作家でごはん!鍛練場
阿呆鳥

映画は戦場だ!/戦場も映画だ!(前)



「ええ、毎度バカバカしいお噺を一席。昨今景気回復に見えてながらも仮想通貨ちゅう何やら胡散くせえモノに殺到する、バブルよもう一度!てな浅ましい連中もおりますし、オリンピツク特需を狙って、ドコでナニをやるかなんざ知らねえし興味もないンですがね、あたしが住んでおるボロ・ビルヂング周辺でもシエア・ハウスやらゲストハウス、カモナマイハウスは江利チエミさんでしたっけ、ともかく東京の中心も外れもオリンピツク・バブルに突入せンとしております。どうせ閉会したらモクズの泡、下落するのは確実で新たにこさえし競技場も活用されず廃墟と化すンでしょうよ。長野オリンピツクを見なさいな。やっぱし人間は歴史から常にモノゴトを学ばねばならず、愚行を繰り返すはまさに愚人軍人群馬人ですよ、ってあたしゃ軍人サンと群馬の方々を差別しとるわけじゃありませンぜ!反復しとったらゴロがあっただけで使わせてもらっただけで、悪意はござンせンので殺すのはやめてちょンまげ!で、こほン。オリンピツクに噺を戻しますとですな『オリンピツク憲章』だったかですか、それには『オリンピツクの開催時は記録映画を撮らなければならない』とある訳でして、その取り決めが決まる前だか後だか、1936年のベルリン・オリンピツクではかの女性監督レニ・リーフエンシユタールが撮りました。題名はソノモノ『オリンピア』です。マアあの大会は〈総統の五輪〉と呼ばれ決して後世に評判は芳しくありませんが、映画はヴエネツイア國際映画祭で最高賞に輝きましたし、我が國が誇るグレイト・スイマー前畑秀子嬢は金メダルをゲツトしましたが、秀子嬢よりも有名になっていいのかよ、『前畑頑張れ』と実況したアナウンサーのアンタ!マア映像の素晴らしさゆえに〈ナチのプロパガンダ〉と後年になりリーフエンシユタールは追求糾弾され、惜しいかな素晴らしき監督としての才能を戦後発揮出来なかったのであります。可哀想に。それと同じ眼にあう寸前だった映画もありますね。1965年は東京五輪、記録映画担当は大巨匠、市川崑であります。これもあたしがオギヤーと生まれる前だったからよく分からんのですが『記録か芸術か』論争に発展したと聞いてはおります。しかし映画『東京オリンピック』は大ヒットし、市川監督はのちにも名画を発表する事が出来ました。本当に良かったですねえ。あとは1968年のイム・グルノブール冬季五輪の『白い恋人たち』ですか、あのシャラララララーン、シヤラララララーン、シヤララララシヤララララシヤラララララン、ちゅうフレンシス・レイが作曲したテーマ曲が有名ですなあ。で、忘れてはならぬのが1972年がミユンヘン・オリンピツク。試合の内容なンて覚えてる奴ぁ居ねえ、ってこりゃ暴言ですが、ナニせあのパレスチナの『黒い十月』がイスラエル選手団をしと質をとり籠城、まだ対テロ訓練を受け取らんかったゲルマン警察との息詰まる攻防戦でしたから。本家オリンピツクよりもそちらを記憶しとる諸氏が多いンじゃないすかね、マツタク。あ、あ、あああ!有名なタイトルと、八人の監督が撮影した異色のドキュメンタリ映画『時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日』があったじゃナイすか!このおバカさん!水ぶくれ!代謝不完全人間!ともかくあたしゃ見ての通りのメタボな不細工ですがね、アスリートは個人の為に戦うべきであり國家を背負っちゃいけませンと思いますよ。ぶつぶつ」



「して、今回の主人公で、騒動を起こすかどうかはまだあたしには分かりませんが、メキシカンのアルフレド・ガルシア君です。ガルシア君はリオ・グランデを泳いで渡って来た不法滞在ではなくれっきとした留学生です。元々はメヒコの巨大農場主であるエミリオ・フエルナンデス・ガルシア閣下の三男坊で、長兄のホセ、次兄のエルネスト、そして弟のアントニオと分割相続してもかなりの農地です。しかしアルフレド・ガルシア君は映画オタク、アメリカで修行して末はメヒコで壮絶なエピツク・ロマンを撮りたい、との野心がありまして、威厳を保ちながらも息子たちには甘いおとっつぁンセニヨール・フエルナンデス・ガルシアは許しUCLAつまりキヤリフオルニア大学ロス・アンジエルス校への入学だか留学だかを許可しました。エルマノス・ガルシアすなわちガルシア・ブラザーズも応援します。『アルフレド!お前はアメリカノ・マリスカルたるハワード・ホークス並みのマチスモになって帰ってこい!』『グラシアス!エルマノ・マジヨール・ホセ!』『オンブレ・ブランコは俺らを野蛮人と云うが、メヒコはかのルイス・ブニユエルもサルバドール・ダリも、アレハンドロ・ホドロフスキも愛した土地だぜ!バルバロス・アメリカノスに野良犬扱いされても俺らはマチスモ、へこたれるなよ!』『シ、エルマノ・マジヨール・エルネスト!』『兄貴は決闘でふたりも殺してンだ。そう簡単にケツまくらねえ。で、何年たっても待つから、映画を俺らのクニで取ってくれ。あの〈ワイルド・バンチ〉以上のな』『サシー生意気な事を云いやがってアントニオ、ははは!待ってろよ!おれが監督するからおまえは助監督だぞ!おまえも後から来い!』『ノ!俺はウニヴアシダド・ナシヨナル・アウトノマ・デ・メヒコ、メキシコ國立自治大学に入学し政治家になってやる!末はプレジデンテよ!』『ヴイヴア、フアミリア・ガルシア!』と、まあガルシア家ではアルフレド君入学日の前週までフエスチヴアル・デ・フレネシ狂乱の宴でした」



「ま、レイ・デ・メヒコの倅とは云えアルフレド・ガルシア君は厳しいしつけを受けたので、キヤリフオルニア大学ロス・アンジエルス校で映画の授業を受けながらも同大学のデーヴイス校に通いては農業のお勉強もしとる留学生の鏡です。ジリヘンシア勤勉。どこぞの國のボンクラみてえに『受験戦争を勝ち抜いた後のキープ・レスト四年間』じゃねえンですよバカヤロー、キサンらおっちね!ともかくこほン、映画についての勉強はモロチン農業も学んでおり、ヅエロデホノール名誉の決闘をしふたりを射殺した事もあるマツチヨ・ラチーノでコールマンしげを生やしたイロオトコ、いろンな映画撮影現場でアルバイトをするのですが結構モテモテです。某有名女優らの撮影時に与えられるトレーラー・ハウスへアクトリズ女優たちから誘われますがラチーノの分際でラ・ヴエルグエンサ・デ・ロス・ホンブレス・ノ・コンメル据え膳喰わぬは男の恥とは思わず辞退しております。いやあ、我々ニツポン人はラテン系にはマツチヨで女ったらし、ヤマトナデシコを妊娠させたら國へ逃げ帰るし怯者どもと常々偏見を持っとりますが、アルフレド・ガルシア君のように高潔なマチスモ・ラチーノもおるんですねえ」



「忙しくも充実としたしび、アルフレド・ガルシア君がスタツフとして働いておる現場で撮影しとる映画は<ビリー・ザ・キツドvs人喰いクロコダイル>ちゅう名前からしてフンパンもの、映画館、ドライビング・シアターでは一週間は公開するもののあとはヴイデオ・スルー、海外のバイヤーどもにビツグ・バジエツトな映画と共に抱き合わせで販売する目論見がミエミエの、映画とは決して云えぬシロモノなンですが、そこでもアルフレド・ガルシア君はふて腐らず嬉々とした毎日です。それにアルフレド・ガルシア君は前述しましたが十代の若さでパラ・マンテネー・ノラ名誉を守るための決闘を行ってふたりは撃ち殺しておりますからチンケな俳優よりも拳銃を抜き構え、撃った後の仕草は様になっております。で、温厚しかしスピツク呼ばわりされてはいないけンども誇り高きラチーノであるアルフレド・ガルシア君は監督に意見をします。『オラ、ヂレクトル』『何かね、君は学生アルバイトのアルフレド・ガルシア君じゃないか』『エスツヂアンテ学生の分際ながら意見させて頂きたいのですが』『構わンよ。どうせこのクズ映画は予算と撮影期間さえ守ればそれで良いンだ。観るヤツなンか誰もいないサ』このクズ映画を監督しとるハーマン・ロバートスンはハーヴアート大出身で、かつてはインヂペンデンス映画を撮ってはそれらがアカデミー賞たる〈サンダンス映画祭〉において賞をもらい、いずれはアメリカ映画を背負ってたつ有望株、と呼ばれました。しかし当時は若く、荒唐無稽で御都合主義なアクシヨンモノや恋愛モノの監督に指名はされたモノの、リアリチーをめぐりプロジユーサーと衝突を繰り返し、ビツグ・バジエツト映画を撮る事が出来なくなりました。ならばかつてのNYインヂペンデンスが巨匠ジヨン・カサヴエテスやジム・ジヤームツシユのようにならば良かったのですが、マアそこまでの芸術肌の持ち主では無かったので、Z級バカ映画の監督として諦観、メガフオンを持っとりました、はい」



「『この映画でビリー・ザ・キツドと敵は決闘しますよね。で、ビリーが終始不敵な笑顔を絶やさない、って云うのは良いイデアつまりアイデアだと思います』そこでロバートスン監督は満足げな表情をします。『それは俺のアイデアなんだ。まあペキンパー監督の〈パツト・ギヤレツト&ビリー・ザ・キツド〉へのオマージユ、と云うかパクリナンだがな』『ソレをあえて使うロバートスン監督、あなたは決して無能なヂレクトル監督ではありません』『そ、そうか。まあ、職人監督、くらいは呼ばれてえなあ』『それでサシー生意気ながら』『聞くよ』アルフレド・ガルシア君はロバートスン監督に耳打ちします。『実はですね、僕は若気の至りで決闘を行い、ふたり射殺した事があります。シユダツド・ナタルのメヒコで』『ななな何だと!』『ペロ、血に飢えたマチスモではありませんから怖がらないで下さい』『そ、そうかね。ではガルシア君のアイデアを聞こう』『いえ取り立てて云うほどのモノでは。今でもアメリカン・ウェスト・プレイはスパゲツチイ・ウエスタンの影響下にあります。これ見よがしの細かいカツトのつみ重ね、エクストリーム・クローズ・アツプなど。それは造り手の意向ですからおいときますが、ヤツパシ納得出来ませン。ビリーの相手がホルスター上で指をピクピクさせる、これはドエロ決闘経験者ですからまずないと云っていいでしょう。それからフアニング扇うちは行いません。やっぱし抜いて狙いを定めた上で撃つ。それから』ガルシア君は熱弁を振るいました」



