作家でごはん!鍛練場
瀬尾 りん

有象無象の生きる街

「はぁ~……」
 ヒールを履いたつま先がじくじくと痛む真夜中。
 これから帰る自宅の惨状を思い出して、あたしはため息をついた。脱ぎっぱなしの大量の服が積み上がり、洗濯機にはまだ洗っていないタオルたち。シンクには水に漬けられたままの食器……出勤後の疲弊しまくったこの体で、全てを処理できるなんて到底思えない。
 短大を卒業して入った会社は残業なんて当たり前で、しかもその残業代も何かしらの名目で半分以上持って行かれている。まさにブラック、超絶ブラック……まだ終電で帰れるだけましか、とショボショボする目をこすって思った。
 そんなもんで、あたしは非常に疲れていた。擦り切れてた。だからあんな珍妙なパレードに遭遇したところで、なにも驚くことなんてなかったわけだ。


 家まであと五十メートル程を残した一本道で、聞きなれた声で名前を呼ばれた。
「つっこじゃーん!」
「オリエ?」
 この道には遠い間隔でしか街灯がなく、前から聞こえたその声の姿は見えなかった。それでも私が彼女と分かったのは、オリエは非常に特徴的な声質をしているからで、それは今でいうアニメ声とか萌え声とかに分類される物だった。
 彼女は短大時代の友達で、今でも半年に一回ぐらいは遊びに行ったりする仲である。だけどあまり夜遊びには興味がなかったはずだが……?
 一個手前の街頭に照らされて、オリエらしき生物が見えると同時に、ざわざわと音がする。今、時刻一時半。こんな時間に一体何事だろうか。
 あたしも歩みを止めたわけではないので、二人の距離は急速に近づいて街灯の下でかち合った。
「…………」
 ちょっと前からちらちら姿は見えていたんだけれど、光に照らされたオリエは水風船だった。首をひねってまた目をこすってみる。街灯の下で彼女は半透明で赤く、つやつやとしていた。昔駄菓子屋で買った水風船で遊んだことを思い出す。いや、オリエは人間だろう。ちょっと待って、うまく頭が動かない。
「どうしたの?」
 ああ、やっぱオリエだ。このイントネーションは彼女に違いない。
「ううん、なんか頭の調子が悪くて……オリエ、なんか変わったね」
 変わったどころじゃない、水風船だぞ。冷静な自分の突っ込みが頭の裏で聞こえた気がするけれど、あたしはもうこの目の前にいる物体がオリエだと信じていた。あたしは疲れているんだ、こういう事だってあるさ。人間の行き過ぎた神経の摩耗は、感情さえ鈍くするらしい。
「ええ~? わかるぅ?」
「うん、なんか全体的に透明感が……つやつやしてる」
「やだもー!」
 そして彼女は最近エステに通いだしたこと、新しい彼氏が出来たことをマシンガンのごとく話始めた。あたしが適当に相槌打っとくマンになっていると、遅れてきていた彼女の後ろの団体さんが追い付いてきた。
 そのラインナップは多種多様。ほうきみたいな形もあれば、雪見大福もいた。ミサイルっぽいものも。ナニコレ百鬼夜行?オリエ、あんたいつの間に妖怪になったんだよ。
「ねぇつっこも参加しない?」
「は?」
 あたしにも妖怪になれというのか。大体明日も仕事だし丁重にお断りしようとしたけど、オリエは体をぶるぶる震わせた。
「疲れてるなら最高に楽しいよ!」
 疲れてるなら楽しめないと思うのだけれど、諸々正常な判断を放棄している頭が勝手にあたしを頷かせた。集団の中にオリエと混ざる。あたしだけ人間? いや、多分違うだろう。通りすがりの乾燥イチジクに、物は試しと声をかけてみた。
「あの、あたし何に見えます?」
 乾燥イチジクは驚いたように一瞬跳ねて、目なんてなかったけどあたしを見た、ように感じた。
「び、びっくりした。ええと、スニーカーに見えるわ」
「へぇ。あなたは乾燥イチジクに見えますよ」
 スニーカーか。ちょっとカッコいいじゃんか。乾燥イチジクさんは少し横に傾いた。それは女性的に見えて、きっとこの人はあたしより年上の女の人だろうと思った。根拠もなく。
「やっぱりねぇ……」
 そのまま彼女はあたしの左隣に並んだ。右隣ではオリエが跳ねるように移動している。あたしはアスファルトの突起で彼女が割れないか心配になったが、平気なようでたゆたゆん、と前に進んでいる。
