作家でごはん!鍛練場
hayakawa

時間と存在~ホームレスを通じた~

 私が彼と出会ったのは夏の太陽が暑く照り付ける日だった。私は出版社で編集者の仕事をしていた。その日、作家の元を訪ねて、推理小説についてあれこれ議論を交わした。作家は若年層のホームレスについて知りたがっていたので、私が作家の代わりにホームレスに取材をすることになった。
 私は電車で新宿駅に向かった。街は夏の熱気と人で賑わっていた。私はホームレスで特に若い男性を探していた。
 新宿駅の構内の一画にホームレスがいる場所を発見した。
 私は一人の老人に声をかけた。
「あの、すみません」
「ん?」
 老人は曖昧に返事をした。
「この辺りに若いホームレスの人がいないか探しているんですが」
「何?」
 老人は曖昧に返事をするだけだった。
 僕は新宿駅で様々な人に声をかけた。しかし彼らは年を取っていた。また私と接点を持つことに関しては多くの人が消極的だった。やはり若いと親の援助があるのでホームレスにはならないのかもしれない。
 僕は新宿の街を歩き続けた。そして道に寝転ぶ一人の男と出会う。
「すみません。この辺りでホームレスを、それも若い人を探してまして」
 二十代半ばの派手なスーツを着た男はおそらくホストだ。
「なんだ? お前は? ホームレス? 知らねえよ」
「私は出版社の編集者で、今度ホームレスを題材にした小説を作るんです」
「だから知らねえって」
 ホストは怒ってどこかへ行ってしまった。
 僕は途方に暮れたが、若者のホームレスはいないことがわかった。
 僕は作家に電話した。
「あの、ホームレスを探す件ですが」
「あー。見つけたよ」
 作家は僕に言った。
「どこで見つけたんですか?」
「知り合いを伝ってね」
 作家は夜、渋谷のバーでホームレスを紹介してくれると言った。
 バーに夜行くと、ホームレスを紹介してくれた。
「あなたがホームレスですか?」
「はい」
 若者は僕に言った。
「どうしてホームレスになったんですか?」
「まぁいろいろとありまして」
 彼はくしゃくしゃのシャツを着て、ジーンズを履いていた。
「どうして若者のホームレスの物語を書こうと思ったんですか?」
「あー。俺? 別に」
 作家はそう言ってりんごジュースのカクテルを飲んだ。
「理由はないんですか?」
「しいて言えば」
 作家は語り始めた。
「なぜホームレスがいるのか。彼らの人生はどうなっているのか。人間の存在意義について考えたからだ」
「存在意義?」
「そう。存在意義」
「僕にはいまいちわかりません」
「まぁとらわれているのさ」
 作家はそう言ってその後は一言もしゃべらなかった。

時間と存在~ホームレスを通じた~

執筆の狙い

作者 hayakawa
27.83.171.50

ホームレスの人物を通じて時間と存在について考えてみたことを小説で表現しました。

コメント

夜の雨
118.18.72.209

読みました。

>ホームレスの人物を通じて時間と存在について考えてみたことを小説で表現しました。<

ということで、えっ? と、思いながら御作を読みました。
掌編に入るようですが、流れはよいと思います。だんだんと、確信に入っていくようで。
作家のために編集者が若いホームレスを探す。しかし、見つからない。そのあたりの雰囲気は出ていたように思います。
問題は作家がホームレスを見つけたということで、渋谷のbarで逢いますが、このあたりの突っ込み方が弱いですね。
>ホームレスの人物を通じて時間と存在について考えてみたことを小説で表現しました。<
これが、出来ていないなぁと思いました。

「時間と存在」ということなので、ホームレスになったがために、時間の流れはどう変わったのかとか、自己の存在はどうなったのかとか、が、書かれていればよいかなぁと思います。

ホームレスになると、働いていた時と比べて、時間とかはあふれます。時間に縛られずに自由になれるということです。
「存在」感はどうなるかというと、「希薄」になります。他人(社会)との人間関係がほとんどなくなります。
このあたりのことをエピソードで書きこんで、その若いホームレスがどう生きていくのかを書く必要があると思います。
御作ではそのあたりのことを登場人物の作家さんが深く考えていなくて投げやりです。