「とまあ、アルフレド・ガルシア君の決闘指導に感心したハーマン・ロバートスン監督はガルシア君の意見を大幅採用するどころか『俺の助監督になってくれ!』と懇願します。しかしまだ映画撮影においてはヒヨツこでヴエテランの撮影スタツフに命令できるポシシオンではないと断り、まあ妥協の結果としてアセサー、アドヴアイザーとして参加する事を承諾します。ロバートスン監督はホンを書き直し、と云うか別物にしとる暴走っぷりです。で、控えつつも自分の意見を述べるガルシア君に対し、まあ所詮ヴイデオ・スルーだからさっさと仕事を終わらせウチに帰るべえと考えておったスタツフは反発しますが、ガルシア君の熱意とかつては若手有望株の監督だったロバートスン監督が取り戻したカリスマにだンだンとほだされ、俄然やる気となります。そう云う撮影録音ほかのスタツフたちもかつては映画青年、もうZ級映画を撮っているっちゅう諦観は何処へやら、連日スタツフ皆が意見を述べあい、見事なモノに仕上がりつつあります。予算は少ないですから小道具は自分や知り合いから借りた持ち出し、大道具もなるたけ本物を調達してきます。マア盗みですね。その熱意は俳優たちにも伝わり、連日セツト外では銃の練習、キヤンプ暮らしでたくましさを身につけました。ホントにワニと戦う者も。そうこうして〈二十一世紀に蘇ったビリー・ザ・キツドが人喰いクロコダイルと闘う〉ちゅう荒唐無稽な話が〈代々ワニを撃ち殺し革細工職人として生きてきた、誇り高き三世代の物語〉と云う低予算ながらも文藝的作しンへとコペルニクス的転廻をします。製作会社はかけてもドライブイン・シアター、こんな映画をハイスクール・ボーイズ・エンド・ガールズが見るか!クエンチン・タランチーノすら無視するぞ!と激昂しますがロバートスン監督はもはやサンダンス映画賞を獲った頃の気分にさかのぼっており『これは傑作だ!一般映画として上映してくれ!赤字なら俺はアメリカン・シビル・ウオー以来の邸宅を売っぱらって補填するし、何なら俺がこのフイルムを買い取る!いずれにしても失敗ならジヤパニーズ・ハラキリかます!お願い!』と土下座しました。その鬼気迫るサマに腰が抜けた製作会社首脳陣は、ともかくNYとロスのアート・シアターで上映する事にしました。マアZ級映画製作会社重役と云えども、おあしが欲しけりゃナンボでも仕事はあったのに、あえて映画会社の門を叩いたのは、かの大天才マエストロ、アメリカ映画大学院総長であるロジヤー・コーマン大先生さなりたかばい、ちゅう願望もあったのですから」



「めでたく『ビリー・ザ・キツドvs人喰いクロコダイル』は『ザ・レザー・クラフツメン/リヴイニング・イン・ザ・スワンプ』と改名どころか内容がマツタク違うじゃねえかよ、と云う映画となり上映されました。ところが各大手新聞や雑誌の映画欄、モロチン映画専門誌は大絶賛です、はい。マア、アート・シアターでの公開ですからふつうインテリどもしか見ませんわな。ところが連日白人黒人ヒスパニツクエイジアンら、大学講師からスシ・バーの板前に至るまで、異なる職種の人間が並ンでます。で、製作会社は慌てて配給会社と交渉、全米公開に踏みきりました。で、クソツタレ死にやがれくたばれ地獄に堕ちろこのトンマどもテメエラポツプコーンが売れりゃあ構わねえのかサノバビツチだいたい共和党員が取った映画はイーストウツド除いては殆ど無視でさンざスコセツシを無視しといて『ヂパーテツド』ナンてキワモノ映画にオスカーが値するかよボケナスのクソバカ野郎どもが世界の覇王気取りもいい加減にしやがれフアツキン・ユアレイジーバスターマザー・フアツカーどもの集合体ド腐れハリウツド人種ども貴様ら有色人種が必ず襲撃かますから首を洗って待っておれ退廃のインチキセレブリチーどもが、と映画マニアが極めて控えめに述べておるハリウツド・ブロツク・バスター映画には低予算でしたから敵いませんでしたが好評絶賛アメアラレ、上演を延長する小屋が多かったらしいですわ」



「で、全米で公開となった『ザ・レザー・クラフツメン/リヴイニング・イン・ザ・スワンプ』ですが、当たりです。大、ではありませんが再演小屋が次々と。諦観しておったハーマン・ロバートスン監督は数十年の沈黙の末復活を果たした巨匠テレンス・マリツクと同様の扱いを受け、彼とドライブイン・シアターで上演される映画で脇役ばっかしだったチンピラ俳優デニス・シーザー・ウエルズとソフトコアポルノ女優メーガン・ロザリオ・クーリツジは雑誌『タイム』の表紙を飾りました。ロバートスン監督の相棒かつハーヴアート大からのルーム・メイトで撮影監督のダグラス・メイフイア・ギルモアは雑誌で〈名撮影監督コンラツド・L・ホール、クレツグ・トーラント、ネスター・メルデンドロス、ハスケル・ウエクスラー、ゴードン・ウイリス、ヴィルモス・ジグモント、ラズロ・コヴアツクス、ヴイツトリオ・ストラーロ、ジヨン・A・アロンゾ、タカシ・カワマタ、テツオ・タカハ、ダイサク・キムラ、セイゾウ・センゲンらにしっ敵する才能の持ち主。ヤヌス・カミンスキーを上廻るが、カズオ・ミヤカワには残念ながら及ばない〉との賞賛を浴びます。そして多々ある賞を受賞し、アカデミー賞の時がやって来ました」



「最優秀作しん賞は逃しました。しかしですな、最優秀監督賞、脚本賞、撮影賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、録音賞と、賞の独占ですな。で、受けた連中はシルヴエスター・スタローンがごとく一夜にしてアメリカン・ドリームをゲツトしたのですが、そのリストに入ってなかったガルシア君をみな『崇高なるラチーノ、アルフレド・ガルシア君にこの賞をささげる!』『オレが賞を取れたのはアルフレドのおかげだ!グラシアス・アル!お前が監督デブー作で問題が生じたら、邪魔な連中はオレ様デニス・シーザー・ウエルズが力づくで追っ払うからよ!』『親愛なるアルフレド!アナタの第一回監督作品の主演女優はわたしメーガン・ロザリオ・クーリツジよ!助演でも構わないけど、オフアーを寄越さなかったらポトマツク川に身を投げちゃうンだから!』『ハーマンはこのダグ・メイフイアが長年の相棒。しかし君との〈浮気〉も悪くない。待っているぞ、アルフレド』と、唯我独尊がポリシーたるアメ公どもが分際のくせして皆アルフレド・ガルシア君を誉めたたえました」

10

「そこで図に乗りテメエを売り込んで〈雨後のスピルバーグ〉あるいは〈タランチーノ症候群〉の暗黒に堕ちるアルフレド・ガルシア君ではありませンでした。映画と農業の勉強の傍に映画撮影現場でのアルバイトは続けておりました。噂はもうハリウツド全部に伝わっており、あちこちから誘いの魔の手悪魔のささやきが幾多も。そりゃガルシア君はいつかは映画監督になると云う夢はありましたよ。しかし学業もまだ中盤なのに浮かれては自滅が待ってる、とクールな考えで誘いを断り続けました。そして映画と農業の勉強を続け、そして農村整備計画と云うベクトルがま逆でありますがその勉強を始めました」

11

「ロバートスン監督のオフイスです。『オラ、アミーゴのアルフレド!』『よして下さいよ、ロバートスン監督。僕はあくまで雑用、テタス・グランデス大物ぶっては行かンのです』もう親友と化したハーマン・ロバートソン監督、かつてはリアリストでしたが今は丸くなり、あくまで予算と期日を守るのがモツトーに趣旨替えしましたから働きがいがありました。『そう云うところを俺は買ってるンだぜ。君の夢はハリウツドでは無くメキシコでエピツク・ロマンを撮影するのが夢。そうとなれば俺は助監督で働くからよ』『それはオナー光栄ですが』『君は我が師でありアミーゴでもある』『セ・テミド照れます』『マア勉強はそこそこにして、脚本と人の動かし方を勉強したまえ。アルフレドはマツタク偉ぶらない。それは監督になるには無用のシロモノ、スタツフには心を鬼にしてし情に接しなくてはならン』『ま、僕はクルーに丸投げしますよ。脚本に妥協はしませんが』『それならそれでいい。話は変わるが、君のおかげで今ンとこだが俺は一流監督の仲間入りさ。メジヤーが依頼してくるのは文藝作しンばかしだ。君が手と知恵を貸してくれた二本は当たった上シヨーロン家からも大絶賛だ。それはそれで悪かないが、毎廻だと肩がこる。俺はライトで馬鹿馬鹿しい映画を撮りたいンだ。云うならばビリー・ワイルダーがごとく』『ルホソ、ゼイタクな悩みですね』『ナンダカ〈ビリー・ザ・キツドvs人喰いクロコダイル〉とかのドライブイン・シアターで上映するクズ映画を撮ってた頃が懐かしいよ』『あれは〈笑われる映画〉でした。監督以外では取れませんでしたが』『でアルフレド。何か美味しいネタないかなあ。オリジナルのネタが思いつかないンだ。今の俺は職人だから』ガルシア君は腕を組み、口をしらきました。『ロバートスン監督。僕に一つシナリオの構想があります。ペリクラス・フアモサス有名映画のパロヂーですが』『面白くバカバカしいなら何でも構わン。失敗したらまたZ級映画の監督に戻りゃいいンだし』『それどころか監督はマイケル・チミノ扱いされるかも知れないのですよ』『だったら尚更だ。奴さンは〈映画会社をぶっ潰した最低最悪の監督〉として世界映画史に名を残してンだ。あすこまで破茶滅茶なら俺は構わないさ。何でも云ってくれ』『では恥ずかしながら。〈シチニンのサムライ〉のパロヂーなンですが』『むう。アキラ・クロサワが〈ザ・セブン・サムライズ〉か。あれは公式非公式問わず亜流が多いから、馬鹿げた話にはならンだろう』『まあ聞き流しても結構ですから。時はハポンがペリオド・センゴク。とある村の中央でアグリクルトレス百姓どもが深刻な顔をして集まっております』ハーマン・ロバートスン監督のしょう情がしきしまりました」

12

「ここからはあたしの口を通してアルフレド・ガルシア君がシナリオの話を。モロチンあたしの口調と解釈に妄想をつけ加えてです。リーダー格の百姓が悲痛な顔で立ち上がって怒鳴ります。『俺はもう辛抱できねえよ!』『落ちつくだ李吉』『だってよ、野伏どもが攻めてきたときは、馬に乗ったヤローどもを竹槍でブッ刺し、足軽どもには弓矢に石つぶての雨を浴びせ、逃げるヤローどもは落ち武者狩りで奪った刀で片っ端から首刎ねる、それが年一度のカーニヴアルじゃねえか!去年はビビりやがったか来るはゼロ!これじゃあストレスが溜まってやる気が起こらねえよ!』『そうだべなあ』『毎年野伏どもが攻めてきちゃ皆殺し、連中の首を刎ねて竹槍にブッ刺しては村の入り口に立てといたなあ』『欲求不満ずら』そして村の庄屋さンが意見します。『ワシもおンなし意見だが、ここは長老のじっつぁんに相談すンべえ。なんせじっつぁんは都の大いくさ、いわゆる〈応仁の乱〉を知ってるし、剣豪将軍の足利義輝さまから草履を頂いたと云うからよ。ワシはホラだと思っとるが』『じゃあ行くべえ』庄屋と村人四人が村はずれにある長老の家へ向かいます。李吉が答えを促しました。『どうすりゃいいンだ、俺たちは』で、長老は答えました。『サムライ雇うだよ!』庄屋は唖然とします。『しかし長老、サムライ雇ったらかえって野伏どもはビビって来ないだよ』『そこは抜かりなしじゃ。雇うのは弱虫ばかし、村に連れ帰ったら〈村に腕自慢と称するサムライがやってきて、毎夜酒を呑み女を抱き、カンシャク起こしたら面白半分にしゃく姓の首を刎ねている〉と喧伝すらば、〈くそ、そいつらだけいい思いしやがって!連中を追っ払って俺らが支配したる!〉と思ったバカ野伏どもが攻めて来るであろう。そこで我らが勇猛果敢なしゃく姓たちが連中を血祭りじゃわい、ウシヤシヤシヤシヤ!モロチン、雇ったサムライにも消えてもらうがの』『でも吹聴するだけで良いのでは』庄屋は難渋します。しかし長老の両眼がカツとしらきました。『念の為じゃ。ボンクラ野伏どもが偵察を行う可能性も無きにしも非ずじゃわい』『おお、理にかなっておる!では李吉、茂輔、千造、与八の〈木野川村武闘派四天王〉は間抜けなサムライの調達じゃ!山を下り街へ行くのだ!』『おうよ!』と四名のツワモノしゃく姓は大歓声を浴び村を出立しました」