「そちらのお嬢さんは水風船ね」
「はーい! オリエです。こんばんわ」
「こんばんわ、随分明るい水風船さんだわ。私はみゆきっていうの」
 えっへへー、と屈託なく笑っている様子のオリエは、短大時代からこんな感じだった。明るくてムードメイカーでおしゃれで……男運が最強に悪い。
「オリエはいつからこれに参加してるの?」
「三日前くらいかなぁ。みゆきさんはその時からいましたぁ?」
「いたわよ。でもここじゃみんな喋らないからね。私も誰かに声かけるなんてなかったし」
 周りを見てみると人間は一人もいなかった。多分この百鬼夜行らしきパレードは、このそれぞれ違う珍妙な姿でないと参加できないのだ。本当に意味が分からないし世界の理に反している。一体全体どこに喋るスニーカーがいるというのだ。
「みんなどこへ向かって歩いてんの?」
「テキトー、でもふいに帰ろって気分になったらパレードは終わりだよ」
「そこから家に帰る感じかな」
 へぇ……とあたしは息を吐きだした。乾燥してるくせに温い大気にあたしの声は吸い込まれる。
 それにしてもなんで、スニーカーなんだろう。確かに働きだしてから今までの一年間、くたくたよれよれになりながら走りぬいてきた感覚はあるけれど。
「ねぇ、あなた随分疲れているようだわ」
 みゆきさんが話しかけてきた。オリエもうんうんと頷いている。
「つっこ、スニーカーって言ったって超ぼろだよ。親指のとこなんて今にも穴開きそうだからね」
「え、そうなの?」
 自分の姿は人間に見えるからわからなかった。どうやらあたしはずいぶんと草臥れたスニーカーらしい。まだ会社では新入社員と言われているのに、そんな往年の現場刑事の相棒のような姿になっているとは考えもしなかった。
「それを言うならオリエだって……あんたまた変な男に引っかかったんじゃないの? 今にも割れそう」
 あたしの場合穴が開いても補修すればいいけど、オリエは一大事だ。割れたら元の姿に戻れないだろう。
「えー……うん、ははそうかも。それはそうとして、なんでみゆきさんはイチジクなんですか?」
 こいつ、話を変えやがった。ラインで彼氏が出来たことはすでに聞いていたけれど、今日オリエが話した彼氏とは全く違う印象だったのが気になる。もしかしたらラインの話が嘘で、今日の話が本当なのかもしれない。何か言いにくい事でもあるのかもしれない。
「私は……」
 みゆきさんは言葉を濁して、でも決意を決めたように上へ跳ねた。
「顔も知らない者同士だし、隠す事もないか……。私今、不妊治療中なんだよね」
 ふにん? 不妊ってあの、赤ちゃんができにくいとかなんとか、そういうことか。あまり詳しく知らないしデリケートな事だろうから、あたしは言葉が出なくなってしまった。
「イチジクって婦人科系の病気に良いんだって。朝晩食べてるの。だからこんな姿なんだと思う」
「へぇ……」
 突然扱いの難しい悩みを相談された気分になって、あたしは言葉を濁す。そんなあたしにみゆきさんは気まずそうな笑みを含んだ声色で言った。
「突然こんな事言われて困るわよね。ごめんなさい……でもねぇ、最近はちょっと諦めてるのよ、これでもね」
「ずっと走り続けてると疲れちゃいますもんねぇ」
 オリエが相槌を打つ。
「本当そうなの。周りはね、私が頑張ってるものだからもうやめたら? って言えないみたい」
 そういうものなのか。あたしはまだ子供が欲しいと思ったことはないけれど、不妊治療の大変さとか辛さとかはメディアで多少は知っている。だから実感がわかなくて、不妊治療を諦めたらどうなるのか、なんて想像もつかない。ある日ぽっと出来たりするんじゃないかとさえ思う。だけどそれを何の考えもなく口にするには、あたしは大人になりすぎていた。
「やめたらいいんじゃないですかねぇ」
「ちょ、あんた……」
「だって、やめたいならもう、やめてもいいんじゃないかと私は思うな。そこまでやり抜いたのが誇りだと思うし」
 ぽいん、とオリエはあたしたちの前に飛び出してきた。
