作家でごはん!鍛練場
田中一郎

JKと女教師の恋

「今日から3年生ね」


 ポツリと呟いてしまったセリフ、いつも通りの学校が始まる時間。

 学校に向かう為にバスに乗る。


 うわぁ……きれいな人だな。

 

 由香里は目の前にいる見た目20歳の女の人に一目惚れをしてしまっていた。

 

 あれ? 女の人にこんな感情を抱くなんて変なの……。

 そのまま何事もなくバスを降りようかというところ。

 

「キャッ!」


 その女性がバスの揺れで由香里めがけて倒れこんできた。

 

「ごめんなさい」

「いいえ」


 由香里は笑顔でやり過ごす。

 本当は胸の高鳴りを抑えきれないくらい興奮していた。


「あら? ウチの制服じゃない?」

「え? ウチって?」

「今日から武蔵女子高校の教師になった谷合満里奈よ」

「そうなんですか! 新任の先生なんですか。 私、3年の田伏由香里と言います」

「この学校ではあなたが先輩ね!」


 そんな会話をしていると学校の最寄停留所にバスが到着をした。

 当然、二人はここで降りる。

 私は心の中で思わず、ガッツポーズをしたのであった。

 谷合先生のクラスが良いなと私は思った。

 クラス分けの紙を貰い、由香里は席に到着する。

 ここは女子校、隣の席に都合よくイケメンもいる筈がない。

 当然、隣も女子生徒である。

 隣の席というだけで何回か言葉を交わす羽目になるが、友達の多い由香里にとっては、そんなのは慣れっこである。

 笑顔で会話をして時間を潰していたら、チャイムが鳴った。

 いよいよ担任の先生が来る時間だ。

 緊張してきた。優しい先生だったらいいなーと普通は思い浮かべるのだが、今回だけは偶然、谷合先生ならいいなーと具体案が出来ていたのであった。

 教室のドアが開いた。

 するとそこには、何と、谷合先生が立っていて、早速、こちらの存在にも谷合先生が気が付いた。


 しかし、谷合先生の態度は教師モードに入っている為か、今朝とは違い、しれっとした様子であくまでも他人の振りを装った。

 確かにここで反応をしたらえこひいきと思われるのを配慮したのに違いないと思った。

 胸の高鳴りが益々、激しくなる中、由香里は視線で谷合先生を追った。

 谷合先生は今日のために練習をしていたのかと思うくらい、完璧な運びであった。

 すると、先生への質問コーナーという時間が設けられて真面目な質問からとんでもない質問まで、飛び出した。

 女子高校は怖いなーと改めて実感した。

 一番印象に残っていた質問はこれだ。


「先生って、彼氏いるんですか?」

「女子校でそんな事を聞いてどうするのよ」

 と一蹴をした回答に惹かれていってしまったのだ。


 由香里は谷合先生のために、今後がんばる事をこの時、密に誓ったのであった。

 しかし、この衝撃が恋とはすぐに結びつかなかった。

 これは恋じゃないもん! 違うもんと変になったかと思う自分を制御している間隔がどこかにあるのだ。




 そして、話が続くと部活の入部の話になった。
 過去、2年間部活とは無縁の帰宅部だった為に、入部届を書く事となった。
 谷合先生に近づく為に文学部と迷わず書いた。



 帰宅する時間になったので、入部希望を提出しにいくと「あら? ウチの部活に入ってくれるの?」と谷合先生は喜んだ。

 あー。と体育館で先ほど行われた挨拶で、文学部の顧問は育休で休んでいるので代わりに任されたと言っていた。

 ここで初めて、今朝の様な温かみを感じられたのだ。

 この先生はオフとオンのモードが激しいなと感じた。

 今日から早速、部活という事らしいので参加をするようにと言われた。

 部活に参加をしたら、村瀬新部長に優しく接してもらった。

 本当は他の友達に部長に推薦してあげると言われていたのだが、荷が重すぎると断ったのであった。

 そうか……。

 今日は新年度なので何からなにまで、決めなければいけないのか。と改めて思った。


 そして好きな小説や自分の書いた作品を部員たちは上げていく。

 ついに、由香里の番になり、好きな小説は純文学と答え、自分の書いた作品はありませんと答えた。

