせ驚いた。


 3日後、黒金社長と反対住民側の代表3名、計4人が辰海の家に招待された。
招待をされた4人は、テーブルに着き、大きな屋敷と豪華な家具に落ち着かない様子であった。
するとそこへ秋音が長ネギを数本持って現れた。
「毎度。長ネギお待ち」
「おお! ありがとうな。おまえも食っていけよ」
「え? いいの?」
「ああ。いつもおまえにはおまけしてもらったり、配達までしてもらってるからな」
そして秋音も空いている席に着いた。
「今日はお越し頂きありがとうございます。今日は皆さんにぜひ食べて頂きたい料理があります」
そう言うと、辰海はコックシャツの袖をまくった。
長身と、現場作業の力仕事で鍛えぬかれた辰海の体が、コックシャツ姿を美しく見せた。
キッチンに入ると辰海は直ぐに調理に取り掛かかり、長ネギを刻む。
テーブルでは、反対運動の住民が黒金を白い目で見ていた。
「黒金さん。私らは、あんたと話しをつけるために来たんだが、一緒に飯を食うつもりなどないんだがね」
一歩も譲るつもりのない発言に、他の住民たちは頷いた。
「まあ皆さん。せっかく招待されたので、ここは一先ず休戦としましょう」と黒金はふてぶてしく応えた。
同じテーブルに着いているが、そこには軍事境界線があり、両者緊迫した空気であった。
その横に座る秋音が、居たたまれない気持ちになり、辰海にSOSの視線を送ったが、全く気付く気配はなかった。
暫くすると香ばしい匂いが広がった。
「早く食べてみたいものだ」と待ち遠しくなった黒金が呟く。
するとそこへ辰海が料理を運んできた。
「先ずはじめに前菜のサラダをご堪能下さい」
白い皿には、さつまいもスティックに蓮根、トマトに青野菜が鮮やかに並べれていた。
「ドレッシングは、手製のマスタードドレッシングをお使い下さい」
さっそく一同はサラダを口にした。
「おお。これは美味い」と反対運動の住民たちは驚いた。
「マスタードのドレッシングなんて初めてだったけど、とてもコクがあって美味しいわ」と住民の女性が言った。
それを見た秋音も安堵の表情を浮かべサラダを頬張った。
キッチンでは大きめのフライパンにバターを入れ、薄く切った長ネギを炒め始めた。
ネギが狐色になると、そこへカレー粉、小麦粉を入れさらに炒める。
塩と出汁を投入し、そこに牛肉を加える。このとき、ネギは黒く焦げはじめていた。
そして水を入れ10分ほど煮込む。煮えた頃に、辰海はスプーンで味見をした。
「やはりな。これは食べられる代物じゃない。ここからがオレのガストロノミー(美食術)だな」
辰海の眼差しは、何かの食材に目を向けられてたい。