「私も最近いろいろ考えるようになったっていうか……でもこのパレードに参加してたらなんか、うーん、みんな何かしら持ってて、それがあるから今、生きてんのかなって」
 何言ってんだオリエ、日本語が破綻しているぞ。それでもオリエの言い分はなんとなくわかった。苦しみがあたしを生かしているのは、間違いないんだ。負けるかぁって気分で毎日生きてる。
「そうかもね。オリエもなんか溜め込んでるんだ?」
「超溜めてるよ~、なんならこの水風船の中に詰まったもの、全部ヤバいかもしんない~」
 けらけら彼女は笑って、実はね……と話し出した。みゆきさんとの話とはまるっきり違う方面の話だったけれど、やっぱりオリエはクズ男に引っかかってた。毎度毎度、本当飽きないものである。いい加減学べよ。
「みゆきさんの苦しみは私、わかんないけど。同じにするなって怒られるの覚悟で言うけど、結局自分なりに頑張って頑張ってもういいか~ってなった時、納得した時がやめ時なんだと思うんだぁ」
 みゆきさんは落ち着いた声でそうかもねぇ、と呟いた。あたしはこの人の年も名前も、顔立ちですら知らないけれどなんとか神様お願いしますよ、と心の中で手を合わせるぐらいは、彼女の幸せを願う人間になっていた。
 きっと彼女はあたしの人生の中で、実際には出会うことのない人。だからあたしは口を開いた。
「このパレードって、なんなんだろ」
「?」
 みゆきさんがあたしを見つめる。乾燥イチジクがボロのスニーカーを見つめる。あたしたちは人間だけど、この瞬間は違う、何もかもがむき出しなんだ。
「ふいに帰ろって思うとき、パレードが終わるんなら。それって「生きよ」って事じゃないかなぁ。みゆきさんは生きてるよ。こんな所にいても帰らなきゃいけない場所に帰るんだ」
 あたしもオリエも、ここにいる全ての有象無象たちも、帰る。元居た場所へ。
 少しだけ沈黙していたみゆきさんだったけど、彼女は突然夜空へ吠えた。あたしたち以外の物体は足を止めない。
「私、やめるー! 不妊治療やめてやるー! 本当はずっと辞めたかった。でも辞めたら今までの努力が、辛さが、無駄になる気がして……や、やめられ……なかった……もう、いいかな。それでも私は、戻れるのかなぁ……」
 彼女は最後は涙声になってぶるぶる震えた。それを素通りする物体たちが、まるきり世間を表している様で悲しくなる。
「あたし、あなたに会えてよかったと思う」
 たくさん慰めの言葉は頭に浮かんだけど、それは胸の奥に消えていった。無駄なことは言わない。だってそれって、なんの意味もない事だもの。
 瞬きすると、みゆきさんはいなくなっていた。
「え、あれ?」
「帰ったんだね、みゆきさん」
 それは「生きよ」って思ったという事だろうか。そうだといいなと思った。オリエを見るとなぜか先ほどよりいくらか、水が抜けたみたいにシルエットがすっきりしていた。
「私ももう、いいかなぁ」
「てか、かっこつけて言ってたけどさぁ、オリエは自分からクズ男選んでるじゃん」
「最初はいい男なんだもん~!」
 茶化すように非難すると、ぽいんぽいんと彼女は跳ねた。まだ改心するつもりはないらしい。今の彼氏とは別れるもん! とオリエは少しだけしょげた様子で言った。
「みゆきさん、幸せになれるといいねえ」
「そうだね。あたしはもうちょっと走ってみようかな」
 このスニーカーを履き替えるのは、もう少し先で良い。
「ねぇつっこ」
 一体どれだけ歩いたのか。空は白み始めて、朝が近い事を知らせている。
「なぁに」
「この世界が好き?」
 あたしはオリエを見た。
「うん」
「どれだけ苦しくても?」
「うん」
「裏切られても?」
「うん。その度に何度も何度も、生きようって思うよ」
 どんどん太陽が近づいてくる。眩しくて残酷で冷たい朝が来る場所に、あたしは帰るのだ。
「だよねぇ、私も。困るよ、ちょっとしか飴なんてもらえないのにさぁ」
 朝のひかりで少しだけ、オリエの顔が見えた。ばっちりメイクして綺麗に着飾った彼女は、困ったように笑っていた。きっとあたしも同じような顔をしているに違いなかった。
 そのまま光に飲まれて、あたしは目を閉じる――。





