作家でごはん!鍛練場
契約社員

フィギュアな君と①

中川さんという女の子に僕は夢中である。
 もちろん話したことなんてない。というか、僕は物心ついた頃から、女の子と15分以上の会話をしたことがない。
 なんて言えば大げさか、けれども、あながち間違いじゃない。
 学校というものを卒業してからは猶更、その機会は少なくなった。だから今ではもう、女の子とどうすればコミュニケーションが取れるか、分からなくなっていた。きっと、この先説明するけれど、もし中川さんと会話するような機会があったら、僕はそれこそ茹蛸のように顔面を赤面させてしまうだろう。
 いい年した大人なのに(今年でめでたく三十歳)。恥ずかしい限りである。
 そんなわけで中川さん、彼女の話題に移ろう。
 僕はいつものようにスーパーへ来ている。仕事帰りにいつもここに寄って食料を購ってから帰るというのが定番の帰宅ルートなのだ。
 中川さんは食料品売り場で働いている。年齢は、推定二十歳そこそこと言った感じであろうか。背はそれほど高くなく、腕とか見ると結構痩せていて、おまけに色白くて、ぶっちゃけあまり健康そうに見えないのだけれども、表情を見ると別に疲れている風ではないので、まあ、持病があるとかではないのだろう。客に対して時折笑顔も見せるし。
 そんな笑顔が僕に向けられたことはないのだけれど。
 彼女はレジを打っている。僕はそんな彼女の様子を商品棚に隠れるようにして盗み見ているといった具合だ。笑顔の彼女、対面には常連と思しき高齢者がいる。若い子と会話ができて嬉しいのか、あるいは相手が中川さんだからこそ嬉しいのか、判別はつかないけれど、ともかくおじいさんもまたおじいさんで幸せそうだ。あんな風に気軽に店員に話しかけられるようになりたい、というのが僕の目下の夢だ。おじいさんだからこそ、つまりは先の無い(失礼)高齢者だからこそ、あのように大胆に行動できるのか? 可愛らしい彼女に話しかけるのは決まって高齢者である。僕と同じような年齢、あるいは僕より年下と思われる若人なんかが彼女に話しかけている姿など、少なくとも僕が中川さんをストーキング(!)しだしてからは見かけないものだ。若者の草食化、なんて話も聞いたことがあるが、真相はいかに……。
「いらっしゃいませ」
 彼女の声かけと同時に僕は買い物かごをレジに置いた。今の今までジッと彼女の動作を見守っていたものだから、こうして実物を目の前にすると、なんだか居たたまれない気持ちになってくる。
 そんな僕の様子を気に掛けることなく、淡々と商品をレジ打ちする中川さん。まあ、当たり前か。こういう時に先ほどのおじいさんみたく「いつも頑張ってるね」などと声をかけることができたら、彼女が僕の事を『常連』と認識し、日に日にお互いの距離も縮まってあわよくば……みたいな展開になるのかもしれないけれど、しかし、実年齢に比べて心の成長が中学生くらいで止まってしまっている僕にはそれができない。
「…………」
 目の前で見る中川さんはなんとも小柄で、小動物を思わせるような顔をしている。リスとか、その辺の。僕はと言えば、そんな中川さんを目の前にして完全にお地蔵さん化している。彼女がレジを打っている最中、どこに視線をやればいいのか分かったものではない。昔、「コンビニでレジを打ってもらっている時、どこに視線をやればいいのか分からない」みたいなことを言っていた同級生がいた。僕は何を馬鹿な、とその時思ったものだけれども、今なら分かるぞ、茂木君(!)。ともかく女の子と接点がないままに数十年過ごしてしまった痛手は大きい。女の子、という生き物に対して免疫以前に、具体的にそれがどういった生き物であるのか、僕は失念してしまっていた。
 だからこそ、こうして憧れの女の子(!)を目の前にすると、何か初めて見るような生き物でも見るかのごとく、ジロジロと不躾な視線をぶつけてしまうのだ。
 ……茂木君というのは学生時代の旧友だけれども、この先、登場することはなさそうなので、ご退場願おう(!)。
 さようなら、茂木君。また、会おう……もう会うことはないだろうけれど。
 一応、礼儀としてそう言ってみた。脳内で。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
 機械のような声で呟く中川さん。その表情を盗み見ると、マスクをしているから目元しか分からないけれど、なんとなく怖がっているように思える。僕の異様な雰囲気を察したのかもしれない。
 ……などと思ってしまうのも僕が数十年、女の子と会話らしい会話をしてこなかった証左であろう。

 普段は清掃員として日銭を稼いでいる。日銭、という言い方をしてしまってはアレだけれども、時給制だし、正社員でもないのでそのように呼んで差し支えないのではなかろうか? それに元々はお笑い芸人の傍ら、生活費を稼ぐためだけに始めたバイトだし、って、お笑い芸人の傍ら、とかいうとなんだか本格的に芸人活動をしていた人みたいに思われがちだが、実はそんなんじゃなく、養成所だって三か月で辞めたし、フリーの芸人として活動を始めたところで二か月ももたなかったんじゃないかと思う。つまりは、サラリーマンになりたくなくて、というか、社会に出るのが怖くて無理やりお笑い芸人なんていう、なんか夢のある人、みたいなのを演じつつ日々を過ごしたいた、というのが実態である。 ……恥ずかしいけれど。
 そんな何者にもなれないまま時は過ぎ、何者にもなれないわけじゃないか、こうして清掃員として日々を過ごしているわけだし。
 みたいな言い訳もまあ、30にもなってするわけにはいかないか。
 僕は小田急線に乗って、いつものように職場へと向かっている。朝の五時半に起きて、こうして電車に乗り込んだというのにもう車内は通勤ラッシュの様相を呈してきている。だから、僕はあまり小田急線は好きじゃない。ってそれはいい。
 職業に貴賎なし、なんて言うけれど、実はあるんじゃないかと僕は思っている。こうして車内を見回してみると、皆、一様に疲れているようだけれども、パリっとしたスーツに身を包んでいる。おじさん方は疲れているようだけれども、つい最近、社会人になりました! みたいな若者はなんだか自分のスーツ姿に悦に入っていそうで腹が立つ。やはり社会人になり立てだからか、他のおじさん達に比べてスーツもYシャツもパリっとしているような気がするし。
 対する僕はと言えば私服である。清掃会社に出勤するのにスーツを着込む馬鹿がいるか? 居ないのである。僕の職場は誰も彼もが私服で出社し、制服を着て作業にかかるのだ。
 目の前には若いリーマン。耳にイヤホンを突っ込んで目を閉じている。髪型もいわゆる昔のサラリーマンみたいな、七三分けとかでは全然なくて、ポマード、じゃないや、具体的に髪を固める液体のこと、僕は良く存じ上げないのだけれども、ともかく固めていてそれがキマっている。モテそうだ。いや、きっとモテるだろう、これは。
 そんな彼を見ながら沸々と嫉妬の炎を煮えたぎらせているのが僕だ。彼は目を閉じているから僕がどんな顔をしているのか分からないだろう。目を開けた瞬間、きっと驚くのに相違ない。そして、恐怖を覚えるのではないかと思っている。自分を睨みつけている男がいる、と。
 そう、僕は睨んでいた。これは劣等感から生まれる人間の態度というものだ。先ほど述べたけれども、職業に貴賎はない、という言葉を僕は嘘だと思っていて、自分が今、就いている職業、つまりは清掃員のことだけれども、パリッとしたスーツに身を包んで仕事に勤しむ彼からしたらなんだろう、僕のような職って見下される? じゃないけれども、どうにも『下』の職業だと思い込んでしまう癖が僕にはあるのだ。
 オメー、俺の仕事を馬鹿にしてんだろ!
 言いたい気持ちをぐっと飲みこむ。ここは電車の中。大声を上げたら誰もが吃驚するだろうし、僕の事を狂人か何かと思い込むだろう。それに……目の前の彼は僕の職業を知らないし、きっと、イイ人だと思う。清掃員とか言って馬鹿にする人じゃないと思う。
 彼の人間性を疑った自分に落ち込みつつ、僕は電車に揺られていった。まもなく代々木上原。ここで千代田線に乗り換えるため、大半のリーマンが降りていく。目の前の彼もその流れに従って降りて行った。