 辰海が香ばしい匂いとともに、カレーを運んできた。
「では皆さんに2種類のカレーを食べて頂きます」
そういうと辰海はソースポットからそれぞれのご飯にカレーをかけた。
「うん。匂いは香ばしくて美味そうだ」と黒金が呟いた。
皆がカレーを頬張ると、誰もが手を止め、険しい表情になった。
「なんだこれは? 凄く塩辛くて焦げ臭いじゃないか」
「我慢すれば食べれなくはないけど、やはりちょっと口に合わないわ」
それぞれがカレーに対する批評をした。
その皆の反応に気付いていたかのように辰海は口を開いた。
「これは明治の初期に書かれたレシピ、西洋指南書のカレーです」
「西洋指南書?」
「はい。西洋指南書は、国立図書館で読むことができます。つまりこれは、日本最古のカレーになります。伝統の味を守り、古き良き時代の料理がこちらになります」
「しかしこれは」
「はい。これは、現代人の我々からすれば食べられるものではないです。バターと塩の分量が多すぎます。ネギも焼きすぎて焦げ付いています。肉の臭みも残ってしまっています。口の肥えた現代人からすればこんなものは食べられない」
「食べられないものだと分かっていながら、どうしてこんなものを出すんだ」
「それはこれから食べて頂くもう一種類のカレーがあります」
「もう一種類?」一同がざわめく。
 辰海はもう一つ用意しておいたソースポットから、それぞれのご飯にカレーをかけた。
「ぜひご賞味ご堪能下さい」
さっきの不味いカレーのこともあり、なかなか皆が食べようとはしなかった。
その場の空気を読み、秋音がカレーを口にした。
その瞬間、秋音の表情が変わった。
「あれ? 凄く美味しい。苦味と辛味、そのあとに甘さがあるわ」
それを聞いた他の者たちも、疑念を抱きながらカレーを口にしてみた。
すると、不安な表情から至福の表情に変わり驚きを隠せなかった。
「これは美味しい。カレーなんだが、また違った口当たりだ。さっきのカレーと似ているのだが、あきらかに美味さが違う。これはどうなっているんだね?」
黒金が美味さの秘密に迫ってきた。
「これはさっきの伝統的なカレーにある食材を加えて作ったものです」
「ある食材?」
「はい。これは先ほどのカレーに柿を加えました」
「柿?」以外な食材に一同が仰天した。
「塩辛いカレーに、さらに水とカレー粉を加え、食べやすい大きさに切った柿を入れました。柿を入れることによって辛味のあとに甘味さが出て、新しい旨味を作りだしました」
「新しい旨味?」
「ええ。伝統的なカレーの塩分の辛さと、焦げた苦味、カレーのスパイスを調和させるために、柿という新しい発想で甘味から美味さを作りあげてみました」
「柿とは驚いた。これほど変わるものなのか」と黒金は呆気に取られた。
「当時の人々であるなら、今の私たちとは違い一日の歩く距離、家事など生活するに当たるカロリーの消費量が全然違います。だから塩分の多い物を食べられたでしょう。しかし、現在の私たちは便利になりすぎているため、それほどカロリーを消費しません。伝統的な味もいいのですが、やはり現在の私たちには現在の味が好まれる。また、新しすぎても若い人たちが好むだけであり、なかなか受け入れられるものではありません。今流行りのタピオカなんかがその例だと思います。そこで、伝統的な古いものを活かし、そこに新しい発想を加え、カレーを美味しくすることができました。」
「たしかにこれは美味い。今まで食べたことのない辛味と甘さで調和がとれている」と反対住民の一人が関心を示した。
「私たちが抱えている問題も、これと同じなんじゃないでしょうか?」
「同じ? 一体、君は何が言いたいんだね?」と黒金が辰海に詰め寄った。
「それはビル建設に関することです。風情を守り、文化を守ることはとても大事です。でもそれだけでは街は発展しないし、若い人たちにとって不便なものになっていく。けれれど新しいものばかりでは、変わりすぎてしまう街に悲しく思うのも確かです。こんな料理程度で、皆さんの思いを変えることなんて難しいと思います。しかしこのカレーのように、伝統的なものがあったからこそ、新しく美味しいカレーに生まれ変われた。だから、街の開発についても、古き良きものを残して、そこに新しいものを加え、共存していく方法を見つけられないでしょうか。新しいものが、古きよき時代を受け継いでいくことが出来ると私は思います」
辰海の言葉に、一同はそれぞれが伝統と新しいものについて考えさせられる形となった。
そして最後に、美和子が焼いたさつまいものシフォンケーキと紅茶が出ると、会食は無事終わりを告げた。


 その後、黒金社長と反対住民の話し合いは、何度も行われ、景観を壊さないように、建物に和のテイストを入れるなどの工夫が凝らされた。
商業ビルには、現代的な店と、古風な店が入ることになった。
結果的に伝統と新しいものを両立していくことになり、観光客を増やし、両者の主張が良い作用を生むこととなった。
仕事帰りに、辰海は秋の空を見上げながら秋音の所へ立ち寄った。
「あ! 辰ちゃんいらっしゃい。今日は大根が安いよ」
「ああ。そしたら大根貰おうかな」
「毎度!さんまの塩焼きに大根おろしは付き物よね」
大根を受け取ると、辰海が無言で秋音を暫く見つめる。
「な、何よ」と秋音の頬が少し赤く染まった。
「秋音。おまえさ」
「だから何よ」と秋音は内心ときめきながら何かを期待していた。
「“天高く馬肥ゆる秋”て知ってるか?」
「どう言う意味よ!」
秋音の声が、秋の空にけたたましく響いた。

ガストロノミー

執筆の狙い

作者 鯛茶漬け美味し
14.133.29.58

前回は美術館ものでしたが、今回はグルメものにしました
批評批判、アドバイスなどがあれば宜しくお願いします

コメント

加茂ミイル
114.180.63.23

これは読み手にとって読みやすい文章で書かれているように思いました。
無駄のない綺麗な文章だと思いました。

瀬尾辰治
49.98.55.137

鯛茶づけ美味しさん、

どの辺りか、分からなくなくなったけど。

 辰海は、フランス料理に魅了され、自分で料理をするようにまでなった。

ちょっと違うと思うよ。

 辰海は、……。
 ……辰海は、

 ……辰海は……、
 辰海は……、

するようにまでなった。
するようになった。
するまでになった。
曖昧な書き方と、はっきりと書く書き方は、本を読んで違いを研究するといいと思います。いろいろ載っていますよ。