「……」
 見慣れたベッドの、上。部屋の様子は昨日の朝と変わりなしで、取っ散らかって見るに堪えない。あたしは頭を振ってベッドから降りた。いつもの起床時間より三十分も早い。
 洗濯機を回して、落ちてる服を棚に入れよう。それだけ、今日の朝はそれだけ出来れば上出来。
『生きようって思うよ』
 紛れもなく響いた自分の声。この街が、ここで生きるモノ達が、そして何より自分自身があたしは好きなんだ。鼻歌を歌って跳ねるように歩いて、少しだけ軽くなった心はきっとまた走り出す。みんな、そうやって生きていく。
 カーテンを開けたら見慣れた景色。人通りはまだ、ない。だけど目に見えないものはきっとあって。無様でも、ああいう形になったとしても、もがいて夜を超えていく。


 だからシャワーを浴びて朝にふさわしい人間になったら。
 パンプスという名の草臥れたスニーカーを、あたしは今日も履くだろう。

有象無象の生きる街

執筆の狙い

作者 瀬尾 りん
115.124.197.78

以前投稿したものをちょっと改編しました。あの時感想をくださった皆様ありがとうございます。なんだか主人公が説教めいたキャラになっているをいうご指摘を受けたので、こんな風に書き換えてみたんですが、やっぱりまだ説教臭いかな……?

コメント

カルネ
133.232.243.157

タイトルを「夜のパレード」にしたら良いのになって思いました。

まだまだストーリーはもうストレートにみんな語ってるよね、と思いましたけど、りんさんの人物の掘り下げ方はとても良いと思いました。
惜しむらくは他の妖怪? 達もよく見ればそれぞれに似たような雰囲気を醸し出している者達と寄り添いながら、ぽつんぽつんと語り合っているようである、としておくと良いのかもしれないなって思いました。それでも違う者達へは無関心。実際、世間でもそうでしょうから。

>この瞬間は違う、何もかもがむき出しなんだ。
この台詞をここに持ってきたのはとても上手いと思いました。
>『生きようって思うよ』
これも良い感じです。なので途中の「生きよ」も「生きよう」にしてある方がいいのかな、と思いました。生きようの方が自発的な感じがあると思うので。自分で自分に命令する感より、自分の内なるところから沸き起こってくる感を与えたいかなあ。

ラストのパラグラフもとても良い感じでした。
私は結構、この作品、好きですよ。

日乃万里永
106.160.80.219

 拝読させていただきました。

 面白かったのですが、瀬尾様ならもっと書けるのでは、と思いました。

 もっと主人公を追い込んで、ストーリーを膨らませて、もとに戻れないくらいに絶望させて、そこにストンと納得できるようなラストがあれば、と思いました。千と千尋の神隠しのような。
 
 自分のことはさておいて、勝手なことを申してすみません。
 
 主人公の独白がとても好みですし、先がどうなるのだろうと勝手に目が進む感じで楽しめたのですが、もっとなにか書けるのではないかと、もう少しなにかが欲しいと思ってしまいました。
 だからといって具体的なことはなにも言えずすみません。

 ただ、不妊治療をやめるというのも、それを主人公に言わせるには、主人公の実生活における背景からその発言が絞り出て来るという流れが必要ではないかと思いました。

 なぜ主人公はみゆきにその言葉を言ったのか、それは、裏を返せば自分に向けて言っていたとか……。

 私の読解力が足りなければもうしわけありません。
 

 読ませていただきまして、ありがとうございました。
  
  

二月の丘
219.100.84.36

記載順序が・・ねじれている・・ように感じる。

うん、でも、「ここのサイトの短編には、9割方以上そう感じている」んで、
ワタシの方の感覚がズレているだけ・・なのかもしれない。

とりあえず、冒頭の記載順序を「ワタシが思うすんなり」に、ある程度寄せてみるとすると、こんなん ↓ かなー??