 すると、先生が疑問に思ったのか、「え? どうしてこの部活に入ったの?」と聞いてきた。

 先生のために入部しました! と本当は言いたかったのだが、それは公の場でいうべきことではないと思ったので自重をしておいた。


「小説と漫画なら読んでいるんですけれども、まだ書いた事ないんですよね」


 えへっと、笑ってごまかした。

 この先生に嘘や隠し事は通用しないとみてストレートに答えた。


「うーん、いいでしょう。漫画も立派な文化ですから」


 他のガチで小説が好きな部員からはドン引きされたが、谷合先生は良き理解者で助かったと思った。

 しかし、どうも妹を見るようなまなざしでしか見られていない事に気が付く。

 これを付き合うまで逆算してみると相当、苦労しそうであったが、好きという気持ちには嘘偽りはないんだなとこの時、悟った。

 覚悟を決めて、谷合先生に恋の宣戦布告を言い渡したのであった。

 まだ、どこかに同姓であることに抵抗感はあるものの。


 今日は、自己紹介だけで、部活動が終わり、村瀬新部長からの一声で小説を書いてくる様にと言われた。

 私は、書いた事がないので最初はショートショートから書いてみようと言われた。

 何かいきなり、文学部っぽい事するなと思い期待を膨らませながら帰路についた。

机に向かい、ショートショートとはとネットで検索をするとサイトが出てくる。

 調べ終わり、先ずはとっつきやすい恋愛ものから書いてみる事にした。

 えーと、確かどうやって好きになったか書かないと面白くないのよね。

 うーん、二人は丘の上で出会った事にしたけれどもこんなもので良いのかしら?

 明日、部長に見せるから不安だわ……。

 そして気合を入れて書いていると4時間は軽くすぎた、書いては消し、書いては消しで一行に進まない。

 これは小説を舐めてたわ。

 谷合先生と一緒にいたい一心で入部をしてしまったのだけれども小説で早くも挫折しそうである。

 親友の三村亜里沙にメールをした。

 さすがに惚れた相手は同姓ですと言えないので男という事にしておいた。

 先生相手でも大問題なので、さらには生徒相手という事にしておいた。

 すると、すぐにメールがきた。

 ”自分の決めた道でしょ? 多少困難でも乗り越えるべし”と励ましの言葉が記載されていた。

 くじけそうになったときには亜里沙といつも遊んだりしている。

 一緒にいる雰囲気が大事なのだと由香里は思う。

 亜里沙の元気エキスを少しだけ貰い、翌日に備える事にした。

 翌日の放課後、村瀬部長に提出をした。

 混信の傑作を提出する事が出来た由香里は、安堵の表情を浮かべた。

 タイトルは愛、二人の少年と少女が丘の上で出会うストーリーであった。

 純愛ストーリーで王道にしてみた。

 べたではあるが安定しているかなと思い、この題材にした。


「うーん、悪くないわね」

「本当?」

「初めてにしては上出来よ」

「良かった」


 由香里は胸をなでおろした。

 酷評だったらどうしようと頭によぎったからである。


「これ、ネット小説で調べたでしょ?」

「えっ……。よくわかったな」

「書き方がいきなり、醍醐味から始まっているもの」

「いきなり告白からはじまるもなあ」


 村瀬部長がいうには紙媒体で書き始めた人とネット小説で書き始めた人とでは、かなりの違いがあるという。

 紙媒体の人は比較的緩やかな出だしだがネット小説で書き始めた人は、激しい書きはじめだったりするのだ。

 小説家になりたいというサイトがあるのだが、そこでは特殊なタイトルが好まれたりするから一度見てみると良いわと言われたので見る事にした。


「でも、すごいじゃない」


 ここで初めて谷合先生が口を開いた。


「そんな事ないですよ」

「村瀬をここまでうならせる部員は過去にいなかったんだから」

「あなたってセンスあるわよ」


 他の部員も唖然としている。

 決して呆れている表情ではなくて関心をしている表情である。

 本当に由香里はセンスがあることは確かだ。


「あとで見せてね」

 

