作家でごはん!鍛練場
岡田寄良

死の詩(うた)

死である。死なのだ。死なのである。
死であれば、尚死である。
死は死と出会って死と混ざり合い、とろみが出てくる。
死はあとから、あとから、溢れだして、僕の魂は水膨れ。
乳房のような温もりは失われ、冷たい、冷たい、厭なゴムの臭いがする水風船。
彫刻刀で指を切った時、心臓より上に手を上げて、冷たい階段を下りた。
リノリウムの、リノリウムの、リノリウムの床。
手摺は黒に近い灰色。
踊り場の窓は高い所にあって、誇りの溜まったサッシを越えて、曇天模様の淡い光。
ここには昔女子がいた。
僕の噂をしていた。
あいつは道徳の時間だけ妙に頭がいい。
そんなことを言っていた。
うるせえ。コンパスの針で刺してやる。道徳なんて犬に食わせろ……。嘘、嘘、神様。仏様。
いい子ちゃんの振り競争。
言い訳して他人を蹴落とし。
美談に飢えて、寄付の一つもしやしない。
死である。死なのだ。死なのである。
死であれば、尚死である。
死は死と出会って死と混ざり合い、とろみが出てくる。
死はあとから、あとから、溢れだして、僕の心は水膨れ。
大晦日の、新年の甘酒のような温もりは失われ、冷たい、冷たい、厭なゴムの臭いがする水風船。
父とサッカーをした公園で、蟻たちをジェノサイド。
噛まれて、驚いて、曇った母の顔。
スケートボードのお兄さんたちを、遠くに眺めながら、僕はなんにも知らない罪人。
ゴジラのいるデパートで、何度も迷子になって、放送が流れて、母がやってくる。
三階の、あるいは四階の、ラーメン屋は、もう無い。
近所に住んでいた女の子は、幾つか年上だったから、もう結婚して子供がいるだろう。
姉の方も、妹の方も。
あの古い自販機は、どこの会社の物かわからない、林檎ジュースと、オレンジジュースを売っていた。
コープのトラックが来ると、奥さん連中は集まって、足りない物を買っていた。
マンションが立つはずの広い空き地で、僕は自転車に乗る練習をし、転んで唇を切ったのだ。
あの血の味を、僕は。
死である。死なのだ。死なのである。
死であれば、尚死である。
死は死と出会って死と混ざり合い、とろみが出てくる。
死はあとから、あとから、溢れだして、僕のアートマンは水膨れ。
起き抜けの布団のような温もりは失われ、冷たい、冷たい、厭なゴムの臭いがする水風船。
最後の試合はフェンス越し。
二年生エースが崩れた。
代わって出てきたのは、僕に粘土の電車の作り方を教えてくれた同級生。
緩いサイドスローは、ばかすか打たれる。
メンバーが選ばれた後の練習で、おまえいいなと言われる。
褒めるなら選べばいいのに。
僕はセットポジションから、豪速球。
レギュラーメンバーは、誰一人打てない。
なんでこんなことをしているんだろう。
不思議な気持ちだ。
気持ちが昂って力む。
ボールが逸れて、バッターの足に当たる。
ベンチメンバーの投げるストレートぐらい、よけろよ。
バッターはその後冗談めかして、「痛かった」
痛かった?
いたかった?
イタカッタ?
見上げると風に揺れているような照明の塔。
雲が流れているだけだと合理的な誰か。きっと将来は科学者。
口うるさい先輩は、部活の勧誘の際に顔面に絵の具を塗りたくり、それが乾いて、痛い。痛い。
痛かった。いたかった。イタカッタ。
死である。死なのだ。死なのである。
死であれば、尚死である。
死は死と出会って死と混ざり合い、とろみが出てくる。
死はあとから、あとから、溢れだして、僕のオリジナルは水膨れ。
小春日和のような温もりは失われ、冷たい、冷たい、厭なゴムの臭いがする水風船。
破れろ。破れ。破れろ。破れ……。
刃。光れ。刃……。
突き刺せ。突き刺せ。突き刺せ……。膜。
死のしめりけ。死の湿度。濡れた死の毒。細胞を刺す、死の放射線。
君に届け。ただ君に。

死の詩(うた)