   (原文ママ)

「はぁ~……」
 ヒールを履いたつま先がじくじくと痛む真夜中。
 これから帰る自宅の惨状を思い出して、あたしはため息をついた。脱ぎっぱなしの大量の服が積み上がり、洗濯機にはまだ洗っていないタオルたち。シンクには水に漬けられたままの食器……出勤後の疲弊しまくったこの体で、全てを処理できるなんて到底思えない。
 短大を卒業して入った会社は残業なんて当たり前で、しかもその残業代も何かしらの名目で半分以上持って行かれている。まさにブラック、超絶ブラック……まだ終電で帰れるだけましか、とショボショボする目をこすって思った。
 そんなもんで、あたしは非常に疲れていた。擦り切れてた。だからあんな珍妙なパレードに遭遇したところで、なにも驚くことなんてなかったわけだ。


 家まであと五十メートル程を残した一本道で、聞きなれた声で名前を呼ばれた。
「つっこじゃーん!」
「オリエ?」



   (テキトーに直し)


 今日ももう真夜中だった。一日中ヒールを履いていたつま先が、じくじく痛んでいる。
 短大を卒業して入った会社は、残業なんて当たり前で、しかもその残業代も何かしらの名目で半分以上持って行かれている。まさにブラック、超絶ブラック……
 まだ終電で帰れるだけましか。
 ショボショボする目をこすり、これから帰る自宅の惨状に、再びため息をついた。
 脱ぎっぱなしの服が積み重ねられ、洗濯機内には未洗濯のタオル。シンクには水に漬かったままの食器……足取り重く疲弊しまくったこの身体を、さらに擦り切れさせる現実。
 その自宅アパートまであと五十メートル程の一本道の途上で、不意に聞きなれた声で名前を呼ばれた。
「つっこじゃーん!」
「オリエ?」

市川春子
49.98.170.59

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→ 中村光@hikanaka1217 と、紀ノ目@manteauman にフォローを!

瀬尾 りん
115.124.197.78

カルネ様
感想をありがとうございます!
なるほど、それぞれに通った者たちはそれぞれひかれあうみたいな感じですか。うん、現実的な感じがします。「パレード」と聞くと騒がしいイメージなんですが、今回は静かなパレードの気持ちで書きました。悩みを持つ者たちの無言のパレード、みたいな感じで。
今回褒めて頂いたところはすべて前作にはなかったもので、今回後付けしたものになります。だからいい方に改編出来たかな、と少し手ごたえ感じてます笑
読んで頂いてありがとうございました。

瀬尾 りん
115.124.197.78

日乃万里永様
感想ありがとうございます!
うーん、うーんもっと書けますよね。多分物足りない理由は主人公が割とフラットな境遇のまま終わるからじゃないかと思うんです。ほかの人にアドバイスするばっかだし。物語に動きはあっても、肝心の主人公に動きがないんですよねって、今書いてて気づいた。なんてこった。
不妊治療やめたら発言はオリエちゃんなのですが、わかりづらくて申し訳ない。狙いとしてはいっそ何も知らない素直な意見の方が案外、すっきり心に届くんじゃないかっていう事だったんですよね。割と深い関係の人からの意見って素直に聞けない、みたいなとこあったりするんじゃないかなと。
読んで頂いてありがとうございました!

瀬尾 りん
115.124.197.78

二月の丘様
お久しぶりです!そして感想ありがとうです!
確かにその流れの方がまっすぐな感じがします。私の方はちょっとジグザグかな。
多分汚い部屋を早めに出して読者の人にもうわっ、て思ってほしいという深層心理があったんかも。
つま先がいたいのも、部屋が汚いのもなんていうか今、そしてすぐに直面するめんどくささ。そこから給料っていうちょっと離れた所に発想飛ばしてくださいっていう誘導みたいな。癖として多分私は、近い所から書きたがるんだと思います。それは書き方とかテクニックでいい方にも悪い方にもなるんだろうな。難しい……。
今年も細々書いて出来れば、公募にも参加してみたいなぁと思っている所存です。

二月の丘
219.100.84.36

>癖として多分私は、近い所から書きたがるんだと思います。それは書き方とかテクニックでいい方にも悪い方にもなるんだろうな。

↑ 紙幅と、作品自体のボリュームにもよる・・とは思うんだけど、

30枚以下程度だと、

「前置きはせず、すんなり本題に入る」
「同じものはひとまとめにする」
「時系列に従う」

って方が、全体にスマートに仕上がる・・気がする。

んだけど、ここのサイト、「前置きするのが好き」な人の方が多いぐらいなんだよねー。
中・長編だったら「前置き」も効果あるんだろうけど、
短編でそれやられると、個人的には引いてしまう。。