 仕事をしている時の僕は劣等感のカタマリだ。水色の制服を着こみ(当然、スーツなんかじゃない)、箒と塵取りを持って百貨店周りの道を掃除しにいく。外周、という作業である。
 池袋という街は平日の日中という時間帯でも人が多い。こいつら全員、働いていないんじゃないか? と思いはするものの、中には先述したような若いサラリーマンなんかも歩いているから、私服の人、すべてがすべて無職ではないんだな、とは思うが。
 夏の日差しが容赦なく照り付けてきて、暑い。仕事着はウォッシャブルタイプのものだが、ふと見てみるともう汗が滲んできていて変色しだしている。肌に張り付くようで気持ちが悪い。こうして汗水たらしての労働をしているといかにも労務者だなぁ、という気がしてくるから厄介なものだ。ムクムクと劣等感が胸の内から湧き上がってくるのを感じる。
 その劣等感の生まれ先は前方からやってくる、涼し気な顔をして歩いているサラリーマンに隣のOLだ。二人とも、ただ歩いているだけだからだろうか、箒と塵取りを持ってたえず道端を掃いている僕とは違い、汗一つたらしていないように見える。
 二人は同期なのだろうか? もうヤっているのか?
 若い男女のカップルを見ると、こう思わずにはいられない自分がいる。思わず、苦笑する。
 カップルが僕の横を通り過ぎる。クソッタレ、クタバレ。口の中で呟いてみるが、もちろん彼らには聞こえるはずもなく、というか、僕の存在すら認知していない表情で通り過ぎていく。きっと僕など、彼らからしたら透明人間もいい所なのだろう。
「あー…それにしても暑いな」
 今日一日はまだ始まったばかり。気温もこれからグングン上がっていきそうで、今から気が滅入る。けれども、僕にやれることと言えばこれしかない。その現実を重い枷のように感じながら、僕は労働に従事していく。

 晴れている。
 休日だというのにどこにも行く場所がなく、僕はこうして部屋の中に一人、佇んでいる。20代前半くらいの時はまだ呼べる友達なんかもいて、外出する理由ができていたのに今はその友達もどこへやら、今現在の僕は友達と呼べる存在がいない。いや、いるにはいるけれども、長い事会っていないし(メールで連絡は取り合っている)、もし仮に今、どこかで飲もうか? みたいに誘っても、彼は出てきてくれないかもしれない。
 とすると、僕は本当に友達がゼロだ。その現実に直面したくなく、彼を誘うこともしない。
 部屋を出る。時刻はまだ3時を少し過ぎたくらいで、スーパーへ行くのにはまだまだ時間がある。中川さんに会いにいくのだ。といっても、一方的に僕が見に行くだけだけれど。
 特にやることがなくても腹は減る。というわけで、最寄りの蕎麦屋さんへ行く。休日とあってか、あるいは、ここら辺が住宅地なだけか、あまり付近に人影は見当たらない。駅の方まで行くと、そこそこ発展しているから、人通りはあるのだけれども、所詮、神奈川の外れの田舎の駅。人数だって知れたようなものだ。
 蕎麦屋で飯を食う。こちらも僕が常連だからか、店員のおばちゃんが「こんにちわ」と挨拶してくれる。僕も照れ臭くなりながらも、一応「こんにちわ」と返す。これが若くて可愛い女の子だったらな、と思わないでもない。
 そのまま二駅ほど歩いて新百合ヶ丘まで行く。休日の日課と言えばいいのだろうか、ウォーキングである。散歩と称してもいいんだろうけれども、なんとなくウォーキングの方が筋トレっぽいし、こっちの言い方を気に入っている。それに毎週同じコースばかり歩くので、やはり僕が今していることは散歩という呼称にはそぐわない。散歩と言えば、タモさんみたいに路地とかを偶然見つけて通るような、そんなニュアンスのことを言うような気がする。僕にはそのような趣味はない。
 やがて新百合ヶ丘に到着する。職場の森岡さんという先輩は『新百合ヶ丘』という駅の名前をいかにもニュータウンみたいだな、と言ったのだけれども、その口ぶりからそれは新百合をけなしているのかどうか、僕には今一つ判然としない。まあ、けなしているんだろうけれども、ニュータウンって別に侮蔑の意味はないよね? って誰に確認しているのか、これまた分からないけれども、たとえて言うなら、神的な存在だろうか? 神的な存在が僕の心には常に居て、彼に確認をしているのだろうか?
 分からない。分からないけれども、馬鹿にされるのはいい気がしない。
 僕は中学生の頃から新百合に住んでいる。両親が不仲になり、別居せざるを得なくなり、母親と僕を含む子供ら四人で移り住んできたのだ。その頃からの付き合いなのだ、新百合とは。思い出の地といってもいい。
 それをニュータウンだと? バカにするな!
 駅前の喫茶店でぼんやりと時を過ごす。この喫茶店も僕はと言えば常連で、先ほどレジの女の子に「こんにちわ」と笑顔で挨拶された。別にタイプでもないけれども、若い女の子に笑顔で挨拶されるのは悪い気はしない。それに女性は同じテンションでのコミュニケーションを、相手に対して望んでいるとどこかで読んだ。具体的に言えば、笑顔で挨拶したならば、相手にも笑顔で挨拶を返してほしい、とつまりはこういうことを言うらしいのだ。で、その法則からしたら僕も当然、笑顔で挨拶を返さねばならぬのだろうが、先ほどの僕はなんだ。無言で、少し目配せをしただけだ。彼女の顔を覆う失望の色。それを思い浮かべたら、おちおち、こうしてのんびりアイスコーヒーを飲んでいる場合じゃない!
 ……などと思い返しても後の祭り。
 彼女は忙しなく働いている。休日とあって客が大勢やってきていて、それらをさばくのに忙しいのだ。僕は先ほどから彼女の方へ視線をやり続けている。もう一度チャンスをください、と願うような心持で。
 彼女の名前は鈴木珠理という。なぜフルネームまで知っているんだ、と訝しく思う人もいるだろうから説明しておくと、ただ単にネームプレートを見たまでである。この情報保護が叫ばれている時代にフルネームをプレートに刻むなんて、と思う人もいるかもしれない。僕も初めはそう思ったが、やはり若くて可愛い女の子の名前を知るというのはイイコトで(!)、なんだかテンションの上がるものなのだ。別段、先ほども述べたけれども、僕は別に鈴木さんの事を好きとかそういう感情で持って見ているんじゃない。むしろ、鈴木さんの方が先ほどの笑顔からすると、俺に少しばかり気があるんじゃないかと思っている。
 僕はその後、コーヒーを飲みつつ、新聞を読んだり、持ってきた小説を読んだり、スマホをいじったりして時間を過ごした。時折、鈴木さんの行動を見守ったけれど、ずっとそうしていると怪しまれるのは必定なので、また、新聞を読んだりして、けれども、字面を追っているなんていうことは全然なくて、頭の中では「あー…、鈴木さんの事が見たい! ガン見したい!」などと思って時を過ごした。
 店内が暗くなったのを合図に店を出た。ここの喫茶店は五時半を過ぎると『夜用』というのか、お酒を振舞う店に変わるのだ。飲み干したグラスを返却口に戻すとき、たまたま鈴木さんが居て「ありがとうございます~」と笑顔で言ってくれたのが嬉しかった。その「ありがとうございます」は僕に対してのものなのか、あるいは他の一見さんみたいな客に対してのものと同じだろうか? などと思いながら店を出た俺ってもしかしてキモい? キモいだろう。
 胸の内で呟く俺がいた。

