作家でごはん!鍛練場
すもも りんご

無駄話

 私の名前は、すももりんご、で~す。
男狸や女狐のくだらない話です私の口が開いたり閉じたりしてウズウズしています。まだ誰にも声を出して言ってない内緒の事です。話しますけど絶対、誰にも言わないでくださいね。
 特に口の軽い人や直ぐ笑う人はだめですよ!聞かないでください。
 無口で何を言っても反応がない人は聞いても良いと思います。
 「え、私、私は口が重いので有名ですよ。時々すべって言いますけど、絶対に他人に話さないでください。約束は守りましよう。」
 「約束を守れと言っているが守ってないのはあなたでしょう。」
 「い~や、確かに私に話した人は他人に話さないようにと言っていました。でも少しくらい良いでしょう。今回だけ特別です。
本当に秘密ですよ。では・・・・・・・・・」
 その前に自分のことを少し話します。
 私はケーキや、団子付水羊かん等の甘いものが大好きです。でもダイエットに気をつけていて控えめにしています。
 仮に自分の命が一週間で尽きるとしたら好きなものから食べ続けると思います。でも、三日目くらい経ったら鏡で自分の姿をみて食べるのをやめます。残りの日を食欲で満たすより、鏡で見えない心の中を綺麗にしたいのです。
 欲を捨て、生きていたことに感謝する自分の姿でありたいからです。そして歌をうたいます。歌が聞こえなくなったら命が尽きるのかな?
 「え!お前は何者でどんな姿をしているって?」
 私は臆病な狐です。
 怖い人間には近づかないようにしている。でも、人間が増えすぎて私たちの居場所がなくなりそうなのです。暮らしていた場所が公園になったり、家が建ったりしています。
 狐のままで出歩くと争いの好きな人間たちに殺されそうになるので仕方がなく人間に化けるのです。
 人間になったつもりでも狐の面影はあります。私の顔は狐なので目が切れ長です。でも細くありません。狸のようにまんまるな目です。
 人間の同性からは鼻につく女だ。お高くとまっているとか言われました。意味が分かりません。人間より鼻が高いのは狐だから理解できますよね。お高くはどういう意味ですかね。
 少し考えて、例えば、大きく背の高い電車が駅に停まる。この意味でないのはわかります。次に電車のドアが開いたので乗りました。席は空いてない。車窓の景色が早く流れるのでつり革をギュット握りしめていた。それでも電車が揺れると体も揺れる。
 席に座っている同性の人が迷惑そうな顔をしている。
 私は高い位置から仕方が無いという意味で目線合わせをして覗き込みました。その子は嫌だというような顔をして駅に着かないのに席を立って、どこかへ行ってしまいました。
 やはり私の目線かな?
 高い所から見てしまったので、高い目線で怒ったのか?このことか、と解釈しました。正解かどうかは分かりません。
 異性にはこんなことがありました。
 ある日、人間に化けて公園でぶらぶら歩いていたら後ろで声がした。
 知らない男の人から今日も散歩ですか?いつも見かけています。そして好きですと言いながら紙を渡されました。
 突然のことで何が好きか言葉の意味が分からず、紙も落としてしまいました。男は慌てて紙を拾い下から私を見ています。故意に落としたと思われるといけないので、また紙を受け取りました。そして電車の目線を思い出し手を差し伸べて男を立たせました。
 私は顔を近づけ目を見つめました。もう半歩、近づくと二人が一人に見えるほどの距離です。
 男の顔が真っ赤になる様子がはっきりわかりました。呼びかけの声と違い手を震わせ読んでくださいと言っているらしく、憶測で判断しなければならいほどの小さい声です。
 私は字が読めませんので紙に書いている意味が分かりません。少し時間が経って赤い色のハートマークだけがわかりました。もう一度、男を見ると、胸に振る手を当て赤い顔のままドキドキすると呟いていました。
 ハートマークと男の様子から胸が悪く病院をさがしていると思いました。
 あ、そうだ同じハートマークがついている看板を見たことがある。そこは人間が飼っている動物たちも行く病院です。
 その病院に行きたいのかなと思い指をさしました。
 あっちに行くとありますよ。と早口で繰り返しました。その時、方向を示した私の指が持っていた紙のハート部分に長い爪が,ひっかかった。言葉を発しながら手を払ったら、紙が破れて、また落ちました。男はハートに穴をあけ、手紙を破り捨て、あっちに行けなんて、酷い、酷い女だ。お前を道連れにして呪って死んでやると叫んで泣いて行ってしまいました。
 せっかく親切に教えたのに男の人ってわからないね。
 無駄なことしたのかな?というこで意味のない無駄話です。