公募は、出す出す言ってないで、まず静かにさくっと出してしまおう。そんで、結果見てみよう。
どこの公募も大概1年に1回きりなので。

inose
140.227.209.210

着想が凄くいいと思いました。
先ず大筋の、「その人の精神の在り方が、象徴的に視覚化されている」
という部分。

>「私も最近いろいろ考えるようになったっていうか……でもこのパレードに参加してたらなんか、うーん、みんな何かしら持ってて、それがあるから今、生きてんのかなって」
> 何言ってんだオリエ、日本語が破綻しているぞ。それでもオリエの言い分はなんとなくわかった。苦しみがあたしを生かしているのは、間違いないんだ。負けるかぁって気分で毎日生きてる。

 「生きる苦しみ」のパレードだから百鬼夜行なんですね。

そして細かな表現がもっといいと思いました。

>あたしはアスファルトの突起で彼女が割れないか心配になったが、

 など、オリエがポヨンポヨン跳ねてる様子の描写が特に最高でした。こういう部分に気が向くというのは、まさに才能だと思います。

「いろいろ溜まってる」姿であるオリエの水風船もいいし、
直接的に「乾燥イチジク」になってしまっているという、みゆきのパターンも、いい。
この法則性のズれも百鬼夜行的です。

 一人ひとりの姿、そして百鬼夜行自体が、現実のでの生を象徴している、という所まではよくわかりました。
しかしこの着想が、いまいち小説としては活用されきっていないんじゃないか、とも思いました。
 主人公はこの百鬼夜行に出会い、それが何であるかを理解し、目が覚める。
  象徴→(見解)→解決
 という流れで、シンプルな寓話としては有りなのかもしれませんが、そうなるとしても、もう少しこの(見解)部分のフォーカスを絞ったほうがいいと思います。

>「ふいに帰ろって思うとき、パレードが終わるんなら。それって「生きよ」って事じゃないかなぁ。みゆきさんは生きてるよ。こんな所にいても帰らなきゃいけない場所に帰るんだ」

 とありますが、百鬼夜行を(苦しみを抱えながらも)生きることの象徴とするならば、そこから抜けるということは「死」だと思います。
 オマージュされている元々の「百鬼夜行」は、人が遭遇すると基本、死ぬものですから。
 本作のように、ラスト「それでもがんばろう」という読み味にするならば、

朝になれば百鬼夜行は光の中に消え去って、皆それぞれの生活に目覚めてしまうけど、あの物哀しくも妖しく楽しいパレードは今も続いているのだ、 みたいな

 つまり「パレードは終わらない」という意向が妥当なんじゃないかな、と思いました。
 あとこの場合、百鬼夜行に遭遇!?→自分も参加側だった という意外性を強調すると見解がより際立つかもしれません。

 しかし百鬼夜行のオマージュということに、そういう拘り方をしていないということだろうな、とも思いました。それはそれで有りだと思います。みゆきさんが実は死んだのだ、という穿った二重読みも可能性としては残されているとも思いましたが、その読みだと物語が分裂しちゃうかな。

> カーテンを開けたら見慣れた景色。人通りはまだ、ない。だけど目に見えないものはきっとあって。無様でも、ああいう形になったとしても、もがいて夜を超えていく。

 このラスト一文が、ちょっと腕力でねじ伏せてる感じはありますが、秀逸で、おかげで感覚的には納得できる一作でした。


 あとは、先にも書いた、象徴と解決というシンプルな物語ゆえに、利用されていない設定が勿体無いかな、とも思いました。
 主人公がハードワークに疲れているという状況や、オリエが短大時代の友達だという話、なぜその「みゆき」さんがピックアップされたのか、など。ただ「そうだから」という設定たちをしっかり話に編み込めば、作品世界の横糸となって深みが増すんじゃないでしょうか。
 まあ、複雑化するにつれて寓話的・文学的ではなくなってゆき、エンタメ作品的になっていくと思うので、どの辺が描きたい内容との落とし所か見極めが難しいとは思いますが。


 
あとは余談です。
個人的には、百鬼夜行という言葉には、常には表ざたにできぬ想念が噴出しかも共鳴群体化してもう止まらない、あーもうどうにでもなれーみたいなイメージがあります。
アニメの平成狸合戦ポンポコや、パプリカ等で植えつけられました(笑)
後者は特にお勧めなので未見ならぜひ。
「Paprika (2006) Parade Scene」で動画検索すれば百鬼夜行なシーンが有ると思います。

