作家でごはん!鍛練場
はるか

蝉の声に私の言葉が染み込んでいる

 何時だろうか。壁の時計を見る。赤い秒針が時を刻んでいる。短針は三時、長針は十五分を示していた。短針と長針はほぼ重なり合っている。
 椅子から立ち上がり廊下を歩き洗面所に行き鏡を覗き込んだ。私が居る。二十七歳、女性、アーモンド型の瞳、高くはないけど真っ直ぐな鼻筋、それから少し荒れた唇。眉をしかめてみる。鏡の中の私は私に対して反抗的に見えた。舌を出してみる。人差し指を右目に、鏡の中の左目に近づけてアカンベエをしようかと思ってからやっぱりやめた。そんなことしてなんになる? 肩の力を抜く。眠そうな私が向こう側に居た。
 チャイムが鳴った。ドアチャイム。誰かが来たのだ。ろくでもない用事に決まっている。だから私はチャイムを無視した。チャイムはそれから数回鳴った。そして諦めたのだろう、もう鳴らなくなった。
 リビングに戻る。伸びをしながら。読み掛けのファッション雑誌を手に取ろうとして、やめて、寝室に向かった。サンシェードの向こうに真夏の気配があった。寝室の空調を入れる。履いていたショートパンツを脱いでベッドに投げた。それから下着も脱いだ。タンクトップ一枚になった。カーキ色のタンクトップ。軍人みたいだと言った男がいた。太めの二の腕について言われたのかもしれない。この季節には焼けている肌の色について言われたのかもしれない。
 その男と別れてかれこれ経つ。いつも長くは続かない。記憶の中の男を寝室から追い出してドアを閉めた。
 枕元の、チェストの引き出しを開ける。ひんやりとしたステンレススチールのかたまりを取り出す。ダイバーズウォッチ。ステップ秒針が一秒ずつ時を刻んでいる。まだ動いている、と思う。腕にはめる。私の腕には緩すぎる。腕を振るとチャカチャカと鳴った。
 時計をはめた左手で私は私を慰める。ためらうことなく声も出す。しばらく熱中する。
 べとついた指をティッシュで拭ってから、チェストの引き出しの奥をまた探る。小箱を取り出す。ゴムが入っている。一つ取り出して、袋を破る。左手のダイバーズウォッチを外す。私の温もりでステンレススチールは、いくらか温かくなっていた。いつものようにゴムを被せる。中に入れる。痛い、けど我慢する。しているうちに気持ちよくなる。
 私の中でそれは時を刻んでいる。彼の鼓動。ドクドクと脈打つ。
 私の足がピンと伸びきるその直前、……誰かが呼んでいる。リビングに置いたままだった携帯電話だ。ダイバーズウォッチを出して、枕元に置き、ベッドに落ちた縮れた毛を一本つまんで屑籠に落としてからリビングに戻る。
 着信相手を確かめる。勤め先からの電話だった。出る。
「先生ですか?」と医療事務のスタッフ。
-はい、と答える。タンクトップ一枚の格好だけれど相手にはわからない。でも気まずさが声に出たのだろう。
「あ、今大丈夫ですか?」と訊かれてしまった。
 大丈夫、と私は思った。まだ湿ってるけど。-どうしましたか、と事務的に訊ねた。 
「都筑さんからお電話が入っています。電話診療をお願いしたいって。今日は先生お休みなんでって言ったんだけど、どうしてもって。調子、かなり悪いみたいで」
-いいですよ、と応えた。都筑さんは私の受け持ち患者だ。この春から診ている。-繋いでください、と告げた。下着をつける間もなく電話は繋がった。  
「あの、先生?」と、かすれた男の声がする。
-精神科医の高田です。どうしましたか?
「やばいんです、最悪です、つけられてます、今も見張られてるかも」