 もう一つわからない事があります。狸の事です。あるものを手に入れる為に命までかける。さすが男とほめてあげたいが、そこまでする意味が分かりません。少し長くなりますが我慢できる人は聞いてください。
 では話します。
 北海道の札幌に美しい景色で有名な藻岩山(もいわやま)展望台があります。そこから険しい山道を登って行くと自然が豊かで人の気配を感じない山奥にたどり着きます。そこは鳥帽子山(えぼしやま)迷所といわれています。ここが目的地でありません。
 入口です。
 ここからは人間が一度も生活した事がない場所です。
 小鳥が深い森林で安心して歌を響かせている。時々、人間がそこに行こうとするが危険な絶壁などがあって歩きづらい。動物だけが通る小道の横に石ころが転がり日陰に毒蜘蛛や毒蛇が生息している。勿論、熊もいます。
 常に襲われる可能性があるので歩けない。
 人間がそこの道を通り抜けたとしても、今度は道さえない北海道特有な背の低い竹藪がある。そしてまた石ころと絶壁が続きなかなか近寄れない秘境であります。
 ある勇敢な人間の若者達が好奇心で夕方になってもまだ散策していると毒蜘蛛に刺され体に毒がまわった。苦しみ悶えたあと、なにやら妖怪、魔物達がザワザワと騒いでいるように感じる。
 急に寒気がして、ただならぬ気配が体を包み込む。辺りの空気は生暖かい。しかし体の鳥肌は何かの危険をあらわしているのだろう。何とも言えぬ怖さだ。
 人間たちは小道を迷いながら、やっとの思いで里へ帰ってきた。それからは誰も行かない。動物達でさえ、いつ誰かに襲われると思うほど怖いので行かない。
 その小道を多少の物事にこだわらない能天気で毒蜘蛛も嫌がる強烈な臭いのする狸のポンチッチが藪を抜けて歩いている。それでも怖いことはある。恐怖を誤魔化し隠すように大声をだした。カラ元気だが勇気、勇気という言葉を振り絞りながら自分を落ち着かせた。途中熊がこちらを見ていたが鼻をヒクヒク鳴らして全身震わせ逃げて行った。
 ポンチッチはびっくりしたが熊がいなくなったので安心した。また出てきたらどうしようと思いながら、少し冷静になりキロキロして山肌を見る。
 高さが百メートルもある崖が空を覆うようにつきでて夕日の赤い太陽を遮っている。
 わずかな赤い光だけが左右の岩に反射して断崖絶壁岩の根元を明るくしている。
 よく見ると穴がぽっかり開いている。毒ヘビがいそうで怖いが、その穴に近づくと水が歌を奏でるような心地よい音がする。ここが目的地らしい。
 その音とともに地下水が湧きでている。
 湧き水は時間の間隔を知っているようで、ある時刻に勢いよく噴出する。チョロチョロ流れている時は透けて見える程の綺麗な色であります。だが、突然、勢いよく周りの岩に向かって吹きでる時は岩石を砕くと誤解するほどの強い力でぶつかり霧状に拡散し空気に触れて水の雫が赤紫のような毒々しい色にかわる。
 鉱山が廃鉱になり放置された溜池のような色だ。飲むことも浴びることもする気がしないほど気持ちが悪い。
 地下水が湧き出ているという噂は本当だった。しかし、その水が神水だと思えない。
 水の溜まる池から少し離れた所によぼよぼで皴だらけの狸が住んでいるらしい。古くから聞く噂によると自称六百年も生きていると豪語している。
 古老狸は一万年前に不死鳥がこの地に住みついて、毒々しい地下水を飲み、永遠の生命を得たと伝えられると世間に話している。昔の狸の世間では賛否両論があって激論を交わしていた。
 不死鳥がこの世にいないのでやっぱり嘘だろうと結論された。
 何にせ険しい所である。人や狸は容易に近づけないので真実を確かめることができない。妖怪や魔物を実際に見た者もいない。しかし、たまたまこの地に辿りついた者が感じた気配だけで住んでいると言いふらし噂がひろまる。その結果、ますます人間や用心深い動物たちが来ようとしなくなる。
 無鉄砲なポンチッチは小道を歩く理由が水をくむことと、噂を確かめるために崖のある谷間へやってきたのである。ポンチッチは何でも興味深く仲間と賭けをして水を汲んでくると約束した。しかし池の水はあまりにも毒々しいので諦めた。
 岩石の穴から流れている空気に触れない新鮮な水は噂と違い意外ときれいだ。舌で舐めると普通の味だ。でもすぐに色が変わる。
 それともう一つの噂で妖術の得意な古狸を探すことだ。辺りを見渡したら老人の住んでいると思われる穴を発見した。
 最初は魔物が出てきたらどうしようと思った。
 勇気をだして、その穴を覗き込み「すいません、すいません、いますか」と叫んだ。でもなかなか反応がない。
 穴は深いらしいので居るのか、居ないのか確かめられない。半信半疑だが留守かなと思いしばらく近くの木の陰で待つことにした。長い間待ったが老人狸は出てこない。
 喉が渇いたので湧水を飲む事にした。ちょろちょろでるきれいな水だけを一口含み飲んだ。冷たくておいしいと感じた時、湧水がでる石割れの奥から飲みやがったなという声が聞こえるような音がした。
 口を開けたまま耳を立てていると急に赤紫水が大量に噴き出し口に入り飲んでしまった。
 味は酸っぱくて苦い。吐き気がし口からゲボ、ゲボと胃液がでてきた。
 今度は腹が痛くなって、痛さで地面に転がった。転がると腸もグルグル伸びたり縮んだりして急にうんこがしたくなってきた。胃と腸は気持ち悪いので出ろ、出ろと命令する。しかし、尻の穴が硬直し、なかなか出ない。額から脂汗がにじみ出る。気持ち悪さも限界だ。もう耐えられないと断末の叫びをあげたら、うんこがのっこりでた。
 体は軽くなり気持ち良く眠気が差し、ぐっすり寝た。
 寝ているポンチッチは知らないが闇夜の中で毒のある動物や魔物たちに囲まれていた。
 毒のある動物はポンチッチの糞の臭さに我慢できず、俺たちの毒より強烈だと退散した。
 魔物たちはどう食おうかと相談していた。しかし,汚物が臭く、ある魔物がこの狸はあのクソ爺狸と同じで食うとやばい。腹痛を起こし、とんでもない事になるといって去っていった。
 魔物も下痢の辛さに耐えられないのだろう。、、、
 ポンチッチはなにやら、うるさい声が聞こえるので目が覚めた。
 どのくらい寝たか分らない。気がつくと空と雲と木の枝の葉っぱが見えた。と同時に皺くちゃな顔が覗いている。恐そうな爺狸だ。

「こら、お前、わしの家の前で三日も、そこで何故、寝ている」

「何故?って、何故だろう」

 ポンチッチは湧水の影響で一瞬、何もわからなくなった。
 少し時間が経って自分を取り戻した。飲んで気持ち悪くなった事を忘れて
「この湧水は飲めるのですか?飲んだら不老不死なるのは本当ですか?教えてください」

「ただでは教えられぬ。何かお土産を持ってきたか?」

「何にもないです」

「じゃだめだ」

「そんなこと言わないで教えてください」

と言いながらポケットを捜した。

ぼっこの付いている飴玉が一個でてきた。山道を走っていたらハイキングらしい人間の子供がぼっこのついている飴玉を手に持ち、口に入れて美味しそうに舐めていた。羨ましかったので子供に近づいたらビックリして手に持っている飴を二、三個、落とした。
そのうちの一個の銀紙をむいて舐めていると大人の人間が太い木の枝を振り回しながら向かってきたので他の一個を拾い逃げてきた。
その時の飴である。