読点も、ついでに覚えるといいと思います。
見たままの状況と、不確かな(らしい、ようだ、……)は、読点で区別ですね。公募に出して、最終選考まで残るなら、他にもいろいろあるから、確実に、区別するのがいいと思います。

これは、ヘルメットの箇所ですよ。
ヘルメットを被り鳶服姿の男が、……。
り、は違うと思います。

「…………」…………。こんな箇所は、見たままを書くといいと思います。
あとは、
視点を間違えずに、客観的に、ですよ。

自分は三回出して、一次も通らなかったんやけど、今は全部覚えたつもりです。

ちょっとね、締め切りが迫っているんで、指摘はここまでです。
もし、自分が通らんかったら、指摘は間違いですから、そのときはゴメンね。

では、頑張ってください。

瀬尾辰治
49.98.55.137

ちょっと追記。
だが、……。そして、……。だが……。そして……。など、まだ他にもあるから、それらも含め、それ以外も要研究ですね。

u
183.176.70.188

読みました。
本作ってシリーズ物?。前回読んでない多分。読んでても記憶に残らなかったかも(ゴメンナサイ)。
主人公のキャラというより経歴設定が特異な感じがいたしまして。
マアそれはおいといて、あたし自身は料理は造るし、そこそこ得意と自負いたしておりますがww。
鯛茶漬け美味し様の言いたいことはわかるのですが、本来のテーマと(料理)が絡み合ってないようにというか(単純)に絡めすぎて面白みが希薄なように思います。せっかくフレンチとか明治時代のカレーとかとりあげているのに、作者様の知識の披歴におわっているのではないでしょうか?
料理を絡めるのであればも少し深く深くwww。

いいたいこと言いました、ご容赦。御健筆を。

鯛茶漬け美味し
49.98.8.46

加茂ミイル 様

ありがたいお言葉ありがとうございます✨

鯛茶漬け美味し
49.98.8.46

瀬尾辰治 様

貴重なアドバイスありがとうございます✨
ただ瀬尾辰治様は句読点にこだわりすぎているようにも感じます
もっと物語の起承転結について、洗礼させることを重点におかれた方がよいのでは?

鯛茶漬け美味し
49.98.8.46

U 様

読んでいただきありがとうございます✨
シリーズものではなく短編です
上記に書いてあると思うのですが、
前回は美術館もので今回がグルメものです
私の分析では、グルメものにもジャンルがあって、ただ食べるものやレシピ系のもの、対決ものや知識ものがあると感じました
今回は知識ものの色が強かったかもしれません
調理や美味しさの表現については、レシピにならないように、口説くならないようにバランスを考えたつもりでしたが、
やはり好みというのがそれぞれ違うものだと改めて感じました😣

そうげん
121.83.151.235

重箱の隅になります。


>鍋に、昆布を入れ、酒を入れる。
鍋に水を張りとか、水を入れてる要素を書かないと、水気が酒ばかりに読み取れてしまいます。


>そしてそれを円盤形にして、卵、小麦粉、パン粉の順にまぶす。
小麦粉⇨卵⇨パン粉の順でしょう。

3>
キッチンでは大きめのフライパンにバターを入れ、薄く切った長ネギを炒め始めた。
ネギが狐色になると、そこへカレー粉、小麦粉を入れさらに炒める。
塩と出汁を投入し、そこに牛肉を加える。このとき、ネギは黒く焦げはじめていた。

ネギが焦げるのは、液体(出汁)を入れる前の、炒める行程だろうから、
《ネギは黒く焦げはじめていた。》の部分は、前の方へ移すのが適切と思いました。
あとここでは、牛肉は炒めないのですね。


>当時の人々であるなら、今の私たちとは違い一日の歩く距離、家事など生活するに当たるカロリーの消費量が全然違います。だから塩分の多い物を食べられたでしょう。

塩分とカロリーの話を一緒にしてはならないと思いました、別々に書かれてあれば問題はありません。塩分が多い、イコールカロリーが高いではないので。


おまけ
>みかん色に染まった建設途中のビルは
>黒金は渋柿をかじったような顔で
>キノコと栗の炊き込みご飯だ
>さつまいものシフォンケーキ
>さんまの塩焼きに大根おろし