-落ち着いてください。何があったのですか?
「朝、道に居た黒い男が図書館にも居て、で、俺が選んだ本に、そいつ手を伸ばして、で、俺ビビって、それだけじゃなくて、帰りのスーパーにもそいつがいて、俺、いい加減にしろって言ったんだけど、そいつニヤッて変なふうに笑って、さっき、おまえを見張ってるぞって窓の向こうでそいつが言うから、俺、先生に報告しなきゃって、だから、先生休みだって言われたんだけど、俺、怖くて、先生、先生……」
 都筑さんは高校三年生だ。このところ学校には行けていない。
「先生、助けてください」と、彼は叫んだ。
-落ち着いてください。と、私は繰り返した。-いつもの薬、今朝はのみましたか?
「え、あ、どうだったかな」
-今、のんでください。三ミリグラムを二錠、今、コップに水を入れて、大丈夫ですか、のめますか? 彼が薬をのむ気配を確かめる。-それから少し横になってください。目を閉じて、はい、ゆっくり息を吸って、それから吐いて。
「先生」と苦しそうな声が言う。「助けて、助けて」
-大丈夫ですよ、ここに居ますからね、安心してください。
「先生、先生」
 ポタリと床に体液がこぼれた。電話の向こうから啜り泣きの音。蝉時雨に混ざって聞こえてくる。夏の午後。都筑さんは背が低い。女の私よりも低い。でも小柄と言うわけでもない。太っている。元から太っていたけれど、薬の副作用で最近またいっそう太った。
「先生、先生」
-大丈夫ですよ、薬が効いてきますからね、平気ですよ、私が守っていますからね。
 携帯電話を握りしめている彼の手を思った。汗ばんでいる短い指。壁の時計を見た。四時、二十分。ああまた、と私は思う。短針に長針が重なっている。電話の向こうから聞こえてくるのは蝉の声だけ。地球が回っている、太陽の周りを、音もなく。  
「先生、あの、俺、ちょっと落ち着いたかも」と、小さな声が言った。
-よかったですね、もう大丈夫ですよ、今日はもう出掛けないで家で大人しくしててください、お母さん、パート終わるの何時でしたっけ、そう、じゃあもうすぐ帰ってきますね、美味しいご飯作ってもらったらそれ食べて、それからお風呂は今日はもういいから早めに寝ちゃってくださいね、明日の十二時に診察入れますからね、ちゃんと朝のお薬のんで、それから来てくださいね。
「先生」
-はい?
「ありがとうございます。休みだったのに」
-いいんですよ、気にしないでください。
「あの、先生」
-なんですか?
「あの、俺」
-なんですか?
「先生が好きです」
 声は真剣だ。沈黙せざるを得ない。
「あの、すみません、俺なんか、こんなんで、すみません、すみません」
-いいんです、いいんです、好きだと言ってくれてどうもありがとうございます。でもね、都筑さん?
「はい」
-今は、自分のことだけ考えてね、そして、自分が楽しいって思えることだけして、それで今をやり過ごしてね、じっと待ってたら時は来るからね、時が来たら、そしたら何もかもうまくいきますからね。
「先生」と少年は少年らしい声で言った。「本当にそう思う?」
 時を待て、と私は言った。そうだ、待っているんだ、私も、時を。だからまた言った。確信をもって言った。-本当にそう思いますよ、待っててくださいね、時が来るのを。
 蝉の声に私の言葉が染み込んでいる。 
「うん、わかった、先生、ありがと、また明日」
-はい、また明日、と告げて電話を切った。壁の時計は四時半を指していた。長針はまた短針から離れて回り始めている。触ってみると、私はもう乾いていた。 