また、「精神の在り方が、象徴的に視覚化」された作品で面白いのは、山本英夫のホムンクルス(コミック)です。トレパネーション手術によって第六感を得た主人公の目には、他人の深層心理が、現実のようにイメージ化されて見える、という話です。



 あ、あと、本作の話に戻りますが、全体的にユーモアの具合が好みで、最後まで楽しく読めました。
色々作品論じみたことを書かせてもらいましたが、これが一番重要なことではないかと思います。

>うん、なんか全体的に透明感が……つやつやしてる」
「やだもー!」
 そして彼女は最近エステに通いだしたこと~

 この流れは最高でした。過不足無くてベストな流れ(笑)

 こういう直接笑いを導き出せるところもですが、そうじゃないところも、なんとなしのユーモアが保たれているというのは一番すごいことだと思います。こういう広い意味でのユーモアは、完全にシリアスな作品を書く場合にも全く妨げにはならないはずです。

安本牡丹
118.157.153.84

こういうのは好きです。

何か書こうと思ったんですが、一つ上の感想がほとんど私の言いたいことを代弁しているようなので、あんまり大袈裟な焼き直しはやめにします。

まさにinose様のおっしゃる通りだと思います。
象徴→(見解)→解決
シンプルな寓話、いいですね。見解はべつに説教臭いとは感じませんでした。ここからさらに見解の部分に心情を盛り込めば小説になりますし、象徴や会話に比重を置けばエンタメ小説(←小説ではない)になると思います。

象徴のしかた(特に水風船)はこれ以上ないくらいしっくりくるというか、よく水風船を思いついたなという感じです。

総評としては「ふつうに面白かった。小説寄りにするかエンタメ小説寄りにするか、方向性に関して発展の余地はある」です。

瀬尾りん
115.124.197.78

二月の丘さま

公募かぁ〜公募、公募……どうやったら100枚以上書けるようになるんですかね。それともいっそ地方公募狙いで短編の方がいいんですかね汗
皆さんこの公募にはこういう作風、ってリサーチしたりしてるんですよね?うわー、もうそれだけで面倒くさいです。
一作だけでも体裁整えてみて、思い切って出しちまうか。

瀬尾 りん
115.124.197.78

inose様

感想ありがとうございます!
為になるアドバイスを頂いているのに、すべてにお返事できなくてすいません。しかし百鬼夜行に会ったら死ぬっていうのは、完全に頭から抜け落ちていました。指摘されてそうじゃん!って思いました……。
パレードは終わらない、それは私自身もそう思います。苦しみがなくならないと同じで、パレードは終わることはありません。やがて離脱してもまたいつかは戻ってくる場所のような感じですかね。
しかしそれをうまく書けてなかったですね汗

>このラスト一文が、ちょっと腕力でねじ伏せてる感じはありますが、秀逸で、おかげで感覚的には納得できる一作でした。

ぎくり、とはこの事です!こんなに簡単にばれてしまうものなんか、と冷や汗かいてます。だってこの最後の一文は、改編にあたって無理やりねじ込んだものになるからです。
終盤にぱしん、と終わりたくてリズムを整えたがるんですよね。この一文入れる前はなんだか一拍足りなくない?と違和感がありました。あくまで自分の中だけですけども。

それと登場人物の意味づけが弱い、という事なのですが。説明不足と言えたらよかったんですけど、これに関しては何も考えてなかったです。なんとなく主人公と知り合いと他人、三人いりゃなんとかなるやろ、というおおざっぱさ。水風船は完全なる思い付き、イチジクは母親が毎朝食べてるからなんていう理由です。
ただその言葉を使うからには意味を、理由を、それでなければならなかった何かを、ということで後から足していく書き方をしています。というかそれしか出来ない。プロットも作れないレベルですから。

パプリカのパレードシーン見ました!いや、あれは煌びやかで大胆不敵ですね。己の欲望がコルクぬいたシャンパンみたいに、飛び散ってキラキラしてる。毒々しいのにどこか滑稽で、綺麗だなって。自作はそんな欲望とか本能とか、むき出しのギラギラした物を書きたくなりました。