 驚くべきことに他の部員に声を掛けられたのである。

 過去2年間、帰宅部で何にも入っていなかった自分では信じられない様な事が起こっているので正直、内心は喜んでいる。

 だがここで喜びを爆発させると反感を買ってしまうかも知れないので我慢をしているのである。


「いいよ」


「先輩、中途入部で珍しいですけれども、さすがですね」


 などと言葉をかけてくれるので嬉しさが2倍にも増した。

 部活はそのまま、1時間、小説の議論が続きあーでもない、こーでもないとだべりホワイトボードに記載してまとめて終わった。


 明日は休日、部活内に残るものもいた。

 最終下校時刻まではあと30分もある。

 翌日、午前中は爆睡をしていた新学年になり、たった二回の登校であったが疲労がたまっていたのである。

 すると三村亜里沙が午後、連絡をよこして遊びにきた。

 幼馴染である彼女は由香里が恋に部活に大忙しなのを喜んでいた。


 ワンピースを着こなすロリッ子女子は、可愛げに座っていた。


「由香里がまさか部活なんてね!!」

「そんなに驚かなかくても良いじゃい」


 亜里沙は完全に茶化している。

 色恋沙汰も発覚したのでからかう気満々で家に遊びにきたのである。


「良いなー私も白馬の王子様に会ってみたいわ」

「いやー、彼にも都合ってものがあるから、それはねー」


 いきなり会ってみたいと言われて失神するところである。

 罰が悪すぎる話題はさけたい。

 生徒と教師が恋愛しているということが、他校ではあるが友達に知られたら終わりであるからだ。

 話題をすり替えた。

 すると、どこで知り合ったのかなどと、話し合い話題になった。

 偶然にも付近に男子高校があったのでそこの生徒という事にしておいた。


「いいなあ。私もそんな青春してみたい」

「まだ、恋愛なんてしていないわよ。一目惚れしただけ」

「それを恋愛っていうのよ」


 軽く腹にパンチをお見舞いされてしまった。

 余程、私の回答がうじうじしている様に見えたらしい。

 昔から、優柔不断なところがあるから気を付けようとは思っているのだけれどもね。

 亜里沙の表情が最初は曇っていたがどこか吹っ切れている表情になったのでよかったと思ったが、こちらも質問があるのであった。


「何かあったんじゃないの?」

「いや、何かこの話題をしていたらアホらしくなった」

「だったら良いけれども」


 亜里沙が強引に話を打ち切るものだからそれ以上は、話題が打ち切りになった。

 そのまま、スマホで遊びそれから帰宅をしていった。

(続)

JKと女教師の恋

執筆の狙い

作者 田中一郎
219.117.13.241

小説歴ははっきり言って浅いです。
連載型の長編小説にしようと思っています。
なろう系のタイトルが思いつかなくて困っております。
アドバイス下さい。
真面目な百合系のお話です。

コメント

鯛茶漬け美味し
14.132.222.84

拝見させていただきました
女性しか出てこないのが前提なのでしょうか?
先生の元カレとか、男性教師とか、同性愛と異性との愛の狭間の葛藤などがあれば物語の幅が広がるかもしれませんね
そしてあなた自身の恋愛経験があれば、もっと登場人物のしぐさや台詞、慣用句などが増えてもっと奥ゆかしいものになるかもしれませんね


なろう系だときっとタイトルは長い方がいいのだと思います
長いタイトルが流行っている理由は、タイトルからあらすじや方向性が読みとくことができるからなんだと思います

ぜひ頑張って下さい!

月野 夜
126.79.71.77

読ませて頂きました。

まずタイトルよりも作品としての完成度を上げていかないと読者に見透かされてしまいます。

なろうに直ぐアップするつもりですよね?タイトルのことを相当気にされているので。

この内容で公開しても、読者は絶対についてくれないです。

それこそ百合系のちゃんと販売されている作品を何十作と読んで、書いた方が今はいいと思いますよ。

誤字も何箇所かあったし、頑張って下さい!

のべたん。
49.106.193.182

はじめまして。
作品読ませていただきました。
所々誤字脱字が見られましたが、最後まで違和感なく読み終えることができました。

いいな、と思った所は、
〉これは恋じゃないもん! 違うもんと変になったかと思う自分を制御している間隔がどこかにあるのだ。

という主人公の葛藤が描かれているところです。ただ個人的には、さらに踏み込んで主人公の心情を描写することで、悩んで悩んでそれでも先生のこと、好き。みたいにすれば、もっと良くなると思いました。

私もいま、百合小説を書いているのですが、百合はいいですよね。きゅんきゅんしますよね。お互い頑張りましょう。

偏差値45
219.182.80.182

>タイトルが思いつかなくて困っております。

『JKと女教師の恋』
確かに、もう少し考えたいところですね。
ただ、これはこれで分かりやすくていいかな、とは思いますけどね。

ストーリー的には、既存にあるパターンの範囲内なので
アイデアが欲しいところです。
個人的には、むしろ、恋愛というジャンルではなくて、文学(小説)を軸とした物語の
方が興味がありますね。『バクマン』のようなものです。
人はなにかに挑戦している時は誰もが輝いていますからね。

田中一郎
219.117.13.241

鯛茶漬け美味しさん
コメントありがとうございます。
他の登場人物はだそうか迷っているところですね。
書き直しながら、検討します。
申し訳ございませんが恋愛経験はない作者の妄想です。
確かに葛藤は最初から全面に出すべきですよね。

田中一郎
219.117.13.241

月野 夜さん
おっしゃる通りだと思います。
日々、邁進して参ります。

田中一郎
221.112.48.218

のべたん。さん
コメントありがとうございます。
誤字脱字は大変申し訳ございません。
よいところを述べて下さりありがとうございます。
悩んでいる葛藤が少ない、第一話から出し惜しみする事はないと
言うことですね。
今日からまた、小説を練り直す訳ですが今度はこのコメントがあるので
いい作品が書けそうです。
実はまだ、これが3作品目ということなので頑張って書いていきたいと思います。
おかげでやる気がでました。

偏差値45さん
コメントありがとうございます。
バクマンはタイトルだけ聞いたことがあるかな…。
分かりやすいタイトルという事でありがとうございます。
確かになろうにこだわらなくても他の場所で書いてもいい気がしますので
一晩考えてみます。
最初に教えてもらったのがなろうでなろうを調べていくうちにタイトルの違い
に分かったので聞いてみました。
ここもライトノベル作法研究所というサイトからたどりつきました。

田中一郎
221.112.48.218

それより先に小説の実力を上げるほうが大事ですがね。。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

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