蝉の声に私の言葉が染み込んでいる

執筆の狙い

作者 はるか
106.154.137.13

時、について書こうと思って書いてみました。小説のつもりで書いたけれども小説になっていないかもしれません。短すぎるし。

コメント

そうげん
58.190.242.78

たとえば、男性の書き手が自分の自慰のシーンを同じ手つきで描いたらどうなるだろうか、と読み替えてみました。たぶん嫌悪感が先に立つ。それは小説に秘めてある部分を描いているからそう感じるのではない。作中に自慰を描くべき必然性というか、道具立てとしてそれを持ってきた動機に対して、無反省な側面を感じてしまうからです。たとえば、もはやとても古い作品ですが、江川達也さんが一世を風靡した漫画「東京大学物語」で、主人公格の男の子が自分で自慰におよぶとき、もはや自分は哲学的に自慰を行うことが可能であるといって、小難しい勉強のことを頭に思い描きながら、複雑な思考の果ての恍惚感とともに、果てていたというシーンを(たぶんあったと思うのですが)思いだします。

この小説において、女性主人公の精神科の女医が、それをしなければならなかった意味を自分なりに考えるとき、すこし想像が走りすぎますが、「終わらない日常」のような、職業として人の精神や行動を見つめなければならず、その営みがこれからも続いていくであろう中で、無為に流れるしかないいまの自分、これという確たるものを得ることの難しい日々のなかで、その惰性的な流れの中に、ただ自分も流れるように現状に棹さしているように読み取れてしまったのです。

レット・イット・ビー。コムシー・コムサー。変化の訪れの期待できない日常にあって、時計に注目が向かうのはわたしにも心情的に理解できる部分がたいへんにあります。だけど、長針と短針が重なり合う、一時間数分に一度の機会に自然と目がついていってしまう、その心理のなかに、女医が秘めている、せつないくらいに焦れている感覚とか、あるいは、なにかしらの諦めとか、なにか希望の萌芽とか、その女性なりに感じている特殊な感覚をすくい上げるか、あるいはほのめかしてゆくか。読後に、読者に対して、女性が抱いている「時」に対する感覚をもうすこし強く印象に残るように、作中に工夫してほしいと感じました。

異物を入れるについても、ただことの偏奇について(しかしわたしはこれはいたずらに偏奇とも思ってなくて、幾割かの人にはそういう衝動はあると思ってます)、目新しいから書いてみたという、その卑俗さばかりが感じられてしまって、読んでいてそれほどよいと感じられませんでした。

描写の質についていっているのでないし、題材の質についていってるのではありません。物語、あるいは小説のなかの道具立て、材料のひとつとして、それを有効に扱うことができているか、それを問題にしています。

時計が胎内で動く感覚。ピーターパンの、あの時計ワニ(チクタクワニ)だと思います。相手の時間をとったからこそ、それを所有して、中で音をさせることに、一種のよろこびを感じている。だったら、焦点が卑俗に流れてる気がしてしまいます。相手の一部を所有しているという、人にはなかなか言いづらい部分をどう描くかというその手腕でもっと見せてほしいと願いたくなる、そんな読後感でした。

でも、さいごまでじっくり読みました。
ありがとうございます。

夜の雨
114.184.205.149

「小説は作者が自由な方法とスタイルで、人間や社会を描く様式。」と、ウィキペディアに書いてありますね。
私もその通りだと思います。

で、御作についてですが、主人公の私が描かれています。
彼女の日常の風景に非日常が「やばいんです、最悪です、つけられてます、今も見張られてるかも」と、入り込んできました。
主人公の仕事は精神科の医者なのですよね、自宅に居て精神活動を緩めていたわけです。そこに電話がかかって来て非日常が入り込んできたわけです。
患者自体は非日常ではありません。仕事場でないところに仕事が入り込んできたので、非日常になったわけです。
医者も人間ですから休まなければなりません、自宅でくつろいでいたわけです。日常の時間が過ぎていきます。
このあたりは御作の中で時計の短針、長針、秒針で絵描かれたりしています。秒針が赤で描かれているところにインパクトがあります。刻一刻と時間は過ぎていく、と言ったところでしょうか。
過ぎた時間は戻ってこない。

御作の中では時計と時間が何度か描かれています、そこに主人公の濡れた時間から非日常が入って来ていつの間にか乾いた時間になったということでしょうね。
非日常が入ってきたので主人公の日常の時間が中断されたということになるでしょう。

御作ではこういった時間の流れが、主人公の日常と非日常のエピソードによって自然に描かれていました。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