 暮れなずむ夕日を見ながら歩いている。地元である。先ほど、新百合はニュータウンだとか言ったが、二駅ほど離れてしまえばこんなものだ。辺りには住宅しかない。日曜日の夕方頃ということもあって、人もまばら。いや、日曜日ならもっと人で溢れていてもいいんじゃないか? と思ったのだけれども、どうだろう、確かに駅前には人がそこそこ居るのだが、住宅街に入ればこんなものかもしれない。
 たとえ休日でも。
 暮れなずむ夕日の下に猫が一匹いた。僕を見ている。僕が見ているから、見ているのか、どうだかわからない。猫は利口だ。
 この猫はおそらく地域猫と言って近所に愛されている猫だと思う。多分、大体の人は猫が増えるのを嫌っている。大人になると、なぜだか分からないけれども、人間以外の動物を敵視というか、排除するような人が多くなるように思う。小さい頃はあれだけ「可愛い!」とか言って撫でさすった猫。けれども、大人になると野良猫を見かけるたびに「コラッ!」とかなんとか言って追い払う人のいかに多い事か。
 ……妄想かもしれないけれど。なぜだかそんな気がするのである。
 猫は相も変わらず僕を見ている。少し近づいて、「チュ、チュ」と口の中で呟いて、こちらにおいで、というような合図をしてみるけれども、案の定、猫は扉の向こうへ逃げてしまった。でも、完全に逃げはしなくて少し離れたところからまた、僕を見守っている。小さな町工場のような場所? の扉だから僕は入ることができない。猫はそれを知っているような気がする。
「チュ、チュ、チュ」
 となおも口先で呟くけれども、猫は「なんだこいつ」とばかりの視線を僕に向けるだけである。悲しい。
「あー…今日は中川さん、いなかったな」
 呟きつつ僕は家路を歩く。途中、カーテンが全開のアパートの一室を見かけるが、がらんどう。住人はキッチンでカップラーメンでも作っているのかもしれない。
 中川マニアとして失格である。
 と言うのは中川さんのシフトをちゃんと把握していなかった自分に対しての言葉である。
 中川さんを知ってから、まだまだ日が浅いからしょうがないけれども、必ず会える! と思って今日もプロント(先ほどの喫茶店である)帰り、スーパーへ寄ったのに彼女の姿はそこにはなかった。日曜日ってスーパーにとって繁忙日じゃないの? なのになぜ出勤していないのだろう?
 などと思ってみても、彼女には彼女の理由があるだろうしまあ、しょうがないだろう。学生さんかもしれないし。ってか、その可能性が一番大きい。
「…………」
 坂道を上っている。もっと高い家賃を払えばこんな坂の頂上みたいなところにあるアパートに住まなくてもいいんだろうけれども、低収入の僕にそれは無理な相談。だから、しょうがなく毎日こうして長い坂を上っているのである。
「…………」
 今日一日がこれで終わる。暮れなずむ夕日はあるが、夏のため、気温が全然下がらない。こうして坂を上っている最中にも汗は滴ってくる。気持ちが悪い。
 夏の夕日に何かしらセンチメンタルなものを感じようとする。が、うまくはいかない。僕はきっと詩人にはなれぬ人生なのだろう。
「中川さん……」
 今度こそ、会えるよね。
 夕日にそう問いかけながら僕は進んだ。

 僕と中川さんはどうだろう、10歳は離れているんじゃないか。買い物カゴの整理に追われる彼女を見ながら僕は考えた。
 現在、30歳の僕。傍目からしたら、というか、中川さんくらいの女子大生からしたら僕はもうオッサンなのかもしれないけれども、悲しいかな、僕にはその自覚がない。いや、完全に自覚がないのだったら、それはそれでヤバイ人という気がするが、たとえば道行く小学生なんかに「おい、オッサン」などと言われたら殴りつけてしまうような気がする。
 ……いや、そんな勇気、もちろん僕にはないけれど。
 妙齢、いや、それ以上の年齢の女性が親戚の子供かなんかに「おばさん」と言われて腹が立つ心理にこれは似ているように思える。「おばさん」なのか、「叔母さん」なのか、当の女性にしてみたらどうでもいいのかもしれない。
 僕は仕事帰り、いつものように食料品を買い込むことにする。納豆、もやし、豆腐……たまには肉もいいな。こうした買い物も実はルーチンだったりする。仕事もルーチンワークと呼べるものだし、買い物も決まったものしか買わない。つまり僕はロボットのようなものだ。中川さんを狙う目だけは野生動物のソレのようだとは思うけれど……。
 商品を買い物かごに入れつつも、チラリと視界の端で彼女の姿を確認する。彼女がこちらに意識を向けることはないだろう。それはとても悲しいことかもしれないが、フフ、これで終わる俺じゃないぞ、と思う自分がいるのも事実だ。
 つまりは僕は彼女に自分の存在を知らしめたいのだ。
「その方法はまだ……分からないけれど」
 ブツブツ呟くのはやめよう。不審者丸出しだ。見知らぬ、主婦と思われるオバサンがジッと僕を見つめる。ん? 俺の顔に何か面白いこと書いてる? そう心の中で反論しながら何食わぬ顔で歩く僕。
 レジに買い物かごを置く。中川さんがこちらを向く。……綺麗な瞳だ。二重瞼だからであろうか? ていうか、二重瞼の女の子しか、僕は今まで好きになったことがない気がする。僕自身が、一重瞼だから二重瞼の女の子に恋をするのだろうか?
 つまり、人間、ないものねだりというか、自分に無いものを持っている者に恋い焦がれる要素が人間にはあるのではないか?
 などと思いながら中川さんをジっと見ている。中川さんはレジから目を離さない。それと商品か。品名を一点、一点、口頭で確認しながらレジを打っていく。僕の方は見ない。それはマニュアルにあるからではなく、彼女の意思によるものだと感ずる。
 悲しい……僕の方を向いて!
「あの……」
「はい?」
 中川さんがこちらを向く。その目には一点の曇りもなく、僕が常連であることなど知りもしないようだ。一見さん相手の、瞳である。
「あ、いや……なんでもないです」
「……はい」
 妙な間が生まれてしまった。恥ずかしい。後ろの客を何気なく見てみると、どうやら今の僕の行動に不審を抱いた感じはない様子だ。よかった、助かった。ほっと胸を撫でおろさずにはいられない。
「……〇〇円になります」
「カードで」
 ピンク色の、とある有名な会社のクレジットカードを差しだす。このカードが僕の存在を彼女に知らしめる証として僕は差し出すのだけれども、もちろん、彼女が僕の存在を意識することなどないだろう。
 カードを受け取る時、彼女の細い手が少し僕の手に触れた気がした。
 キモチワル!
 中川さんの声を聴いたような気がした。それはもちろん錯覚であって、彼女の手に初めて触れて嬉しがる僕への心の声である。
 キモチワル!
 でも、嬉しかった。

