作家でごはん!鍛練場
小説家?達

惚気ですか……?

第一部 純文学

「小説を書いてきました」
 俺がそう言って、喫茶『カジュアル』のガラステーブルの上に置いた原稿用紙十二枚を、彼女は銀縁の眼鏡越しに見下ろした。
 ガラステーブルは黒色で、中央は透明だ。そのガラスの下に宇宙が拡がっている様な気持ちになる。
 こいつは、間抜けそうで意外と鋭い事を言うことがある。
 俺は純文書きだ。
 実は、原稿を見せるのは初めてである。今まで、出版社に応募したことはあるが、こいつに直接読ませたことは無い。
 以前、こいつが小説を書き始めたなんて言った時に無茶苦茶こき下ろしたから、今回、何を言われるやら……。

『鈴虫の羽』

 蝉の声がする。もうすっかり夏だな。
 俺は物干しのサンダルを引っかけて、朝方の生温い空気の中にブラウスを着た自分の体を滑り込ませた。
 蝉の声がする。

(中略)

 秋まではもう二月と言うところだ……。
 一階の台所から妻の声が聞こえる。「あなた、スイカが切れましたよ。早くいらして」という妻の声は、鈴虫を連想させた。
 いや、鈴虫よりもずっと軽やかで儚げではないか……。
 いや、鈴虫は羽を擦り合わせて鳴くらしいが、妻の声はあの美しい口腔と舌先がすれあって出ているのだ……。
 そんな想像にひたりながら、スイカの待つ台所へと下りた。

(了)

「ふうん、さと君の小説を初めて読ませてもらいました」
「で、ご感想は……?」
「そうですね。さと君って奥さんいるの?」
「いや、いませんけど……」
「ふうん、彼女は?」
「いますけれど……目の前に……」
「じゃあ、なんで、妻が~とか書いてんだよ! あたしのことを書けよ!」
「ええと、それはですね」
 思わず冷や汗で眼鏡が鼻からずり落ちそうになった。
 彼女……ちいの目は嫉妬に燃えている様だった。俺はテーブルの上のコーヒーカップを半ば震える指で掴み、こぼれないように持ち上げた。
「あたしをヒロインにして書いてよ。今すぐに……」
「今、ですか……」
「はい! 今です!」
 コーヒーを置いて、膝の上のかばんから大学ノートとペンケースを取り出した俺は、新品の鉛筆で白いノートの頁に新しい作品を書き出した……。

『ちいの声』

 蝉の声がする。
 もう八月か……。二月後の秋には鈴虫が鳴き始めるだろう……。
 ちいが小さな声でラッツ&スターを口ずさむ声が聞こえる。きっと、台所からだろう……。
 物干しから見える夕方の空は、少し赤くて、夕陽が下だけ遠くのマンションの屋上に隠れている。
「スイカ切ったよー」
 ちいの呼ぶ声がする。俺は、おうと返事をして、一階への階段を降りていった。

(了?)

「ふうん」
 ちいは、冷静な顔でノートをテーブルに置いた。
「いかがでしょう」
「ふむ、ま、いいんじゃない。次は感想文を書いてみて!」

続きはまたいつか……。


第二部 感想文

「『檸檬』の感想文を書きなさい!」
「えー、『檸檬』」
「そうそう、黄色いレモンよ。爆弾を投下しなさい!」

『感想文 檸檬』

 レモンがある。黄色いレモンがある。
 京極の丸善の画集の山の上にレモン爆弾。
 山の冊数は十を越えるだろうか?
 一番上の表紙は青色の様な気がする。青と黄色が混ざり合うと黄緑だ。平和のシンボル。
 俺は、そのレモンをそっと手に取った。
 少し重くて、丸い楕円。両端がやはり黄緑で、罪の様な気がした。
 何方の罪かは知っている。俺はまじまじと見ることもなく、画集山の上に戻した。
 レモンは明後日を向いている。

(了)

「おうふ!」
「どう、どう? 結構、自信作」
「ううむ……実は、わたしも書いてきたんですが……」
「え、見せろよお」
「えー、どうしようかな」
「そう言わずに」
「……はい」

『檸檬』

 檸檬がありました。
 私は檸檬が好きです。まあるくて、黄色くて、鼻を近づけるとすんと香る。
  もし私が檸檬を八百屋さんで買わわせてもらったら、どうしようかな?
 やっぱり、丸善に行くかな?
 やっぱり、松坂屋にあるのかなあ。
 檸檬爆弾。どこに置こう。
 丸善には漫画が置いていないから、レジに置こうかしら?
 レジのお姉さんがぽかん、とされる姿が浮かぶな……。
「三分後に爆発します」
 と言ったら、
「ラーメンを食べます」