A>椅子から立ち上がり廊下を歩き洗面所に行き鏡を覗き込んだ。私が居る。二十七歳、女性、アーモンド型の瞳、高くはないけど真っ直ぐな鼻筋、それから少し荒れた唇。<
客観的に自分を見つめている。

B>眉をしかめてみる。鏡の中の私は私に対して反抗的に見えた。舌を出してみる。<
日常の中で、自分を壊してみたくなっている。(もちろん、軽い意味)。

C>人差し指を右目に、鏡の中の左目に近づけてアカンベエをしようかと思ってからやっぱりやめた。そんなことしてなんになる?<
一時的とはいえ自分を壊して何になる、というところでしょうか。

D>肩の力を抜く。<
精神活動を緩めて休める。

E>眠そうな私が向こう側に居た。<
疲れている自分が鏡なのかにいたということです。だから精神活動を緩める必要がある。

―――――――――――――――――――――――

F>チャイムが鳴った。ドアチャイム。誰かが来たのだ。ろくでもない用事に決まっている。だから私はチャイムを無視した。チャイムはそれから数回鳴った。そして諦めたのだろう、もう鳴らなくなった。<

Fは、最初の非日常ですが、主人公は日常から非日常にはいかなかった。

このあと主人公は濡れた時間を楽しんでいたが、非日常が電話を通じてやってきた。
ダイバーズウォッチというがさつな腕時計をアイテムに使っているところが男を表現していて、元彼のキャラを思わせる。


蝉の声に私の言葉が染み込んでいる。 ←ラスト近くにありますが、蝉の時間と主人公の時間が絡んでよいと思いました。


お疲れさまでした。

はるか
106.154.130.90

 びっくりしました。ありがとうございます。こんなに長いご感想をいただけるだなんて思っていませんでした。ご指摘いただいたことのすべてが理解できているかわからないのですが、三回読み直して、私なりにいくらかは理解できたように思っています。そうですね、ちょっと奇をてらったような書き方をしてしまって、そうです、不快に思われる方もいらっしゃるんじゃないかと迷いながら投稿しました。工夫、もっとちゃんとしてから投稿すべきでした。 
 チクタクワニについては不勉強で知らなかったのですが、そんなふうに書いていただいて嬉しかったです。時計の鼓動は、おそらくは死んでしまったのであろう彼の鼓動で、私はそれを入れることで彼を包み込みたかったのだと思って書きました。ごつごつしてるそれをちゃんと包み込みたかったのだと思いました。患者さんを包み込むように、時を包み込みたかったのです。でも、それって確かにとっても虚しい行為ですよね。私は時の到来を待ってるんだと思います。時を包み込みながら。それって私が私を癒す行為なんだと思ったりしています。
 蝉は果たして地球が回ってること、知ってるんでしょうか。私は知っているので、時を包み込みながら時の到来を待つのかもしれません。
 うまく、いただいたご感想に向かい合えていなかったらすみません。最後まで読んでいただけてとても嬉しかったです。ありがとうございました。 

はるか
106.154.130.90

 すみません、ひとつ前のコメントは、そうげんさまへの返信でした。やり方がわかってなくて失礼しました。
 そしてこちらは、夜の雨さまへの返信です。
 リテラシーが高いっていうのでしょうか、すごく的確な分析で勉強になりました。私はちゃんと狙って書いてなくて、無意識で書いてるんだと思うのですが、テキストの意味を改めて考え直すことができました。分析の通りだと思います。
〉ダイバーズウォッチというがさつな腕時計をアイテムに使っているところが男を表現していて
 ここのところ、すごく嬉しいご指摘でした。
 彼の象徴なんですね、きっと、ダイバーズウォッチ。私の中に潜り込んできたダイバーズウォッチ。私は、秒針のチクタクを、彼の鼓動のように感じているのです。彼は消えてしまったけど、彼が身に付けていた愛用の腕時計はまだ生きて時を刻んでいる。
 でも、時の先にあるものは、彼を忘れたあとの何かなんだと思います。私は静かにその時の到来を待っているのだと思うのです。
 読んでくださってありがとうございました。