 中川さんとの逢瀬(!)を終えた僕は家路を辿っている。ともかく平日になれば、少なくとも土日よりは彼女と会える可能性が高い。それが知れただけでも今日は収穫があった、としていいだろう。
「彼女の手……温かったな」
 一人ニヤニヤ笑いながら帰る僕は周りからしたらさぞ、気味の悪い男として映るだろう。けれども、もう何度も述べたかもしれないけれど、僕の住む地域は住宅街に入るとほとんど人通りがない。若者やら老人やらがポツポツ数人程度、家路を辿っているだけだ。僕はそんな時、歌を歌いたくなる。というか、実際に歌っている。Ipodから流れる音楽に身を任せてフンフンフン♪ なんて鼻歌じゃなくて、それこそ大熱唱、実際に声に出して歌っている。高校生などがたまにギョっとした顔で僕の横を通り過ぎるときはさすがに恥ずかしい。けれども、そんな羞恥心、時間が経てばすぐに無くなってしまう。最近では、あえて人通りがあるときを狙って大声で熱唱するくらいだ。
 …………!
 僕は変人・奇人の類になりたいのかもしれない、たった今、そういった自分の願望に気づいてしまった。
 辺りは相変わらず、夏の夕闇に沈んでいる。僕がこの地域に越してきたときは街灯一つなかったのだけれども、2~3年くらい前か、ある日突然取り付けられたのだ。仕事からの帰り道に気づいたのだけれども、やたらとビカビカ光る照明で、正直目が痛かった。けれども、変質者の魔の手から女性を守るのにはそうした街灯があった方がいいのかもしれない。
 ……僕は変質者・奇人の類になりたいのかもしれない。
 先ほどの話に戻るのだけれども、たとえば高校生とかに歌っている俺をいきなし目撃されて、ギョっとされる。さすがにその時は恥ずかしいと思うのだけれども、少し経つとニヤニヤ笑いがこみ上げてくるから不思議だ。驚かせてやったぞ! というか、俺は奇人だ、おかしな奴だぞ! といった何か、普段の自分とは変われた人物になれたような気がして嬉しいのだ。
 ……頭がおかしいのだろうか? 俺は。
 などと考えつつも、ずんずん歩いていく。
 しかし、よくよく見ると我が地元は本当に田舎だ。そりゃ腐っても神奈川の川崎市という、地方の人からすれば都会のように思われる土地に住んではいるが、地方の人は川崎市の中身を知らないだろうし、そこに思いを致すこともないだろう。だから田舎者なのだ! ……などと言えば、怒られてしまうだろうからやめておく。
 川崎でも僕の住んでいる場所は工場地帯とは無縁の、それこそ田園地帯とでも呼ぶべきじゃないだろうかと思われるほど、自然が豊かだ。大きな林やら、田んぼを持っている一軒家も多い様に思われる。よく知らないけれど。
 僕の部屋にもよく虫が出る。夏だと大多数の家に虫が出るのだと思うが、ゴキブリとかだけじゃなく、中にはむかでとかも出る。それを都内在住の職場の人に言ったら「住んでるとこ、意外と田舎なんだな」と馬鹿にされた。畜生。
 けれどもまあ、しょうがないかな、と思う自分がいる。実際、むかで出るし。それに完全に自然が無くなったらそれはそれで嫌だし。
 僕は満足している、自分の住まいに。
 遠方には猫がいた。いつぞや出会った猫だ。大きな、豪奢と言ってもいい一軒家の、その下にいる。住人は野良猫に居つかれるの嫌なんじゃないだろうか? 住人にひどい扱いされないか、心配してしまう僕である。
「チュ、チュ、チュ……おいで」
 猫は微動だにしない。鉄の鎖の向こう側に居るので、僕が近寄っていけないのを知っているのだ。その瞳には何の感情もこめられていず、なんか変な男が居るな、変質者かな? といった感じで遠くから眺めているみたいだ。畜生。
 僕は変質者なのか!
 中川さん……中川さんと僕の間に関係性はない。結べていない。遠くから眺めているだけ。つまりこの猫と僕との関係が、今の中川さんと僕みたいなものなんだ、きっと。
 猫は相も変わらず僕を凝視している。心なしか、つい今しがたよりも目つきが鋭くなっている気がする。僕を不審者と認識したのかもしれない。
 猫は僕を認識しているが、中川さんは僕の事を認識していない。この違いである。
 ああ!
 やりきれない思いがふいに湧き上がって来て僕は走り出す。僕の事を認識してくれ、中川さん! なんでもするから……。
 そんな藁をもすがる思いで気が付けば自宅まで走り抜いていた。宵も更けてきたといっても季節は夏。僕はびっしょりと汗をかいていた。
 
 夏の夜は寝苦しい。ここ数年は何十年に一度とか統計以来初! とかいった冠言葉がつくくらいの猛暑が続いている。通りで暑いわけだ。
 僕は眠れずにいた。枕が汗びっしょりで翌朝になって匂いを嗅いでみると、臭い。だから買い直そうかと思っているが、それすら面倒に感じられるほど、暑いのである。
「…………」
 もう何時間経ったろうか。天井を見上げたり、窓の外を見たりして時間をつぶしているが一向に眠気は訪れない。
「あー…ダメだ」
 思わず立ち上がり、電気をつけて辺りを見回してみる。
 大野さん……。
 と思わず呟きそうになったのは部屋の壁一帯に大野さんという、かつての同級生の写真が無数に貼られているからである。もちろん、僕が貼った。殺風景な部屋を一新したくて、というのがその理由である。
 ……しかし、改めて見るにこれはすごいな。
 自分を客観視して変態かと思う。つまりはそれくらいに写真の数が多いのであって、しかもそれはフェイスブックというSNSから無断で拝借した画像なのである。けれども、ここで言い訳をさせてもらうと、って別に誰に言い訳しなくてもいいと一方では思ってはいるんだけれども、それじゃあ、自分の気持ちの収まりがつかないのでともかく言い訳させていただくと、SNS上に投稿された画像は誰もが見れる類のものであって著作権とかはないはずなのである!
 分からない……。正確なことは分からんのだけれども、ともかく、無断でコピー&ダウンロードされるくらいのことは重々覚悟の上で投稿しろよ、とつまりはそういうことを言いたいのである。
 大野さんよ。
「けれども……やはり、これは一般的に考えて……ダメなんだろうな」
 写真の中の、微笑みを浮かべる大野さんを見ながら思わずそう呟いてしまった。自撮りというのか、その辺の知識は詳しくはないのだけれども、ともかく写真の中の大野さんは微笑んでいるのである。僕に対して? 否、キャメラに向かって。
 その微笑みを僕に対してのソレだと解釈して一人悦に入る毎夜なのである。
 ……あれ? キモいかな? これ。
 キモいだろう。
 心の中で、誰かが突っ込む声がした。

 森岡さん? 昨日の声の主は森岡さんなのかな?
 もう何度か名前を出しているのだけれども、職場の描写をこれまでしていなかったから、彼の登場するシーンがなかったのである。
 登場させよう。
 職場のシーンを描写しなかったのはそれが僕にとって描写するに値しない、つまらないシーンだからだ。けれども、それじゃあ、職場の人が浮かばれないし(別に死んではいない)、森岡さんも森岡さんできっと登場したがっていると思うから登場させてやろう(なぜだか上から目線)。
 僕は職場の休憩室に居て、いつも通り、作業と作業の合間の、その小休止みたいな時間を持て余し気味に過ごしていた。
「つまりね、パンストが……女性のパンストが良いんだよぉ!」
 先ほどから熱弁を振るっているのは今年還暦にもなる星野さんというオジサンで、この職場に配属されてもうかれこれ、30年以上勤務し続けている。この職場に幽閉されている、と僕と森岡さんは冗談半分に言い合ったことがあるんだけれども、あながち間違いじゃないと思っている。
「……そうですか」
 すげなく返すヒョロ男は森岡さんだ。僕より4歳年上の人に「ヒョロ男」はないんじゃないかと思われるだろうが、体型がそうとしか言いようがないんだから、しょうがない。まさに骨と皮でできていると言っても過言じゃなくて、身長も180センチちょいあり、ぶっちゃけた話、ややキモイ。けれども、童貞じゃないと来てる。人生って理不尽だ。
 星野さんの熱弁は止まらない。他人が聴いているのかいないのかなんてどうでもいいみたいだ。ぶっちゃけ僕と似ている。僕も普段、あまり人に話を聴いてもらえないから(!)、森岡さんのような、聴いてくれる人が現れると自分語りをやめられないのだ。ここぞとばかりに話したがる。マシンガンのように。森岡さんの目が「あっ、この人、僕の話聞いていないな」と分かる感じに濁ってきても僕は喋るのをやめない。
 うっとうしがられている二人なのである。僕と星野さんは。
「小川君は何か無いの? 女性の……好きな部位とか」
「うーん……脚、ですかね」
「脚は良いよねぇ! 脚は!」
「はぁ……まぁ」
 パンストは分からないですけど。
 そう言ったら、しょげるかと思いきや、星野さんは僕の発言など聞いちゃいないみたいだ。ただ「脚が好き」という同類項を見つけただけで、僕の事を仲間だと認識し、その語り口は今まで以上に冴え渡ってきた。目も爛々と輝いており、まるで母親に対して自分の話を聴いてほしくて「聞いて、聞いて」とねだる男の子みたいだ。
 こんな大人、いや、おじさんにはなりたくないなと思う……星野さんには悪いけれど。
 星野さんは還暦にして独身である。結婚歴はない。そして、さらに……これを言うとおそらく星野さんは激怒するか、必死に「違う!」と否定するだろうが……童貞なんじゃないかと思う。一度、森岡さんと一緒にカマをかけたことがある。何のカマをかけたか、詳細は忘れてしまったが、ともかく童貞かどうか、その回答から窺い知れるような質問をしたと思うのだが、星野さんは自信満々にこう答えた。
「それは〇〇だよ!」
 確か女性器に関する質問をしたんだった。それに対する星野さんの回答はエロ雑誌か何かで必死にかき集めた、その集大成みたいな答えで僕と森岡さんは苦笑するしかないのであった。
 しかし、そんな星野さんを馬鹿にはできないのは僕も童貞だからである。
「……この人が僕の未来像」
「ん? 何か言ったかな? 小川君」
「あ、いえ、なんでもありません」
 星野さんはプライドも高い。そのプライドに、僕や森岡さんのどんな発言が引っかかるか、それは発言してみないと分からないのは過去の経験から知っている。ここは余計なことは言わない方がいいだろう……。
 童貞だからプライドが高いのか、プライドが高いから童貞のまま死ぬのか(もう僕の中では確定している……)、それは分からないけれど、ともかく怒り狂う中年男性なんか見たくもない。
 この休憩室は出入り口は防音・防災カーテンで閉じられているけれども、絶対に外には聞こえない、なんてことはないだろうし。
 伊藤さんに聞かれたら困る……。
 伊藤さん? また新たな登場人物が出てきたと思われるかもしれないが、まあ、彼女に付いては後述することにしよう……。
 僕はその後、星野さんの話を愛想笑いで聞き流すのに集中した。さも話を聴いているかのように振舞うのも、もう慣れたものである。僕はもう、この職場に七年も勤務しているのだから。