御作の主人公は編集者ですが、内容から察すると若いです。社会経験も少ないようです。
この若い編集者が、今回の作家や紹介された若いホームレスと話をすることにより、「人間」の「時間や存在」について、考えるということでも、よいと思いました。
なにしろ人間は社会性のある動物なので。ホームレスになることにより社会から切り離されると、どうなるのか。

ホームレスから時間と存在を考えても、大きな意味で人間から見た時間と存在にたどり着くことに意味があると思います。
なぜなら、ホームレスは人間の一部なので。ラストでは視野は広げておいた方がよいですね。


お疲れさまでした。

hayakawa
27.83.171.50

夜の雨さん
コメントありがとうございます。
確かに存在と時間について、特に時間について深く言及できていませんでした。

なにしろ人間は社会性のある動物なので。ホームレスになることにより社会から切り離されると、どうなるのか。
ホームレスから時間と存在を考えても、大きな意味で人間から見た時間と存在にたどり着くことに意味があると思います。
なぜなら、ホームレスは人間の一部なので。ラストでは視野は広げておいた方がよいですね。

この部分、大変ありがたい助言です。自分より深く考えていただいたことが嬉しいです。自分でも気づきませんでしたが、この部分だけでも一作のコンセプトになりそうです。
ありがとうございました。

つかさ
210.149.253.86

 このテーマは子供の頃から興味があったので興味深く読み始めました。起承転結の承で突然終わってしまってびっくりしました。結まで仕上げてください。

 私と僕が混在しています。一人称を統一しましょう。

>私はホームレスで特に若い男性を探していた。
 これだと「私はホームレス」とも受け取られかねません。「私は特に若いホームレス男性を探していた。」とすれば、読者の混乱やミスリードを避けられます。語順に気を配ると、読者がすらすらと読み進めることができる文章になります。このようにリーダビリティーの高い文章を書くなら、作品を最後まで読んでもらいやすくなります。

 ラストの三人での会話、作家のセリフはわかりますが、あとは誰のセリフなのか判然としません。

偏差値45
219.182.80.182

全体的に中途半端な感じを受けますね。
>ホームレスの人物を通じて時間と存在について考えてみたことを小説で表現しました。
内容は分かりますが、「なにを伝えたいのか?」分かりません。
従って面白さは感じないですね。

地獄極楽丸
58.183.56.118

若年層のホームレス
それは家出
机上感がすごいです。

hayakawa
27.83.171.50

つかささん

コメントありがとうございます。確かに起承転結ができていませんでした。
他の細かなご指摘もありがとうございます。
ミスのないよう、また読者がしっかりと読めるよう注意したいと思います。
ありがとうございます。

hayakawa
27.83.171.50

偏差値45さん

コメントありがとうございます。
何を伝えたいかわからないということで、私自身もテーマをしっかりと深掘りできていませんでした。
ご指摘ありがとうございます。

hayakawa
27.83.171.50

地獄極楽丸さん

コメントありがとうございます。
私自身過去の記憶に頼って書いていたふしがあり、しっかりと取材すべきでした。
ご指摘の通り机上のものになっていました。

通りすがりの変人
118.104.60.120

 作品の仕立てには好感を覚えます。編集者が主人公で、作家を担当している。その作家が若いホームレスを探している。うん、なかなか、面白い。流れ的にもいいと思いました。あとは、意味不明な終わらせ方をしないで、そのあとを書けばいいと思います。その先が一番重要なところです。ホームレスへの質問攻めがないのが、流れ的にはおかしいですね。

「どうして、ホームレスに?」
「ちょっと、いろいろあって」
「きっかけはありますよね? 仕事でトラブったとか、家族と殴り合いの喧嘩をしたとか」
「ドラマじゃないんだから」
「じゃあ、あなたの場合は、なにがあったんですか」
「べつになにもないですよ。ホント、なにもなくて」
「きっかけはなかったけれど、いろいろあったと?」
「はあ」
 ホームレスの男は、溜息をついて、「じゃあ、ひとつだけ」と胡乱な目を暗い室内に彷徨わせた。
「生きてるんじゃないんですよ。死ぬことを待っているんです」
 
 みたいなのは完全に妄想ですけれど、なにかしら決着がついていると、より作品が面白くなると思いました。

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