作家でごはん!鍛練場
久方

意外

屋上の風は今日も生暖かい。天気予報によれば、昨日も一昨日も、その上、明日も例年以上の気温らしい。
スーツの袖口に熱がこもって気持ち悪い。
まだ、クールビズという季節でもあるまいし、この蒸し暑さはたまらない。
屋上のまわりに立てられた柵にもたれ掛かっているわけだが、その柵まで、生暖かいを通り越して、ぬるい。金属の柵が気温よりも暖かいとはどういうことだ?
口元にあてたタバコがジィジィと音を立てた。吸って吐いて。
俺の口からネズミ色の煙が気持ちの悪い楕円になって舞い上がる。
とにかく、柵は錆びていて、ところどころ趣味の悪い色のペンキがはげている。
ペンキのはげた場所を人さし指でさわると、ザラザラと気持ちの悪い感覚がした。
「あ、タバコ」
いつの間にか、横まで来ていた佐渡(さわたり)が俺に言った。
「吸ってますが、何か?」
俺は、そのまま、タバコを柵に擦りつけて消した。
「消すってことは、罪悪感の現れです!」
佐渡はエアメガネを右手の二本指で上げてみせた。
会社の制服を着た佐渡はお世辞にもカワイイとは言えない。
でも、可愛い、なんて。
意味のわかった人だけわかってください……。
と、俺の下らない冗談はさておき、佐渡は肩にかかった茶色い髪が風で乱れるのを気にしているようだった。少し、手で直した後、気恥ずかしそうに俺を見た。
「やっくんさぁ、やめないの……タバコ」
「うん?」
「そう、タバコ」
シャツの胸ポケットからタバコを取り出した俺をじっと見た。
「やめないって、なんで?」
「それは……もういい!」
そう言って、後ろを向くと、ズンズンと反対側へと歩いていく。
「あのー、帰らないんすか、オフィスに……?」
「いーーだ!!」
向こう側の柵まで行った佐渡は、こちらをくるんと向くと、口に両手をあてた。
「やっくんの赤ちゃんほしいぞ! 禁煙しろぉー!」

そして、三年後――。
「先輩、タバコやめたんですね。うらやましいなぁ。僕もやめようかな」
「そうか? そうしろよ、そうすれば、由美ちゃんももしかしたら」
「え、なんですか? それって、もしかしたら?」
「なんでもねえよ。とにかく、女って、意外な生き物だなってこと(笑)」

意外

執筆の狙い

作者 久方
150.31.134.121

喫煙撲滅運動をしているわけではありません……。

コメント

偏差値45
219.182.80.182

>天気予報によれば、昨日も一昨日も、その上、明日も例年以上の気温らしい。
うーん、予報という言葉から、過去を提示しているのは、なんとなく違和感がありますね。
明日で三日連続、平均気温を上回るらしい、なんて言うかな。

内容は東京ラブストーリー的な感じかな。
分かる人だけに分かればいい例えですね。

>女って、意外な生き物だなってこと(笑)」
人間関係が明確に見えていないぶん、よく分からないかな。
ほとんどの人間は想定の範囲の行動しかしないですからね。

「意外」と言えば、こわもてな人が優しかったり、
気弱な人が突然、暴力を振るったり、そういうことなので、
前提が分からないので、
一読者としては「そういうもの」で理解するかな。

感想としては「ふーん」という感じです。

久方
150.31.134.121

偏差値45様

う~ん、天気予報と過去の組み合わせの違和感ですか……。
それは気がつきませんでした!
変かな……ずっと見ている天気予報でもそういう表現をしないでしょうか?
う~ん……やっぱり変かな?

「意外」ですか~。
男性からしたら女性って意外なことを気にするんだなって、ありません?
そういう意外さを伝えたかったのですが……伝わりませんでしたか~。
でも、男性も女性に(男性こそ!?)そういうことを望みますね(苦笑)

東京ラブストーリー好きなんです。懐かしいです!
「ふーん」か~。次は、「うーん!」を目指したいです。
ありがとうございました!

かじ・リン坊
124.110.104.4

 これのどこが意外なのかよくわかりませんでした。少しも意外な所を感じないのですが、どのあたりなんでしょうか?
 冒頭から話にあまり関係のなさそうな気候だとか周りの環境が気持ち悪いなどの描写が続くものの、肝心だと思われる相方の女性については『意味のわかった人だけわかってください』というのは本末転倒気味な感じがしました。
 さらに三年後、後輩がどういうつもりで禁煙をうらやましいと思うのか?がご都合主義な流れだと思いました。
 何を書いてどこを省くか?のバランスが悪いのかなと思いました。

久方
150.31.134.121

かじ・リン坊様

ありがとうございます。

そうですね。
まず、計画性の無い書き方をしてしまったことを反省した方がよいようです。
つい、感じたことをずるずると書いてしまう悪癖があるので、直さないといけないようです。
ご指摘ありがとうございます。
(でも、この書き方、結構好きだったりして……すみません)

ご都合主義。
この点に関しても、真剣に考えないといけません。
無理矢理、ハッピーエンド(?)にしてしまった感じがありますね。いや、自然とそう流れてしまったのですが……。
ちゃんと恋愛されている方にレクチャーして頂かないといけませんな。

女性(男性も)の描写を怠ることも、私がよく失敗してしまう事で、脳内の情報をちゃんと描写しなきゃいけませんな。
前から気になっていたのですが、かじ・リン坊様と女性の好みが合わない……ような……いや、当方、……ですが……。
(失礼全開で申し訳ありません。めっちゃ気になって)
ああ、きっと、リアル恋愛からすると、ハッて感じなのでしょう。

最後に、意外ですね……。
意外性か。
私自身、以前タバコを吸っていると女性に真剣に怒られました……。いや、女医さんでもあられたのですが。
女性に身体を気づかって頂けるというのは嬉しいことです。はい。
自分からすると、「タバコ格好いい」みたいなところがあったのですが、意外と真剣に心配してくれるのだな、と思ったのが今作のきっかけです。

うーん、ガキですかね?
そんな事は、「当たり前」なのかも……。

とにかく、ありがとうございました。
勉強になりました。

偏差値45
219.182.80.182

再訪します。

>自分からすると、「タバコ格好いい」みたいなところがあったのですが、意外と真剣に心配してくれるのだな、と思ったのが今作のきっかけです。

面白いコメントだな、と思いました。

それは主観です。
吸わない人にとって全然、感覚が違うのです。

健康被害というのは、一つの側面ではあるのですが、
他人への気遣いがないのはイライラしますよね。
個人的には「こいつ、死んでくれないかな」と願うものです。
まあ、それだけ、あの煙は嫌われているのです。

で、時々、「タボコを吸ってもよろしいでしょうか?」
なんて紳士気取りに質問する人もいますが、
気の弱い人や職場の地位によっては「NO」と言えない人もいるわけで、
これもナンセンスですよね。

基本、吸わない人がいる場所では吸ってはいけない。
これが最近のマナーだと考えますね。

小説とは関係ない話でしたが、知識として知っておいた方が良いかもしれません。

久方
150.31.134.121

偏差値45様

ありがとうございます。

そうですか。
タバコの煙の被害……。

それは考えが至りませんでした。

今は吸っていないので、喫煙OKの休憩所なんかに入ったら、おお!となりますね。

吸わない人がいる場所では吸ってはいけない。

覚えておきます。
ありがとうございます。

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