執筆の狙い

作者 岡田寄良
106.130.13.78

一生懸命詩を書いてみました。
小説なんていくつ書いても駄目ですね。
文章が得意で発想力、想像力のレベルが高い人は世の中山のようにいるのでしょう。

コメント

悠希あかね
125.52.26.121

拝読させていただきました。私にはちょっと難しく内容の理解には及びませんでしたが、表現のしかたが面白いです。
言葉にテンポがあって歌のように感じました。

1つの詩のなかに入る要素が多く、少し軸のブレを感じます。短編小説が何本も入り混じって、互いにうまく溶け合えていない印象です。
全体的に日本語の使い方が個人的には好きなので、混ぜこんでしまわずに短編オムニバスの小説にしても面白そうだなと思いました。

岡田寄良
106.130.11.135

悠希あかね様

お読み頂きありがとうございます。
内容についてはおぼろげな記憶と死を意識する心理混ぜたような感じです。
それで何か化学反応が起きればいいなと後から思いました。
書いてる最中は無意識に近い感じで書いてました。
短編オムニバスした方が良いとのアドバイスはありがたく頂戴致します。
実はこんな感じのテーマでひとつアイデアがあるんですけどね。
それとこれは投稿してしまってから見つけたんですが、埃が誇りになっていますね。
こういう間違いは詩を書く上では致命的だと思います。
本当にお恥ずかしいです。
個人的なことですが、去年、文學界新人賞に応募してまして、
今月の7日に出た文學界の中間発表に名前がありませんでした。
実はこっちも出した後からとんでもないミスに気づきまして、
まあ当然だろうと思うのですが、それ以前に小説の完成度という問題もありますし……。
しかし、あんまりにも落ち続けていると、自分の才能の限界を感じずにはいられませんね。
それでいて世間では小説家になろうで書かれているような、単に読んで気持ちよくなりたいためだけのような作品が本になってかなりの売り上げを記録していたりする。
めんどくさくなってしまいますね。

幡 京
218.221.116.235

タナトスに溺れ酔っていやがる。それが小生の感想です。
ですが、描写力はすごいと思いました。
詩、をバカにする訳ではありませんが、小説として描かれてみては?
そう思います。ちなみにこの作品を否定するつまりなど、毛頭ございません。

岡田寄良
106.130.2.112

幡 京様

お読み頂きありがとうございます。
文章を書くことは精神の健康にいいらしいです。
今書いてるものは違いますけど、僕の作品には自殺の話がよく出てきます。
これは意図したものではなくて、無意識によく思いついてしまうのです。
自分でも危ないなあとは思ってるんですが、変に意識すると創作に影響が出ますからね。
感想をありがとうございました。

オノマペト
66.133.76.5

ファッションみたいに着飾る死はたのしいですかそうですか。こんなのは所詮手首に切り傷つけて見せびらかすみたいな不幸自慢自己顕示構ってちゃんなんですよわかりますか?驕ってますか?よってますか?
作家気取りの太宰気取りの死にたがり貼り付けマンよく見る救われ方してますねー。ダサいですよ?真面目にサラリーマンやってちゃんと線路見つめてから書きなさい偽物

岡田寄良
106.130.2.159

オノマペト様

お読み頂きありがとうございます。
自分の死にたい気持ちは多分偽物だろうと思います。
本物だったら死んでますからね。
こうやって返信を書くこともないわけです。
けれど気持ちというのは偽物から本物に変化したりするから厄介です。
ちなみに線路に飛び込む描写も過去に書きました。
高校生だった自分を思い出してユーモアを交えて書きました。
ホームで電車に警笛鳴らされたことあります?
あれって結構驚きますよ。
その後の電車の風も。
我に返った自分をホームにいる他の人が、あれ?あいつやばかったんじゃねえの?って顔で見ているんですよね。
その妙な腹立たしさw

ひよお
124.210.207.166

血の熱さを知らないくせに

おろしうどん
49.98.153.114

何時に、どこで、誰と、何人で、どこから、どこまで、なんていう助詞は話し言葉であっても外すことができない。これは語順がそれほどかっちりと決まっていないからであって、位置で役割を規定することができないからである(これら周辺情報を示すには英語でも語順だけでは足りず助詞の力を借りている)。

岡田寄良
106.130.9.135

ひよお様

お読み頂きありがとうございます。
ところで血の熱さとはなんですか?

岡田寄良
106.130.9.135

おろしうどん 様

お読み頂きありがとうございます。
助詞の話なんですけど、具体的にどこの何について話されているのか、わかりませんでした。

おろしうどん
49.98.153.114

書く場所を間違えたようです、ごめんなさい。返信不要

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