13

「そして街に到着し、李吉らは間抜けなサムライを探し始めました。屈強な李吉はまずサムライどもにメンチ切りながら道を歩きます。ところがサムライは眼をそらすか身をひそめるか、声をかけらば『しゃあ!お助けえ!』と逃げます。そして筋骨隆々、けど間抜けな顔をしたサムライが向こうからやって来ます。〈こいつなら!〉と、李吉は肩をいからせながら間抜け面のサムライにメンチを切ります。サムライはカチンと来て『どけしゃく姓の分際で!』と怒鳴ります。『ここは天下の往来だ。てめえっちからどけ呼ばわりされる筋合いねえよ』『こ、この!』間抜け面のサムライは太刀を抜きます。そして悲鳴がこだまします。『謝らばこの太刀をしまう!そのくらいの慈悲はわしにもあるぞ!』『へっ何を云ってやがる。二本差しが怖くて目刺しが喰えるかよ』『おおおのれ!』サムライは太刀を振りかざし、李吉に振り下ろしました。が、李吉はその刃を両手で挟みました。歓声が上がりましたがサムライは茫然自失です。『しし、真剣白刃取り!』で李吉はすかさず刃にチヨツプを喰らわし折りました。『何でえ、これっぽっちかよ。小太刀もあるンだろ?今度はそれでかかって来いや!』サムライは失禁、這いつくばると逃げました『お、お助けえ!』周りは拍手喝采、歓声の洪水です。李吉は呟きました。『間抜けさでは眼鏡にかなったが、ああも腰抜け野郎だとすぐに敵前逃亡するだろうよ。そうとなりゃ俺が殺すンだが』さすがは〈木野川村武闘派四天王〉のしっ頭ですわな」

14

「サムライと見るやメンチを切る李吉でしたが、どうもしっくり来るサムライはおりません。茂輔と千造、与八と毎夜ヂスカシヨンです、はい。『今日の首尾はどうだった、李吉?』『だめだ、俺が真剣白刃取りを見せてやったら小便漏らして逃げやがった。お前はどうだ、茂輔?』『槍持ってるサムライに喧嘩を売ったンだが、オレが鍛冶屋の石臼を軽々持ちあげてヤローの足元に投げつけたら槍ほっぽって逃げやがった』茂輔は戦利品の宝蔵院流かと思しき槍を手にしてました。『どいつもこいつも。千造は?』『おらもおンなしだ。弓矢使いでよ、片っ端から放ちまくるから飛ンで来た矢総てを手で掴ンで折ったら逃げただ。間抜けで弱いのは大歓迎だが、すぐケツまくっちゃあ話になンね』『おれはしとり見つけたンだが、めちゃくちゃ腕も人柄も良くてよ。〈ははは、野伏の数およそ四十騎だと?わしだったら、見栄は張るが五騎は斬る。であるが守るは攻めるより難しいからのう。四方に備えて四名、後詰めに二名、わしを含めて七名。お主らはしゃく姓とは云えわしと同じく人間。であったら助け合ってこその仲間ではないか、わははは!まあわしに任せよ、何せ老躰であるから礼も報酬も知行も、名誉どころか命すら要らぬわ!〉って云うから〈あ貴方の様な高潔なお方でしたら、おれの村から西へ二里離れた所に同じく困っておる村があります!そこの方が悲惨なのでそちらへ!〉〈そうか。ではそちらへ参ろうかの〉って追っ払ったわ』『ナンか俺たちのやり方、間違っちゃいねえか?』みなさま、どう思われますか?」

15

「である日、大きな山門を構えた屋敷の前にしとだかりが出来ておるので〈木野川村武闘派四天王〉はのぞき、野次馬に話を聞きました。『いやの、逃げてきた盗人があすこの納屋に立てこもっててよ』『ならばここにいる男たち総出でかかれば良いじゃないのサ』『そうだで。だから女房どもは竹槍こさえて突撃かますつもりだったンだが、ここの坊主を人質に取ってよ』『ガキなンざまた作ればええ。じゃあ茂輔、千造、与八。俺らで突っ込むぞ』『おうよ』『まあ待つだ。何だか知らンが貧しい身なりをしたサムライがワシに任せよ、って云うから任せる事にしたンだが。ほれあすこにいる』李吉らが野次馬が指差す方を見ると、托鉢の坊主にテメエの頭を剃らせてる、乞食同様の身なりの老いたサムライがおりました。『何してンだ、あのジジイのサムライは?』茂輔が問います。『分がンね。あれが云うには握り飯をふたつ用意しておけ、との事』千造は腕を組みます。『何だか知らンが高みの見物、としゃれこむべえ。サムライが失敗すりゃおらたちが突っ込ンで盗人を血祭りにあげたるわい』『そうだな』そして剃髪を終えたジジイのサムライは坊主から袈裟を借り、握り飯を持って盗人が立てこもる納屋へ向かいました。李吉たちは気づきませンでしたが、まだ前髪を残してはおりますが背は高く二枚目な若サムライと、人足の風躰でバカ長い刀を持った筋骨隆々で苦みばしったイイ男もその場におりました」

16

「坊主になりきったジジイのサムライは納屋前で腰をおろしました。『だ誰だおめ!来たらガキの命はねえぞ!』『案ずるな、出家じゃよ。坊主とお主、腹が減ってるだろうと思い握り飯を持って来た』『だまされねえぞ!どうせ一服盛ってンだろ!』大声で野次馬が陣地に盗人の絶叫が聞こえて来ました。『ち、バレちまった』李吉は舌打ちする野次馬に問いました。『あの握り飯に毒を盛ったのか?』『石見銀山まではいかねえけど、あれ喰らわばしばらくして眠りに落ちる強いのを』与八は李吉の袖を引っ張ります。『やっぱしおれらが突撃してカタつけようぜ。どうせ盗人一匹、その辺りから鎌でも借りてよ。幸いにも茂輔は売れば結構根が張りそうな槍持ってる』『ようし、そうとなりゃ』そこで若いサムライが美声を発します。『いやまだ待つのだ』『む、おサムライさン。あンたも突っ込みたいのか?』見眼麗しい若サムライは老いも若きもおんなならイチコロにさせる笑みを浮かべます。『そうでは無い。賊が立てこもってもう一日は経つと云うでは無いか。ならば賊は相当空腹、それにやけっぱちであるから、どうせくたばるなら最期くらいは白い飯を喰らって死ンでやらあ、と握り飯に手を伸ばすはず。そこで賊の手を掴ンで納屋から引きづり出して斬る。私ならそうするな』『へえ、なるほどねえ』『成功するか失敗するか、それはあのご老躰の腕次第であるが。私は諸國修行中の身ゆえ、軍学も勉強しなければならぬ。ゆえに野次馬として見守っておるのだよ』そこで千造は李吉にささやきます。『若いがこのおサムライさン、なかなかの眼の持ち主だンべ。おらは気に入っただよ李吉』『でもよ千造。真面目すぎやしねえか?俺たちの目的はあくまで野伏どもをおびき寄せ皆殺しにする事。サムライどもはそのまき餌だ』『なンの、この若サムライは軍学の勉強中って云うから、野伏相手のいくさ、って云えば興味を示すさ。この若さだとモノホンのいくさにはまだ参戦させてもらえないだろうから』『ボンクラばかしじゃおれらはトサカに血が上って雇ったサムライを殺しちまう恐れがあるから、その歯止め役だな』『与八が云う事もっともだ。じゃあこの一件が終わり次第声かけてみっか』と、〈木野川村武闘派四天王〉は見届ける事にしました」

17

「そして話は僧に扮したジジイのサムライに。『まあ落ち着け。子供も空腹なのにどうして毒を盛ろうか。ともかく、一個投げるから坊主に喰わせてやれ』ジジイのサムライは握り飯を納屋の中へ放り投げます。そしてしばらく様子は分かりませンが、坊主が握り飯を平らげたのでしょう。で、納屋から声が。『毒は盛られてないようだな。俺にもよこせ!』『ははは、わしは出家じゃ。毒を盛るなど、し怯し劣な真似はせぬ。ではお主のも』老サムライは残った握り飯を右手に持って投げようとします。『ム、ど、どうした事だ。右手が握り飯を離さぬ!ワ、ワシそう云や三日間水のみで何も口にしておらなンだ!ええい、この際ガキがどうなろうと知った事か!辛抱タマラン!』ナント、ジジイのサムライは握り飯をほうばってしまいました!納屋からは『お、俺の握り飯!』野次馬からは『誰だあのジジイに声かけたのは!』『しゃしゃり出て来たンだよ!』そしてし鳴です。『じゃあ俺らが突っ込むか』李吉たちは戦闘モードです。そこで納屋からは刀を手にした盗人が現れます。『ジジイ!よくも俺の握り飯を!ナマスにしたる!』『お、オタスケエ!策士サクに溺るる!ワシはやっぱしまだ死にとうない!アグネスチヤン!』腰を抜かした老サムライは這いつくばって逃げようとしますが前には一向に進みませン。そして盗人は刀を振り上げます。『先に地獄へ堕ちやがれ!俺も後から行くからよ!ぐわ!』な、ナント盗人の胸に小太刀が刺さっているではありませンか!投げたのは若サムライでした。盗人はよろめきます。『む、むうもはやこれまで。ならばせめてジジイだけは道連れに!』そして人足の風躰をした男がハヤブサがごとく盗人に駆け寄り、一刀両断、盗人の首はスポーンと飛ンで行きました。それから長い刀を地面に突き立て納屋に入り、子供を抱っこして出て来ました。『ガキは無事だぞう!』『坊や!』おっかさンと思しきおんな、そして野次馬たちは納屋へ殺到します。野次馬は『すげえ!』『まさに電光石火!』『芝居小屋でおいらはトシローちゅう二枚目役者を見た事があるンだがクリソツ!』『若いおサムライさンの小太刀を投げる技も半端ねえなあ!』と喝さいの嵐でしたが、若サムライと人足姿の男はそれらを無視して、それぞれオノレの得物をサヤに収めます。そこでふたりは無言で互いをねめつけるもすぐにおんな殺しの不敵な笑みを浮かべます。まずは若サムライから。『貴公の身のこなしと一刀両断の腕前、只者では無いと見ました』『あンたの小太刀を投げる腕前も大したモンだったぜ。あれがなきゃ、おれはああも奇襲に成功していなかった』『ごケンソンを。ところで私の名は岡本太郎次郎と云う、武者修行中の青二才です。貴公のお名前をお聞きしたいのですが』『なめえナンて忘れちまった。まあ竹千代、とでも呼んでくンな』『では竹千代どの。合戦が起こらば共に戦いたきモノですなあ』『おれもおンなしよ。じゃ、あばよ』謎のサムライあるいは人足、竹千代は去りました」

18

「そしてスイート・ボーイたる岡本太郎次郎を、李吉、茂輔、千造、与八ら〈木野川村武闘派四天王〉は連日ストーカー状態、後をつけまくり声をかけるタイミングを伺います。別に恐れておったのではありませン。太郎次郎があンまし格好が良いので見ほれてたのです。一例を述べますと、茶屋の娘をてごめにせンとしておったサムライ二人を抜いた刀で一閃返す刀で一閃と斬り助けてやったり、子供に竹とンぼ作ってやったり、荒くれ者の人足集団十人を投げ飛ばしたり、老婆を背負って半里の道を歩いたり、そのババアはすっかり惚れ込み若かりし頃の宮崎美子クリソツべっぴン孫娘を紹介し『若さま!ぜひ孫娘をもらって下され!うちは金貸しから酒造りなど幅しろく商売をしとるゆえ、若さまは一生しだり団扇ですぞ!剣術を続けたいのであらばわしが土地内にでっかい道場さこさえるゆえ!この老い先短しばばのお頼みお聞き下され!そなたも頼むのじゃお桐!そなたは〈三國が一の美貌〉と讃えられしおなごぞ!この若さまなら申し分無きところが文句を云うは狂ったも同然じゃ!』『おばばさま。あたくしの気持ちなンてイヤン、とても恥ずかしくてバカン、云えませぬウフン、その先はチヨメチヨメ』と恥じらいつつも燃え盛るおんなの眼で太郎次郎を見つめたり、とマア街じゃあ〈岡本太郎次郎フアンクラブ〉が結成され、絵師が描いた、今で云うブロマイドがバカ売れ、太郎次郎が行くところミーハー街娘がついて廻る、と云う状態でした。しかしつきまとうは〈木野川村武闘派四天王〉とミーハー街娘だけでは無く、くだンの乞食サムライもおりました」