 伊藤さんは三十代後半の女性である。年齢は森岡さんに聞いた。確かにそれくらいの年代の女性だなー、と彼女を見て思う一方、いやいや、もうちょっと若いだろ、なんてことを思う僕もいる。年齢不詳なのだ。
 けれども、可愛いと思う僕がいる。年上の女性に対して可愛いなんてありえない! と思われる向きもあるかもしれないけれど、伊藤さんは身長も150センチくらいしかないし、どちらかというと身長の低い女性に惹かれる傾向にある僕としては年上でも全然大丈夫。
 などと言えば伊藤さんに失礼か。
 伊藤さんは三年くらい前にこの職場に『出戻り』してきて働いている。出戻りする前は森岡さん曰く、正社員としてどこか別の職場で働いていたらしいのだが、詳しいことは知らない。何かあったのかもしれない、とは思うが、過去のことはどうでもいい。
 伊藤さんはキビキビと働いている。とあるカルチャーセンターで働いている伊藤さんは僕ら清掃班とは違って、客とのやり取りもある。客への対応さえ、キビキビしている。少々、度が超えるくらいキビキビしている。人はそれを愛想が無い、と言うだろうが、僕もそう思う。もうちょっとビジネス上のスマイルというか、そういうのを身に着けた方がいいんじゃないかと思うけれども、進言できるくらいに仲良くはないし。
「小川さん、これ、よろしくお願いします!」
「はい!」
「これはどうしたらいいですか?」
「こうしたらいいと思いますよ」
 伊藤さんと僕はこんなやり取りしかしない。なんというか、二言目を言っては会話が終了になってしまう。伊藤さんに少々、気のある僕はもうちょっとなんとか会話を続行させようと思うのだけれども、うまくいかないのはきっと仕事中だからであろう。
 仕事中以外、たとえば昼食中とかだったらあるいは会話を継続させられるかもしれない、などと思う。
「話しかけてみりゃいいじゃん」
 森岡さんはそう言うのだけれども、生まれてこの方、彼女というものを作ったことがない僕は、『男と女』として女性に接する方法を知らないし、っていうか、これがダメなのか、仮にも社会人なんだから『社会人同士』として最初は伊藤さんと接すればいいのだろうけれども、好みの女性を見るとその『社会人同士』というのがどうにもできなくて、僕は『男と女』として伊藤さんに接し、赤面してしまうだろう! 恥ずかしい!
「……なんか言った?」
「あ、いや、なんでも……伊藤さんって…ブスじゃないですよね」
「お前、相変わらず会話に脈絡ないな……なんでいきなり伊藤さんの話題が出るんだよ」「なんとなく……です」
「まあ、でも、ブスではない、な」と森岡さん。その顔には何の表情も浮かんでいなくて、この会話に集中していないのは丸分かりなのだけれども、僕は話を続ける。
「今まで……彼氏とかいなかったんですかね」
「あの性格じゃ無理だろ」
 伊藤さんは独身である。容姿的には森岡さんも認める(!)美人なのに、独身なのはまあ、職場での彼女を見ると分かるのだけれども、ともかく一点の隙もなく、という表現が合ってるのかどうか僕には自信がないのだけれども、ともかく職場でのキビキビとした動き、それが防波堤となって男性陣に「こりゃダメだ……近づけない」と思わせるようなのである。
 しかし、壁やら山やらは高い方がいい。登り切った時の達成感が違う。と、どこかで読んだような聞いたような話を僕は思い出し、伊藤さんという高い山をいつしか登ってやろうと画策中なのだ。
 午後からもまたダラダラと仕事をした。森岡さんは大卒だのにこの仕事をパート社員として10年間もやっている。正社員として就職しないのですか? といつしか聞いてみたことはあるのだけれども、具体的な回答はしてくれなかったように思うし、その記憶さえも今や僕の中では曖昧なものとなっている。聞かれたくないような類のものなのだろう。そんな森岡さんの事を僕は「大卒なのにいつまでもフラフラしているダメな人」として見下している向きもあったけれども、この職場に七年も居るからか、そうした感情も今やウヤムヤになってきた。いつまでも童貞を卒業できないダメな人、である僕もまたきっと、森岡さんからしてみたら見下し対象であろうし。まあ、つまり僕はこの職場にドップリ浸かってしまい、今や抜け出す方法も分からなくなっているという次第なのである。

 一度、僕、森岡さん、伊藤さんの三人で、とある教室の片づけやら清掃をしていたことがある。森岡さんはやっぱり童貞ではないこともあって(それにこだわり過ぎだろ、僕……)女性との何気ない会話が得意である。当たらず、触らず、というのか、ともかく一線を越えない会話(!)というのが得意で僕にはできない芸当である。
 伊藤さんは床をモップで清掃していて、清掃班である僕と森岡さんは机や椅子などを拭いていた。まさにそんな時でも森岡さんは時々、ジャブみたいな会話を伊藤さんに投げかけていて、伊藤さんも笑っているし、決して不快ではないようだった。そんな二人を見ながら「良いなぁ」というか、「僕も話がしたいなぁ」などと指をくわえて羨ましそうにしているのが僕。みじめであった。
 二人は何やら今度イベントで来る映画俳優の話をしているようであった(僕の勤めるカルチャーセンターにはイベント事に俳優やら女優、まあともかく芸能人めいた人がよく来るのだ)。その俳優に興味があるのかないのか(伊藤さんがもし興味があるようだったら僕はショックだ!)、窺い知れないのだけれども、伊藤さんがフイに僕に話しかけてきたのだった。
「小川さんは映画とか見るんですか?」
「あ……い、いえ」
 会話(?)はそれで終了したのだった。
「ああいう気の使われ方って辛いね」
 みたいな風に森岡さんには後に言われたのだったが(だって伊藤さんと森岡さんばかり話しているのだもの。僕はと言えばひたすら無言)、僕はと言えば、言葉に詰まりながらも伊藤さんの表情を覗き見ていたと思う。おや? もしかして、僕に少しばかり興味があるのかな? と思ったのだ。その興味はイコール好き、というわけでは決してないのだけれども、これも童貞特有のアレなんだろうか、「こいつ、俺に少し興味あるな?」とか、ちょっぴりニヤニヤ笑いがこみ上げてきた心境になったのを覚えている。