「これでどうです」

「なんじゃ、飴が一個か?わしはタイ焼きか、ドラ焼きがいいのだがなぁ、」

「今度、持ってきますので飴を舐めてください」

「そうか、我慢するか」

爺狸は飴を舐めながら徳利を出し、岩の割れ目に声をかけた。
清い湧水が毒々しい色に変わった。それをさっと徳利に入れ、呪文を唱えた。徳利から、お猪口に注いで飲めといった。
急に酷い目にあった事を思い出し

「うぁあ、飲めません。また腹を痛くしたら死んでしまう。嫌です」

「大丈夫、大丈夫、呪文を唱えたから安心だ。飴玉一個で不老不死まではいかないが、飲んだら三日間だけ体に変化が有る筈。いろいろの効能がある」

「本当ですか?騙しているのでしょう」

「人間は人間を騙すが狸が狸を騙さない。効果があったらタイ焼き持ってきておくれ。そういえば、お前みたいな疑り深い狸がいたな。結局、信じて飲んで人間になりすましている」

「人間になってなにしているのですか?」

「毎日銀行や毎日造幣局の偉い官僚になって紙をどんどん刷っているらしい」

「それってどういうことですか」

「お前も知っているじゃぁろう。人間がただの紙に昔の人の顔をつけ、有りがたいお札といって集めているものだ」

「お金ですか」

「そうじゃぁ、それだ」

「五千円札を見ろ。裕福な顔でないだろう。まあ、実際、超、金に縁がなかった」

「そうなのですか?」

「ありがたいはずのお金は皆が大事に思っているほどの価値がないかもしれない」

 ポンチッチの本当の目的は不老不死でなく、妖術を使い木の葉っぱを人間が使っている金に変える事だ。その金で飲めや、歌え、のススキノで遊ぶ。そのことだけが頭に浮かんだ。
 これはいいと思い飲む気持ちになった。仲間との約束は忘れている
 コクコクと飲んだ。何の変化もない。文句を言ってやろうと思ったが老狸はもういない。日がとっぷり落ちて暗くなり、狸でさえ寂しくなる山奥だ。どんな妖怪がでてくるか分らないので逃げるように走り去った。

 老狸が三日だけ変化があると言ったが何もない。
 朝がやってきた。三日目で最後の日だ。
 今日は狸の妖術学校の入学試験がある。ポンチッチは今までに何回受けても落ちている。今度こそは受かると期待するが、諦め半分、希望半分だ。足取りが重くトボトボと試験場に入った。
 各地から集まった狸の顔が利口に見える。
 試験用紙が配られた。狸語でビッチリ書かれた文字が読めないと思ったら何故か分る。不思議だぁと思いながら、正解かは分らないがとりあえず全問解答する事ができた。
 これで午前中の筆記試験が終わった。
 昼休みがきた。この学校は食事が無料で食える。試験に落ちても、これが楽しみだ。
 一匹で食べていると、あちこちから今年の試験は難しかったという声が聞こえる。そうかな、と思いながら食べ終わった。一時試験の発表まで時間が有る。いつもならこれで終わり、飯も食ったし帰ることになる。しかし今年はとりあえず、解答したし、待つかと思った。
 待っているとウトウトと寝てしまった。
 ざわざわと騒がしくなった。うおうという叫びや、だめだったという声がした。