19

「そこで〈木野川村武闘派四天王〉の千造が云います。『このままじゃあラチがあがンねえ。村じゃ収穫が近いしよ、今年は豊作だあ。野伏どもをおびき寄せるには絶好のチャンスだべ』『千造の云う通りだな。よし、俺が声かけてくらあ』襟元を直し、手にツバし後ろに流した髪をなでつけるや李吉は走り出し、岡本太郎次郎を追い越しました。『おサムライさま!』太郎次郎は李吉の顔をしげしげと眺めました。『確か君とは以前どこかであった事があるな』『へえ、あの盗人籠城事件の時でさあ。いやあ、あの時のおサムライさまの読みと腕前に、我らしゃく姓どもは感激しました』『よしたまえ。些細であり、とうが昔の事。私はあれしきの事を誇らしげに喧伝するような、愚劣極まるサムライにはなりたく無いのだ。それは私もサムライの末席に置かれている身であるから名誉欲はある。しかしまだまだ修行中の身ゆえ早いと思っているのだよ』『ではその修行となる、と云うは失礼かと存じますが、我々しゃく姓が困り事、それはおサムライさまがいらっしゃれば解決すると云う話を、聞くだけ聞いてくれないでしょうか』『フム、私が修行、それにおしゃく姓が困っている。聞き捨てならないな。何せおしゃく姓は國が宝。無いがしろにするは上に立つ者の器足らず。私が役に立つかは分からないが、そこの茶屋で』そこで空気を読ンでねえジジイのサムライがヨボヨボとですが追いつく事に成功しました。そして一喝。『無礼であるぞしゃく姓ども!このお方、若が行く末は一國一城の主たるぞ!』太郎次郎はジジイの顔を見ました。『確かあなたは、先刻の籠城事件の際に。策は良かったと思いますがねえ、与えるはずだった握り飯を食べちゃあダメですよ』『申し訳無いです。何せ空腹だったモンで』『このジジイ、空気読め!これから俺たちは太郎次郎さまに大切な話をお聞かせするンだ!すっこンでろ!』『こ、このドンしゃく姓の分際でサムライたるワシに軽々しく!』『ナンだジジイ、やる気か?茂輔、槍を貸してくれ。このジジイを串刺しにしたる』『あいよ』茂輔から宝蔵院流の槍を借りた李吉は構えました。『シイ!』『俺はしゃく姓だが、しゃく姓なりの仁義と情けは持っている。ジジイの名前とクニは?串刺しにしてぶっ殺した後は首を落とし、テメエのクニに届けさせるからよ』『しと殺し!』そこで太郎次郎が仲裁に入ります。『マアマア。サムライの極意は〈敵をどう討つか〉では無く〈どうし屈にならずしとを敵に廻さないか〉であって、闘わずして勝つ、が王道。おしゃく姓さンもその槍をおさめて下さい。〈お年寄りを大切にしよう〉は古今東西の仁、と云うモノですよ』『そ、そうですね。このクソジジイ、太郎次郎さまのお顔に泥を塗る訳にゃ行かねえから勘弁してやるけどよ、今度ナマ抜かしたらぶっ殺すからな!』『ぐむう』そこで与八が口を出します。『では立ち話もナンですから、ここはふンぱつして小料理屋でお話しましょう。勘定はおれらで持ちますから』『そうですか。修行中ゆえ酒は程々にしますが、おしゃく姓がたの生活、具体的に云うと田畑の開墾計画と労務時間、穀類の生産に流通と通貨の関係、支出に減価償却、節年貢対策、管領代官との交渉術、利水権分割条件、森林開発、後継者指導などには前々から興味を持ってましたので、お聞きするだけでも勉強となりのちに役立つしが来るでしょう。参りますか』『ありがとうございます!』『では若、此奴らにつき合ってやりましょうか』『誰がテメエに声かけた!』『シイ!』と、岡本太郎次郎と四天王、乞食サムライこと高田助兵衛は小料理屋〈うを奴〉へ向かうのでありました」

20

「で、武闘派四天王は村の状況と云うか野伏どもについて熱弁を振るいました。モロチンし頃のうっぷンばらしに連中を毎年虐殺している事は内密に。『フム。やはりサムライたるモノ、上ばかり見ておっては駄目だな。下も見てこそ天下が分かると云うモノだ。あなた方には失礼な云い方であるけれど』太郎次郎は盃をもう幾度も重ねておりますが一向に酔うそぶりを見せませンでした。『ではこの岡本太郎次郎、若輩ながらもあなたたちおしゃく姓のいくさで存分に働いてみせましょう』『ほ、本当だべか!』『ええ。聞くところによると李吉さン方は野伏相手に毎年苦しンではおります。しかし村がある、と云う事はせン滅する迄は行かなくとも追い返している訳で、戦闘を皆さンお持ちなのでしょう』李吉が答えます。『ええ。武将配下の足軽ほど統率されてはおりませンが、竹槍訓練はしゃく姓仕事の合間に欠かさず行っておりますから』『で、村の地形は?』『おい千造、説明して差し上げろ』千造は布袋から村の地図を取り出し説明を始めました。『おらはいくさ事の専門家では無いですから下手な事、ご容赦くだせえ。まンず、北は山、東は川、西は畑、南は田んぼです。野伏どもが攻めて来るのは大抵山からの一本道、それも馬っこさ乗ってです。川は肩が浸かるくらいの深さですがね。畑では麦、大豆、芋などをこさえておりまして、田んぼはモロチン稲でさあ』『千造さン、道幅は?それと野伏どもが東・西・南から来た事は?』『道幅は狭く、馬っこ一頭通れるくらいでさあ。それと山以外からも野伏どもは攻めて来ましたがね、どいつも腰抜け、いや手こずりました』それで太郎次郎は腕を組みます。『と云う事は、山から攻めて来る連中が本隊、騎馬隊だな。親玉が率いるツワモノどもであるからここを死守するためには、まあ最低三人。川は身動きが思うように取れないであろうからおしゃく姓さン組のみで十分。問題は田畑だな。話によると野伏は収穫後に襲撃すると云うので、どっちも更地。しかし稲を刈り取っても水を張ればぬかるんで野伏どもは難儀するだろうから、田ンぼは二人。畑も落とし穴作ったり罠を張り巡らせば侵攻しづらい土地に出来るから二人。しめて七人、と云うところかな』『さすがは若、ワシもそう思っておりましたワイ』李吉は立ち上がるなり助兵衛にビンタをかましました。『テメエはすっこンでろジジイ!殺すぞ!』『シイ!』『マアマア李吉さン、助兵衛どのも今では立派、とは云えませンが乗って来られた以上は仲間。許してあげて下さい』『マ、太郎次郎さまがそうおっしゃるならば。テメエ、太郎次郎さまに足向けて寝れねえンだぞコラァ!助兵衛!』『わ、分かっておりますがな』『では、私は若輩者ですから大将はおしゃく姓さン方のリーダー的存在である李吉さン。私は補佐いえ参謀、と云う形で。よろしいでしょうか?』『た、太郎次郎さま、ナントおしかえめな方!俺はあなたのためなら死ねます、いえ死ンでみせます!』『オレもです!』『ただいぃのちのある限りぃ、あぁたしぃは愛したいぃ!』『だからお願いそばに置いてね!今はあなたしか見えないの!』『愛しちゃったのよう、ララランラン!』『ここでぇいっしょに、死ねたらぁいいとお、すがる涙のいぃじぃらぁしぃさぁ!』『悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に!』『それでもぉ恋はぁ、コォイィ!』と武闘派四天王は太郎次郎に完全心酔です。『私はサムライの端くれですから〈武士は己を知る者のために死す〉で、私ごときにあなたがたが尊い命を捧げるとあらば私も喜ンで死にましょう』『ワシは畳の上で』『ナンならここで死ぬずらか』『トムウエイツ!』と、〈木野川村武闘派四天王〉の計画がスターチングです」

21

「報告と収穫の準備をさせるために李吉は千造と与八を村に返し、太郎次郎が助言のもと五人のサムライを探す計画がリブートです。結果を云や五人を集める事が出来ました。結構苦労続きでしたので選抜した、当初の予定であったデコイのサムライどものエピソードに絞って述べましょう」

22

「まずは両山六兵衛です。太郎次郎と李吉、呼ンでもねえのについてきた助兵衛が街を徘徊し終え、宿に戻った所で眼をつけました。その時の六兵衛、もとい博奕サムライはガキと賭け事をしとりました。壁に銭を投げりゃ跳ね返りますが、その返りの距離が短い方の勝ち、マア、スチーヴ・マツクイーンが主演映画『シンシナチー・キツド』でおなじみですわな。それにガキ相手ながら博奕サムライは真剣師ソノモノ、眼はヤマネコでした。ガキが云いました。『おサムライさン、まだやンの?九回やったけど総ておいらの勝ちだったジヤン。おいら早く帰って〈論語〉を読みたいンだけど』『やかましい小僧!拙者には拙者なりの、サムライの意地と誇りに面子があるのだ!』『って銭あンの?』『ある!拙者が取られたは九文で、懐にちょうど十文ある!拙者は九文張り一文投げるから、小僧も九文張れ!拙者は土壇場で盛り返す、強い男なのだ!』ガキはため息をつきました。『マアそれでおサムライさんの気がおさまるならば。けど負けたからっておいらを斬らないでよ。切捨御免は後の世になって〈公事方御定書〉で定められて許されたンだから』『シノゴノ云うな!参るぞ!』で、大きな子供と小さな大人は壁に一文投げました。結果はガキの一文の方が壁に近かったので、博奕サムライの負けでした。『ち、畜生!』『あーあ、また勝っちゃった。これで十文はおいらのモノだね。でもおサムライさン、ナンだか可哀相だから五文返してもいいぜ。今夜の宿賃も無いンだろ?』『やかましい!武士は食わねど高楊枝、であるぞ!』『じゃあもらっとくわ。今日も論語読みだ。〈論語読みの論語シラズ〉って云われるのは悔しいから意味も考えようっと。とにかく復唱。師、のたまわく』ガキは去りましたが博奕サムライは地団駄を踏ンでおりました。そこで太郎次郎は博奕サムライを指差しました。『あの御仁、結構イケてますね』『あれ、がですか。太郎次郎さま?』李吉はいぶかりました。『確かに子供相手に真剣勝負を挑み、負けては悔しがる。見た眼は惨めですが、いくさとならば俄然フアイトを燃やすタイプと云えるでしょう。あの御仁は負けを素直に認めておりしととしての美徳を保たれております。そして悔しがるのも人間らしくていいじゃ無いですか』『なるほど。さすがは太郎次郎さま、読みが深い』『ワシも同意見ですワイ』『ホントに殺るぞジジイ』『じ、冗談じゃ』そこで太郎次郎は李吉と助兵衛に指示を下します。『まあこれは私の洞察眼を鍛えるため。他にも色白ありますが、李吉さンはあの御仁を呼ンで下さい。私は宿の戸口裏に隠れ、棍棒を上段に構え、撃ち込む準備をしております。助兵衛どのは、そうですね、奥でデーンと構えて座ってて下さい、あの御仁に見えるくらいに』『マア太郎次郎さまの云う事する事に間違いは無いのは分かりますが、後学のためです。真意をお聞かせ下さい』『ワシには分かったワイ』『ナンだジジイ、分かるのか』『ワシは歴戦のツワモノぞ。まず李吉が宿屋に彼奴を呼ぶ。すると宿代も無い彼奴は今晩の宿は安泰じゃウハウハと喰らいつくぞな。そこで若がガツンと一撃喰らわせる。そこでワシが出番ぞ。〈これ以上痛い眼にあいたく無くば、ワシらの命令に従え〉と脅す。そうして彼奴はワシの、いや若の家来ぞな、わっはっは』『なめてンのかジジイ!中坊のカツあげじゃねえんだぞコラァ!やっぱし殺る!』『ともかく各自、ポジシヨンについて下さい!殺すのは駄目です。半殺しならば』『わ、若!』『ここは我慢してやるが、あとでヤキ入れかましたる』そうして助兵衛は年寄りらしく帳場前に座り、太郎次郎は棍棒を構え、李吉は泣きべそをかいておる博奕サムライを呼びに行きました」

