作家でごはん!鍛練場
月戸井

◆夢の中の怪

◆夢の中の怪


◆登場人物
征夫
健司
和雄


○或る山小屋(夜)
三人の大学生が小さな山小屋の中にいる。ストーブにはヤカンがかけられている。ガラス窓の外には雪山が見えている。
征夫「よーし。沸いたようだ」
ヤカンを取って三人のカップラーメンに湯を注ぎ始める。
和雄「三人で食う、学生時代最後の夕飯かもな」
健司「最後の夕飯がカップラーメンか……」
征夫と和雄「ははは」


×××


三人が寝袋に入っている。健司が真ん中。
健司「春から社会人か……。あーあ。どうせ蟻みたいに働かされるんだ。和雄はいいよな。四菱だろ。俺なんか吹けば飛ぶような零細企業だ」
※健司、寝袋から両手を出す。(最後まで出している)
征夫「それは俺も同じ。あ。(和雄に向けて)そう言えば、あれ、どうなった? まだ続いてんの?」
健司「あれって? ちぇっ。俺には内緒かよ!」
和雄「馬鹿だな。大したことじゃない」
征夫「聞けば眠れなくなるぞ」
健司「何だよ! 早く話せよ!」
和雄「同じ夢を見るんだ。毎晩」
健司「夢?」
征夫「凄いのが出るらしい」
和雄「ああ。長い牙を持った、目がソフトボールくらいある、体のない顔だけの怪物だ。夜中、息苦しくなって目を覚ますと、そいつが布団の上にいる」
健司「それで?」
和雄「それだけだ。俺が声を上げると同時に、そいつは消えてしまう」
健司「声を上げると?」
和雄「(頷いてから)そのとき初めて夢だったことに気がつく。こんなのが、もう二週間も続いている」
征夫「おい。もう寝るぞ」
和雄「ああ」
征夫「おやすみ」
健司「おやすみ」
和雄「おやすみ」


×××


三人が眠っている。


○和雄の夢の中(夜)・或いは現実(夜)
和雄「ぐっ!」
目を覚ますと寝袋の上に怪物がいる。叫ぼうとするが、寝返りをうった健司の腕によって口を塞がれてしまう。
和雄「う!」
健司「ムニャムニャ」
和雄の両手は寝袋の中。健司の腕を払いのけることが出来ない。厚着しているので腕を噛んでも効果がない。顔を反対側に向けようにもリュックが邪魔をして出来ない。
和雄「うう、うううう」
怪物「カーッ!」
閉じていた口を大きく開く。


○或る山小屋(朝)
健司「ん? 何だ?」
手が床の血に触れて目を覚ます。(寝袋から両手を出している)手についた血を見る。
健司「うわわわ!」
征夫「何だ! どうした!」
健司の声で目を覚ます。そして和雄の惨たらしい死体に気がつく。首だけ残して体が失われている。
征夫「!」
                    終

◆夢の中の怪

執筆の狙い

作者 月戸井
126.161.146.146

よろしくお願いします。ホラーです。

コメント

偏差値45
219.182.80.182

詳細まで理解はしていないが、まあ、面白さはありますね。
しかし、結論が安易すぎる点、バッドエンドの点、
なにか工夫が出来るような気がしますね。

夜の雨
114.184.205.149

せっかくの雪山ですから、吹雪いているという設定にしたらいかがですか。それに主人公たちの登山道具などを描写する。そうすると、雰囲気が出ます。(細部に魂は宿る)。
御作を読む限り、「雪山での小屋」という設定が生かされていません。都会のマンションの一室でも、話を語ることはできます。

小説にしてもシナリオにしてもそうですが、「伏線」をうまく設定する必要があります。
今回の御作では「※健司、寝袋から両手を出す。(最後まで出している)」が、伏線になっています。
和雄の夢の中に出てくる「怪物」は怖いですが、「俺が声を上げると同時に、そいつは消えてしまう」という設定なのですよね。
ところが、健司の腕が和雄の口をふさいで、声を出せないということになります。
うまく「健司、寝袋から両手を出す」という伏線を張りました。
>和雄「(頷いてから)そのとき初めて夢だったことに気がつく。こんなのが、もう二週間も続いている」<
このあとに、「なぁに、声を出すと奴は消えるから大丈夫だ」と、余裕のありそうな一言をつけておくと、よいと思います。(この一言は、声を出さないとやばいという伏線になります)。
――――――――――――――――――――――――――
和雄「三人で食う、学生時代最後の夕飯かもな」
健司「最後の夕飯がカップラーメンか……」
―――――――――――――――――――――――――
これを狙って書いているとしたら、月戸井さん、演出の仕方がうまいと思います。
「最後の夕飯」になったわけだし。伏線がダブルになります。

月戸井
126.161.191.189

偏差値45さん。
読んで下さって、ありがとう。
その工夫が難しいんですよね。うーん。
その工夫が出来ればいいと思います。

月戸井
126.161.191.189

夜の雨さん。
読んで下さって、ありがとう。
吹雪いている方がドラマチックかもしれません。
声で怪物が消えるという設定は分かりにくいとは思っていました。
「最後の夕飯」の部分は言われて気が付きました。本当に、そうなってますね。

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