(終)

「ううむ。やっぱりお前、変人……じゃなかった、天才かも……」
「学校で提出したら、どうなったと思う?」
「えと、それはぁ……優かな……?」
「だよねぇ!」
 大丈夫かな、俺、こいつと付き合ってて……?
 というのは、嘘だけれど、マジ変わってるよな。
 いやいや、お見それしました。
「でもさ、結構似た書き方してるよね。出だしとか」
「それはそうだなぁ。一文目、ほぼ被ってるなぁ」
「あたし達、お似合いかも……」
「そうか?」
 そう言って、コーヒーカップをゆっくりと持ち上げた。

(続く?)

惚気ですか……?

執筆の狙い

作者 小説家?達
150.31.134.121

続き物でした……。

何も言わないで下さい……嘘、書いて下さい。
よろしくお願いします。

コメント

吉岡ニッケル
126.224.148.248

悪口は言いたくないけど。
梶井基次郎のパロディにもなってないんじゃない?
単なる書き写し、って感じや。すまんね。

小説家?達
150.31.134.121

吉岡ニッケル様

ありがとうございます。

パロディにもなっていないとは、第二部のことでしょうか。
感想文ですが、そういえば、学校の課題で感想文を書いていた頃から久しいです。どんな事を書けばいいんだったかなぁ。
(今更、何を言っている)

吉岡様の作品を少し読ませて頂いたのですが、とても個性的であられますね……。やはり、個性でしょうか……?

個性、個性……ううむ。
拙作を読み直すと、決定的に個性が不足している気が致しました。
そういう事かなぁ。

第一部のさとの作品も、梶井基次郎さんっぽい、かなぁ。
気のせいでしょうか……。
そう言う事じゃないのかな……。

しかし、読み直すと、こいつ性格悪いな。はは。

長々と失礼致しました。
ありがとうございます。

そうげん
58.190.242.78

彼女のちいちゃんのこのセリフ〈「じゃあ、なんで、妻が~とか書いてんだよ! あたしのことを書けよ!」〉がよかった。心を摑まれました。何を描こうとされたのか、大きなテーマのことはわかりません。ただ軽い調子の言葉のなかに、ときおり、みずみずしいものがあって、読んでいて快かったです。細かに辿れば直した方がいい部分も散見されますが、これからに期待したいなと思いました。楽しくよみおえました。

吉岡ニッケル
126.224.179.206

別に、あなたさんが嫌いで云ってるわけやないよ。
俺のはむろん、駄作やねん。

ふざけた人間やから、俺なら、梶井信者に丸善はレモン置かれまくり、ついに倒産とか、
店長、気が狂ってレモン専門店にするとか、「敵がレモンやったら、こっちは死体や!」って、
桜の木の下から掘り出して来たしかばねを店の前において、店長vs梶井信者のお笑いバトルにする。

ま、こんなもんや。

ほな。

小説家?達
150.31.134.121

そうげん様

ありがとうございます( *´艸`)

小説家?達
150.31.134.121

吉岡ニッケル様

再訪ありがとうございます。

それは面白いですね。

桜の木の下も巻き込まれちゃいました(笑)

本当に、ありがとうございました。

吉岡ニッケル
126.224.185.252

レモン軍vs<屍>本屋一族。
「ほんや戦争」。
アイデア、譲るでw。
いらないなら、俺が書くw。

吉岡ニッケル
126.224.185.252

もうプロットが浮かんでおる。

木田テツ。一代で、京都では複数のパチンコ・チェーンを経営させた苦労人。
息子・マナブは京大文学部のエリート。恋人は後輩。卒業後、結婚しようと思っておる。

ある日、テツはマナブに哲は泣きつかれた。
「おとうはん!育ててもろた恩は忘れておらへん。せやけど、パチンコ屋は廃業してくれへんか!」

「何を眠たいこと抜かしとる。わしは土佐から裸一貫で京都に来てやな、ホール係、店長、支配人、そして経営者と成り上がったんや。今更職変えなんて出来るかアホ。マナブ、卒業したらやな、お前が後を継いで<京阪神のパチンコ王>と呼ばれる男になったらんかい」

「パ、パチンコはダメなんや。僕の恋人・キョウコのおとうはんは教授や。今は知らへんけどな、僕の実家がパチンコ屋やなんて知れたら<誰が可愛い一人娘をパチンコ屋ふぜいにやるかボケ!>って怒鳴られ、出入り禁止になるわ!分かってえな」