23

「李吉は博奕サムライに声をかけます。『そこの夕焼けが良くお似合いになるおサムライさま』『ナンだ拙者の事か?』『左様で』『ポン引きなら他をあたってくれ。拙者は今晩の宿賃はおろか、飯代にも事欠いておる有様じゃ』李吉はあらためて太郎次郎の優れた洞察力に感心しました。〈サムライは強かろうと弱かろうと、テメエの弱みをそう簡単にあらわにはしねえ。コイツは素直なヤローだ。結構イケるかもな〉。そして声をかけました。『いや、俺はそンなイヤラシイ存在じゃござンせン。とあるおサムライさまに仕えとるモノですが、宿の窓からあなたさまが賭けに夢中になっていらした様子を旦那さまが見て興味をお持ちになりまして』『ナンだ、見られておったのか。勝っておらばサマになったのにのう』『イエイエ、あなたさまの負けっぷり、うンにゃ子供相手でも勝負とならば本気をお出しになる姿に旦那さまはえらく感服されまして、ぜひご一献差し上げたいとの事でお声をかけた次第であります』『そうか、拙者の負けっぷりが肴となるならば、お誘いに応じるかの』そして李吉と博奕サムライは宿に向かってきました。太郎次郎は息を軽く吸い止めました。助兵衛は表向きデーンと座っておりますが、手にはもしもの場合は逃亡、そのための眼潰し用に砂を握っておりました。し怯し劣なヤツです事。そして運命の時がやって来ました」

24

「李吉は宿の戸口前で止まり、右手を奥へ向けました。『帳場前におりますから、どうぞ』そして博奕サムライは一歩進んだところで足を止めました。李吉は声をかけました。『どうなすったンで?』『わははは、さっきは負けたが今度は拙者の勝ちのようじゃな。その戸口にいる、役者もドーラン落とさず逃げ出すほどのイケメン若侍どの!』『お見事!』太郎次郎は棍棒を投げ捨て博奕サムライの前で片膝をつき頭を下げました。『ご無礼のほどご容赦を!』『いやはや、中々スリリングな賭けであったわい!さっきの負けはこれで返したぞ!スッキリした!』『私も修行を重ねる事が鍛える事が出来ました。私は岡本太郎次郎と云う、全國を武者修行中の青二才です』『なかなかの男前である事も拙者の勘働き通り。拙者は両山六兵衛と云う、いくさよりも博奕がナニよりも好物なサムライじゃ。お主とは気が合いそうだで、以後よろしく』『私もですよ六兵衛どの』ここで李吉が口を挟みます。『太郎次郎さまに六兵衛さま。これはどう云う事で?』『私はまだ未熟者ゆえ出来ぬ芸当だけども、優れたサムライは〈見切り〉と云う技、と云うよりも熟練された勘を持っているのだよ。つまり、しとの気配、特に殺気だな、それをいち早く見抜く。私は本気で撃ち込む気でいたから、六兵衛どのの様な優れた御仁ならばきっと察知すると、私は賭けたンだよ李吉さン』『へえ、おサムライは剣の腕だけじゃあ生きちゃあ行けねえンですね』『拙者は優れてはおらぬ。ただ賭けに出て勝った。それだけじゃ、わははは!』『いやあ、太郎次郎さまといると俺も少しですが利口になった気になれますよ。ともかく両山六兵衛さま。実はですな、今回知行恩賞に関係が無い、おサムライサン方にはフンパンモノのいくさがあるンで、その人材スカウト中だったンでさあ』『ほう、ナニやら面白そうじゃの』『まあソコではナンですから中へどうぞ』『そうさせてもらうかの』六兵衛が戸口前のドブ板に足を乗せた途端に板が割れ足はドブにハマり、前のめりとなりました。『こ、今度はドブ板を踏み抜くとは!また負けてしもうた、うわ!』バランスを崩しつつ片足で前進する六兵衛は助兵衛に衝突しました。ちなみに助兵衛、太郎次郎が放り投げた棍棒が見事に命中した時点で失神しておりましたが。しかし博奕打ちとしてのプライドは守りまして、三和土にある金属で出来た丸い粒をしろいました。それがマア、銀の粒!『負けた次にはこのようなジャツク・ポツト!だから博奕はやめられんわい!儲けは二の次だ!金銭はともかく、充実感よ!』と狂気狂喜凶器でした。マアともかくその後はじゃンじゃン呑みまくり〈いくさは博奕だ!勝利した際の恍惚感、敗北した際のうらぶれ感こそ総てなり!〉との信念をもつ博奕サムライ、両山六兵衛が仲間として加わったのでありました」

25

「次は森田平七です。見つけてきたのは李吉と共に残った茂輔です。茂輔は李吉以上のマチスモです。その巨躰を猫背に、両手を腰に差しながら街道をぶらつくサマはまさにチンピラ、二本差しでも戦國大名配下の武将でも眼を合わさず通り過ぎて行きます。でサムライに喧嘩を売りますが、大抵〈しゃく姓相手に本気が出せるか〉と捨て台詞を吐いてトンズラかますか、かかってきても茂輔のしだりストレートでノツク・ダウンで勝負になりませン、って〈カモのサムライ〉を探しに来たのにやっとる事は〈サムライ狩〉。野伏よりも〈その男凶暴につき〉です。で、イラつきを鎮めようと酒も出す茶屋に入りました。『親父さン、一升ますで一杯!』『あいよ』茂輔は一升のポン酒をイッキに呑み干します。マア一升ますと云っても当時は各地でそのサイズはバラバラで、全國統一ますにしたのがかの織田信長公と云われており、当時は清酒として透明な酒にする技術は無く白酒つまりドブロクでした。勉強になりましたね。ともかく茂輔はもう一杯注文し、突出しで出された里芋の煮っころがしを突きながら店の親父に話しかけました。『しかしナンだな。戦國の世、下克上の時代って云ってもよ、サムライにロクな奴ぁいねえな』『そうですなあ。敵の首を取って出世したるとイキってる連中が多くとも、しと皮むけばナンパなヤローばかし。あたしはバカな夢を良く見るンですがね、サムライの時代は終わり、しゃく姓は年貢の代わりにゲンナマで税をおさめる時代が到来でさあ。確か〈シホンシユギ〉って云いましたっけか』『面白え事を云う親父さンだな。じゃあサムライはどうなるンだい?』『モロチンいなくなりまさあ。でも〈チヨウヘイセイ〉って掟が出来、若い奴らが〈グンタイ〉ってところへ入っていくさをします。それで唐の國と、西にあるっちゅうでっけえ國〈おろしや〉といくさして勝ちまさあ。しかしその後は天竺よりも遠くておっとろしい〈メリケン〉って國といくさし負けて〈グンタイ〉はバラバラ、その代わりに望んだ人間が〈ジエイタイ〉ってとこに入って足軽になる時代がやって来るンでさあ。あくまであたしが見た夢ですが』『ま、オレにゃ平和な世よりも荒れた時代の方が性に合ってるンだがね』そして親父が茂輔の顔をまっつぐ見ます。『お客さン、もしかして木野川村の茂輔さンじゃ?』『そうだけど、どこかであったっけ』『いや無いですがね、茂輔さンの噂はかねがね聞いとるンで』『ほう、オレはただのしゃく姓だぜ?』『もう街道筋じゃあ〈木野川村のレツド・ドラゴン〉〈北葛の怒れる牡牛〉だの〈モスケ・ザ・サムライキラー〉〈インセイン・フアーマー・モスケ〉その他モロモロ。茂輔さンのおかげでこの街道筋は平和ソノものナンですが、荒くれ男どもや呑ンだくれのサムライがマツタクいなくなっちまったンで、ウチみてえな酒を出す店は売り上げ減でさあ』『そりゃすまンことしたなあ』『いえいえ、最近しそかなブームって話の〈カブキ〉を見せる小屋主に鞍替えしようと思っとるンで、はい』『〈カブキ〉か。オレも河原で一度観たこたあるが、面白かったな。流行る事間違い無えと思う。じゃあ親父さンの商売ハンジヨウ祈願だ、オレの勘定で一杯やってくンな』『では遠慮無く』店の親父も一升ますにポン酒を注ぎ、半分つまり五合を一気に呑みました。『お、結構イケる口だねえ』『いやあ仕事中の酒ほど五臓六腑に染み渡るモノは無いですからなあ。後ろめたさで』そして一升ますを空にしました。『そういや茂輔さンはおサムライを探してるとか』『そうだが』『いえね、ウチで従業員として働いてもらってるのがサムライでね』『ほう〈サテンサムライ〉とは。腕はどうナンだい?』『しと相手に刀抜いてる事は見た事無いンですが、まき割りをさせりゃ天下一品ですぜ。何せ、へっつい用の薪はモロチン、ウチで出してるハシは奴さンが作っとるンですが、その電光石火たる腕前や、辻居合をレパートリーとしとる大道藝人に引退を考えさせるほどのスゴ腕でして』『そいつぁ面白え。オレも見とくか』『今やっとりますから、裏で』『じゃあゴチになったな親父さン。今度会うときは、あンたは〈カブキ〉の小家主だ。観に来るからお代は負けてくれよ。勘定とほら話の礼金、ここに置いとくよ』『毎度あり!くれぐれもウチのサムライ・ハンチングは駄目ですよ!』と茂輔は店を裏口から出ました。予感予言がのちにドンピシヤ、的中するのはご存知ですわな」

26

「店裏です。まき割りサムライの齢は若くも無く老いても無く、です。上半身は肉躰労働中なので裸、ぜい肉らしきモノはありません。まき割りサムライを見ながら茂輔は考えます。〈フム。親父さンが云う通り、大した腕前だ。しと相手ならば唐竹割りにするも可能であろう。だが最近、稽古ではずば抜けた腕だが実戦では役立たず、そう云った道場サムライが多いと聞くからな。彼奴がそうであったらば囮としては好都合。彼奴にしとくか。だがすぐにトンズラかますかも知れねえし。どうしたモノか、ふーむ〉。『これ、ソコでナニをしておる?』まき割りサムライの声で茂輔はわれにかえりました。『あ、これは失礼しました。オレもそういやまき割りは最近かかあに任せっきりでしてねえな、と』『まき割りは良いぞ。まずストレス解消になる。太刀筋は正確になる。筋力はつく。汗をかいて気分は爽快となる。それに何よりも』まき割りサムライは〈モスケ・ザ・サムライキラー〉を摂氏マイナスセヴンにさせる笑みを浮かべました。『しとを斬らずに済むからの、ニヤリ』『そ、そうですか』『ま、わしはまき割りを続ける。しかしわしが考案した流派〈薪割森田流〉を見せたくてしょうがなかったのだ。代金は要らぬから街土産として見てはくれぬか?』『へえ、タダでしたら』『それでは行くぞよ』まき割りサムライは輪切りにされた木を〈まき割り台〉に乗せました。『さて、ここに置きましたるまあるい輪切りにされた木、見事にハシにまでしてあげましょう、まずしとつがふたつ、ふたつが四つ、四つが八つ、八つが十六、十六が三十二、三十二が六十四』次々と斧を振るっては細切れとする様を見て〈インセイン・フアーマー・モスケ〉の顔がまっつぁおになりました。〈こ、このサムライ、出来る、出来るぞ!振るうは刀では無く斧だが、いや斧であればこそしとりで野伏の四、五十人は殺しまくるに違いねえ!〉。その間もまき割りサムライのスゴ技は続き、木はハシどころか楊枝となってしまいました。『こりゃイカン。親父からは楊枝の注文は受けておらなンだのに。〈薪割森田流〉が〈ミゾレ斧〉。どうであった?』茂輔は手を叩きまくりました。『ハンパ無え、のしと事でさあ!』『これで村への土産話が出来たろう、茂輔』『ええ。この話を村の連中に話したら、って、どうしてオレの名前を知ってるンすか!』〈木野川村のレツド・ドラゴン〉と呼ばれた茂輔は完全に蛇に睨まれたカエルでした。『いやの、わしは一ヶ月前からここで〈薪割森田流〉をさらに完璧な剣術にするため修行しておった。それでおぬし茂輔、通称〈サムライキラー〉の名を耳にしたのだ。こう見えてもわしはサムライ、いずれ相手にする時が来るだろうと待っておった。では勝負と参ろうかの』『ち、ちょっと待って下さい!』『そう云えばおぬしは丸腰。得物はわしの大小を貸す。わしは愛用が斧〈当麻法苦〉を使うので尋常に勝負じゃ』『け、結果は分かってますがな!ダンナが勝つに決まってますよ!』『ケンソンは無用。勝負には時の運、も関わって来るからの』勝負はすでについておりました。云うまでも無く茂輔が負けです。『し、勝負の前にオレの話を聞いて下さい!ダンナが納得されなかったらオレも大小を差しますから』『ではそれまで休憩、とするかの。勝負はその後じゃ』」