 でもまあ、そうしたニヤニヤ笑いがこみ上げてくる心境(伊藤さんが僕の事を好き……なんじゃないか? という気持ち)のまま、告白だとか、告白とまではいかなくても今よりももう少し伊藤さんに話しかけるだとか、あるいは食事に誘うだとか、具体的な行動に出ることはなく、相も変わらず僕は森岡さんや星野さんと昼食時にはクダラナイ雑談に興じ、日々を無為に過ごしているのだった。
 伊藤さんも伊藤さんで可愛いのだけれども、よくよく見たら鼻の下に縦皺があるな、とウッカリ気づいちゃったりして伊藤さんが決して若くはない、という証拠を見つけてしまったりもするんだけれども、やっぱり基本、可愛いと思っているから仕事中、僕の目はついつい彼女を追いかけちゃったりもするのだ。
 先ほどから「~しちゃったり」みたいな言葉づかいで話しているのだけれども、僕はもう30なんだから気を付けないと、と思ったりもしている休日の午後。
 僕はいつも休日そうするようにネットサーフィンに興じていた。歩きスマホだとか、最近の若者のネット中毒っぷりは新聞・ニュースで報じられるくらい嘆かわしいものみたいなのだが、僕だって例外じゃない。こうしてニュースなど、ネットで見ているし、気が付けば何時間も経過していることもあるし、気が付けばエロサイトに手が伸びていたりもする。
「……なんだこれ」
 その時、見ていたのはエロサイトではなくラブドールを紹介するページだった。ラブドールを愛でるおじさんのドキュメンタリーを見たことがあって、そのおじさんがかなり幸せそうだったから僕も検索してみようと思った次第である。
「かなり精巧な作りなんだな……」
 実際に目の前にしてみないと分からないが、そのドキュメンタリーで扱われているラブドールも、こうしてネットで見るラブドールもかなり精巧な作りのように思われた。質感も、最近ではリアルな女性のそれに大分近づいているようなのだ。僕はおじさんの幸せそうな笑顔を思い出す。まさに人生で今が一番の春! といったような微笑みを浮かべており、僕もこれくらいの年(還暦?)になったら、このような笑みを浮かべるおじさんになっていたいものだ、とまではさすがに今のところ思えないのだけれど(!)。
「でも……いいものだよな、これを大野さん、あるいは中川さんに見立てて抱いたら……一人暮らしの寂しさも解消されそうだ」
 事はそう簡単ではないはずだが。
 そう突っ込みを入れたくなる自分もいるし、あと、あんなに伊藤さん伊藤さん言っていたのに結局若い女性がいいんかい、という突っ込みも入れておきたい。それが伊藤さんに対しての最低限の礼儀だろう。
「まあ、ともかく……注文しちゃおうかな」
 価格は10万円らしい。ワーキングプアを地で行く僕だが、10万くらいならある。倹約家ではないつもりなのだが、他人からすれば、僕はあまりお金を使わないタイプらしいのだ。もっと使いなよ! と言って僕を風俗に誘った男が一人居るのだけれども、僕は丁重に断った。その時の友人の悲しそうな顔。僕は彼を笑顔にしたくて「前言撤回、やっぱり行くことにする」と言い出したかと言えば、そういうわけでもなく、淡々と帰りの電車に乗ったのだった。場所は新宿だった。どうでもいいが。
「よし」
 風俗通いで借金を重ねる男、というイメージを頭に浮かべつつ、僕は『購入』というボタンをクリックした。

 届いたラブドールは想像以上に人間の肌を、とりわけ女性の肌をリアルに再現したものだった。
 ……まあ、僕は女性の肌を触ったことなんてそれこそ、幼稚園の頃、クラスで揃って遠足に行った時くらいなもので。手をつないだ女の子、僕の(緊張による)汗ベトベトな手を握ったとき、露骨に嫌な顔していたっけなぁ……。
 嫌な思い出というのは月日が経っても決して忘れないものである。僕がその良い例と言えよう。
 事はともかく。
 今日一日を使って僕はラブドールを堪能しようと思っていた。取り扱い説明書なんて見ない。それこそ、生身の女性と接するように僕はこのラブドールと接するのだ。ドールじゃない、これは人間なのだ、そう自分の頭にインプットさせてまずは……。
 手を握ってみた。やはり、冷たい。それは仕方がないか、けれども、なんだろう、ドールの手を握ったら脳裏にふつふつとあの子の顔が浮かび上がってくるではないか!
 あの子というのは幼稚園の頃、僕の手をいかにも「汚い!」と言いたげに握った女の子のことである。ここに来て再登場するとは……ドールには不思議な力があるらしい。
 目もなんだか……こう言ってはナンだが、今にも動き出しそうで怖い。ここまでリアルに『女の子』を作れる日本の産業。将来はどうなってしまうのか。まあ、その将来とやらは数十年先のことだろうし、その頃には僕はもうこの世に居ないからどうでもいいんだけれどね。
 ……作業に集中する。目は確かにリアルなのだが、よくよく見るとやはりその瞳には何も映っていなく(当たり前だが)、人形のものだと分かる。目は口ほどに物を言う、なんて諺があるが、その通りに、この人形の目は何も言っておらず、だからこそ人形であると分かる。気持ちが冷めるか? と僕は自分の心を観察してみたが、まだまだ大丈夫なようだ。先ほど手を握ったときの、ほんわかした気持ちを思い出してみる。
 ……なんだろう、今の僕、鼻の下が伸び切っているような気がする。
 よーし、思い出したぞ、これは人情じゃなく女の子だ!
 その後、僕は手を握ったり、立たせたり、隣に座ってみたりして『恋人気分』を堪能した。等身大、と説明にあった通り、確かに僕の背よりか少し低いくらいの身長なのだが、欲を言えばもうちょっと小さめの方が良かったかなぁ、と思う。大野さんも中川さんもどちらかと言えば小柄な女性なのだし。その辺をもう少しリアルに再現してもらいたかったけれども、ネットの申し込みページには希望身長を入れる欄などなかったし、まあ、仕方ないと言えるだろう。業界の、今後の成長を望む。

「さて……」
 こういうのを魔界への扉を開くとでも言えばいいのか、ともかく一線を越えるような出来事になるであろうことは今から想像つく。
 僕は……ドールと性交を試みることにしたのだ。前々から決めていたのか、あるいはドールのあまりの女性らしさに感動して試みようと思ったのか、判断はつかないけれど、おそらく前者だろうと思う。いや、絶対に前者だ。こうなるだろうことを予測して僕は申し込みページの『購入ボタン』をクリックした。そうだろう?
 ……そうです。
 凹み気味の、心の中の僕が返事した。コイツがきっと僕の本体、コアみたいなものだ。
 日はまだ昇っているし、暑い。一応、僕の部屋には厚手のカーテンがあるけれど……あっ、カーテンが半開きだ。閉めないと。一度、覗きじゃないけれども、僕のアパートの反対側にある一軒家から見られたことがあった。確か、中学生くらいの女の子だったと思う。一軒家の裏手の道をサーっと歩いていっただけなんだけれども、一度も僕の方を見なかった。その時、僕は……これを告白するのは恥ずいのだけれども、あえて告白いたしますと……
 自慰をしていました。パソコンに向かって。
「…………」
 彼女に見られなくてよかったと今では心底思う僕なのであった。
 カーテンを閉め、作業を再開する。作業と言っちゃアレだな、これは僕と彼女の、彼女……名前は何にしよう、かと思い悩んでいるフリを一応しながら、僕は、
「よし、中川さんにしよう」
 と言った。中川さん……いいかい……入れるよ?
 と、もちろん心の中で呟きながら(この瞬間、またカーテン越しに誰かが通り抜けないとも限らないからね)身体を彼女の上で揺らしてみた。彼女の顔はもちろん変化しない。
「…………」
 うーん、ちょっと冷めてきたか? やはり顔が問題なのだ。このラブドールの顔は誰をイメージして作られているのか、参考のモデルが居たのか? 確かに誰もが認める美人といった顔をしているのだけれども、それは僕にとっては見知らぬ美人だし、見知らぬ美人だとやはり盛り上がりに欠ける。
「彼女の写真が必要だな」
 そう思い、僕は決断した。
 中川さんの写真を撮ってこよう。