ユーモアなんて、恐れ多い言葉なのですがこれがある種、私の小説のイロです。自作も読んで頂ければ嬉しいです。ありがとうございました。

瀬尾 りん
115.124.197.78

安本牡丹様
感想ありがとうございます!
これ、改編する前はもっと主人公が、心情をだらだら垂れ流していたんですよね。なんか悟ってる上に上から目線の女になっていたので、改編してみた次第です。なので説教臭さを感じなかった、という部分では改編は成功したんだな、と。
エンタメって小説ではないんですか?すいません、そのあたりよくわからなくて。純文学とはなんぞや、と言われてもうーん?村上春樹みたいな?という頭の悪い回答しか出てきません。
どちらにせよ掘り下げが必要、ということですよね。精進します!ありがとうございました。

二月の丘
219.100.84.36

>公募……どうやったら100枚以上書けるようになるんですかね。

↑ それ、短編作家なワタシに訊く?(笑)


本気質問とも思えないけども、一応レスっとくと・・


何年か前、どスランプ極まってて、真剣に同様に思ってたワタシは、
Yahoo!掲示板で、「これから〈ちよだ文学賞〉に出します」とゆってた、元国家公務員の人に、
「ちよだって120枚ですよねー? 120枚も何で埋めらいいのか分かんないんですけど、どうしましたか?」と直に訊いてみた。

その人曰く、
「スポーツ物にすればいいんですよ。そしたら、その競技のルール説明と、試合内容〜展開、それだけで充分枚数稼げますから」

「へぇー、なるほどぉ…」と思った。
思ったんだけど〜、自分、スポーツ物は無理だから〜、

「やっぱ書けるものを、書ける範囲で、書けるように書くしかないなー」って思った。。

瀬尾りん
115.124.197.78

あれ、二月の丘様は短編作家さんでしたか……すいません、知りませんでした笑
私もスポーツものは無理ですねぇ、なんといってもその対象に興味も熱意もないんですもの汗
長く書くと書いてる時の心理状態がバラバラなもんで、なんかちぐはぐな気持ち悪い作品になるんですよね。
一回120枚書いたことあるんですけど、ぶちぶち展開ちぎれてるし流れるような話にならなくて絶望しました。なにこの駄作って。
それでも呼んでくれる人がいた&自分の好きなジャンルってことで、もう執念てか意地で書き上げました。いい経験にはなった気がします。

えんがわ
165.100.179.26

感性が羨ましいです。
適度に社会にいて困難があって、でも感覚は瑞々しくちょっと可愛い。
こういう女性的な感覚がキャラにも文章にも、自然と流れていて、それを読んでいるだけでなんか楽しかったです。

何かしら主人公を作中で苦しめて克服させて、そゆので中部を膨らませて物語ると、最後の女の子のちょっとした心変わりとかに浄化作用を感じると思うんですけど。
逆に、百鬼夜行なファンタジーを、「あたしは疲れているんだ、こういう事だってあるさ」なんて軽く受け入れてそのまま流れてしまう「らしさ」みたいな、そーゆーのはちょっと定番から外れた個が匂って好きです。
もしかしたらその軽さを、軽いだけで流さないで、軽い故にあとで難事にはまった後悔や危うさや軽さの異様さみたいなもの、そこらへんは不妊治療あたりでちょっと匂うのですが、そこもあっさり軽く解決してしまったようなニュアンスもあるので、そこらへんが。ようわからんです。

百鬼夜行のビジュアルと言うか、もうちょっと街を練り歩いている描写とか、どんなんだろうって言うのを、瀬尾さんの手で描くのを見たかったです。でも脳内でイメージ補完、出来ましたので、大きな問題ではない様です。

藍島響(明日人零)
114.16.74.128

集中力復活したら、ちゃんと読みますので…すみません、あと、また何か当てちゃってたらすみません。(返信不要です、今後はレスみたいなの控えますので…)

藍島響(明日人零)
114.16.74.128

瀬尾りん様

すみません、完全エンタメ脳でのお話なので、瀬尾様の作風(いい意味で)に傷がつくと悪いので、選択をお任せしますが、オチは好みなんです。でも、導入が弱い=魅力が薄い。引き寄せるものがなくて、私には退屈なんです。でも、この退屈さって私の文学の読めなさからすると自信がなくて…なので多分、その辺は瀬尾様の中に答えはあるような気がします。
しつこいけど、こういうオチは好みです。

藍島響(明日人零)
114.16.74.128

チャットごめんなさい、返信不要です。
それこそ、えんがわさんの私の指摘したあの項、出だし好みなんですけど瀬尾さんだめです? ちょっとご一考を願えればと、差し出がましく。

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