 ポンチッチはどうせ今年も駄目だと思いながら張り紙をチラッと見た。ポンチッチの受験番号があった。あれ!合格した。まだ実感がない。思い切り腹を叩いてみた。ポンポコポンの音がする。本当だな。よしゃ、頑張るかと気合を入れた。
 係りの狸が出てきて「二次試験をしますので呼ばれた人は入って下さい」と叫んでいる。
 合格者はドヤドヤと入っていった。
 試験官は「皆さん後ろ向きになってください」と言った。
 椅子に座っている五人の試験官を見ていたら
「そこの狸、早く尻を向けて下さい」
 ポンチッチは何をどうしたら良いか分らなかった。
 係員がきて皆を横一列に並べさせ
「試験官にしっぽと尻をみせてください」と言った。
 ポンチッチは何だ、しっぽと尻の比べ合いか。でかい尻と長いしっぽなら自信が有ると思った。
 「右端から順に腹を叩いて下さい」
 ポンポコ音がしてしっぽがピヨンと立った狸や、ダラッとしている狸がいた。
 ポンチッチは思い切り腹を叩いた。
 しっぽはピヨンと立ったが同時におならがブウと出た。
 隣の受験生の狸が臭くて倒れた。試験官が係員に窓を開けろと指示をした。近くにいる狸はまだ倒れていたがやっと立ち上がった。窓から新しい風が吹き、臭いのが消えた。
 ポンチッチはとんでもない粗相をしてしまったと思い恥ずかしさで腹の皮が赤くなった。
 試験官が怒って退場しなさいと云われると思い、首をうなだれながら振り向いた時、目と目が合った。
 試験官は「狸にとって臭い屁が必要な時もある。しかし二次試験に、この項目は入っていませんので屁をたれないでください」
 試験官や他の受験生が一斉にポンチッチの方をみて笑った。
 益々恥ずかしくなり下を向いた。
 主任の試験官は静かにしなさい。続きを始めるので背筋を正しく伸ばし、また後ろを向きなさい。さあ、今度は長く伸びているしっぽを念力で消しなさい。
 ある受験生の狸が念力で消しなさいとはどういう事ですか?と質問した。
 試験官は「人間を騙す事が中々難しいと理解できるだろう。人間は難解な言葉の呪文を駆使し平気で騙す。その人間を騙すのはまず本性をさらけ出さない事だ。狸にとってしっぽを隠す事が本性を隠す事になる。人間もおなじである。人間界はしっぽを隠す事が普通に使われている。刑事ドラマで犯人のしっぽを掴んだという言葉が出てくる。そういう話があるほど普段よく使われているので重要だ。さあしっぽが無くなれと念じなさい」
 ポンチッチは念じた。何かしっぽが無くなるのを感じた。
 二次試験が終わり、合格者が直ぐ発表された。勿論、ポンチッチの名前があった。三次試験まで時間があった。合格者にはケーキとお茶が与えられた。ポンチッチは食べ物なら何でも大好きである。むしゃむしゃとケーキを食べ、お茶をごくごくと飲んだ。ここまで順調だ。もしかすると受かるかなと期待に心が膨らんだ。
 三次試験は面接である。
 試験官以外に三匹の老狸が座っている。
 合格者が次々と面接し老狸は鋭い質問をする。
 十五番目になりポンチッチは面接官の真ん中の特に皺くちゃな老狸を見た。思わず「鳥帽子山の狸さんですね!」と叫んでしまった。
 老狸の眼鏡の奥の目が鋭くなり「お前、烏帽子山の古狸を知っているのか?」
「あなたがあの時の狸さんですよね!」
「わしではない。」
「六百年も生きているタイ焼きの好きな狸さんですよね?」
「お前、タイ焼きを持っていき呪文を唱えた水を飲んだのか?」
「タイ焼きを持って行きませんでした」
「そうかあの爺さん狸は糖尿病の気があるので甘いものは絶対ダメじゃ。六百年も生きていると言っているがそれは法螺じゃ。実際は百五十ぐらいだ。修行を積んだ狸は五十年生きるから長生きに間違いない。もう一度聞くが呪文を唱えた水を飲まなかったのか?」
 ポンチッチは糖尿病で甘いものがダメだと知ってヤバいと思って飴玉の事を隠した。
「池の毒々しい水を飲み腹痛を起こし大変な目にあいましたがタイ焼きを持って行きません」
「そうか、そうか、私のひぃ爺さんは変人でケチだから簡単に呪文を唱えた水を他人にあげるわけがない!」
「あの方が身内のお爺さんなのですか?どうりで似ていると思いました」
「あのぅ、校長先生、時間がないので私的な話しはこのへんで他の面接者もいる事ですので宜しくお願いします」係員が言った。
「おお、そうか始めてくれ」
「次の人は入ってください」
 ポンチッチの面接は終わった。校長先生のおかげで面接官から鋭い質問が無かったのでボロが出ないで安心した。水の効果もそろ、そろ無くなる頃だ。後は結果をまつだけだ。
 一次試験は三百の狸が受けた。最後まで残ったのは三十の狸だ。さらに省かれるので狸達は掲示板の前でドキ、ドキ、ドイ~ンドキしている。
 なかなか発表されない。何かもめているようである。時々校長先生の声が大きく響いた。何を話しているか分らない。
 ポンチッチは受かっても受からなくてもどちらでもよいと思っていた。落ちてもフ~ンって感じだ。
 誰かが合格してぇ~といい。他の誰かが合格したら一番先にディナーの食事会があり、フランス料理がコースで振る舞いされるらしい。との声が聞こえた。
 ポンチッチは思わず耳をピヨンと立て本当かよぅ。食いたい、食いたい、と二回呟き、開いた口から涎が流れた。
 その時、合格発表の用紙が掲示板に張り出された。
 合格者五名、ポンチッチの名前はなかった。
 受かった狸の歓喜の声がする。
 ポンチッチは帰ろうとした時にチラッともう一度見た。
 合格者以上と終わった文の後に小さく特別合格者と書かれたのがあった。
 良く見るとポンチッチの名前があった。
「あれ、これって合格したのかな?」
 さらに確かめると特別合格補欠者と書いてあった。
 係りの狸がでてきて合格者は中に入って下さい。といった。合格順に入った。
 最後にポンチッチが入ろうとしたとき「補欠は自宅で待機だからは入れません」
「入れろ!入れろ!」と騒いだ。
 中から校長先生が何事だという顔してでてきた。
 係員は「補欠のくせに入れろ!」と言い張るのです。
「あ!特別合格者ね。今回は入れてあげなさい」
 他の試験官の狸に指示し、「特別な料理を準備しなさい」
 ポンチッチは凄く喜んだ。特別合格というのはやはり特別なのだと実感した。
 六匹の狸が成績順に選ばれた椅子に座った。
 副校長の狸が試験結果の詳細を述べた。
「一次試験は六匹とも優秀な成績でした。二次試験も立派な尻尾を正確に隠し、本性を曝け出さないので適していました。三次試験は試験官が色々の質問をして答え方を試しました。合格者の五匹はほぼ完ぺきでした。一匹だけ私の父である校長先生との私語で試す事ができませんでした。予定時間が過ぎたので一匹だけ時間を長く使う事が出来ないので校長先生とも話し合いで一次、二次だけの結果を考慮すると問題なしで特別合格補欠にしました。以上六匹が合格になります。試験の説明はこのくらいにして校長先生から一言、御挨拶を賜ります。校長先生お願いします」
「今日、狸の生活環境が劇的に変わっています。もう平原に居場所はありません。わが狸の棲み家を人間が占拠しています。人間が来る前は狸と狐の仮装祭りをして遊んで楽しんだ。女狐は人間に化け赤いミニスカートで白い海鳥の毛で作った扇子で手首をクネクネと回してアホウ鳥族とカラス族に対峙して踊りを競ったものだ。しかし、気がつけば本物の人間に遊び場を取られた。すすきのという私達の楽しい棲み家を人間が闊歩して赤い顔をしてプ~アと酒臭い息を吐き楽しんでいる。人間が狸を騙して棲みかを盗んだ。抵抗した狸は殺された者もいる。人間に騙されないようにここの学校で学ばなければならない。人間は日々騙し合いの世界の中にいる。時には俺、俺、と言って弱い老人から金を巻き上げる。また国の地主様のような人もアンベワルイノミックと呪文を唱え、金を刷ってばら撒き景気がいいとほざいて、都合が悪くなったら福祉、福祉、と唱える呪文で消費税という魔法の杖で金を巻き上げる。巻き上げた金で安全、安心、国を守るという呪文でおもちゃの武器を作ろうとしている。本当の武器は互いを理解する心であるのに、忘れている。この学校で人間に騙されないように頑張ろう」
 ポンチッチは老人狸から貰って飲んだ水の効化が薄れボンクラ狸に戻り何を言っているのかさっぱり分からなかった。早く、フランス料理を食べたい、だけが脳裏に浮かぶ。
 試験官も校長の長い言葉に飽きている。
 ついに副校長が「料理の準備ができたので食事の時間とします「」と宣言した。
 校長は次に何かを言いかけたが試験官も合格者も一斉に拍手したので食事が配られた。
「さあ食べてください」食事を担当する事務長の声で合格者は美味しそうに食べだした。
 しかしポンチッチのテーブルにはまだ何もない。不安に思ったポンチッチは尋ねた。
「僕の分は?」
 配膳係りの狸が「特別合格者は熱々の料理ですので少しお待ち下さい」
 ポンチッチは俺に特別料理か?嬉しいでぇ~。と喜んでいた。
 そこへ熱々のスープがやってきた。山のようにもやしとネギが丼から溢れるように積まれている。他の合格者はポタージュスープだ。俺の器には野菜が入っている。きっと太り気味なので健康に配慮してくれているのだ。スープを吸ってみた。うまい。感動した。他の合格者はスープの後メインの牛ステーキが出された。早く肉が食いたいと思っていたが出てこない。スープを飲んでいると細い物が出てきた。良く見ると麵だ。
 変だなと思いながら係員に「あのぉ、肉はまだですか?」と尋ねた。
 係員は入っていますよ。と答えたので良く見ると小さなブタのチャーシュウが入っていた。
「これだけ」と聞き返した。
「特別合格者はこのほかにライスを食べられます」
 ボンクラな頭で考えたがこれはどうみてもフランス料理でなく、ラーメンライスだ。
 係員に文句を言うと「食べるのをやめますか?」丼を下げようとした。
 おれは慌てて食べた。食事会は終わった。腹は満たされたが美味いものが食べたいという欲求がました。
 明日から授業が始まる。そして一日が終わった。
 朝、学校に着いて受付に合格証だしたら狸と、ひよこの付いたバッチを胸に付けてもらった。可愛いのでとても気にいった。
 教室に入ったら一番合格から順に席が並べられ座っていた。
 良く見ると胸に付けているバッチのデザインがそれぞれちがっていた。
 主席のバッチは羽を広げているオオワシに乗っている狸の絵柄だ。
 次席のバッチはオジロワシと狸が並んでいる絵柄だ。
 次はカラフトワシ、ハゲワシ、トビ、最後はポンチッチのひよこ。
 主席と次席の狸はポンチッチのひよこを見て冷たい表情で笑った。
 教官が教室に入って来た。
「えェ、これから始めての授業をします。呼ばれた狸は返事をしてください。主席のホリホリアナホリくん。へい。次席のソンソンモウケくん。はいよ。この二匹は成績が良く将来の狸の未来を導くだろう。しかし満心なく、慎重に行動しなければならないのです。次に三席、四席、五席のミキミキラクテングくん。ブウブウチッチくん。モンモンチッチくん。はい。はい。はい。以上五匹。確り学んで下さい」