「うーむ。確かに大学センセがたにはギャンブルは無縁やろ。わしは亡うなったお母ちゃんから、マナブの未来を奪ったら化けて出るさかい、といまわの際で脅されたから、お前には逆らえへん。でもな、何をやれば良いか」

「それやったら、本屋や!」
「本屋?わしはエロ本と劇画しか買うたことあらへん。何が売れるか売れないかなんぞ、分からへん」
「それは大丈夫や。僕は文学部やから流行りの目利きは聞くし、流通も知っておる。キョウコのおとうはんかて、僕の実家が本屋チェーン店やっとると聞いたら<おお、何たる文化的匂いか!>と感激するやろ。おとうはんも、関西で知られた<文化人>の仲間入りやねん」

「ぶ文化人!な、なれるんかわしが!」
「モロチンや」
「ようし、このオトコ木田テツ、パチンコは廃業し書店にしたる!名前は<丸哲>にしよか!」
「僕も卒業後は店長になったるわ!」

って、序章。

小説家?達
150.31.134.121

吉岡ニッケル様

ありがとうございます。
面白いです(笑)

<丸哲>様が丸善様とどう関係してくるのか、気になる所です(^_^ゞ

吉岡ニッケル
126.224.185.252

流石に実名出すのはまずいからね。

あとね、パチンコ屋=書店ってのはホラやない。実際に起きたこと。
特に名古屋に多いんやけど、マア在日系の人らやな。
裸一貫でパチンコ屋を打ち立てたのはええけど、息子・娘が就職・結婚の時に悩んだんや。
風評が良くないって。
だから、多くが書店に商売替えしとる。

成り上がりのオヤジが<文化コンプレックス>抱えとるちゅうのも本当。
突如、陶芸のために窯<カマ>を成金庭にこさえたりする。北王子魯山人を気取ってね。

ほな。

上松 煌
220.107.200.89

小説家?達さま
 横からごめんなさいっ。

 ちょっくら、吉岡ニッケルさんと話したいん。
割り込み、勘弁や。

 最初から疑っとったんやが、あんた、日本人に非ずのようやな!
でも、ええで。
日本人様に悪事を為さぬなら許したる。
それが日本人様の矜持・襟度・寛容や!!

 さて、構想、いい話やん。
ってか、ものごっつう感動的やんか。
まさしく吉岡ニッケルさんしか書けんテーマや。
思い切り日本人様の人情・倫理観・モラル・美的感覚にむしゃぶりつき、齧りつき、吸いつき舐め転げ、6センチのナノティンポを振り立ててくれや。
ウフ~~~~~~~ン、イイわぁ

吉岡ニッケル
126.224.185.252

場を借りて、上松はん。
俺は日本人やで。オヤジは福島の名主(庄屋)一族やし、お袋は仙台の足軽一族や。
家系図もある。
北朝鮮はでぇ嫌いで潰すべき国家やと思っとるが、韓国人には悪感情ない。

ただし、右も左も大っ嫌いやねん。だからアナーキスト。

吉岡ニッケル
126.224.185.252

加えて、母方のじいさんは満鉄<南満州鉄道>の技師。ばあさんと戦前は満州で暮らしとった。
ロスケに追われ引き上げてきたが、そのまま残ったらお袋は<残留孤児>で、俺も中国人やったかも知れへん。

ほな。すまんね、達さん。

上松 煌
220.107.200.89

小説家?達さま
 もう、一言だけ。

 そないな話し、聞き飽きたで。
チョンはみんな「どこそこの名主で」「華族様で」「武士だ、源氏や平氏だ」「豪商だ」言うん。
お得意のファンタジーやな、けったくそ悪い!
 
 その何様が、本当の伝統的日本人の土地を奪い、背乗りし、戸籍を奪い、政治屋や有力者の妾になって、日本国様に仇を為しとる。
駅前にパチンコ屋・焼肉屋が多いのはなぜや?
おれさまの家も300坪の中野坂上の土地を奪われたワ。

 憲法違反の「在日特権」を未だに振り回しているのはなんや?
最高裁で違憲判決は何回でとると思う?
日本人の餓死やホームレスは五万といるが、チョンの餓死のない。
マスゴミの狂った放送で日本の文化伝統歴史を貶めているのはどういうことやん?
それでもチョンに悪感情はないと????

 もっと言いたいことはある。
だが、ここをお借りしてる以上、これで終わりにする。


小説家?達さま、ごめんなさい。人として大切なことを言わせてもらいました!

(代)久方ゆずる
150.31.134.121

なんか、すいません……。
お二人とも、大丈夫ですか……?

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