27

「茂輔は村人が野伏を虐殺する悦楽についてはモロチン語りませンでしたが、まあ野伏が毎年襲撃する、って事だけはまき割りサムライに伝えました。言葉を選びながらです。だって、下手な事云ってバレちまったらまき割りサムライの得物〈当麻法苦〉で脳天かち割られ、それどころか全身を細切れ豚肉しとパツク298円状態にされるはしつ定ですから。汗びっしょりで話終えた茂輔ですが、まき割りサムライは寂しげな顔をしました。『さっきは勢い良く見せたが茂輔。実は、わしはしとを斬るのが怖いのだ』意外な返事で驚きの茂輔です。『で、でも森田平七さまほどの手練れであらば、おしとりで足軽組、そうですなあ、三十人、いや五十人は軽いでしょう。それどころか侍大将の首をはねて仕官を果たし、旅の雲水から聞いたンですが目下売り出し中でツワモノの〈松平四天王〉たる酒井忠次、本多忠勝、榊原康政、井伊直政とおンなし、うンにゃそれ以上の武将になれた事でしょう』『そりゃ昔は斬りまくった。だがそれはおのれを守るためだ。そうしてあるしわしははっとした。わしが斬った足軽やサムライどもには女房子供がいたろうし、わしがその家族を不幸にしたのでは無いか、と。いやそうなのだ』『でもいくさに馳せ参じた時点で、サムライと足軽は覚悟してたンすから平七さまだけの責任じゃないですよ』『だがわしは気を病ンでな、とある大名の軍勢から去った。しかし剣術は我が青春であったので捨てられぬ。それでハタから見らば〈熟練のまき割り師〉を装い剣術に励んだ。弟子はおらンし取るつもりもない。だが〈薪割森田流剣術〉を編み出した。後世に残ろうと、わしと共に消えようと構わン』オトコらしいですなあ」

28

「茂輔は頭をフル稼働させました。〈森田平七さまが心の中では、しと斬りは嫌、しかし未練が、とのアンヴイヴアレンスな考えが拮抗してるンだな。箸にも棒にもかからないサムライを集めるのがオレたちの目的であったから、手練れのサムライを雇うのは危ない。だがこの御仁はしと斬りに嫌気がさしておっても、我が村に同情を示してくれた。だからしとは斬らせず、かの〈薪割森田流〉を、おんなどもが斧はモロチン、鎌、包丁を殺りく道具として使えるよう伝授させよう。ナニよりもこの最強最恐なサムライを野伏どもよりも前に手中におさめてた方が、連中の攻撃力を半減どころか三分の一くらいには落としてるもおンなしだからな〉と、浅はかながら一応理にかなった考えをした茂輔はあらためて野伏撃退の囮、では無くミリタリー・アドヴアイザーとしての参加を要請しました。森田平七は黙って頷きました。『もう殺りくはご免じゃ。しかしおしゃく姓を生かすためならば、わしは参加しても良い。何せおしゃく姓たちは國の基盤であるからな』『ありがとうございます!この〈木野川村の闇を駆ける猛牛〉こと茂輔、森田平七さまのためなら死ねますし、死ンでご覧に見せます!』『死なずとも良い、泥を飲ンでも生きるのだ』〈薪割森田流剣術〉開祖、森田平七は〈木野川村大虐殺団〉に加わる事を了承したのでありました」

29

「平七を渡したくなく泣き喚くサテンの親父です。『茂輔さン!しき抜きは駄目だと云ったでしょ!』『マアそう云うな親父。米一升渡すから。ナンならもう一升』『世話になったの。この森田平七、親父の親切は終生忘れぬぞ』『こ、このエピソードを〈カブキ〉芝居のホンとして書いちゃうンだから!恨みます死ぬまで!あなたを!そしてあたしは、途方に暮れる』と茂輔は平七を〈男ながら〉身請けして宿に帰りました。そこで平七は一礼しました。『拙者、もといわしは〈薪割森田流剣術〉の森田平七でござる。もっとも道場は無く、弟子もおりませぬ。しとを斬る事には嫌気が差しておりますが、おしゃく姓衆の危機を黙って見過ごす様ではまさに〈義をみてせざるは勇なき事なり〉。お役に立つかは分かりませンし、すぐにくたばるかも知れぬ、齢ですから。それでもいくさまでの間、よろしく仕り候であります』その様を見た太郎次郎は深く頭を下げました。そして云いました。『平七どのの両肩の盛り上がり、それは道場の門弟相手、それも竹刀で次々と撃ちすえて鍛えたモノではありませんね。私が察するに、斧や鉄棒を一気呵成に振り下ろす事を何べんも繰り返したツワモノ、豪のもののふが身につけた鋼鉄の肩。生意気云ってすみませン』ソコで平七の眼は鋭いままでしたが口元に笑みを浮かべました。『いやはや、わしも生意気を云いますが、前髪も下ろしておりませンのにその洞察力、オトコ森田平七感服しました。齢はわしの方が重ねておりますが、御大将の器ですわ。命令くだらば、何でもやってのけます』太郎次郎は苦笑しました。『私はまだ諸國修行中の身ですから大将など大げさです。あくまでも大将は木野川村のおしゃく姓である李吉さンです。もう勇敢なおしとですから』李吉は頭をかきました。『いや、俺は村のリーダーであるだけで、おサムライさまから軍事戦略を学び、指示に従い野伏どもをせン滅するだけです。俺の事は李吉、とモロチン呼び捨てで結構です』平七は李吉をじっと見つめました。『フム李吉。あンたの貫禄、いくさに出れば足軽大将どころかサムライ大将としてもおかしくは無いほどだ。しかし大地と共に生きるおしゃく姓として生きてゐる。わしは敬服しますぞ』『もう平七さまほどのもののふに誉められたら顔からしが吹き出すほどでさあ!』『拙者は両山六兵衛。博奕サムライじゃ。で貴公、平七どのは博奕を、って高潔な人物であるから失礼な質問じゃな。忘れてくだされ』『何をおっしゃります六兵衛どの。わしだってカタブツじゃありませんよ。遠國の大名同士がいくさを起こした時や、辻での果たし合いを目撃した時は、些少ながら賭けを行います』『そうか!では今度一緒に街に出て、小遣い程度の遊び博奕をしましょう』『純粋、不純かもしれませぬが好奇心が満ちますから。お手柔らかに』『では銭抜きで一丁。かの〈甲斐の虎〉武田晴信公と〈越後の龍〉上杉輝虎公は永年に渡るライヴアル同士。平七どのはどちらが勝つと思います?拙者は〈最強の騎馬隊〉を持つ晴信公が勝つ、と思っておるのですが』『いや、わしは輝虎公だと思います。何せ現在もご壮健なれど〈軍神〉として崇拝されておられる差配の天才』『決着が着くまでに拙者らは生きておられるか。マア賭けに負けた方が勝った方の背中を流す、と云う事で』『良いでしょう六兵衛どの。しかしわしの勝ちは決まってますよ』『そのお言葉、丸々お返ししますぞ平七どの』『両公は近いうちに何度目かは忘れましたが〈川中島〉でいくさをおっ始めると聞く。楽しみですなあ、はっはっは』ここで絆が生まれようとしているのに、空気が読めねえ助兵衛のジジイが勝手に発言します。『マアマア各々方。ワシは若こと岡本太郎次郎さまの側近としてお仕えす、歴戦の勇者たる高田助兵衛であるゾ。いくさは直に体験しておるので、ナンでも聞くが良かろう』そこで李吉が立ち上がり、助兵衛の顔面に左右のフツクを浴びせました。『痛いぞナ!何するか!しゃく姓の分際でサムライに手をあげる身の程知らずメ!』『誰がテメエを側近として認めたンだよ!それに歴戦の勇者が乞食まがいの格好してるか!あンまし舐めた事抜かし続けると、太郎次郎さまから叱責受ける覚悟の上でテメエを穴掘って埋めるからな!覚悟しとけ』『生き埋めは嫌じゃ!』『はははは、厳しさもしつ要ですが、お年寄りには優しく、ですよ、最近はバイタリチーあるご老人もおりますがね』『わかりました太郎次郎さま』『若!これまでお仕えした歴戦のツワモノ、じいの高田助兵衛を、しゃく姓以下と見なすのですか?』この役たたずに見下された李吉の怒りはマグマとして噴出、太郎次郎の戒めを破り、完全にブチ切れ助兵衛にムチがごとし右キツクを喰らわせました。『スケトウダラ!』『俺の名前を云って見ろ!俺の稼業を云って見ろ!俺の性格を云って見ろ!聞いてやるが、テメエの身分を云って見ろ、だ!』『お、お主の名前は李吉で、おしゃく姓さまで』『はあ?聞こえんナア』と、マア目しょうの七人まで先は長いのでした」

30

「平七歓迎の宴を終えた数日後、毎度の事サムライ探しです。その日、太郎次郎は李吉に基礎軍事戦略を講義し、高田助兵衛はぎっくり腰のため床に伏せってたので両山六兵衛と森田平七はサムライ探しで街に出ました。茂輔もですが、気分はナーヴアスでした。〈囮、役たたずのサムライ雇うつもりだったのに、凄腕ばっかし集めちまった。太郎次郎さまは人格は高潔で洞察力が優れているし、六兵衛さまの剣が腕はまだ未知数だが豪快な博奕打ちのモサ。平七さまは達観した心とケタ外れの腕を持っていらっしゃる。〈腕自慢のサムライが村にやって来て〉までは正解だが〈狼藉ざンまい〉する様なおしとたちじゃねえ。助兵衛のジジイは別だが。こりゃ野伏どもが嫉妬する確率は三割、恐れ村に近寄らない確率が七割だな。それにじっつぁまは野伏を始末したらサムライどもを消す、と云ったが太郎次郎さまは殺すナンザ論外な立派なお方だし、平七さまを相手にしたら村は消滅だ。それに六兵衛さまは個人的に好きだしよ。参ったなこりゃ。まあそうなりゃ助兵衛のジジイをぶっ殺す事で村の連中には満足してもらおうか。ヤツはイケニエだ〉と。『これ茂輔、何を暗いしょう情をしておる。いくさ前くらいは陽気に行こうではないか』平七の声で茂輔はわれにかえりました。『そ、そうっすよねえ』六兵衛は咳払いをします。『いまのところサムライ衆は三人。戦略の達人である太郎次郎どの。〈薪割森田流〉の剣豪である平七どの。そして博奕狂いの拙者、六兵衛。拙者は負ける事が多いがツイてる時はバカ勝ち、三負けて七勝つ主義じゃ。そのために俊敏に動けるモノが欲しいのだが。云わば〈斬り込み〉役、防御ならば平七どのと拙者でせん滅じゃて』『そうですな六兵衛どの。わしは弟子を取らない主義でしたが趣旨変えし、今ではおしゃく姓のおかみさンたちに〈身近な得物でどう敵を抹殺するか〉を伝授したくなりましたから。そりゃいくさとならば我が斧〈当麻法苦〉を存分に振るって撃退しますが、やはりおかみさン方の側におらねば。そこで自由に動く〈遊撃手〉が欲しいと思っておったのです』そこで茂輔が口を出します。『六兵衛さまに平七さま、しとりお忘れですよ』『はて、誰ぞおったかのう、平七どの』『わしにも思いつきませンが』『ジジイ、高田助兵衛ですよ!』『ああ、役立たずの呑ンだくれな大飯喰らいか』『わしはすっかり忘れてました』『六兵衛さまに平七さま。あのジジイの処遇なンすが、どうしましょ?タダ飯喰わせるのは正直云って業腹。しかし太郎次郎さまはお優しきしとですからヤローを自由にさせとります。それを傘にきてつけあがりやがってあのジジイ。飼ってやるのは拾った主の義務ですから面倒見ますがね、六兵衛さまと平七さまの足手まといになるようでしたらオレが事故に見せかけ殺りますが』『まあ待て茂輔。路傍の石にも存在価値がある、とどこぞで誰かが云ってたが、あのジジイにも役に立つしが来るに相違ない』『ま、ここは博奕打ちたる六兵衛どのの勘をわしは信じますが、具体的には?』『そうさの、噂に聞く種子島の弾よけ、囮、雑用、作戦が失敗した時に詰め腹を切らす、その他モロモロ』『それならばオレたちしゃく姓がこき使います』『おお、そうするが良い』『けれど平七どの。あのジジイにおしゃく姓仕事がこなせるかのう? リーダーは李吉、サブ・リーダーは茂輔。ともに屈強なオトコであり、下手すりゃ過労死ですぞ』『まあそンときゃ木乃伊にして〈南蛮渡来の不死が薬〉として売り飛ばすまでです』『それは妙案ぞな』『そうしましょ、そうしましょ!』もう野伏を虐殺するためなのか、〈戦國友の会〉を作るためにサムライを探し続けておるのか、あたしには分かンなくなってきました。ちなみにエジプトが木乃伊、墓荒らしによって盗まれ、南蛮経由で我が國に渡来、不老長寿が妙薬として売られてたっちゅう事はホントです、はい」