そうげん
58.190.242.78

はるかさまへ

コメントの返信を頂戴して、蝉の命の意味も、ダイバーズウォッチの元の所有者の運命もくっきりしてきました。返信を拝読してこの小説の持っているメッセージ性も、わたしが抱いていた印象とはちがうものだとわかりました。チクタクワニの関連からいっても、わたしも自分の固定観念から、それが邪魔して、作者様の意図とは違う方向に物語を受け止めてしまっていたようです。

人を受け止め、包み込もうとする、母性としての女性のいたわりというものを考慮に入れられなかったのはわたしの不見識でした。あとこの小説について不快感はありませんでした。なにかもっといい描き方があるんじゃないかという、こちらの心から自発するせつなさがあったからこその、不完全燃焼のゆえでした。

患者さんの生死を見つめてゆかねばならない仕事で、何かあった際には、かつての自分の応対の落ち度にその淵源をみてしまう。或る意味、職種につきまとう業という物かもしれませんね。長針は短針とわずかのあいだ接し合うだけで、そのあとはどんどん離れてゆくばかり。三時の短針と、四時の短針は、別物で、だったら長針と短針のまじわりは、持続してゆく未来を照らすものとはならないのだろうか。蝉の一生は四季のめぐりからすれば、ほんの一瞬間の出来事でしかない。わたしたちの人生も、ていのいいことばでいえば一期一会だけど、そのとき、その瞬間にしか、確かななものは得られないそんな刹那的なものなんだろうか。そう考えると、悲しいものです。

人類の歴史から言えば、わたしたちの一生なんて、ほんの一刹那のものでしかない。だけど、そんなごまつぶみたいな人生だけど、思い返せばたくさんの思い出につまっている、ときにはその思い出の大きさにつぶされそうになるほど、ボリュームのあるものだったりする。関係のあったひとりひとりの部分が、いまを生きている自分のなかにもちゃんと息づいている。彼女が時計を身近にもっているのも、彼を忘れてしまわないように、時の忘却に抵抗しているかにも見える。

持て余している他者へのいたわりの気持ちの過剰を慰めるための好意と思えば、この小説における時のメッセージ性に対する読み方もまた変化してきました。

またまた長い文章で申し訳ありません。思うところを言葉にしてしまいました。
読ませてくださり、ありがとうございました。

u
183.176.51.134

はるかさま。読みました。
マア、文章自体に嫌味なく、読めます。
冒頭―主人公容姿自己紹介。鏡使ってネ。ここ工夫していると思いました。
ただ「アーモンド型の瞳」とか、使い古しの慣用句みたいな語句使って主人公の容姿を紹介する必要があるのかどうかかなり疑問です、この短いお話で何の作用ももたらしてない。同様に冒頭部分、ドアチャイムならす人登場。マア、主人公この人を無視するのですけど、何となく(ムード的)に作者さんがこのエピで何かを表そうとしているのは分からないのでもないのですが、回収する気がないのであれば無駄なセンテンスではあります。

>時、について書こうと思って書いてみました。小説のつもりで書いたけれども小説になっていないかもしれません。短すぎるし>

「時」を描いているのでしょうかねえ? 時計を書いている印象が強い。
多分、エピがバラバラではないかと思います。
小説にはなっている。長けりゃいいわけでもない。

あと、左手のほうが良いのかなー? ここ頭に残ったので(笑)。

御健筆を!

はるか
106.154.130.116

そうげんさまへ

 返信が遅くなってしまって、すみません。

>コメントの返信を頂戴して、蝉の命の意味も、ダイバーズウォッチの元の所有者の運命もくっきりしてきました。

 言葉足らずだったんだと思います。もっとちゃんと書き込まなきゃって思いました。伝わらない文章なんて、つまらない文章よりもずっとダメですよね。反省です。

>あとこの小説について不快感はありませんでした。

 ありがとうございます。赤裸々な書き方をしてしまって、小説のつもりだとはいえ、公序良俗を害してしまったんじゃないかとビクビクしてたのでホッとしました。

>なにかもっといい描き方があるんじゃないかという、こちらの心から自発するせつなさがあったからこその、不完全燃焼のゆえでした。

 ありがとうございます。確かに、もっと他の書き方もできたはずです。等身大の二十七歳を書こうとしたのだけれど、ダイバーズウォッチをどうこうというように書いたのは、無理がありました。ちょっと強引だったように思います。