秋の味覚が文中にたくさん使われていました。
みかんもこれから恋しくなります。
ちょっとケチ付けになってしまいましたが、
愉しく拝見しました。

ありがとうございました。

鯛茶漬け美味し
14.132.248.230

そうげん 様

読んでいただきありがとうございます
的確なアドバイスありがとうございます✨
見落としていたミスです
とても助かります✨
季語に気付いて頂けてよかったです✨

鯛茶漬け美味し
14.132.248.230

そうげん 様
ネギが焦げたことに関してのことなのですが、
西洋指南書にはネギを炒めてから牛肉を炒めると書かれてあります
なのでどうしても牛肉を炒める頃にはネギが焦げてしまうのですよ
もっとその当たりを丁寧に説明すればよかったです

夜の雨
118.18.72.209

「ガストロノミー」読みました。

登場人物、主に主人公の新門辰海ですが、よい個性を持ったキャラクターでした。
ガタイ系の鳶さんなのですが、彼の経歴がすごかった。
>都内T大学を卒業後、官僚となり厚労省に勤務。行政の研修留学制度でフランスへ留学。
帰国後、仕事を退職し、徳川組に入社。そこで現場の足場組みの作業員となり現在に至ると書かれていた。<
なんかこの経歴がエピソードを動かす重要な要になっていると思うと「経歴」=「できる人物」という「嫌味」のようにもとれますが、温厚なキャラクターで「経歴には書かれていなかった」「料理がプロ顔負けの腕前」というところが良かったですね。
おまけに御作ではその料理を作るところが詳しく書かれていたので、話に説得力がありました。
ただ、こういった経歴を持っていて、どうしてあまり経歴が必要でない職業に就いているのかがわかりませんでした。

今回は題材が「古いものと新しいものとの調和」ということで、辰海が施工主と反対運動の仲を取り持つという難しい作業をこなしました。
この作業というのが同じ料理なのですが、古いレシピと新しいレシピで味が全然違うという具体的な方法で施工主と反対運動両者が話し合いに着くきっかけになりました。

辰海以外の登場人物たちもそれぞれ個性がありキャラクターの設定はうまくいっていたと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「どうしてあなたは大学を出て、フランス留学までしたのに建設現場なんかで働いているの? 一体何を考えているのか呆れるわ」
「いや、現場で働くのもとてもいいことですよ。汗水たらして、力仕事をするということは健康にもいいですし。現場の人たちの知識と高い技術。そこでしか知り得ない人間関係から教わることがいっぱいあります。そして仕事が終わったあとの充実感、達成感は素晴らしいものです」
――――――――――――――――――――――――――――――――
こういったキャラ創りは今回に限らずいろいろな作品で利用できそうですね。
つまりどんな職業についていようが、実はこういった経歴の持ち主だったということで、話に説得力を持たせることが出来る。
気をつけなければならないのは、「経歴」が「すごい」ので「経歴の無い者を馬鹿にしている」と、「読者」に勘違いされるといけないので、このあたりは注意が必要です。


前作よりも構成とか作品創りのバランスがよかったと思います。
よくまとまっていました。

―――――――――――――――――――――――――――――――
● 気が付いた事。

「オレはコンビニでからあげ弁当を買って帰るつもりっすね」←「勝次」が言っているのですが、彼には奥さんがいるのですよね、夕食を彼女は作らないのですか。

>「へえ。そうなんですね。オレのは昨日、嫁が作ってくれた茄子のカレーです」
勝次は18のときに、付き合っていた恋人が妊娠をしてしまった。
進学をするはずであった大学を諦め、産まれてくる子供のために辰海の下で働くようになったのだ。
「茄子のカレーか。でもな勝次。秋茄子は嫁に食わすなって言ってな、茄子を食いすぎると体が冷えるから、妊婦にはあまりよくないって言うぞ」<

これだと勝次は現在18で嫁が現在妊娠中ということなのですか。
「18のときに」 ←と、書いてあると、現在は19歳以上とも考えられますが、そうなると当時妊娠していたのなら現在は産まれているということですよね。
現在「何か月目」だとか、書かれていれば「状況がわかりやすい」です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
以上、細かいことが気になりました。


お疲れさまでした。

鯛茶漬け美味し
14.133.34.43

夜の雨 様

読んでいただきありがとうございます!
本当にご指摘の通りです
とても助かります
ご指摘していただいた所を修正したいと思います
細かい箇所まで読んでいただき、書いている側としてはとても嬉しいです
ありがとうございました

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