31

「宿屋に噺は戻ります。帳場の囲炉裏よこで、李吉は太郎次郎から軍事のレクチヤーを受けとりました。『野伏の騎数は毎年、約四十。李吉さンの村で戦えるモノ、男女を問わずですが数は四十。同じですね。どうやって守り、野伏どもを撃退しますか?』李吉は即答します。『そりゃ我が村のモツトーは〈しとり一殺〉。各々が果たし合いじゃ無いですけど決闘でさあ。命は惜しかねえし。今まで俺らはしとりずつ〈斬り込みとして吾作、参ります!〉〈行け!〉〈死ねやこのはぐれサムライが!うわ、ヤラレタ!〉〈吾作の戦死、確認!〉〈では次、四郎参ります!〉〈武運を祈る!〉〈お次はこのオレ四郎だ!自慢が千本槍、受けてみよ!うぐ、無念!〉〈四郎も名誉の戦死!〉〈今度こそ!長兵衛、参ります!〉〈戦果を期待す!〉〈くたばりやがれこの外道!我が怨念の赤錆鉄鎌、受けてみよ!おおやった、やりました!この赤錆鎌の長兵衛、見事に敵を討ち取ったであります!〉〈見事!総員、次の攻撃に備えよ!〉〈人海戦術、そして、祖村か死か!〉と、それなりに効果をあげて来ました』李吉は調子いに乗って〈云ってはならぬ事実〉をゲロしちまいました。フロイト的パラドクス。『マアそれはそれで魅力を感じますが、私は味方の戦死者を少なくしたい。犠牲が少なければ新たな命も授かり、労働力が増え作物の生産性も上がり村は発展。ゆくゆくはこの街よりも豊かで活気ある村へと変わるでしょうから』『いくさ後の事まで考えていらっしゃるとは!さ、さすがは太郎次郎さまだ!』『別に大した事を云ってはおりませンよ。ともかくですな、李吉さンや茂輔さンの様な屈強な青年がたにとっては不満でしょうが、私がとる戦術を云います。否、と思うのでしたら遠慮なく云ってください』『拝聴します』『まずですね、私が思うに野伏とは云えもとサムライ。さっそうと馬を駆っていくさ場に登場したいと思っておるはず』『今までそうでした』〈で、片っ端から竹槍や弓矢を用い攻撃し、逃げた連中を串刺しにしたり首を刎ねたり〉と云う事実までは隠しておりましたが、李吉は。『けれど、今回は短期戦の殺し殺されあい、では無く長期戦を提案します』『具体的には?』『まず騎馬野伏がさっそうと山から下ってきて村へ突入しようとします。そこで一騎、まあ多くとも三騎入れたらすぐに竹槍を持った〈山組〉が続く騎馬野伏に竹槍を浴びせ追い払い村には入れませン。そして戦える者は三人しと組となり竹槍や刀、鎌でも何でも良いですから村へ入れた騎乗の野伏に攻撃を加えます』『確かに長丁場ないくさになりそうですが、やっぱし俺らしゃく姓の死者が少ないにこしたこた無いですね』『けれど、そうも連戦連勝が続けば野伏の事ですから質より量。以降の攻撃は喰い詰めどもを集めて増員し攻めてくるでしょう。しかし木野川村は第一次産業たる農業の村。そう助っ人は集まりません。ですから常戦常兵、いつ有事が生じても直ちに統率が取れるようなチームを編成すべきだ、と私は思うのです』『なるほどなるほど』『三人しと組。その理由とそれぞれが果たす役割を、李吉さンなりの解釈で結構ですから述べてくれませンか?』『はい。三人を甲乙丙としますと、甲は腕自慢で屈強な男。乙は力はそれほどではありませンが小技の使える者、おんなでも構いませン。丙は眼が良く目ばしがきき、理想を云えば脚が早い者。それがチームの構成です』『そのココロは?』『はい。甲は攻撃に専念します、力も技も優れておりますから。乙はその補助及び防御です。戦闘中に相手を観察し、スキを発見しそこ中心に攻撃をかまします。丙の主任務は状況把握です。攻めるのに夢中になっておらば廻りに眼をやりませン。その代わりに辺りを警戒しつつ、敵がいなけらば警戒を怠らぬ程度で防御をし、野伏が近づくのを発見すらば甲乙に報告します。そして甲乙は状況を見て攻撃続行か退却かを判断するのです。加えて丙に足の速さが求められるのは、野伏を撃退しようと甲乙が討ち死にしようと、戦線を素早く離脱し司令本部、本陣に連絡する使命があるからです。つたなきながら、俺、李吉の考察でした』『す、素晴らしい!パーフエクトな回答でした。さすがは〈木野川村武闘派四天王〉のしっ頭、〈北葛の紅き流れ星〉の異名を持つ李吉さンだけありますな』『そ、その〈北葛の紅き流れ星〉の呼び名は照れますよ。若気の至り、だったンですから』『いや、そう呼ばれる資格は十分にありますよ李吉さン』『いやはや、お恥ずかしい』『ケンソンする事は無いぞ李吉』またしても空気が読めねえジジイ、助兵衛が呼ばれてもいねえのに現れ口を挟みました。『かつてワシは李吉が云う丙、伝令兵としていくさ場を走りまくったものじゃわい。〈加納口の野兎〉〈小豆坂の韋駄天〉、〈海野平のフローレンス・ジヨイナー〉その他諸々と呼ばれてのウ』李吉は助兵衛を三白眼でにらみました。『で、ジジイ。テメエの組はどうなったンだ?』『ぎく!』『総て討ち死にだったンだろ?』『そそりゃそうであったが、大将にその事実を早急に知らせるが伝令兵が役目。でであるから、ワシは散りゆく仲間を泣く泣くと』『ウソこけじじい!テメエのは〈敵前逃亡〉て云うんだよ、このし怯者が!』李吉が助兵衛に蹴りをかますと、助兵衛のジジイは宿奥の壁まで吹っ飛びました『ぐわ!ニツポニアニツポン!』そこで李吉は太郎次郎に謝ります。『またやっちまった。すいませン、太郎次郎さま』『いえ、最近の助兵衛どのは何もしないくせにオオモノぶるから、私もお灸をすえようと思ってたので。ではしばし休憩としましょうかね。その後は私ごときが述べるのはセンエツ、と云うモノですが〈大将の役目および心得〉についてです』『分かりました、太郎次郎さま』『ではたまには甘いモノを。私が払いますから、蒸しヨウカンでも』『いいですね、俺は酒呑みですが、甘いものも好物なンで』『じゃあ行きましょうか』『はい』太郎次郎と李吉が宿屋から去ったのち、助兵衛はヨロヨロと起き上がり、呪詛を吐きました。『おのれ李吉め、若に気に入られているからと図にのりおって!うらやましいぞナ、リンピヨウ!だが〈老人を笑うモノは老人になって泣く〉ゾ!おお、目眩が!ぎっくり腰が!がく』助兵衛のジジイは倒れました」(中へ)

映画は戦場だ!/戦場も映画だ!(前)

執筆の狙い

作者 阿呆鳥
126.224.176.102

逆鱗覚悟 南無釈迦牟尼
阿呆陀羅講談

コメント

アフリカ
49.106.204.190

少しだけ拝読しました

映画とタイトルで出てたので興味がわきました。

途中でも出てきますがB級C級をはるかに越えたステージでの映画感と言うかワケのわからなさ。

それが狙いであることは理解できるのですが……
とにかく、字面が悪くて?地の分?台詞?いや、よくわからない程に、内容がさっぱり入ってこない。

確かに超低予算の映画とかで、もう何が言いたいのかさっぱりキッパリワケわからん。ってのはあるけど、狙い的にそれなのかな……

それと、好みの問題だけど……

物語の引き合いになってるであろう映画が……時代が……

ハマる方にはキッチリハマるのかも知れませんね。

ありがとうございました。

阿呆鳥
126.224.154.45

アフリカ様

ーとにかく、字面が悪くて?地の分?台詞?

 これは落語・講談です(ふざけた)。読みやすさは考えておりません。傲慢です。立川志らく、マルセ太郎の真似です。

ー確かに超低予算の映画とかで、もう何が言いたいのかさっぱりキッパリワケわからん

 ロジャー・コーマンとその弟子(コッポラ→キャメロン)の伝記を参考にしております。映画オタクならって甘えですね、反省。ハリウッド・メジャーだけが映画じゃないと思います。「ラスト・アメリカーナ」も参照。ジョン・ウォーターズも。

映画人の伝記をお読みになったことあります?

阿呆鳥
126.224.154.45

あと、「七人の侍」をご覧になったことありますか

夜の雨
60.41.130.119

3まで読みましたが、すごい「うんちく」ですね。
この「前」だけで原稿用紙85枚あります。
それをびっしりと書き込んでいるので、実質は100枚以上のような気がします。
ここまで読んで思ったのですが、現実に進行している2020年の東京オリンピック後の競技場は活用されるのかとか、市川崑監督の1965年の「オリンピック映画」や1936年のベルリン・オリンピツクの女性監督レニ・リーフエンシユタールが撮った『オリンピア』とか。
なにやら詳しく書いてあります。
そして作者視点の「お気楽な」一人称で書かれているので、結構リアルです。
御作を読み進めると「今回の主人公で、騒動を起こすかどうかはまだあたしには分かりませんが、メキシカンのアルフレド・ガルシア君です」。と、あります。

「アルフレド・ガルシア」をネットで調べてみますと、『ガルシアの首』という1974年製作のアメリカ合衆国の映画なのですよね、原題は「アルフレド・ガルシアの首を持ってこい」。
と、なっています。

えっ? 御作って1974年製作のアメリカ合衆国の映画『ガルシアの首』と、関係があるの?
と、なにやら、現実と虚構の世界を股に掛けた小説なのですかね、というような感じですね。

上にも書きましたが、詰めて書いてありますので、こういったネットでは読みにくいですが、御作の文章は難解ではなくて読みやすいです。
ごちゃごちゃと書いているので読みにくい(頭に情報が整理しにくい)が、文章自体は難解ではないということです。

しかし、頭に情報が整理しにくいので、誤読する可能性はありますね。

あと御作を読んでいて思ったのですが、この文体(現実と虚構の世界を股に掛けた小説)なら、途中で宇宙人による地球侵略が始まっても不思議ではありません。
透明人間が出現しても恐竜が現実世界に現れても不思議ではない、なんでもありの物語になっても、違和感のない特殊な文体だと思いました。

夜の雨
60.41.130.119

「七人の侍」は昔観ていて、つい最近もDVDで観ました。「荒野の七人」も引き続いて観ました、比べる必要があったので。
「荒野の七人」は面白かったですが、「七人の侍」の方が、重厚ですね。良くできている。さすがわ黒澤明。

阿呆鳥
126.224.154.45

夜の雨さま

嬉しいですね。感謝。「ガルシアの首」まで調べて頂けるとは。
「ガルシアの首」で<ラスボス>張ってたのが、メキシコの名優・監督のエミリオ・フェルナンデス。

SFまでは手が出ません。知性がないですから。

アフリカ
49.106.204.190

再訪ごめんなさい

ないんです⤵️

伝記は興味がないんですけど

七人の侍

どうでした?