>長針は短針とわずかのあいだ接し合うだけで、そのあとはどんどん離れてゆくばかり。三時の短針と、四時の短針は、別物で、だったら長針と短針のまじわりは、持続してゆく未来を照らすものとはならないのだろうか。

 はい、そうですね。そうかもしれませんね。私たちはグルグル回ってるのかもしれないですね。でもグルグルグルグル回ってたらまた同じとこで長針と短針は重なるんですよね。グルグル回りながら、それを待てたらいいかな、なんて思います。また離れちゃうにしても、それはまた出会える別れだから。

>蝉の一生は四季のめぐりからすれば、ほんの一瞬間の出来事でしかない。わたしたちの人生も、ていのいいことばでいえば一期一会だけど、そのとき、その瞬間にしか、確かななものは得られないそんな刹那的なものなんだろうか。そう考えると、悲しいものです。

 はい、すべては過ぎ去ってゆきますね。でも古いものが去ってゆくから新しいものに出会えるんですよね。傷を癒すのもまた時だし。患者さんの苦しみは、薬でごまかすことはできても、本当の本当は、時をやり過ごすことでしか癒せないのかもしれません。ただ待つしかないのかもしれません。待てば状況は変わるし、いつかはいい風も吹くんじゃないでしょうか。時を包み込みながら、傷を包み込みながら、時を宿して、傷を宿して、新たな時の、しかるべき時の到来を私は待っているんだと思います。

>関係のあったひとりひとりの部分が、いまを生きている自分のなかにもちゃんと息づいている。

 ああ、この部分、すごくいいですね、すごくよくわかります。これをテーマにして、新しい話とか書けちゃいそうな気が、今、しました。

 なんだか、私の作品にはもったいないようなコメントをありがとうございます。コメントの文章が美しいなと思いました。そうげんさまの作品も拝読しますね。私は読解力がたぶんないので、ちゃんとした感想が書けないかもしれませんが、なるべく書きますので、少し時間をください。
 二回もコメントを本当にありがとうございました。

はるか
106.154.130.116

Uさまへ

 コメント、ありがとうございます。

>「アーモンド型の瞳」とか、使い古しの慣用句みたいな語句使って主人公の容姿を紹介する必要があるのかどうかかなり疑問です、この短いお話で何の作用ももたらしてない。

 まったく、おっしゃるとおりですね! 使いふるされた慣用句、そのとおりです、恥ずかしい。目からウロコというか、穴があったら入りたいというか。安直な書き方をしてしまいました。短い話の中に無駄な表現はよくないのですね。もっとシビアに言葉を選択しなきゃダメですね。勉強になりました。

>同様に冒頭部分、ドアチャイムならす人登場。マア、主人公この人を無視するのですけど、何となく(ムード的)に作者さんがこのエピで何かを表そうとしているのは分からないのでもないのですが、回収する気がないのであれば無駄なセンテンスではあります。

 ムード的にわからなくもない、と感じていただけただけで嬉しいです。でも、伏線とか張って、それを回収したりとか、そういうことも、そうですね、考えられたら小説っぽいですよね。いらないエピソードをもっと省いていったほうがいいのでしょうか、たぶんそうなのでしょうね。

>「時」を描いているのでしょうかねえ? 時計を書いている印象が強い。

 すみません、時を書いたつもりでした、伝わらないってことは書き方に問題があるんでしょうね、ひとりよがりなのかもしれません。時計を書いてる、ってご指摘に深い意味を読み取ろうとしたけどかないませんでした。小道具が前面に出てしまっていて、その小道具が表しているはずのものが全然表れていないってことかもしれませんね。ちょっと、もう少しよく考えてみます。

 とても勉強になりました。ありがとうございました。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内