 中川さんはいつも通り、食品売り場で働いていた。マスクをしてレジを打っている。このマスク姿が僕に劣情を催させるのはもう前述しただろうか? 何というのだろう、隠されているから興奮するのか、隠微に感じるのか。よく分からないけれども、隠された口元というのはイヤらしい。誰か共感してくれないだろうか? あいにくと僕にはそのような性癖を露出できるような友などいない。
「ネットで探してみようかな……」
 それはともかく。今日の僕は手元にデジカメを携えている。ここでまた告白をすると『盗撮』するために購入したのだ(!) マジでここだけの話だが……。
 盗撮は初めの頃は順調だった。しかし、日が経つにつれ、油断する気持ちも出てきたのだろう、ある日、とある古本屋さんで盗撮していたら逮捕された。署に連れていかれ、こっぴどく叱られた。「もうしちゃダメだよ」地味目な生活安全課の女性に言われ、その場で全データ削除された。悲しかった。その中のファイルに中川さんも居たのに……(!)。
 つまり、僕は中川さんを撮影するのが初めてじゃない。二度目だ。慣れというものは恐ろしい、ということを今日僕は実感することになるであろう。
 ふと見ると中川さんはレジを出て、買い物カゴの片づけをしている。客が置いていった買い物かごが満杯になったら、元の場所へ戻す、という作業のようだ。レジと買い物かごの整理、時間によって交代しているらしい。中川さんが入っていた元のレジには地味目の男が替わりに入っていた。客が居ない時、ちょいちょい中川さんに話しかけたりしている。そうか、お前もアレか、中川さん目当てなのか? 中川さん目当てというか、彼女とかできるかなー、と思ってこのバイトを選んだのか?
 僕は心の中で彼に話しかけた。
「そうです。」
 もちろん、これは彼の声ではない。そう返ってくるだろうな、という僕が想定した彼の答えである。
 中川さんが僕のすぐ傍を通り過ぎる。「いらっしゃいませ」などと一見さん相手にする、マニュアル通りの挨拶を発しながら。彼女を横目で盗み見ても、その目には何の感情も浮かんでいないようだ。
 こんなに通っているのに。気にも留めてくれないなんて。
 なんて女々しい気持ちが沸き上がってくるが、ぐっと堪える。なんだか中川さんに対する憎しみの感情までもが生まれてきた。こんなに通っているのに。あ、また繰り返している。相当、腹が立っているな、今の僕は。僕は僕の中に怒りを見つけるが、それで事がうまく運べば構わないだろう。怒りのままにシャッターを切ったる。切るよ、僕は。
 中川さん……。
 心の中でそう呼びながら、そっと彼女に近づく。付近には買い物客が一人か、二人か。別に数える必要はないのだけれども、こちらに注意を向けている客が居たら、まずい。僕は辺りをきょろきょろと見回す。よし、大丈夫なようだ。誰もが自身の買い物に夢中で、僕らの事なんか見向きもしてない。
 中川さん……。
 彼女の肢体を改めてじっくりと見回す。相変わらず、女性っぽくない体つきだ。ジーパンを穿いた脚は棒切れのようだし、胴体も細い。けれども細い脚にぴったりまとわりつくジーパンってなんだかエロいな。スキニーとか言うのかな?
 腕も白を通り越して青白いというか、ちょっと病気がちな人みたいに僕の目には映る。けれども、実際に彼女が病気だっていうことはないだろう、きっと。こうしてアルバイトしているのだし。マスクにエプロン、そして三角巾というアルバイト姿。一般の食品売り場ならきっとこういう制服に身を包んで仕事をするんだろうな、という常識的な恰好である。けれども、『制服』ということに僕は異常なる興奮を覚えるし、どうなんだろうコレ、日本男児の特徴なのかな? 制服に興奮するのって。
 だから、僕が小学生の頃に『援助交際』なんて言葉が流行ったし、言葉だけじゃなくて実際にそのような行為(小学生の僕には分からない)が行われたんだろうし、あまり聞かなくなっただけで今も、たとえばSNSやら何やらでおっさんとJK(女子高生の略)が出会い、そのような行為に及んでいるのだろう。
 僕がこうして盗撮しようとしている今まさに、この時にもきっと……日本のどこかでおっさんは女子高生を抱いているのだろう。
 僕もおっさん同様、中川さんを抱けるのだろうか? そういう日が来るのだろうか? 教えて、神様! と言いたいところだがまあ、欲望を暴走させるのはこれくらいにしておこう。
 今の僕には仕事がある。中川さんを被写体として捉え、カメラに収めるという重要な仕事が。そうして、出来上がった写真を拡大して印刷し、あのラブドールに貼り付けるのだ。そして……
「ふふふ……」
 買い物かごを集めている彼女の目がふと僕の方を向いた気がした。やばいやばい、欲望を暴走させるのはやめるんじゃなかったのか。お楽しみは家に着いてからにしよう。
 作業に戻った彼女の背後にそっと忍び込む。大丈夫だ、気づいていない。僕は彼女が動作を停止させたその一瞬を狙ってシャッターを切った。パシャリ。
 という音は実際にはしていない。コンパクトカメラというものがこの世にあって本当によかった、また、そうした時代に生まれてきたことに感謝!
 カメラをポケットに収めて歩き出す。きっとうまく撮れていることだろう。なんたって盗撮、百戦錬磨の僕だ。毎日、色んな場所を回って腕を磨いてきたのだ(!)、その努力の結晶が中川さんを収めた写真となって僕のカメラの中にあるのだ。嬉しくないわけないじゃないか。
「ふふふ……」
 堪えきれない笑いが喉元にせり上がってくるけれども、ここはまだスーパーの中。用心に用心を重ねるに越したことはないだろう。盗撮犯の掟だ。まあ、結局、最後は捕まっちゃったんだけど……。
 僕は帰宅した。

フィギュアな君と①

執筆の狙い

作者 契約社員
60.67.183.60

群像新人賞に応募し、一次で落選した作品です。以前、投稿させていただいたこともあり、またアドヴァイスをもらいたく、投稿しました。よろしくお願いします。
文字制限を少しオーバーしてしまいましたので、二編に分けています。

コメント

ぷーでる
157.65.82.154

読みやすいけど、どっかブログっぽい?