「あの、ぼくは?」
「あぁ補欠のひよこくんか。どうでもよいので静かにしていればここにいてもかまわない」
「ぼくも確り学びたいのですが、、」
少し、間をあけて。
「僕にも名前があります、ポンチッチといいます」
「補欠だからどうでもよい。邪魔にならないていどにいてくれ」
「差別的発言は撤回して下さい。ぼくは妖術を習いたくてきています」
 先生が答えた。「他の狸も聞きなさい。極論すると人間の社会は一に差別、二に差別、全て差別の世界である。差別するなといわれてもどうにもならない。しかし、差別するなと主張することも正しいのだ。皆で騒いだら無視できないので誤魔化す。狸は人間に騙されないように改めて確り学ぼう。人間は自分が騙すのに狸にだまされたと嘘を言う。気をつけよう」
「先生」
「何だね、ひよこくん」
「葉っぱをお金に換える妖術を教えてください。そんなことは簡単だが換えた金を持って人間の所へ行って、ばれたら命がないので簡単には教えられない。それより第一に継続している本性を隠すことだ。人間の社会では当たり前ことである。嘘を並べて平然としている。嘘が悪いとが言うのではない。人間の社会は正しい事も嘘もある。普通の人は正しいと主張する事や嘘を暴く事は簡単でない。権力者だけが主張できると錯覚している。これが矛盾する社会だ。この中でどのように暮らすかだ。社会は意味ない無駄なことが多い。それで成り立っているのも事実だ。つまり、無駄話だ。だから狸も、しっぽを隠すのだだ。」
「いつも隠す事は簡単ですか?ぼくにもできますか?」
 ポンチッチは水の効果がなくなり、試験の時にできたことを忘れている。
「補欠でもできる。それができたら本格的な人間の経済のしくみを説明します。特に金のこと。人間が作る金の価値は誰が決める」マネータリーベースと所得の関係の説明をした。
「市場は僅か五年くらいで三倍の金が増えたが所得は変わらず。この事は人間のごまかしであって言葉の呪文を解明するとどうなるか?」
 次々の難題で、いままでの言葉にフンって感じの主席、次席、三席の狸の目が輝きだした。
「その金の使い方が人間社会を知ることになるだろう」
 ポンチッチは理解できないが賢い三匹の狸は真剣に頷いていた。ここで授業は終わる。あとは各自、自由に学んでくれ。と先生が帰って行った。
 ポンチッチは教室の外にある木の葉っぱを持ってきて呪文を唱えた。
「ゴロニャン、ゴロナヤンネ、マネキッキネコ、葉っぱを人間のお札に換えておくれ!」
 意味不明の言葉を発したがさっぱり効果が無かった。葉っぱも風が吹いて窓から飛んでいった。なんの成果なく一日が終わった。
 二日目になった。
 教官は人間社会の矛盾を話し始めた。日本を襲った大震災である。
 狸は事前に察知し殆んど山に逃げて被害が無かった。過去の伝承で必ず天地破壊はくる。その事は予想出来た。日頃から細心の注意をはらっている。用心深くないと生きていけないのが動物だと分っている。
 人間は言葉がある割に正確に伝わらない。満心が危機を招く。天災はやってくるものである。細心の注意を払い逃れる術を準備し、そのあとの復興に努力すると必ず元に戻る。しかし元に戻らないものもある。原子力という危険な放射能を使った電力施設だ。
 ずる賢い人間が絶対安全だと普段から言っていた。
 それなのに事故が起き処理ができなく困っている。欲に目が眩んだ愚か者だ。
 狸からも周りにいる善良な被害者の人間が気の毒に見える。
 人間は狸と違って放射能に無力だ。高濃度の放射能は無理だが狸の妖術をつかうと多少の放射能を糞として吐き出す事が出きる。
 人間は高度な技術と知恵があっても処理できない。放射能問題を解決しなくても言葉の呪文を唱え真実を隠す。
 ポンチッチは教官が何を言っているのかさっぱり分からなかった。
「早く妖術を教えて下さい。まだまだ、そのレベルでない。安易に人間の街中に近づくと大変なことになる」
 先生が口酸っぱくなるほど注意していたがどうしょうも無い気持ちであった。
 その気持ちが心を支配しポンチッチは疑問を持た。
「先生どうして近づいちゃいけないのですか?」と尋ねた。
「狸も妖術を使うけど人間はもっと凄いのだ。ただの水を不思議な黄金の水に変えて、ジュワーと白い泡がでるものに変える。冷たいガラスのコップに入れる。口を泡に埋めて飲むと気が狂うほど気持ち良く変になるのだ。人間は恐ろしく知恵がはたらく。変な話しだ......それ以上は怖くて云えない」
 ポンチッチは尚更、人間の所へ行きたくなった。
 ボンクラなポンチッチも少し考えた。いきなり街中は無理でも盤渓山妙福寺辺りでは狸でもビックリしないという。
 妙福寺住職の先祖がブンブク茶釜と関係あるらしい。
 狸と遊ぶ様子が想像できる。丁度、縁日がある。日光は猿を飾っているが妙福寺は狸に優しいと聞く。そこへ出かけよう。さっそく夕方に出かけた。
 妙福寺は山の中だ。辺りは深い森だ。いざとなったら直ぐ逃げられる。安心だ。縁日の屋台も出ている。タイ焼きがあった。人間の親父が忙しそうに焼いている。その傍でコマ犬のように座っていても怒る様子が無く、子供が恐がるので邪魔だからあっちへ行きなと優しく云って少し失敗したタイ焼きをくれた。
 ポンチッチは喜んだ。今夜はタイ焼きを大事にして寝よう。
 朝がやってきた。午前中の授業が終わった。
 午後は早退し鳥帽子山(えぼしやま)の爺さん狸の所へ行くことにした。
 タイ焼きは少し潰れていた。これを持って洞穴の爺さんを呼んだ。
 タイ焼きの臭いがあるので直ぐに出てきた。
「あの、、、タイ焼きを持ってきました」
「どれ、少し潰れている」といいながらガブリと食べた。
「どうです。美味しいでしょう」
「まあ、美味しいけど本物のタイ焼きではないなぁ」
「どういう事ですか?」
「わしの食べたいタイ焼きは北海道産小麦を使いハチ密を混ぜこんがりと焼いたサクサクとした皮であんこは十勝大納言を使う。砂糖は沖縄黒砂糖と北見甜菜糖を混ぜた甘さが好きなのだ」
 ポンチッチは何故、タイ焼きでこだわるのが不思議で面白かった。
「爺さん、もっと美味しいタイ焼きを持って来るので不死鳥の水を飲ましてください。妖術にも効きますよね」
「もちろん効くさ」
 爺さんは湧水が出る岩の裂け目を刺激して毒々しい水に変え、さっと御猪口に入れ、また呪文を唱えた。
「さあ飲め」
 ポンチッチはグビリと飲んだ。
「まだ足りないのでコップでください」
「コップは無理じゃ。呪文が長くなる。面倒くさい」
「そんなこと言わないで下さい。爺さんの好みに合ったタイ焼きを捜すのに時間がかかるのです。人間に化けなければならないし、葉っぱで金を作らないといけないのでもう一杯ください」
「しかたがないなあ。もう一杯だけだぞ。ああ面倒臭い」といいながらに毒々しい水を注ぎ呪文を唱えた。
 ポンチッチはまた飲んだ。
「ついでに人間になる呪文と金をつくる呪文を教えてください」
「わしにはその呪文が簡単に唱えられるがお前の頭じゃ無理だ。孫の学校の図書館に行け。わしが作った、どうでもよい呪文集という古本がある。それを見て唱えろ」
 本当は呪文を普段つかっていないので所々ど忘れしているのだ。間違うと古狸の威厳が失われる。それを隠す為、図書館をすすめた。
 ポンチッチは図書館に行き、古狸のどうでもよい呪文集を見つけた。水の効果がなくなる前に確り呪文を身に付けた。
 古狸の呪文のおかげで人間に化ける事が得意になったので不安とか怖れ等、全然気にしなかった。
 学校の教えでは人間に化けても決して本当の人間に近づかないようにと先生が口酸っぱくなるほど注意していたがどうしょうも無い気持ちであった。
 その気持ちだけが心をしばりポンチッチは疑問が無くなるまで何回も「先生どうして近づいちゃいけないのですか?」と、尋ねた。
「狸も妖術を使うけど人間はもっと凄いのだ。ただの水を不思議な水に変えて、飲むと気が狂うほど美味しくて、変になるのだ。この前に言った泡水より時間をかけて更に濃厚な水をつくる。人間は恐ろしい......それ以上は怖くて云えない」
 この先生も同じ言葉が返ってくる。先生自身も若い時にポンチッチと同じ気持ちだった。納得がいかないポンチッチは再び老狸のところへ遊びに行った。
 さすが老獪な大老「昔は、人間も素直で我々妖術使いの狸に化かされる人がたくさんいた。山の麓に~すすきの~というところがあって大勢の狸が人間を騙しながら追っ払って飲めや歌えー、で、そりゃ楽しかった。しかし人間も昔に比べて利口になったものだ。前に言った五千円札じゃなく、すすきの専用の一万円札という金を作った。我々狸に言わすと単なる紙に色のついた汁をかけ出来上がり、という感じだ。ありがたいものでもないが、それを使ってお酒を飲んで大騒ぎ・・楽しく歌っている」と話した。
 ポンチッチは先生の注意を忘れ、「俺も葉っぱからお金を作れる」といいながら老狸の昔話だけを「うのみ」にして~ススキノ~にどうしても行きたくなった。
 ある日ポンチッチは人間に化けてみる。中々人間らしい。うまくいった。さっそく葉っぱをお金に変え~すすきの~に行った。
行ってみるとビックリするくらい人間がいて夜なのに昼間のように明るい。わいわい、がやがやとお酒を飲んでプハ~と息をして楽しんでいる。
 とりあえずポンチッチはいい匂いがする食堂に入いった。
 周りを見ると美味しそうな物を何か飲みながら食べている。
 ポンチッチがキョロ、キョロして立っていると人間の若い女の人が
「こちらへお掛けください。何を注文しますか」
 食べ物の写真が載っていて、どれも美味そうなので
「これも、あれも、全部ください」
「お客さん、こんなに食べるのですか。お飲み物はいかがですか」と云いながら驚いていた。
 女の人は食べ物を運んで来る前に水をもってきた。
 その時、女の人がポンチッチに近づいたので思わずお尻の所に鼻を付け匂い嗅いだら
「何をするの。エッチね」と頭を叩かれた。
「ゴメン、ゴメンおいら狸なので、つい癖がでてしまったのよ。かわいい人がいたら、お尻の匂いを確かめたくなるのよ。臭いで、お尻の割れ目の色もわかる。きれいなピンク色をしているね」
「狸?面白い事いうから許してあげる。もうしないでください」
「はい、人間のかわいい人、わかりました」
 女の人はクッスと笑った。
 ポンチッチは運ばれた料理をいっぱい食べて木の葉で作ったお金を払ったら食堂の親父が、
「これは何だ。お金のようだけど木の葉っぱみたいじゃないか。こら~」と怒鳴った。
 ポンチオッチは慌てて食堂から逃げた。しかしまだ怖い親父は追ってくる。
「金払え食い逃げ野郎」
 おいら逃げるのには自信がある。
 狭い路地を曲がったらやっと親父の姿が見えなくなった。