面白い!って色々な場面で聞くけど
手に取る勇気がなくて
海外に影響を与えた作品だって聞いてはいるけど勇気がなくて……

あの作品の骨格を模倣してたくさんの映画が作られていて有名な作品だって多い

だから尚更勇気がなくて

観た方が良いですか?

疑うことなく観るべきだってことなら観てみるようにします。

ありがとうございます

阿呆鳥
126.224.154.45

自分、レンタルで「アヴェンジャーズ」とか「パイレーツ・オブ・カリビアン」とか
手に持ってカウンターに行く勇気ないです

黒澤の存命中ファンレター出したら返事きました
いい人でした
手書きの小説(原稿用紙五枚)同封したら酷評されました
「トルストイとゴーリキを読みたまえ」ってありがたいお言葉とともに

0041+0271398
49.98.140.100

いいね

夜の雨
60.41.130.119

アフリカさんへ

「七人の侍」は観たほうがよいですね。207分(DVD2枚組)ありますが、しっかりとしたエピソードに裏付けられているので集中して見ることが出来ます。
物語を楽しめますし、構成力とかエピソードの展開とかの勉強になります。
まあ、観ていると、純粋に映画を楽しんでしまっていますが。
出演している俳優もよいですしね。


阿呆鳥さん

黒澤明にファンレター出したのですか、すごいなぁ。

>「トルストイとゴーリキを読みたまえ」ってありがたいお言葉とともに<

黒澤さん、ロシア文学好きみたいですね。

>自分、レンタルで「アヴェンジャーズ」とか「パイレーツ・オブ・カリビアン」とか
手に持ってカウンターに行く勇気ないです<

近頃はネットで観ることが出来るのでお手軽ですが。
「七人の侍」は、図書館で借りてみましたが、DMMでも324円で観られます。

アフリカ
49.104.15.114

再々訪申し訳ありません


了解しました!

御二人ともありがとうございます!

アフリカ
49.104.15.114

あっあと、アベンジャーズ

バカにできませんよ

マーベルの人気は時代に即してる
計算されてる

んぁ( ̄□ ̄;)!!
何度も本当に申し訳ありませんでした!

お節介
180.26.72.10

拝読しました。
落語、いや講談風の小説といいますか、面白く読めました。
当麻法苦が個人的にツボですが、笑える箇所が多くて、愉しめました。
好きな人はクセになる読後感です。

ゴイクン
121.92.248.29

読みました。
申し訳ないですが、七人の侍バージョンになってからは、早めに読んでしまいました。申し訳ありません。

でも、冒頭にレニ・リーフエンシユタールの名前が出たりして、ぞくぞくものでした。あの映画の実際の競技部分はたいしたことないですが冒頭部分、あの妖しさ、あの高貴さ、おお! と思った記憶がありますので、ますますどうなるかと。

そしたらメキシコ。おお、そしてヌニュエル!!!

メキシコ時代のブニュエルの映画、たくさんユーチューブにありますよ。英語字幕ですが、昇天峠とかロビンソンクルーソーとか。まだ嵐が丘FULLは探せないのですけどね、きっとあるはず。

しかも、ロジャーコーマンまで出る。わくわくなんてものじゃないです。どういう話になるんだろうと。
ロジャーコーマンが弟子にしたかった監督の中に、実はベルイマンがいた、というのは最近の私の発見なんですが、というのも狼の時刻をホラーとしてアメリカに紹介したのがコーマンなんです。って、有名な話なのかな。
確かにベルイマンには、お化けがいっぱいでますからね。でも、私はアメリカンホラーよりも、ハマーフィルムが好きで、疲れたときはよく見ます。子守唄替わりなんです。

なんて、もう御作がどうのこうのというより、一杯出てくる映画の話にわくわくです。

<ビリー・ザ・キツドvs人喰いクロコダイル>に至っては、ついつい日本にも「芸者VS忍者」があるぞと叫びたくなった^^見栄を張りたくなりましたよ。
というか、確かに1960年前後にこの手の映画が多いですね。ユーチューブにいっぱいあります。
半魚人ものなんて、最高でしたね。

しかもしかも、カメラマンの中に抜けているのがいっぱいあるじゃないか。宮川一夫はすごいけど、鈴木達夫がないのは不公平では、なんて、しかも、Gregg Tolandだから、カタカナでは濁らないかな、などとますますどうでもいいことばかりが。

>自分、レンタルで「アヴェンジャーズ」とか「パイレーツ・オブ・カリビアン」とか
手に持ってカウンターに行く勇気ないです

これ、同感です。私の場合は、最近の、ホラー以外のハリウッド映画は、ですけどね。

で、七人の侍になります。こっからがあきまへん。
元をヴィヴィッドに知っているので、ちっとも面白くなかったのです。

志村喬がおにぎりを出すが、人質の子に毒見をさせて自分で食ってしまう、では、幾らなんでもつまらなかったです。
ごくろうなのはわかりますし、楽しんで書かれているのもわかりますけどね。

関係ないですが、ついこの前、ユーチューブで「吹けよ春風」という谷口仙吉監督の映画、1953年作を見たんですが、シナリオに黒沢明が加わっていて、三船敏郎がタクシーの貧乏運転手。当時の東京の姿がよくわかります。
そして、なっなんと、三船のタクシーは外車なんです。びっくりしました。

なんて話はどうでもいいのですが、ユーチューブに世界中の映画が英語字幕で紹介されています。ホラーが私は好きで、最近見た中ではトルコのsiccinシリーズがかなり気持ち悪いですよ。できも素敵でした。

そして、実はガルシアの首、さっき晩飯を食べてからユーチューブで見てしまいました。別のマカロニと混乱して、見た気でいたのですが、見てなかったです。よかったです。メキシコはいいですね。ダリは知らないけど、ブニュエルもトロツキーも惹かれた国でしょうからね。
メキシコ映画、モノクロ時代のにいいのがありますよ。純文っぽいけど、真珠なんかもよかったです。

なんて、すみません。関係ないことばかり書いて。

そうそうブニュエルの自伝は読みましたよ。使う女優さんの誰もが素敵なので、ついつい変な気になる、早く年を取ってジイサンになりたい、そしたら平静に女優と向き合えるだろうに、というようなことがあって、おお、と思いました。

ホントすみません。私は、この20年かもっとか、ロジャーコーマンという名前を、書店で買う本以外で見たことがなかったので、それだけで大感激だったのです。
私のまわりには誰もいなかったし、今もいないです。

ホントに終わります。関係ないことばかりで、すみませんでした。
頑張ってください。

阿呆鳥
126.224.130.40

ゴイクンさま

こちらこそ貴重なご意見を伺えました。ありがとうございます。
谷口仙吉、山本嘉次郎は黒澤のお師匠さんですからね。

<ビリー・ザ・キツドvs人喰いクロコダイル>は『ビリー・ザ・キツドvsドラキュラ』ちゅう
ホントにあった映画のパロディです。

自分、大学では映画史を(主に)専攻してたのですが、コーマンは<知ってて当たり前>でした。

あと握り飯ですが、助兵衛はガキに毒味をさせたのではないのです。飢えに負けて喰らいついたのです。まあ解釈は読み手さんにお任せです。

暴論となりますが、エンタテイメント志望で『七人の侍』『仁義なき闘い』『太陽を盗んだ男』を
つまらん、と言うお方は自分、信じられないのです。

阿呆鳥
126.224.130.40

調子に乗って記すと叩かれますが、登場人物のモデルを。

・ハーマン・ロバートスン=テレンス・マリック
・ダグラス・メイフィア・ギルモア=デヴィッド・ギルモア(ピンク・フロイド)/ラズロ・コヴァックス
・デニス・シーザー・ウェルズ=デニス・ホッパー
・メーガン・ロザリオ・クーリッジ=トレイシー・ローズ

かけうどん
49.98.140.100

アベンジャーズ エンドゲームは時代に即しているどころかむしろ逆行していて(本編では本当に時間を逆行させるわけですから)、それでもあの評価の高さを保つことができたことにふだん私たちが作品以外の要素にどれだけ影響を受けているかを証明されたような気がします。例えばここで名前を伏せることができても、今度は作者や読者は誰かを当てるゲームがはじまることでしょうし、けっきょく私たちは作品や感想よりも人をみているのでしょう。

阿呆鳥
126.224.130.233

レニ・リーフェンシュタールなら『意思の勝利』が傑作です。
マイコー・ジャクソンも熱狂したナチス映画。

俺って天才
126.224.128.129

映画のクソ雑談w

恥ずかしくねえの ? ? ?

ゴイクン
121.92.248.29

昨日はすみませんでした。
しどろもどろ状態でしたね。映画ときたら、急にゾンビになるようで、ばたばたしてしまいます。
御作への感想も何もなしに、勝手な思いの垂れ流しで、ほんとすみませんでした。

御作はあの部分だけ出されたのなら面白かったと思うのですが、いかんせん、元が大きすぎました。あっちがちらついて、ちゃんと読めませんでした。

七人の場合も、クルーゾーの恐怖の報酬の場合も、実はおもしろいのはヒト探しの場面と思っています。チャンバラはどうやっても同じ感じになってしまいます。そうじゃないのも、もちろんいっぱいありますが。しかし人探しはもっと様々ですね。
トルストイじゃないですが、不幸はそれぞれに不幸だ、という感じでしょうか。

なお、カンベエが握り飯を毒見と書いたのは、ふっと思いついただけで、もちろんそんな意図がないことはわかっていました。ただ、あそこまでキャラをいじるのなら、そういうのもアリかなとちょっと思っただけです。

ここで、映画の話はやらないほうがいいのですが、簡単に。
挙げられた三作、三つ目はあまり感心しませんでした。沢田研二というのが似合わなかったのじゃないか、と思います。別の名もない役者ならどうだったか、ですね。

意思の勝利、ユーチューブにありました。英語ではでませんでしたが、ドイツ語で検索したら、出ました。毎日一本見ることにしているので、今日はこれにしましたが、単調さの怖さ、その恐怖が出ていて、一時間まではホラーの感じでした。音声も演説だけで、他はサイレントにBGMをつけただけでしたが、単調さは限度が一時間かも。1時間過ぎたあたりで、ヒトラーの演説がチャップリンになってきました。

しかし演説の背後にポルポトとかいろんなやつらが重なってきました。
男の子と若者、レニのフェチもうかがえました。

短編を主に書いたポーもいっていますが、人間が緊張していられる時間は、短編の時間だ、と。なので、怖さも迫力も、私の場合は、有難いことに一時間で終わりました。
これが40分の映画だったら、私も右手を上げていたかもしれない。そういう怖さをひしひしと感じましたね。

簡単に書くはずが長くなりました。

私は基本、再訪はしないことにしています。理由は、ここが作家でごはんなら、一度でいうのも鍛錬だろう、と考えるからです。

なので、再訪はほとんどしたことがないのですが、実はこれがこの一か月で二度目の再訪になります。どちらも映画がらみです。映画になると狂ってしまいますが、何とかこれで終わりにしたいと思います。
それでは、いろいろな面で頑張ってください。昨日は興奮して眠れなかったので、今日は早めに寝ます。明日は、朝からパカパカです。アホです^^;

ぷーでる
157.65.82.154

 文字がどこまでも、すし詰めで読みにくいです・・・・・汗。
 ふつう、最初に1行開けるものなんだけど……
 というわけで、私は途中で挫折しました。

阿呆鳥
126.224.149.115

落語なのでテンポ優先読みやすさ無視しました

ご利用のブラウザの言語モードを「日本語(ja, ja-JP)」に設定して頂くことで書き込みが可能です。

テクニカルサポート

3,000字以内