プロの審査員ではないから、正しい事は言えないけど
小説の書き方の本で読んだけど、あまりに情けない主人公はボツの対象になりやすい様な事が
書いてありました。

ここまで行くと、気持ち悪いだけでウケ狙いも絶望的かな。
ストーカーの挙句、盗撮して捕まったとか……完全に堕ちるトコまで行ってしまいましたね。
誰もが憧れる様な、主人公が出てこないと厳しいです。

これはどっちかというと官能小説?っぽい。
以上、個人の意見でした。

大丘 忍
220.219.181.62

読みやすい文章だけど、途中で退屈してしまう。よほど我慢強いひとでないと読み切れないのでは、という感じでした。
30歳になるのに童貞とは。大学生だった21歳の時に恋人と初体験した私には、まことに気の毒としか言えませんね。思春期、青春期、つまり、20歳前後と言えば男性の場合は性欲の絶頂期。その時からずっと童貞であったとは気の毒だと思いながら読みました。
ラブドールという物があるそうですね。最近、30代、40代以後でも独身(結婚したことがない)人が多いようですが、こんなものが独身男性の救いになるんでしょうね。彼女さえおればこんなものは必要ないでしょうが。
長編で、後半はどうなるのか楽しみにしております。でも、もう少し短く省略できるのではなかろうかと思いました。

u
183.176.51.134

契約社員様。読ませていただきました。

本作以前読んだ記憶が。
それはともかく感想です。文章がかなりクドイです。要するに文字数に対して情報量が貧弱ではないかと思います。つまりクドクドと描いている割には繰り返しばっかで、内容が希薄ということです。
特に前半部分は、これぐらいの情報量であればも少し推敲をして3分の1の尺にするか、同じ文量であれば3倍以上の情報を盛り込むべき(もりこめると私は思うのですが)。
上記理由により、本作は饒舌?な 前半部分で読むのを止めてしまう読者が多いのではないかと思います。(事実前回私は途中で読むの止めました。今回は読んでます)

だらだら長ければいいというものではないですよ。内容が良かったとしても、読者がもっと次を読んでみようかと思える努力はすべきではないかと思います。

契約社員様 辛口感想ご容赦くださいませ。

月とコーヒー
106.171.80.37

内容は見てないんだけど、冒頭の画面ぼぼっと傍観した範囲でも、
「記載のスタイルが、投稿作としたらNGだろうなー」って。


ここのサイト、そこを指摘すると、
「何の根拠があって〜」&「根拠を示せよ、根拠を」、
「まったく重箱の隅でしかない」&「アラシの言うことだから無視した方が安全」と、
横から変に罵倒されるんで、
あんまし言いたかないんですが、、、


ラノベやライト文系(の出版された文庫)では、非常によく見る・当たり前の書き方であっても、
出版社系〜純文系の公募だと【一次選考で落とされる書き方】ってのが実際あって、

この原稿は、いかんなくそれやっちゃってるから・・



このスタイル(本文の記載法)で、一次選考通った公募があるんであれば、
そこの公募先に出し続けた方がいいです。



とか書くと、「具体的に書け〜!」って言われるんだけども、

何度も何度も何度も、ここのサイトの、その書きようやっちゃってる「現場」で、
「とっても具体的に、ハッキリ指摘」し続けた結果が、

上記の、
「何の根拠があって〜」&「根拠を示せよ、根拠を」、
「まったく重箱の隅でしかない」&「アラシの言うことだから無視した方が安全」
一方的中傷だから。。



まあ、ワタシが表立って「その具体的指摘」しても、「中傷にまぶされて、マトモに伝わんない」し、
もう「すればするほど、逆効果」ってー、劣悪フィルードになってっから、ここ。。

月とコーヒー
106.171.80.37

一次選考通れなかった原稿ってのは、

ここで見させてもらうと、

やっぱ「落るべくして落ている」んだと感じる。


それは「内容以前の問題」なので、、、


問題箇所に気づいて、直した方が、絶対に得だと思う。

契約社員
60.67.183.60

>ぷーでるさん
お読みいただきありがとうございました! 確かに誰もが憧れるような主人公じゃないと商業作品とはなり得ないでしょうねぇ…この主人公はちょっと……自分の性癖も加味して創造してしまいました、すみません…。

>大丘 忍さん
最近は確かにいい年しても女性経験のない男性が増えているそうな…そんな雑誌の記事をよく見かけますね! 何が原因なのかは分かりませんが…やはり性欲が絶頂に達する段階で経験しておいた方が良いですよね! 30過ぎてからじゃ、少々収まってしまうでしょうから…。後半、楽しみにしてくれているのですか!? それはありがたいことです。。

>uさん
まるでブログを書くかのように…ダラダラと書いてしまいましたね。次回作はもう少し、読者の立場に立って書いてみようかと思います…。

>月さん
内容以前とは!? 具体的にお願いします…けれども、やはり僕の書いた作品は書店で売られている小説群と比べてみても変な書き方していると思うし…まずは書き方を勉強しなくちゃいけないですね!

ゴイクン
121.92.248.41

拝読しました。
といいたいのですが、400字換算で40枚位で挫折しました。
なかなか物語が動いてこないので、しびれを切らしたというわけです。

御作のテーマなり、これからどうなるにしても、このような設定は悪いわけではありません。というか、小説はどのような内容でもかまわないと思います。問題は、それが面白く書かれているかどうかです。

2点不満がありました。
1点は、キャラです。主人公は、読者である私の共感を呼びませんでした。ぐずぐずしている、ストーカーっぽい。変人、という理由じゃないです。変な主人公はプロの作品でもいっぱいいます。というか、小説の主人公はたいていおかしいやつです。

共感を得ないと言うことは、主人公のことがきちんと納得できるように書かれていないということです。納得できれば、共感もできますし、共感できないにしても、興味を持ってついていくことができます。それがなかったです。

つまり、主人公は、主役を張るだけの中身を備えていないということですね。そう書かれていないということです。私は描き方に、主人公ではなく主人公の描き方に、幼さを感じてしまいました。

2点目は文章です。いかにも推敲不足という感じです。考えて書かれていないです。
軽く書いて、多くの読者の共感を得ることができるのは、よほどの才能がある人です。
そういう人は、私も含めて、そもそもごはんには来ていません。
そうでない場合は、基礎から勉強する必要があると思います。

繰り返しが多いです。くどいと感じられた方がいましたが、同じことだと思います。それと理屈に合わない比喩とか。特に冒頭に多かったですね。

>僕はと言えば、そんな中川さんを目の前にして完全にお地蔵さん化している。彼女がレジを打っている最中、どこに視線をやればいいのか分かったものではない。昔、「コンビニでレジを打ってもらっている時、どこに視線をやればいいのか分からない」みたいなことを言っていた同級生がいた。

同じ文章が繰り返されています。これはいくら何でもひどいです。

それと、完全にお地蔵さん化している、と書かれているのですから、すでに読者はお地蔵さんの絵を浮かべています。なのに、次が、「どこに視線をやればいいのか分かったものではない」となります。お地蔵さんだから、視線なんか動くはずないです。一点しか見ていないはずですね。これは比喩が論理的じゃないということでしょうか。
 むしろ、柱にしばられた小僧の感じですね。

 暮れなずむの多用とか、リーマンとサラリーマンの意味のない区別とか、気になる所はありましたが、文章にはもっと意識的になられたほうがよいかと思いました。

辛口で申し訳なかったですが、鍛錬場なので思った通りに書かせてもらいました。
納得できない場合は、即、忘れてください。一つでも、そうだな、と思える場所があれば、参考にしてください。
それでは。

契約社員
60.67.183.60

>ゴイクンさん
お読みいただきありがとうございました! 文章への指摘……教訓としてありがたく頂きます。次回作は推敲をしっかりしてアップしたいと思います。

月とコーヒー
106.171.72.61

>>内容以前とは!? 具体的にお願いします…

↑ ですから、コメの最初に書いているように、
 >「記載のスタイルが、投稿作としたらNGだろうなー」って。

「地の文の表記〜記載のしかたが、全体に逐一マズイ」の。

公募一次を見るのって、「下読みさん」じゃん??
この状態で通してくれる下読みさんは・・

普通、いないんじゃないかなー??

(もし仮に私が下読みさんだったら、そこ=スタイル で落として、内容までは見ないですから)


たから、先のコメに、
 >このスタイル(本文の記載法)で、一次選考通った公募があるんであれば、
とも書きました。。



>>けれども、やはり僕の書いた作品は書店で売られている小説群と比べてみても変な書き方していると思うし…まずは書き方を勉強しなくちゃいけないですね!

↑ うん、まあ、「地の文の記載を、軽視するものは、一次選考落ちに泣く」だけだと思っている。



最近の公募はさー、「高校生〜二十代前半の女子」が非常〜〜に文章力あって、
その子らは、こういうサイトに毒されておらず、まっすぐ書いてる分「基本に忠実」で「文章が崩れていない」んですよねー。

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

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