 逃げ終わったポンチッチは安心し、少し疲れてハ~ハ~と息を整えていると
「お客さん、だいぶ疲れているようだね。お店に寄っていかない。面白い事やエッチなことしていかない」
と手を引っ張って小さな、お店の中に入れようとした。
「おいら、さっき、食堂で女の、お尻の匂いを嗅いだらエッチといわれ頭を叩かれたよ。だからエッチだめよ。入ない」
「あら、食堂でお尻の匂いを嗅いだら叩かれても当然。ここは少しくらいならいいよ。ビ~ル飲み放題だから飲んでいって。とにかくお店に入って」
 しかたがなく店に入ったら暗かった。
 中ではフアフアで体が透けて見える服を着た女の人がいて椅子に座っている。
 ポンチッチは自分も狸なので怪しいが、また怖い親父がでてきて叩かれるとヤバイと思い
「お金ないから店出るよ」
 女は慌てて「財布見せて」 
 と言って暗いところでチラッと中を見て「これだけ一万円札があったら大丈夫」
 暗いから葉っぱの一万円札は、ばれなかった。
 お金をたくさん持っているので女は上機嫌でコップにビンから黄金色に輝く白い泡がでる液体をつぎ
「飲み放題だからどんどん飲んで、私にも頂戴」といった
 ポンチッチは初めての飲み物だったから興奮して咽を鳴らした。
「お客さん、だいぶ、興奮しているようだね。お尻の匂いを嗅ぐのが好きなのだって、嗅いでいいよ」と透け透けの服からお尻をだした。
益々ポンチッチは興奮した。
 やがて女は頃合を見て、ガブリとポンッチの玉をかじった。
 ポンチッチはたまらず
「ウシャ~痛い~痛い」
 気が付いたら毛むくじゃらの尻尾がビョ~ンとでできた。
「何、これ、もしや狸か」の声で裏から怖そうなゴツイお兄さんがでてきて
「狸汁にする」といいながら捕まえようとした。
 抵抗したがついに捕まった。
 ごつい兄さんはポンチッチの腹に縄を巻き締めあげた。
 ポンチッチは痛いと叫んだが強く締めあげた。
 もう限界だ。ぐったりしたポンチッチの腹にごつい兄さんが蹴りを入れた。
 ポンと弾いたがポンチッチの腹は丈夫だ。同時に臭い屁がドカンと出てきた。糞も漏れている。
 ごつい兄さんの手に付いた。ごつい兄さんは臭くて倒れそうになり汚い糞が手に付いたものだから紐を手から離した。
その隙にポンチッチは一目散に逃げた。
 ポンチッチの屁と糞が命を救った。試験官の言っていたことはこのことか。
 ポンチッチは~すすきの~から、やっと山へ帰って
「人間って本当に怖いわ~」
 と思ったが怖い事など、一晩経つと直ぐ忘れる。
 次の日はポンチッチの自慢話で、声が山に木霊する。
 ポンチッチの楽しみ方が危なくて命の無駄であるという人がいるので無駄話です。


 ポンチッチが住んでいる札幌の藻岩山の隣に更に奥に、狐砥石(きつねといし)山があった
 人里離れた深い山には森が広がっていて昔から多くの狐が棲んでいる
 その中に特に好奇心の強い三匹の可愛い子狐がいた。
 名前はプリンスメロンリン(プリン)、リンゴリン(リンリン)モモリンのサンリン娘です。
 プリンは一番若く見え、少しわがままな子悪魔の子狐であった。
 全身の毛並みは黄色い。特に胸のふくらみは毛の色が濃く、人間が食べるプリンのような色で柔肌がコラ~ゲンの集ったような弾力が有り、触れたら弾けそうな感じである。
 モモリンは子狐の中で一番、好奇心が強い。
 また、悪い事でも直ぐ騙される素直で狐の良い性格だ。
 毛並みは銀狐の血を受け継いでいるので太陽の光が当ると眩しく輝く。丸く可愛いお尻の毛並みは人間の食べるモモのようなピンク色が強く、触れると手に桃の甘い香りの粒がつきそうで思わず顔に手をやり美味しさを実感する。
 リンリンは子狐の中で一番慎重派だ。
 毛並みは熟したリンゴのように赤い。
 その赤い体を隠すような行動をとるが、何かのきっかけで心の炎が燃えると全体から甘く酸っぱい味がし、妖しいまでの色気を醸しだす。
モモリンがリンリンとプリンの所へやって来た
「ねぇ~ねぇ~狸のポンチッチが葉っぱをお金に変えて山の麓の人間が住んでいる~ススキノ~に遊びに行って美味しい食べ物やビ~ルという物を飲んできたの、聞いた」
「羨ましい。プリンも美味しい物食べたい。ビ~ルってどんな飲み物。飲んでみたいわ」
「私達、わざわざ危険を冒して人間の所に行かなくても神社の狐大権現にいけば油揚げやお神酒を飲めるじゃないの」
「リンリン、慎重すぎるよ。快楽は多少危険があるものよ。狸のポンチッチが食べたのは今までに見た事ないような美味しい食べ物や透明なお酒でなく金色に光り白い泡がでるお酒だそうだよ」
「モモリン、じゃあ、話だけでも狸のポンチッチに聞きに行こうか」
「プリンはダサくて格好悪いポンチッチ好きじゃないよ。あまり会いたくないな。でも~すすきの~に興味あるから話だけならいいか」
 子狐サンリン娘はポンチッチに会いに行く事になった。
つづく

藻岩山ではポンチッチの大きな声が聴こえる。
仲間のモンチッチ、ブウチッチに自慢していた。
「おいら~すすきの~の食堂いったら、綺麗な人間のお姉ちゃんが笑いかけて俺の言葉に喜んでいた。おいらもてた」

無駄話

執筆の狙い

作者 すもも りんご
116.65.235.105

役に立たない無駄話です。暇な人がいたなら読んでくださいね。

コメント

ぷーでる
37.120.154.82

平成、ぽんぽこ狸合戦を思い出しました。
藻岩山とかススキノが出て来たので、場所は北海道なのね。

面白いけど、途中で断念してしまいました。

すもも りんご
116.65.235.105

読んでくれてありがとうございました。私の下手な小説を読むなんて忍耐力がありますね。嬉しいです。

すもも りんご
116.65.235.105

六月の北海道は寒くなく、暑くなく、気持ちの良い朝を迎えることができます。海産物も最高に美味しい季節です。うには、特に旬なので食べたくなりますよ。旅行に来てください。自然が待ってます。

加茂ミイル
118.19.12.51

>私の名前は、すももりんご、で~す。

こういうノリ、好きです。
声を出して笑うまでは行きませんでしたが、
心がピンク色に染まりました。

加茂ミイル
118.19.12.51

北海道の雪はさらさらしているから、東北の湿った雪よりも雪下ろしが楽っていうのは本当ですか?

すもも りんご
116.65.235.105

北海道は雪下ろしが危険ですのでしません。無落雪屋根という特殊な構造です。室内の熱が屋根裏にあがり屋根のダクトというところで雪が水になりパイプから流れる仕組みになっております。玄関前の雪かきはしますが業者さんに排雪をいらいするのが多くなっています。年10回で4万程度です。
北海道の北の方ではオーロラを見られることがあります。
寒い夜でマイナス20度くらいの条件らしい。
その寒すぎる夜は雪が降りません。
降っても雪の結晶が手にのるくらい少量です。
つまり普通に雪が降ることは塊が落ちてくることです。
本当に寒い日は一つの結晶として降ります。
暗い空に赤や青のオーロラ。
そのオーロラから雪の妖精が舞い降りて雪の結晶を降らせる。
手のひらにのせて願い事をする。
必ず叶います。
素敵な夜を、、、、。

ぷーでる
157.65.82.154

北海道かぁ~行きたいな。私の親の実家がある所なんです。
でも、今まで忙しくてもう何十年も訪れていません。
北海道は、曾祖母と曾祖父が明治時代に開拓に訪れた場所でもあります。

すもも りんご
116.65.235.105

北海道は今でも自然がいっぱい。二百万都市の札幌でさえ熊が出る。なんと、ど真ん中の中央区。驚きでしょう。。子供が集団登校。小さい時近所の浜でウニや、アワビを潜って取り放題

すもも りんご
116.65.235.105

ウニは浜で焼いて、食べました。
アワビは飽きたので持って帰りカレー入れました。
転勤族の子供の家ではカレーに豚肉。羨ましいかったけど私の方がなんと贅沢だった思われますね。
今が最高の季節ですから旅行に来てください。
札幌の近くに定山渓温泉があります。
そこのホテルは安くておいしい料理があります。
のどが鳴り、唾液がゴのどグッと、でますよ。

すもも りんご
116.65.235.105

訂正 唾液がゴのどグッと⇒唾液がゴグッと

ぷーでる
157.65.82.154

楽しそうな子供時代ですね。
でも、北海道にいる叔父達は最近困っているそうです。
所有している山で勝手に山菜を採られてしまう事だとか。

漁をしている方とかは、勝手に密漁されてしまって
魚・貝・イカ・タコ・カニ類が激減しつつあるとか。

このままだと、豊かな北海道はヤバイかもしれないです。
海産物は、昔に比べたら全然少ないですよ。

漁の網にほとんどかからない日が、増えているそうですから。
ウニも場所によっては、絶滅寸前らしいです。

すもも りんご
116.65.235.105

そうですね。
密漁は悪質な犯罪です。
漁師をしている田舎の友人に電話すると非常に迷惑しているそうです。
警察に連絡しても人がいなくてすぐ来てくれない。
自分で注意すると開き直る。
知らないうちに旦那の車がキズつけられていました。と言っていました。
釣り人もごみを平気で棄てる。
港の中に車を入れて作業の邪魔をする。
本当に怒っていました。

せんねんきゅう
126.224.135.31

面白かったです
のほほんとした世界が良いです
ただ 前半が「です」「ます」語りなのに後半は「だった」に変わる 惜しい

加茂ミイル
118.19.12.51

>本当に寒い日は一つの結晶として降ります。

あの彫刻みたいな模様のままで降りて来るのですか?
ファンタジックですね。

すもも りんご
116.65.235.105

せんねんきゅう様 
私の独断と偏見で書いている小説もどきの文を読んでのくださることに驚いています。
最後まで読んでくれる人はいないと思っていました。
私の友人たちは長文が苦手です。
小説を書いたから読んでよ。
面倒くさい。
漫画なら見れる。
漫画は描けません。で終わり。
ありがとうございます。
これでつづきを書く気になりました。

すもも りんご
116.65.235.105

ミイル様
最近の北海道の冬は寒暖の差があります。
樹氷は本州のことと思っていました。
たまに暖かい日が続いたが急に天気が崩れる。
山の木に

すもも りんご
116.65.235.105

ミスしました。
湿った雪がつき樹氷となることがあります。
そのあとに暖かい空気を狙うシベリアの寒気がおそいます。
冷たく乾いた雪が樹氷につく。
風が吹く天気の良い日は木の表面の雪が舞い上がりキラキラと輝きます。
樹氷とダイヤモンドダストような雪の結晶が空に向かい舞い上がりワルツを踊るように見えます。
あなたの言うファンタスティックですね。

すもも りんご
116.65.235.105

眠くてまた間違ってしまいましました

すいません

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